◆−セイルーン姉妹珍道中 47−神高 紅 (2005/9/25 14:45:12) No.31899 ┣Re:セイルーン姉妹珍道中 47−夢月なつか (2005/10/2 21:23:07) No.31917 ┃┗Re:セイルーン姉妹珍道中 47−神高 紅 (2005/10/5 23:48:07) No.31925 ┣セイルーン姉妹珍道中 48−神高 紅 (2005/10/22 14:50:31) No.31988 ┃┗Re:セイルーン姉妹珍道中 48−夢月なつか (2005/10/22 18:43:46) No.31989 ┃ ┗ある意味好評ですか−神高 紅 (2005/10/25 23:11:58) No.32002 ┗セイルーン姉妹珍道中 49−神高 紅 (2005/11/3 14:35:26) No.32021 ┗Re:セイルーン姉妹珍道中 49−夢月なつか (2005/11/3 19:37:15) No.32022 ┗Re:セイルーン姉妹珍道中 49−神高 紅 (2005/11/8 00:01:20) No.32026
31899 | セイルーン姉妹珍道中 47 | 神高 紅 | 2005/9/25 14:45:12 |
紅:ハローエブリワン。かみたかべにだよー。 コ:やる気ねえなあ・・・ ク:いつもそんなもんだと思いますけど・・ コ:結構言うのなお前。 紅:今回番外編ぽいんだよねーじゃーはじめるよー。前書きなんて所詮誰も見てないしね(小声で) コ:小っちゃく本音言ってるし! ク:ちなみに・・今回あの人がやっと初登場です・・ <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<< 薄い靄がかかったまどろみの中、ナーガは立っていた。 「さてグレイシア様。心地はいかがですか?」 いつからいたのか、あるいは最初から其処にいたのかもしれない。 少年とも少女とも取れない顔立ちの『なにか』はにこりとナーガに微笑んだ。 それはナーガが小さい頃に読んだ物語の吟遊詩人そのままの姿。 「ここは・・・」 「ここはもしもの世界、夢の世界、或いはあったかもしれない並行世界の一つの具現化」 ナーガの問いを聞いているのかいないのか、虚空を見上げ吟遊詩人はそう呟く。 「君は君ではないかもしれない彼は彼ではないかもしれない彼女は彼女ではないかもしれない。でも心配しないで、所詮ひと時の幻話にすぎないから」 いつのまにか『彼』はナーガの目の前にいた。 「覚悟は出来た?じゃあ始めようか。一夜限りの御伽話をね」 眩い光とともにナーガの意識は宙に浮いた。 第47話『摩訶不思議?セイルーン兄弟珍道中』 ・・・ん!・・さ・!・・さん! 「兄さん!!起きてください!!」 「うきゃあ!!?」 なんかよくわからない悲鳴を上げつつナーガは誰かに起こされ瞳を開ける。 そのままあたりをきょろきょろする。 はてどこだろうかここはなんか見覚えはあるんだけど? さっきまで誰かと話していたような気もするが。 「あれ・・・?ここはどこ?」 まだ全然回転してくれない頭を押さえつつ自分を起こした『青年』を見る。 「まだ寝ぼけてるんですか兄さん?」 ナーガの頭を激しい違和感が襲う。 兄さんとは誰のことだろう。とゆうか目の前にいるこの人は? 目の前にいる青年はナーガのよく知っている人物に酷似していた。 「ねえ、あなた名前はなにかしら?」 「なに言ってるんですかグレイシア兄さん。僕はアメリア。あなたの弟でしょう」 そうアメリア似の青年は事も無げに一部の隙もない笑顔で答えた。 もう完全に訳がわからない。ナーガの頭はパニック状態だ。テスト終了五分前に裏にも問題があるのに気付いた学生状態だ。 思わず頭を抱えたナーガは、鏡の中に長身麗句な青年が頭を抱えている光景が見えた。 そうグレイシア=ウル=ナーガ=セイルーンは男になってしまっていたのだ。(何?この展開・・・byコウ) 「いやいやいやいや・・・落ち着くのよ私。とりあえず数でも数えて、2・3・5・7・11・13・・・」 なんで素数を数えてんのか、かなり動揺してる様子。 「もう、寝ぼけてないでいいかげん起きてください」 いまだ混乱覚めやらぬ頭をぶんぶか振りながらナーガは立ち上がる。 ようするに・・・私たちが男になってるって世界なのかしら?夢にしては出来すぎよね・・・ いまだ釈然とはしていないようだが少しずつナーガも状況を理解しだした。 「アメリア!久しぶり!」 突然部屋のドアが乱暴に開けられる。 はっと振り向いた先にいたのは、赤い髪の少年と金髪の美女。 「久しぶりです。リナさん。忙しい所を急に呼んじゃってすいません」 「なーに言ってんの。あんたと俺の仲じゃない」 そう言ってアメリアの方を抱く、自称リナ。 ちなみに『女でも男でも大して変わんないわね。胸が』とナーガが考えたのは秘密だ。 「そーよアメリア」 のほほーんとした様子で喋るデカ女ガウリイ。容姿はアニメのNEXTでも見てください。 「ガウリイさんも久しぶりです」 思わずナーガはため息を吐く。 ああそーかそーいう世界なのか・・・ なんか諦めの境地に入ってきた。 よく見ればここはセイルーンの王宮だし。 「リナ久しぶりね・・・」 「ナーガもいたんだ。まあ流石に弟の晴れ舞台に帰ってこないようじゃー兄失格だからね」 「晴れ・・・舞台?」 「そーよ。アメリアが結婚するってのに」 「けっ・・・こん?」 意味:男女が誓いを立て夫婦になること。 「んな・・・誰とよ!!」 ナーガは思わず声を荒げる。 いかに世界が違えど男だろうとアメリアはナーガの大切な妹。それが結婚と聞いて黙っていられるはずもない。 「はあ?何言ってんのあんたは?」 「花嫁が来たわよーアメリア、リナ、グレイシアさん」 ガウリイの台詞に三人は一斉に振り返る。 純白のドレスを着た美女がゆっくりと・・・部屋に入ってくる。 しばしの間部屋を静寂が包む。 「おい・・・」 ドレスの美女が照れながらにこちらを見据え、 「恥ずかしいから・・・あまり見つめるんじゃない・・・」 顔を朱に染めながら、そんなことを呟く。 「いやあまりにも綺麗だったからつい」 「そーよ。同姓の私でも見惚れちゃったわよ」 「綺麗です・・・ゼルガディスさん・・・」 三人とも思いは同じだ。 口には出していないがナーガも思わず、綺麗だと心の中で呟いていた。 「だから真顔でそんなこと言うな!」 「照れなくても良いじゃない。