◆−突発的すとーりー・01・ゾアナ王国にて。act,1−鮎 (2004/6/5 19:11:10) No.30142 ┣01・ゾアナ王国にて。act,2−鮎 (2004/6/5 20:43:09) No.30144 ┃┗01・ゾアナ王国にて。act,3−鮎 (2004/6/5 21:04:17) No.30145 ┣突発的すとーりー・01・ゾアナ王国にて。act,4−鮎 (2004/6/6 15:29:56) No.30153 ┣突発的すとーりー・01・ゾアナ王国にて。act,5−鮎 (2004/6/6 15:40:04) No.30154 ┗突発的すとーりー・01・ゾアナ王国にて。act,6−鮎 (2004/6/6 15:49:45) No.30155
30142 | 突発的すとーりー・01・ゾアナ王国にて。act,1 | 鮎 | 2004/6/5 19:11:10 |
はじめましてといいます。うん。 鮎と申します。以前・・・といっても、何年も前に、別の名前で投稿をしてました。 が、いろいろいろいろ雑事が重なり、投稿ストップ状態でした。 思いつきですが、こんなの打ってみました。 ・・・・これだけじゃ、何が何だか判らないですけど(笑) アニメのネクストに沿っているお話です・・・・が。 オリジナルさんがほぼメインの視点という、とんでもない小説です。 心の広い方、気長に待てる方、お暇な方は、気が向いたら読んでください。 それでは、まいります。 ############### 軽やかなリズムに乗って、乙女達が揃って踊りだす。 パレードが通りを練り歩き、その両脇では様々な露店が立ち並び、あちらこちらで芸人が技を披露する。 その一角。人通りが他に比べ少ないその場所で。 彼女は、静かに音色を響かせていた。 膝の上で竪琴を抱え、弦を爪弾き、透明な音を辺りに届ける。 といっても、中心から外れていて、尚且つ奥まったこの場所に来る人は少なく。 偶然耳に出来た、少数の人々がじっと演奏に聞き入っている。 「――果て無き、旅路、此処から、永久に――」 最後の一文を謳い上げ、吟遊詩人は手を止める。 自分のお客に一礼すると、照れたように笑った。 「つたない芸を聞いて頂き、ありがとうございました」 客の一人が、驚いた様に言い返す。 「いやいや、久しぶりにいいもん聞かせてもらったぜ、譲ちゃん」 「そうですか?私、まだまだ修行中なんです」 「すっごく上手だよ!あんた、もっと大きな通りで歌わないのかい?」 傍で果物の露店を出していた女が、そう問いかける。 それに小さく首を振り、 「少なくても、しっかりと聞いてくれる人がいれば、いいんです」 その瞬間、どさり、と目の前に置かれる果物の籠。 「持っていきな」 「え、そんな、こんなに沢山・・・・」 「いいから!あんたの人柄に惚れたんだよ」 「あ・・・・ありがとうございます!」 ぺこり、とお辞儀をすると、籠に手をかけ、 「・・・・あれ?」 その中に、先ほどは無かった金の輝き。 「それは、俺からだ」 正面で聞いていた客が、ぽん、と彼女の頭に手を置く。 「まだ若いのになぁ。うちの娘と同じくらいだ」 頑張れよ、と笑うその人に、 「ありがとうございます」 深々とお辞儀をする。 ふと、客の一人が、尋ねた。 「・・・・にしても、聞いた事の無い唄だなぁ」 「ああ。私の、師匠が創った唄ですから」 言うと彼女は空を見上げた。 「私も、いつか、自分の唄を創りたいんです・・・・」 しゃり、と手の中の果物をかじる。 「おいしい」 にっこりと、幸せそうに笑顔を浮かべ、通りを歩く。 顔を上げると、遠くに立派な城が見えた。 「マルチナちゃん、元気かなぁ」 自分がまだ小さい頃に、城で出会った女の子。 『ぞあめるぐすたーさまは、すごいのよ!』 元気いっぱいに笑っていた姿を思い出し、目を細める。 「うーん・・・・会いに行こうかなぁ?」 どうしようかなぁ?と足を止め、考えたその時。 背後から、大きな爆音が響いた。 ############### はい、さっぱり判りませんよね(笑) 吟遊詩人の方、名前すら出てませんし。 見てくれる人はいるんでしょうか? まあ、とにかく。鮎がお送りしました。 |
