◆−光と闇の狭間で †序章Y† 氷と炎−ソエル (2005/7/17 17:47:35) No.31595 ┣†序章Z† 亡者の砦 廃墟に巣食う影 −ソエル (2005/7/21 13:07:14) No.31601 ┣†序章[† 戦闘開始−ソエル (2005/8/8 17:53:49) No.31687 ┗†序章\† レヴィアスの剣−ソエル (2005/8/15 12:22:46) No.31704
31595 | 光と闇の狭間で †序章Y† 氷と炎 | ソエル E-mail | 2005/7/17 17:47:35 |
◆前書き◆ やっと再開します。 ここの所テストやら何やらで時間が取れなくて・・・すみませんm(__)m だいぶ間が開いてしまいました・・・ この夏休みにそこそこ進められるといいんですが・・・私書くのひたすらおそいんで・・・(^^; まぁでもがんばります! では、拙いですがよかったらお読みください。 ――――――――――――――――――――――――――― サアァァァ・・・・・・ 涼やかな風が途切れることなく木々の間を通り抜け、枝葉が優しい音色を奏でる。レヴィアスは夜風の流れる中、一人佇んでいた。 「お、やっぱここにいたか」 振り返ると、ライドが手に紙束をもってこのバルコニーの出入り口に顔を覗かせていた。 「・・・どうかしたのか?」 「どうもこうも、お前の部下から報告書を預かった」 ほらよ、と報告書を投げてよこす。レヴィアスは片手で受け取って早速読み始める。 「お前よくこんな暗い中で読めるよなぁ・・・。いくら月が明るいからって」 「夜目はきくからな。ところで、よくあれから逃げ出せたな?」 手の報告書に目を向けたまま聞く。時々ぱら、ぱらと紙をめくる音がする。 「お前なぁ・・・すっごい大変だったんだぞ?アレ・・・」 言ってまざまざと思い出したのかぶるっと身を震わせる。 「なにも、魔王竜〈デイモス・ドラゴン〉とレッサーデーモン呼んだあげく、氷張った湖のうえで戦わせなくても・・・」 「退屈しなくていいだろう?」 「退屈どころじゃねーよ!」 「なら緊張感があって――」 「ありすぎだ!」 「ふむ。ならば、稽古になってよかっただろう?」 「そりゃあ、そうだが・・・それにしたって程があるだろ!?」 「そうか?」 「あのなぁ・・・ソレイユも俺もレッサーデーモンやら魔王竜が氷を消してくれたおかげで、何回もむちゃくちゃ冷たい水の中に落ちたんだぞ!?ったくあやうく風引く所だったつーに」 「浮遊〈レビテーション〉は使わなかったのか?」 「俺は使えねーし、ソレイユはやたらスピードが遅くて狙い撃ちにされかけてるし・・・」 「・・・まだまだ、だな」 「お前に比べりゃ誰だってそうだろうが!っと、読み終わったのか?」 報告書を閉じてしまうレヴィアスを見て、ライドが口調を切り替える。 「ああ。大方はな」 「で?どうなんだ?」 「連中の拠点にいくつかあたりがついた。私が独自に調べさせた所とも一致している。間違いないだろうな」 ってことはフロスト・シティの時に見当はついてたのかよ、と突っ込みたかったが敢えてそれは飲み込んだ。 「・・・連中の戦力は?」 「報告書には、だいたい200から300とあったが、実際はもっと多いだろうな。合成獣やコピーホムンクルスも使うだろうしな」 「それ、領主の正規部隊は抜いてるんだよな?」 「ああ。だが、正規部隊を動かしたらそれこそ取り返しがつかなくなる。そんな危険な事を私相手にするほどラインハルト卿は馬鹿じゃないだろう」 「ま、そりゃそうか・・・国の隠密相手にそんな事しようもんなら、証拠をとってくれっていうのと変わりねーし」 「そういうことだ。まぁ、反乱の準備が整うまでは、危険な橋はわたらないだろう」 それはどうかなとライドは首を傾げる。 「にしても、よくそんなに集まるもんだよなぁ・・・」 「聞いた話では、かなりの貴族達がラインハルト卿に賛同しているらしい。それに、ラインハルト卿が治めるセレスト領は肥沃な土地だからな。財力の面では問題ないだろう」 しみじみというライドに、レヴィアスは冷静に切り返す。 「だからって動き始めたのここ最近の事だろ?