◆−いつか叶えたかったこと−はる (2004/7/1 03:13:09) No.30324
 ┗マトリックスが理解できない私−琴見奈々 (2004/7/4 00:18:56) No.30346
  ┗私もマトリックス見てない!−はる (2004/7/5 15:24:35) No.30362


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30324いつか叶えたかったことはる URL2004/7/1 03:13:09


はじめまして。はるです。
以前休学宣言をぽーんと出して、しばらくここに顔すら出さなかった春祭あられです。(レスは、時々、本当に時々してたんですが)
今回頭の中にネタが降ってきちゃってうわー!とか思ったので投稿してみる事にしました。
はじめましての方も、以前から私のことを知っている方も(ほとんど、いない気も)楽しく読んでいただけたらいいと思います。
では。

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そこは夢のような場所。
そしてまさしく。
そこは夢だった場所。



   いつか叶えたかったこと



あたしは気付いたらそこにいた。
家の中、目が覚めたら天井が見えて、普通に布団に寝ていて。
違和感があるのに、ここは自分の家だと思う。なぜ?
「リナー、いいかげんおきてきなさーい、ごはんですよー!」
お母さんの声が聞こえた。
「はーい!」
何が違うんだろう。
首を傾げても分からない事だった。

その日旅人はやってきた。
ワインが特産のこの国に、商人はやってくる事はあるけれど旅人なんてめったに寄り付かなくて。
興味本位で隣に住んでたカーンを引き連れて見に行った。
真夏だって言うのに白いローブを深くかぶっちゃってちょっと陰険そう。
カーンと感じわるっとか言い合って、
「後つけてみよっか」
とか面白い事考えて。
その人が散歩に出かけるみたいにして出歩いたところを、ついてった。
うっそうと繁った森に、平気で入っていくその人。
この森には、あたし達村人でもめったに入らない。だってこの先には遺跡が。
そう、何か、を祀ってる遺跡が。
あれ、なんの?
「カーン、あの遺跡って何の遺跡だっけ」
「ああ?そんなの俺が覚えてるかよ!」
「だよねー」
聞いたあたしが馬鹿だったよ。
その人はどんどん進んでいって、森に慣れてるのか、進み方が早い。
あたし達が小走りなってついてくのに、その人は平然と歩いてる、みたいな感じで。ちょっと悔しくなった。
カーンがへばって腰をおろしたのは見えたけど、無視してあたしだけでもついていった。
だって、ここまで一生懸命後つけたのに見逃すなんてそんな癪なこと、あたしがするもんか!
こうなったら地の果てまでついてってやる!姉ちゃんの名にかけて!(あ、そこで姉ちゃんなんだ、あたし)
白い影が、ひらりと舞う。
遺跡の入り口、ぽっかりと穴の開いた白の建物。
ブラックホールのような、ホワイトホール。
いきなりその人が振り返ってきて、あたしを見た。
ヤバイ、とおもっても隠れる瞬間を逃してただ呆然と立ちすくむ形になっちゃって、ああ、馬鹿。カーン並みの馬鹿。
「ついてきたのか」
その人が、意外と綺麗な声で言った。
あたしの中には旅人は濁声という固定概念が・・・くそ、してやられた。不意打ちだ。
「まあいいさ、名前は?」
「リナ、リナ・インバース」
あれ、あたしの名前って何か変?
その人が息を飲んだのが分かった。空気がその様子を伝えてくる。
「するとあんたが、例の」
ばさり、とローブを脱ぎ捨てたのを見て、今度はあたしが息を飲む番で。
人間の肌じゃない!
岩の肌!
ゴーレムの肌!
でも、形は人間で、声は綺麗で・・・・・・違う。形は妖精?耳が尖ってる。
じゃあ、なに?
あんたは、誰?
「俺はゼルガディス。といっても本当の名前じゃないけどな」
「じゃあ本名名乗りなさいよ!」
「それはこの世界じゃしないのがルールだ。良かったな、お前さんが名乗ったのが俺で。他のやつに本名名乗ったらたまったもんじゃないぜ」
「一体何の・・・」
話を・・・
「分かってるんだろ」
分からない。
何の話だか分からない、ちっとも!
怖くなった。
本能的に聞いちゃいけないって思って一気に来た道を駆け出した。
途中でまだ座り込んでたカーンを引きずって村まで戻って、ベットに潜り込んだ。
あれは誰だ。
あたしが知っちゃいけないことを知ってる気がする。
それを教えようとした気がする。
もう会うのはよそう。
そう決心して、あたしはいつもなら平らげるはずの御飯をよそに眠りについた。

