◆−名称未決定るくみり学園パロ−かみはら (2004/8/12 22:04:59) No.30536


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30536名称未決定るくみり学園パロかみはら 2004/8/12 22:04:59


「馬鹿でしょう」
言われた。言われてしまった。あっさりと。はっきりと。
「……うう」
はいそうです。どうせ俺は馬鹿です。すごく馬鹿です。とてつもなく馬鹿です。
万年学年一位のアナタサマに比べれば。
「この順位は何」
「何と申されましても」
「なに」
低い声で問われる。俺はちらと視線を上げて、ミリーナの表情を窺った。見るんじゃなかった。とんでもない。とんでもなく恐ろしい。
「三百十五人中三百十五位ってどういうこと」
あああ読み上げるな!
「最下位。なによこれ。こんなの本当にあるのね。別次元の話だから知らなかったわ」
別次元、とか、言われちゃったよ……?
俺がへこんでいると、いきなりがしりと頭を捕まれた。髪を引っ張られて顔をむりやり上に上げさせられる。
敵は無表情。うわあ怖いよ勝てないよ。目がマジだよ。
「あなたのせいでね、私の自由時間がね、減るのだけれど」
痛いが文句を言えるはずもなく。
「ごめんなさい……」
学年一の不良なはずの俺は、なんだかやたらこいつに弱い。初めて会ったときから。ずっと。


勉強は嫌いだ。意味不明な数式とか年号とか覚えて何になる。そんなの日常生活で使わないし、第一役に立たない。
が、なぜか最近楽しい。理由は不明。ミリーナと勉強し出してからだ。多分教え方がうまいんだろう。するすると頭の中に入ってきてわかりやすい。
「あ、そういえば」
「何」
「追試受かったぜ」
「当たり前ね」
ミリーナはかわいくない。
だけど綺麗だ。きらきらしたまっすぐな髪とか白い肌とか。俺の周りにいる女とすごく違う。そこがいい。見てて飽きない。
「ちょっとは褒めてくれてもいーんじゃねーの?」
「私が教えてるの。あたりまえ。そんなことは」
高慢ちきな態度も好きだ。……変なの俺。
「あ、受けたんなら解答用紙と問題用紙持ってきなさいよ」
「なんで」
「なおさなくちゃでしょう」
「なにを」
ミリーナは溜息をついた。
「間違いを」
俺はにやりと笑う。
「ないよ」
ミリーナはきょとん、とした。おお、この顔は初めて見る。
「…………は?」
「ないよ。百点満点」
「あなたそんなに私が嫌い? 私と勉強するの嫌なの?」
「嫌じゃない」
「なんでそんな嘘つくの」
「嘘じゃない」
「……証拠は」
俺は鉛筆をとめて机の横にかかっている鞄をまさぐった。
「ほれ」
数学の答案。
まるばっか。右上に百点と大きく書いてある。
「なにこれ」
「頑張ったんだよ俺」
「なんで」
「なんでってミリーナ」
ミリーナはちょっとぎょっとした。ああ、俺、名前呼ぶの初めてだ。
「当然だろ、あんたが教えてくれてんだから」
ミリーナはぽかんとして、俺から視線をずらす。
ちいさな声で、そうね、と言った。
今のはちょっとかわいいと思う。言ったら殴られそうなので言わない。

「下校時刻」
その声に顔を上げた。
「あーやっと終わった」
鉛筆を置いてノートと教科書を閉じる。
「じゃね」
「ああ、ありがとう」
ミリーナは立ち上がると、自分の教室へ鞄を取りに行った。
俺は筆箱を鞄の中へつっこむ。その他は置きっぱなしだ。持ってかえるのが面倒くさい。
しばらくぼうっとしていた。
なんなんだろうこの気持ちは。ぐるぐるする。無意味に幸せ。発情期か?
かた、とドアが鳴った。
ミリーナかと思ったらリナだった。リナ=インバース。文系のトップ。
リナはうわ人がいる、と思ったらしく、一瞬眉をつり上げた。
なぜこいつの気持ちが俺に解るのかというと、それはあれだ、リナ=インバースは人嫌いで有名なのだ。
じっと見ていると目が合う。無視されるのかなと思ったが、そうではなかった。
リナは口を開いた。
「なんて顔してんのよ」
「は?」
リナはそれきりもう何も言わなかった。だが何をするでもなくドアの隅によりかかっている。
気まずい。ので、話題を提供してみる。
「なんであんたここにいんの」
「人待ち」
「だれ」
リナは沈黙した。
「言えないような人? 彼氏?」
「違う。超違う物凄く違う。それだけはない。絶対にない」
超否定。
「お前なんだかすげえ面白いのな」
「あんたに言われたくないわ、有名よ」
「馬鹿だって?」
「逆よ。なにあの成績」
「三百十五位?」
「違うわ追試のよ。なに、いきなりトップって」
「馬鹿ばっかだからそういうこともありえる」
「ありえないわ。満点じゃない。どんなズルしたの?」
「努力の賜物です」
「……へえ」
もう片方のドアが派手な音を立てて開いた。
「悪い遅くなった!」
ガウリイじゃん。俺とどっこいの馬鹿。
リナは立ち上がる。へえ。そういうこと。
「なあ時にリナ=インバース」
「何よ」
そんな嫌そうな声で返事をしないでくれ。別にあんたとガウリイのことを聞こうっていうんじゃないんだ。
「ある特定の人のことを思うと幸せすぎて変になるんだけど。これなにかな」
リナに答えを求めたのに、ガウリイが答えた。金髪が窓から差し込む夕日に映えてまぶしい。
「そりゃ恋だよ」
俺はあまりのことになにも言えなかった。
恋。これが恋。
「恋とはあれか。なんか目の前にその人がいるとやたらどきどきしてピンク色な感じになるのか」
「なるね」
「へえ」
そうかこれが。恋。
リナはにやりと意地悪そうに笑った。
「わかったわあんたのズル」
ああその先は言わないでくれ。
「ミリーナね」
ガウリイはきょとんとしてなんだそれ、とリナに聞いていた。
ああこいつがクラゲ頭でよかった。


さて明日からどんな顔してあいつに会おう。






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大部分の人がはじめまして、かみはらと申します。
るくみりが私の中で不足してたので書きました。
すべてのるくみりファンへ捧げます。わたし、るくみり、だぁいすき!
がうりなのつぎくらいにすきです。あ、ぜるりなも捨てがたいですけど。
ルークさんとミリーナさんの性格がありえないくらい掴めてませんが、
そこはどうかあなたの心の目でカバーしてください。わたしの文章力じゃこれが限界です。
ではまたいつか。もう二度と書かないかもしれませんが。
読んでくれてありがとうございました。