それでその数集められるってのはすげーと思う」 「お前、私の言う事を聞いていたのか?ラインハルト卿は、数年前から反乱の機会をうかがっている。そのために、めだ立たないように少しずつ準備はしてきてるはずだ。最近になって動きが活発になっただけのことだ」 「準備がもう少しで整うってことか?」 「ああ。それに、ゼロスが写本が連中の手に渡ったと言っていた。急がないとまずいだろうな」 ライドは写本ってなんだよと思ったが、話の腰をおりそうだったのでまたもや言葉を飲み込む。 「んじゃ、明日は一番近い所に向かうってことか?」 「そうなるな。」 「で、どこだよ?」 「それは明日まとめて皆に話す。今日はもう寝たほうがいいだろう」 「わーったよ。ってお前、もしかしてこの報告書が来るの待ってたのか?」 初めて気がついた、という風に言うライドを、レヴィアスはじと目で見つめる。 「ああ」 「あーじゃあ、遅くなって悪かったな」 ライドは視線をそらして、頭の後ろをかきながら気まずそうに言う。 「いつ渡されてたんだ?」 「けっこう前・・・。魔王竜とレッサーデーモンをなんとかぶっ倒して、水ん中からでてきた後・・・」 「・・・今まで何してたんだ?」 レヴィアスはライドの台詞を聞いて、じと目を通り過ぎて、あきれ果てたという風に訊く。 「一回来たんだが、そん時はゼロスとかゆう神官と話してたみたいだったからなー」 「また来ようと思ったら忘れた、と」 「悪かったって。次からは気をつけるから、な?」 「ほう・・・・・・まぁいい。今日はもう寝るぞ」 「おう。じゃあまた明日な」 言って二人はそれぞれの部屋に向かった。 |
31601 | †序章Z† 亡者の砦 廃墟に巣食う影 | ソエル E-mail | 2005/7/21 13:07:14 |
記事番号31595へのコメント †亡者の砦 廃墟に巣食う影 ――街道から離れた森の中。どこを見ても人影はない。・・・「遺跡」近くの大樹に潜む者たち、4人以外は。 「ったくよくあんな所に居座る気になるよなー」 「同感だな」 幹にもたれかかって、ライドが半ば呆れたように呟くと、近くの枝に腰掛けていたレヴィアスは最もだというようにうなずいた。そして、目の前の「遺跡」を見やった。 そこには、使われなくなった砦がただひとつ、山の中に建っていた。いかにもアンデットがいそうな雰囲気を纏った、朽ちかけた砦である。 そこここに蔦が絡みつき、三方を鬱蒼とした森に囲まれているせいか薄暗くじめじめしていて、薄気味悪い事この上ない。 「まぁでも、隠れるにはいいんじゃないですか?」 「隠れるには、な。だが、悪趣味だ」 木の上の方からゼロスがのほほんと言って雰囲気をぶち壊すと、レヴィアスはろこつに顔をしかめて言い返した。 だが、レヴィアスが「悪趣味」と言い切るのもあながち嘘ではない。 というのも砦を眺めていると、窓や物陰に時々ぼぅっと幽霊らしきものが浮かび上がり、こちらの視線に気付くとふっと消える。 どうやら見張りか何かをさせているらしいのだが・・・要するに、悪霊〈ゴースト〉にかこまれて生活しているようなものだ。 「ま、ああゆう人たちは感覚が壊れてますから・・・」 「だからって、死霊術士〈ネクロマンサー〉まで使うかふつー?」 ゼロスはどこか悟った風だが、ライドのほうは合点がいかないらしい。 ――悪霊〈ゴースト〉が見張りをしているということは、当然それをあやつる死霊術士〈ネクロマンサー〉がいる。 とはいっても、この死霊術士というのはそう多くはない。しかも、大体の者が人里はなれた所に居るから、結構探すのに苦労するものなのだが・・・ 「今どき死霊術士〈ネクロマンサー〉なんてそうはいねーぞ?」 「確かにな。だが、裏の道に通じるものならば、知っていてもおかしくはない」 「あー・・・暗殺関連ってことか・・・」 レヴィアスはこともなげに言ったが、ライドは声を低くしていた。 「ああ。―――話はここまでだ。そろそろ気を引き締めろ」 そう言って、音もなく木の枝から飛び降りる。 「っと、まった。どーもソレイユの調子がおかしい」 「ん?」 レヴィアスが振り返ると、ソレイユは青ざめたまま立ち尽くしていた。 