◆−新連載のお知らせもどき−桜月 梓 (2004/5/3 17:11:15) No.29960
 ┣目覚め、始まる 0−桜月 梓 (2004/5/4 17:55:27) No.29968
 ┣目覚め、始まる1−桜月 梓 (2004/5/7 16:22:34) No.29990
 ┣目覚め、始まる 2−桜月 梓 (2004/5/8 18:29:53) No.29999
 ┣目覚め、始まる 3−桜月 梓 (2004/5/11 17:15:24) No.30005
 ┣目覚め、始まる 4−桜月 梓 (2004/5/14 17:59:56) No.30018
 ┣目覚め、始まる 5−桜月 梓 (2004/5/17 18:07:41) No.30037
 ┣目覚め、始まる 6−桜月 梓 (2004/5/18 17:35:04) No.30041
 ┣目覚め、始まる 7−桜月 梓 (2004/5/20 18:31:13) No.30047
 ┗目覚め、始まる 8−桜月 梓 (2004/5/23 15:14:30) No.30066


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29960新連載のお知らせもどき桜月 梓 2004/5/3 17:11:15



梓:どうも皆さんこん・・・ばんは?桜月梓です。
  前回の「月光王」連載終了から数日。
  短編を少し繰り返したけど新しいネタも思い浮かばなくなってきて。
  というわけで新連載決定“予定”になりました!!

K:またそういう“予定”にする。

梓:だってまだ気力が微妙なんですよ・・・ガンガンと打ち込む気もありません。
  なので「月光王」と同じく『ゆっくりまったり気長連載』という事になりました。
  もちろんこちらもその名通り書き殴りで。

K:・・・はぁ・・・(疲)で?
  次の連載はどういう連載なんだ?またオリジナル主人公で行くのか?

梓:今回の連載主人公は何と珍しい事にちゃんとしたキャラのガウリイさんです。

K:・・・ガウリイ・・・?
  ・・・ガウリイ・・・というと・・・あのガウリイ=ガブリエフか?

梓:リナさんのパートナー・自称保護者・脳みそくらげヨーグルト・脳ミジンコ剣術馬鹿などなどっ!!
  リナさんに劣るとも言えないくらいの異名で親しまれているあのガウリイ=ガブリエフさんです。

K:それは『親しみ』というより『悪口』と言うと思うのだが、私は?

梓:とにかく、リナさんではなく珍しくガウリイさんです。
  連載話の流れとしては・・・やっぱりL様がらみになるんですけどねー・・・。
  大FANだからしょうがないという事で皆さん「またかよ」みたいなシラけた
  目で私を見ないで下さい、お願いします(涙)

K:無理だな。

梓:・・・しくしくしく・・・(涙)
  多分脇役にK様やディース君やリウ君は出ると思いますけど、あとは数人ですね。
  っというかオリキャラともいえない脇役さん達だと思いますけど。
  ともかく、こんな私がまた書き始める連載、細い目で見守ってやって下さい。
  ではでは失礼しますっ!!

K:細い目じゃなくて、それを言うなら長い目だろうが・・・(呆)

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29968目覚め、始まる 0桜月 梓 2004/5/4 17:55:27
記事番号29960へのコメント


梓:始めましょうか・・・略して「目覚め0」・・・。
ガ:・・・何なんだ、その下がり気味なテンションは?
  俺の連載なんだからもうちょっとだなー
梓:蒸し暑いの大嫌い。
ガ:・・・。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






















 「―――さま―――あさま・・・」



 まだまだ幼い少年が、何だか悲しげな声で話し掛けてくる。

 女性は少年と同じ目線にしゃがみこんだ。



 「・・・ぼくがわるいの?ぼくがここにいるから―――はおこってるの・・・?」



 空を思わせる青い瞳にじんわりと涙が浮かんでくる。

 それを見た女性は少年の頭を撫でる。



 「誰に何を言われたの?―――」



 「・・・―――が・・・ぼくは“いらないそんざい”なんだって・・・」



 女性の怪訝そうな顔を見て肯定されたと思ったのか、少年の瞳にもっと涙が集まる。

 肩を震わせて泣く少年を見て、女性は1つ溜息をつくと少年の頭を撫でた。

 少年はきょとんとして濡れた瞳で女性を見る。



 「あのねぇ―――、そんな事言う奴なんかほっとけばいいの、後で滅ぼせばいいのよ!
  あんたは全然いらない存在なんかじゃないわよ。いらなかったらここにはいないじゃないの。
  ・・・ほら、呆けた顔してないで、涙を拭いて自分の名前を言ってみなさい!」



 そう女性に言われた少年は慌ててごしごしと涙を拭く。

 そして掠れる声で自分のフルネームを言う。



 「――――――――――――」



 「そう、その名前に誇りを持ちなさい、―――。あんたはあたしの大事な息子。
  あたしと―――の息子よ。まぁ、そのせいで狙われる事が多いんだけどね」



 「ぼくが―――になるから?」



 少年がポツリと呟くと、女性は1つだけしっかりと頷く。



 「・・・えぇ、そうよ―――。あたしがあんたを“息子”としたのがその証拠よ?
  それをちゃんと分かってるあんたなんだから、もう大丈夫ね―――」



 「うん」



 笑って頷く少年に、女性もにっこりと笑みを浮かべた。

 女性は立ち上がると少年の手を引いて歩き出す。



 「さてと、―――?あんた、どこの世界に降りたいか決めたの?」



 「うん!!ぼく―――がいいの!!だって―――さまがたくさん来るでしょ?」



 「うーん・・・そうねぇ・・・ま、あそこならね。いいわよ―――」



 「やったぁ!!」



 嬉しそうに笑う少年を見て女性はさきほどの笑みより、もっと極上の笑みを浮かべた。



 「・・・あいつはクビね・・・」 



 女性が呟いた言葉の意味を少年が知るのは、まだ遠い未来―さき―の事。












―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


梓:プロローグ終わり。
ガ:・・・俺が主人公だよな・・・?微塵も出てないじゃないか・・・。
梓:大丈夫、「1」に出しますから。
ガ:出番多くしてくれよ?
梓:っていうか主人公なんだから必然的に多くなりますって。
  ではでは。

