◆− 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+−十叶夕海 (2005/8/5 21:04:31) No.31660 ┣ 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+−十叶夕海 (2005/8/7 22:57:27) No.31680 ┃┗待ちきれなかったので(><−ソエル (2005/8/12 22:33:20) No.31695 ┃ ┗そ、そんなこといってもらえるなんて(^‐^)−十叶夕海 (2005/8/12 23:50:38) No.31697 ┣ 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+−十叶夕海 (2005/8/13 18:47:01) No.31700 ┣ 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+−十叶夕海 (2005/8/14 17:39:52) No.31702 ┣ 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+−十叶夕海 (2005/8/15 12:02:32) No.31703 ┃┗!?!?・・・・・・(;;−ソエル (2005/8/15 12:52:10) No.31705 ┃ ┗・・・・ふふふふ−十叶 夕海 (2005/8/18 18:10:30) No.31722 ┣ 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+(結1)−十叶 夕海 (2005/8/27 20:23:57) No.31769 ┗ 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+(一応完結)−十叶夕海 (2005/9/1 22:22:35) No.31779
31660 | 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+ | 十叶夕海 | 2005/8/5 21:04:31 |
序1 さて、お客様は、『桜』といいますと何を思い浮かべますか? 埋められた死体? 仲間で集まって花見? それとも、好きな人に告白? ・・・そんなところでしょうか。 私が、今回お話いたしますのは、此処ではない世界でこの世界にもあった時代のお話。 第一次世界大戦。 その時代に、初めて登場いたしましたのが、飛行機。 その飛行機と一組の男女の物語・・・・・。 序2 その世界では、主に二つの国が他の国を引き入れ闘っていた・・・いえ、戦ってきた。 一つは、ドゥルガ皇国。 もう一つは、蛍惑国。 さしずめ、イギリスと日本といったところだろうか? しかし、この二つの国は元々同じくにであったけど. 物語の一番の発端は、ドゥルガと蛍惑の国境線でもあるフィンロッテ河。 今のカラ歴3945年ではなく3928年‐17年前である。 その年の一月。 どちらの国でも、冬将軍が一番踊り狂う月‐。 冬の間だけは、何の争いも交渉もなかった。 そんな時の深夜のことだ、紅髪の父子(おやこ)が、ドゥルガから蛍惑へ、真冬のフィンロッテ河を渡った。 幼い娘を己の身体にくくりつけ、大河の勢いの前には余りにも小さな木の葉のような小船で、渡った。 結果、父親は死んだ。 結果、娘は生き残った。 娘は、翌日漁師に拾われ、そして、3年後、蛍惑の軍人の名門・サラサ家に引き取られた。 8歳だった。 また、十二年前。 黒髪の母子が、同じ時期のフィンロッテ河を渡った。 この二人は助かった。 その母は、娼婦としてその息子を育てた。 その息子が、九歳の時に死んだ。 息子は、花街の女たちに育てられた。 そして、娘が二十二歳。 息子が、十八歳。 同じ様で、微妙に違う境遇の二人は、その年に出会った。 奇しくも、戦争がまるで、終わりに近づいたかと思わせるほど激しくなってきた時のことだ。 +――+―+―+―+―+―+―+―+―+―+ 詳しい後書き等は、全て終わったあとに。 |