30144 | 01・ゾアナ王国にて。act,2 | 鮎 | 2004/6/5 20:43:09 |
記事番号30142へのコメント こんにちは、鮎です。 とりあえずいってみましょう、第二弾。 暇つぶしに、どうぞ。(なるかなぁ?) ############### 「うひゃぁ・・・・」 目の前の光景を見つめ、私は思わず声を上げた。 爆音の元を辿って走ると、大きな銅像の周りに、人だかりができていた。 銅像の名前は判らないが、確か、赤法師とかいった気がする。 「うりゃあっ!」 その声に、再び前を見据える。 視界の真ん中で、叫び声と共に、ごろつきが一人、吹っ飛んだ。 それを吹っ飛ばしたのは、小柄な少女。多分自分と同じ位だろう。 「とりゃぁっ!」 また一人、ごろつきが地面に叩きつけられる。 「な、なかなかやるじゃねえか!?」 一人が、栗色の髪の少女に言い放つ。が、 「逃げ腰じゃあ、迫力無いなぁ・・・・」 ぼそり、と呟いた声は、幸いにも向こうには聞こえなかったらしい。 と、突然、少女が地面に手をつき、 「ヴ=ヴライマ!」 叫んだ瞬間、光がごろつきの方へ向かって走る。 そして、困惑するごろつきの背後で、それは動いた。 「それ行け、偉い人っ!」 銅像は、いともたやすくごろつきを掴み挙げると、しばらく彼らを振り回し、 どささっ。 地面に、無造作に投げ出される。哀れな人達だ。 「痛そうー・・・・」 誰かの呟きに、同感だと、こくこく頷いた。 ぱんぱん、と手の汚れを払いながら、満足そうに魔道士の少女は頷いた。 「ざっとこんなもんよ」 得意げに言うと、視線を人ごみに向け、 「・・・・アメリア!?」 「リナさんっ!」 驚きの声に応える様に、人ごみの中から少女が飛び出してきた。 しっかりとした衣装に身を包んだその姿に、リナと呼ばれた方は、驚いている様である。 飛び出してきた方を見ると、白い馬と、数人の護衛の姿。 その一団に、掲げられた紋章を見つめ、記憶を掘り起こす。 「セイルーン・・・・」 確か、そこの紋章の筈。という事は、これが噂の外交特使だろう。 「あんたも、ゾアナの魔道書を見に来たの?」 その言葉に、私は目を瞬いた。 ゾアナの王家が代々管理している、由緒正しき魔道書。 クレアバイブルに匹敵するとも言われているらしい。 そういえば、今年は限定公開するんだっけ。 「いえ、私は・・・・あ。ええ!そうなんです! 私もゾアナの魔道書を見に来たんです!」 急に明るく声を出して、アメリアと呼ばれていたセイルーンの使者は、馬に飛び乗った。 「じゃ、わたしはこれで!」 「あ、ちょっと!」 魔道士の少女が声をかける暇もなく、風のように・・・・いや、突風のように、少女は走り去った。 後には呆然と、その後姿を見つめる人々の姿があるばかりだった。 鮮やかな逃げっぷりに、なんだかなあ、と思いつつ。 果物の詰まった籠を抱えて、私は通りを進む。 「マルチナちゃんの事だから、人質とか、世界制服とか、狙ってそうだなぁ」 それに、セイルーンからの使者が来たら・・・・ 首を左右に傾け、空を見上げ、地面を見つめ。頭を抱えそうになりつつ、うーん、と唸る。 と、突然、衝撃が体に伝わった。 「わわっ」 「おっと」 ぐらり、と倒れそうになる体を、ぐい、と引っ張られる。 「大丈夫ですか?」 顔を上げると、神官らしき青年が私の腕を掴んでいた。 「あ、ごめんなさい!私、考え事をしていて」 慌てて頭を下げると、朗らかな笑顔で、青年は首を振った。 「いえいえ。気になさらないで下さい」 言うと、私の腕を放す。 「ですが、周りをよく見て歩いた方がいいですよ」 「はい。気をつけますね」 そうだ、と私はその青年に、籠を差し出した。 「お詫びです。貰ってください」 数秒迷う様に首を傾げた神官は、やがて笑顔で果物を一つ、手に取った。 「では、一つだけ」 ありがとうございます、という声に私は首を振り、 「じゃあ、私はこれで」 最後に一つ、お辞儀をすると。ぱたぱたと、城へ向かって駆け出した。 走り去る後姿をなんとなく見つめながら、手の中の果物を鞄にしまう。 そこで、視界の端で、きらり、と光るものがあった。 「おや?」 拾い上げると、古びたチェーンに通された、指輪が一つ。 「落し物ですかねぇ」 のんびりと、彼は呟いた。 ############### まだまだ名前は出てきません(笑) これでいいのか。自分。 |