次の日、今度は家の前にその人、ゼルガディスはいた。
学校へ行くために外へ出たとたん、これだ。
家に引き返そうとしたら襟首捕まえられるし、本当に何なんだこの人!
「ついてこい」
命令形。
あああもうこういう人間だいっきらいなんだってば!
いくらじたばたしてみた所で力の差は明らかでさらにむかつくし、結局首引っ張られるまま村はずれの草原までつれてこられてしまった。
学校。
単位が。
魔法の習得が。
「あんたはどれほどここでの自分を分かってるんだ?」
「どういう意味よ。まるでここじゃないあたしがいるみたいな言い方ね!」
「いるだろ、本物のあんたが」
「わけわかんないこと言わないでよ!あたしはあたし!他に誰がいるって言うのよ!」
捕まえられてた首の力が弱まった所を見て振りほどく。
思ったほど力はいらなくて、あっちから離してくれたように見えたのがもっと癪だった。
「リナ・インバース自身がいるだろ。昨日あんたに会ってきたよ。なるほど、と思った。目覚めを拒否してるわけだ。なぜだ?」
「だからさっきっからわけがわからないって」
「そんなに傀儡の生活が嫌だったのか。意思も何も尊重されない家が」
「・・・・・・やめて」
「家を飛び出したはいいが外の世界を知らないあんたはすぐに車に跳ねられ意識不明の重態。それから1年、傷は完治したにもかかわらず・・・」
「やめてよ!」
それ以上は、あたしが壊れる。
知ってる、こいつはあたしが何だか知ってる。
あたしが知りたくもない“忘れた”ことを確実に知ってる。
思い出させないで、
あたしの中で悲鳴をあげる。
でも何かが
それでいいの?
と聞き返す。
いいじゃない。今の生活でいいじゃない。
何が間違ってるの?
やさしい家族、隣近所の友達、学校では面白い事いっぱいやってて。
あたしがあたしでいられる場所が、確かにここにある。
いいじゃない。
でも、それでいいの?
「あんたの姉が、あんたを引き取るって言ってる」
「おねえちゃん?」
いたっけ、そんな人。
え、いたよ。バイトに熱心ですっごく厳しくて優しいお姉ちゃんが。
違う、それじゃなくて、本物の。
おねえちゃん?
「俺の開発チームの先輩だ。ルナ・インバース。あんたは知らなかったかもしれないけど、血縁の姉妹が、確かにいるのさ」
「だれ、なに。開発チームとか・・・・・・おねえちゃんとか」
「ルナは、今のあんたの現状を見かねて家から引き離す事を考えたんだ。その方があんたにもいいだろ、いいかげん目を覚ましたらどうだ」
家から引き離す?
あの家から?
あたしをあたしと見てくれない、あの家から?
そんなに嬉しい事、これほど嬉しい事ないけど。
そうしたらこの世界は。
自分を認識したらだんだん見えてきた。封印した記憶の箱を開けたら見えてきた。
そうしたらこの世界は、何?
お母さんがいてお父さんがいてお姉ちゃんがいて、となりには馬鹿のカーンがいて村には気の優しい人がいっぱいいて、いつかはあの宿屋の食堂のメニューを制覇してやろうとか。
そんなことを考えてた。
でもこれは違う、現実じゃない。これは何?
「気づいたらあたしはここにいた。ねえ、これは何?」
「仮想現実。まだ名前はつけてない、実験段階のものだけど。ある程度募集で被験者を集めてゲーム感覚であそばせてる。そんなものだ」
仮想現実空間。
「そう、ネットゲームみたいな物だな。頭に直接情報を流し込むことによってこちらから五感情報すべて調節すれば、眠った状態でも仮想空間で動いている感覚が楽しめる。走ってると感じる事も、転んで痛いと感じる事も、すべて感覚だけだ」
あたしは、確かあの日から目を開けていないはずだもの。
自ら拒みつづけていたはずだもの。
現実から逃げつづけていたはずだもの。
「あたしは、何でここにいるの」
「これも、ちょっとした実験みたいな物だ。眠りつづけるあんたに強制的に情報を流す。そうすればやっぱリあんたは自分から動き出してくれるんじゃないかと。それで心も治ってくれるんじゃないかと、ルナが期待して取り付けたんだ」
「おねえちゃん、が」
ゼルガディスがちょっと照れくさそうに笑う。
いいかげん起きてやれよ。そう言って。
おねえちゃんずっと待ってるんだって。あたしが起きるの。
さっきおねえちゃんがあたしを引き取るって話があったよね。あの話が本当なら。
もうあの家に戻らなくていいなら。
目を覚ましてもいいかな。
いいよね?
「俺に聞くなよ」
ゼルガディスのちょっと怒ったような顔が最後に見えた。