31680 | 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+ | 十叶夕海 | 2005/8/7 22:57:27 |
記事番号31660へのコメント 1 一人目の主人公 「サラサ少尉。」 「・・なに?」 「今日は、キスマ−クはお幾つ?」 「・・・・・何機だろ? アカギにでも聞いてくれ。 私の機のそばにいたから、知っているだろう。」 その日は、よく晴れていた。 だからという訳ではないだろうが、伊里椰基地の5つある航空隊の第四航空隊のツキネ=サラサ少尉も、偵察飛行に出ていた。 キスマ−クというのは、撃墜数をパイロットの愛機にペイントしたもののスラングである。 サラサ少尉の公式撃墜数は単独で25機、共同で、37機‐戦場に出た15歳のときからの合計数である。 少ない。 そうおっしゃられるかも知れませんが、飛行機で飛行機を打ち落とすのは、大変難しい。 この時代のような旧式でさえ、飛行機用の機関銃を50発近く受けても落ちなかったという記録が残っている。 7年で、計67機というのは、異例を通り越して異様や異常といいってもさしつかえないかずである。 そのため、彼女にはとある仇名が付いていた。 ≪寡黙なソ‐ドダンサ‐≫ なぜ、その名前がついたかというと一つは、中東などのダンサ‐風の衣装を着た異国の婉曲刀を振り上げた女戦士のペイントがあるため、一つは、彼女が飛行機を落とした場合必ずする戦法のせいである。 人で言う袈裟切りのような形で擦れ違い様に機銃を打ち込み、倒すからだ。 「よう、≪寡黙なソ―ドダンサ―≫ 今日も、活躍してたな。」 うりうりと、ツキネの頭を撫でるのは、マサヒロ=アカギ少尉。 ちょうど、第四航空隊の控え室の前でのことだ。 「子ども扱いしないで頂きたいですね、≪伊達男≫?」 「別に、いいだろ? ・・そういえば、知ってるか?」 「何を?」 「タイヨウ=タナカ曹長が、この基地の俺達の隊に来るってこと。」 「あの無礼者が?」 タナカ曹長の事をサラサ少尉が嫌いなのは、わけも泣く嫌いだと、後方を通じて宣言されているからである。 ウ〜ウ〜ウ〜ウ〜ウ〜 「こんな時間か。 ≪レインボ−≫のミアにきょう行く約束してるから、タキザワ少佐に上手く言っておいて。」 そして、その≪レインボ−≫にて、二人は出会う。 以下次回 |
31695 | 待ちきれなかったので(>< | ソエル E-mail | 2005/8/12 22:33:20 |
記事番号31680へのコメント もう一話投稿されるまでまとうかと思ったんですが、書いちゃいます。 >「今日は、キスマ−クはお幾つ?」 かっこいい言い方しますね。こう呼ばれる由縁とかあるのでしょうか。 >キスマ−クというのは、撃墜数をパイロットの愛機にペイントしたもののスラングである。 えーとこれ、撃墜数が機体に表示されるってことなんでしょうか >サラサ少尉の公式撃墜数は単独で25機、共同で、37機‐戦場に出た15歳のときからの合計数である。 15! >7年で、計67機というのは、異例を通り越して異様や異常といいってもさしつかえないかずである。 すごいんですね。(ここら辺は全然詳しくないです^^; >≪寡黙なソ‐ドダンサ‐≫ かっこいいですね、これ。機体がどうなってるのかいまいち想像できてませんが〈汗 ごめんなさいっ >うりうりと、ツキネの頭を撫でるのは、マサヒロ=アカギ少尉。 >「子ども扱いしないで頂きたいですね、≪伊達男≫?」 これは・・・もしかして性格そのまま・・・? >「別に、いいだろ? > ・・そういえば、知ってるか?」 あっさり流してますねー・・・サラサさんより一枚上手? >「あの無礼者が?」 結構きっぱり言い切っちゃうんですね。 >タナカ曹長の事をサラサ少尉が嫌いなのは、わけも泣く嫌いだと、後方を通じて宣言されているからである。 向こうもずいぶんいい性格をしてるようですね〈汗 サラサさん、かっこいいですねー私の好きなタイプです(他意はないです)アカギさんとのやり取りもほほえましく・・・そういうと本人嫌がりそうですが。これからどうなるのか・・・次回楽しみにしてますv |
