◆−WorldofFrontier 〜奇妙な人に出会う可能性〜−遊白 (2004/11/25 14:09:55) No.30924
 ┣WorldofFrontier 〜刃の先に見えるもの1〜−遊白 (2004/12/8 01:27:06) No.30954
 ┃┗WorldofFrontier 〜刃の先に見えるもの2〜−遊白 (2004/12/8 01:39:25) No.30955
 ┣WorldofFrontier 〜刃の先に見えるもの3〜−遊白 (2004/12/8 01:43:04) No.30956
 ┗WorldofFrontier 〜刃の先に見えるもの4〜−遊白 (2004/12/22 03:13:43) No.30973


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30924WorldofFrontier 〜奇妙な人に出会う可能性〜遊白 E-mail 2004/11/25 14:09:55


初めて投稿します。
主人公はオリジナルキャラで、リナもガウリイも本編キャラ一人も出てきません。
こういうのを投稿してもいいのかビクビクしながら・・・・・




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





俺の故郷ゼフィーリアも「手加減一発、岩をも砕く」がモットーで変わった人の宝庫だけど・・・・・・・






世界って広いんだな・・・・・・・










森をもうすぐ抜けるその時、
「ん?」
後ろから何か聞こえた。
その音(?)は段々近付いてくる
(なんだ・・・・・・・?)
念の為、道の端による



ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ


何かが走ってくる音
それらはいい、それは予測してた。
しかし、続いて聞こえたのは

「おーほほほほほほほほほほほほほほほ」



「へ・・・・・・・?」
微妙にエコーがかかった高笑い



ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ


遠目に見える煙、そして猪。
猪は何か必死に逃げてるように見える


「おーほほほほほほほほほほほほほほほ待ちなさい、今日の昼ご飯!!」



ダダダダダダダダダダダダダダダダダタ

ビュゥン!!
ロキの横に風を切る音
ロキの長い髪が靡く。
そして高笑いの人は
「おーほほほほほほほほほ、キャ!」

   ベチャ

ロキの目の前でコケた。



「えっ・・・・・・・と・・・・・・・」
   この状況を俺にどうしろと?
ロキの目の前でコケた高笑いの人(既に定着している)は仰向けに倒れたままぴくりとも動かない
(死んだのか・・・・・・・(結構ヒドい(苦笑)ってな訳あるか!いくら打ち所が悪くても人間がそんなこでくたばるか!)
「お、おい大丈夫?」
ロキは近付いてそっとその人を揺さぶる
 ピクリ
微かに動いた
「お・・・・・・・す・・・・・・・た」
「おい!何言ってるんだよ!」
ロキは揺さぶりを強くする
こうなると流石に心配になってくる


「お・・・おなかすいたぁ」



その場に奇妙な空気が流れた














場所は街の食堂。
「・・・・・・・・・・・・・・」
ロキは目の前の女性を無言て見ている
と、言うより驚いて喋れない。
この女性は先程の高笑いの人である。
名前を「ナーガ」と言うらしいが、この人三日前に路地がつき飲まず食わずだったらしい。
今も物凄いスピードで皿が積み重なっていく。
(姉ちゃんてといい勝負だな)
注文しといた香茶をナーガから目を放さずに飲む。
   カキンッ
ナーガが伸ばしてきたフォークをロキはフォークで阻止する。
ナーガが伸ばしたフォークの先にはロキが自分用に注文しといたイカフライがある。
「人の食事を勝手に横取りしないで下さい」
ロキは一応、相手は女性で年上(見た目的に)の為敬語で話す。
ナーガは無駄に胸を張って
「ふっ貴方が食べないみたいで勿体ないから私が食べてあげようとしただけじゃない」
「ご心配なく、俺も折角頼んでものを残すなんて勿体ないことしませんから。
一つでも手を付けたら自分の食事代払ってもらいますから」
「いやぁね・・・・・・・冗談じゃない」
ロキが言うとナーガはすごすごとフォークを戻した。
それを見届けてからロキはイカフライをぱくつき食事を始めた。









