◆−スレイヤーズ!SideZ 一−リアリ (2004/5/13 02:37:38) No.30012
 ┗スレイヤーズ!SideZ 二−リアリ (2004/5/18 22:38:52) No.30042


トップに戻る
30012スレイヤーズ!SideZ 一リアリ 2004/5/13 02:37:38


はじめに

主人公はゼルガディスです。概ゼルガディスの一人称で進めます。

オリキャラが登場します。時期はスレイヤーズ本編1冊目です。

オリキャラの設定は本編第2部突入以前に考えたものです。

(原作とつじつまの合わなくなっている箇所があります。)

++++++++++++++++++++++++++++++++++


一、一見平穏だった日々の終焉




       赤い闇
               奴はこう言った。

 「力がほしいか」 
           と。

                      そして・・・・・・・











それは予想外の出来事だった。

誰が考ええただろう。例の物を見つけたとの報告を受けたその数日後、それが

ただ一人の少女の手によって持ち去られるとは・・・・・・。



深夜。

俺は一人グラスを手に月を見ていた。

三日月が雲に隠れそうになりながら鈍い光を放っていた。

・・・・・・あの時もこんな月だった。

こんな夜は、いまだに眠れない・・・否。眠りたくなかった。

-------あの夢を見たくない。--------

残っていたグラスを干し、新たに琥珀色の液体を注ぐ。

溶けかけた氷がかすかな音をたてる。



まるで、あの時から俺の中の時間が動いていないような錯覚におちいることが

ある。石でできた俺の体、二十歳前後の外見。変わることのない(成長するは

ずもない)姿。今はまだいい。だが、10年、20年たったその時もこの姿の

ままなのか。俺だけが取り残されるのか。おいていかれるのか。



「失礼します。」

「ロディマス・・・・・・」

その声に俺は物思いから引き戻された。

「お邪魔でしたか?」

「いや。何か用か?」

「特には。ただ明かりが見えましたので。」

「ああ。寝付けなくてな。」

そう言いつつ、新たにグラスをひとつ取り出す。



鈍い光を受け琥珀の液体の揺らぎが時節金色に見える。

左手に持ったグラスをくゆらせつつ、窓の外の月を仰ぐ。

脳裏に浮かぶのは、太陽の光を浴びると金色がかって見えた栗皮色の髪。

褪せることのない記憶の中の笑顔。当たり前のように側にあったぬくもり。




俺はグラスを傾け、そこでロディマスの存在を思い出した。

奴は壁にもたれ黙したままグラスを傾けていた。

俺が目を向けているのに気づいたのか一度こちらへ視線を流し、再びグラスを

傾けた。

そういう男だ。余計な詮索はしない。

だが、だからか何を何から話してよいのか。いや、おそらく何も話さずともロ

ディマスはこのまま酒に付き合ってくれるのだろう。そう思いつつ、グラスを

傾け奴のグラスが空になっていることに気づいた。

「もう飲まないのか?」

俺がそう聞くとロディマスは意外に器用に片眉を上げて見せた。俺が話の糸口

を探していたことも、沈黙に耐えられなくなった事もおそらく奴は気づいてい

たのだろう。しかしそのきっかけを奴の方から作る気はないのだろうな。そう

思いつつ、沈黙は肯定と決め付け新たにグラスに液体を注いだ。



「夕刻の連絡ではなんと?」

不意にロディマスがそう俺に話を振ってきた。考えていたことが顔に出ていた

のだろうか。岩でできた俺の顔は表情を読み取りにくいはずなのだが、なぜか

奴には分かるらしい。

奴とゾルフと。長い間近くにいるからだろうか。いや、ディルギアは俺の感情

の変化に鈍いな。こちらがいらだっている時にかぎってくだらない話を自慢げ

に続けたりする。実質的な時間や距離だけが理由ではないのだろう。

しかし、それほど話しかけてほしそうなガキ染みた真似でもしてたのだろうか

俺は?