31697 | そ、そんなこといってもらえるなんて(^‐^) | 十叶夕海 | 2005/8/12 23:50:38 |
記事番号31695へのコメント >もう一話投稿されるまでまとうかと思ったんですが、書いちゃいます。 すみません。 たぶん、明日の夜には・・・・・・。 >>「今日は、キスマ−クはお幾つ?」 >かっこいい言い方しますね。こう呼ばれる由縁とかあるのでしょうか。 詳しいことは判りませんが、アメリカかイギリスのほうで呼ばれ始めたようです。 >>キスマ−クというのは、撃墜数をパイロットの愛機にペイントしたもののスラングである。 >えーとこれ、撃墜数が機体に表示されるってことなんでしょうか ですね。 単独は、白。協同は黒。と言う具合に。 >>サラサ少尉の公式撃墜数は単独で25機、共同で、37機‐戦場に出た15歳のときからの合計数である。 >15! >>7年で、計67機というのは、異例を通り越して異様や異常といいってもさしつかえないかずである。 >すごいんですね。(ここら辺は全然詳しくないです^^; しかし、旧ソ連のほうで、一年足らずでこの約半分を第二次世界大戦中に記録した女性も居ました。 ただし、この世界の飛行機は、出来たばかりの時代なので、『すごい』というソエル様の指摘どおりの性能なのです。 >>≪寡黙なソ‐ドダンサ‐≫ >かっこいいですね、これ。機体がどうなってるのかいまいち想像できてませんが〈汗 ごめんなさいっ 後々出てきますが、複葉機です。 ライト兄弟が飛ばした飛行機みたいな形です。 >>うりうりと、ツキネの頭を撫でるのは、マサヒロ=アカギ少尉。 >>「子ども扱いしないで頂きたいですね、≪伊達男≫?」 >これは・・・もしかして性格そのまま・・・? ですね、酒場よりも召喚にいる時間のほうが長いと言う方です。 ツキネにとっては、お兄さんみたいなものです。 >>「別に、いいだろ? >> ・・そういえば、知ってるか?」 >あっさり流してますねー・・・サラサさんより一枚上手? そうです。 ツキネよりも年齢と軍隊経験が長いので、人のあしらいは上手いです。 >>「あの無礼者が?」 >結構きっぱり言い切っちゃうんですね。 結構、噂が聞こえますから。 >>タナカ曹長の事をサラサ少尉が嫌いなのは、わけも泣く嫌いだと、後方を通じて宣言されているからである。 >向こうもずいぶんいい性格をしてるようですね〈汗 ええ・・・結構好青年なんですけど、ツキネにだけは(^^;) > >サラサさん、かっこいいですねー私の好きなタイプです(他意はないです)アカギさんとのやり取りもほほえましく・・・そういうと本人嫌がりそうですが。これからどうなるのか・・・次回楽しみにしてますv ツキネ曰く「名前のほうで呼んでくれ。それが私の名前だ。」 はい、明日ぐらいに次回をお届けします。 それでは。 > |
31700 | 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+ | 十叶夕海 | 2005/8/13 18:47:01 |
記事番号31660へのコメント 2 憩いの酒場≪レインボ−≫ からんころん 「おや、サラサ中尉じゃないか。 ミアは、唄ってるとこだよ?」 「そう。 ムタさん、いつもの頂戴」 「はいはい。 ちょっと待っとくれよ。」 その酒場は、伊里椰基地の軍人の面々が夜毎集まるのである。 酒や食べ物の種類も豊富でおまけに安いので利用者が多いのである。 また、看板娘のミアもその繁盛に一役買っている。 ちなみに、ムタは恰幅と気風のいい四十代の女性である。 そしてミアは、栗色の髪とステ−ジ用の赤いドレスが可愛い20歳の女性である。 「はいよ。 中尉、今日はなんか食べるかい?」 「う〜ん、じゃあ軽くパスタかなんかお願いしようかな。」 「まいど!!」 などなど、会話を交わしていたとき、ミアの歌が終わった。 そして・・・ 「姉ちゃん、一緒に飲もうぜ。」 「すみせんがお断りいたします。」 「そういわずによう。」 