◆−連載開始に当たっての注意書き−羅城 朱琉 (2005/10/25 08:29:22) No.31995 ┣風の契約×闇の誓約 前奏曲:少女の帰還−羅城 朱琉 (2005/10/25 08:32:23) No.31996 ┃┗新作ですね。−十叶夕海 (2005/10/25 22:18:22) No.32000 ┃ ┗楽しんで頂けて光栄ですv−羅城 朱琉 (2005/10/26 08:47:45) No.32004 ┣風の契約×闇の誓約 練習曲之壱:新たな生活−羅城 朱琉 (2005/10/27 09:49:42) No.32007 ┃┗人とは、尊きを忘れ行くもの・・・・・・。−十叶夕海 (2005/10/27 22:19:59) No.32009 ┃ ┗放っておけば、どこまでも傲慢になりますからね・・・・−羅城 朱琉 (2005/10/28 08:45:19) No.32010 ┗風の契約×闇の誓約 練習曲之弐:日本初仕事!?−羅城 朱琉 (2005/11/2 08:13:50) No.32016 ┗・・・・・・・・・ふむ(納得したような少々微妙な表情)−十叶夕海 (2005/11/2 23:23:43) No.32018 ┗・・・・まあ、結構微妙なものではありますね(苦笑)−羅城 朱琉 (2005/11/4 08:21:29) No.32024
31995 | 連載開始に当たっての注意書き | 羅城 朱琉 | 2005/10/25 08:29:22 |
こんにちは、或いははじめまして。羅城 朱琉(らじょう あける)といいます。 先日までの名前募集に協力してくださった方、どうもありがとうございました。その連載を始めたいと思います。 一応、注意として、 「この話はオリジナルです。スレイヤーズとは一切関係ありません。」 と言うことを、改めてここに明言しておきます。 それでは、まずはプロローグをどうぞ! |
31996 | 風の契約×闇の誓約 前奏曲:少女の帰還 | 羅城 朱琉 | 2005/10/25 08:32:23 |
記事番号31995へのコメント 風の契約×闇の誓約 前奏曲:少女の帰還 空港のロビーは、当たり前だが騒がしい。最近では直接空港を利用しない人でも遊びに来ている、と耳にした。 そんな中、なぜかぼーっと佇む一人の少女がいた。格好は、別に変ではない。今時珍しい、日本美人の条件とも言える、長い緑なす黒髪を首の後ろ辺りで一括りにして、そんな髪型には少々不似合いにも思える、しかし決しておかしくはない、ボーイッシュな服。旅行者なら誰でもそうであるように、大きな車輪付トランクを傍らに置き、その黒い瞳は・・・・何故か妙に潤んでいた。 手を祈りの形に組んだ少女は、一言呟いた。 「ああ・・・・6年ぶりの日本語・・・・」 妙に感慨深げな声は、しかし周囲のざわめきに紛れた。 司之宮 翠音(しのみや すいね)、年齢17歳。世界中を飛び回る旅を終えて、6年ぶりの日本帰還であった。 * * * * * 思ったのだが、6年ぶりに帰ってきた日本は、公衆電話が妙に少ない。 『・・・・で?』 「『で?』とは失礼な!『日本についたらカズヤに連絡しなさいね〜♪』って、お師匠・・・・もとい、元締に言われたからわざわざ電話したのに。公衆電話見つからなくて、苦労したのよ!?」 電話口で、翠音はぐちぐちと言う。電話先の相手・・・・和也の声が、微妙に同情的になった。 『あー・・・・それは悪かった。ちなみに、今、元締はどこにいる?』 「わかんない。別れたのは、確か中国の奥地の・・・・地名もよくわからないような場所だったけど、その前日にはサハラ砂漠の真ん中にいたし、その前は・・・・」 『すまん。聞いた俺が馬鹿だった。』 二人の間に、微妙な沈黙が流れる。彼らの『師匠』に対する二人の共通認識は、気まぐれ・迷惑の権化・すごい人、といったところだ。髪にラメパウダーでもまぶしたかのような不自然にきらきらする金髪の美女の、裏が山ほどありそうな笑みを思い出し。図らずも電話の向こうとこちらで同時に溜息が漏れる。そして、妙に疲れた声で翠音は言った。 「じゃ、伝えたから・・・・」 『ああ。・・・・お前は、中部地方から西日本担当、だったよな?』 「そうだけど。」 『無理しない程度に頑張れよ。』 外見は軟派な、一つ年上の友人にして同業者の、普段は見せない優しさ。それが嬉しくて、翠音は笑って言った。 「ありがとう。そっちも、無理しないでね。」 そして、受話器を下ろす。とりあえず、住むところを探さなければ。 * * * * * 翠音の帰国より数日前の出来事。翠音と和也にとっては『師匠』であり、『上司』であり、『元締』である女性・・・・ミスティア=マーベリックは、相変わらずの人の悪い笑みを浮かべながら、相手が電話に出るのを待っていた。 数回のコールの後、目当ての人物の声が聞こえる。ミスティアは軽く弾む声で、外見とは裏腹の流暢な日本語を紡いだ。 「ハァイ!ワカナ。久しぶりね。」 『ミスティ。どうしたんですか?』 ワカナと呼ばれた電話口の相手は、性別を感じさせない声音で穏やかに問う。ミスティアは、楽しそうに言った。 「報告よ、報告。日本に一人、新しく『具召師』送ったから。中部・西日本担当で、名前は『司之宮 翠音』ちゃん。」 『司之宮・・・・?どこかで聞いたことのあるような名前ですね。』 「6年と半年くらい前、N県の山奥、司城村(つかさぎむら)が、大規模な土砂崩れで全滅したでしょう?そこの村の唯一の生き残りってことで、1回か2回、新聞にも載ったはずよ。」 『ああ、思い出しました。と、言うことは・・・・精霊使い(シャーマン)、ですか?』 「That’s right!それも、若干6歳にして村の守り神とまで崇められた凄腕ちゃんよ。」 ワカナの溜息が、電話越しに聞こえた。 『ずいぶんと、まあ・・・・。・・・・やはり、『例のもの』対策で?』 「ま、そういうことよ。今回は日本が被害の中心になりそうだから。」 『・・・・わかりました。では。』 「じゃあ、またね!ワカナも頑張ってね。」 そして、長いようで短い通話は終わる。ミスティアは、心底楽しそうに独白した。 「さあ、皆、頑張って。・・・・私も、久々に日本に行こうかな。」 あとがき 改めまして、こんにちは。羅城 朱琉です。『風の契約×闇の誓約』(長いので、略して『風闇』と呼んでやってください)どうだったでしょうか?・・・・とは言っても、まだまだ最初なのでアレなんですが。温かい眼差しで、気長に見守ってくださると嬉しいです。 それでは、次回『練習曲之壱:新たな生活』でお会いしましょう。 |
32000 | 新作ですね。 | 十叶夕海 | 2005/10/25 22:18:22 |
