◆−姫、興味持つ・その1−ユキ (2004/5/5 22:22:00) No.29984
 ┗姫、興味持つ・その2−ユキ (2004/5/9 19:09:13) No.30004


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29984姫、興味持つ・その1ユキ 2004/5/5 22:22:00


初めまして。初小説&初投稿なのですが、読んでいただけたら光栄です。
アニメ、原作、自分の想像(妄想?)が入った内容になってます。
私はゼルアメ好き(今回ゼル出ませんが…)で特に姫のかわゆさにはメロメロです。幼い頃のトラウマを抱える姫とそんな姫の運命?を変える(と勝手に考えている)リナとの出会いを書いていけたらと思ってます。

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   誰かが離れていくことも、誰かを失うことももう嫌なんです…
   そんな思いはもうしたくないんです…
   だったら初めから一人でいよう…
   そう決めたはずだった…
   でもあなたたちに出会って、心がワクワクしてるんです…
   友達になれたら、一緒にいけたら…
   私は変われるでしょうか…

       《姫、興味持つ・その1》

 聖王都セイルーン。いわずと知れた白魔法の栄えた大国。その大国を一望することができる山の上には二つの人影が。
「なんか、すごいことになってるね。」
「俺も久々見たぞ、大量のゴーストって。」
「結界がうまく作動してないとか?んー…フィルさんのことだから無事でない訳がないと思うんだけど。この状況を見てみぬ振りはできないからなぁ。いや、待てよ。うまくいけば礼金がっぽりいただけるかも…。」
どこから取り出したのか、どこに閉まっていたのだろうか、さっとそろばんを高々に掲げたかと思うと、慣れた手つきで、このくらいならいけるわね♪と計算するのはさすが商売人の娘。
「なぁ、リナぁ。フィルさんって…。」
スパコーン!
「このくらげぇ!前にあったでしょうが!?この国の第一王位継承者、見た目はごっついドワーフのフィルさんよ!どうやったらあの顔を忘れることができるのか教えてもらいたいもんだわ!!」
「そ、それほどでもないぞ(照)」
「ほめとらーん!!」
「俺だってなぁ、覚えてることぐらいあるんだぞ。あれだろ、おうぢさま。」
「いらんことばかり覚えるなぁ!!!」
本日2度目になるスリッパ攻撃のクリティカルヒット。栗色の髪を持つ自称天才美少女魔道師、ドラまたの異名を持つリナ・インバースと金髪長髪・長身・美青年、剣の腕は超一流だがおつむはクラゲのガウリイ・ガブリエフである。たまたまセイルーン領内の食事処におり、セイルーンがすごいことになってるらしいという噂を聞き、フィルさんとはちょっとしたことで知り合いだった訳もあり、素通りすることはできず、まずは現状視察だということでこの場にいるという訳なのである。
「どうする?正面から行くか?」
「んー、そうねぇ…そうしたいのは山々なんだけど、ゴースト類はどうも苦手なのよね。危害を加えている様子もなさそうだから、もうしばらく様子をみるとしましょうか?」
そうだなと自称保護者は頷くと、少女とともに森の中へ入っていった。

「うわぁぁー!!」
「リナ、子どもの悲鳴がするぞ!」
「分かってるわ、行くわよ!!」
悲鳴が聞こえた方に駆けつけると、顔面蒼白で涙を流し、きっと腰が抜けて立てなくなったであろう、身体を振るわせた少年とレッサーデーモンが対峙していた。その状況を確認し、あたしはすぐに呪文の詠唱に入り、
「ファイアーボール!!」
と同時にガウリイが一撃で敵を沈めた。
「大丈夫?怪我はない?」
「あ…だ、大丈夫だよ。ありがとう、お姉ちゃん。」
「ところで坊主。街の中も安全だとはいえないが、ひとりでこんなところをうろうろしてるのもあまり関心できることじゃないぞ?」
「僕ら、ここに隠れてるんだ。父さんも母さんもみんなおかしくなっちゃって。それで…」
落ち着きを取り戻した少年が話し始めると、
「ティムーッ!!」
「あっ、僕を探しにきてくれたんだ。ここだよーっ!」
ティムという少年が手を振る相手。あたしよりも1つ下であろうか、肩で切りそろえられた黒髪、碧色の大きな瞳、色白の肌、白の巫女装束をまとった少女があらわれた。彼女は一瞬険しい表情をしたが、すぐににっこりと微笑み、
「勝手に出歩いてはいけないと言ったでしょう?みんな心配していますよ。」
「ごめんなさい。あのお姉ちゃん達に助けてもらったんだ。」
「そうなんですか?助けていただいてありがとうございます。旅のお方ですか?見ての通り、今のセイルーンはこのような状況です。どうにかしなければいけないんですけど…」
「いえ、そんな。できたら詳しく状況を教えてもらいたいんです。実はフィル皇子とはちょっとした知り合いなので、できれば力になりたいと思ってるんです。」
「フィル皇子と?…分かりました。立ち話もなんですから場所を移しましょう。そうそう、申し送れましたが私はアメリアといいます。」
「あたしはリナ、リナ・インバースよ。こっちがガウリイ・ガブリエフ。」
ガウリイは、軽く片手を挙げる。
「あなたが…」
「何か言いました?」
「いいえ。こちらです、行きましょうか。」
アメリアさんはさっきよりもニッコリと微笑むと森の中へ歩き始めた。

