◆−birdcage−竹内 恵 (2004/7/20 19:32:44) No.30450
 ┣こちらにも−久世啓 (2004/8/3 21:34:01) No.30483
 ┗birdcage2−竹内 恵 (2004/8/15 17:24:45) No.30544
  ┗こんな感じで−竹内 恵 (2004/8/15 17:36:30) No.30545


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30450birdcage竹内 恵 2004/7/20 19:32:44




「お前と契約したい」

それは空虚な、けれど決して軽くはない想いの入り混じった言葉。永遠の名の元に、人間をやめろという呪いにも似た単語の羅列。




















――お前を傍に置いておきたい




















ミリーナを失った。何もかもがなくなったと嘆き、魔王の傀儡になった。醜く姿を変え、人間であった面影すら無くなった俺に
最後まで真正面から対峙してくれた。逃げもせず、蔑みもせず。ただ――泣いてくれた。
ああ、こいつになら…。


――殺されてもいい


この感情はある意味恍惚にも似ていた。それと同時に激しい熱情にも似ている。心地よく 苦痛な心情。
そう、今なら・・・容易に答えが出てくる・・・。


――思慕の情




「あたしは・・・」

それ以上先の言葉を聞くつもりは、最初から毛頭ない。わかっている、こいつはこの条件をのむ気はない。
”最後まで人間らしく生きたい”とか言い出して、またあの男の元へ戻るつもりだろ?ガウリイの旦那のところへ。


「んなこと、許すわけねぇだろ?」


断らせはしない。逃がしはしない。俺以外の男のところへなんぞ、行かせはしない。いくら泣き叫んでも・・・。
本当は、帰してやる気も あった。言葉を聞き届けてやるつもりも あった。
だが魔王の血のせいか、醜い独占欲を隠すことができない。ふつふつと体内で沸き出してくる 激情と、衝動。  

「…ッルーク!!」

最後まで聞こうとしなかったのに怒ったのか、それとも俺の考えていることがわかったのか。あいつは声を荒げて名前を呼んだ。

・・・俺の名前を。

真っ赤なその瞳を突きつけるように睨んでくる。
・・・そう 紅い、血のような瞳。闇の中でも尚、光を放つその栗色の髪。暗い、闇の色に映えるその白い肌。
それが今、すべて俺の手中にある。ここは俺の領域。魔の力で創りだした亜空間内。この空間すべてが俺の一部と言っても過言ではない。
だからこそあいつの微かな動きから今の心情まで、全部伝わってくる。・・・今あいつが怯えていることも・・・。

「逃げられるもんなら、逃げてみろよ」

ぞくぞくと背筋が粟立つ。何にも形容しがたい甘美。欲情。
獲物を追い詰めるときの感覚に似ているような気がする。踵を返して逃げ出そうとするあいつの腕を掴み、無理やり引き寄せる。
びくりと肩を震わせ、俺の腕を引き剥がそうと思いきり体に力を込めるが、そんなひ弱な力で、太刀打ちできるはずがない。
むしろその行動は俺を煽り立てるだけのものだ。 くっくっ、と笑いが漏れるのを噛み殺きれなかった。
――そう、こいつは鳥だ。その身をまかせるのは自由のみ。
生きている間も 死んだ後もこいつはこいつだけのもの。誰のものにもならず、自分のためだけに生きる。・・・だからこそ


「あたしは、あんたの所有物になるつもりはないわ!」


だからこそ”自分のだけのものにしたい”と望むのだ。


その羽をむしり
自由を奪い
足枷をはめて
抵抗できなくしたら


閉じ込めてしまいたい。誰にも触らせない 見せはしない。いくら咽(むせ)び泣いても離しはしない。――渦巻くのは独占欲。


お前を飾ろう 檻の中。
優しく、綺麗に扱ってやる。時に貪欲に求めることもあるだろうが抵抗はさせない。逃がしは しない。――醜き己が思想。
























「永遠に一緒に居てやるよ」



















やれ悲しきかな 魔王が誓うは婚約の儀


人間の契約・・・















***********

もしルークが魔王になって、倒される寸前にリナを好きになったらこんな感じかなぁ〜と思って書きました。
なんか魔族って独占欲が強いってイメージがあるんですよ。何故か。

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30483こちらにも久世啓 E-mail URL2004/8/3 21:34:01
記事番号30450へのコメント

こちらにも投稿されてたんですね。見逃すとこでした。
こういう文章もいいですねー。うっとり。
独占欲が強くて、でも、どこかで全部あきらめてしまってる。
そんな感じがしました。
魔王のくせにへたれなんですが(^^;)、でも、幼なげで切ないですね。
あの……これってリナバージョンもありますか?