「ソレイユ?」 レヴィアスが珍しく心配そうに声をかける。 ――しばしの間。 「おい、大丈夫かよ」 ライドまでソレイユに近寄って不安そうに話しかける。ゼロスはというと、木の上からその様子をどこか面白そうに眺めていた。 「・・・・・わ・・・・ぃ・・・・」 「「は?」」 やがてソレイユが消え入りそうな声で何事か口にするが、レヴィアスとライドには何のことやらわからなかったらしい。二人揃って聞き返す。 「・・・やっぱ怖いぃぃぃ・・・」 逃げ腰でレヴィアスにしがみつきながら、ソレイユはふるふると首を振った。 「・・・お前なぁ、巫女のくせにアンデットが怖いのかよ?」 少し間をおいて、頭の回転の速い(というか、言い返すのが速い)ライドが呆れたように言った。 「巫女でも何でも怖いものは怖いの!!」 「んじゃ、ここで待ってりゃいいだろ」 「嫌!一人でこんなとこ居たくないぃ・・・」 「だったらついてくるしかないだろーが。お前の方向音痴は筋金入りだし」 ライドはしょうがない奴、とでもいいたげにため息をつく。それを見たソレイユは、ついに開き直った。 「あぁもう!いけばいいんでしょ!?いけば!」 ――やけになったといった方がいいかもしれない。 ギギギギギ・・・ 何の前触れもなしに、金属がこすれる耳障りな音が辺りに響く。見ると、砦の正面の巨大な扉がゆっくりと開いてゆくところだった。 「「!!」」 「ん・・・」 「おやおや・・・」 ソレイユとライドは普通に驚くが、レヴィアスは無表情で全く動じず、ゼロスにいたっては笑顔で事の成り行きを楽しんでいる。 「・・・痺れを切らしたか」 「どうやら、お喋りが過ぎたようですねぇ」 「だな・・・」 そう言ってレヴィアスはライドのほうをちらりと見る。 「・・・もしかして俺のせい?」 「いや・・・行くぞ」 言い放ち、レヴィアスはソレイユをしがみつかせたまま、すたすた砦の正面口に向かって歩いていく。ゼロスもいつの間にか木から下りていて、悠然とその隣を歩いている。ライドだけがぼーっとしていたせいで遅れ、慌ててその後を追った。 ――こうして、レヴィアスたち四人はようやく廃墟と化した砦の中に踏み込んだ。 † † † ――数刻前。 「はぇ?ジルギス・シティにいくんじゃないの?」 朝食の席で、ソレイユは間の抜けた声をあげていた。因みに、パンをかじろうとした格好のままだ。 「ジルギス・シティには勿論行くが、その前にやっておく事ができたからな。この近くの遺跡に行く」 「この近くの遺跡って・・・・・・もしかして、あの『砦』にいくの?」 淡々と言うレヴィアスに対し、ソレイユは少し青ざめて、おそるおそるレヴィアスに訊いた。 「ああ。・・・それでいいか?」 ソレイユには身も蓋もなくこたえて、レヴィアスはゼロスに目を向けて尋ねた。 「・・・ま、僕は別に構いませんよ」 ゼロスは『探し物』が見つかるかもしれませんし、といつものニコニコ笑顔で返した。 「ならば、用意が出来次第そこへ向かう。いいな?」 「おう」 「異存はありません」 「・・・・・・」 レヴィアスの確認にライドとゼロスはうなずくが、ソレイユは青ざめたまま何やら口をぱくぱくさせていた。 が、レヴィアスはそれに首をかしげただけで、もう次の話題に移ってしまったのだった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆後書き◆ なんか・・・どこで話を切ればいいのかわかりません;;よって今回も妙な所で切れます。ごめんなさい。 後、前回解説あるのにあとがき忘れたためまとめて書きます(^^; 序章Yの題「氷と炎」は相反するものとか、そういう意味です。私の中ではレヴィアス=氷、ライド=炎、というイメージがあるので・・・。まんま「レヴィアスとライド」は流石に嫌でしたし(ーー; 二人はライバルとか相棒とか、そんな感じの関係です。・・・今はまだ仲間か。 さて、今回やっと敵地潜入しました(一応。題は・・・そのままですね。 それにしても、ゼロスがゼロスにならない・・・違和感を覚えた方、ごめんなさい(汗 |