食事も終え食後の香茶を飲んでいるとナーガの方も食べ終えたのか、(昼間から)ブランデーを飲みながら
「久しぶりの食事にありつけた事感謝するわ、よかったら名前を教えてくれないかしら」
(相手も白蛇のナーガって名乗ってるしな)
「ロキ=インバース」
簡単に答える。
「ロキ・・・インバース?」
ナーガは意外そうに聞いてくる。
ナーガは少し身を乗り出し
「貴方、リナ=インバースを知ってるの?私は本人を知ってるいるからはったりは効かないわよ!」
「リナ=インバースですか、【ドラまた】やら【盗賊殺し】、
【大魔王の食べ残し】、【紅蓮の魔女】と言われているリナ=インバースですか?」
「ええ、そのリナ=インバースよ」
「姉ですよ」
「え・・・・・・・?」
ポカンとそのままの体制で固まるナーガ
「ナーガが言ってるのは栗色の癖のある長い髪に紅色の瞳で黒いバンダナとマント、
数個のアミュレットをつけてて【悪人に人権はない】をモットーにしてるリナ=インバースでしょ、
ちなみに胸は小さい、だったら100%俺の姉ちゃんですよ」
本人が聞いていようものなら即座に攻撃魔法打っ放されそうな事を次々に言ってのけるロキである。
「そこまで詳しく言えるなら、リナの弟って言うのは嘘じゃないみたいね」
ナーガは腕を組み座り直した。





そしてナーガが一緒に旅をしてリナと関わった事件などの話をしてその場はお開きとなった。









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30954WorldofFrontier 〜刃の先に見えるもの1〜遊白 E-mail 2004/12/8 01:27:06
記事番号30924へのコメント

二度目の投稿です。
前回のが外伝みたいなので、
今回からのが一応本編となっています。


それでは、冒険の1ページを・・・・・・





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆







いや、どうも。
俺は今、森の中をある人物を探して彷徨っていたりする
そのある人物っていうのは他の誰でもない俺の親父だったりする
「あんの・・・くそ親父、どこ行きやがった」
事の発端は三日前、街で偶然、故郷にいる筈のとーちゃんに会った
下のねーちゃんが旅立って数年後、
俺は上のねーちゃんに「世界を見てこい」と言われ
防具やら剣やらと押し付けられて半ば強引に旅に出された
それから数年後、一人旅にも慣れた頃とある街でとーちゃんと再会した。
そりゃ、街中でいきなり名前呼ばれて
腕引っ張られたら誰だって驚くって・・・
まぁ、話は戻って
その日の晩は宿に同じ部屋を取って旅に出てからの体験談などに花を咲かせたりもした
そしてそれまでの経過は忘れたけど

「お前がどんだけ腕を上げたか俺が確かめてやる」

と、まぁ俺はとーちゃんに試される事となった訳よ。
今日も遅いから方法なんかは明日、と言う訳でその日はお開きとなった



次の日の朝、俺が起きると部屋にはとーちゃんの姿はなかった
取りあえずは早めの朝食をとって部屋に戻って初めてサイドテーブルに手紙が置いてあるのに気付いた
手紙にはとーちゃんの字で試す方法が書いてあった
方法は至極簡単、期限付きの鬼ごっこである
今日から一週間の間に俺がとーちゃんを見付ければ俺の勝ち
そこまではなんの問題もない。
問題はこっから先にある
期限以内に俺がとーちゃんを見付けられなくて俺が負けた場合は、故郷のねーちゃんにまだまだ力不足だと手紙を送ると書いてあった。
荷物を確かめると財布がなかった
(冗談じゃない!力不足だなんて、そんな手紙送られたらねーちゃんがしごきに来かねないじゃないか!)
そんなの絶対にイヤだ!それだけは阻止しなくては!
(ねーちゃん人当たりはいいけど、身内にはメチャクチャスパルタだもんな)
話を現状に戻して、今、ロキがいるのはクルシダの村。
海に面していること以外なんの取り柄もない小さな漁村。
はしけには数艚の小舟と、釣り人が一人。
今、金髪の青年がどこかに歩いていった。
少し離れているロキにも潮の香りが感じられる。
歩いていった青年をなんとなしに視界の端に収めながらロキは釣り人に近付いていく。
気配を隠し足音も消す。
腰の剣を音もなく抜き振り上げ
そして――――――
一気に振り落とす