初々しいわね」 ますます照れるゼルにリナが冷やかす。 「ゼルガディスさんね・・・」 ふとナーガは思う。 旅の途中、アメリアはゼルガディスという青年について話したことがあった。 なるほど、これほどの美人、男だったならよほどの美形だろう。アメリアが好きになるのも頷けるかもしれない。 だが話に聞いた彼は確か合成獣ではなかったか?今目の前にいる彼女は間違いなく人間である。 『これが並行世界、無限にあるうちでもしかしたらもっとも幸せかもしれない世界の一つだ。男女の違いなんて微々たる違いでしかない』 そんな声が・・・聞こえた気がした。 ああなるほど、確かにこれは望むべき一つの世界かもしれない。 皆が幸せそうに笑っている。 と、ナーガも納得しかけたところへ・・・彼女が現れた。 「アメリア!グレイシア!そして皆!式の準備が出来たわよ」 「・・・まさか・・・この声は」 やたらと大きく野太い声。多少高くはなっているがこれは間違いなく・・・ 「お父様・・・」 振り向いたナーガはなにかとんでもないものを見て・・・ 「いくらなんでもそれはぁああ!!!」 ナーガはベッドから飛び起きる。 目に映ったのは目を大きく見開いて驚いているアメリアの姿。ちゃんと女である。 「一体なんなんですか大声出して」 「え?いやなんかとんでもない夢を見た気がしたんだけど・・・思い出せないわね」 ナーガは頭をひねるが思い出せないものは思い出せない。 「早く出かける準備をしてくださいよ」 「わかってるわよ」 ベッドから降りて、簡単に荷物を片付ける。 『楽しかったかな?まあ最後のは僕の遊びだよ。またいつか忘れた頃に・・・』 「アメリア?なにか言ったかしら」 「いえ、なにも言ってませんが」 おかしいわねと呟きながら、ナーガはなんとも言えない奇妙な気分になっていた。 『さてさて皆様。いつか貴方たちの夢でお会いできれば、その時に・・・』 (おしまい) <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<< あとがき 紅:ついにやっちゃった性別逆転もの。しかも夢オチ。てゆーか女ゼルが書きたかっただけだけどね。 コ:いいのか?ゼル初登場で女って・・・ ク:それになんですか・・あの吟遊詩人さんは・・? 紅:ちゃんと決まってないけど世界の記録や記憶の一部って言うかそんな感じ。今回ナーガにやったことは暇つぶしらしいです。まあもしかしたら再登場もあるかも。 コ:しかしこんだけ時間かけて遅れてこの程度かよ。 紅:それは言わないで下さい・・・あー今度はゼル外伝でも書こうかな。 ク:それは・・やめといたほうが・・ 紅:ふんだ。もう終わるもん。 コ:気持ち悪いからやめろ馬鹿。 |
31917 | Re:セイルーン姉妹珍道中 47 | 夢月なつか | 2005/10/2 21:23:07 |
記事番号31899へのコメント お久しぶりデス。 九月はテストに講習会にと色々忙しくて(のわりにはHPは継続)こっちにこれませんでしたが、 ・・・・性別転換ネタですか・・・・ まぁ、じょそーはアニメでやってましたし、・・・ えと、とりあえず感想GO-!! >そうグレイシア=ウル=ナーガ=セイルーンは男になってしまっていたのだ。(何?この展開・・・byコウ) > >「いやいやいやいや・・・落ち着くのよ私。とりあえず数でも数えて、2・3・5・7・11・13・・・」 ・・・男になったくせに口調そのままかい。 そういえば、服装はどーなってんですか? さすがにあのこすちゅーむではないと思いますが・・・ >「アメリア!グレイシア!そして皆!式の準備が出来たわよ」 > >「・・・まさか・・・この声は」 > >やたらと大きく野太い声。多少高くはなっているがこれは間違いなく・・・ > >「お父様・・・」 > >振り向いたナーガはなにかとんでもないものを見て・・・ ぐふぇっっ!!(吐血 スティ:・・・きっついですねこれ ティック:なつか姉さん・・普通に想像してしまったみたいです。 スティ:あー記憶シャットダウンしといてよかったわ ティック:ほんっとですね姉さん。 スティ:もう少し遅かったら私達にまでなつかさんと同じ記憶流れてくるところでしたから ティック:じゃぁ次・・いきましょうか? >『これが並行世界、無限にあるうちでもしかしたらもっとも幸せかもしれない世界の一つだ。男女の違いなんて微々たる違いでしかない』 スティ:・・・この人におうぢさまの女化見せてみたらどうなるんでしょう? ティック:微々たる違いが大きな違い・・・ >『楽しかったかな?まあ最後のは僕の遊びだよ。またいつか忘れた頃に・・・』 スティ:・・・見物してるぶんには楽しいですけど・・・ ティック:当事者は・・いや、です。 スティ:と、いうわけで短いながらこのへんで ティック:次回・・楽しみにしてます。・・それまでには、なつか姉さんも生き返ると思います・・・たぶん。 双子:双子がおおくりしました! |
31925 | Re:セイルーン姉妹珍道中 47 | 神高 紅 | 2005/10/5 23:48:07 |
記事番号31917へのコメント 紅:毎度毎度ありがとーございまーす。紅です。 コ:飽きもせずにサンキュな。 ク:これからも暇な時にでも・・レスくださいね・・ 紅:しからばレス返しにはせ参じましょう。 > ・・・男になったくせに口調そのままかい。 > そういえば、服装はどーなってんですか? さすがにあのこすちゅーむではないと思いますが・・・ 紅:タキシード系かと、これから結婚式なので。 コ:書いとけよそー言うことは。 ク:いつもの格好だと・・ただの変態さんですね・・ > ぐふぇっっ!!(吐血 > >スティ:・・・きっついですねこれ > >ティック:なつか姉さん・・普通に想像してしまったみたいです。 > >スティ:あー記憶シャットダウンしといてよかったわ > >ティック:ほんっとですね姉さん。 > >スティ:もう少し遅かったら私達にまでなつかさんと同じ記憶流れてくるところでしたから > >ティック:じゃぁ次・・いきましょうか? 紅:ご愁傷様です。それと・・・いやまあ・・・ごめん。 コ:流石にこれはな・・・ ク:・・・・・・(震えてる) >スティ:・・・この人におうぢさまの女化見せてみたらどうなるんでしょう? > >ティック:微々たる違いが大きな違い・・・ 吟遊詩人:リナの替わりにナーガの世界よりはたいしたこと無いと思うけどね。 紅:程度の問題みたいです。 コ:・・・なんとも言えねえ・・・ >スティ:・・・見物してるぶんには楽しいですけど・・・ > >ティック:当事者は・・いや、です。 吟:そんなこといわずに。今度君たちを招待してあげよう。きっと楽しいよ。 コ:そりゃお前がだろうが。 >スティ:と、いうわけで短いながらこのへんで > >ティック:次回・・楽しみにしてます。・・それまでには、なつか姉さんも生き返ると思います・・・たぶん。 > >双子:双子がおおくりしました! 紅:頑張ります。出来るだけ早く、たぶん・・・ コ:言い切れよ。 紅:さよーなら。 コ:あってめえ! |