31687 | †序章[† 戦闘開始 | ソエル | 2005/8/8 17:53:49 |
記事番号31595へのコメント 「すげぇなこりゃ・・・」 ライドは周りを見回して、思わず呟いた。その声が、広さのある玄関ホールにいるせいかやたらと響く。 「確かにこれは・・・少々やっかいなことになりそうですねぇ」 そういうゼロスはいつもの笑みを全く崩さないまま、のほほんとしている。 「・・・緊張感の欠片もないな・・・」 レヴィアスはそんな二人を見て呆れたように言った。そうしてから、戦略をたてるために周りを確認した。 ――辺りを見渡すと、この広い空間に武器を手にしたゾンビやスケルトンが嫌というほどひしめき合っているのがわかる。その数ざっと70はいるだろう。 なかには悪霊〈ゴースト〉も混じっているようだが、何故か人間の姿は皆目見当たらない。 「・・・あくまでシラを切るつもりか」 その理由がわかったのか、レヴィアスは不敵に笑った。とはいっても左腕にソレイユがまだしがみついているため、あまり様になっていないが・・・。 「ま、メインの前のウォーミングアップってとこですね」 ゼロスは余裕の笑みのまま、あっさりと言い放つ。 「確かに、数だけっぽいよなーこれ」 「くだらないな・・・」 話しながらライドが背中に背負った大剣を引き抜くと、レヴィアスもソレイユに当てないように腰の剣を引き抜いた。 「貴女もずいぶん余裕じゃないですか」 「まぁな・・・いい加減行くぞ」 ゼロスの事はさらっとながし、レヴィアスはソレイユを引きはがす。ソレイユは俯いたまま何故かすんなり離れた。 「・・・ソレイユ?どうかし・・・」 「破邪法陣〈エヴィル・ブレイク〉!」 コウッッ 「・・・気が早いな」 術を解き放ちソレイユが両手を広げると、ソレイユを中心にホールの床に光で画かれたかなりのサイズの五紡星が出現していた。レヴィアスはそれを見て苦笑したようだ。直後。 ゴゥンッッ 五紡星の中にいた全てのアンデットが光に包まれ霧散した。玄関ホールにいたアンデットの約半分がこれで消滅している。 レヴィアスとライドも五紡星の中にいたが、人間には効果がないようだ。因みに同じく中にいたゼロスは顔を少し歪めただけでしのぎきっている。 「だってあんなの見てたくないよ」 「なるほどな・・・では、私も行くか」 言うがやいなやレヴィアスは生き残ったアンデットに向かって走り出す。 「じゃー俺も行きますか」 レヴィアスに続いてライドもアンデットの群れに突っ込んでゆく。 グォンッ レヴィアスが手にした魔力剣を薙ぎ払うと、何らかの魔法がかけてあるのか、その周りのアンデットまでまとめて吹っ飛ぶ。 「うぉらぁぁ!」 気合と共にライドが大剣を振り下ろすと、結構嫌な音を立ててゾンビが二人(?)まとめて真っ二つになる。というより、つぶされたという感じもするが・・・。 それを見て隙ありとばかりに周りにいたアンデット達が襲いかかるが、ライドは即座に大剣を横に構えて体をひねる。そのまま一回転して襲いかかってきたアンデットを後ろにいた者ごと力任せにふっとばす。 ダンッガシャンッ アンデットたちが見事に壁に叩きつけられる。後には、剣をすり抜けた悪霊〈ゴースト〉達が浮かんでいるだけだ。 「どーするかなこいつら・・・」 ライドは剣を構えなおして呟いた。 「「「ひぎいぃぃぃぃぃぃっっ」」」 突如、ホールいっぱいに耳をつんざくような悪霊達の大絶叫が響いた。ライド達が驚いて音の発生源――レヴィアスのいる所を見やる。 ドサッバタバタバタ・・・ガシャッ・・・ すると、一瞬遅れてレヴィアスの周りにいたアンデットたちが上下に両断されてくずおれた。 「「青魔烈弾波〈ブラム・ブレイザー〉」」 間髪いれずに放ったレヴィアスとソレイユの十字砲火で、ライドの周りに集まりかけていたアンデットたちが絶叫を上げて倒れる。 シュシュシュッシュシュッ レヴィアスが放った短剣が、壁際で起き上がりかけていたゾンビたちに突き刺さる。と、ゾンビたちは短い叫び声を残してくずおれ、動かなくなる。 「黒妖陣〈ブラスト・アッシュ〉」 ドゥムッ 間を置かずにレヴィアスが呪文を放ち、重い音と共に、ホールの隅にかたまっていたアンデットたちが黒い塵と化す。 