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29990目覚め、始まる1桜月 梓 2004/5/7 16:22:34
記事番号29960へのコメント


梓:というわけで「1」更新です。
ガ:ようやく俺の出番かー・・・普通はプロローグでも俺を出すだろぉ?
梓:普通じゃないんでいいんです(きっぱり)
ガ:(自分で言うか?普通)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――












 ふっと目を開ける。

 窓から差し込んでいる朝の光が目に当たっていて、少し眩しい。

 むくりと起き上がって窓の外を見てみると、早くも遅くもない時間に普通に起きたらしい。

 がしがしと頭をかくと、手から長い金髪がするりと滑り落ちてくる。

 この金髪に、誰かが手を触れた気がした。

 ガウリイは自分の金髪をじっと眺めながら考えた。


 「またあの夢か…」


 自分の母が頭を撫でてくれた夢・・・。

 そこまで考えて、ガウリイは否定するように首を横にゆるゆると振った。


 「でもそんなはずないんだよなぁ」


 母に頭を撫でられた記憶は、優しくされた記憶など少しもないのだ。

 厄介者の自分に、優しくしてくれたのは今は亡き曾祖母くらいしかいない。

 おおまかな内容は覚えていないものの、金髪の女性が自分の頭を撫でる部分が見える。

 そして何故だか分かるのだ、その女性が自分の母親だと。

 だが、記憶を辿ってみても母は金髪ではなく、兄と同じ茶髪だったはずなのだ。

 ガウリイは答えが出ない事に溜息をつき、考えるのを止めて着替え始めた。







 「あ、ガウリイ遅いわよ!」


 ガウリイが下に下りていくと1つのテーブルにリナが座っていた。

 苦笑して謝りながら席につくと、リナが朝食をまだ取っていない事に気がついた。


 「別に先に食べてて良かったんだぞ」


 そう苦笑して言うとリナは真っ赤になってそっぽを向く。


 「・・・1人で食べても、美味しくないのよ・・・」


 聞こえるか聞こえないかの小さい声でリナが言う。

 もちろんガウリイは聞こえていたが、言うとまた照れてしまうので聞こえないフリをした。

 ある日の朝の出来事である。












 サイラーグでの事件から数ヶ月。

 ガウリイはリナに連れられて、リナの故郷・ゼフィーリアへとやってきた。

 その旅路はいつもと変わるようであまり変わりなく、しかしどこか雰囲気は変わっていた。


 【お前の故郷なんてどうだ?】


 (少しは意識してくれるだろうな)との策略を裏に隠してリナに言ったのは、事件の少し後。

 もちろん、リナは顔を赤くしてガウリイを見上げた。

 (脈あり♪)とガウリイは内心嬉しく思いながら、いつものくらげの振りをした。


 【前にゼフィーリアは葡萄の産地だって言ってたろ?】


 【そっちかぁぁあああああああ!!!!!】


 高速のスリッパ攻撃を受けながら一安心したのだ。

 いつものリナに戻っている―――と。

 そして、リナの家について夕食の時、ガウリイはきっぱりと言ってのけた。




 【リナを俺に下さい】




 顔を真っ赤にして派手にコケるリナ(思った通りの反応だ)。

 持っていた箸を落とす父親(あの時のおっちゃんだった事に少しだけ驚いた)。

 静かににこにこと笑う母親(…多分この家族の中で1番頭の上がらない人だと思う…)。

 動じずにガウリイを見ているルナ(何でか神族のような気配がする)。


 【あたしは本気ならいーわよ】


 ルナは真面目にそう言う。


 【あらあら、こんな娘で良ければ是非どーぞ、ガウリイさん】


 母親はにこにこと承諾する。


 【まさかガウリイに持って行かれるとは思ってなかった…】


 父親は嘆くがその言葉は承諾しているに等しい。

 リナはまだ真っ赤な顔をしてコケたままで口をぱくぱくと開け閉めしている。

 そんなリナを見て、ガウリイは人の良い笑顔をにっこりと見せたのである。

 リナは思った。





 (―――嵌められた―――!)





 そんな思いもつかの間。

 いつのまにやっていたのか、母親と姉だけの間でちゃっちゃと勧められて、

 リナは心の準備が出来ていないまま、気がついた頃にはガウリイと婚約してしまっていた。

 まぁ、否定していないぶん、そういう気持ちがリナにもあるのだが。









 それからまたまた数ヶ月。

 実家からそんなに離れていない所に、家を建てて2人は静かにゆっくりと暮らし始めていた。

 朝の光がさんさんと家の中に降り注いでいる……今日も洗濯日和の良い日だ。

 とある床に落ちている黒い物体を除いて。


 「リナ、ソース取ってくれるか?」

 「はい」


 2人は何事も無かったように朝食を食べつづけている。

 時折、黒い物体がぴくっぴくっと、浜に打ち上げられた魚のように動いているが

 特に2人は気にしない。






 1時間後。





 「…いい加減に気づいて下さいよぉお……リナさぁああんガウリイさぁああん……」


 無駄な抵抗をようやく諦めたのか、黒い物体は恨めしそうな声を出しながら起き上がった。

 ふみみっ!

 ガウリイが立ち上がってその黒い物体を踏みながら、てきぱきと食器を片付け始める。

 ぎゅむっ!