キィィィィィィン

釣り人は間一髪の所を釣り竿でロキの剣を受けとめた。
暫し両者に沈黙がつづき波の音が微かに響く。
「この勝負(?)は俺の勝ちだな―――」
ロキは不敵な笑みをうかべ剣を鞘にしまう。
「とーちゃん・・・?」
釣り人――父はぽんぽんとズボンを払いながら
ロキと同じような違う笑みを浮かべながら立ち上がり
「ああ、十分、合格だな」
ロキの頭をくしゃっと撫でた
「じゃ、返して、財布」
はいっとロキが手を出すととーちゃんはポケットから財布を取り出し
ぽいっと投げた。
ロキは財布の中身を確かめながら確かめると、ポケットに閉まった。
「で、ロキはこれからどうするんだ?」
「俺?そだな・・・時間も時間帯だし、今日はここの宿に泊まるよ」
「そうか・・・」
とーちゃんは釣り道具を片付け
「じゃぁ、行くか」
「え・・・、一緒に?」
ロキが疑わしげに見上げる。
「今度は何も盗らない?」
一応、目の前にいる男は肉親とはいえ、前科有りなのだ。
「今度は、ぜったいに何も盗らねぇよ」
降参、とでもいうように両手を顔の横まであげるとーちゃん。
「本当に?」
「本当に。」

・・・・・・・・・

「わかった、信用する」
ロキが警戒を解くととーちゃんも腕を下ろす。
「それじゃ・・・」
「行くとするか」
二人は横に並ぶような形で歩きだした

あとはただ、波の音が――流れる。



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30955WorldofFrontier 〜刃の先に見えるもの2〜遊白 E-mail 2004/12/8 01:39:25
記事番号30954へのコメント

今回は『彼』の登場です。(パチパチパチパチ(拍手の音)
できるだけ彼とは絡ませるつもりです







☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆








「「ん?」」
小さく呟いてロキととーちゃんは足を止めた。
視線を感じた。
海と山にはさまれた、この小さな土地では、太陽が隠れるのも早い。
はや夕闇の色がおちかけた浜辺には二人の他には人影もなかった。
だが、確かに二人は視線を感じた。
視線の先には小さなおんぼろ掘ったて小屋が一つだけ。
近付き探ってみるが中には、ただ、幾つかのがらくたと湿った闇だけ。
興味を失った二人はきびすを返して村へと向かった。










二人が訪れたのは、ちゃんとした宿、というよりも、たまたま大きな家を持っていたものが、
道楽半分、副業半分のつもりではじめた宿兼食堂、だった。
宿に入った途端、何かを見付けたのか、父は早足に歩きだした。
「ちょ、ちょっと、とーちゃん!」
「まぁ、黙ってついてこいって」
ロキが呼ぶが父は短くいうだけ。
父が見てるであろう先に視線を送ると一人の金髪の青年が座っていた。
(あれ?、この人、さっき浜辺で見かけた・・・)
見かけたと言っても父親を見付けた時にちらっと視線の端に見たぐらいなものだ。
「ヒマそうだな」
ロキが不思議に思っていると父が青年に声をかけた。

「・・・・・・あんたか・・・・・・」
頬杖をついたまま青年は振り向きもしないまま言った。
そのまま父は青年の向かいに座り
「おい、お前もこっちに座れ」
(いや、・・・・・・そう、手招きされても困るんだけど・・・)
父はこの青年と面識があるらしいが、自分はない。
見知らぬ赤の他人に相席させられてもこの青年はいい気分はしないだろう。
どうしょうか、考えていると青年がこちらを向いた。
「えっと・・・相席、いいですか?」
どうしょうか、わからずロキが言うと青年は父と自分を交互に見る。
初対面同士、微妙に気まずい空気が流れる。
しかし父には焦れったかったのか
「んなもん、俺が許す!だから座れ!」
「うわっ!」
父はロキの腕を引っ張り無理矢理、座らせた。
事態が飲み込めてなさそうな青年と目が合い
「・・・ども・・・」
小さく頭を下げた