30145 | 01・ゾアナ王国にて。act,3 | 鮎 | 2004/6/5 21:04:17 |
記事番号30144へのコメント ついでに、もう一ついってみましょう。 ############### 果物を荷物に包み、城への道を辿りつつ。 「・・・・あ」 ふいに思いついて、私は進路を変える。 てくてくと歩いていくと、城の裏口に辿り着いた。 そこを見張る兵士の前をすっと通り過ぎ、暫く行った所で立ち止まる。 「確か、この辺だったような・・・・」 むかし、マルチナちゃんに教えてもらった、城への抜け道。 「私の記憶が確かならば・・・・」 そっと、壁を両手で押す。 壁の一角が、鈍い音と共に、動いた。丁度、人が一人入れる程の隙間があく。 「よっし」 ぐ、と拳を握ると、私は隙間に滑り込んだ。 その少し前に、彼らは城壁を飛び越えた。 「よーっし!行くわよ、ガウリイ」 「ああ!」 それは、私の知らない出来事。出会いの前兆。 数年ぶりの城内は、殆ど変わっていなかった。 ただ、所々に、お面のような、何かの顔を模したような飾りがついていた。 「だれかの趣味?」 不思議な趣味だ、と思いながら、私は廊下を静かに進む。 「・・・・ん?」 何気なく視線を横に向けると、魔道書の安置場所が目に入った。 小さい頃、こっそりその中身を見せてもらったが、さっぱり判らなかった。 じゃあ、今なら、判るかな、とちらっと思う。 「・・・・行ってみようかな」 軽い気持ちで、私はそちらの方に足を向けた。 近づくと、中から物音が聞こえてきた。 続いて、男女の話し声。 「・・・・なあ、いいのか、リナ?」 「いいのよ!こんな所に出てこられたなんて、あたしってば、ラッキー!」 ・・・・泥棒? 首を傾げて、そのやり取りを聞く。 もしかしたら、入るのは危険かもしれないけれど。 「・・・・あれ?今の声」 聞き覚えのある声に、その姿を確かめたくなって。 私は無造作に扉を開けた。 「やばっ!」 開けた瞬間、そんな声が耳に飛び込んだ。 中には、背の高い剣士と、栗色の髪の魔道士。 広場で暴れていた人だ。 私の方を向いて、引きつった笑顔を浮かべ、 「ど、どうも、こんにちはー!」 「こんにちは」 ぺこり、とお辞儀を返すと、少女――リナは、へ?と漏らした。 「なあ、リナ。意外と普通の反応だな」 金髪の男が、ぽりぽりと頭を掻きつつ、少女に言った。 「そ、そうね・・・・」 「・・・・あの」 虚を突かれたような顔の魔道士さんに。 私は、おもむろにその手元めがけて指を突き出し、 「それ、ゾアナの魔道書ですよね?」 「・・・・ぎくっ」 少女の顔に汗が流れた。 それには構わず、私は彼女に近づく。 「もしかして、泥棒しようとしてません?」 「そ、そんな訳・・・・」 「してますね」 「・・・・リナ、観念しろよ」 ぽん、と少女の肩に手を置いて、剣士は言った。 「いいか。自分から罪を自白すれば、今回の悪行も少しは軽く」 「うるさいわね、ガウリイ!」 「ぐほぅっ!」 裏拳が、ガウリイの顔面に食い込む。 その様子に目を瞬き、遠慮がちに声をかける。 「あの、私は別に、捕まえようとは・・・・」 思っていない、と言おうとしたその時。 遠くで低い音が響き、ぐらり、と地面が揺れた。 「わっ」 思いがけない出来事に、私は、すとん、と尻餅をつく。 「行くわよ、ガウリイ!」 「お、おうっ!」 その隙を逃さず、二人は、私を飛び越えて、外に走り去った。 その姿がすっかり見えなくなってから。 「・・・・行っちゃった」 ぱんぱん、と埃を払い、私は立ち上がった。 安置場所を見ると、魔道書は、見事に無くなっている。 「ま、いっか」 ぽつり、と呟くと、外に出て、音のした方を確かめる。 「・・・・謁見の間の方って事は」 ・・・・何かやったな、王様とマルチナちゃん。 セイルーンの使者さんが危ないかもしれない。 「急がなくちゃ」 思うと、すぐに、私は走り出した。 小さい頃の記憶を、必死に掘り起こしながら。 ############### 細かい事は笑って流し読みしてください。 そのほうが、きっと楽しいです。多分。 |