 それに続くリナも黒い物体を踏みしめて、濡れ布巾でテーブルを拭き始めた。

 カエルのような声を出してもう2度床に潰れる黒い物体に、2人は無視しまくる。


 「しくしくしく…酷いですよぉ…2人ともぉお…せっかく情報持ってきてあげたのにぃ…」


 容赦無く踏まれた上に無視されまくった黒い物体は、いじけてどんより泣き出してしまった。

 そのうざったさにリナとガウリイはようやくそちらを見た。


 「ををっ!!ゼロスいつのまに来てたの?!ただの黒い物体にしか思えなかったわ!!」


 「おおおっ!さすがゼロスだなぁー!!いる事に全然気がつかなかったぞ、俺!!」



 追い討ち。




 ゼロスがようやくいじけるのを止めたのは、それから3時間後の事だった。







――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


梓:扱い酷すぎっ!
ゼ:そう書いてるのは作者のあなたじゃないですかー!!!
梓:あーごめんねぇごめんねぇ。
ゼ:軽いですよぅ・・・しくしくしく・・・。
梓:・・・そうやってすぐいぢけるから魔族は情けないだの言われるんだよ・・・(汗)


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29999目覚め、始まる 2桜月 梓 2004/5/8 18:29:53
記事番号29960へのコメント


梓:眠いです、ひっじょーに眠いです・・・睡眠時間は10分・・・。殆ど徹夜(汗)
  いつも最低8時間は寝てた私が何と珍しい・・・。
  しかし・・・考えてみると小学生の時は3日くらい徹夜しても平気だったのになぁ・・・?
G:・・・8時間・・・(汗)
梓:ともあれ「2」更新してみよう。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

















 「で?何の情報を持ってきたっていうんだ?ゼロス?」


 泣きつづけるゼロスに高速ハリセン突っ込み(inアストラル・ヴァイン上乗せヴァージョン)を

 喰らわせた後で、リナとガウリイは紅茶を飲みながら床に正座しているゼロスを見る。

 何となく影が薄くボロボロになった姿をさらけつつも、ゼロスはようやく本題へと入る事が出来た。


 「えーと・・・まずはお久しぶりです、リナさん、ガウリイさん」


 「会いたくなかったけどね」


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さいですか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  情報なんですが、本当は僕くらいまでの魔族のトップシークレットになっているんですけれども・・・・・・」


 少しだけ小さくなった声でゼロスがそう言ったのを聞いて、リナは眉を寄せる。


 「はぁ?何でそんな情報をあたし達のところに持ってくるのよ?」


 とたんにゼロスは今初めて気がついたようにあたふたと慌ててと、結界を張る。

 そしてそれでも誰かに見られているんじゃないかというふうに辺りを見回してから

 さきほどよりも、もっと小さな声で告げた。


 「・・・あの御方にリナさんとガウリイさんが1番深く関わっているからです・・・」








 “あの御方”。

 ゼロスがそう呼ぶ人物はこの世界でたった1人しかいない。

 それは、上司のゼラスでも魔王のシャブラニクドゥでもない。

 ただ1人。

 ―――この世界の創設者だけ―――










 びしりっ!と固まるリナと、いつものようにただのほほんと紅茶を飲むガウリイ。

 数分後ようやく硬直から逃れたリナが、ゼロスのように小さな声でおそるおそる問う。


 「ど・・・・・・・・どんな情報なのよ・・・・・・・・(汗)」


 「実は、その・・・ど、どうやらL様に反逆している人物が何と“リナさん”を狙っているようなんですよ・・・」


 ぴき。とリナの眉間に青筋が走り、ばしりっ!と今度はガウリイが硬直する。

 リナはかなり引くついている口元を歪ませてゼロスに一気に近寄って胸倉を掴み上げた!!


 「ちょっとぉぉおおおおお!!!!!!どうしてあれの反逆者があたしを狙ってるのよぉぉおおお!!!!」


 「あれなんて言わないで下さいぃいいい!!知りませんよぉぉぉおおおおおお!!」


 がっくんがっくんと前後に首を振られつつもゼロスは涙ながらに叫ぶ。

 だがしかし、リナもその答えを許さずにゼロスの胸倉を思いっきり揺さぶり続ける。

 ふいに硬直が解けたガウリイが、ことん。と紅茶のカップをテーブルに置く。






 ピシンッ・・・






 エルフのような耳を持つリナにも聞こえないほどの、非常に小さな音がガウリイの手元から上がる。

 彼の手の中にあるカップの取っ手に、良く注意して見なければ分からないほどの

 小さな小さな亀裂が―――そこにあった。


 「ゼロスどういう事なんだ?」


 物静かなガウリイの声に、ゼロスはがっくんがっくんと揺さぶられたままそっちを見ると

 またまた今度はゼロスが硬直してしまった。

 ガウリイは、リナから見れば場にいつものそぐわないのほほんとした笑みをしている。

 しかしゼロスから見ればそれは、どこぞの峰にいるでっかいトカゲさんが放つ、

 極度の氷点下以下ぁああっ!!と叫ぶ気力もないくらいのおやじギャグよりも






 氷より冷たく





 夜より暗く





 闇より深く





 炎より熱い





 リナに気づかせず、ゼロスにだけ向けられた、怒りのオーラ 






 それを、彼はのほほんとした微笑みを浮かべつつもずごごご・・・と発している。

 ゼロスの直感が即座に告げた。



 ―――このままではガウリイさんに滅ぼされてしまう―――と。



 「ぼぼぼぼぼぼ僕が知ってるかぎりの事はははははは話ますんでぇえええ!!!!
  りりりりリナさんおおお願いですから離して下さいぃいいいいい!!!!」


 泣き叫ぶように(すでに半泣き)言うと、リナは「あっそう」と手を離す。

 しかし、ガウリイのオーラはまだゼロスを捕らえて離さない。

















 「(ゼラス様ぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
   魔王様ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
   このさい誰でもいいから僕を助けて下さいぃいいいいいい!!!!!!!!)」



















 多分聞き届けられないだろうが。






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


G:・・・・・・・・・・し・・・・・・・・・・・・知りきれトンボが再び・・・・・・・・(汗)
梓:・・・またそういうどうでもいい事を覚えてるんだからなぁ、ガウリイ君は・・・。
G:いや、全然どうでも良くないと思うぞ。俺は。
梓:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  ではでは皆様、「3」でお会いしましょーねー!!
G:(逃げたな)