31988 | セイルーン姉妹珍道中 48 | 神高 紅 | 2005/10/22 14:50:31 |
記事番号31899へのコメント 紅:いいかげん話数が凄いことになってますね。神高紅です。 コ:48回か・・・よくもまあだらだらと続いたもんだ。 ク:もうすぐ・・50話ですね・・週間でも一年かかりますよ・・ 紅:記念になんかやりたいねえ。 コ:まあ・・・50話まで行けりゃあな。 紅:ドキーンッ!!? <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<< 「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。 昔いまし、今いまし、のち来たりたもう主たる、 世にも貴き御名において――」 夕日が差し込む神殿内の赤の竜神の像の前。目を閉じ、指を組み、祈りを捧げる少女がいた。 夕餉のまどろみの中、神殿に立て付けられた十字架の上に罰当たりにも佇むものがいた。 「まったく獣王様も、毎度毎度僕に厄介ごとを押し付けてくれますね」 そのものが魔族というのは最大級の皮肉か。 そんな事を意にも介さず黒の神官は自らに無理難題を押し付けた主に溜息をつく。 むろん本気で恨んでなどはいないが、こう忙しいと形だけでも装いたくなる。 「おや、あの方ですか」 そう呟いた獣神官、ゼロスの視線の先には、巫女服を着た赤い髪の少女がいた。 祈りを終えたようだ。 「さて、それでは見極めさせていただくとしましょうか」 片目を細く開き口元に笑みを浮かべた魔は、傾いた日とともに消えていた。 第48話『そのもの、赤き魔王につき 前編』 町に着くなり立ち寄った魔道師協会で三人はとある依頼を受けていた。 協会の依頼は報酬が安い。しかし、それでも後々のため受けておいたほうが良いと判断した三人は依頼の場所へ向かった。 「こっちだよ姉ちゃん」 「ちょっこら!私の剣返しなさーい!」 「こうやるのよお嬢ちゃん」 「わー。お姉ちゃん見かけによらず器用なんだね」 「その一言は余計よ」 そしてここはとある寺院であり、またそこの神父が親を無くした子供たちを集め孤児院を開いていた。 その庭先でナーガとレミーはそこの子供たちと戯れている。 それをアメリアは横目で視界に入れつつ目の前に座る神父に問い掛けた。 「それが依頼の内容ですか?ベルダさん」 「その通りです。魔道師様」 確認したアメリアに、童顔の神父はにこにことした笑みとともに答えた。 「続きはまた食事の後にでも」 「神父様」 その神父に話し掛ける赤い髪の少女。 その少女は腰まで届く長い髪に凛とした瞳。掛け値なしの美少女、ではあるのだがどこか獰猛な獣を思わせる空気を纏っている。 「おお、フレイア。礼拝は終わったのかい?」 「ええ神父様。それにもう日も暮れますし夕食の時間です」 「そうだね。おーい皆!そろそろ家に入りなさい」 うんと一つ頷いた後、ベルダは庭先で遊んでいる子供たちに呼びかける。 『はーい!神父様』 ベルダの言葉に子供たちが一斉にこちらに向かい駆けて来る。 あの後、にぎやかな食事も終え、三人は神父の部屋に集まっていた。 アメリアにナーガのせいで一騒動あったのだが・・・まあそれは追及しない方向で(主に食事戦争) 「では、魔道師協会のほうからも大筋は聞いているでしょうからね。手短に話しますよ」 いつものにこにこ顔のまま、すうっと神父の雰囲気が真面目なものに変わった。 「依頼は最近、夜な夜な寺院に現れるなにかの駆除です」 「なにか、とは?」 「それは・・・わかりません」 「はあ?」 素っ頓狂な声をあげるナーガ。まあ無理もないが。 「確実になにかがいて寺院内を荒らしているのは事実なんです。ただしそれがなんなのかサッパリ検討もつかず困っているんですよ。子供たちの中にはゴーストを見たって話もでてますし」 あっはっはとまるで人事のように話す神父。御気楽な人だなあ・・・ 「一度浄化魔法なんかもかけて貰ったんですけどね。サッパリ効果がなくて、一晩中張り込んでみようかとも思ったんですが、もしたちの悪い霊の類だったら私自身強力な浄化魔法も攻撃魔法もつかえませんから」 神父はほとほと困り果てた様子で現状を伝える。 「それで強力な攻撃魔法を使えるであろう、旅の魔道師である私たちに依頼したと言うわけですね」 「その通りです。お願いします、力を貸してください。今のところ夜でなければ問題ありませんが、やはりこのままでは子供たちも安心できないし、お祈りする人にも迷惑がかかってしまいます」 確かに依頼料は激安だが、こんな現状をほおって置くほど、三人は薄情ではない。 「お任せください。必ずや原因を突き止めて解決して見せます」 「ほーっほっほっほ!まあ泥舟に乗った気でいなさい」 「大船よ。ナーガ・・・」 「うぐ・・・わ、わざとよ!ついよ!」 「どっちなのよ・・・」 「えーとまあ・・・ありがとうございます皆さん」 微妙に神父の顔が苦笑いなのは私の気のせいではあるまい。 そして、夜も更けてきた頃、 「皆さん、あったかい飲み物でもいかがですか?」 きいっとドアを開け、湯気のたった3つのコップを持った赤髪の少女が三人の元を訪れた。 「フレイアさん・・・でしたっけ?」 「ええそうですアメリアさん。そしてナーガさんレミーさん。私の名前はフレイア=ガードです」 手に持っていたお盆を机の上に置いた後、ぺこりと三人にお辞儀をする。 「ああどうも、ご丁寧に」 その礼儀正しさに、思わずアメリアも頭を下げる。 「ですがどうしたんですかこんな夜更けに、夜更かしはよくないですよ」 「寝付けないんです・・・なにか、胸騒ぎがして」 すうっと、フレイアは右手を自らの胸に当てる。 「大丈夫です。