30153 | 突発的すとーりー・01・ゾアナ王国にて。act,4 | 鮎 | 2004/6/6 15:29:56 |
記事番号30142へのコメント こんにちは・・・・鮎です。このページの端の端にひっそりと生息中。 続いていきます。 気が向いたらどうぞ。 ############### 廊下を曲がり、階段を通り、私は謁見の間のへの近道を辿っていた。 と言っても、小さな頃の記憶が頼りなので、『なんとなく右』とか、『とりあえず下』なんて具合で、絶対に道を間違えていると思う。 それでも、足を動かし続ける事、数分。 突然、風が髪を吹き揺らす。 「・・・・あれ?」 開けた視界の先に、隣の塔のてっぺんが見えた。 どうやら、塔の頂上に出てしまったらしい。 「やっぱり、間違えた」 はあ、とため息を零し、きびすを返そうとして、 「私はヒーローがやりたいのにー!」 「・・・・はい?」 妙な叫び声が聞こえ、くるり、と体の向きを反転。 再び隣の塔を見つめると、ちらちらと動く、人影が見えた。 その中に、冠をつけた王様の姿。 その脇に、巻き毛の少女が立っている。 記憶の中よりも、数倍成長したその姿。 「・・・・マルチナちゃん?」 遠くてよく見えないが、それは、確かに彼女だった。 彼女の頭上に、吊るされているのは、使者の少女。 少し離れた所に、白尽くめの人影が見て取れた。 それら全てを見つめて、一言。 「変わってないなぁ、あの親子」 ・・・・どう変わっていないのかは、推して知るべし。 ともかく、あのままじゃいけないよね。 一人頷くと、叫ぼうと口を開いて――― どおんっ! 「わわっ!」 眼下で、大きな爆発が起こった。 ぐらり、と転びそうになり、その場にしゃがみこんで、下を覗く。 そこから、聞き覚えのある甲高い声。 「ディル・ブラント!」 叫びと共に、マルチナ達のいる塔が、半ばから崩れ落ちた。 砕ける塔の音に混じって、怒号と悲鳴が聞こえた気がした。 「・・・・うわ」 揺れが収まり、立ち上がりながら、私は下を見つめた。 手入れの行き届いた庭が、半分以上、土砂と瓦礫の山と化している。 「派手だねー・・・・」 ここまで壊すと、むしろ清々しい気がする。 呆れたを通り越して感心していると、話し声、いや争う声が聞こえてきた。 何だか面白そうなので、聞き耳を立てることにした。 「助けに来たわよ、アメリア!」 片手にガウリイぶら下げて、リナはすとん、と瓦礫の中に着地した。 うしろで、ぐえ、とか聞こえるが、気にしてはいけない。 「だ・・・・誰だ、貴様っ!?」 「・・・・ふっ」 待ってました、と言わんばかりに、マントをばさり、と翻し、 「聞かれて名乗るおこがましいが、誰が呼んだか天才美少女魔道士リナ=インバース!」 高らかに名乗りを上げ。そのマントをつんつん、と引っ張るガウリイ。 「・・・・なあ」 「あー、もうっ!今いい所なんだから邪魔しないでよ!」 「いや・・・・アメリアも、今の爆発で吹っ飛んじまってるぞ」 「へ?」 ガウリイの指差す先には、頭から鐘にすっぽりはまり込んだ、セイルーンのお姫様。 「ちょ、ちょっとアメリア!大丈夫!?」 慌てて鐘の上を叩き割る。と、アメリアはき、とこちらを睨んで、 「大丈夫じゃないですっ!何するんですか、リナさん!」 「ごめんごめん」 ひらひらと手を振り、笑って誤るリナ。 その後ろで、モロス国王は、顔面蒼白で叫んだ。 「リ、リナ=インバースだとぉ!? もしやあの滅びの申し子、生きとし生けるもの全ての天敵、通った後には破壊と殺戮しか残らないという、あのどらまた・・・・」 「うるさーい!」 大声で怒鳴り返すが、事実なのだろう、否定はしなかった。 「あれが、リナ=インバース・・・・」 その様子を見つめながら、私は呟いた。 色々噂は聞いていたけど、あんな女の子だったんだ・・・・ 「でも、人は見かけによらないって言うし」 うんうん、と一人で頷く。と、 「ああ!?それは、ゾアナの魔道書!?」 突然の国王の叫び声に、ひょい、と下に視線を戻せば。 