「第一航空隊のミナヅキ大尉、そこまでにしていただけませんか?」 投擲用のナイフをミアに迫る大尉−一応上官である−にツキネは突きつける。 「『あの』第四航空隊のしかも・・・・・・・サラサ中尉?」 「養父のことを恐れているのなら、関係ありませんが、婦女子に不埒の振る舞いとは、帝国軍人として恥かしくないので? ・・・いえ、≪空の騎士≫と唄われる戦闘機乗りとして?」 淡々とそう言われたミナヅキ大尉は、捨て台詞を残し酒場を出てしまう。 「ありがとうございます。 ツキネ様。」 「ミア、呼び捨てでいいって言ったろ?」 「そうもいきません。」 「とにかく、次のステ−ジの準備まで、私に付き合え。」 そうして、ミアとツキネは、春野菜のクリ−ムパスタと酒を酌み交わす。 「店主。 黒髪の士官服の女性は見なかったか?」 「そこに居るよ。 サラサ中尉だろう?」 そこへ来たのは、軍服の20歳には届かないぐらいの男性。 「私に何のよう? 曹長?」 「貴様が、ツキネ・サラサ中尉か?」 「そうだけど、女性でも上官に貴様はないんじゃない?」 「・・・では、貴方様が、サラサ中尉で?」 「そうよ。 タイヨウ・タナカ曹長? これから、よろしくね、同じ航空隊に居るんだしね。」 「断る。 宣伝(プロカパンダ)の為の士官は好かん。 大体、女子(おなご)は・・・」 バチン。 「そうであっても、上官は上官。 今の言葉と私の行動はタキザワ少佐に報告する。」 タナカ曹長の言葉にサラサ中尉は、ビンタをかまし席を立つ。 「サラサ中尉。」 「ムタさん。 すまない、今日はこれで失礼する。」 これが、二人の出会い。 それから・・・半年後。 -+-+-+-+-+-+-+-+-+ いやあ、出会いましたね。 ちなみに、ツキネ・サラサ中尉は『スタ‐リングラ−ドの薔薇』と唄われたリディヤ・リトヴァクという二十二歳でこの世を去った実在の人物をモデルにしております。 では次回。 |
31702 | 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+ | 十叶夕海 | 2005/8/14 17:39:52 |
記事番号31660へのコメント 3 意識し始めの秋の日 「女子(おなご)が・・・」 「いい加減にしろ!!」 バチン ここは、第四航空隊控え室兼ミ‐ティング室である。 「もう日常ね。」 「そうだね、≪お嬢≫」 タキザワ少佐が来る少し前の空いた時間ですら、サラサ中尉とタナカ曹長は、上のような調子で言い争・・・・ではなく喧嘩をしている。 それをお茶をすすりつつ、アカギ少尉とミハル・ササキ特務曹長は、呑気に観戦している。 もう毎朝の事で慣れてしまっているのだ。 決着のタキザワ少佐が、来るまで少し時間が掛かるのでササキ特務曹長の外見について記しておこう。 彼女は、栗色の肩をそろえていて、どこかお嬢様然とした雰囲気がある十八歳。 軍服とのミスマッチさがとても萌える女の子である。 「蛍惑男児なら、ちょっとは譲れ。 女子を守ってこその蛍惑男児だろう。」 「五月蝿い五月蝿い!! 女子(おなご)は家を守っていればいいんじゃ。」 バチバチバチバチバチバチン タナカ曹長の暴言に対して、サラサ中尉の往復ビンタ×3が決まる。 「やめんか。 それに、アカギ少尉。 年長者が止めんでどうする?」 と、40代前半なのに頭に白いものが多いタキザワ少佐が入室し二人を止める。 「すみませんね。 でも、ぶつかり合わせたほうがいいでしょ?」 「それは、どうたか。 アカギくんは面倒だったんじゃないの?」 と割って入って来たのは、黒く長い髪と気だるげな雰囲気の二十代後半の女性。 サトエ・シオウ中尉である。 「・・・・本日、10:30(ヒトマル、サンゼロ)より、第8セクタ−で我が、第四航空隊は偵察飛行を行なう。 以上、各々の準備に入れ。」 タキザワ少佐はそれだけを言い部屋を出る。 第四航空隊は、全数万からなる蛍惑帝国の空軍の中でも特異な位置にいる。 それは、女性が前線の戦場に配属されているということだ。 シナノ技術准尉のように、整備のほうや後方の通信部門に女性は珍しくはないが、実戦部門にいることは皆無だ。 