それにしてもわざと、見当はずれの話題を振ってくるあたりがなんとも・・・



夕刻の連絡とはゾルフからの報告のことだ。

ゾルフは部下の一人で、とある物の探索のため野盗たちの中に潜り込んでい

る。

定期連絡の期日を待たず送られてきた知らせ。

ロディマスも聞かずとも検討はつけているのだろう。問いかけておきなから、

こちらを見てはいない。

いや、問いそのものが話の糸口でしかないのだから、問いに対する答えはどう

でもいいのかもしれないのだが。なんとなくそんなことが気になった。

俺はガキだな。肉体以前に精神が。

まるで大人と子供だと思い(実際それくらいの年の差はあると思うのだが)知

らず、苦笑が浮かんだ。が、それを別種の哂いに切り替え告げる。

「見つけたそうだ」

問いの意味を知りつつ互いに答えの知れた会話を続けていることに苦笑に戻り

そうになる。

「数日中には奪取してこち・・・」

「らへ帰還する」と続けようとしたところで平穏な時間は終わりを告げたらし

い。

通信用の水晶玉からは爆音と悲鳴が響いていた。





そして、この時が
     
      まがりなりにも一見平穏だった日々の終焉となる。


  彼の中の 
       止まっていた時が動き出す。


  肉体の成長の停止とともに精神の殻に閉じ込められてしまった
                       
                         
             心。


    乱暴なまでに強引に
                   殻を粉砕してくれるだろう


              彼女たちとの出会いはもうすぐそこに。




+++++++++++++++++++++++++++++++++++
ここまで読んでくださった方ありがとうございます。

ゼルガディスの一人称いかがだったでしょうか?なんとなく不自然な箇所があ

るようにも自分でも思うのですが。最後の部分に関してはゼルではなく、オリ

キャラの視点からとなります。

そのオリキャラに関して少し補足させていただきます。

髪の色は、栗皮と書きましたが、栗の殻の内側にある薄い皮のことです。

あれに近い色です。わたしの中のイメージは、原作リナの栗色の髪と

アニメの、ゼルガディスとレゾにトーンは違えども共通する色味である紫

この二つを合わせたような紫がかった茶色の髪で光の加減で金色にも

見えるという(ややこしい;)のを想定しています。

というわけでこの女性、ゼルガディスとレゾの血縁者です。

そして、リナを見てゼルが彼女のことをダブらせるように思い出して・・・

というような展開を考えています。

名前、その他は今後(つづけられるのかな?)話に出てきてからということで

今の段階では秘密です。

では、長々とありがとうございました。

トップに戻る
30042スレイヤーズ!SideZ 二リアリ 2004/5/18 22:38:52
記事番号30012へのコメント
二、ストーカー活動開始?