魔道書片手に、なにやら白ずくめの男に説明するリナの姿。 「書いてあるのは、大昔のゴーレムの作り方と操縦の仕方。それっきりだからね」 「・・・・・・・・」 その言葉を聞いて数秒。くるり、と剣士は方向転換。 「貴様の悪行もこれまでだ」 やたらあっさりと、依頼主に剣を向けた。 「・・・・お茶目な人だなぁ」 言って、そこで気がついた。 一団からじりじりと距離をとり、城へ向かって駆け出すマルチナの姿に。 他の人は、それに気がついていない。 「・・・・っ!」 何だか嫌な予感がして。私は、階段の方に飛び出した。 ############### 大雑把なすとーりー展開ですので、気にしないで下さいね。 読んでくれた人はいるんでしょうか? いなくても、ぼちぼち続けようと思います(苦笑) |
30154 | 突発的すとーりー・01・ゾアナ王国にて。act,5 | 鮎 | 2004/6/6 15:40:04 |
記事番号30142へのコメント 一気にまいります。鮎です。 なんの捻りもない文章ですよねー・・・・ 語彙を増やしたいです。ええ、本当に。 ############### かんかんかんかん。 急いで塔を降りていく。が、それなりに高いので、思った以上に時間がかかる。 やっと最下段が見えてきた、その時。 本日何度目かの揺れが、私を襲った。 しかも、今までで一番大きい揺れで。 丁度段を駆け下りていた私は、思いっきり、バランスを崩した。 ずりっと足が滑り落ちる。 「うひゃあっ!?」 何とか踏みとどまろうとするが、そこに再び大きな揺れ。 耐え切れずに、私は階段から落下する。 や、やばいっ! このままでは、頭からぶつかる。 そうは思うが、体は言う事を聞かない。元々肉体派じゃないのである。 硬い石造りの床が眼前に迫り、思わずきつく目を閉じる。 「・・・・っ!」 ・・・・・・ 「・・・・?」 いつまで経っても、痛みはやってこなかった。 そうっと目を開けると、にこにこ笑顔が飛び込んできた。 「大丈夫ですか?」 「あ・・・・」 それは、城の外でぶつかった、神官の青年だった。 よくよく見ると、その人は私を受け止めたらしく、私を抱えてくれている。 慌てて自分の足で立つと、わたわたと、頭を下げた。 「す、すみませんっ!?また迷惑かけてしまって!」 「いえいえ、通りかかっただけですから」 その言葉に、私は眉を顰める。 通りかかった?こんな所に? 私の内心の疑問に気付いててか、彼はゆっくりと外を指差した。 「いやぁ。何だか面白い事になってるんで」 「?」 自然な足取りで外に出て行く神官の後について、外に出てみると。 不自然に、大きな影がそびえていた。 何気なく上を見上げて・・・・絶句した。 「・・・・うわ」 それは、巨大な人形、とでも言えばいいのか。 多分、これが魔道書に書かれていたゴーレムだろう。 ・・・・にしても。 「マルチナちゃん・・・・」 私は、深く、ふかーく、ため息をついた。 見間違えじゃないのなら、ゴーレムの上で高らかに笑っているのは、ゾアナの王女。 私が視線を向ける中、彼女は何かの操作を行う。 瞬間。 光条が、空気を切り裂いた。 「・・・・・・」 何だか、言葉もでてこない。 遠くの山が、大きなクレーターに姿を変えていた。 私が甘かった。 あの親子、変わってないんじゃない。 「パワーアップしてる・・・・」 頭を抱えて、私は呟いた。 隣で、神官が面白そうに口笛を吹いた。笑顔は一瞬たりとも崩れない。 私の視線に気付いたのか、首を傾げて、 「どうかなさいました?」 「いや・・・・貴方も随分、変わってるなあ、と」 「そうですか?」 「はい。」 きっぱりと言い切る私に苦笑して、青年は口を開いた。 「貴方も、変わってらっしゃいますよ」 「へ?」 目を丸くして、目の前の人物を見つめる。 それにますます笑みを深くして、 「あんなものを見たら、大抵の方は一目散に逃げ出しますよ」 「人の事言えないじゃない」 むっとして、地の口調で言い返すと、ちっちっ、と指を振られた。 「僕は、また違いますから」 「何が?」 「それは・・・・」 す、となれた動作で口元に指を当て。 「秘密です」 ・・・・やっぱり変だ。