目を覚ましたら、そこに見えたのは天井だった。
白くて少し高めの天井。
ピッピッピって規則正しい機会音が聞こえて、腕を見たら色々やたらとチューブが取り付けられていた。
あたし知ってる。
これ、点滴ってやつだ。
どん!
物凄い音がして、びっくりしてそっちを見たら、それは勢い良く扉が開いた音だったんだって分かった。(だって扉壊れてたし)
「リナ!」
ぎゅうって抱きしめられる。
とたんに胸が苦しくなって涙が出てきた。
だって、
きっと、
こうやって抱きしめられるの、生まれて、初めての、体験。
「おねぇちゃん?」
このひとが?
そうきっと。
あたしのまだ会った事のないお姉ちゃんに違いない。
「ゼルからリナの意識がって聞いて・・・!!」
「お姉ちゃん」
「うん」
「はじめまして」
「それより言う事があるでしょ」
「・・・・・・?」
なんだろう。
初めて会う人相手に他になに言う事あるだろう。
本気で困った顔したら、お姉ちゃんに笑った顔のまま少しおでこ叩かれて、怒られた。
「おはようでしょ」
「・・・・・・おはよう!!」
また、涙出た。

おはよう。
誰にも言った事のない言葉だったから。

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え、すいませんね、下手な恋愛はナシの方向で!
かなり書き手にブランクがあるんで多少は目を瞑って!!

今回これ、設定ありまして。また気が向いたときにちまちま書いていけたらその方がいいけど、確証がないから。

電脳世界。
リナは交通事故に遭って意識不明。
姉のルナによって勝手に装置つけられてレッツ仮想現実へ。
その仮想現実空間こそ、本作スレイヤーズの世界なわけですが。
仮想現実での家族はもちろんニセ、だけど。リナにとっては理想の家族。
彼女、現実の世界では物のように扱われてて。
姉のルナはその家が嫌でリナが生まれてまもなくとっとと家から出てます。
(かなり歳の差があるんだなぁ・・・!!)
それで、大きくなったリナをちょっとある事情から見ちゃって不憫に思って家族の反対押し切って引き取る事に。
かなり強引な手を使いましたよ、多分。
頭もよけりゃあ力もありますからね、彼女!(ドア、壊してますからね!)
仮想現実はルナがチーフになって研究してる試作段階のゲームです。ゆえに欠陥も多数あるんだけど。
そんな欠陥を実際中に入って確かめて回るのがゼルガディスみたいな研究チームの仲間で。

そういうアホな設定を頭に入れてまた読み返すのもアリ!
あっそ、と切って捨てるのもアリ!

長々と申し訳ありませんでした!
では、またの機会に。ごきげんよう。

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30346マトリックスが理解できない私琴見奈々 E-mail 2004/7/4 00:18:56
記事番号30324へのコメント


あられん……もといはるさんこんばんは♪♪
読ませていただきました!!まず題にひかれましたvvキレイな言葉です。
読んで思ったのはすごいなーーってことなんですけど。はわー……って感じです!!

タイトルどおりアホウな私。こういったお話が書けるのがうらやましいです。ていうかマトリックスちゃんと見てない↓↓
本物のリナがいて、仮想現実の世界こそがスレイの世界!!
その設定も妙に納得しちゃって、全然違和感なかったです。

現実のリナは苦労してたっぽいですね。その話も読んでみたいですvv
そしてルナ姉さんとの関係が!!ルナはちゃーんとリナのことを大事に思ってて。一人だけ家でちゃうのはいかがなものか…。でもまだ連れてける様子じゃないし。
『おねえちゃん』なのが可愛いです!!!

とにかくステキをお話をありがとう!!感想短くてごめんなさい;;
これからもステキなお話をよろしくお願いしますっっ

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30362私もマトリックス見てない!はる URL2004/7/5 15:24:35
記事番号30346へのコメント

みっきーはろーん。
感想有難うございます。あれですね、書き殴り久々に投稿してみて、こうやってすぐ反応が返ってくるのって久々に面白いと思ったよ。

この電脳世界のお話、ネットゲームをヒントに作らせて頂きました。
スレイヤーズってネットゲームっぽくなりやすいよね。きっと。(やったことないから分からないけれど)
続けられたらいいなぁ。一応ネタはあるんだけどね・・・ははは。

ルナがルナっぽくなくて・・・もっとはちゃめちゃな人のはずだったのに・・・!!
>『おねえちゃん』なのが可愛いです!!!
ひらがなって妙に可愛いよね。(笑)

また書けたら、ここに載せることにします。
そしたらまたよろしくね。
では。