とりあえず、ロキはべルトの剣を外しテーブルに立てかける。
父は青年の方―――テーブルに立てかけてかる剣を見て
「・・・・・・結局、捨ててねぇんだな。その剣」
ロキは黙って聞き手にまわった。
「ほっといてくれよ。それより、なんでわざわざそこに座るんだよ。空いてる席は他にもあるぜ」
「そう言うなって。メシなんざ、大勢で食った方が旨いって、昔から決まってるだろ?」
(・・・・・・かもな・・・・・・)
ロキは故郷の食卓風景を思い出す。
下のねーちゃんの食べる量の多いこと多いこと。
もう、賑やかで、それが普通だと思っていた。
故郷を離れて慣れない頃は一人で食事するのが物足りなくて味気なかった。
「気取ってる割には淋しがり屋か?」
「かもな」
(俺もね)
青年の揶揄を、父はあっさりと受け流し、かすかに自嘲の笑みを浮かべ、
「昔は平気だったんだがな。
今は駄目だな。家族持って、騒がしいのに慣れちまった。
適当に理由をつけて、久しぶりに気楽な一人旅・・・・・・と、
やってみたもんの、あっという間に飽きちまったすぐに帰るのもシャクだからな。あちらこちらをうろついて・・・・・・で、この村で、いかにも悩んでます、ってなツラぶら下げたあんたに出会った」
「オレはあんたのヒマ潰しかよ」
(んな・・・・・・このにーちゃんにとっちゃ傍迷惑な)
先程からココロの中でツッコミまくるロキ。
「ま、そんなところだ。これだけ、いかにも悩んでます、って空気ロコツに撒き散らしまくってる奴も珍しいからな。
思わず声かけちまったよ」
ロキは改めて青年を見た。
長い金の髪に蒼い瞳。
しかし今は、その瞳も今は曇っている。
(なんか、まさに・・・・・・【目は口ほどに物を言う】、ってぇのの見本のようなにーちゃんだな)
ロキは故郷のねーちゃんにいろんなことをふきこまれた。
そのため、このぐらい見抜くのは簡単なのだ。
(俺がここまで悩んでたら・・・・・・辛気臭いってねーちゃんにどつかれるな)
ロキは一瞬、その光景を考え、身震いした。父と青年はロキの様子に気付かずに話を進める。
「悩みなんて誰でもあるだろ」
「確かにまあ、その通りだ」
言って父はテーブルに身を乗り出すと、声をひそめて、
「けどな、同じ男として一つだけアドバイスしてやるよ。
惚れた相手の前だけは、悩んだ姿なんて見せるんじゃねえぞ」
「ええ!?」
父が言うと青年は顔色を変え、慌ててぱたぱたと手を振り
「オ・・・・・・オレは別に、あんたに惚れてるわけじゃあないぞっ!」