記事番号31996へのコメント > > > > > 空港のロビーは、当たり前だが騒がしい。最近では直接空港を利用しない人でも遊びに来ている、と耳にした。 > そんな中、なぜかぼーっと佇む一人の少女がいた。格好は、別に変ではない。今時珍しい、日本美人の条件とも言える、長い緑なす黒髪を首の後ろ辺りで一括りにして、そんな髪型には少々不似合いにも思える、しかし決しておかしくはない、ボーイッシュな服。旅行者なら誰でもそうであるように、大きな車輪付トランクを傍らに置き、その黒い瞳は・・・・何故か妙に潤んでいた。 > 手を祈りの形に組んだ少女は、一言呟いた。 >「ああ・・・・6年ぶりの日本語・・・・」 > 妙に感慨深げな声は、しかし周囲のざわめきに紛れた。 > > 司之宮 翠音(しのみや すいね)、年齢17歳。世界中を飛び回る旅を終えて、6年ぶりの日本帰還であった。 ユア:きゃあぁぁっv モイラ;『可愛い。やった、名前使われてる。』 と言った所。 > > >『あー・・・・それは悪かった。ちなみに、今、元締はどこにいる?』 >「わかんない。別れたのは、確か中国の奥地の・・・・地名もよくわからないような場所だったけど、その前日にはサハラ砂漠の真ん中にいたし、その前は・・・・」 >『すまん。聞いた俺が馬鹿だった。』 ユア;どういう仕事や〜(エンドレス) モイラ;黙りなって。 それにしても、某少女鮫のような任務だね。 > 二人の間に、微妙な沈黙が流れる。彼らの『師匠』に対する二人の共通認識は、気まぐれ・迷惑の権化・すごい人、といったところだ。髪にラメパウダーでもまぶしたかのような不自然にきらきらする金髪の美女の、裏が山ほどありそうな笑みを思い出し。 ユア;あの人みたいな美女ですね。 モイラ;あの赤い靴は居た女の子が妖怪化したって設定の? ユア;そう、作品名も彼女の名前も、はっきりと思い出せないですけど、 気紛れ・迷惑の権化・すごい人っていうのが、なんか似てて、好きになりそう。 > > > そして、長いようで短い通話は終わる。ミスティアは、心底楽しそうに独白した。 > >「さあ、皆、頑張って。・・・・私も、久々に日本に行こうかな。」 > ユア;面影被りまくりなんですけど、それ以上に続き気になります。 > > > > > あとがき > 改めまして、こんにちは。羅城 朱琉です。『風の契約×闇の誓約』(長いので、略して『風闇』と呼んでやってください)どうだったでしょうか?・・・・とは言っても、まだまだ最初なのでアレなんですが。温かい眼差しで、気長に見守ってくださると嬉しいです。 > それでは、次回『練習曲之壱:新たな生活』でお会いしましょう。 > ユア;はい、続き気になります。 モイラ;さっきも言ったろ。 ユア;それでも気になるんですもん。 二人;ともあれ、次回か、小説二の方で。 それでは。 |
32004 | 楽しんで頂けて光栄ですv | 羅城 朱琉 | 2005/10/26 08:47:45 |
記事番号32000へのコメント > >> >> > >> >> >> 空港のロビーは、当たり前だが騒がしい。最近では直接空港を利用しない人でも遊びに来ている、と耳にした。 >> そんな中、なぜかぼーっと佇む一人の少女がいた。格好は、別に変ではない。今時珍しい、日本美人の条件とも言える、長い緑なす黒髪を首の後ろ辺りで一括りにして、そんな髪型には少々不似合いにも思える、しかし決しておかしくはない、ボーイッシュな服。旅行者なら誰でもそうであるように、大きな車輪付トランクを傍らに置き、その黒い瞳は・・・・何故か妙に潤んでいた。 >> 手を祈りの形に組んだ少女は、一言呟いた。 >>「ああ・・・・6年ぶりの日本語・・・・」 >> 妙に感慨深げな声は、しかし周囲のざわめきに紛れた。 >> >> 司之宮 翠音(しのみや すいね)、年齢17歳。世界中を飛び回る旅を終えて、6年ぶりの日本帰還であった。 >ユア:きゃあぁぁっv >モイラ;『可愛い。やった、名前使われてる。』 と言った所。 朱琉:実は、『司堂』姓も使う気です。主人公の偽名として。 語り部:可愛い、って。良かったね、朱琉。 朱琉:・・・・なぜあなたがここに? 語り部:いいじゃないか、僕が出ても。僕の原型出てるんだろう? 朱琉:・・・・・・ > >> >> >>『あー・・・・それは悪かった。ちなみに、今、元締はどこにいる?』 >>「わかんない。別れたのは、確か中国の奥地の・・・・地名もよくわからないような場所だったけど、その前日にはサハラ砂漠の真ん中にいたし、その前は・・・・」 >>『すまん。聞いた俺が馬鹿だった。』 > >ユア;どういう仕事や〜(エンドレス) >モイラ;黙りなって。 > それにしても、某少女鮫のような任務だね。 朱琉:某少女鮫よりも、某明日香シリーズ系かも知れません・・・・ 語り部:いや、それも違うだろう?主人公の設定は、微妙に某明日香嬢に似てるけど。 > >> 二人の間に、微妙な沈黙が流れる。彼らの『師匠』に対する二人の共通認識は、気まぐれ・迷惑の権化・すごい人、といったところだ。髪にラメパウダーでもまぶしたかのような不自然にきらきらする金髪の美女の、裏が山ほどありそうな笑みを思い出し。 > >ユア;あの人みたいな美女ですね。 >モイラ;あの赤い靴は居た女の子が妖怪化したって設定の? >ユア;そう、作品名も彼女の名前も、はっきりと思い出せないですけど、 > 気紛れ・迷惑の権化・すごい人っていうのが、なんか似てて、好きになりそう。 朱琉:・・・・その話は・・・・わからないですね。気になります。 > > >> >> >> そして、長いようで短い通話は終わる。ミスティアは、心底楽しそうに独白した。 >> >>「さあ、皆、頑張って。・・・・私も、久々に日本に行こうかな。」 >> > >ユア;面影被りまくりなんですけど、それ以上に続き気になります。 朱琉:そういっていただけると嬉しいです! > >> >> >> >> >> あとがき >> 改めまして、こんにちは。羅城 朱琉です。『風の契約×闇の誓約』(長いので、略して『風闇』と呼んでやってください)どうだったでしょうか?・・・・とは言っても、まだまだ最初なのでアレなんですが。温かい眼差しで、気長に見守ってくださると嬉しいです。 >> それでは、次回『練習曲之壱:新たな生活』でお会いしましょう。 >> > >ユア;はい、続き気になります。 >モイラ;さっきも言ったろ。 >ユア;それでも気になるんですもん。 >二人;ともあれ、次回か、小説二の方で。 > それでは。 朱琉:それでは、この辺で失礼します。 二人:では! > > > |
32007 | 風の契約×闇の誓約 練習曲之壱:新たな生活 | 羅城 朱琉 | 2005/10/27 09:49:42 |
記事番号31995へのコメント こんにちは!風闇第1話です。説明のオンパレードになってしまいましたが、どうぞ! 風の契約×闇の誓約 練習曲之壱:新たな生活 ただいま、『日本』。 ただいま、私の故郷。 君たちの『友』が、帰ってきたよ。 「・・・・やっぱり、慣れないなぁ。空気悪すぎ。精霊逃げ出してるじゃない、まったく・・・・」 日本生活1週間目、アパートの一室を借り、引越しを終えた翌日のこと。周囲の地理の把握がてら散歩する翠音は、休憩のために立ち寄った公園のベンチに腰掛け、小声でそう呟いた。と、それに答える声がある。 『スイ、大丈夫か?』 翠音の前に顔を突き合わせるように、一人の少年が現れる。短い緑髪と、同色の大きな瞳の少年は、周囲の景色を透かす半透明の体を宙に浮かべていた。翠音にしか見えない彼の名はランという。『狼』の中国語読みで、『ラン』。その名の通り、少々攻撃的な性格が玉に瑕の、中国生まれの風の精霊だ。・・・・とはいえ、翠音が物心ついたころには一緒にいたし、彼女と一緒に世界中を巡ってきたのだから、生まれが今更関係するとも思えないのだが。 「大丈夫。人間って、これでなかなか図太いから。ただ・・・・精霊の皆がかわいそう。」 翠音は、すと空中に視線を向ける。