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30544birdcage2竹内 恵 2004/8/15 17:24:45
記事番号30450へのコメント




ミリーナがいなくなった。

                
                 あいつは泣いていた。


そしてあいつは

                 
                 魔王になった。


































「お前と契約したい」

何で今更、そんなこと言うの?なんでもっと早く、あたしを見てくれなかったの?
あんたが人間のまま、あたしを求めてくれたなら、あたしは迷わずその手を取ったのに。

「あたしは…」

いつも暑苦しいくらいミリーナを求めていたあんた。それを冷たくあしらうミリーナ。
見てて苦しかった。見てて悲しかった。見てて――楽しかった。だからあたしは想いを隠した。
誰にも気づかれないように、誰にもわからないように。バカやってるあんたと、それを諌めるミリーナが好きだったから。


「んなこと、許すわけねぇだろ?」


・・・やめて。それはいなくなってしまったミリーナの代わり?あたしは誰の代わりにもなれない。あたしはあたし。
そんなのわかりきってる事でしょう?あたしは抜け殻のような気持ちが欲しいんじゃない。いつものあんたが、欲しいだけ。
こんな所に閉じ込めないで。前と同じようなセピア色の瞳で、あたしを見ないで。きっと嫉妬心で、醜い顔をしてるから。

「…ッルーク!!」

たまらず、叫ぶ。早くあたしを帰して。
ふつふつと伝わってくる、あいつの感情。あいつの考え。きっとルークは、あたしを帰すつもりはない。




自由が好きなの なによりも



       

                       人間らしく生きたいの



                                       あたしはあたしのものよ





    
   いつまでも一つの場所には 留まっていられない




いつも思っていた。それがあたしであるべきだと。自由になれないあたしは あたしじゃない。そう思ってた。
・・・いや、そう思いたかった。そうじゃないと、いけない気がしたから。
なのに、あんたの束縛されることが、こんなにも心地よく感じるなんて――…。
こんなのはいやだ。こんなのはあたしじゃない。あたしを早く、自由にして。怖くて怖くて仕方がない。
少しづつ変わり始めている自分が。独占欲を甘美と受け取っている、今の自分が。狂いそうなほど怖いのよ。

「逃げられるもんなら、逃げてみろよ」

セピア色の瞳が、歓喜に彩られはじめる。獲物を捕らえるときの、肉食獣の瞳に似ている気がした。
あんたは狂ってる。あたしも・・・狂ってる。捕らえられる恐怖に 恍惚を感じている。一秒でも早く、ここから出なければ。
――甘い衝動に、侵食されてしまう。踵を返し、その場から走り去ろうと足を動かす。
だが、そんな抵抗も虚しく、あいつに捕まえられてしまう。力の限り、抵抗してみても、ピクリともしない。
くっくっ、と低い笑い声が聞こえてくる。黒い髪がさらさらと揺れ、闇色の空間に鋭く光る。

「あたしは、あんたの所有物になるつもりはないわ!」

束縛される。その大きな身体に。あんたのすべてが、今までミリーナのものだった。そう思うだけで喉に苦いものがこみ上げてくる。
・・・今でも、ミリーナを想ってるんでしょう?あたしの影に、ミリーナを見ているんでしょう?
そんなのは嫌。そんなあんたといるのは耐えられない。あたしを逃がして 今すぐに。


「永遠に一緒に居てやるよ」


まるで呪文のように唱えられるだけの言葉。そんな約束、あたしはいらない。あたしが欲しいのは、あんただけ。

































「お願い……。あたしを帰して――…」



































――狂ってしまう その前に――







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30545こんな感じで竹内 恵 2004/8/15 17:36:30
記事番号30544へのコメント



・・・い、いかかでしょう?駄目でしたか?あ〜〜いや、駄目なら駄目でいいんです。自分の力量くらいはわきまえているつもりです(泣)。
お目汚し、申し訳ございません(平謝り)。

貴方様に言われるまで、リナバージョン書くことなんて思い付きもしませんでした。そうですよね、リナサイドも書けますよね、これ。
そこまで気を配りながら読んでいただいているかと思うと、喜びで涙があふれてきます……(悦)。
嬉しいです。こんな小説とも呼べない駄文に、コメントをもらっているだけでも恐れ多いのに、指摘まで下さるとは・・・!!
やはり貴方様は神のごときお方です!!こんな駄文に付き合ってくださっているだけで光栄です!
いつもありがとうございます!またよろしければご指摘の程をよろしくお願いします(←だから図々しいって)。