   ずべしゃっ

ロキはそのまま机に顔面モロに突っ込む。
「当たり前だボケェ!誰もそんなこと言ってねぇっ!」
青スジ立てて怒鳴る父。
「けど、話の流れからすると・・・」
そこにロキはガバッと起き上がり
「こらまて、にーちゃん!今のをどこをどー聞いたら、そうなるんだっ!?」
「いや、その、だから・・・」
今まで黙っていた少年にいきなり食って掛かられ青年は少し狼狽えるが、そんなの無視だ。
父はぐしゃぐしゃと髪を掻き毟り
「悩むなとは言わねぇが、それを人前に晒すのはカッコいいもんじゃねぇ、って言ってんだよ!」
「・・・なんだよ・・・それなら最初からそう言えばいいじゃないか」
「最初からそう言ってんだよ俺はっ!天然かてめぇ!?」
ロキは座りなおし
「天然って・・・それで、結局あんたは―――」
「そんなボケ、俺の家で言ったらねーちゃんにどつかれ―――」
言いかけて、ロキと青年は言葉を切った。
気付いたのは多分ほぼ一緒視線を送ったその先は、店の戸口。
そこには三人の男が佇んで、三人の方を見ている。
「旅の・・・・・・戦士の方々ですね」
視線が合ったのをきっかけに、声をかけてきたのは、髪も伸ばした髭も白い老人だった。
「ああ・・・・・・そうだけど・・・・・・」
青年はちらっとロキを見た。
確かに一式身に付けているが、『戦士』というには幼く、違和感がある。
「実はその・・・・・・お話があるのですが・・・
とりあえず、食事でもご一緒しながら聞いていただけますでしょうか・・・・・・」
青年がわすかに迷いの色を見せてた。
「・・・・・・まあ・・・・・・話を聞くくらいならかまわないけどよ・・・・・・」
ロキは座り直した。
「ありがとうございます」
深々と一礼すると、老人は、一旦調理場の奥へと向かった。
ロキはそれをじっと目で追う。
厨房の女主人と二言三言話している。
(なんで・・・・・・?)
女主人と話している老人にロキは妙な違和感を感じた。
老人は再びやって来て、
「お待たせしました。食事は私どもで持たせていただきます」
言って老人は、三人と同じ席につき、連れの男二人がそばに控える。
「―――で?  話っていうのは?」
「・・・・・・はい・・・・・・私はここの村長をやっております、カイル=ブニッツと申します」
青年に促さし老人―――村長は、ぽつりぽつりと話しはじめた。
ふと、ロキが顔をあげると女主人が料理を運んでくるのが見えた。
女主人が青年とロキと父の前に料理を置いていく。
サラダとスープ、パンと煮魚。いたってありきたりなセットメニューである。
「・・・・・・あ、どうぞお召し上がりになってください。話はお食事がてらに聞いていただければ結構ですので。さ。どうぞ」
促され、青年とロキと父がフォークを取ったを見取ってから、村長は言葉を続ける。
その時、ロキは煮魚からするはずのない匂いを感じた。
「・・・・・・何と申しましょうか・・・・・・実は、しばらく前から、この村はトラブルに見舞われておりまして・・・・・・」
「それは、災難でしたね」
適当にあいづちながらパンを一口サイズにちぎり、口に放りこむロキ。
父はパンをかじりつつ、青年はサラダをぱくつき無言のまま、村長の方に視線を送る。
「この村は・・・・・・山と海とて囲まれています。ある者は海に出て漁をし、またある者は山で狩りをし、生計を立てております」
(なんで、こんな時に村の生計なんか話しだすんだ?このじーちゃん)
ロキはそんなこと考えながらサラダにフォーキをのばす。
青年が煮魚にフォークをのばすと
「にーちゃん、ちょっと、待った」
「――話の途中で悪いがまった」
一同の動きと言葉を止めたのは、父の発した声だった。
ロキが青年の裾を引っ張るのと父が声を発するのは一緒だった。


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30956WorldofFrontier 〜刃の先に見えるもの3〜遊白 E-mail 2004/12/8 01:43:04
記事番号30924へのコメント

「――話の途中で悪いが待った」
一同の動きと言葉を止めたのは、父の発した声だった。



決して強い口調ではないが、どこかあらがいがたいものがある。
父は青年に顔を向け、
「一応忠告しといてやるが、その煮魚には手を出すなよ。変な薬が入ってる」
「多分、毒」
父の後にロキが続く。
『な・・・・・・!?』
顔色を変えたのは、村長と、その取り巻き。
「な・・・・・・何を馬鹿な・・・・・・!?」
顔色をまともに変えて言う村長に、父は皮肉な笑みみ向け、
「おかしいんだよ。料理の出てくるタイミングがな。
でもって煮魚のこのにおい。ボルジ海蛇の毒、ってところか?」
続いてロキがピコピコとフォークを動かしながら
「言った途端に、馬鹿正直に顔色変えるってことは、図星なんだろ?
違うんだったら、俺達の目の前で食べてくれる?これ?」

  ―――ねぇ、村長さん?