「烈火球〈バースト・フレア〉!」 ゴゥンッッ ソレイユの放った青白い炎が壁際で再び組みあがりかけていたスケルトンをレヴィアスが倒したゾンビごと焼き尽くす。 ホールに轟音が響き、辺りに熱風が吹く・・・後ろの壁が溶けかけているのは気のせいではないだろう。無論、ゾンビもスケルトンも炭・・・もしくは灰になってるわけで・・・跡形もなく消し飛ばされたのもあるようだ。 「しつこいからこうなるのよね」 レヴィアスの方に歩いて来て、ソレイユは何でもないことのようにあっさり言い切った。これくらい当然、とでも言いたげである。 「ソレイユ、お前なぁ・・・火事になるとか考えなかったのかよ」 同じくレヴィアスに向かって走ってきたライドが、呆れたように言った。 「まさか。石が燃えるわけないじゃない」 「にしたってこんな所で使う奴がどこにいるんだよ・・・」 「これだけ広さがあれば問題ないだろう」 ライドにあっさりつっこんだのはレヴィアスである。 「ってお前の剣も巻き込まれてんのにいいのかよ?」 「あぁ・・・あの程度の炎なら問題ない」 「「・・・・・・(何か腹立つ)」」 レヴィアスの台詞にソレイユとライドは何もいえなくなる。代わっていつの間にか近くにいたゼロスが口をはさんだ。 「強化魔法でもかけてるんですか?」 「ああ。エルフの鍛冶師に頼んでやってもらった」 言いながら、レヴィアスは閉ざされている奥の扉に向かって歩きだす。ソレイユとライドは少し後ろをおとなしく歩き、ゼロスは歩調を合わせながら隣を歩いた。 「へぇぇ。エルフ魔法ですか」 「詳しくは私も知らないからな」 興味津々のゼロスに釘を刺して、レヴィアスは焼け残って床に落ちた短剣を拾いに行く。 軽く振って息を吹きかけ、灰を落として腰の入れ物にしまう。これを何度か繰り返し、ゼロス達の所まで戻ってくる。 と、またもや言い合いを始めているライドとソレイユを「もう一度同じ目に会いたいか?」と言って黙らせた。・・・凍りついたの方が正しいかもしれない。 「ところでライド・・・」 しばらくして、歩きながらレヴィアスがライドの方を振り向いた。ソレイユが重そうな扉を振動弾でぶち壊し、奥へと進んでいるときだった。 ================================== またもや変なところで切れます^^;どうもうまく話がまとまらなくて;; ごめんなさい(汗 |
31704 | †序章\† レヴィアスの剣 | ソエル E-mail | 2005/8/15 12:22:46 |
記事番号31595へのコメント 「ところでライド・・・」 「へ?あ、はい!」 レヴィアスの周りにいつの間にか漂う冷気に冷や汗をたらしつつ、慌ててライドは答えた。 「お前の剣・・・あれ程変えろと言って置いたのに何故変えていない?」 ぎくぅっ 「いや、その・・・えっと」 完全に血の気が引いているライドに、レヴィアスはつかつかと詰め寄る。その表情は、かなり厳しい。 「フロスト・シティの時に何故魔法剣に変えてこなかった?」 「うー・・・魔法剣と言っても官給品の剣だろ?傭兵の俺がもらう訳にはいかねーよ」 いくら今は国に雇われているとはいえ、とライドは小さくつけたした。彼にもプライドのようなものがあるのだろう。 「だったら自分で買ってくるべきだろう」 「それが、こいつと同じくらいの奴がなかったんだよ」 と言って背中の大剣を指差す。これは切れ味はそこそこだが、魔法の類は一切かけられていない。 「選り好みするな。それ以前に、魔法道具屋(マジックショップ)は行ったのか?」 「あっっ・・・」 「・・・お前な・・・」 レヴィアスが脱力して心底呆れた、というようにため息をつく。確かに、魔道の知識がないものがいくのは多少危ないところもあるのだが。 「ライド・・・」 二人の後ろを歩いていたソレイユまでジト目で見ている。因みにゼロスはいつものにこにこ笑顔だ。 「魔法剣の類は魔法道具屋の方が売っていると知らなかったのか?」 「ふだん魔法道具屋なんてよらないから、さ・・・」 「・・・これくらいは常識でしょ?普通に・・・」 後ろからソレイユにあっさりつっこまれ、流石に肩を落とすライド。 