その例外が、この伊里椰基地の第四航空隊である。 戦意高揚宣伝の目的で・・・『うら若き女性も戦っている』ということで戦意を高揚させるということだ・・・入隊した五名の内の生き残った(文字通りだ)3名なのである。 そのうえ、残りの四名も曲者ぞろい。 タキザワ少佐は、出世の道を蹴ってこの隊にいるし。 アカギ少尉は、・・・まあ、あだなの≪伊達男≫を≪色好男≫と呼び変えてもらえば判りやすいだろう。 もう一人のリュウセイ・ヨシマツ少尉は、今は実家に帰っているが、その実家も歌舞伎の名家であると言う。 タナカ曹長は、上司・・・というか前所属基地の司令官を殴って半分嫌がらせに、この基地のこの隊の転属したのである。 ともあれ、その日の偵察でサラサ中尉は、二機撃墜し、タナカ曹長も同様であった。 また、アカギ少尉との協同で、サラサ中尉は、さらに四機を落としていた。 「キスマ−クお願いね。」 そう、シナノ技術准尉にそう言って宿舎に戻ろうとするサラサ中尉。 「相変わらずの腕のようだな。」 「どうも。」 出口のところで、そうタナカ曹長に声を掛けられる。 それに、素っ気無く応じるサラサ中尉。 「貴方も、単独一機、協同二機だろう?」 「お前に勝っていない。」 「私に勝つのは無理よ。 ・・・もう十三年飛行機に私は乗っている。 操縦桿を握ってからでも、十二年だ。 ・・・疲れている。 悪いが失礼する。」 「ちょっと待て。」 サラサ中尉が振り向くのと、タナカ曹長が腕を引っ張るのとちょうど同じタイミング。 そして必然的に、抱き合う形で、タナカ曹長は地面にサラサ中尉と倒れこむ。 ちゃんと、サラサ中尉が、地面に落ちないように抱き締めている。 「おまいら、いちゃつくなら部屋でやれ部屋で。」 なかば呆れながら、アカギ少尉がそうからかう。 「すまん。」 そういうと、サラサ中尉は逃げるように走っていった。 地面に倒れたままのタナカ曹長は真っ赤になって固まっている。 「・・・・柔らかかったろ?」 「・・・・・・・はい。」 それから、さらに半年−。 戦争は、終局間際の総力戦に入って行った・・・・・・。 |
31703 | 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+ | 十叶夕海 | 2005/8/15 12:02:32 |
記事番号31660へのコメント 4 桜ほころび始める前の別れの盃 その半年の間に、前回の出来事をきっかけに・・・・というか 『女子(おなご)を辱めておいて、ほおっておくなんざ、蛍惑男児としての名折れ!! 責任をとって、中尉を娶りたい。』 という、熱血暴走ぶりである。 若いということは、本当に羨ましい。 しかし、サラサ中尉の本当の生まれはともかく、サラサ家と言えば、男爵・子爵以上の軍人貴族。 しかも、中尉から見て祖父は海軍総司令であるし、父は蛍惑軍部大将であるし、歳の離れた義兄は、空軍指令であると言う大物ぞろいである。 一介の曹長が、相手にできる家ではないのであった。 しかし、サラサ中尉も結構まんざらではないのである。 そんな確認の重いなんざ、戦争の無力。 それが冷たいだろうけど理(ことわり)だ。 「明日、10:00(いちまるまるまる)に総攻撃をしかける。 各自、休養して置くように。」 とついに、そんな言葉がタキザワ少佐から発せられた。 ぞろぞろと、最後になるであろう、夜を過ごす為控え室を出る。 「タナカ曹長。 本日の21:00(にいちまるまる)に基地の東の丘の桜のところにきて欲しい。 西洋灯篭(ランタン)を持って来い。」 アカギ少尉は、タナカ曹長にそう伝える。 そして、更ける夜−。 「アカギ少尉?」 「アカギ少尉は、おらん。」 「サラサ中尉。」 そこで、騙されたと思ったタナカ曹長、少々言葉に不機嫌さが雑じる。 指で、隣りに座るように促され、つぼみが膨らみ始めた桜の木下に、毛布に包まったサラサ中尉とタナカ曹長が並んで座る。 コポコポ・・・・と、コ−ヒ−を魔法瓶からステンレスのコップに入れ、ブランデ−をたらしたものをタナカ曹長に渡す。 「総攻撃の前に、一度二人で会いたくてさ。」 