にっこりと笑うロキに腰が引ける村長。
「―――くそ!」
呻いて飛びかかってきたのは取り巻きの一人。
遅れてもう一人。
一人目の狙いはテーブルに立てかけられている青年の剣。
しかし、青年は先に引っ掴み、立ち上がりざまに、鞘でその取り巻きの後頭部を打ちすえた。
もう一人の取り巻きはロキに向かった。
子供には勝てると思ったのだろう。
取り敢えず突っ込んでくる男を避けて引き戻しておいた剣の鞘で男の後頭部を思いっきりぶん殴る。
「ぐぶっ!?」
「ぐばっ!?」
呆気なくやられる取り巻き達。
「どういうことだ!?」
(いや・・・・・・どうしたも、こうしたもないだろ・・・・・・にーちゃん)
ロキは腰のベルトに剣を取り付ける。
青年の問いに村長は苦渋の色をその表情ににじませて、
「・・・・・・村のためだ・・・・・・許せ・・・・・・」
「許すかボケェ!」

 どがしゃぁぁぁっ!

叫びとともに父が蹴り返したテーブルが、村長の顔面に直撃した。
「じぃちゃん、文法めちゃくちゃ」
ロキは呆れたようにノビた村長を見下ろす。
「宿の連中もグルだ!外行くぞ!」
「わ・・・・・・わかった!」
「なんか・・・・・・イヤな予感するな」
三人は店を飛び出して―――言葉を失くして立ちつくす。
あたりには、村の男たちが集まっていた。
手に手に、ナイフや棍棒、かぎ竿などの武器を持って。
「・・・・・・てゆーか・・・・・・村中がグルかよオイ」
「・・・・・・お約束な・・・・・・」
呆れたような父とロキの声。
「どうする?あんたとこいつの剣で、片っ端からすぱすぱ殺っちまうか?」
「そういうわけにもいかないだろ」
父と青年のやり取りを見ながらロキは剣に片手をかけて。
「―――さて・・・・・・」
周りを無表情に近い顔て見渡し
「事情くらい、話してくれる?」
だが人々は、じわりっ、と包囲の輪を詰めるだけ。
「わかってんのかてめぇら?」
変わって、父が声を張り上げる。
「誰かを殺す素振りを見せるって、ことはよ、その相手に返り討ちで殺されてもかまわねぇ、って宣言に等しいってことを、よ。言っとくが、痛ぇぜ。斬られるのは」
ぐるりと一同を眺め回して
「最初は、はたかれたみてぇにしか感じねぇ。
けど、ぶちまけられてるのが自分の血だと、目の前に転がってるのが自分の手足だと気付いたとたん、ドギツい痛みがやって来る。
いや、痛みなんて可愛いもんじゃねぇか。傷口で、焼けた火箸がタップダンスしてるみてぇな感覚が脳天までつき抜ける。
ショックでそのままくたばるか、たとえ命が助かっても、傷が治るまで何日か、何十日か何百日か、熱や痛みにまとわりつかれる。
―――さあ。最初に体験してぇのは誰だ?」
言われて男たちに動揺が走る。
父が持ってるのは小荷物と釣り竿だけだが、青年と少年は剣を手にしているのだ。
彼らとて、自分たちの腕がプロにかなわないことくらいは知っている。
多少の犠牲は覚悟しているのかもしれないが、自分がその犠牲になりたいと考える奴はいないだろう。
あったらそれは立派な自己犠牲だ。
「・・・・・・うわぁ・・・・・・希望者一人もなしって・・・・・・」
呆れたようなロキの声。
「なら、こっちの方からご指名だ。
行くぜガウリイ、ロキ。狙うは・・・・・・」
父はあたりを見回して――通りの一方を、びっ!と指差し、
「そっちだ!」
指された方の人垣が割れた。
「走れ!」
父の声と同時に三人は地を蹴る。
完全に腰の引けた男たちは、襲い掛かるどころか逆に身を引くのみ。
ロキと青年と父はあっさり囲いを突破して、無人の通りを駆けてゆく。
そこにようやく―――
店の中からよろよろと、村長が姿を現した。
一目で状況を見て取って、
「何をしている!?絶対逃がすな!」
だが、その声が響いた時にはすでに、三人の姿は宵闇の奥へと溶け込んでいた。