私たちが必ず何とかしますから」 アメリアがその手をフレイアの肩に置く。 「はい、お願いします」 フレイアは改めて三人に頭を下げた後、静かに部屋へと戻っていった。 それを見送り、あったかい香茶を飲んだ後、三人は寺院へと向かっていった。 さらにそれからしばらくして、 「・・・何か・・・来る・・・」 呟き、ついっ・・・と、アメリアが視線を神殿の入り口に向ける。 ナーガとレミーも気付いているらしく、同じ場所に視線を向けている。 きいっ・・・神殿のドアが静かに開く。 「え・・・?フレイア・・・さん?」 そこにいたのはあの少女だった。 格好こそ寝巻きであるが、間違いなくフレイアその人である。 しかしその目は虚ろで焦点が定まっていない。 「もしかして、何かに操られている?」 ぴしっぴし!ぴししっ! その言葉を肯定するかのごとく、神殿内にラップ音が鳴り響く。 そのままフレイアはおぼつかない足取りで、三人の横を通り過ぎ、赤の竜神像の前まで歩いていく。 途端、フレイアの周りに薄い靄がかかりはじめる。 「ゴースト!?」 「もしかしてこれが神殿を荒らすなにかの正体ってわけ?」 「おそらくは・・・」 言ううちにもゴーストはドンドンその数を増やしていく。 「くっ!行くわよアメリア!」 「はい姉さん!」 慌てて二人はフレイアに向かう。 「浄化炎!」 ナーガの放った浄化の炎がゴーストを蹴散らす。 「青魔烈弾破!」 ナーガの術を逃れた残りをアメリアの魔法が一掃した。 ふう・・っとフレイアがその場でへたりこむのをレミーが抱きかかえた。 「やったの?」 「ええ、みたいですね。でも・・・ゴーストがフレイアさんを操ってたんでしょうか?」 『それは違いますよアメリアさん』 「っ!?」 突然何もない空間から声が聞こえ、慌ててそちらを振り向く。 「今の声は・・・まさか・・・」 見知ったゴキブリ神官の顔が脳裏に浮かぶ。 アメリアは辺りをキョロキョロと伺うが姿どころか気配も掴めない。 その時、獣の咆哮が聞こえた。夜の闇の中にさらに闇が生まれ異形の姿を形どる。 る・・・るぐあぉおおおお!!! 「今度は何!?」 「レッサーデーモン!?なんでこんなとこに!!」 それこそまさに唐突に、十体以上のレッサーデーモンがナーガたちを取り囲むように出現した。 レッサーデーモンたちは一斉に炎の矢の発射態勢をとる。 「ええい!迷ってる暇はないわよ!レミー!アメリア!」 即座に三人は迎撃態勢を整え、散開する。 「烈閃咆!」 どうん! 「覇王雷撃陣!」 ばじじじじばっ!! 「神撃斬!」 ざしゅん! 一瞬で、数体のレッサーデーモンが塵とかす。 攻撃の余波で神殿内が荒れたが、まあしかたないし。気にしたら負けだ! この反撃にデーモンたちもひるむが、三人はある、重大なミスを犯していた。 ぐるおおぉぉおおお!! 「しまった!フレイアさん!」 気絶しているフレイアの事を失念していたのだ。 その上あろう事かデーモンは攻撃目標を倒れているフレイアに変える。 デーモンが咆哮とともにその豪腕を振るう。 もう三人の位置からでは誰も間に合わない。 ゆっくりと・・・スローモーションに過ぎる時間。 もうデーモンの腕はフレイアの目の前に迫っている。 「フレイアさーん!!!」 どぉぉおおおおぉおん!!! 神殿に・・・爆音が鳴り響いた。 (つづく!) <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<< あとがき 紅:中途半端にシリアス!あーんど変な展開! コ:わかってんじゃねえかよ。 ク:しかも前回から間空き過ぎ・・も入れといてください・・ 紅:反論の余地が何もないのは仕方がないが・・・いい加減ほんとに書くことないです。 コ:知るか。いいからとっとと書け。 紅:うあーん!鬼ー!悪魔ー!!女顔ー!!! コ:んだとこらあああ!!!闇の剣よ!! 紅:ぐぎゃああああああ!!!(死亡) ク:あーあ・・とりあえず紅死亡につき・・今日はここまでです・・ コ:はぁーはぁー・・・とりあえず、じゃあな。生き返ったら即効で続き書かすから。 ク:さよならです・・ |
31989 | Re:セイルーン姉妹珍道中 48 | 夢月なつか | 2005/10/22 18:43:46 |
記事番号31988へのコメント うわぁぃゴキブリでましたねぇ。 スティ:・・・ゼロスさん可哀想です。 ティック:・・・魔族に・・人権はないですから・・・ 悪人にも人権ないってリナさんの名言ですし・・・ ・・・。ゼロス=ゴキブリ=生ゴミの方式はティックも指示ですか スティ:はいはーい! 後ひとでなしとかさりげに役立たずとか ティック:でも生ゴミ魔族は(フィリアさんの)名言ですよね スティ:まぁ生ゴミだし・・てか粗大ゴミ? ティック:生だけど実際は精神生命体ですし・・・ スティ:・・・でも、よわいんだか強いんだか実際のところ本編では判断つきかねない。 ティック:でもゼラスさんの腹心ですし・・・ スティ:でも変わってるよねぇ・・・ある一種の変人? ティック:変人変人 スティ:きゃははv ・・・・・・・・・・・・・・・・。 さて、感想いきますね。(上記スルー) >夕餉のまどろみの中、神殿に立て付けられた十字架の上に罰当たりにも佇むものがいた。 > >「まったく獣王様も、毎度毎度僕に厄介ごとを押し付けてくれますね」 双子:バチあたりぃー! うわっ! あんたらそんなにゼロス(影で)いじめて楽しいのですか スティ:すごく ティック:楽しいです ・・・・・・・・・・・・・。 ゼロスさんとこ行って来なさい。そして本人目の前でいじめ倒して来なさい。 双子:はーい。いってきまーす。 ・・・・・・・・・。よし、邪魔者処分完了。(おい >「こっちだよ姉ちゃん」 > >「ちょっこら!私の剣返しなさーい!」 > >「こうやるのよお嬢ちゃん」 > >「わー。お姉ちゃん見かけによらず器用なんだね」 > >「その一言は余計よ」 > >そしてここはとある寺院であり、またそこの神父が親を無くした子供たちを集め孤児院を開いていた。 >その庭先でナーガとレミーはそこの子供たちと戯れている。 戯れで剣とられたんですかレミーさん。 不注意杉やしませんか?それともわざとでしょうか。 それにしても・・・あの2人が子供相手に戯れる・・か(遠い目 >確かに依頼料は激安だが、こんな現状をほおって置くほど、三人は薄情ではない。 > >「お任せください。