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30005目覚め、始まる 3桜月 梓 2004/5/11 17:15:24
記事番号29960へのコメント


G:えーと・・・『ネタはもうあがってんだ、いい加減書いちまったらどうだ?』
梓:『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(手を止めたまま)』
G:んと『書いちまった方が楽になれるぜ?とことんのお袋さんも泣いてると思うぞ・・・?』
梓:違う違う、混沌だってば!!ちゃんと漢字の横に振り仮名書いてあるでしょ?
  (台本の字を指差しながら)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




















 ようやくガウリイのオーラが収まってきた頃になって、ゼロスはようやく束縛から逃れた。

 そして心の中で号泣しながら、何故リナが狙われるのかを話し始めた。


 「といっても、僕の知ってる事なんてたかが知れてると思いますけどね・・・。魔王様でさえ、
  この情報が言っている正しい事全てを知っているわけじゃないとゼラス様も言ってましたし」


 「別にそういう事はいーわよ。だからあんたの知ってる事全部言いなさいよ」


 いつもみたいに“聞かれなかったから言わなかった”という風に交すのは許さないわよ。

 腕を組むリナの顔には、そうデカデカと書かれている。

 こくりと素直にゼロスも1つ頷いた。


 「分かってますよ。えーと、僕はまだ首謀者の事は全然分からないんですが、
  ・・・確か首謀者の部下達の強さは・・・ヘルマスター様くらいだったと」


 人差し指を立てるゼロスに、リナは眉を寄せる。


 「・・・へる・・・・・・・・・ヘルマスターくらいの強さぁあっ?!部下全部がっ?!」


 リナは思いっきり嫌そうな顔をした。

 その反応を見て、ゼロスは苦笑を無理矢理引っ込めながら、1つ頷いた。

 そして小さな声で話を続け始めた。


 「はい。でもちょっとてこずっちゃいましたけど半分は僕達が全滅させましたから」


 さらりと言ってのけたゼロスに、今度はリナの隣で聞いていたガウリイが片眉を上げた。


 「半分滅ぼした?お前達がか?」


 「えぇ、確か・・・1週間くらい前でしたっけ?僕達魔族と神族に、彼らが奇襲かけてきたんですよ。
  無謀というか根性というか・・・。まぁ、あちらから来たんで僕等も遠慮なく戦いまして。
  僕等に向かってきた分は全滅させてあげました。おそらく神族さんもですね」


 (1週間前?っていうと、確かルナさんが変な気配持ってた奴ら倒してたけど・・・あいつらかな・・・?)

 ガウリイはふと1週間前にリアランサーの傍を通りかかった時、5人くらいで

 群がってきた男達を、ナが赤竜の剣を使って一瞬で倒していた事を思い出した。

 その男達は人間の気配、魔族でも神族でもない気配を持っていたのに、気がついていた。

 昔、どこかで感じた事のある気配だったのだが、思い出せずにそのままにしておいたのだ。


 「まぁ・・・それで考えると残るは、ヘルマスター並の部下数人、それよりも強い首謀者って所ね・・・」


 「そうですね。多分リナさんを狙うのは、L様の力を使えるからじゃないかと」


 リナは大きく溜息をついた。


 「どっから漏れたのよ・・・そんな情報は」


























 ゼロスが帰って数時間。

 夕食を食べ終わり、片付けが終わり、リナとガウリイはソファで一息をついていた。


 「ガウリイ」


 ポツリと呟かれた自分の名前に、ガウリイは剣を磨く手を止めて隣に座るリナを見る。

 リナはガウリイの方ではなくて窓の外に輝く星を眺めている。


 「・・・ごめん、ね・・・」


 いつになく沈んだリナの声。

 『ごめんね』、そうリナが呟いた言葉の意味は、いくつも考えられる。






 “また巻き込んじゃってごめんね”






 “ゆっくりと暮らす事が出来なくてごめんね”






 “いつもこういう事件がやってくるからごめんね”






 “死ぬかもしれないのに突き放す事が出来なくて、ごめんね”






 他にも、いろいろと。

 星を眺めるリナの顔は、ガウリイからは見えないが苦笑さえ浮かんでいないだろう。

 無表情でもなく、苦しげな悲しげな、そんな顔をしているんだろう。

 ガウリイは剣を床に置いた。

 そして自分は苦笑気味の微笑みを浮かべて、リナの頭をくしゃくしゃと撫でた。


 「この事件が終わったら、結婚式しような」


 ぴくっ、とリナの肩が小さく揺れた。

 少しの間を置いた後でリナはガウリイの肩に自分の頭を寄せた。

 返事も否定も、何も言わないリナ。

 だがガウリイには分かった。








 リナの顔は真っ赤であると。









――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



梓:・・・・・・・・・あー・・・・・・・び、微妙な所で終わっちゃったなぁ・・・・・・・・・(汗)
G:微妙も何も、微妙すぎてると思うぞ、これは。
梓:・・・あはは(滝汗)


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30018目覚め、始まる 4桜月 梓 2004/5/14 17:59:56
記事番号29960へのコメント


梓:ネタがない気力がないと喚きつつも打ち込み頑張る今日この頃。
G:・・・・その棒読み程度は頑張ってると言えるのかぁ・・・・・?
梓:そこは突っ込んじゃいけません。さぁ行きましょうか「目覚めのくらげ」。
  ここだけ言葉にしてみると何だか本物くらげのお話を書いてる気分だねぇ。
G:をい・・・。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――