この人。 でも、妙に様になっているのが不思議である。 「・・・・おや?」 ふと、神官が上を見上げた。 それにつられて、私も上を見上げ―― 「きゃ、きゃああぁっ!?」 叫びと共に、突如ゴーレムががらがらと崩れていく。 そのまま、モロス王の上にマルチナ共々落ちていった。 ず・・うぅん・・・・ 音と土埃が収まったそこには。無残なゴーレムの最後の姿。 そして。 ばちぃっ! 突然、残骸の中から火花が散り。 光の筋が、幾重にも発せられた。まったく見境なく。 「おやおや・・・・」 青年が、面白おかしく声を漏らす。 それは、城をぶち抜き、街に向かい。辺りをどんどん破壊していく。 『止めて止めて止めてー!!』 マルチナ達の、悲痛な叫びが聞こえてきた。 「あーあ・・・・」 呆れてモノも言えないとは、多分こーゆー事を言うんじゃないだろうか。 ・・・・にしても、あれはちょっと危険かもしれない。 「・・・・あの。そこの変な人」 「僕ですか?」 すぐさま反応する。一応自覚はあるらしい。 「さすがに危ないから、逃げたほうがいいんじゃないの?」 「そうですねぇ。そろそろかたもつきそうですし・・・・」 言って、一歩足を踏み出して―― 急に、不自然に視界が明るくなった。 「へ?」 残骸の方に目を向けると。 こちらに迫り来る、白き光。 「・・・・!」 当たる。 避けられない。 視界の端で、誰かが動いた気がして―― 一瞬、景色がぶれる。 目の前が、光で埋め尽くされて。 そこで、私の意識は暗転した。 ############### もう少し判りやすい文章が書けるようになりたいです。 精進あるのみ、ですかねぇ。 |
30155 | 突発的すとーりー・01・ゾアナ王国にて。act,6 | 鮎 | 2004/6/6 15:49:45 |
記事番号30142へのコメント これで一区切り。 さて、続きをこれから考えようかな(笑) ############### 全ての源―― 永遠に望み――彼の者―― 在りし日の姿を―― ――が――内に―め―――を―― 気がつくと、空が見えた。 「・・・・あれ?」 地面に寝転がったまま、私はぱちぱち、目を瞬く。 顔のすぐ横で、風に草が小さく揺れている。 がばっと体を起こすと、そこはどこかの丘の上。 遠くに、ゾアナの街が見えた。 城の方から、『びー!』という音のオプションさえつけて、見境なく光線が放たれている。 「・・・・なんで?」 ちょっとまて思い出せ自分。 確かに、私はゾアナの城に居た、筈。 壊れたゴーレムの光線が向かってきて・・・・ 「・・・・なんで?」 もう一度、同じ言葉を発してから。 「あ。」 そういえば、と辺りを見回す。 先程まで一緒に見物していた怪しい神官の姿が、見当たらない。 もしかしたら、光に当たってしまったのだろうか。 もしくは―― 「助けてくれた・・・・とか?」 でも、どうやって? 数キロメートルの距離を一気に移動するなんて、聞いた事がない。 私がそのまま、頭を抱えようとした、その時。 カッ! 赤い光が、一瞬あたりを照らして―― ドゴオォンッ!! 続いて、凄まじい爆発が、ゾアナ城を中心にして起こる。 「・・・・っ!」 爆風が、私の所までもやってきた。 咄嗟に顔と頭を庇い、その場に伏せる。 しばらくして、おそるおそる顔を上げると。 ぽっかりと。巨大な穴が空いていた。 「うわぁー」 見事、というか。なんと言うか。 あまりにも問答無用な爆発の光景。 「マルチナちゃん、無事かな・・・・」 零してから、あの親子の事だから、きっと無事だろう、と思う。 悪運強そうだし。うん。 「・・・・さて、と」 気を取り直して。現実逃避とも言うが。 私は、その場に立ち上がった。 傍らには、きちんと私の荷物と、商売道具。 「よし。行こう」 それらを持ち上げ、私は歩き出した。 行き先は決めてはいない。 気の向くまま、風の吹くまま。 ・・・・とりあえず、今日の事を唄にでもしようかな。 ############### こんなんで、ネクスト・一話分終了ですね。 一応、ストックはもう少しあります。 次は、もう少し、ゆーっくり、のーんびり投稿しますので。 じゃあ、又会う日まで。 |