「しかし・・・・・」 「私の我が儘だよ。 ・・・ねぇ、知ってる? この桜ってね、枝垂桜で満開のときに夜に花見するとランタンの光でとてもキレイな紅橙に染まるんだ。」 「・・・それが?」 サラサ中尉は、毛布の中から出していた手をいったん引っ込め、ひとつのロケットと一冊の本を出し、タナカ曹長に渡す。 「これは・・・・・・」 そのロケットには、多少意匠化はされていましたが、敵国フィンロッテの国旗の紋様が、表に記されていた。 「開いてみろ。 中の男性が父、女性が母、女児が私、男児が兄だそうだ。 まあ、この写真の後、母と兄は蛍惑仕業にされた自国ののテロに巻き込まれて亡くなったとその本に・・・父の日記にあった。」 「だから、何のために此処に自分を呼んだのだ?」 「・・・・・・・・好きなやつと最後の夜を過ごしたいと思うのはいけないか?」 サラサ中尉のその言葉は、半分よりあとは聞き取り辛かったが、その言葉は告白と取られても相違ないだろう。 「・・・・・・・・・・・・はい?」 「だから、好きなやつと最後の夜を過ごしたいと思うのはいけないか? 女にこんなこと二度も言わせるな!!」 マヌケな声をあげるタナカ曹長に、サラサ中尉は、ランタンのせいかそれとも本当になのか、顔を真っ赤にしていた。 「それに、真実を誰かに知って欲しかった。 サラサ家の自分ではない、自分を。」 「俺も同じだった。 お前の親父と同じ様に、冬のフィンロッテ河を母と渡った。 少し、間違えば、お前と俺は逆だったのかもな。」 二人は互いに言うでもなく、そう独白すると、少々沈黙が降りる 「そうなのかもな。 明日は総攻撃・・・・・・もし生きて変えれたら、大人しくお前の嫁になってやるよ。 盃を交わさないか、誓いの盃を?」 「わかった。」 そう言って、二人はしばらく盃を黙って交わす二人。 その様は、とてもとても儚い様で美しく、また幻想的で・・・・・・。 「もう帰るか。 一応、名目上は午前一時が門限だからね。」 「そうだな。」 グイッ・・・・チュ 「じゃあな。 続きは、今度会ったときだ。」 「・・・・生きてまた会おう、タナカ曹長。」 「ああ。」 3945年 三月末日。 遂に、我が蛍惑帝国とドゥルガ皇国は、雌雄を決選と互いに総攻撃を仕掛けた。 多数の死者・行方不明者でる。 其の中に≪寡黙なソ−ドダンサ−≫ツキネ・サラサ中尉、≪暗殺者≫タイヨウ・タナカ曹長、≪百獣王≫ナギヒロ・クドウ特等兵など、多数の撃墜王含まれる。 3945年 5月末日 我が帝国と皇国は 無期休戦条約を結ぶ。 行方不明者多数見つからず。 以上 蛍惑帝国 帝国史より一部抜粋 |
31705 | !?!?・・・・・・(;; | ソエル E-mail | 2005/8/15 12:52:10 |
記事番号31703へのコメント 急展開。えー驚きました(笑 タナカさん口調がちょっと古くてツボ。考え方も。賛成はできませんが^^; 最初、仲悪そうだったのでどうなるのかと思ったら・・・世の中何があるかわかりませんね。 >「だから、何のために此処に自分を呼んだのだ?」 >「・・・・・・・・好きなやつと最後の夜を過ごしたいと思うのはいけないか?」 わぉvよくいえるなぁ・・・ >サラサ中尉のその言葉は、半分よりあとは聞き取り辛かったが、その言葉は告白と取られても相違ないだろう。 >「・・・・・・・・・・・・はい?」 鈍いですね・・・相当。 >「だから、好きなやつと最後の夜を過ごしたいと思うのはいけないか? > 女にこんなこと二度も言わせるな!!」 >マヌケな声をあげるタナカ曹長に、サラサ中尉は、ランタンのせいかそれとも本当になのか、顔を真っ赤にしていた。 普通赤くなります///// >「そうなのかもな。 > 明日は総攻撃・・・・・・もし生きて変えれたら、大人しくお前の嫁になってやるよ。 > 盃を交わさないか、誓いの盃を?」 かっこいいーーーーーvvvv男前だぁ。 >「わかった。」 >そう言って、二人はしばらく盃を黙って交わす二人。 >その様は、とてもとても儚い様で美しく、また幻想的で・・・・・・。 