 【―――】


 【・・・あ、―――スさま!!】


 後ろからかけられた声に振り向いた少年は、ぱぁっと顔を輝かせると、

 駆け戻って青年の腕の中へと飛び込んだ。


 【ようやく仕事が終わったんだ。だからガ―――と遊ぼうと思ってね】


 【ほんと?!わぁああい!!】


 青年に軽くひょいっと抱き上げられて、少年は嬉しそうな声を上げる。


 【・・・―――イ。僕はね、ね―――様のお―――だけど、君を本当の弟だと思ってるんだよ?】


 抱き上げた少年を見上げながら、青年が笑ってそう言うと少年は大きく頷いた。


 【僕も、僕もね!―――スさまのこと、本当のお―――さまだと思ってるよ!】


 【ありがとう。さ、遊びに行こう!今日は―――の世界に行こうか】


 【うんっ!!今日こそじゅう―――に剣で勝ってみせるんだ!!】


























 リナとガウリイは、誰にも邪魔されない丘の上に立っていた。

 ざわりっ・・・・・と空気が揺れる。

 その異様な空気は不自然に辺りを包み込んでいく。

 その空気が頂点に達した時、2人の前の虚空がゆらりと揺れて、男性が現れた。

 サラサラの赤い髪を風にさらして、穏やかな笑みを浮かべているが目は笑っていない。

 笑みなどではなく、目と気配から感じるそれは、殺気。


 「どうも・・・。このたび貴方の相手をさせていただく事になった、私、ハイドと申します。」


 ハイドは優雅にペコリと頭を下げた。


 「・・・それでは自己紹介もすみましたし・・・始めましょうか」



 ゴォオオオウッ!!!!!!!



 ハイドの周りに瘴気の渦が纏わり付き、リナとガウリイにそのプレッシャーが襲う。

 さすがにヘルマスター並の力をもつ奴だといえよう。


 「エルメキア・ランスッ!!!!!!!」


 リナが素早く呪文を唱えて放つと、ハイドはいとも簡単にそれを打ち消す。


 「ダイナスト・ブレスッ!!!!!!」


 第二段を撃つが、それもまた打ち消されていく。

 リナの呪文を唱えるタイムロスを避けるようにガウリイがハイドに突っ込む!!

 さすがにガウリイの俊敏な足には呪文を打つ暇がなかったらしく、ブラスト・ソードを

 瞬時に虚空から取り出した錫杖で受け止める。

 キィンッ!!

 高い金属音の音を上げてガウリイとハイドは間合いを取った。


 「ゼラス・ブリッド!!!!!」


 その間合いを取った所めがけてリナの呪文が炸裂し、ハイドが錫杖で応戦すると、

 今度は横からガウリイがブラスト・ソードを構えて雄叫びを上げて狙ってくる。

 ゼラス・ブリッドを消し去り、ハイドはガウリイを錫杖で受け止めた。








 嫌々ながらも魔族と戦ってきたリナとガウリイの、打ち合わせ無しの出来たコンビプレーに

 ハイドは顔には出さずに、内心、感嘆の声を漏らしていた。

 ガキィイッ!!!

 魔法が使えないかわりに剣の腕が超一流な、そして瞳に強い力を持つ相手を見る。


 確かここでは―――ガウリイ=ガブリエフとリナ=インバースと、いったか・・・


 上司に聞いた名前を思い出しながら、ハイドはブラスト・ソードを受け流す。

 ガウリイに気づかれないようにちらりっとリナの方を見ると、大きな魔法でも使おうとしているのか

 呪文が長びいている。ガウリイはその時間稼ぎ。ならそれに付き合ってみればいい。

 ハイドは心の中でそう決めると、ガウリイに微笑を浮かべた。


 「それにしても“久しぶり”ですね」


 たった一瞬だが確かに、ぴくり、とガウリイの眉が動いたのを見た。

 攻撃の手を止めないようにハイドは言葉を続ける。


 「“あなた”はいつまで“ここ”にいるつもりなんですか?邪魔なんですよね」



 ギインッ!!!



 錫杖とブラスト・ソードの交じり合う間から、また高い金属音が生まれた。


 「―――お前―――」


 ガウリイがハイドに殺気を向ける。

 くすり・・・と、ハイドは微笑を口から漏らした。














 「“久しぶり”って、何言ってるんだ?俺はお前と初対面の気がするんだが」














 ―――初対面。


 その言葉に一瞬ハイドは闘っているというのに、思考が停止した。

 しかし一瞬で元に戻すと、今ガウリイが言った言葉の意味を考え直した。

 “久しぶり”の意味が分からない。“初対面”だと思う。


 ―――覚えていない・・・?


 ざわり・・・とハイドの心の奥から言い知れぬ力が、怒りが湧き起こってきた。


 ―――覚えていないだと・・・?この男・・・!









 ぶちりと、何かの切れる音がした。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


梓:・・・・・何だか最後はハイドさん視点になってしまいました・・・何故か・・・。
G:おいおい、これ、こんな展開でいいのか?予定より短くなってるし。
梓:いやぁ人生何が起きるか分かんないもんだね。
G:をい!!


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30037目覚め、始まる 5桜月 梓 2004/5/17 18:07:41
記事番号29960へのコメント


梓:前書き書くことないので行きましょう「5」。
G:それだけかっ?!
梓:えー・・・じゃあ・・・サブタイトル「くらげ覚醒」。
G:・・・。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

















 【あんたたち言ってくれたみたいねvクビv】








 いきなり集められてお仕置きされるのかとびくついていたら、にっこりと笑って告げられた言葉はそれだった。
































 「お、覚えていない・・・・だと?!当事者の貴様が!!」

 「いやそんな事言われても困るんだが・・・俺が当事者?」

 ぶちぶちと血管の切れる音が頭の中で鳴り響くのを聞きながら、ハイドはガウリイに怒鳴る。

 しかしガウリイは困った顔をしてハイドに聞き返す。

 ハイドの神経を逆撫でするばかりである。

 ちなみにリナは2人から少し離れて呪文を唱えているので会話は聞こえていない。

 ガウリイの本気で分からないという顔を見て、ハイドは最後の血管を切った。


 「我と汝の力もて!―――ガウリイどいて!!」


 リナの怒鳴った声にガウリイは最後にブラスト・ソードを一閃するとハイドからすばやく間を取る。


 「一つの滅びを与えん事をっ!!」


 「―――――――――――覚えていないのならば―――――――――――――
  ――――――――――思い出させてやろうではないか!!!!!!!!!!!!!」



 「ドラグ・スレイブーーーーー!!!!!!!」「はぁぁぁあああああああ!!!!!!!」


 リナの放った増幅版ドラグ・スレイブと、ハイドの放った魔力が交差する!!









 ちゅどぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!!!!!!!!!!!!!!!!!








 赤い閃光と漆黒の閃光が交じり合い、その中心を核に大爆発を引き起こした!!

 荒れ狂う砂埃と豪風に、ガウリイは咄嗟にブラスト・ソードを地面に突き刺して

 すばやく身を伏せた事で、何とか吹っ飛ばされる事だけは防げた。

 しかし、かなりの爆発音だったせいか、耳が何だか変な感じがしている。

 だが耳の事はさておき、ガウリイはブラスト・ソードを引き抜き、慌てて立ち上がる。


 「リナーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!?????」


 豪風のせいで舞い上がった大量の砂埃は漂い続け、まだ視界を塞いだままだ。

 ふいに殺気を感じてガウリイは横へと思いっきり飛んだ。

 バシュバシュバシュッ!!!!

 自分がさっきまで立っていた場所に一寸の狂いもなく風の刃が突き刺さる。

 刃が飛んできた方向を睨むと砂埃が晴れた所に、薄笑いを浮かべたハイドが立っていた。


 「さぁ、視界は見えるようになった。・・・私が立っているという事は、状況は分かるだろう?」


 その嘲笑の色が含まれた言葉を聞いたガウリイは、慌てて一点を振り返った。

 ドラグ・スレイブと魔力の大爆発で作られたクレーター。

 そのクレーターから離れた、ガウリイと近いその場所に、ボロボロになったリナはうつ伏せに倒れていた。

 その姿にガウリイの心臓は悲鳴を上げた。

 ハイドの事など忘れ去ったかのように、ガウリイはリナのそばへと駆け寄る。


 「リナッ!!!」


 触れたリナの手はほんのり暖かく、冷たくはなっていなかった。

 硬く閉じていた瞼がかなり重そうに、それでも何とか開いて、深紅の色が見えた。


 「・・・ガ―――――ゴフッ!!!」


 弱弱しく自分の名前を呼ぼうとした口からは、深紅が溢れ出した。

 だが彼女の瞳の色のように、純粋な深紅ではない。

 リナの口に残る色も、地面に飛び散った色も、ガウリイの手についた色も、全ての色が

 もっと暗く深い深紅の―――血の色・・・。


 「・・・り・・・な・・・?」


 その声に、リナの瞳は弱弱しくガウリイを捕らえる。そして深紅に濡れたその唇で

 『 ごめんね 』
 
 それだけ動くと、次の瞬間には体を丸めて咳き込み始める。

 その顔色はどんどん青ざめていく。





                                                     どくん・・・





 「愚かな事を。あれしきの呪文、私の力の一部に魔力を増幅させれば充分だ」






                                                     ・・・どくんっ
















 【―――さま―――お―――あさま―――おかあさま―――】







 何だ―――?この声・・・・・・10歳にもならない・・・子供の声か・・・?

 違う・・・。

 この声は・・・間違いなく、幼い頃の『俺』の声だ。






 【・・・ほら、呆けた顔してないで、涙を拭いて自分の名前を言ってみなさい!】





 『俺』の・・・名前?

 『俺』の名前は―――ガウリイ=がブリエフ・・・・いや・・・何だ?違う?

 どうしたんだ?『俺』は、『俺』の名前は―――






 【そう、その名前に誇りを持ちなさい、―――。あんたはあたしの大事な息子】







 「・・・・・・・・俺の・・・・・・・・・名前は・・・・・・・・・・・っ!!」











 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――どくんっ!







 その鼓動の響きに、全てを、封印したのは、誰だった?











――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


梓:・・・長っ!!!しかも今回は闘いを終わらせるつもりだったのにまだ続く(汗)
  これじゃあハイドさん一発伽羅じゃなくなっちゃったじゃないか!!
G:・・・俺に言うなよ・・・っていうかリナに怪我させやがって!!
梓:そ、そうしないと続かないんだよ(汗)あー、しかもサブタイトルがこれじゃあ
  「深紅のくらげ」だ・・・。
G:くらげ言うな!!


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30041目覚め、始まる 6桜月 梓 2004/5/18 17:35:04
記事番号29960へのコメント


梓:・・・疲れた・・・それでもストレス発散を求めて打ち込み開始っと。
G:いーのか?それで。
梓:うーん、まぁ私的にいーんですよ。私と同年代の方でここに投稿してる人達は
  多分、もう休止宣言してると思いますけどね。あはははは(笑い事じゃない。)
G:・・・(呆)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






















