◆−夢白発−エスエル (2005/8/24 17:01:15) No.31742


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31742夢白発エスエル 2005/8/24 17:01:15


 その城は…とても美しかった。
   氷のような壁に、氷柱のような柱に…。

  
   ―夢白発―

      エスエル


「うふふっ。嬉しすぎます嬉しすぎます嬉しすぎますわ〜〜っ」
響く。ただその声は、響いた。
耳を痛がりもせずに、依頼者の女は笑った。
「ぞうぞ、どうぞ、どうぞ、どうぞ!」
そして…透明の近さ名ビンに入った、ピンク色の液体を、依頼者に渡す。
それは…趣味と言う枠から外れた迷惑な液体だった。
女が受け取ると、中の液体が揺れる。
「ありがとうございます。本当にいいんですか?」
「嬉しいですわ。最後の1つでしたの」
まるで貴族のような喋りをする女は…ただそう言って笑った。
「うっし…」
依頼者は、会釈してその城を出て行った。


 その城は…とても美しかった。
   氷のような壁に、氷柱のような柱に…。


     ●●●

「人間界へ…消えろ?」
男は…重そうに珍しい福をまとった男は……
自分に向けられた言葉を繰り返した。
意味がわからない。消えろ?…なんだ?…消えろだと?


暫くの沈黙。
「ねぇさあ…あんたは…ちょっと酷いと思うのね。うんまじよ?だからね、わるいけど…さ…」
「ごめんなさいね。」


呼び出し―
それはキツかった。
と言うより止めてほしかった。
っていうか恐いじゃん。
言われる前の瞬間のほうが嫌い。
あの沈黙と、目が嫌い。

それを―
受けた男は当然それなりの…

はっ…。やはり…
「そうですか…」
男はあっさりと承諾。いいや、承諾の権利などと偉そうにいえる立場ではない。いつもとは何処か違う、血…のような紅い目をした上司に……いや、違わない、これが普通だ。

もうこの空気は嫌だ!
逃げたい!!嫌だ嫌いだ逃げ出したい!!!!

男は…足を進めた。
数歩行き…いや行かぬところで消された。

当たり前なのだが、その金髪美女と赤い目の男に―

    ●●●


男は目を開けた。
当然、いや当たり前のようにその光景は広がった。
嫌になり、一度目を閉じるがまた開ける。
「さて…」
知り合いも居ない…

  人間界

に、どうやって暮らそう。

今の自分は無力だ。その事に気づかされ、なきたくなる。
魔力はとっくに消された。しかも人間っぽい今時の服になってこの場に立っていた。
「最悪…って所だな…」

「お兄ちゃんおにいちゃん!!!」
はぁ?
そこには子供が居た。
まだ小学生程の…金髪の小さな子供。
「おっ…い馬鹿!!危ないから…」
その子供の後ろに立つ、高校生位の男。
紫がかった青の髪をしていた。
「危ない?」
男が言うと、紫の男…(こうよぼっ)はびくっと体を震わせた。

「だ…だめ!おねがいですころさないで!!ピルンお兄ちゃんはわるくないの!!」
はぁあ?何だここは?
次に、紫の髪の男の前に立ちふさがって涙を浮かべる。
な…何故…。。
青に白と…別に白髪ではないが(断定!)綺麗な色合いをした髪のまだ5、6の女の子。
合計三人が意味不明な言葉を発している。

「あの…私はこの土地は初めてなんですが、どうなさったのですか?」
なれない口調。これもきつい。
すると三人は顔を見合わせた。
「宿泊は?」
「いや、お金がなくてですね」
そのはずだ。
すると三人は目を輝かせる。。。

「じ…じゃあその…うちに泊まりませんか?あの…汚いし狭いですが…」
男は正直安堵した。
これで一応大丈夫そうだ。。
「え…?いいんですか?感謝します」

「っつつっっしゃああああっ!!!」
と、それをいうなり飛び上がる金髪。
「は…?」
「ま、まあおにいちゃんうちにきてよ!!!」

といわれ、手をひかれて男は走った。
三人の家へと―


   ●●●

「どうぞ、汚いですが。」
正直、汚かった。
言っては悪いが。しかし広さはあるようだった。
紫の髪の男に案内され、部屋に入れられる。
「いえいえ、綺麗じゃないですか」
   御世辞!

1つの倒れそうなベットしかない部屋に入れられる。
恐らくは兄であろう紫の髪の男に続き、楽しそうに妹弟も入ってくる。

「あの、どうして私を?」
男は答えない。
「何か理由が」
しかし答えない。
「…。そうですよね、訊きませんよもう。ところでお名前を聞いても宜しいですか?」
すると反応。

「あっ、ああすみません。 俺はピルンって言います。」
「僕ライルね」
金髪の子。
「そうそうこっちの子は、クハルって言います。すいませんねまだ小さいもので」
と、青の髪の子供に。

「あ…そのあなたは」

名前―

そうだ名前―

何だったか?

