◆−伝説のおっとりさん(リメイク版)−神高 紅 (2004/5/13 19:46:33) No.30014


トップに戻る
30014伝説のおっとりさん(リメイク版)神高 紅 2004/5/13 19:46:33


どもーこんばんは。神高紅でーす。
コ(コウだ)
こ(こうです・・)
今回はめちゃくちゃに久しぶりなスレSP編です。
こ(あの・・リメイク版ってなんですか・・?)
それはこの話は僕が初めてここで書いた話をちょっと変えたものだからです。前の奴は過去ログや著者別とかで見れると思います。
コ(ようは手抜きか?)
ち、違いますよ!この前見てみて書き直したくなったからですよ!決して珍道中のネタがないとかそーゆーことでは・・・
コ(声に出てるぞ)
くっ・・・誘導尋問か・・・
コ(なんつーか・・・もういいや・・・じゃあとっとと始めるか)

<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<


伝説のおっとりさん(リメイク版)


ある日の晴れた昼下がりそこは山あいに近いごく普通のカフェテラス。
小鳥のさえずり。近くの川から聞こえる水のせせらぎ。
「ほんとの贅沢ってこーゆーことを言うのよね」
名物のきのこと鶏の料理フルコースを食べ終え食後のデザートを食べながら珍しくあたしは感傷に浸っていた。
んっ?誰よ今、似合わないとか言ったのは。
――へっ――?
その時。あたしは突然背後に・・・いいしれない違和感を感じた。
それは殺気とも怒気とも取れない感覚。あたしは慌てて後ろを振り向いた。
「わぁーびっくりしましたぁー!?」
はい?
その声の調子にあたしは思わず脱力する。
あたしの背後に立っていたのは青い髪を三つ編みにしたかなり美人な女性。
んーみゅ?確かに違和感あったんだけどなあ?この人はいたって普通の人っぽいし・・・
まあとりあえず気を取り直して、
「あの、どちらさまですか?」
「ああーすいませんー自己紹介が遅れましたぁー。私の名前はぁフルート=ルーンと言いますぅー」
「それでフルートさん。あたしになにか用でも?」
「あらぁーやっぱりーわかっちゃいますかー?」
やったら間延びした口調で答えるフルートさん。うあーなんか疲れるタイプだなこりゃ・・・
「お察しの通りー私はーあなたにー頼みたい事がぁあるんですぅー」
「は、はあ・・・立ち話もなんですしとりあえず座ってください」
と言ってあたしは横のいすを指差す。
なんかこの人の言うこと断れないなあ・・・
「はいー実はですねぇー・・・・・・
・・・長い・・・その話はあまりにも長かった・・・とにかく要点だけ抜き出すと
彼女の息子が歩いて何日かの魔道師協会から帰ってくるのだが自分は大事な仕事が
あっていけない。よって彼女の代わりにその息子を迎えに行って欲しい、と言う物なのだが・・・とにかく話すのがゆっくり過ぎる聞いてて眠っちゃいそうになったぞほんとに・・・
「そ、それで肝心の報酬の方は?」
眠くなったまぶたを擦りつつおもむろに尋ねてみると、彼女はぽんと手を打ち、
「言い忘れてぇーましたぁー」
まだなんかあるのかおい!
「実はー帰り道の途中にぃーある盗賊団のぉアジトがあるんですけどぉ」
なんか嫌な予感・・・
「とりあえずーそこを息子と一緒に潰して来てくださいー」
「へっ?今なんて?」
「ですからぁその盗賊団を息子と一緒に潰して来てくださいー。一応ー息子の修行もぉかねてますんでー」
いやいやいやいやなんかとんでもない事をさらりと言ったぞこの人。
もしかしてかなりのスパルタママですか?
「息子の事はー心配しなくてもいいですよぉかなり鍛えてますんでー。それとあなたの報酬ですがぁその盗賊団のーお宝好きなだけ奪ってもいいですからー」
えっとぉ・・・要するに報酬は盗賊団ぶちのめして勝手に持ってけと。
この人・・・おっとりに見えてかなりいい性格をしているようである。
「でもそれじゃあいくらなんで・・・」
「お願いしますぅー」
「・・・はい」
思わず・・・あたしはうなずいてしまっていた。
怖い・・・なんか笑顔だけどこの人とてつもなく怖い・・・
なんかこの感覚前に2回ほど経験したことあるような・・・1回目はくにの姉ちゃ
んそんでもって2回目はこの前あったカーシャさん・・・いや怖くなるから止めようこの考えは・・・