必ずや原因を突き止めて解決して見せます」 > >「ほーっほっほっほ!まあ泥舟に乗った気でいなさい」 ・・・。ナーガなら断りかねないと思ったのですが リナとわかれてから大人になったのでしょうか。(ナーガをなんだと思ってた >「くっ!行くわよアメリア!」 > >「はい姉さん!」 > >慌てて二人はフレイアに向かう。 姉妹だけに意気投合。でもナーガの流れ弾にあたらないよう注意すべし。 とか言いたいですけど・・・言いたいですけどぉ・・・ >「ええ、みたいですね。でも・・・ゴーストがフレイアさんを操ってたんでしょうか?」 > >『それは違いますよアメリアさん』 > >「っ!?」 > >突然何もない空間から声が聞こえ、慌ててそちらを振り向く。 > >「今の声は・・・まさか・・・」 > >見知ったゴキブリ神官の顔が脳裏に浮かぶ。 そういえば・・・魔族のプライドずたずたですね。 魔族にプライドがあるのかわかりませんけど。 >「しまった!フレイアさん!」 > >気絶しているフレイアの事を失念していたのだ。 >その上あろう事かデーモンは攻撃目標を倒れているフレイアに変える。 >デーモンが咆哮とともにその豪腕を振るう。 >もう三人の位置からでは誰も間に合わない。 >ゆっくりと・・・スローモーションに過ぎる時間。 >もうデーモンの腕はフレイアの目の前に迫っている。 > >「フレイアさーん!!!」 > > >どぉぉおおおおぉおん!!! > > >神殿に・・・爆音が鳴り響いた。 ・・・なんて罰当たりな(そっちか >紅:反論の余地が何もないのは仕方がないが・・・いい加減ほんとに書くことないです。 その気持ちすっごくよく分かります・・・。 私もテイルズがネタ切れで・・・(やばいやばい >ク:あーあ・・とりあえず紅死亡につき・・今日はここまでです・・ >コ:はぁーはぁー・・・とりあえず、じゃあな。生き返ったら即効で続き書かすから。 >ク:さよならです・・ コウ君・・そんなに疲れたんですか。 では、続き楽しみにしてます。 |
32002 | ある意味好評ですか | 神高 紅 | 2005/10/25 23:11:58 |
記事番号31989へのコメント > うわぁぃゴキブリでましたねぇ。 > >スティ:・・・ゼロスさん可哀想です。 > >ティック:・・・魔族に・・人権はないですから・・・ > 悪人にも人権ないってリナさんの名言ですし・・・ > > ・・・。ゼロス=ゴキブリ=生ゴミの方式はティックも指示ですか > >スティ:はいはーい! 後ひとでなしとかさりげに役立たずとか > >ティック:でも生ゴミ魔族は(フィリアさんの)名言ですよね > >スティ:まぁ生ゴミだし・・てか粗大ゴミ? > >ティック:生だけど実際は精神生命体ですし・・・ > >スティ:・・・でも、よわいんだか強いんだか実際のところ本編では判断つきかねない。 > >ティック:でもゼラスさんの腹心ですし・・・ > >スティ:でも変わってるよねぇ・・・ある一種の変人? > >ティック:変人変人 > >スティ:きゃははv > > > ・・・・・・・・・・・・・・・・。 > さて、感想いきますね。(上記スルー) 紅:行ってくだされ。あとゼロスがすごい言われよう。 コ:ちなみにゼロスは強いと思うけどな。 ク:私たちほどでは・・ありませんが・・ 紅:さりげに自身満々。 > 戯れで剣とられたんですかレミーさん。 > 不注意杉やしませんか?それともわざとでしょうか。 > それにしても・・・あの2人が子供相手に戯れる・・か(遠い目 紅:子供パワーをなめちゃいけません。 コ:まあ不注意でもあるが。 ク:それに二人とも・・精神年齢で言えば・・ コ:うあエライ言いようだな。 > ・・・。ナーガなら断りかねないと思ったのですが > リナとわかれてから大人になったのでしょうか。(ナーガをなんだと思ってた 紅:つーか、アメリアによるところが大きいです。 コ:さすがに妹には甘いようだな。 > 姉妹だけに意気投合。でもナーガの流れ弾にあたらないよう注意すべし。 > とか言いたいですけど・・・言いたいですけどぉ・・・ 紅:それでもよかったですねえ。 コ:おい・・・ > そういえば・・・魔族のプライドずたずたですね。 > 魔族にプライドがあるのかわかりませんけど。 ク:まあ・・しょせんゼロスさんですし・・ コ:お前黒いぞ今日は・・・ > その気持ちすっごくよく分かります・・・。 > 私もテイルズがネタ切れで・・・(やばいやばい 紅:同志ー!! コ:一緒にすんなしつれーだろーが。 紅:げふぅう・・・(吐血) > コウ君・・そんなに疲れたんですか。 > では、続き楽しみにしてます。 コ:それにしてもすぐ復活しやがって。 紅:それが特技ですから。後次回は割と早いと思われます。 ク:うそ臭いですね・・ 紅:うっさい。とにかくさよーなら。 コ&ク:じゃあ、また。 |
32021 | セイルーン姉妹珍道中 49 | 神高 紅 | 2005/11/3 14:35:26 |
記事番号31899へのコメント 紅:はいどーもーこんばーんはー。神高紅だよー。 コ:何だその変なキャラ付け・・・ 紅:新しい自分を開拓してみようと。 ク:絶対無理ですから・・あきらめてください・・ 紅:其処まで言うか・・・もういいもん!第49話始めるもん! コ:(まだキャラ作ってる!?) <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<< 気が付くと朱い朱い丘に立っていた。 地平線のはるか彼方まで続く、朱い丘。 ここは何度か見た事がある、そんな気がした。 その朱い丘の真ん中に片刃の赫い剣が突き刺さり、その傍らに象牙色のコートを着た赤髪の男が立っていた。 「よう。また来たな」 男がこちらに振り向き、素っ気なく声をかける。 何故かなつかしい思いがした。 「何回目だ?こうして会うのは、まあそんなこたぁどうだっていいんだがな」 何のことだかわからない。でも頭のどこかはそれを理解していた。 私は、無意識に丘に突き刺さった赫い剣を握る。 「それを抜いた瞬間からお前が×××だ。まあなにをしろとは強制はしねえさ。好きに生きろよ」 そう言って、男は慈しむかのような笑みを見せる。 ・・・正直似合ってない。 「俺は欠片にすぎないがな、こうして何度かお前と会えて楽しかったぜ」 ああ、それは私もだよ。絶対にそんなことは言ってやらないがな。 