普通の人には、よく晴れたいい天気としか見えないだろうその空に、翠音は別のものを見ていた。空中を漂う、ぐったりとした風の精霊たち。必死に人々に訴えかけるように、強烈な勢いで人にぶつかっていく光の精霊たち。噴水の上の水の精霊たちは、人の手によって作り変えられたことを嘆き、人々は大地の精霊がいない不毛の土地を踏みしめる。翠音は、周囲に誰もいないことを確認し、一度拍手を打った。 「いとやさしき天地の子等 我ら命を育むものにして 我らが友よ 歪みし世にて耐え忍ぶ心 調和の調と共に 解き放て」 翠音が小さく呟いた瞬間、空気が変わった。不自然に澱んだ大気の中で力なく漂っていた風の精霊たちが解き放たれる。光の精霊たちが穏やかに満ち、水の精霊たちに道が示される。そして、小さな茂みのようなところから、大地の精霊がおずおずと顔を出した。 『全く、これだから人間ってやつは!』 ようやく『少しはマシ』になった公園の上空を飛び、ランはぼそりと言った。 「そうね。」 『あ!もちろんスイは別だぞ!?スイはオレたちのトモダチだからな!』 苦笑いの翠音は、怯えた大地の精霊の元に歩み寄り、優しく頭を撫でてやる。 「大丈夫だよ・・・・」 そうしながら、翠音は思った。『司(つかさ)の一族』がいなくなったせいだろうか?この国の精霊たちは荒れているようだ。 『司の一族』とは、太古より続く精霊使い(シャーマン)のことだ。本当かどうかは定かではないが、古くは縄文時代まで遡ることができる、『自然』を崇める神子の家系だとか。その特徴として、瞳の色素が薄いことが挙げられる。・・・・とはいえ、これは純粋に遺伝の問題な気もするが。しかし確かに翠音も、黒のカラーコンタクトの下には日本人とは違う、淡い灰色の瞳が隠されているのであって、特徴には違いないだろう。そして、その苗字に必ず『司』の一文字が入るのだ。『司の一族』は、人里離れた山の中でひっそりと暮らしながら、精霊と語らい、その意思を感じ、日々穏やかに生きてきた。よく精霊たちが愚痴を言いに来ていたが、彼らはそうして調和を保っていたのだろう。 そういえば、精霊を視認することが出来るものは、めったにいないらしい。とはいえ翠音は生まれたときから精霊が見えるのが常識だったので、自分を『すごい人』とは思っていない。ただ、他の人より精霊たちと仲がいいだけだ。それでも、そんな翠音だからこそできることもある。それは、愚痴を言って解決できるレベルを超えて、歪み狂った精霊たちを正気に返すこと。そして今、そのおかげで公園の精霊たちは救われたのだ。・・・・しかし、実を言ってしまえばわざわざ拍手を打つ必要も、口に出して何かを唱える必要もないのだが。では、なぜそんなことをするのか?それは、そのほうが集中できるからである。精神的な事なら何事にしろ、呪文を唱えたり、身振り手振りをすること=目的の行為を行うことと体に覚えこませておけば、ずっと行為を発動させやすいのだ、と、翠音はミスティアから教わった。それは、実際非常に役立っている。両腕に一つずつはまったブレスレットを軽く撫で、翠音は再び散策を開始すべく立ち上がった。 * * * * * 「疲れた・・・・」 部屋に帰り着き、ようやく翠音は一息ついた。人間に備わる順応力を駆使しても、生まれたときから澄んだ空気の中にいた翠音には、日本の都会の空気は少々辛いものがある。ミスティアに連れまわされて世界中を回って少しは慣れたかと思ったのだが・・・・日本に帰ってきて、気が抜けたのか。精霊たちの好意のおかげで、清浄な気の満ちる部屋の中で、翠音はようやく深く息を吸い込むことが出来た。 『翠音さん、辛いですか?』 部屋の中にいた精霊の一人・・・・昔なじみの光の精霊、『真珠星(ますほ)』だ。その名の通り、本来は夜闇に親しむ星明りの精霊なのだが、ランと共に一緒に世界を巡ってきたので、既に昼も夜も関係なかったりする。 真珠星に笑いかけ、大丈夫と答える。そして、部屋の中の他の精霊たちに目をやった。 精霊たちは、人間と同じく個性豊かだ。何の精霊かで多少の性格の方向性はあるものの、それとて絶対ではない。共に世界を巡った6人の精霊たちは、翠音にとっては誰よりも親しい存在だ。 火の精霊・蘇芳(すおう)。水の精霊・セレシア。風の精霊・ラン。光の精霊・真珠星。闇の精霊・ルファイド。雷の精霊・刀輝(とき)。全て、大切な『友』・・・・。 精霊を愛し、精霊と共に生きる『司の民』であることを、翠音は誇りとしている。 もちろん、『人』も好きだけれど。 と、翠音のもう一つの感覚・・・・『具召師』としての感覚に、何かを感じた。郵便受けの中に、何かある。ほてほてと歩み寄り、無造作に郵便受けを開くと、そこには、どう考えても時代錯誤な和紙の包みが置いてあった。恐らく、具召術の『空間移動』で送ってきたのだろう。そして、こんなものを送ってくるのは・・・・元締以外ありえない。 「・・・・・・・・まさかとは思ったけど。」 手にとって、包みを開く。中には、同じく和紙の書簡があった。ぱらりと開くと、そこには流暢な草書体が。一応、育ちが育ちな翠音は草書体でも難なく読める。しかし・・・・。 短いそれを読んで、翠音は大きく溜息をついた。精霊たちが手紙を覗き込んで、やはり微妙な顔をしている。 【 指令書 なるべく生徒数の多い高校に編入すること。 年齢層の広い学園だと、なおよろしい。 ミスティア=マーベリック】 「元締・・・・。日本を勘違いしてるよ・・・・・・・・。」 『郷に入っては郷に従え』をモットーとし、その国の人になりきるのが趣味の上司を思い出し、翠音は泣きそうになった。 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲ あとがき こんにちは!どうだったでしょうか? 今回は『精霊使い(シャーマン)』に関する説明のオンパレードになってしまいました。・・・・が、私の文章力不足で、どうにもごちゃごちゃしているので、少し纏めてみました。よかったら、参考にしてみてください。 精霊使い(シャーマン) 古代の精霊信仰における『神子』。今の日本においては、『司の民』と呼ばれる一族がそれに当たる。 精霊と対話し、精霊との調和を図ることを生業とする。外見的特徴は、色素の薄い、灰色の瞳。他の特徴としては、苗字の中の『司』の一文字が挙げられる。 今日では、精霊が視認出来る者は非常に稀である。大半は、声が聞こえて、気配がわかる程度。 6年と半年ほど前、日本の『精霊使い』たちは、ほとんど死に絶えた。 次回かその次は、『具召師』の説明のオンパレードになりそうです・・・・。まだ、始まりなので。 では、次回『練習曲之弐:日本初仕事!?』でお会いしましょう! |
32009 | 人とは、尊きを忘れ行くもの・・・・・・。 | 十叶夕海 | 2005/10/27 22:19:59 |