夜桜を見ながら、誓いの盃・・・死の待つ戦場に行く前の日、というのが切ないですね。 >「もう帰るか。 > 一応、名目上は午前一時が門限だからね。」 >「そうだな。」 >グイッ・・・・チュ うぇ!?これ、タナカさんから? >「じゃあな。 > 続きは、今度会ったときだ。」 ひーーーー///// 結構言うんですねこの人・・・しかもあっさりと。 >「・・・・生きてまた会おう、タナカ曹長。」 >「ああ。」 切ない・・・。生きててほしいと思う反面、難しいと感じました。 >3945年 三月末日。 >遂に、我が蛍惑帝国とドゥルガ皇国は、雌雄を決選と互いに総攻撃を仕掛けた。 >多数の死者・行方不明者でる。 >其の中に≪寡黙なソ−ドダンサ−≫ツキネ・サラサ中尉、≪暗殺者≫タイヨウ・タナカ曹長、≪百獣王≫ナギヒロ・クドウ特等兵など、多数の撃墜王含まれる。 あうあうあう。 >3945年 5月末日 >我が帝国と皇国は 無期休戦条約を結ぶ。 お互いダメージが多すぎたんですね。それにしても、総力戦に持ち込んでも勝敗決まらないとは・・・よほど拮抗してたんですね。 だったらもっと早く見切りをつければよかったのに。遅すぎた平和、ですね。 >行方不明者多数見つからず。 これってやっぱり・・・あぁぁ > > 以上 蛍惑帝国 帝国史より一部抜粋 うー・・・。切ないです。実際にこういう人がいたんだろうなと思うと特に。 鎮魂歌まがいの詩でも送りつけていいですか。やるせないです・・・。 (悲しくて今回口調おかしくなりました^^;ごめんなさい。 |
31722 | ・・・・ふふふふ | 十叶 夕海 | 2005/8/18 18:10:30 |
記事番号31705へのコメント >急展開。えー驚きました(笑 >タナカさん口調がちょっと古くてツボ。考え方も。賛成はできませんが^^; >最初、仲悪そうだったのでどうなるのかと思ったら・・・世の中何があるかわかりませんね。 だから、人生は面白いんです。 >>「だから、何のために此処に自分を呼んだのだ?」 >>「・・・・・・・・好きなやつと最後の夜を過ごしたいと思うのはいけないか?」 >わぉvよくいえるなぁ・・・ >>サラサ中尉のその言葉は、半分よりあとは聞き取り辛かったが、その言葉は告白と取られても相違ないだろう。 >>「・・・・・・・・・・・・はい?」 >鈍いですね・・・相当。 鈍いというよりは頭が理解するのを拒んだ。 >>「だから、好きなやつと最後の夜を過ごしたいと思うのはいけないか? >> 女にこんなこと二度も言わせるな!!」 >>マヌケな声をあげるタナカ曹長に、サラサ中尉は、ランタンのせいかそれとも本当になのか、顔を真っ赤にしていた。 >普通赤くなります///// それに、彼女にとって初めてだし。 >>「そうなのかもな。 >> 明日は総攻撃・・・・・・もし生きて変えれたら、大人しくお前の嫁になってやるよ。 >> 盃を交わさないか、誓いの盃を?」 >かっこいいーーーーーvvvv男前だぁ。 男前なのです、ツキネ嬢。 >>「わかった。」 >>そう言って、二人はしばらく盃を黙って交わす二人。 >>その様は、とてもとても儚い様で美しく、また幻想的で・・・・・・。 >夜桜を見ながら、誓いの盃・・・死の待つ戦場に行く前の日、というのが切ないですね。 そうですね。 でも、男同士ならば、六十年前でもありえた光景です。 >>「もう帰るか。 >> 一応、名目上は午前一時が門限だからね。」 >>「そうだな。」 >>グイッ・・・・チュ >うぇ!?これ、タナカさんから? いえす。 信じられないでしょうけど、いえす。 >>「じゃあな。 >> 続きは、今度会ったときだ。」 >ひーーーー///// 結構言うんですねこの人・・・しかもあっさりと。 ある意味で吹っ切れたみたいです。 >>「・・・・生きてまた会おう、タナカ曹長。」 >>「ああ。」 >切ない・・・。生きててほしいと思う反面、難しいと感じました。 ・・・・ふふふふ。 最後のエピロ−グを楽しみに。 > >>3945年 三月末日。 >>遂に、我が蛍惑帝国とドゥルガ皇国は、雌雄を決選と互いに総攻撃を仕掛けた。 >>多数の死者・行方不明者でる。 >>其の中に≪寡黙なソ−ドダンサ−≫ツキネ・サラサ中尉、≪暗殺者≫タイヨウ・タナカ曹長、≪百獣王≫ナギヒロ・クドウ特等兵など、多数の撃墜王含まれる。 >あうあうあう。 >>3945年 5月末日 >>我が帝国と皇国は 無期休戦条約を結ぶ。 >お互いダメージが多すぎたんですね。それにしても、総力戦に持ち込んでも勝敗決まらないとは・・・よほど拮抗してたんですね。 >だったらもっと早く見切りをつければよかったのに。遅すぎた平和、ですね。 人間も、諦めれないと泥沼ですし。 >>行方不明者多数見つからず。 >これってやっぱり・・・あぁぁ ・・・・行方不明は死亡ではないよ? >> >> 以上 蛍惑帝国 帝国史より一部抜粋 > >うー・・・。切ないです。実際にこういう人がいたんだろうなと思うと特に。 >鎮魂歌まがいの詩でも送りつけていいですか。やるせないです・・・。 >(悲しくて今回口調おかしくなりました^^;ごめんなさい。 > 鎮魂歌ですか・・・。 それもうれしいですが、パソコン持ち直し次第ですが、結を見てからおきめください。 それでは、ネットカフェより愛を込めて。 |
31769 | 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+(結1) | 十叶 夕海 | 2005/8/27 20:23:57 |
記事番号31660へのコメント 結 1 現代日本の首都の片隅の古書店兼喫茶店のカウンタ。 「・・・・・ということで、『一応』この桜のお話はおしまい。 でも、一応少しおまけみたいな終わりみたいなシメはあるわ。」 「人間の歴史は、戦争の歴史とはよく言ったもんですけど・・・・・・・。 この物語、店長の個人書庫行きじゃないですよね?」 「いいえ、これは書庫行きよvv」 「・・・・・・店長。 この際店長が餓死してもかまいませんから、僕のお給料払ってください。 この際、労働基準法破りまくりですけど、時給300円計算でもいいですから。」 「はいはい。 ・・・・・・人間って、本当に血みどろの争い好きよね。」 「え?」 「なんでもないわ。 ・・・・そうそう、サラサ中尉やタナカ曹長がどうしたかというとね・・・・・・」 結 2 へ続く |
31779 | 桜の木下で +戦争が終わったそのときは・・・+(一応完結) | 十叶夕海 | 2005/9/1 22:22:35 |
記事番号31660へのコメント ―休戦条約より、二年後―。 「ミツキ特等兵は?」 「総攻撃から三日目に対空砲で墜落。」 「カツラ准尉は?」 「三ヵ月前のトゥルバの宣戦布告時にやられたよ。」 「サイトウって言う厨房に居た子は?」 「総攻撃の最中に徴兵されて、神風攻撃。」 「・・・・・そう、三年って短いようで長いね。 あの頃の基地の仲間が殆どいないもの。 アカギ少尉・・・・いえ、アカギ大佐殿?」 サラサ中尉が、所属していた基地の総司令執務室。 その応接セットに大人二人と眠る子供が二人―。 「あら、ありがとう。 タカメ中尉。」 女性のほうが、お茶を持ってきたアカギ大佐の補佐の女性士官にそう礼を言う。 「いえ。 アカギ大佐。 この二人、仮眠室に連れて置きましょうか?」 「ああ、頼む。」 ・・・・・パタン 「いい補佐ね。」 「君にやって欲しかった。 サラサ中尉・・・・いや一応殉職したことになっているから、サラサ少佐か。」 「しょうがないわ。」 そう女性は、時間相応の歳を取ったサラサ中尉。 男性は、アカギ少尉である。 「・・・・・それで、復職いいか?」 「タナカ准尉もか?」 「ええ。 トゥルバともう少しで、本格的な戦闘なのだろう? 町の情報屋だ言っていた。」 「ならば、ツキネ・サラサ少佐とタイヨウ・タナカ准尉の復職を認めよう。 ・・・・・・それとあの双子は、タナカとのか?」 「ええ。 守りたいものが出来たから・・・ね。」 物語はここまで―。 しかし、まだ彼らの人生は続く―。 ―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+ 後書きは、明日以降に。 |