それから2日。あたしは拍子抜けする位順調に目的の魔道師協会のある町エンサドルシティに着いていた。
いやまあ途中で襲ってきた夜盗の群れをはち倒した位はあったけど。

「あなたがエリサローネ君?」
色白で美少年の部類に入るだろう整った顔と青髪のショート。年は10位だろうかなかなかに可愛らしい少年である。
「そうだけど?お姉ちゃんは誰なの?」
「あたしはリナよ。リナ=インバース。あなたのお母さんに頼まれてあなたを迎えに来たのよ」
「ええええ!?リナってまさかあのリナ=インバース!?」
その発言には多少カチンと来るものはあったのだがとにかくフルートさんから貰っていた手紙をその子に渡した。
あたしってば大人v
その手紙を読んでいたエリサローネだったが唐突に顔色が変わり、
「ええっと・・・つまりこの後盗賊退治をしなくちゃならないってこと?」
「ええそうよ。あたしの報酬もそこからだし」
「なら早く行きましょう。ええ行きましょう。知ってると思いますが自己紹介をしますと僕の名前はエリサローネ=ルーンです。エリスと呼んでください」
なぜかやたら早口でまくし立てて来るエリス。
「その手紙・・・なんて書いてあったの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
いやそんなこの世の終わりみたいな感じで黙られても・・・実際何が書いてあったんだ?
そんなあたしの心の中の葛藤を無視しつつやってきたのはその盗賊団のアジト。
「ここがねえ」
見ればなかなか大きいし建物も立派だったりする。
「そうです。ここがやつらダークファングのアジトです」
あたしのはんば独り言の呟きに答えるエリス。
しっかしなんで盗賊ってのはダークなんちゃらだとかの名前を好むのか今度それに
ついての講義でも開いてみたいもんである(嘘だけど)
まあそれは置いといてアジトの前には見張り役だろう男が何人かいる。
これがあたしの報酬やエリスの修行をかねてなきゃあっという間に事は済むのだが・・・
「火炎球!」
ちゅどぼーん!!
おおー見張り役が焦げている。一応言っておくが今の呪文を放ったのはあたしではない。
なんとあたしの隣にいたエリスである。
そして事もなげに、
「先手必勝!殺られる前に殺れ!が家の家訓なんです」
をいをい・・・しかしこれはかなり将来が楽しみな子である。
「まあいいわ。じゃあさっそく突撃開始よ!」

「ここが1番奥の部屋ですね」
「ええたぶんボスもいるわね」
あの後2人でアジトに突入してからここまで破竹の勢いで進んできたのだが、よも
やエリスがここまで強いとはフルートさんの言う通りかなり鍛えられているようである。
「さて突入と行・・・」
「おーっほっほっほっほっほっほっほっほっほ!」
なななな・・・ま、ましゃかこの高笑いは・・・あたしは知っていたこの脳の奥ま
で鳴り響き人の精神・・・いや・・・魔族ですら滅ぼしかねないこの高笑いを。そしてその高笑いの主を!
いやってゆーかこんなやつ後にも先にもあいつしかいない!!
あたしはドアを蹴破っていた。そして、
「なにやってんだぁぁぁぁぁ!!!おまえはぁぁぁぁぁ!!」
盗賊たちの親分と思われる横にいる悪の魔道師ルックが光る。年中真夏。歩く災害。
対魔族用最終兵器。自称あたしの最大最強最後のライバル白蛇のナーガに向かって盛大な突込みをあげていた。
「ふふっ愚問ね」
指を顔の前でちっちっちと振ると、
「路銀が尽きてここで盗み食いしたはいいけど見つかって金貨20枚で用心棒をやらされてるに決まってるじゃない」
「なにがどう決まってるのよ!なにが!」
くっこいつだけは・・・
「あの・・・リナさん・・・知り合いですか?」
「ただの腐れ縁よ!」
そこでようやく親分風な男が、
「なにがどうなっているのかは知らんが・・・とにかく俺の部下たちを可愛がってくれたみたいだなおまえたち。野郎ども!かかれ!」
その合図と共に後に控えていた盗賊たちが一斉に飛び掛ってくる。
「あまい!魔風!」
エリスは魔風を放ち盗賊たちの足を止め即座に間合いを詰める。そして、
「ぐあああ」
いつの間にか抜いていた剣が虚空にきらめく。
「おおっお見事!」
あたしは感心の声をあげる。
これは単純に剣の腕だけならあたしよりも上かもしれない。恐るべしエリス!
さーてあたしはっと・・・あれナーガがいない・・・
「眠り!」
――なっ――!
ナーガの声はまったく予期せぬところからあがる。
すなわちエリスの背後。しまった油断していた!
その呪によってエリスはその場にこてんと倒れこむ。
「甘い!甘いわねリナ!私の動きに気が付かないなんてね!」
くっ・・・まさか
「まさかナーガがそんな頭を使った戦法を立てるなんて・・・」
まったく予期できなかった事態である。
「それって馬鹿にしてるのリナちゃん・・・」
「なに言ってるのよ。最大級の賛辞じゃない」
しかし状況はかなりやばめである。
その時あたしは背中にひやんとした感覚を感じた。
「あのぉーリナさーんー」
まさかこの声は・・・
「フルートさん!どうしてここに!」
「やっぱりー心配でちょっと様子を見にぃ」
だったら最初っからこんな事させるなよ・・・
「リナ誰よ!このおっとりした人は!」
などと言うナーガの質問に答える前に、
「エリスーあれほどぉ油断はー駄目って言ったのにーしょうがない子ねぇー」
えっ?いつの間にエリスのそばに?い、今まったく動きが見えなかったんですけど・・・
そしていつの間にかその細腕にはどこから取り出したのかバスターソードが握られていた。
「ではぁー行きますよぉー」
「えっ?はい?」
思わず盗賊はうなずいてしまっていた。次の瞬間。