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30973WorldofFrontier 〜刃の先に見えるもの4〜遊白 E-mail 2004/12/22 03:13:43
記事番号30924へのコメント

山の夜は、昏い。
つきと星のわずかな光も、茂る木々の葉に遮られ、ほとんど大地に届かない。
その闇が支配する大地に、三人はいた。
「おーおー。山狩りまではじめてやがるぜ。がんばるなー」
ちろちろと見え隠れさつつ近付いてくる、松明の火に目をやって、父はのんきな声で言った。
「・・・・・・ま、自分らが町ぐるみで人殺しやろうとしてた、
なんてことがバレちゃあマズいからな。そりゃあ焦りもするわな」
「・・・・・・なあ・・・・・・聞きたいことがあるんだが」
「ん?」
ふり向いた父に青年は真摯な面持ちで、
「あんた・・・・・・なんでさっきからずっと、釣竿なんてかついでるんだ?」
「気にすんな。
火事になった時、枕抱えてうろうろしてる奴がいるだろ。あれと同じだ」

・・・・・・実はうろたえてたのか・・・・・・?
・・・・・・こんぐらいのことでうろたえるタマかよ・・・・・・

内心つぶやく青年とロキ。
「ま、そいつはどうでもいいとして、だ。で?どうするよ?これから」
「そういうあんたは、どうする気なんだよ」
問い返されて、父はなぜか、面白そうに、
「そうだな・・・・・・一番簡単なのは、このままとっとどこかへ逃げて、何もかも忘れる、ってことだな」
「無責任だな・・・・・・せめて他の町で役人に知らせるとか・・・・・・」
「無理だね」
今まで黙っていたロキが話し出した。
父と青年の視線がロキに集まる。
「先の村が旅人を捕まえて、殺してる。なんて、役人に話しても、どうせ信じてもらえないよ。
もしも信じて、捜査が始まったとしても、村の全員で口裏合わせて、ことはうやむやになって終わり。
下手すれば、俺達が犯人にされる可能性だってある」
暫し、静かになる三人。
ちらっとロキが父を見ると前髪を掻き上げて
「こいつが言うことも一理あるが、逆に簡単じゃねぇ方法ってのもあるけどな」
「「簡単じゃない方法?」」
青年とロキが見事にハモる。
「ああ。なんで連中が俺たちを狙ったのか、その理由を聞き出して、原因を潰す」
「なるほど。じゃあ、そっちで行くか」

   ずるっ

コケかける父とロキ
「・・・・・・んな、間髪いれずに言うなよ・・・・・・にーちゃん」
「・・・・・・めちゃめちゃ気軽に言いやがるな。オイ。理由をきいても、どうにもならねぅかもしれねぇぜ」
「そんなもの、聞いてみなくちゃあわからないだろ。それに―――」
青年は、剣の柄を軽く叩き、
「・・・・・・オレのうちで、な、こいつを巡って、いろいろごたごたがあったんだ。
こんなものさえなきりゃあ・・・・・・って思って、こいつを持って飛び出しだ。
けど、あんたは言ったろ。こいつで何かできるかもしれない、って。
それを今、確かめるのも悪くないだろ」
ロキはじっと青年を見つめる。
青年が持っている剣が何なのかは、わからない。
しかし、青年の様子から、剣が原因で青年の身近で何かがあったのかは、考えられる。

状況がどうであれ、人は『力』に飲まれやすい生き物なのだ。

「――ふむ――」
父は小さく笑みを浮かべ、
「いいだろう。じゃあまずは、村の連中とっ捕まえて事情を聞くとするか」
ふたたび松明の群れを眺め――
「こっちだ」