名前―

思い出せない?

自分は何故此処に?

誰だ自分は?

「………わかりません」

本当にわからなくなっていた。
何がなんだかわからない。

「記憶喪失?……!?」

「そうかもしれません…。自分は一体なにものなんでしょう?」


「き…きゃあああっ!!や…わ…」
急に、本当に急にクハルが叫んだ。視線は男に―
どうして?
「おにいちゃん…いたい…?」
は…はあ?
この子は何を行っているのか…っと?
「び…病院いったほうがいいですよ本当に!!」

見ると、胸のほうからとか肩からとかいつのまにか大出血していた。
ってか痛い…。。
いつの傷?
いたいで済むのか?

人間なのか?

一体―

    ●●●

男が目を開けるとそこは「準集中治療室」とか書いてあって。
白衣を着た男が歩き回っていて。

それだけが見えて又眠った。


    ●●●

「どうしたんですか!?ねえ!!」
「えぇっとわかりません。ですが…原因不明の…病?…何なんでしょう、記憶もなくされております。あなたはご遺族のかたかなにかですか?」

「ん…微妙です。とにかく―」

    ●●●


五月蝿い…そう思って微妙に目を開けると…。。
何か…………

「…っぇん…」

誰か泣いてるし…。
しかも自分の寝ているベッドに突っ伏して大号泣。
「……ぁえ?」
声を出すとその…女は顔を上げた。
三つ編みで、綺麗な目の可愛らしい女。
誰だ?

ハアル?…ピルン?…ライルではないし…。

「覇王様!!」

はあ?!

覇王様?
それが私の名前か?
と言うか何やってんだ私は…(汗汗)

「ねえ覇王様!!大丈夫ですか!?ちょっと」
しかもその女はシーツをぎゅうっとにぎりしめておおなきしているし…。
だからなんだよここは!!!

「あったたた…」
ゆっくりと起き上がる。
「おしょっと。。」
そして立ち上がる。
なんかほうたい まきまきまきで…。

「えぇっと…誰だかわからないが…その。ピルンは?あぁライルでもいいぞ?ってかあれ、あのぅ…ハアルでもいいし。」
「私のことがわからないんですか?」

「あぁ」

「シェーラ…あの…シェーラです!!」
ん…んーーー。
覇王将軍…。

・・・・・・・・・・・・・。。。。。。

S様から追い出されて…。
ピルン、ライル、ハアルに助けられて。
なんとなくここにいて。
で・・・

しぇーらがむかいさん??

「シェーラ…。で、我はここで何を??」
するとシェーラは泣き目で
「……な……ば。馬鹿じやないんですか!?ちょっと大丈夫なんですか!!??私…」
で…どうしてないているんだこいつは―

「私これでも一応心配したんですからね!?別にいいですよ道具でもクソでも!でも覇王様死んじゃったら…死んじゃったら……どうしようもないじゃないですか…」

そうたった…かな。

ただ、しがみ付いてはなれない可愛い部下に覇王はただ

「ごめんな」

言った。


   ●●●

「ちょっともうおきてくださいよ!!!」
と、また目をあけるとそこにはさっきまで……

…ってぇか悪夢だぁぁぁぁぁああああああああああああああああぁぁぁぁあああああ

「え…?何故だ?じ、じゃあ我のリストラ(違)はなしなわけで、あ、ピルンどこいった?ライル?あらら…ハ……って…」

「なにいってるんですかもう!!!でも…」

「ん?」

うへへへ寝顔可愛かったナァ覇王さまあー、何かおもわずあたしなでなでしちゃいましたあーそしたらなんか髪の毛さらっさ「止めろぉ大尾おおおお大オオ大尾おお大オオ大オオ大オオ大おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「と…とにかく…だな」
赤面覇王さん。あんたは可愛いよ。byシェーラ


「ま、まあいいです。ええっと何かダルフィンさまが呼んでました」
「あぁいるかか…よかったなまだこの暑さで生きてたか。」

あの夢の最初の薬は…

予知夢っぽいな。

とは言っても訊いておきたくて―


「我死んだら泣くか?」




「そ…そんな決まってるじゃないですかあっ!」
腕に纏わりついてくる可愛らしい部下を笑顔でよけた―




あとがき

おぉ死ぬ。
最近なんか死にます。
あーあ。意味がわかりませんねこの物体は…。
えぇっと駄文マンです。
暑さのため、のめっております(だらだら)

作中に登場する、ピルン、ライル、ハアルにつきましては、きっとわかる方が三人か二人いらっしゃいますが、本名を明かさないで下さい。
それだけですすいません。

それではいつもすいませんでした。


あ、そうそうタイトルの読み仮名は、

「夢白発」
むはくはつ

でした。あ、では。