記事番号32007へのコメント > こんにちは!風闇第1話です。説明のオンパレードになってしまいましたが、どうぞ! ユア;オリジナルだろうと最初はそうなりますよ。 久遠;そうよね、『タロスピ』も、『風華』も、『生か死か』もそうよね。 ユア;このシリ−ズは、『生か死か』の月森久遠氏に一緒に行ってもらいます。 上の三シリ−ズは、私が過去に投稿したオリジナルとなります。 久遠;もぅ、私は『氏』じゃなくて、『嬢』でしょ? よろしくね、朱琉ちゃんに、語り部ちゃん(右目ウィンク) ユア;ああと、前にも言いましたが、彼は、刀の九十九神でもあり、オカマでもある妖怪です。 > > >「・・・・やっぱり、慣れないなぁ。空気悪すぎ。精霊逃げ出してるじゃない、まったく・・・・」 ユア;そうですね。 久遠;そうそう。 イギリスの『サンギョウカクメイ』かな、そのあたりから死ぬほど悪くなって。 同族も見なくなったし、精霊も山へ逃げるし・・・・・・・精霊いなくなっても、私には影響ないけど、寂しいものよ? >『スイ、大丈夫か?』 > 翠音の前に顔を突き合わせるように、一人の少年が現れる。短い緑髪と、同色の大きな瞳の少年は、周囲の景色を透かす半透明の体を宙に浮かべていた。翠音にしか見えない彼の名はランという。『狼』の中国語読みで、『ラン』。その名の通り、少々攻撃的な性格が玉に瑕の、中国生まれの風の精霊だ。・・・・とはいえ、翠音が物心ついたころには一緒にいたし、彼女と一緒に世界中を巡ってきたのだから、生まれが今更関係するとも思えないのだが。 ユア:おおおっ〜(えんどれす)。 久遠;ユアちゃんのつけた名前よね。 ・・・・・でも、喜び過ぎない? > 翠音は、すと空中に視線を向ける。普通の人には、よく晴れたいい天気としか見えないだろうその空に、翠音は別のものを見ていた。空中を漂う、ぐったりとした風の精霊たち。必死に人々に訴えかけるように、強烈な勢いで人にぶつかっていく光の精霊たち。噴水の上の水の精霊たちは、人の手によって作り変えられたことを嘆き、人々は大地の精霊がいない不毛の土地を踏みしめる。 久遠;いても、そう言う状態になるのよね。 ・・・・人は気が付かないのかな、それが自分展首を閉めていても・・・・。 >そうしながら、翠音は思った。『司(つかさ)の一族』がいなくなったせいだろうか?この国の精霊たちは荒れているようだ。 > 『司の一族』とは、太古より続く精霊使い(シャーマン)のことだ。本当かどうかは定かではないが、古くは縄文時代まで遡ることができる、『自然』を崇める神子の家系だとか。その特徴として、瞳の色素が薄いことが挙げられる。・・・・とはいえ、これは純粋に遺伝の問題な気もするが。しかし確かに翠音も、黒のカラーコンタクトの下には日本人とは違う、淡い灰色の瞳が隠されているのであって、特徴には違いないだろう。そして、その苗字に必ず『司』の一文字が入るのだ。『司の一族』は、人里離れた山の中でひっそりと暮らしながら、精霊と語らい、その意思を感じ、日々穏やかに生きてきた。よく精霊たちが愚痴を言いに来ていたが、彼らはそうして調和を保っていたのだろう。 > そういえば、精霊を視認することが出来るものは、めったにいないらしい。とはいえ翠音は生まれたときから精霊が見えるのが常識だったので、自分を『すごい人』とは思っていない。ただ、他の人より精霊たちと仲がいいだけだ。それでも、そんな翠音だからこそできることもある。それは、愚痴を言って解決できるレベルを超えて、歪み狂った精霊たちを正気に返すこと。そして今、そのおかげで公園の精霊たちは救われたのだ。・・・・しかし、実を言ってしまえばわざわざ拍手を打つ必要も、口に出して何かを唱える必要もないのだが。では、なぜそんなことをするのか?それは、そのほうが集中できるからである。精神的な事なら何事にしろ、呪文を唱えたり、身振り手振りをすること=目的の行為を行うことと体に覚えこませておけば、ずっと行為を発動させやすいのだ、と、翠音はミスティアから教わった。それは、実際非常に役立っている。両腕に一つずつはまったブレスレットを軽く撫で、翠音は再び散策を開始すべく立ち上がった。 久遠;永蓮ちゃんみたいに、見れる人って、ホントいないのね、昔はそれこそ・・・・・ ユア;確かに集中できますよね。 声に出した方が、はっきりと確認も出来ますし。 久遠;ユアちゃん、お姉さん置いてかないでよ。 ユア;お兄さんでしょ。 ・・・・年齢は充分お爺さんなんだろうけど。 > > と、翠音のもう一つの感覚・・・・『具召師』としての感覚に、何かを感じた。郵便受けの中に、何かある。ほてほてと歩み寄り、無造作に郵便受けを開くと、そこには、どう考えても時代錯誤な和紙の包みが置いてあった。恐らく、具召術の『空間移動』で送ってきたのだろう。そして、こんなものを送ってくるのは・・・・元締以外ありえない。 >「・・・・・・・・まさかとは思ったけど。」 > 手にとって、包みを開く。中には、同じく和紙の書簡があった。ぱらりと開くと、そこには流暢な草書体が。一応、育ちが育ちな翠音は草書体でも難なく読める。しかし・・・・。 > 短いそれを読んで、翠音は大きく溜息をついた。精霊たちが手紙を覗き込んで、やはり微妙な顔をしている。 > >【 指令書 > なるべく生徒数の多い高校に編入すること。 > 年齢層の広い学園だと、なおよろしい。 > ミスティア=マーベリック】 > >「元締・・・・。日本を勘違いしてるよ・・・・・・・・。」 > 『郷に入っては郷に従え』をモットーとし、その国の人になりきるのが趣味の上司を思い出し、翠音は泣きそうになった。 > 久遠;・・・・おほほほっほほほほ。(おなかを抱えて笑っている) ユア;ユ二−クですよね、ミスティアさん。 久遠;ほんとうに。 仲良くしたいかも。 > >▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲ > > あとがき > こんにちは!どうだったでしょうか? > 今回は『精霊使い(シャーマン)』に関する説明のオンパレードになってしまいました。・・・・が、私の文章力不足で、どうにもごちゃごちゃしているので、少し纏めてみました。よかったら、参考にしてみてください。 久遠:いいえ、よくわかったわ。 ユア;理解できましたよ。 > > 精霊使い(シャーマン) > 古代の精霊信仰における『神子』。今の日本においては、『司の民』と呼ばれる一族がそれに当たる。 > 精霊と対話し、精霊との調和を図ることを生業とする。外見的特徴は、色素の薄い、灰色の瞳。他の特徴としては、苗字の中の『司』の一文字が挙げられる。 > 今日では、精霊が視認出来る者は非常に稀である。大半は、声が聞こえて、気配がわかる程度。 > 6年と半年ほど前、日本の『精霊使い』たちは、ほとんど死に絶えた。 ユア;説明よりも、この最後の文が!! 久遠;・・・そのうちわかるわよ。 まだ、お話は始まったばかり。 > >次回かその次は、『具召師』の説明のオンパレードになりそうです・・・・。まだ、始まりなので。 > では、次回『練習曲之弐:日本初仕事!?』でお会いしましょう! > > 二人;それでは。 次回で。 |
32010 | 放っておけば、どこまでも傲慢になりますからね・・・・ | 羅城 朱琉 | 2005/10/28 08:45:19 |
