◆−悪夢に沈む +今も苛む自責の念+(生か死か)−煌天由亜 (2004/9/27 21:29:24) No.30727


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30727悪夢に沈む +今も苛む自責の念+(生か死か)煌天由亜 2004/9/27 21:29:24




『大好きよ。
  【・・・・】ずっと大好きよ。
     絶対、私より先に逝かないでね。』


『≪ウィスパ−≫と≪タロウ・マスタ―≫
         この二つは仲が良くないけど
              私たちが掛け橋になればいいわね。』

『何故・・・。
  【・・・】・・・・何故なの?』





   悪夢に沈む  +今も苛む自責の念+



「・・・・・・っまたか。」
僕は、また目を覚ました。
数百年経っても、夢として見てしまうのだ。
幸せだった頃の夢や・・・僕が手にかけた僕の妻であるマグノリアが責めるような眼で見る夢を見るのだ。
「まだ、僕を恨んでいるのかい、マグノリア?」
ただ、夜の闇の静寂に耐えれずに、音を欲して声を紡ぐ。
過ぎ去って、彼女が今の際に恨まないと言ってくれたけれど、それでも毎晩・・いや目を閉じて眠りに入るたびに夢に見てしまう。
マグノリアとの息子は、僕を恨んでいたし時代が時代だからとても暮らし難かった。
でも、あの頃は、親友のガウルンやその姉のレリオンが居てくれたから、寝ている間だけは、安寧があったのに。
いまはそれすらない。
いっそ、本当に恨んでいても、憎んでいても、殺そうとしていても、もう一度君に会いたいよ。
こんな子供の姿だったけど、僕を愛してくれた君にもう一度会いたいよ。
救ってほしいよ、この悪夢の沼から。
絶対に叶わないことだけに、死以上に叶わないことだけに、切にそう思う。
「早くに、日本に行きたい。
 ・・・記憶だけでも、マグノリアに会えるから。」
また、闇の寒さを紛らわす為に声を出す。
20年前に飛び出したマグノリアの・・・≪タロットマスタ―≫の記憶を持つ紫苑の所に行けば、すこしは眠れるかな。
そんな安易で稚拙な考えに染まってしまうほど、独りは怖く淋しい。
ずっとずっと、数百年間独りだったときに比べて暖かいけれど淋しいとても淋しい。
いや、暖かさを知ったから淋しいのか?
わからない。
でも、確かに久遠よりもルナと居たときのほうがすこし暖かい。
やはり、マグノリアの記憶も持つ永蓮の血縁者だからか?
それとも、ただ彼女の中の母親を見ているだけなのか?


わからないけど、今はまだ、悪夢の沼に沈む為に眠ろう。
何時かその沼か出れることを祈って。





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ユア;この作品は、CESE5で、ルナ達が日本へ行く前のファウストを描きました。
   5―9で、少々明かされた過去にまだ彼は囚われているのです。
   そんな思いを突発で書きました。
   下書きもプロットもなし。
   今日一発勝負で書きました。

   それでは、生か死かの本編で。