フルートさんの殺気は凄まじい勢いで開放された。











つらい・・・正直同じ部屋にいるだけでも気絶しかねないほどの凄まじい威圧感。
剣は空を駆けている・・・のだろう。盗賊たちも瞬時に切り伏せられているから。
はっきり言って剣は・・・いや・・・フルートさんがどう動いているかすらあたし
の目では追いつくことが出来なかった。
辛うじてわかるのはフルートさんが盗賊を切り伏せた後に音が聞こえるという事。
すなわち、彼女は音速を超えている。そんな馬鹿な・・・
その時ナーガの方から聞こえてくる呪文の声。これはまさか!
「さてー次はあなたですねぇー」
ほとんどの盗賊を切り倒しフルートさんがナーガの方を見やった瞬間。
「まずい!逃げてフルートさん!」
「霊王崩爆旋!」
・・・やっぱ残りの盗賊吹っ飛ばしたか。
しかしフルートさんにも魔力の波が襲い掛かる!
これはやばい!あたしと気絶しているエリスは離れているからともかくいくらフルートさんといえどあれは避けられない!
「あらまあー」
いくらなんでも剣であれをどうにかするのは不可能!しかし何を思ったかフルートさんはその場に立ち止まり剣を鞘に収める。一体何を!?
ばきぃぃぃん!
『なっ・・・・・・』
あたしとナーガの声は完全に重なっていた。
なんとフルートさんは切ったのだ。魔力の波を。ただの魔力のこもらない剣で・・・
人間の持つ気の力さえ使えばただの棒切れですら魔族にダメージを与えられると言うが・・・
そして即座にナーガに向かい間合いを詰める。
めごきゃ!
「あっいたそー・・・」
フルートさんの剣の柄はナーガの顔にめり込んでいた。

そして今現在あたしは次の町への街道を歩いている。
これはあの後知った事なのだが・・・フルートさんは昔『音速の死神』とまで称された賞金稼ぎだったらしいのだ。
そして最初言っていた用事とは悪さをするドラゴンの群れの退治らしい事といつかエリスを自分すら超える賞金稼ぎにしようとしているらしい・・・
そしてなにより今回の報酬はナーガがあんな呪文を使ったせいで全て消し飛んでしまったという事。
フルートさんに文句も言えず結局今回はただ働き・・・
春風が・・・やたら寂しく感じる今日この頃だった・・・


終わり


<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<

あとがき

長々をお付き合いいただきありがとうございました。
どうでしたか皆様おもしろかったでしょうか?
コ(つまらないに千円)
こ(私も・・)
うるさいやい!とにかく伝説のおっとりさん(リメイク版)もしなにか感想がございましたらレス下さい。
コ(苦情もおっけいだ)
前回のと見直してみるのもいいかもしれません。
コ(じゃあまたな)
こ(ばいばい・・)
ではまたさよーなら。