記事番号32009へのコメント > >> こんにちは!風闇第1話です。説明のオンパレードになってしまいましたが、どうぞ! > >ユア;オリジナルだろうと最初はそうなりますよ。 >久遠;そうよね、『タロスピ』も、『風華』も、『生か死か』もそうよね。 >ユア;このシリ−ズは、『生か死か』の月森久遠氏に一緒に行ってもらいます。 > 上の三シリ−ズは、私が過去に投稿したオリジナルとなります。 >久遠;もぅ、私は『氏』じゃなくて、『嬢』でしょ? > よろしくね、朱琉ちゃんに、語り部ちゃん(右目ウィンク) >ユア;ああと、前にも言いましたが、彼は、刀の九十九神でもあり、オカマでもある妖怪です。 朱琉:こんにちは。読もう読もうと思いつつ、上記三作はまだ読んでいない朱琉です。 語り部:速読得意と豪語してるくせに。 アミイ:ま、大目に見てあげなさいな。その代わり・・・・続きをさっさと書くのよv 朱琉:・・・・と、言うわけで今回は、語り部さんともう一人、ミスティアさんの前身・アミリータさん、通称アミイさんにご登場願いました。では、返レスです。 > >> >> >>「・・・・やっぱり、慣れないなぁ。空気悪すぎ。精霊逃げ出してるじゃない、まったく・・・・」 > >ユア;そうですね。 >久遠;そうそう。 > イギリスの『サンギョウカクメイ』かな、そのあたりから死ぬほど悪くなって。 > 同族も見なくなったし、精霊も山へ逃げるし・・・・・・・精霊いなくなっても、私には影響ないけど、寂しいものよ? 語り部:本当に、見ていて気分が悪くなってくるよ。どうしてこう、不毛の大地をわざわざ作りたがるかな? アミイ:人間って、それを『豊かさ』の象徴だと思っちゃうのよ。 朱琉:自然破壊と人間の繁栄、バランスとるのは難しいですね・・・・。 > > > >> 翠音は、すと空中に視線を向ける。普通の人には、よく晴れたいい天気としか見えないだろうその空に、翠音は別のものを見ていた。空中を漂う、ぐったりとした風の精霊たち。必死に人々に訴えかけるように、強烈な勢いで人にぶつかっていく光の精霊たち。噴水の上の水の精霊たちは、人の手によって作り変えられたことを嘆き、人々は大地の精霊がいない不毛の土地を踏みしめる。 > >久遠;いても、そう言う状態になるのよね。 > ・・・・人は気が付かないのかな、それが自分展首を閉めていても・・・・。 アミイ:気づけたら、苦労しないわよ。何事にしろ・・・・ね。 語り部:何事も、後になってから悔やむ。それも、目に見えるようになってから・・・・。精霊たちも災難だ。 朱琉:しかも、愚痴こぼしてストレス解消(?)していた『司の一族』はいなくなるし、で・・・・ > >>そうしながら、翠音は思った。『司(つかさ)の一族』がいなくなったせいだろうか?この国の精霊たちは荒れているようだ。 >> 『司の一族』とは、太古より続く精霊使い(シャーマン)のことだ。本当かどうかは定かではないが、古くは縄文時代まで遡ることができる、『自然』を崇める神子の家系だとか。その特徴として、瞳の色素が薄いことが挙げられる。・・・・とはいえ、これは純粋に遺伝の問題な気もするが。しかし確かに翠音も、黒のカラーコンタクトの下には日本人とは違う、淡い灰色の瞳が隠されているのであって、特徴には違いないだろう。そして、その苗字に必ず『司』の一文字が入るのだ。『司の一族』は、人里離れた山の中でひっそりと暮らしながら、精霊と語らい、その意思を感じ、日々穏やかに生きてきた。よく精霊たちが愚痴を言いに来ていたが、彼らはそうして調和を保っていたのだろう。 >> そういえば、精霊を視認することが出来るものは、めったにいないらしい。とはいえ翠音は生まれたときから精霊が見えるのが常識だったので、自分を『すごい人』とは思っていない。ただ、他の人より精霊たちと仲がいいだけだ。それでも、そんな翠音だからこそできることもある。それは、愚痴を言って解決できるレベルを超えて、歪み狂った精霊たちを正気に返すこと。そして今、そのおかげで公園の精霊たちは救われたのだ。・・・・しかし、実を言ってしまえばわざわざ拍手を打つ必要も、口に出して何かを唱える必要もないのだが。では、なぜそんなことをするのか?それは、そのほうが集中できるからである。精神的な事なら何事にしろ、呪文を唱えたり、身振り手振りをすること=目的の行為を行うことと体に覚えこませておけば、ずっと行為を発動させやすいのだ、と、翠音はミスティアから教わった。それは、実際非常に役立っている。両腕に一つずつはまったブレスレットを軽く撫で、翠音は再び散策を開始すべく立ち上がった。 > >久遠;永蓮ちゃんみたいに、見れる人って、ホントいないのね、昔はそれこそ・・・・・ >ユア;確かに集中できますよね。 > 声に出した方が、はっきりと確認も出来ますし。 >久遠;ユアちゃん、お姉さん置いてかないでよ。 >ユア;お兄さんでしょ。 > ・・・・年齢は充分お爺さんなんだろうけど。 アミイ:見えない人が増えたのは、人が自然を見なくなった証、かしら? 語り部:昔はたくさんいたろうに。・・・・しかし、僕らの言う『呪文』とはかなり仕組みが違うね。 アミイ:当たり前よ。集中するための掛け声みたいなもので、意味なんてどうでもいいもの。慣れれば何も言わなくていいのよ!? 朱琉:でもまあ、言葉は大切ですよ。単なるイメージに形を与えるのは、言葉ですから。 > >> >> と、翠音のもう一つの感覚・・・・『具召師』としての感覚に、何かを感じた。郵便受けの中に、何かある。ほてほてと歩み寄り、無造作に郵便受けを開くと、そこには、どう考えても時代錯誤な和紙の包みが置いてあった。恐らく、具召術の『空間移動』で送ってきたのだろう。そして、こんなものを送ってくるのは・・・・元締以外ありえない。 >>「・・・・・・・・まさかとは思ったけど。」 >> 手にとって、包みを開く。中には、同じく和紙の書簡があった。ぱらりと開くと、そこには流暢な草書体が。一応、育ちが育ちな翠音は草書体でも難なく読める。しかし・・・・。 >> 短いそれを読んで、翠音は大きく溜息をついた。精霊たちが手紙を覗き込んで、やはり微妙な顔をしている。 >> >>【 指令書 >> なるべく生徒数の多い高校に編入すること。 >> 年齢層の広い学園だと、なおよろしい。 >> ミスティア=マーベリック】 >> >>「元締・・・・。日本を勘違いしてるよ・・・・・・・・。」 >> 『郷に入っては郷に従え』をモットーとし、その国の人になりきるのが趣味の上司を思い出し、翠音は泣きそうになった。 >> > >久遠;・・・・おほほほっほほほほ。(おなかを抱えて笑っている) >ユア;ユ二−クですよね、ミスティアさん。 >久遠;ほんとうに。 > 仲良くしたいかも。 朱琉:当初のアイデアは、もっと突飛でした。 アミイ:『私』の時に送ったのは、矢文だったわね。 語り部:しかも、鏑矢(お手製)で。 朱琉:このあたりの凝り性は、相変わらずなんです・・・・ >> >>▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲ >> >> あとがき >> こんにちは!どうだったでしょうか? >> 今回は『精霊使い(シャーマン)』に関する説明のオンパレードになってしまいました。・・・・が、私の文章力不足で、どうにもごちゃごちゃしているので、少し纏めてみました。よかったら、参考にしてみてください。 > >久遠:いいえ、よくわかったわ。 >ユア;理解できましたよ。 朱琉:そういっていただけると嬉しいです。 > >> >> 精霊使い(シャーマン) >> 古代の精霊信仰における『神子』。今の日本においては、『司の民』と呼ばれる一族がそれに当たる。 >> 精霊と対話し、精霊との調和を図ることを生業とする。外見的特徴は、色素の薄い、灰色の瞳。他の特徴としては、苗字の中の『司』の一文字が挙げられる。 >> 今日では、精霊が視認出来る者は非常に稀である。大半は、声が聞こえて、気配がわかる程度。 >> 6年と半年ほど前、日本の『精霊使い』たちは、ほとんど死に絶えた。 > >ユア;説明よりも、この最後の文が!! >久遠;・・・そのうちわかるわよ。 > まだ、お話は始まったばかり。 アミイ:翠音ちゃんにまつわる因縁〜♪そ・れ・は・物語の鍵〜♪ 語り部:(伴奏をつけている) 朱琉:・・・・まあ、そういうことです。(泣) > >> >>次回かその次は、『具召師』の説明のオンパレードになりそうです・・・・。まだ、始まりなので。 >> では、次回『練習曲之弐:日本初仕事!?』でお会いしましょう! >> >> > >二人;それでは。 > 次回で。 アミイ:ええ、では、また会いましょうね! 語り部:次は、『時の旅人』で会えるかな? アミイ&語り部:(期待するような、突き刺すような、そんな視線) 朱琉:・・・・で、では、今回はこの辺で! 語り部:・・・・逃げたね。 アミイ:ええ、逃げたわね。 朱琉:・・・・・・・・多分、火曜日に両方1話ずつ投稿できるかと。 > > > |
32016 | 風の契約×闇の誓約 練習曲之弐:日本初仕事!? | 羅城 朱琉 | 2005/11/2 08:13:50 |
記事番号31995へのコメント こんにちは!予告より1日遅れてしまいました。今回は、具召師の説明があります。 では、早速どうぞ! 風の契約×闇の誓約 練習曲之弐:日本初仕事!? カチカチと言う音が、少々ぎこちなく鳴る。最低限の明りだけをつけた室内で、液晶画面を見つめた翠音はうなっていた。 「えーっと・・・・ここから一番近い高校は・・・・県立奈宮北高校だけど・・・・人数、そんなに多くないわね。・・・・あ、ここ人数多いわ・・・・私立聖霊学園?ミッションスクールか・・・・私、キリスト教徒じゃないからなぁ。費用もかかるし。・・・・あ、ここいいかも。・・・・って、ここからだと、通学にかかる時間が片道3時間?遠すぎるわ・・・・。・・・・後は・・・・ここ、しかないわよね・・・・。・・・・・・・・・・はぁ。」 溜息をつきつつ、一つの学園のホームページを開く。そこには、厭味にならない程度に華やかな赤で『紅桜学園(くおうがくえん)』と書かれていた。その内容を、確かめるように読み上げる。 「創立者は、紅桜院 和寿(くおういん かずひさ)。そろそろ創立100周年を迎えようという歴史ある学園。苦学生のための独自の奨学金制度もある。・・・・・・・・いいとは思うんだけどね。」 更に溜息を重ねる翠音に、ランが問うた。 『どうしてダメなんだよ?まあ、変な名前だとは思うけどさ。』 『バカねぇ!スイネがそんなことでえり好みするはずないじゃない!あんた何考えてんの!?』 と、挑発するように言ったのは、セレシア。あっという間に喧嘩に発展しようとする二人をルファイドが泣きそうな顔で止め、その横から蘇芳が喧嘩を煽り、真珠星に窘められ。一気に騒がしくなった部屋の中で、めったに口を開かない金髪の侍姿――刀輝が静かに言った。 『翠音よ、実際、どうなのだ?』 翠音は、未だじゃれている(と、翠音は見ている)五人に微苦笑しつつ、困った声で言った。 「調べてみたらね・・・・紅桜学園高等部には『弟』が・・・・・・・・雪彦がいるみたいなの。」 とたんに、喧騒がぴたりと収まった。 『おいおい、マジかよ・・・・』 蘇芳が、髪をかきむしりながら言う。髪が傷むことは無いだろうが、その仕草はどうかと思いつつ、翠音は首肯した。 「本当に。同姓同名の他人じゃないかと思って調べなおしもしたんだけど・・・・やっぱり、私の弟の『佐渡 雪彦(さわたり ゆきひこ)』だったわ。」 そう言って、思い出す。雪彦と別れて、もう10年以上になるのだ。 佐渡 雪彦。生まれたときの名は、司之宮 雪彦と言った。彼は、翠音の一つ年下の弟であり・・・・『精霊使い(シャーマン)』の力をまるで持たない少年だった。 司之宮家は、司城村の『司の一族』の長となる家系。そして、『司の一族』は、『精霊使い』の一族。その中に生まれながら、その力を全く持たない弟に、人々は・・・・両親すらも・・・・冷たかった。一つ年上の姉、つまりは翠音が、幼くして『守り神』と呼称されるほどに優秀であったがゆえに、なおさら。翠音自身は、自分を『自分』として接してくれる弟が大好きだったし、たった一人の弟が大切であったが、それが何の気休めになろうか? 「雪彦には、会わないほうがいいと思うの。」 翠音が、ぽつりと呟いた。精霊たちも、無言で恭順の意を示す。再び、検索を再会しようとした翠音はしかし・・・・具召術の発動を感知し、上を向いた。と、次の瞬間、頭上から桜の花枝に結び文したものが振ってくる。恐らく、また元締の仕業であろうが、とりあえずまずは、一言呟いた。 「・・・・この季節に、なぜ桜の花が?」 ちなみに、今は日本は初夏・・・・葉桜が綺麗な季節である。 * * * * * 「う〜・・・・・・・・」 非常に景気の悪い顔で、翠音は『そこ』へ向かう。珍しく、フォーマルなスーツに身を包んで・・・・紅桜学園へ。編入試験を、受けるために。 【 指令書 その弐 陰獣出現の気配あり。出現後、至急退治すること。 追伸 編入する高校は、紅桜学園を推奨。今後しばらく、その近辺を中心に陰獣・陽獣多発の気配。 ミスティア=マーベリック 】 それが、あの結び文の内容。まさにタイミングを狙ったかのようなそれに、翠音は呆れる以前に笑ってしまった。・・・・とは言っても、実を言えば元締に従う義務など無いのだ。だから、例え紅桜学園に入学しなくとも、元締は笑って許すだろう。しかし、翠音はここにいる。 「・・・・・・・・きっかけが、欲しかったんだろうなぁ・・・・。」 言って、再び小さく笑う。結局、条件的に通えるのはここしかなかったのだから、元締の手紙がなくても、いずれここに来ていただろう。一応、偽名などを使ってはみたが、それとて、名前はそのまま、苗字を母方の旧姓に変えただけ、という、意味があるのか疑問な代物だ。 今は、周りに精霊はいない。一応、試験だということで、皆に来ないよう頼んだのだ。だから、道々弱音を吐いた。そして、本音も。 「・・・・雪彦の元気な姿だけでも見たいな・・・・。話せなくてもいいから・・・・。」 (だって、ずっと、気がかりだったもの。) 奨学金の件もある。編入試験は難しいだろうが、翠音は心配していなかった。 『お師匠』ミスティア=マーベリックは、それこそ偏差値の高いことで有名な某T大学の医療系学科にスキップしながら合格しつつ、片手間に雑学王の称号を取れるくらいに、ありとあらゆる知識を容赦なく叩き込んでくれたから。 ・・・・・・・・そのせいで、何度か死にかけたけれど。 * * * * * 案の定、編入試験はさらりと終わった。 「次は、仕事か。・・・・陰獣ね・・・・」 家に帰る道すがら、翠音は基本的な知識をさらえる。 陰獣。それは、『陰の力』の集まった場所に生まれる化物。『陰の力』とは即ち、人間の感情のうち、絶望や悲嘆、怒りなどに相当するもの。感情が大きく陰に傾いたときに放出され、集まると陰獣となる。 対となるものは、陽獣。『陽の力』の集まった場所に生まれる化物。『陽の力』とは即ち、歓喜や熱狂、狂喜に相当するもの。感情が大きく陽に傾いたとき放出され、集まると陰獣となる。 双方共に、人を喰らう。