◆−季節はずれな物語−青い小人 (2005/7/18 21:51:59) No.31596 ┣季節はずれな物語その二−青い小人 (2005/7/19 20:28:31) No.31598 ┗季節はずれな物語その三−青い小人 (2005/7/27 00:14:12) No.31606
31596 | 季節はずれな物語 | 青い小人 | 2005/7/18 21:51:59 |
馬鹿だった・・!! 加速が続く中 後悔の念が浮かぶ。もう周りの景色の色さえ判別できない 恐怖と緊張で 鼓動が加速に比例して速まる。 どうすれば・・!!もう助からないのか!? 頭が混乱する 思考が進まない その時 周りが明るくなり始めた。 どんどん白一色になり、何も見えなくなる キィィー と耳鳴りがする気がした ドオォン 爆発音は意外と近くで聞こえた 「お 同業者じゃねえか?リナ」ガウリイがおどけて言う 「ほぉ〜よくそんな難しい言葉憶えたわね。でも職業じゃなくて趣味よ。私は」 森の中 盗賊を探しながら私は言い返した 「・・でも そうならマズイわね お宝が無くなっちゃうわ」 同業者って言った事にツッコまれる って俺は一体・・? と何やらいじいじしているガウリイは無視して私は音がした方へ進んだ。 「・・う・」体の痛みに私は目を覚ました。外には木々が見える どうやら無事だったようだ。思わず安堵の息がこぼれた とその時 ガサッと草木が揺れ 「何、コレ・・?」紅い髪をした女性が現れ、目をまるくしている。 人だ・・! 私は急いで出入り口のボタンを押して、そりの上へ這い出た! 「ちょっと待っ・・!!」制止する女性の声と同時に視界が揺れた 木の上に乗っていたソリがバランスを崩す バキバキバキ・・!!「うおあっ!」ドスゥゥゥン!! 「大丈夫!?」ソリと共に落ちた私に駆け寄り、女性は息を呑んだ「貴方・・」「リナ!?どうした何があったんだ!?」もう1人、草木を分けて出てきた 長い金髪の男性 女性の仲間の様だ。「ガウリイ」動揺した表情のまま一声かける 驚かれる事はわかっていた。 「そうだ」私は立ち上がった 赤いソリの上に 風に吹かれ紅いコートがなびく 白いワタで縁取られ ブーツとベルトはツヤのある黒 「私は一般にサンタと呼ばれる者だよ」 白い玉のついた赤い三角帽子をかぶり直し 私は言った |
31598 | 季節はずれな物語その二 | 青い小人 | 2005/7/19 20:28:31 |
記事番号31596へのコメント ボカッ!「あだっ!?」 いきなりゲンコツを貰い、目を白黒させて 拳を握る女性を見上げる これはまったくの予想外だ。 「アンタねぇ、そういう嘘は魔道師協会に行って つきなさい。私達には通用しないし、したとしても何の利益にもなんないわよ」 ・・・・・ やっと頭が回り、理解しだす 「なるほど・・ココは何処だ?」 「森。」 ジト目で返す赤髪女性 「そうじゃなくて、地球と呼ばれてる所じゃないんだな?」 「・・・」 疑わしげな目で見る 何を言っても嘘と思われている様だ 「信じられないみたいだが、信じてほしいな ココでサンタがどう認知されてるか知らんが、私はサンタというプレゼントを届ける仕事の者だ。宅配とは少し違う」 「異世界から・・来たって言うの・・?」 こちらの話を聞く気の様だ。頭の回転が速い 「ああ、地球と言う私の星は 恐ろしく科学の発展した所だ。サンタというのも この星の伝説だったんだが、ある金持ち会社がサンタというサービス業を造ったんだ」 「??かぃしゃ?さーびすぎょお??よくわかんねえよ〜」 金髪の男性が耳から黒い煙を出しながら言う 「すまん こっちも初めての事で少し混乱している」 「普通もっと驚いてもいいところなんじゃない?」 脂汗を滲ませ、女性はいまだ困惑顔で言う 「一応 文明のある星だからな 異世界の存在は確認されていた。」 「・・・そう、悪かったわ 殴ったりして。私はリナよ。」 言って 手を差し伸べる 「俺、ガウリイ」 リナの隣でニッと笑うガウリイ 言われて自己紹介すらまだだと気づく 思わず苦笑し 手を取る 「私は ウユキだ」 |
31606 | 季節はずれな物語その三 | 青い小人 | 2005/7/27 00:14:12 |
記事番号31596へのコメント カチャカチャガチャンッカチャカチャ・・ 『まずは食事にしましょ。話をするにしても外じゃなんだし』 それがリナの提案だった。 ガウリイは目をキラキラさせて賛同し 私も断る理由は無かった・・ が、 2人がこんなに大食いだとは誰が予測できただろうか。 少し小さいレストランの中でウユキは目を丸くしていた 今は帽子をはずして真っ黒の肩よりやや長めの髪が光を薄く反射している。 薄暗い森の中ではよくわからなかったが 大きな目の瞳の色まで真っ黒なようだ。 さすがに目立つ赤いコートを隠すためリナから借りたマントを上から羽織っている 周りの視線を集めてもなお ひたすら食べる2人を横目に、ウユキは思考をめぐらせていた まず、なぜ自分は真っ先にココが異世界だと思ったのか。 まぁ地球上で確認されていない国も文化も今や皆無だし・・ 変な噂話があったからか・・? サンタ会社のシステムの中で不審な点が多いらしい。 サンタ会社は歴史が長い。 科学技術が今よりも発達していなかった時代から 今でも目をみはる技術や知識が組み込まれているという 異世界にでも行って、何かを学習・参考にしたのではないか というバカげた噂があったのだ そんな逸話、信じてたつもりは無かったのだが・・・ それに 今、ココは現実なのかどうか。 私は<絶対にやってはいけない項目>の最初にあるスピードの上げ過ぎを違反していた。 加速ボタンを10秒以上押しつづけてしまったのだ ・・基本中の基本だった もしかしたら あのまま事故って 私は昏睡状態で 今こうしている事は 実は全て 私の見ている夢だったとしたら・・! 「どうした?」 不意に声をかけられ はじかれた様に顔を上げた 気づけば汗だくで 微かに震えている 「大丈夫か?顔、真っ青だぞ?」 二人とも食事を中断して・・と言っても食べ終わりかけているが、心配そうに顔を覗き込んでいる 「ああ、すまん。大丈夫だ」 声がかすれてしまったが、かろうじて笑みはつくれた 気分を変えるために話題を出す。 「そういやリナ・・さん 最初に私を見た時何であんなに驚いてたんだ?サンタを信じてないのなら 驚く必要は無いはず」 「リナでいいわよ そりゃぁ見た事の無い乗り物とかあったし、真っ赤だったから・・・レゾの親戚かと・・」 「ぶはっ!!それはねえだろー!」 思わず吹き出して 笑うガウリイ ・・野生の勘の持ち主のガウリイにしてみれば可笑しな間違いらしい 「・・?」 1人だけよく分かってないのだが それでも何だかホッとした 気を使わずとも当たり前の様に接してくれるのがとても助かった。 |