◆−誤読人(詩)−蝶塚未麗 (2005/12/31 18:41:27) No.32175
32175 | 誤読人(詩) | 蝶塚未麗 | 2005/12/31 18:41:27 |
マエガキ こんばんは蝶塚未麗(チョウヅカミレイ)です。 突然ですけど(じゃあ予告しろというのか)詩の投稿です。 囚鳳名義で作ってる短歌も詩ですけど、あれは定型詩。 今回は自由詩です。 期待にそえるようなものではないかも知れませんが、お時間のある方はちょっとだけでも読んでいってくださると嬉しいです。 一番最後にコメントがあります。 その代わりにアトガキは省略。 そうだったのだ、神の作品だって誤読されればいい ――古川日出男「ボディ・アンド・ソウル」 ――飴玉時間 世界なんて終わってしまえばいい 私を乗せたまま瞬き一回の間に消えてしまえばいい 父さんも母さんも兄さんも弟も友達も先生も親戚もわたしもみんなみんないなくなってしまえばいい 嬉しいも悲しいも楽しいも辛いもさみしいも悔しいも恥ずかしいも怖いもみんなみんななくなってしまえばいい 口の中に放り込まれた飴玉のような時間を消費していくだけのわたし 飴には舌なんてないから甘さを感じない ただ生温かい唾液の中で気持ち悪い思いを息苦しい思いをするだけ 飴玉の時間が終われば今度はとても冷たい時間がやってくるに違いない それよりは永遠の暗闇の中で何も感じない方がいい 時間さえも世界さえもわたしさえも ――花園空間(内と外) 僕はあなたが好きでない あなたが僕でないから 僕はあなたが嫌いでない あなたが僕でないから そう言ってあなたの前から消えた僕は鏡のある部屋で再び眠る 夢の中で鏡から出てきたおまえは僕のベッドに入り込む 僕のからだをまさぐり 僕の唇に接吻をする 言葉はいらない 僕とおまえをみつめているあなたが僕にだけ見える あなたはおまえに嫉妬する やがては「かれ」になり そして誰でもなくなるあなた 僕のからだから剥がれ落ちたもうひとりの僕 かつては「おまえ」であったもの かつては僕であったもの ――捜神 生まれた罪に翼をもがれ 果てのない闇をさまよう 救われぬさだめと知りながら 祈る神を求め続ける ――夢観人 君の眠りが欲しいんだ でも夢はいらないよ 僕が自分で作るから 君の眠りの中でね だけどそれを君にあげよう 目覚めたままの君に 夢はとてもすばしっこいから多分無理だと思うけど もしも捕まえられたなら君は満足してこの世を去れるよ 夢が叶った瞬間が一番幸せだから一番死ぬのに適しているだなんて いつも言っていた君だからね でも僕に言わせれば夢は寝て観るもの 目覚めて捕まえた夢なんて輪郭がはっきりしすぎててきっと面白くも何ともないよ そんなもの捕まえても幸せにはなれない ――記憶園 協調性をゆりかごに忘れてきたわたしはゆりかごを探している 物置を探しているのだけれど夕焼けの記憶しか見つからない 記憶の中にはゆりかごの影だけが見え隠れしているのだけれどそれはきっとにせものの影 記憶も後から作られたにせものかも知れない けれどもしにせものの記憶が過去を彩ってくれるのならば追想にふけるのも悪くはなくその中で花のように枯れていくのも一つの選択ではないかと思う ああ探しものはまた遠ざかっていく ――タイトル この人たちは多分何か勘違いをしているんじゃないかと思ってこんなタイトルになりました。ちなみに誤読っていうのは私の好きな言葉です。ほかに好きな言葉といえば、アスファルト、リノリウム、ゼラニウム、シンビジウム、ギムナジウム…… ――飴玉時間 現状に対する嫌気と将来に対する不安から死に逃げたいけど自ら死ぬ勇気はない人間の甘ったれた心理を描いた詩。タイトルは谷山浩子さんの詩「水玉時間」から。 ――花園空間(内と外) 人間は常に変化していくけど結局は何も変わらないんだという詩。それが本当かどうかは別として。 ――捜神 L’Arc~en~Cielの「finale」の歌詞あんまりよく知らない状態の時、2番のサビにこんな歌詞をつけて歌ってました(一部改変あり)。ほんものの方が断然いいですね。 ――夢観人 眠りの中で見る夢と手にしようと求める夢はどちらが価値のあるものなのでしょう。 比べるようとするのが間違っていると思います。 ――記憶園 私はあんまり協調性のない人間。多分ゆりかごの中に忘れてきたんだろう。しょうもないジョークが浮かんだ時、同時に詩が浮かびました。 |