-哀しみを司る君へ-某物書き(6/11-16:27)No.3027
 ┣Re:哀しみを司る君へ-里月(6/11-23:50)No.3030
 ┃┗里月さま-某物書き(6/12-23:53)No.3044
 ┃ ┗失礼しました〜(^^;;)-里月(6/14-00:43)No.3061
 ┃  ┗里月様-松原ぼたん(6/14-01:45)No.3065
 ┗Re:哀しみを司る君へ-松原ぼたん(6/12-20:03)No.3036
  ┗松原ぼたん様-某物書き(6/12-23:54)No.3045


トップに戻る
3027哀しみを司る君へ某物書き 6/11-16:27

こんにちは。はじめまして。
仮面被ってます。皆さまの反応が怖かったので(汗)
このストーリーはゼロゼル気味です。
怖いもの見たさの方だけどうぞ・・・。

    *    *    * 
 この地では夜空が全く違う表情を見せる。
その珍しさと夜気の冷たさに誘われて、俺は宿屋の屋根に座り込んだ。
 静かな空気を肌に感じると、ふと日常を忘れたくなる。
 生き急いでいるつもりはない。けれど、止まることを知らない彼らと共
に過ごしていると、時々自分が見えなくなる。
 良い意味でも悪い意味でも。
 変わらなければと思ってみたり、ずっとこのままいたいと思ってみたり。
 自分の思考の一貫性のなさに、俺は我知らず苦笑した。
 ──そして次の瞬間、身構えた。
 夜の中に、ある気配を感じて。
「眠れないんですか?」
 思った通り、奴はあっさり姿を現した。俺が気付いたことに観念したら
しい。
「珍しいですね」
 相変わらずの微笑を張り付かせている奴に、俺はにこりともせず返す。
「それはこっちの台詞だ。何しに来やがった」
「貴方にお話があって来たんですよ」
 俺は眉を顰めた。どっちにしろ此奴が持ってくる話など、俺には無関係
なはずだ。
「俺は聞くつもりなどない」
 さっさと立ち上がる俺の背中に、奴の含み笑いが伝わってくる。
「良いお話だと思うんですけどねぇ。貴方の存在意義に関する」
「何?」
 振り向くと、闇を心地よさそうに纏って佇んでいる奴と目が合う。
「実は・・・貴方をお迎えしに来たんですよ。我々魔族の仲間としてね」
 いつもとは雰囲気が違う。どんな光も許さないような、漆黒の真の闇を
感じさせる、魔族。だが怯んでいる暇はない。
「馬鹿げてる」
 一笑に付したのに、勝ち誇った笑みは針一つも崩れない。
「貴方の孤独と絶望を、僕に下さい」
「残念だが俺はそんなもの持ち合わせていない。俺は、一人じゃない」
「あの少女ならもういませんよ」
 一瞬、奴の言った意味が分からなかった。
「何・・・だと・・・?」
「アメリアさんは、さっき僕が殺しました」
 ゆっくりと、だが確実に奴の言葉が俺の身体に染み通っていく。
「・・・嘘だ」
「生憎とこういう類の冗談は嫌いでして。あぁ、もう手遅れですよ。行っ
ても無駄です」
「貴・・・様・・・っ!」
「どうですか? 怒りと悲しみ、負の感情で身体を満たす気分は。どこか
でそれに否定できない心地良さを感じませんか? 貴方には、その素質が
ある」
「黙れ・・・」
 一歩後ずさった俺に、奴が静かに近付いてくる。
「そしてそれに勝る感情を、今貴方からは感じます。恐怖──。怖いです
か? 僕にこうされることが」
 後ろがなくなって立ち竦んだ俺に、奴の拘束がかかる。
「やめろ・・・っん・・・んん・・・っ」
 繋がった唇から冷たい闇が忍び込んでくる。それなのに掴まれた手首は
確かに暖かさを感じていた。
「放せっ!!」
「おや、唇の端が切れてしまったようですね。血が出てますよ」
「触るなっ!!」
 力一杯振りほどかれた手を一瞬見つめて、奴は俺に向き直った。
 闇の瞳に射竦められる。それが悲しげに揺らめいたように見えて、俺は
すぐに自分を否定した。どうかしている──。
「・・・そんなに嫌ですか? 魔族になるのは。貴方が人間でいる意味は
あの少女だけだったでしょう? 彼女はもういません。もはや誰も信じる
者もなく、待つ者もいない。人間という器に何の未練があるんです?」
「黙れ!・・・俺は・・・誰の指図も受けない。魔族になるつもりもない。
消されたくなかったら、とっとと失せろ!」
 奴は静かにため息を吐いた。
「やれやれ、心は変わりませんか。願わくばもう少しの間、貴方の哀しみ
を味わっていたかったのですが・・・仕方ありませんね。でも、その気に
なったらいつでも呼んで下さい。僕は変わらず側にいますから。では─」
 意味深な笑みを最後に残して、奴は消えた。
 重い足を引きずって、俺は階下に降りた。
 彼女は静かにベッドに横たえられていた。安らかなその顔から、せめて
苦しみはなかったのか、と安堵する。
 彼女の手を取り、唇を押し当てる。
 ・・・アメリア・・・
 と、不意に彼女の瞼が揺れて、瞳が開かれた。
「・・・ゼルガディスさん・・・? どうしたんですか、一体」
 きょときょとと瞬きをするアメリアに、俺は驚きを隠して微笑んだ。
 全てを理解したから。
 ──ハメられたんだ、あいつに。よくもいけしゃあしゃあと・・・。
「何でもない」
 そっと髪を撫でると、安心したようにアメリアは再び眠りに落ちた。
 俺は立ち上がると、静かな夜の扉を閉めた。