私はゆっくりと赫い剣を引き抜く。 ――――じゃあな、我が娘―――― ――――さよならだ、糞親父―――― 男は・・・私の父の欠片は、背を向け指を弾く。 そして、世界が閃光を放ちながら、音を立てながら、砕けた。 目を開けることの出来ないほどの光の中――――――― 第49話『そのもの、赤き魔王につき 後編』 神殿が震え、揺れ、軋み、元の静けさを取り戻す。 ゆっくりと、デーモンは振り下ろした拳を上げる。 その場所には2メートル程のクレーターが穿たれ、一撃の凄さを物語る。 ぐおおおぉおおおん!!! デーモンが吼える、両拳を振り上げ、体を震わし、闇を裂くように。 すぅっと、そのデーモンの上に影がかかる。 そして、すとんっ・・・と、デーモンの背に、少女が、赤髪の少女フレイアが着地した。 「五月蝿い。貴様、少し黙れ」 足下のデーモンを睨みつけ、そう悪付く。 いつのまにかその右手には少女の体ほどもあろうかという片刃の赫い剣が握られていた。 可愛らしい寝巻きに剣というありえない組み合わせ。ひどくシュールだ。 「フレイア・・・さん?一体・・・?」 訳がわからずに、アメリアは疑問の声をあげた。 フレイアはアメリアを一瞥すると。 「ふむ、なんと言ったらいいか・・・おっと!」 フレイアの台詞を遮って、デーモンが背中上のフレイアに攻撃を仕掛ける。 が、フレイアはその場で飛び上がりあっさりとその攻撃をかわす。 さらに重力に逆らうことなく落下し、そのまま地面に到達する前に赫い剣をきらめかせる。 断末魔の悲鳴すらあげずに、デーモンは頭から真っ直ぐに切り裂かれ物言わぬ肉槐と化した。 「ち、手応えがなさすぎる」 じゃり!! フレイアはおもしろくもなさそうに、かつてデーモンだった残照を見下ろし踏みつける。 何も変わっていない。何も変わっていないはずなのに、その顔つきには、瞳には、獰猛な竜さえも荒ぶる虎さえも連想させた。 アメリアたちは・・・なにも言葉を発せられなかった。発せられる言葉がなかった。 デーモンたちは・・・脅え、怯み、一歩さえも動けず、一吼えさえもしなかった。 故にこそ、神殿内はいつもの夜と同じように、とてもとても静かだった。 る・・・ぐおぉぉおおおお!!! 永遠に続くかに思われた沈黙を一匹のデーモンが破り、吼えた。 そのさまはまるで、自らの恐怖心を隠そうとして吠えている脆弱な子犬のように。 その咆哮に呼応するかのように全てのデーモンが唸り、吼え、腕を振り上げ、フレイアに殺意を向けた。 しかし、刺すような殺気などどこ吹く風で、フレイアは口の端を笑みに歪め、呟いた。 「目障りだな。そろそろ・・・消えろ・・・」 言うなり、地が抉れるほどの力をその細い両の足に込め、床を蹴り、跳躍した。 それは正しく神速と言えた。 刹那、 なんと出鱈目か。少女は自分の身長ほどの長剣を軽々操る。一瞬の間にデーモンが切り伏せられる。 刹那、 さらに繰り出す返しの刃で二体のデーモンが吹き飛ぶ。 刹那、 即座に放たれる炎の矢、だが遅い遅すぎる。数十を超える赤い必殺は少女の残像を貫いてアメリアたちの近くに被弾する。 『きゃわー!』 すっかり傍観者と化していた三人は慌ててこれを回避する。 「あまりぼおっとしてると危険だぞ?」 斬!! 軽口を叩くその間にもデーモンは切り裂かれる。 まだまだ鈍い、遅い、軽い、弱い、もっと・・・もっとだ! 鋭く!速く!重く!強く!私の・・・私の限界(リミット)はこんなものではない!! 自らの力を確かめるかのように、さらにフレイアは加速する。 赤い旋風が舞った後には闇の獣は全て生き絶えていた。 ぱちぱちぱち。 場違いな拍手が聞こえた。 「いやあ、お見事ですねフレイアさん」 いつからいたのか或いは最初からいたのか、罰当たりにも赤の竜神像の上に座り拍手を送る、ゼロスがいた。 「やっぱり・・・ゼロスさん!」 「ふむ久しぶりねあなた」 珍しくナーガも覚えてた(失礼) 「・・・ねえねえアメリアちゃん。ゼロスって誰?」 「魔王の腹心である獣王の部下、獣神官ゼロスさんです。他の呼び方としては後姿がゴキブリ似とか生ゴミ魔族です」 「なるほど!」 「やめてくださいよアメリアさん!そこのあなたも納得しないで下さいフィリアさんじゃあるまいし!」 ゼロスめちゃくちゃ本気で嫌がってる。涙ぐんでるし。 レミーも結構凄い事言われたのに大して驚いてもないし、ちゃんと話を聞いてるかはなはだ疑問だ。まあある意味ナーガよりもすごいものなんてないし感覚麻痺してんだろう。 ていうかちょっとシリアスな空気台無しだ。 「やはり今回の件で裏で糸を引いていたのはゼロスさん!貴方だったんですね!」 アメリアはびしいっ!とゼロスを指差す。某少年探偵みたいに。 「おやおや心外ですね。僕はここになにかした覚えはありませんよ?」 肩をすくめ、首を振り、白々しくゼロスは言い放つ。 「戯言を言わないで下さい!正直に言わないと生の賛歌フルコーラスですよ!姉さんの高笑い付きで」 ゼロスにとっては地味に・・・いやすさまじく陰険な嫌がらせである。ゼロスの顔色も青くなってるし、律儀な人・・・いや魔族だ。 てゆーか人間でもそれは辛いけど。 「ご、誤解ですよ。ほんとになにもしてませんってば!」 「『ここに』はしてなくても『私に』は手を出しただろう?」 今まで沈黙していたフレイアが言い放つ。普段とは違い低くやたらとドスのきいた声だ。 「確かに『ここに』現れたゴーストは貴様の仕業ではない。が、あのデーモンは間違いなく貴様が『私に』向けて放ったものだ。なあ獣神官ゼロス?」 ずばりと言ったフレイアの台詞にゼロスは笑みで肯定を返す。 「ど、どういうことです?」 「んー言っていいかどうか聞いてませんし言っちゃいましょうか?特別サービスですよ」 軽いノリにも程がある。まあそれでこそゼロスだが。 「夕飯のおかず聞いてるんじゃないんだから・・・」 「あっはっは気にしちゃダメですよ。では結論だけ言いましょう。そこの彼女フレイア=ガードさん、彼女は魔竜王の力を継ぐ者です」 『!!?』 時が凍った。まるで日常の談笑の如くに、ゼロスは衝撃を語った。 特に一度魔竜王ガーヴと相対したこともあるアメリアの驚愕は押して知るべし。 「でしょう・・・フレイアさん?」 「ホント・・・なんですかフレイアさん?」 ゼロスとアメリア、肯定と否定を望む二つの呼びかけに、フレイアは 「事実だ。私自身理解したのはついさっきだがな」 肯定の答えを返した。 愕然とする三人。 