◆−sisin相応、4−ぷらすとーる (2005/5/19 23:07:56) No.31457
 ┗Re:sisin相応、4−パッチー (2005/5/20 21:49:04) No.31459
  ┗感想ありがとうございます!−ぷらすとーる (2005/5/21 17:35:40) No.31460


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31457sisin相応、4ぷらすとーる URL2005/5/19 23:07:56


こんばんは、ぷらすとーるです。中華SFファンタジーの第4話をUPさせてもらいます。今回は繋ぎの話なので、劇的に盛り上がる事は無いですが、雰囲気を感じ取ってもらえたら幸いです。それでは。
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「どうしても聞いたらダメなんですか?」

あれからまた別の路地裏に私たちは身を移していた。その前に私は間に合わせに男物の服を古着屋で買って王さんに渡し、王さんは血の付いた服を着替えている…。

「あんたはもうこれ以上関わらない方がいい。」

大柄な体にジャケットを羽織りながら、王さんはそれだけを切り捨てる様に答えた。

「なら、ボルツは一体どうなってるんです?私はボルツの友達なんです。この事も答えてはもらえな

いんですか?」

表通りからは3Dのビジョンで歌うアーティストの歌と、微粒子ホログラムの質量のある神獣のセットがモニターから飛び出して街に流れてるのが見えた。
王さんは着替えを終えて座り込んでいた私の方を向き、私が持っている翡翠に目をやって少しだけ頭を軽く振った。目は相変わらずサングラスに隠れてたので、良く分からなかったが…。

「大事な人なんだな…。」

ポツリと王さんはそう呟いた。

「小さい頃から友達でしたから。」

「それが大事に思う理由かい?」

その一言に、少しだけ私は王さんをキツイ目で睨んだ。王さんは私の目をほんの少しだけじっと見つめ…。

「成る程…。」

そう言って、王さんは穏やかな口調で何だか一人で納得した様にしてしまった。ちょっと身構えるようにしていた私は思わず緊張が拍子抜けするのを感じた。本当に、何だかそれで納得してしまったらしい。

「さて、問題はこの大通りをどう無事に騒ぎを起こさずに抜けるか…。」

そう言いながら、表通りの光の指す方に目を向け、静かに呟いた。確かにどういう理由かは別にすれば、私(あるいは王さん。)を狙ってるらしい人はまた何かの手を打ってくる可能性が高いし、それが最初の騒ぎの様に街中なら尚更だ。

「私たちを狙ってる人たち、街を管理するネットの非常用の体温識別にでもハッキングしてるんでしょうか?なら、何とか人通りの多いところを逆に場所を移しながら遠回りするとか…。」

最近はそういう犯罪も巧妙化しているし…。

「精気を感じられれば、そんな大層な事をする必要は無いさ。」

(精気…?)

大真面目に言われたが、そんな人間が当たり前に真空の中を旅する近代よりも、遥かに以前の概念を言われても…。ある意味では斬新なんだけど…。

「幸い、今はそういう精気の匂いがしない。早いうちに身を隠せて逃げられる時は逃げられるような…、まあ理想どおりとは行かなくても理想に近いところを探すべきだろうな。」

王さんはそう言ってジャケットを羽織った体を大きく伸びをさせて、血で汚れた白い拳法着をバッグに詰めて、もう一度表通りに注意を払う様に目を配った。

「行こうぜ。今は考えるよりもその分を動く方が重要だ。」
 
「彼女のところへ…、ですか?」

私はボルツがくれた、翡翠が埋め込まれたリストバンドを思わず見返した。

「何故、あの面子の中から『朱雀』が女性だって分かったんだ…?」

「あ…。」

そう言えばそうだ。私はあの4人が四神の名を冠している事は薄々分かっても、『朱雀』さんがあの中の綺麗な女性だなんて根拠を知る訳が無い。さっきの王さんの事と言い、一体何故…。

「実を言うとな。」

王さんは表通りを向いたまま、私に声を掛ける。

「俺はあんたが居るから、朱雀のところまで無事に…、行くかどうか分からないが辿り付ける気がしてるんだ。」

「それは、このリストバンドの翡翠が何かそれだけの力を持つって言いたいんですか?」

「……。」

王さんはそれには答えず、少しの間沈黙した。

「とにかく、あんたが本来知りえない筈の事を知ってしまうのは事実だ。だから、あんたが危険を感じるところから裏を付いて廻ろうと思ってる。」

「!!それは、私を便利な道具にするって事ですか?」

王さんの言葉に私は思わず感情的になった言葉をぶつけた。

「ムカつくかい?」

「……。」

今度は私が憤慨して沈黙する番だった。

「俺もだよ。」

「え…?」

王さんのその言葉は妙に沈んでいた…。

「行こうぜ。俺もあんたを利用する以上、あんたの身に傷一つ付けずに目的地まで辿りついて見せる。せめてもの交換条件さ。」

その言葉が終わるか終わらないかの内に、王さんは表通りに拳法着を詰めたバッグを背負って歩き出した。

「あ!ちょっと!!」

私もとにかく王さんの後を追って、表通りに飛び出した。
『封人』、『翡翠』そしてボルツの行方…。分からない事が多すぎるけど、いつまでも闇に覆われた路地裏にいても始まらない…。

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31459Re:sisin相応、4パッチー 2005/5/20 21:49:04
記事番号31457へのコメント

こんばんわ!sisin相応4、読ませていただきました!
やはり、ぷらすさんのは世界観が良いですね。
中国系の作品にありがちな読みにくさも無いですし・・・
読みやすくて面白かったです。
続きも楽しみにしています。色々大変そうですが、頑張ってください!!
それでは

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31460感想ありがとうございます!ぷらすとーる URL2005/5/21 17:35:40
記事番号31459へのコメント

こんにちは、パッチーさん。感想のレスありがとうございます。

>やはり、ぷらすさんのは世界観が良いですね。
>中国系の作品にありがちな読みにくさも無いですし・・・

世界観は、あえて未来と古代中国を合わせた物にしようと試みているんですが、気に入って頂けたならこちらも嬉しいです!

>読みやすくて面白かったです。
>続きも楽しみにしています。色々大変そうですが、頑張ってください!!
>それでは

はい。『読みやすい』ってのは重要なポイントだと思ってます。特に僕の場合は元々の設定がややこしいのが多いので…(苦笑)。
続きもなるべく早いうちにUP出来る様にしますね。
 
それでは、レスありがとうございました。パッチーさんも作品頑張ってくださいね。