             つづく。

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こんな感じで続けていこうと思います。
ではでは、失礼しました♪




















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30004姫、興味持つ・その2ユキ 2004/5/9 19:09:13
記事番号29984へのコメント


続きを書いていきます。

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          《姫、興味持つ・その2》

「ふぅーん、結界の魔力の減弱化ねぇ…」
アメリアさんに連れてこられた場所は森の中の小さな白い家。
驚いたのはその家にはティムという少年含め7人もの子どもたちがいたこと。
何でも街が大量のゴーストで埋め尽くされる前に逃げ出したとか。
今はガウリイという遊び道具(笑)と戯れている。
というよりももみくちゃにされている。
かくいうあたしはアメリアさんが入れてくれた紅茶をすすりながら現状確認。
しかし、おいしいわ、この紅茶♪

「ゴーストたちも特に悪さをするという訳ではないのですが、やっかいなのは取り付いてしまうことなんですよ。取り付き方にちょっと問題が…。」
と目線が遠くなるアメリアさん。
いったい取り付かれるとどんなことになるのだろうか?
「それで、お城の白魔道士の方々が取り付かれてしまって結界を張りなおすどころではないみたいなんですよね。」
「宮廷魔道士もたいしたことないのね。」
「不運に不運が重なったというところですね。」
「そっかぁ、じゃあ結界の再強化が必要ね。でもなぁ、あたしそれほど白魔法が得意じゃないのよね。」
「でしたら私にお手伝いをさせてください!一応巫女ですので白魔法は得意中の得意ですから!!」
そう言いながらアメリアさんはガッチリとあたしの腕を握りしめた。
この娘、見かけによらず馬鹿力!?
なんか目も輝いちゃってるし!?
「あ、アメリアさん?ちょっと落ち着いて!?」
「さんはいりませんから♪」
「…じゃあ、アメリア。仮にも巫女であるあなたなら何かしらの行動を起こすことができたんじゃないの?何も出来ない訳ではないでしょう?」
それは…その…今まで使えない日でして…今日やっと魔力が戻ったというか…」
ボシュッと赤くなるアメリア。
そっかと頷き、つられて赤くなる私。
「なんだぁ、二人とも。顔が赤いぞ?暑いのか?」
「じゃかましいぃぃ!脳みそクラゲ男ぉぉ!!」
スパコーン!!!
本日3度目のスリッパ攻撃にのびるガウリイ。
後ズサルアメリア。
そんな二人を尻目に…
「おしっ、明日決行!正面突破決定!!」
高らかに拳を突き上げるあたしがひとり。
おおぃ、誰かついてこぉい(涙)

次の日、あたしたちはセイルーン国正面の入り口に立っていた。
「あの子達、あのまま置いてきちゃって良かったの?」
「はい、連れてきても危ないですし、家の周りに結界も張りましたから大丈夫です。私が戻るまで家から出ないようにときつく念を押してきましたから。ところでリナさん。言われるまま来ちゃったんですけど、なにか作戦でも考えてるんですか?昨日あれだけ正面突破がどうとか言ってたのに、そのままご飯食べてすぐ寝ちゃったじゃないですかぁ。」
アメリアは上目遣いであたしの顔を覗き込む。
可愛いわね、この娘。
「無いよ♪」
「そうだろうなぁ。」
とガウリイと高らかに笑ってみせる。
アメリアはやれやれと首を振るが、いきなり片手をビシッと突き上げたかと思うと…
「そうですよね。正義がなせればそれでよし!私たちの正義を愛する強い心がある限り、ゴースト達も恐れをなして逃げていくことでしょう!!いざ、ゆかん!!正義が私たちを待ってます!!」
アメリアってこんなキャラなんだ…
人って分からないわ…
私はコホンと一息つき、
「正義は置いといて、さあ行くわよ!」
『おう!!』
アメリアが置いとかないでくださいよぉと言っていたがとりあえず無視。

王宮の正門までたどり着くのは意外に簡単なことだった。
要はゴーストが取り付いてこないよう、片っ端から魔術をぶっ放すだけ。
ふふっ、すっきりしたわ♪
王宮に入り、まずはフィルさんを見つけないとね。
…しかし、ひっろいお城だわね。
どこから探していいか全く分からないじゃない!?
あたしがうーうー唸っていると…
「リナさーん、こっちですよぉ!」
と、手招きするアメリアの姿を発見。
おお、ナイスと指で合図を送り、ガウリイと共に駆けつける。