 
くだんの事件から数日後、俺たちは森の中の一本道を樹の上に隠れ見下ろしていた。

客観的にみて、かなり間抜けな図だろう。男二人が、狭い樹の上に隠れているのだから。

少し先、道の両側に茂みが迫ったあたりに複数の殺気がただよっている。



そこへ向かって歩いてくる女が一人。女というより小娘だが。

服装から云って魔道士。黒魔術系。動きやすそうな服の作りは攻撃系の術を得意としているだろうと思わせる。

同じ黒魔術系でも研究や呪術を得手とするものなら、ずるずるしたローブのような服装となるだろう。

その女魔道士は少し手前、道の両側に余裕のある所で足を止めた。



「やはりな。」

「あの殺気で気づかぬわけもないでしょう。」

「気づかずやられる程度の相手のほうがこちらとしては楽だがな。」

「ですが、それならゾルフがあのような不覚をとることもありますまい。」

「そのとおりだ。」

「しかし、それにしても・・・・・・」

「・・・・・・分かっている何も言うな」

こんなこそこそしたまね俺だって好きでやってるわけじゃない。



この策、発案はディルギアだが、採用したのは俺だ。いまさら文句を言ったところで始まらん。

ロディマスもそれは分かっているはずだが、さりとて不満が消えるわけでもないだろう。

そもそも、言い出した本人であるあいつに、やらせられれば良かったのだが。

まともに、役に立つだけの観察・洞察能力があるとは思えん。

と、なれば誰かが組んで動かねばならなくなるが・・・・・・

はっきり言って、俺はあいつを信用していない。能力だけでなく性格も。

当然、あれと二人で行動するなど願い下げだ。ロディマスとてディルギアを好いてはいないだろう。

己の気が向かないことを押し付ける気はない。結果、俺とロディマスの二人でとなったわけだ。



生き残りの盗賊どもの焚き付けと情報を流す役は本人にやらせたわけだが。

あの程度の連中ならさすがに奴でも十分だったらしい。



目的物である神像の材料である、オリハルコンの特性を利用し魔道的に探索。そのありかを盗賊たちに

教え襲わせて様子を見ようというわけである。

まあ、アジトがやられた時のことから考えて倒せるとは思わんが、実力を測る役くらいには立つだろう。



「しかし、少し意外でしたな。」

「?」

「女と聞いていたが、あれはどう見ても子供でしょう。」

「子供だが、女には違いあるまい。」

「まあ、そりゃぁ違いないでしょうが・・・」

と、苦笑をもらすロディマス。

「何がおかしい。」

「いえ、俺くらいの年からすりゃ、男だの女だの言う以前にただのガキですよ。」



「俺にとっては違うとでも?」

「まあ、意識するしないは別としてそういう対象になりうる年の差でしょう。」

「ふむ。そういうものか。」

「御従姉妹殿の方が魅力的だとは思いますが。」

「な!//////」

「以前一度赤法師殿のところでお会いしましたよ。そういえば、あんなふうな髪の色でしたな。」

「似てなどいない!」

「そうむきになることでもないでしょう。茶色の髪はそうめずらしいものではありませんよ。」

「うぅ・・・・・・」

あー、くそ。こいつにこの手のことでからかわれるとは思わなかった。

よほど、今の状況が不満らしい。



などとやっているうちに、なにやら傭兵風の男が一人現れていた。



そして・・・・・・。




「結局、収穫はなしか。」

「そうでもないでしょう。あの男かなりの使い手だ。敵に回すと厄介ですが、一度手合わせ願いたいですな。」

「それは、俺もやってみたいと思うが・・・・・・問題の女の方、いやガキのほうか。わざとらしくキャーキャー逃げ

 回ってただけじゃないか。」

「確かに。目的の上からいくと収穫なしですか。」

「そういうことだ。」



「帰りますか。」

「ああ、これ以上ここにいても意味がない。」

「ゾルフの奴、少しは回復してますかな。」

「さて、かなりきつめの鎮痛剤を飲んでいたはずだ。意識を集中させる余裕さえあれば自力でリカバリーを
 
 かけられるだろう。」



本来、強すぎる薬はあまり良い物ではない。副作用を伴うからだ。俺も白魔術を習っておけばよかったな。

レゾへの反発心から白魔術に手を出さなかったのは今から思うとくだらぬまねをしたものだ。

今度、リーアに教えてもらうか。リーアことアルメリア俺の従姉妹。もう、ずいぶんあっていない。レゾの

ところにいるのか。

会いたいが、会いたくないな。





                          『出会いはもうすぐではなかったのか』

「のはずだと思ったのだけど。」

                      『とろい奴だ』

「慎重な子なのよ。」

                                                      『ものはいいようだな』


「あら、本来こういう言葉遊びが好きなのはあなた方のほうじゃない?」

              
    『確かに、我らは嘘ではないが全てではないという物言いを信条としておるがな』



「けれど、あの神託。あの子のことよね。」

                                         
                        『おそらくは、そうであろぅ』



「早く会えば良いのに。きっと、ゼーディ・・・・・・ゼルガディスにとっていいきっかけになる。」



                                                  

                             『それはそうかも知れぬが、あちらはどうするのだ』




「どうにもできないでしょう。」

   





                          『我にとっても、おぬしにとってもか』















「そうね・・・・・・少しでも先のことなら良いのに。」

                             『問題の先送りはなんの解決にもならぬぞ』

 



「ええ、わかってる。けれど・・・・・・」









                                                 『だからこそ、人間といったところか・・・・・・』











「アリアどうしたのです。先ほどから何か独り言をいっていたようですが。」

「レゾ小父様。いつから聞いてたの?」

「聞いてたというほどには聞こえていませんよ。」

「ゼルガディスのこと考えてたのよ。」

「あなたは本当にあの子のことが好きですね。」

「もちろん。大好きよ。かわいいもんv」

「もんvってそういう言葉遣いは感心しませんよ。」

「はーい。」










                             運命の歯車が
                                                         

                                                   加速する



                                       崩壊へと
                           
                                   



                                                                向かって













+++++++++++++++++++++++++++++++++++
ここまで読んでくださった方ありがとうございました。

オリキャラの名前が作中に登場しましたが、愛称など分かりづらいかもしれませんので、

改めて、紹介します。

アルメリア=グレイワーズ  ♀   魔術師 白魔術を中心にレゾ同様
                      
                      精霊魔術黒魔術ともに使えます。

彼女のことをゼルガディスはリーア、レゾはアリアと呼ぶことが多いです。

そして、アルメリアのほうはゼルガディスをゼディ、ゼーディ。レゾのことは小父と呼びます。

とりあえずこんなところでしょうか?

って、こんなの読んでくださってる方誰かいるんでしょうか?