 やれやれ、作戦失敗ですか・・・。
 けれど僕は、あの人の全神経が自分に向けられたとき
 ──たとえそれが心からの憎しみでも──
 嬉しいと感じてしまった。
 僕は・・・一体どうしてしまったんでしょう
 僕は・・・莫迦ですねぇ・・・

    *    *    * 
読んで下さった方(いたら)有り難うございました。
これはわたくしめの身勝手な妄想の一旦ですので
温かい目で見ていただけると嬉しいです。
普段は仮面脱いで某ページに拙い小説書いてます。
まさかバレることはないと思いますが・・・(汗)
でももし解っちゃったらしょうがないですね。観念します。
それでは。    

トップに戻る
3030Re:哀しみを司る君へ里月 E-mail 6/11-23:50
記事番号3027へのコメント
こんにちは。
『某物書き』とゆー、謎めいた名前に導かれてやってきました(笑)
ん〜、しかしこおゆうキレイな表現といい、文の感じといい……、ある方の名前が
うかんでるのですが……。違ってたらそれはそれで失礼なんですよね(^^;)

感想書くのは初めてですね。
そういう意味では初めまして。

珍しいですねぇ。ここでは、こぉゆうの。
まぁ、自分、嫌いじゃないっすが……。ゼロスは元々キス魔の疑いがあるし。
ゼルアメ・ゼロゼルなんでしょーか?
面白かったです。
………………で、……ぼたんさんじゃありません?(ぼそっ)
違ってたらごめんなさいいぃぃぃっ。

トップに戻る
3044里月さま某物書き 6/12-23:53
記事番号3030へのコメント
こんにちは。初めまして(^^)
コメントどうも有り難うございました。

>『某物書き』とゆー、謎めいた名前に導かれてやってきました(笑)
ははは、惑わせてしまってすみません(^^;

>珍しいですねぇ。ここでは、こぉゆうの。
やっぱりそうですか? こういうの載せちゃうとご不快になられる方が
いらっしゃるかも知れないと思ってちょっと不安。

>まぁ、自分、嫌いじゃないっすが……。ゼロスは元々キス魔の疑いがあるし。
そう言っていただけると・・・ほっ。
私もキス魔のゼロス様は大好きです。
それにしたって、相手を選べよって感じもしますが(^^;

>ゼルアメ・ゼロゼルなんでしょーか?
そーですそーです! 実はゼルアメも結構好きなんですよ、私。
って、正体ばれてないのをいいことに好き勝手言ってるな(^^;

>面白かったです。
有り難うございます_(__)_
そう言っていただけるのが何よりの喜びです!