あれ?なんでお城の構造にこの娘詳しいんだろう?と頭の中によぎったとき、ある光景を見たせいであたしの思考回路は停止した。
「あとはお願いしますね、リナさん♪」
と言い、立ち去っていくアメリアにも気づくことなく…

あたしの見た光景…
大の大人たちが(フィルさん含む)満面の意味で紙飛行機を飛ばしたり、かくれんぼしていたり…
いわゆる幼児化(心だけ)していた訳で…
「見つけたぞ。」「見つかっちゃったか、てへ♪」なんて可愛らしい会話をしていようが、外見はむさいおっさんである訳で…
思わず寒イボがたってしまったあたしたち。

「りなぁー…」
「みなまで言うな、ガウリイ。このままゆっくりとこの場を離れましょう。」
とお互いに目を合わせ、くるりと回れ右をし、立ち去ろうとしたそのとき…
嫌な目線を感じるあたしたち。
むさいおっさんたちの遊んで遊んで光線付き目つき。
か、可愛くないんですけどぉ…
なんともいえない緊張感…
張り詰めた空気…
動いたらやられる!
しかし、ジリジリと間合いは詰められる…
来る!と感じた瞬間、いっせいに飛び掛ってくるでかい子どもたち!!
まさしく悪夢…
『うっぎゃぁぁーー!!!!!』
あたしとガウリイはいとも簡単に押しつぶされ、死んだばあちゃんの手招きする姿が見え、こんな死に方は恥だわといろいろと思考が飛ぶ中、強い魔力の波動を感じた。
とても暖かく、心地よい。

「おお、リナ殿ではないか。こんなところでいったい何を?」
正気を取り戻した皆様方。
「いいから、どいてくださーい(涙)」

重苦しさからやっと開放され、息を整えるあたしたち。
落ち着きを取り戻してから事の起こりを説明すると、
「そうじゃったのか。また助けられてしまったのぅ。」
と感謝の言葉を述べるフィル皇子と慌しく結界やら街の様子やらを確認しに行く魔道士や騎士たち。
そんな姿を横目で見ながら、きっと子どもたちの亡霊が遊んで欲しくてでてきたんだろうな、とか、取り付くなら人を選べよと心の中でつっこむあたし…
「そうじゃ、せっかくだからわしの娘に会っていってくれんか。」
「フィルさん、娘がいるのかぁ。」
「おるとも。わしに似てとても可愛い娘じゃ。今呼ぶからのぅ。あ…」
「い、いえいえいえ!実は先を急がなくてはいけないのです!あぁ、とても残念です!あぁ、もうこんな時間!行くわよガウリイ!レイ・ウィング!!」
「首を掴むな、く、くるひぃ…」
一目散で飛び去る二人を「せっかちじゃのぅ。」とつぶやき見上げるフィルさん。

更にその上の窓からその光景を眺めるピンクのドレスをまとった姫様が一人…
「リナ・インバースかぁ…面白い人たち。あの人たちと友達になれたら楽しいだろうなぁ。」
ほんとにそう思ったんですよ。
一緒にいるだけで心がすごくワクワクしたんです。
こんな気持ちを持ったのは初めてなんです。
あなたたちのことがもっと知りたいと思ったんです。
母さん…あの人たちは私を受け入れてくれるでしょうか。

「うん、決めました。決めちゃいました。」
ついて行こう、彼女たちに!!
私はんふふと笑い、ドレスの裾をバサバサと翻し、駆けていく相手は私の父親。
「おお、アメリア。今、お前に紹介しようと…」
父さんの言葉を遮り、私は何年振りかの笑顔で決意を伝えました。
「父さん、お願いがあるんです!」

            おわり。


その後の彼女たち…
「なぁ、リナ。なんであんなに急いで飛び去る必要があったんだ?」
「想像してみなさい。フィルさんそっくりの娘よ。ただでさえあんな光景を見て精神がズタボロなのに、立て続けにフィルさんの娘を見ちゃった日はもう、立ち直れないわね!!」
キッパリと言い切るが、想像してしまい思わず青くなるリナ。
「納得。ところでリナ…なんか忘れてる気がするんだが?」
「へっ、なんか忘れたっけ?だいたいガウリイが覚えてるぐらいだからたいしたことじゃないでしょ。ああ、おなか空いた。今日は何を食べようかな♪」
「そうだな。今日は肉がいいんじゃないか?」
お気楽な二人旅はもう少しの間続く。
王宮で見た光景のせいで軽く記憶が飛んでおり、アメリアのことをすっかり忘れてしまっているリナなのであった。

アメリアが彼女たちと合流するのはもう少し先のお話…


※※※※※※※※※※※※
ほとんどリナ視点になってしまいました。
今度はアメリア視点から書けたらいいなと思います。
ではでは失礼しました☆