陰獣は、陰の感情を抱く人間を、陽獣は、陽の感情を抱く人間を。人を喰ったそれらは、強さを倍増させる。だから、その前に倒す。それが、『具召師』の使命。 『具召師』とは、『異空間の創造』を行えるもののみがなれる専門技能職。己の意のままとなる異空間において事象を仮定・創造し、具召具と呼ばれる円形、もしくは球形のものを現世と異空間との扉とすることで、現世に、異空間で創造した事象を召喚する。このことを『具現召喚』と言い、それを行う術を『具召術』、それを行える人を『具召師』と言う。 翠音は、その『具召師』。 「ただいま。」 『お帰りなさい、翠音さん。』 帰り着いた翠音を、真珠星が迎える。他の5人とも口々に挨拶を交し、部屋に入るとすぐに着替えた。いつもどおりのボーイッシュな服。髪型は、両耳の前で一房ずつ髪を残し、後は首の後ろ辺りで束ねるという、少々変則的なもの。しかし、これがいつもの定番スタイルなのだ。 『・・・・なあ、オレが言うのも何だと思うけどよ・・・・それ、そんなに気にすることないと思うぜ?』 ランが、左の一房に触れた。僅かな風が翠音の髪をなびかせ、その下にある、左のこめかみ辺りから耳の下辺りまで続く、うっすらとした傷痕を覗かせた。 『やだ!ランってばデリカシーの欠片も無いわけ!?最ッ低!』 「セレシア・・・・いいってば。自分でも神経質になってる、って思うから。ただ、どうしても動いて体温上がると、赤く浮き出てくるじゃない?だから、動くときは・・・・ね。」 そうして、左の一房を梳き、傷痕を丁寧に隠す。流石に失言だったと悟ったランは、気まずげに謝ろうとし・・・・翠音に止められた。 「気にしてないって。・・・・じゃ、やるよ。」 言うと、一瞬にして翠音の表情が引き締まる。左手のブレスレットに右手を添え、凛とした声で言った。 「我が具召具 『オケアノスの輪』。我が意に従い 具現せよ。」 瞬間、ブレスレットが輝いた。そのまま光の円は広がり、あるところで唐突に輝きが消える。そこには、フラフープ程度の大きさの、銀色の金属の輪があった。 これが、翠音の具召具、『オケアノスの輪』である。空中に静止するそれの縁を軽く弾き、翠音は再び言葉を紡ぐ。 「世界に数多揺らぎあり。 繋ぎて映せ その姿。 悲嘆の呼び声 絶望の具現 陰なる獣の 所在を示せ。」 と、輪の中の空間が水のように揺れた。その奥に、景色が見え始める。具召術で、異空間を仲介とし、離れた場所を繋いだのだ。 「発見・・・・とは、いかなかったみたいね。『陰の力』が澱んでるのはわかるけど、まだ陰獣になってない、か。・・・・陰獣として形をとらないと手が出せないのは、不便よね・・・・」 ぽそりと呟き、再び『オケアノスの輪』を弾く。 「出でよ 光糸の篭。 陰なる力 囲んで閉じよ。」 とりあえず、出現予測地点の周囲一帯に、陰獣の動きを封じる『光』の結界を張った。陰獣の出現と同時に、叩くために。 結局、事が起こってからしか何も出来ないことに憤りを感じつつ、翠音は『オケアノスの輪』の向こうの世界を見つめ続けた。 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲ あとがき こんにちは!第2話はどうだったでしょうか?なるべく説明はコンパクトにしたつもりなんですが・・・・ では、またしても補足説明です。 『具召師』 具召師とは、ある特殊な才能を持った人しかなれない専門技能職である。その特殊な才能とは、『異空間』の創造。自らが作り出した異空間において絶対者となれることが特徴。その空間の中で、ある事象を仮定し、創造する。それを、『具召具』と呼ばれるもの(円形、もしくは球形)を、異世界と現世を繋ぐ扉と定めることによって現世へと呼び出し、操る。現世に事象を呼び出すことを『具現召喚』、その術を『具召術』それが出来る人のことを『具現召喚師』、略して『具召師』と呼ぶ。 参考になりましたでしょうか? では、今回はこの辺で。次回『練習曲之参:陰陽の獣』でお会いしましょう! |
32018 | ・・・・・・・・・ふむ(納得したような少々微妙な表情) | 十叶夕海 | 2005/11/2 23:23:43 |
記事番号32016へのコメント こんにちは!予告より1日遅れてしまいました。今回は、具召師の説明があります。 > では、早速どうぞ! ユア;ではレス行きます。 久遠;私も一緒に行くわよ。 > 翠音は、未だじゃれている(と、翠音は見ている)五人に微苦笑しつつ、困った声で言った。 ユア;・・・・だとしても、そうじゃなくても、微笑ましいですね。 久遠;でも、当事者で、なおかつ宥めずに入られない性格だったら、大変よ? ユア;・・・いやに実感こもってますね。 >「調べてみたらね・・・・紅桜学園高等部には『弟』が・・・・・・・・雪彦がいるみたいなの。」 > とたんに、喧騒がぴたりと収まった。 >『おいおい、マジかよ・・・・』 > 蘇芳が、髪をかきむしりながら言う。髪が傷むことは無いだろうが、その仕草はどうかと思いつつ、翠音は首肯した。 >「本当に。同姓同名の他人じゃないかと思って調べなおしもしたんだけど・・・・やっぱり、私の弟の『佐渡 雪彦(さわたり ゆきひこ)』だったわ。」 > そう言って、思い出す。雪彦と別れて、もう10年以上になるのだ。 > 佐渡 雪彦。生まれたときの名は、司之宮 雪彦と言った。彼は、翠音の一つ年下の弟であり・・・・『精霊使い(シャーマン)』の力をまるで持たない少年だった。 > 司之宮家は、司城村の『司の一族』の長となる家系。そして、『司の一族』は、『精霊使い』の一族。その中に生まれながら、その力を全く持たない弟に、人々は・・・・両親すらも・・・・冷たかった。一つ年上の姉、つまりは翠音が、幼くして『守り神』と呼称されるほどに優秀であったがゆえに、なおさら。翠音自身は、自分を『自分』として接してくれる弟が大好きだったし、たった一人の弟が大切であったが、それが何の気休めになろうか? 久遠;人間ってそうよね。 せん・・・ええと ユア;選民意識。 久遠;選民意識の固まりで. どういうのであれ、子供は子供でしょ。 力なんてどうでもいいものでしょうに。 ユア;昔、創造主に捨てられた事と彼を重ねている様で、少々興奮気味。 無礼な発言かも知れないけど、すみません。 >「・・・・この季節に、なぜ桜の花が?」 > ちなみに、今は日本は初夏・・・・葉桜が綺麗な季節である。 > 久遠;春と秋に咲く花が無いわけじゃないし。 ユア;でも、初夏は季節はずれでしょう。 久遠;そうよね。 いくら、条件次第だといっても。 >「・・・・雪彦の元気な姿だけでも見たいな・・・・。話せなくてもいいから・・・・。」 >(だって、ずっと、気がかりだったもの。) 久遠;気がかりなら、会えばいいのよ。 人間でも、妖怪でも、命あるものはいつ終わるかわからないのだからね。 > これが、翠音の具召具、『オケアノスの輪』である。空中に静止するそれの縁を軽く弾き、翠音は再び言葉を紡ぐ。 久遠:ヨルムちゃんと同類のモンスタ−の名を冠したものね、素敵ね。 ユア;ヨルム=ヨツムガンド・・・・というよりは、ウロボロスじゃない? まあ、海を形作るのと境の門を形作るのは似ているけど。 > >▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲ > > あとがき > こんにちは!第2話はどうだったでしょうか?なるべく説明はコンパクトにしたつもりなんですが・・・・ > では、またしても補足説明です。 > > 『具召師』 > 具召師とは、ある特殊な才能を持った人しかなれない専門技能職である。その特殊な才能とは、『異空間』の創造。自らが作り出した異空間において絶対者となれることが特徴。その空間の中で、ある事象を仮定し、創造する。それを、『具召具』と呼ばれるもの(円形、もしくは球形)を、異世界と現世を繋ぐ扉と定めることによって現世へと呼び出し、操る。現世に事象を呼び出すことを『具現召喚』、その術を『具召術』それが出来る人のことを『具現召喚師』、略して『具召師』と呼ぶ。 久遠;召喚師と魔道士と賢者を混ぜたような職業かしら? > > 参考になりましたでしょうか? > では、今回はこの辺で。次回『練習曲之参:陰陽の獣』でお会いしましょう! > 二人;はい、ではどこかで。 |