ぼたん様は私のヘボい小説にもコメントを下さるお優しい方です。
なんか、一方通行で・・・失礼かも知れませんね、私・・・。
お気を悪くなさったら本当にごめんなさい。
ともあれ、こんなの書くな!って怒られたらどうしようって
内心ヒヤヒヤしてたもので、コメント下さって嬉しかったです!
本当に有り難うございました!

トップに戻る
3061失礼しました〜(^^;;)里月 E-mail 6/14-00:43
記事番号3044へのコメント
いや〜、人間違い…………失礼ですねぇ。ほんとごめんなさい。
ちょっと近いような良い雰囲気だったので、なんとなくそうじゃないかなー
などと思っていたのですが、ご本人、ちょっと苦手なネタなのでは、ますます失礼
ですね(^^;;)
ぼたんさんにもあやまらなくては……。
でわでわ。

トップに戻る
3065里月様松原ぼたん E-mail 6/14-01:45
記事番号3061へのコメント
>ぼたんさんにもあやまらなくては……。
 別にあたしにまで謝る必要ないですから。
 こんな上手い人と間違われてラッキーとかちょっと思ったし(爆)。

 ではまた、ご縁がありましたなら。

トップに戻る
3036Re:哀しみを司る君へ松原ぼたん E-mail URL6/12-20:03
記事番号3027へのコメント
 面白かったです。

>このストーリーはゼロゼル気味です。
 ・・・・ちょっと苦手かも(^^;)。
>「珍しいですね」
 ホントに・・・・。
>「実は・・・貴方をお迎えしに来たんですよ。我々魔族の仲間としてね」
 って。
>「アメリアさんは、さっき僕が殺しました」
 魔族ゼロス・・・・。
> ──ハメられたんだ、あいつに。よくもいけしゃあしゃあと・・・。
 ホント。
> 僕は・・・莫迦ですねぇ・・・
 どうでしょうかね。
>普段は仮面脱いで某ページに拙い小説書いてます。
 そうなんですか。

 ではまた、ご縁がありましたなら。

トップに戻る
3045松原ぼたん様某物書き 6/12-23:54
記事番号3036へのコメント
こんにちは。コメント有り難うございました。

>>このストーリーはゼロゼル気味です。
> ・・・・ちょっと苦手かも(^^;)。
あぁっ、それなのに読んで下さったのですね・・・。
ご不快になられませんでしたか? すみません。

>>「実は・・・貴方をお迎えしに来たんですよ。我々魔族の仲間としてね」
> って。
ゼルを、というのはちょっと新鮮な気がします、私も(^^;

>>「アメリアさんは、さっき僕が殺しました」
> 魔族ゼロス・・・・。
きっとあっさりと涼しい顔で言ってのけちゃうんですね、魔族ゼロス。
私アメリアも好きなのに・・・ごめんねアメリア(笑)

>> ──ハメられたんだ、あいつに。よくもいけしゃあしゃあと・・・。
> ホント。
『うそぴょん』と言ったかどうかはともかくとして・・・(笑)

>> 僕は・・・莫迦ですねぇ・・・
> どうでしょうかね。
報われることはないでしょうからねぇ。
相手は人間、しかも・・・(^^;

>>普段は仮面脱いで某ページに拙い小説書いてます。
> そうなんですか。
はい、そうなんです。実はぼたん様にもコメント頂いてます。
いつも有り難うございます。書いた物に感想いただけるのって
言葉に言い表せないくらい嬉しいもので・・・。
感謝しております_(__)_
って、誰だかわかんない奴にこんなこと言われても、ですよねぇ(^^;
お気を悪くなさったらごめんなさい。
本当にありがとうございました。