 どくん―――






 ―――どくん






 どくん―――






 ―――どくん






 どくん―――





























 心の奥・・・いや魂の奥といった方が正しいだろう。

 その魂の奥からもう1つの鼓動が鳴り響く。

 心に、頭に、手に、足に、体全体に、鼓動は静かにゆっくりと浸透していく。

 その鼓動に答えるように、心臓も大きく鼓動を上げる。




 ―――どくん



 どくん―――




 ―――どくん―――




 そして2つの鼓動はようやく重なり合い、1つの鼓動として動き始めた。

 先ほどまで感じていた、怒りや焦りや困惑など、もうどこかに行ってしまったことを

 鼓動の主である『ガウリイ』と呼ばれていた人間はそれを感じ取っていた。

 やがて鼓動が本当に1つになった事を感じ取ると、ゆっくりと瞳を開ける。

 たなびく金髪は輝きを増し、空色の瞳は濃さを増して深い青色になっているのが分かった。

 それが当たり前だから。

 ふわりと風が舞い、着ていた服が瞬時にどこかの貴族のような服に変わった。

 ばさりっ・・・と揺れる漆黒のマント。

 胸元に小さな銀色のオーブがついた、青がメインの金の飾りがついた服。

 黒のズボンに明るい茶色のブーツ。

 腰には、丹念に手入れし続けてきた大事な、大切なブラスト・ソードが添えられている。

 その姿を見て、ハイドは彼の無言のプレッシャーに顔をしかめる。

 確か『彼』を見たのはこの世界でいうと何年も前のことだ。

 ゆっくりと屈み込み、青ざめた顔で気絶したリナへと悲しそうな瞳を向けながら手をかざす。

 『彼』の手に暖かな光が集うと、苦しそうにしていたリナの顔はたちまち安らかになった。

 怪我が治り、呼吸も正常に出来るようになったのを見届けると、『彼』は立ち上がる。

 そして、ようやくハイドの方を見た。


 「っ・・・覚醒したのか!!」


 ハイドがぎりっと唇を噛み締めてそう叫ぶと、『彼』は頷いた。


 「嫌な覚醒の仕方だけどな。・・・ま、こうなったのは俺のせいもあるし、お前のせいでもあるし」


 すぅっと『彼』がハイドの方へ手を向ける。

 ハイドは反撃しようとしたが、『彼』から放たれているプレッシャーで動けなかった。


 「俺の名前は・・・・・・・ガウリイ。ガウリイ=ガブリエフ。それが赤の世界での名前だ。

  そして・・・ガウリイ。『ガウリエル=クロスオーシャン=ネオ=ナイトメア』・・・。

  思い出したさ―――これが―――俺の―――もう1つの名前・・・」


 ガウリイがその言葉を言い終えるか言い終えないかのうちに、ハイドは虚空に溶けてしまった。

 何てことはない。

 口にしたもう1つの名前の方に、ガウリイがほんの少し力を込めただけだ。

 ガウリイはその虚空を見て一つだけ溜息をつくと、ハイドが人知れず張った結界を壊した。













 「リナッ!!!ガウリイッ!!!」




 そしてすぐに結界の外で中に入れない事をヤキモキしていたルナが、全速力で駆け寄ってきた。 






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


梓:ようやく覚醒したね・・・ガウリイ・・・。本当は前回だったはずなのに(汗)
G:・・・ほんとだよな。
梓:次でツリー変えかな・・・。
G:・・・そうだな。


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30047目覚め、始まる 7桜月 梓 2004/5/20 18:31:13
記事番号29960へのコメント


G:なぁ、ツリー変えはどうしたんだ?
梓:・・・なんとなく・・・。
G:・・・待て。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





















 白いカーテンが静かにふわりと入ってきた風に揺れる。

 部屋の中に入ってくる日は、少し天辺を通り過ぎた。

 いつものこの時間なら彼女は昼食の後片付けをしている頃だ。

 そして自分はそれを一緒に手伝い、テーブルを拭いている。

 静かに、暮らしていたのだ。

 ゆっくりと、過ごしていたのだ。

 たとえそれが白昼夢のようなたった一時の間でも。

 白いベットに横たわって寝ているリナの顔を見てガウリイの顔が歪む。


 ―――この結果は俺のせいだ―――


 知らずにぎりっと握り締める拳。

 爪が食い込む痛みなど、心の痛みには到底及ぶはずがない。

 リナを一通り診ていたルナは体を起こすと、安堵の溜息を大きくついた。

 それはリナの無事を確認したという事。

 しばらく沈黙を決め込んでいたルナはようやくガウリイの方へ向き直る。


 「すみません・・・」


 その視線を受けたガウリイは小さく謝る。

 それにルナはやれやれというふうに首を横に振ると、もう一度ガウリイを見た。


 「・・・リナに精一杯で気がつかなかったけど・・・ガウリイ、あんた、雰囲気がみごとに変わってるわね。
  どうしてなのか、教えてくれるわね?それが、今回の事に関わりがあるんでしょう?」


 ルナの的確な言葉に、ガウリイがピクリと肩を動かす。

 微妙な張り詰めた空気の沈黙の後に、ガウリイは真剣な顔をして頷いた。


 「・・・・・・・・・分かりました。ルナさんともう1人にも聞いてもらう事にします」


 ガウリイはルナの前にあるソファに静かに身を沈めると、パチンッと指を鳴らす。

 ―――どでんっ!!

 すぐさま虚空から黒い物体が落っこちてきた。

 それを見て目を見開くルナの前で、黒い物体、もといゼロスが頭を擦りながら身を起こす。

 ワケが分からないようにきょろきょろと辺りを見回してから、ガウリイ達の方へ向き直ると

 かなり驚いたのか目を開眼させて、口が金魚のようになった。

 何せガウリイと、リナ姉である、しかもスィーフィード・ナイトのルナがいるのだから。


 「が、ガウリイさんとスィーフィード・ナイトさん?!!という事はここはゼフィーリア・・・?
  いやでもどうして僕はいきなりここに・・・。エルメキアにいたはずなのに?!」


 「良く来たなゼロス」


 「あの・・・よ、良く来たなって・・・ガウリイさん・・・」


 片手を挙げるガウリイにゼロスはワケが分からなさすぎて、何も言えなくなる。

 腕を組みなおすと、ルナはガウリイからゼロスの方に視線を移す。


 「それでガウリイ?どうして“もう1人”が使いっぱしりの獣神官なの?」


 「俺とリナに関わりありますし、それにたとえゴキブリでも結構役に立つんですよね、こいつは」


 使いっぱしりだのゴキブリだのたとえだのと連呼され、一瞬だけ落ち込むゼロスだったが

 すぐにガバリと身を起こしてガウリイを軽く睨む。

 と、そこでようやくガウリイの雰囲気がガラリと変わっている事に気がついた。

 訝しく思いながらもゼロスもソファに座った。

 そしてルナとゼロスが同時にガウリイを見ると、ガウリイは微笑した。


 「―――最初に言っておかなくちゃならない事は・・・、もちろん俺の事だ・・・。
  俺の名前はガウリイ。ガウリイ=ガブリエフで間違いはない。けど、本名は」


 刹那。

 ガウリイの雰囲気・・・というよりも存在感が一層強くなった。

 その存在感に、何故か逆らってはいけないような錯覚に2人を陥らせる。

 まるで、そう、自分達の上司のような―――。


 「こ・・・・・このプレッシャー・・・・・・・・・ガウリイ、あんたまさか・・・・・・・・・・!!!」


 プレッシャーを受けたルナにガウリイは頷く。


 「俺は、金色の魔王ただ1人、唯一の息子であり、時期、金色の魔王。
  俺の名前は 【ガウリエル=クロスオーシャン=ネオ=ナイトメア】 だ。
  ・・・ま、言葉遣いとか態度とかは、いつも通りで構わないからな」