32024 | ・・・・まあ、結構微妙なものではありますね(苦笑) | 羅城 朱琉 | 2005/11/4 08:21:29 |
記事番号32018へのコメント > こんにちは!予告より1日遅れてしまいました。今回は、具召師の説明があります。 >> では、早速どうぞ! > >ユア;ではレス行きます。 >久遠;私も一緒に行くわよ。 朱琉:こんにちは!今回もお二方にご登場願いました。 語り部:やあ! アミイ:では、早速返レスに行くわよ! > >> 翠音は、未だじゃれている(と、翠音は見ている)五人に微苦笑しつつ、困った声で言った。 > >ユア;・・・・だとしても、そうじゃなくても、微笑ましいですね。 >久遠;でも、当事者で、なおかつ宥めずに入られない性格だったら、大変よ? >ユア;・・・いやに実感こもってますね。 アミイ:確かにね。翠音ちゃんなら宥めるかしら? 朱琉:翠音嬢なら・・・・宥めようとしますね。 語り部:苦労性とまでは言わないけれど、そういう性格だと大変だよね。 > >>「調べてみたらね・・・・紅桜学園高等部には『弟』が・・・・・・・・雪彦がいるみたいなの。」 >> とたんに、喧騒がぴたりと収まった。 >>『おいおい、マジかよ・・・・』 >> 蘇芳が、髪をかきむしりながら言う。髪が傷むことは無いだろうが、その仕草はどうかと思いつつ、翠音は首肯した。 >>「本当に。同姓同名の他人じゃないかと思って調べなおしもしたんだけど・・・・やっぱり、私の弟の『佐渡 雪彦(さわたり ゆきひこ)』だったわ。」 >> そう言って、思い出す。雪彦と別れて、もう10年以上になるのだ。 >> 佐渡 雪彦。生まれたときの名は、司之宮 雪彦と言った。彼は、翠音の一つ年下の弟であり・・・・『精霊使い(シャーマン)』の力をまるで持たない少年だった。 >> 司之宮家は、司城村の『司の一族』の長となる家系。そして、『司の一族』は、『精霊使い』の一族。その中に生まれながら、その力を全く持たない弟に、人々は・・・・両親すらも・・・・冷たかった。一つ年上の姉、つまりは翠音が、幼くして『守り神』と呼称されるほどに優秀であったがゆえに、なおさら。翠音自身は、自分を『自分』として接してくれる弟が大好きだったし、たった一人の弟が大切であったが、それが何の気休めになろうか? > >久遠;人間ってそうよね。 > せん・・・ええと >ユア;選民意識。 >久遠;選民意識の固まりで. > どういうのであれ、子供は子供でしょ。 > 力なんてどうでもいいものでしょうに。 >ユア;昔、創造主に捨てられた事と彼を重ねている様で、少々興奮気味。 > 無礼な発言かも知れないけど、すみません。 語り部:いや、そう思うのが当然だと思うよ。 アミイ:その辺、人間って傲慢だー、と思うわよ。・・・・まあ、私も傲慢な部類に入る人間だと思うけど。 朱琉:確かにね。 > >>「・・・・この季節に、なぜ桜の花が?」 >> ちなみに、今は日本は初夏・・・・葉桜が綺麗な季節である。 >> > >久遠;春と秋に咲く花が無いわけじゃないし。 >ユア;でも、初夏は季節はずれでしょう。 >久遠;そうよね。 > いくら、条件次第だといっても。 朱琉:アミリータ様、真相やいかに? アミイ:簡単よ。具召術で出したの。 語り部:へぇ、そんなことも出来るんだ。便利だね〜。 アミイ:まあ、頑張れば可能、とだけ言っておくわ。 > > >>「・・・・雪彦の元気な姿だけでも見たいな・・・・。話せなくてもいいから・・・・。」 >>(だって、ずっと、気がかりだったもの。) > >久遠;気がかりなら、会えばいいのよ。 > 人間でも、妖怪でも、命あるものはいつ終わるかわからないのだからね。 アミイ:あえて翠音ちゃんの気持ちを代弁するとしたら、『会いたいけど、会ったらお互い傷つくだけだろうな。』といったところね。 朱琉:普段は普通に明るいけど、弟関係では結構暗くなってしまいますから。 語り部:引け目、感じてるのかな? 朱琉:そうだと思います。 > >> これが、翠音の具召具、『オケアノスの輪』である。空中に静止するそれの縁を軽く弾き、翠音は再び言葉を紡ぐ。 > >久遠:ヨルムちゃんと同類のモンスタ−の名を冠したものね、素敵ね。 >ユア;ヨルム=ヨツムガンド・・・・というよりは、ウロボロスじゃない? > まあ、海を形作るのと境の門を形作るのは似ているけど。 朱琉:これは、結構早い段階から名称が決定していたんですよね・・・・。 アミイ:確か、元ネタの話から同じ名前だったわね。形状も。 語り部:能力・使い方もほとんど変わらずだったね。 朱琉:『オケアノス』というモンスター(?)を知ったときから、これだけは決めていたんです。 > >> >>▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲ >> >> あとがき >> こんにちは!第2話はどうだったでしょうか?なるべく説明はコンパクトにしたつもりなんですが・・・・ >> では、またしても補足説明です。 >> >> 『具召師』 >> 具召師とは、ある特殊な才能を持った人しかなれない専門技能職である。その特殊な才能とは、『異空間』の創造。自らが作り出した異空間において絶対者となれることが特徴。その空間の中で、ある事象を仮定し、創造する。それを、『具召具』と呼ばれるもの(円形、もしくは球形)を、異世界と現世を繋ぐ扉と定めることによって現世へと呼び出し、操る。現世に事象を呼び出すことを『具現召喚』、その術を『具召術』それが出来る人のことを『具現召喚師』、略して『具召師』と呼ぶ。 > >久遠;召喚師と魔道士と賢者を混ぜたような職業かしら? 朱琉:賢者・・・・ではないと思いますね。体術も必要なので・・・・召喚師+魔道士+戦士みたいなものです。 アミイ:ミスティアが超・スパルタ教育に走ったのは、単なる趣味よ。ほら、凝り性だし。 語り部:・・・・まあ、言い訳するなら、具召師の仕事で勉強がおろそかになると後でいろいろ大変だから、先にいろいろ教えておこう、と考えたんだよね。 > >> >> 参考になりましたでしょうか? >> では、今回はこの辺で。次回『練習曲之参:陰陽の獣』でお会いしましょう! >> > >二人;はい、ではどこかで。 アミイ:はい、じゃあ、また会いましょうねv 語り部:次は、多分『時の旅人』で。 朱琉:多分・・・・そうだと。 三人:では、また今度! > > |