「仕方がない・・・貸すから使え」 腰におびた二振りの剣の片方を鞘ごと外してライドに放り投げる。 「っとと、ってこれ斬妖剣〈ブラスト・ソード〉じゃねーか!?使えねーよこんなもん!!」 「!?」 思わず受け取って驚くライドの後ろで、何やらゼロスが驚愕の表情を浮かべている。そういえば、ゼロスの前で斬妖剣を抜いたことはなかったようだ。 「なら聞くが、お前、さっきの戦いで何か役に立ったか?」 ゼロスは放っておいて、ライドを射抜くような目で見据え冷然と言い放つ。 「うっっ」 「ここから先、普通の剣では役に立たない。お前は呪文も使えないしな」 「だよねぇ。お荷物連れて行けるほど、楽な相手でもないし」 身もふたもなく言ったのはやはりソレイユ。事実だが。 ――アンデットを主力とするような連中に、通常の武器攻撃はほとんど効かない。というより、並みの攻撃だと復活する。 ライドも一流と呼ばれる戦士の中に入りはするが、対アンデット戦の戦い方はよく知らないらしい。 普通のモンスターと同じように考えていたようでもある。 最もアンデットの退治など専ら魔道士の仕事、彼の所属する傭兵組合にはまず頼まないので仕方ないかもしれないが・・・。 「だからって斬妖剣〈ブラスト・ソード〉今使えって言われても無理だって。切れ味が違いすぎる」 何代か前のとある金髪剣士はあっさりと使いこなしていたが、その頃はこの剣にも切れ味を抑える術がかけられていた。 だが今は、斬妖剣にそのような術は何もかけられていない。 本来の切れ味――軽く振るうだけであっさりと岩がきれ、おそらく鋼鉄の扉すら楽に両断できると思われる程の切れ味を誇ったままだ。 事実、これはそこいらの鞘ではおさめて振っただけで切り裂いてしまうような代物である。 これでは、そう簡単に加減がきかない。下手をすれば―――自分や仲間を傷つけることになる。 レヴィアスもソレイユもそう簡単に巻き添えをくらうような人間ではない。ゼロスもあの様子ならあっさり避けられるだろう。 だからこそレヴィアスは自分に使えと言ったのだろうが・・・万が一、ということがある。 何より彼は―――斬妖剣を畏れていた。その恐ろしいまでの切れ味を。 レヴィアスはあっさりと使いこなしているようだが。・・・ここら辺が格の差、というやつなのだろう。 「お前、わかってるのか?相手はアンデットの類を使ってくる。合成獣〈キメラ〉もかなりの数投入してくるだろう。 相手が数で攻めてくるのに、足手まといを連れていることが何を意味するのか」 合成獣も工夫すれば、普通の剣ぐらい通じなくなる。まして向こうは、対兵士ように合成獣をつくっているのだ。 生半可な攻撃は、おそらくきかない。 「・・・・・・」 「ちょっと待って。どうして合成獣がいるってわかるの?」 沈黙したレヴィアスとライドの間に割り込んで、ソレイユが聞いた。 「その辺の部屋の中を覗いてみればわかる」 「え・・・うぁ」 レヴィアスに言われるがまま、とりあえずドアが半開きになったままの部屋を覗き込む。 すると中には、砕け散ったクリスタルの破片、生命の水、そしてその中で痙攣を起こしている黒い小さな影があった。 おそらくゴブリンと何かをかけあわせたのだろう。とはいっても、異形の姿と化しているためよくはわからないが。 「・・・・・・わかった。じゃあ、お前の短剣貸してもらえねーか?」 その様子をちらっと見てライドはレヴィアスに向き直った。 「これを?確かに性能に問題はないが・・・大丈夫か?」 「こんなぶっそーな剣使うよかマシだよ」 「そうか・・・。鞘はどうする?」 「あんのか?」 「二本だけな」 「んじゃ、鞘も」 ほいと斬妖剣をレヴィアスに手渡し、代わりに二本の短剣を受け取る。 「短剣なんて使うの久しぶりだなー」 受け取った短剣をしげしげと眺めながら、ライドは感慨深げに言った。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 今回短いです。とりあえず、区切りがいいところでと思ったら^^; まだ内容的には続くんですが、ね。あぁ話がすすまない;;(いつも言ってる気が) |