 そしてガウリイはプレッシャーを消した。

 ルナは肩から大きく力を抜くと、脱力した声を上げる。


 「よーやく分かったわ・・・。こないだあたしに奇襲仕掛けてきた奴ら・・・どこかで見た事が
  あると思ったら・・・L様の元部下達だったわね・・・。ガウリイが狙われるわけよ」


 「・・・な、なるほど・・・僕達に刃向かってきた人達もそういうワケだったんですねー・・・」


 がくりと肩を下ろしてゼロスも滝汗流しまくりながら、力のない声でそれだけ言った。

 ガウリイは曖昧な表情で2人を見ている。




 また暖かな風が窓から入ってきた。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


梓:説明省いちゃった・・・。
G:これ分かり辛すぎないかぁ?
梓:うんまぁ、理由はラスボスさんに言わせるつもりなんで、よしとします。
  ではでは。

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30066目覚め、始まる 8桜月 梓 2004/5/23 15:14:30
記事番号29960へのコメント


梓:ツリー変えなしで突っ走っていく
  ・・・のは大丈夫でない気がしなくもないけど突っ走ります。
G:また意味不明な事言ってるし。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
























 「ガウリイ様」


 ふいに声がしてそちらを振り向くと、光にさらすと白く見えるような金髪に、

 澄んだ緑色の瞳をしている少年が立っていた。

 その少年を見ると、ガウリイは本当に懐かしそうに顔を輝かせた。


 「ガウリイ様、お久しぶりでございます。お変わりないようで安心しました」


 もう一度その少年がガウリイの名前を呼ぶと、ガウリイも大きく頷く。


 「あぁ、久しぶりだな、リウ」


 リウ、と呼ばれた少年は嬉しそうに笑う。

 するとちらり、とルナとゼロスを見てから、振り返って眠るリナを見やる。

 そしてまたガウリイを見て、ルナとゼロスに視線を戻す。

 顎に手を持っていき


 「ふむ」


 と何かを考え込むと、ぽんっ!と手を打った。


 「それでは私がお2人に力を分けましょう」


 いきなり言われた言葉に、意味が分からずぽかんとする2人。

 それを見ると、リウは訝しげな顔でガウリイを振り向いた。


 「まだ話されてないんですか?」


 「ん?あぁ、今から話すところだったんだよ」


 肩を竦めて苦笑するガウリイにリウは頷くと、ガウリイの横に立って2人に聞いた。


 「まず、私はリウ=エターニナルです。ガウリイ様の側近を勤めさせてもらっています。
  では私から今回の状況を説明させていただいても宜しいでしょうか?」


 それに慌てて頷くルナとゼロス。

 こほん、と1つ咳払いをしてからリウは話し始めた。


 「事の始まりは、まだガウリイ様が幼かった頃に遡ります。
  その頃のガウリイ様はL様の唯一の息子として、誰からも慕われてもいましたが一部には
  煙たがられて・・・というか嫉妬されていました。それが今回の首謀者達です。」


 何となく悟っていたルナは顔をしかめる。


 「ガウリイ様はずっと耐えていたのですが、ある時とんでもない事を言われてしまいました。
  それを見たL様が首謀者達、その全員を処罰としてクビになされたのです」


 それを聞くとゼロスは、今回の事件の理由を思いつき、呆れた顔をした。


 「まったく、能無しの起こす事態はありきたりすぎますね・・・。そんなに悔しかったのなら
  こんな馬鹿な行いをせず、メリットのある見合った行いをすればいいのに・・・」


 話し終えたリウも、本当に馬鹿馬鹿しい事態だ、という風に溜息をついた。

 等のガウリイも曖昧な苦笑を浮かべている。

 リウはもう1回だけ溜息をつくと、またルナとゼロスの方を向いた。


 「しかしその馬鹿な行いのおかげで、部下は全て神魔族の方が、そしてハイドはガウリイ様が
  片付けてしまわれましたので残る1人は、それらを束ねていた、そしてガウリイ様に
  暴言をはいてL様直々クビを言い渡されたジキルだけとなりました」


 ジキル、という名前に曖昧に苦笑していたガウリイは、少しだけ顔をしかめる。









 【貴様などいらない存在だというのに・・・】










 そう言ったのは紛れもないジキルと、それを後ろで笑っていた部下達なのだ。


 「L様の下部下なので・・・そうですねぇ・・・正確に言うと、ルビーアイと同じ位か、
  そのちょっと上くらいの強さなんです。ガウリイ様はともかく、今のお2人では
  勝ち目はありません。なので、私が力を与えさせていただきますね?」


 ようやく意味を飲み込めたルナとゼロスは、リウの確認の言葉に素直に頷いた。

 リウはにっこりと笑うと、虚空から淡い緑色の錫状を取り出して2人に向けた。

 一瞬だけ白い光が部屋を包んだかと思うと、後は魔力が大きく膨れ上がっただけの

 何も変わりない2人と、ガウリイとリウが部屋の中に佇んでいた。









 「ガウリイ様」








 「何だ?」








 「襲撃は多分明日になると思いますので、私も加勢いたしますね」








 「・・・あぁ、頼む」













―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


梓:しりきれトンボばんざーい。
G:(チャキッ!)
梓:ぎゃっ!!そこでブラスト・ソードを構えないで下さい!!!
  多分・・・多分10話・・・ちょっとで終わります!!
  ・・・多分。