「まああの性格とこの性格のどちらも私ではある。今は魔の面が強く出ているがな」 その内どちらとも馴染むだろうさ、と一言付け足す。 「ここで毎夜起こっていた化物騒ぎはフレイアさんの魔力に引き寄せられたゴーストたちが原因だったということです」 「さらに言うなら。私の父は魔竜王ガーヴその人だ。父はもしもの時のために娘の私の奥底に自らの力を封印していたのさ」 「ほう?それは初耳ですね。それがガーヴさんの死によって解け掛けていたと?まあどうでもいいことですが」 そこでゼロスは片目を細く開けて、顎に手をやる。 「では本題へと参りましょうか。単刀直入に言います。フレイアさん・・・いえ魔竜王フレイア。かつてのあなたの父のように魔王様に従う気は?」 「んなっ・・・」 考えれば至極当然なことである。魔族がなんの利もなしに動くわけがない。 とくにゼロスという大物まで動かしているのだから。 「ない・・・と言ったら?」 「無論、あなたの父上と同じ道を辿る事になるでしょう」 神殿内は今にもはじけんばかりの殺気で満たされる。 今その対象がアメリアたちに向けばそれだけで殺せるのではないかと錯覚させるほどの密度で。 そのすさまじい威圧感に、神殿が軋んでいる音さえ聞こえる気がした。 故にアメリアたちはなにもできなかった。またすべきことが見つからなかった。 「では答えは?」 「ははは、そうだな答えは」 軽く笑った後、フレイアは親指を下に突き出して、 「お断りだ」 丁重にお断りの意思を示した。 瞬間フレイアの周りの空間がぶれる。 電撃が弾けたような音とともに・・・・・・何も起こらない。代わりといっては何だがゼロスの顔が驚愕に歪む。 「甘く見すぎだ。たわけが」 殺気を込め、それだけで射殺さんばかりの視線をゼロスに向けながら、右手に持った剣を横凪にはらう。 「がぁあっ!!」 ゼロスとフレイアの間にある5メートルの距離を無視し、赫の斬撃はゼロスの右手、杖、脇腹を空間ごと切断した。 そのままゼロスはうつぶせに倒れ伏す。 「く・・・あぐっ・・・!!」 そして何とか身を起こそうとしたゼロスの頭を踏みつける。 その瞳に浮かぶのは先ほどまでとは打って変わって、路傍の石でも見るかのような冷たい色。 「まさか・・・目覚めたばかりで・・・そこまで力を使いこなせるとは・・・いささか油断してましたよ・・・」 「まだ減らず口を叩けるとはさすが獣神官といったところだな」 「はは・・・誉め言葉として頂いときましょう・・・で・・・これからどうなさる気で?」 この状況下で未だ余裕を見せているのはさすがゼロスといったところか。 「私と母を捨てた糞親父だがな、それでも私の父だ。仇討ちくらいはしてやりたいだろう?」 「なるほど・・・それが答えですか・・・本当に・・・できると・・・お思いで・・・?」 「今は無理だ。だが、いつか・・・必ずだ。私が父を超えれぬ道理がない」 「言いますねあなた・・・口だけなら・・・既にガーヴを越えていますよ・・・」 ゼロスはそれきり黙りこむ。 次の瞬間、ゼロスの体が光を発する。 かっ!! 昼間かと見まごう程の光とともに、ゼロスの体が四散する 咄嗟の事にフレイアの反応も遅れる。 後にはゼロスの影も形もなく。 「逃げたか。賢明な判断だな」 「フレイアさん・・・!!」 「ん?まだいたのか。なにか用か?」 その口調に嘲りはない。純粋に気にも止めていなかったのだろう。 「これからどうする気です」 「だから言っただろう。仇討ちだと」 「そうゆうことじゃありません。これからあなたは世界に仇なす気なのかどうかを聞いてるんです」 アメリアの目に映るのは正義への使命感。 「それはわからない。もしそうなったらどうする気だ?」 「全身全霊にかけてでも、あなたを止めます」 「ほぉう・・・」 途端にフレイアからプレッシャーが発せられる。 そのあまりの重圧に思わずアメリアたちは後ずさりしそうになる。 「っと・・・人が来たようだな。さっさとお暇させてもらうとするか」 フレイアはプレッシャーを解き、入り口の方を見つめる。 『ああそうそう。一応神父様には御礼くらい言っておいてくれ。では・・・またいつか会いましょう、AMEN』 最後の瞬間フレイアは、出会った時そのまま顔に戻り、笑みを浮かべ指を組み祈りながら、虚空に消えた。 「皆さん!凄い音がしましたけど何がありまし・・・ええぇえぇー!!!?」 それと同時にドアが開き、飛び込んできた神父は仰天する。つーかしないほうがおかしい。 「なんなんですかこれはぁ!!!?神殿がぼろぼろになってるじゃないですかぁ!!!」 正直近所迷惑なくらい大声で叫ぶ。 「あら?悪霊退治に集中してて全然気付かなかったわ」 言うナーガの頬に一筋の汗。 「いくらなんでもやりすぎですよこれは!どんな悪霊が出たって言うんです!」 「ゴキブリの」 あながち間違ってもない。 神父は泣きながら溜息をつく。 「あの・・・それとベルダさん。フレイアさんのことなんですけど・・・」 「フレイア?誰ですかそれは?うちの孤児院にはそんな名前の子はいませんが・・・」 「えっ?」 ゼロスかフレイアか、どちらかが記憶を消していったのだろう。 「そんなことより!!ここの片付けと修繕をきっちりやってもらいますからね!!でなければ依頼料も出しませんよ!!」 『ええっ!?そんなぁ!!』 かくして事件は終わった。 だが、根本的には何も解決はしていない。 いつか彼女と戦う日が、来るのかもしれない・・・ 「アメリアーぼぉっとしてないで手伝いなさいよー」 「あっはーい」 でもとりあえずはこの問題を解決しないといけないです(泣) (おしまい) <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<< あとがき 紅:オチ弱!!?それと雰囲気シリアスだし、アメリアたちの出番ほとんどねえー!!! コ:俺が言うはずのツッコミを先に全部言うなー!!! 紅:どうせ言われるんなら自分で言ったほうが幾分かましだと思いまして。 ク:なんの解決にもならないことを・・しないで下さい・・ コ:しかも結局投稿遅れまくってるし。 紅:サラウンドで責めないで下さい。マジでへこみますから。 コ:知るかこの阿呆が!!責められたくなけりゃもっと要領よくしろ! 紅:無理っぽい。そういえば次回でとうとう50話到達ですねえ。 コ&ク:(露骨に話題変えたー!!?) 紅:またなんかやりますか?恒例の。 ク:そんな恒例・・初めて知りましたけど・・ 紅:とりあえず番外編とか!童話風のするのもいいかもしれない。 コ:知んねえよ。好きにしろ。 紅:うあー投げやりー。まあそんな感じでいいか。じゃーこの辺でー、さよーなりー。 コ:じゃーなー。 ク:ばいばい・・ |
32022 | Re:セイルーン姉妹珍道中 49 | 夢月なつか URL | 2005/11/3 19:37:15 |
記事番号32021へのコメント 珍しく早めに感想かけそうです。 L様:・・たまたま来たらあったというただの偶然でしょ・・・ うわ、元気ないですねぇLさま L様:ふ、ふふふ・・・あんたたちのせいで今まで出番なかったじゃないのよぉ! あーもう、おねーさん泣いちゃうわヨォ!? はい。久しぶりにLさまにご登場願いました。 あの2人はいまだゼロスさんとこに遊びにってるとか・・たぶん もしかしたらどっかの街で観光してるかもしれませんね。 L様:・・・私のこと無視するき? > >――――じゃあな、我が娘―――― > > >――――さよならだ、糞親父―――― > まぁ! お父さんにむかって糞親父だなんて!! お母さんそんなふうに育てた覚えありませんよぉ! L様:あ、なに? やっぱり無視なの? 無視なのね? しかも技とらしい台本手にもって「!」とか「!?」とかで誤魔化してるけどめちゃめちゃ棒読みのくせに ・・・あの、暴力行為に及ばないのはありがたいのですが、 L様:なに?(にっこり ・・・・・・いいえ。なんでもございません。 >「五月蝿い。貴様、少し黙れ」 > >足下のデーモンを睨みつけ、そう悪付く。 >いつのまにかその右手には少女の体ほどもあろうかという片刃の赫い剣が握られていた。 >可愛らしい寝巻きに剣というありえない組み合わせ。ひどくシュールだ。 シュールシュルシュル〜 L様:??? しゅ〜るしゅる・・・ふふふふ L様:・・・。埋めとくか (直後、やたら鈍い音) L様:よし、完了。(盛り土ぽんぽん叩きながら) ふぅ・・それにしても寝間着と剣ってーのも・・・ シェフが水中ゴーグルつけてるくらいありえないわねぇ(意味不明 >『きゃわー!』 > >すっかり傍観者と化していた三人は慌ててこれを回避する。 > >「あまりぼおっとしてると危険だぞ?」 L様:の、わりには緊迫感のない・・さすがあの三人組 お姉さん悪戯しちゃおうかしら? アメリアたちが帰郷したらセイルーンが瓦礫の山とかっていう演出・・・ >「・・・ねえねえアメリアちゃん。ゼロスって誰?」 > >「魔王の腹心である獣王の部下、獣神官ゼロスさんです。他の呼び方としては後姿がゴキブリ似とか生ゴミ魔族です」 > >「なるほど!」 L様:く・・魔族ともあろうものが情けない!! >「なんなんですかこれはぁ!!!?神殿がぼろぼろになってるじゃないですかぁ!!!」 > >正直近所迷惑なくらい大声で叫ぶ。 > >「あら?悪霊退治に集中してて全然気付かなかったわ」 > >言うナーガの頬に一筋の汗。 > >「いくらなんでもやりすぎですよこれは!どんな悪霊が出たって言うんです!」 > >「ゴキブリの」 L様:・・・まぁゼロスだし(ひでぇ >かくして事件は終わった。 >だが、根本的には何も解決はしていない。 >いつか彼女と戦う日が、来るのかもしれない・・・ L様;そのときは是非わが社にてお葬式の準備を! 今ならお安くしておきますよ? 墓石はなぁんとあたしの手作り! これはもう予約するしかないですねお客さん! ・・・・・・・・・・・・。 L様:・・・・・・・・。っち、突っ込みがいないとつまんないわね あいつ埋めるの後にしておけばよかったわ・・・。 まぁとりあえず、今まで出番のなかった腹いせは部下Sに八つ当たりで解決するとして。 そんなわけであでゅ〜♪ |
32026 | Re:セイルーン姉妹珍道中 49 | 神高 紅 | 2005/11/8 00:01:20 |
記事番号32022へのコメント コ:言い訳は何かあるかこの馬鹿! 紅:オス!1個だけ言わしてください! ク:なんですか・・? 紅:英語のテストなんてこの世から消えてしまえばいい・・・ コ:・・・死ね。 ざむ!! 紅:ぎゃばう!! ク:・・・・・・ではレス返し・・行きましょうか・・ > まぁ! お父さんにむかって糞親父だなんて!! > お母さんそんなふうに育てた覚えありませんよぉ! > >L様:あ、なに? やっぱり無視なの? 無視なのね? > しかも技とらしい台本手にもって「!」とか「!?」とかで誤魔化してるけどめちゃめちゃ棒読みのくせに > > ・・・あの、暴力行為に及ばないのはありがたいのですが、 > >L様:なに?(にっこり > > ・・・・・・いいえ。なんでもございません。 コ:L様。お久しぶり。 ク:なつかさん・・あまりL様を刺激しないで・・ > シュールシュルシュル〜 > >L様:??? > > しゅ〜るしゅる・・・ふふふふ > >L様:・・・。埋めとくか > > (直後、やたら鈍い音) > >L様:よし、完了。(盛り土ぽんぽん叩きながら) > ふぅ・・それにしても寝間着と剣ってーのも・・・ > シェフが水中ゴーグルつけてるくらいありえないわねぇ(意味不明 コ:まったくそうだなあ(冷や汗かきつつ) ク:(がたがたがたがた・・・) >L様:の、わりには緊迫感のない・・さすがあの三人組 > お姉さん悪戯しちゃおうかしら? アメリアたちが帰郷したらセイルーンが瓦礫の山とかっていう演出・・・ ク:まああの三人だし仕方ない。 ク:セイルーン壊滅は・・ちょっと勘弁してあげてください・・ >L様:く・・魔族ともあろうものが情けない!! >L様:・・・まぁゼロスだし(ひでぇ コ:どーしてもゼロスはギャグだとそんな扱いになるわな。 ク:今回シリアスも・・多かったみたいですけど・・ >L様;そのときは是非わが社にてお葬式の準備を! > 今ならお安くしておきますよ? 墓石はなぁんとあたしの手作り! > これはもう予約するしかないですねお客さん! > > ・・・・・・・・・・・・。 > >L様:・・・・・・・・。っち、突っ込みがいないとつまんないわね > あいつ埋めるの後にしておけばよかったわ・・・。 > まぁとりあえず、今まで出番のなかった腹いせは部下Sに八つ当たりで解決するとして。 > そんなわけであでゅ〜♪ コ:ではまた。(部下Sも災難だな・・・) ク:ばいばい・・L様・・(滅ばないことを祈ります・・) |