◆−願海ーーーねがいうみーーー  5−河田 優妃 (2006/2/19 15:52:17) No.32313
 ┣願海ーーーねがいうみーーー  6−河田 優妃 (2006/3/22 20:23:22) No.32398
 ┃┗Re:願海ーーーねがいうみーーー  6−氷室 相良 (2006/3/25 21:57:54) No.32411
 ┃ ┗Re:ありがとうです☆−河田 優妃 (2006/3/26 03:30:55) No.32416
 ┣願海ーーーねがいうみーーー  7−河田 優妃 (2006/4/9 16:33:26) No.32443
 ┣願海ーーーねがいうみーーー  8−河田 優妃 (2006/4/23 14:38:13) No.32483
 ┗願海ーーーねがいうみーーー  9−河田 優妃 (2006/5/4 04:09:35) No.32491


トップに戻る
32313願海ーーーねがいうみーーー  5河田 優妃 2006/2/19 15:52:17


あ・・・え〜とツリー落ちちゃったんでツリー替えです。
みなさまっすみません!
では、どうぞ!



story5

カチャ・・・・

「ねぇ。碧・・・。」
『うむ。なんだ?』
深蒼は下を向いて不安げに言った。
「どうして・・・どうしてあたしには碧が見えるのに
おかーさんには見えないの?」
『深蒼よ。少し表現が違う。
“見える”ではなく“視える”だ。』
碧がそういうと深蒼の頭の中をイメージが走った。
「“視える”・・・・?」
『ふむ・・・。深蒼には少々難しかったか・・・。』
そういって碧は苦笑した。
「あ。」
深蒼は小さく声をあげた。
『む。どうした?』
「碧・・・初めて笑ったぁ!」
そういう深蒼の瞳が光った。
まるで嬉しいことがあった幼子のように。



〜あとがきもどき〜
どうもぉ〜。おひさしぶりです〜。
最近すっごく停滞気味でスミマセン(><)
そして短い・・・だめですね。
では、また。

トップに戻る
32398願海ーーーねがいうみーーー  6河田 優妃 2006/3/22 20:23:22
記事番号32313へのコメント

どぉもっ!受験に落ちたせーでっ、しばらく来れませんでした。
はい、そーです。ショックが強かったんです。
でも、もう復活しました!
てなわけで、久しぶりの更新、どーぞ☆



story6


小さな島の少女は出逢った。

−−−そして、5年の月日が流れた。

計画は裏で着実に進んでいった。

全ては、この世界のために・・・。


「ねぇ、碧。」
『む?なんだ?』
少女は自室のソファーに寝転び、
部屋の中央に浮かぶ碧に声を掛けた。
「どうして碧は封印されていたの?」
それは、少女が5年間溜めていた質問だった。
『ふむ。深蒼もそろそろ理解ができる頃だろう。』
そういうと碧は床の上に座った。
深蒼もソファーの上に正座をした。
『これは、昔話で、過去の話だ。
我は、碧の王。遙か遠くの昔に1人の者によって
生み出されし、創生の王。
我を生み出せし者。すなわち神だ。
神は我を生み出し、神託を授けた。
そして、神は眠った。我を遺して・・・。
神託は語った。
“我 決断を下せし時 古の彩開かれん
   汝 闇を包み 光を纏う いざ開かれん紅の下に”
と。』
静かな部屋に彼の声だけが凛と響いた。

「・・・つまり、今が、その“決断を下せし時”なの?」
『おそらくな。』
「でも、ちょっと待って。碧は遺されたんでしょ?
ならどうして、封印されたの?」
『まだ、話しは終わっていない。』
話に疑問を感じ深蒼が聞き返すと、碧は冷静に返した。
『我は遺された。
そして、幾時もの時間が流れた。
そんなある時、奴らは現れた。』
碧は、ふっと瞳を閉じる。
すると深蒼の中に映像が流れた。


−−−青い空は無機質な色に変わり、森は侵食された。
地表は温度が上がり、大量の氷が融け、水面の上昇が起きた。
島国は沈み、陸が狭まる。
内陸国では猛烈な乾波が荒れ狂う。
草木が失われ、砂漠化が進んだ。
やがて、酸の雨が降り始め、人々の数は激減した。−−−

『−−−そして、世界は急速に暁に向かって終息し始めた。
その時、我は自らの持てる力を引き出し、
なんとしてでも、と暁を防いだ。
しかし、奴らはその身が滅ぶ寸前にある細工をしたのだ。
我は、その細工に抵抗する力すら持てなかった。
故に、我は封印された。』
「そいつらは、一体何者なの?」
深蒼は真剣に、訊いた。
『我は知っている。奴らは、人間だ。』
碧の言葉に深蒼は愕然となった。
「そ・・・んな・・・・あた・・し・・たちなの・・・・!」
『安心しろ。人間は人間でも、深蒼とは違う。
奴らは、侵さざる域を侵した、“暁を目指す者”だ。』
碧は優しく深蒼を諭した。
「うん・・・。ありがとう、碧。」
そう言って、深蒼は微笑んだ。




〜あとがきという名の言い訳〜
冒頭で話したとぉり、更新遅れてスンマセン。
てかいきなり時間率飛ばしました。
まことにもぉしわけございません(><;)
というか、昔の世界って今の地球そのものです。
では、短いですがコレにて!
失礼しましたぁ〜☆

トップに戻る
32411Re:願海ーーーねがいうみーーー  6氷室 相良 2006/3/25 21:57:54
記事番号32398へのコメント


こんばんは。二度目まして、氷室です。
早速、レスに入ろうと思います。



>どぉもっ!受験に落ちたせーでっ、しばらく来れませんでした。
>はい、そーです。ショックが強かったんです。
>でも、もう復活しました!
>てなわけで、久しぶりの更新、どーぞ☆
 それは…気の毒です。
 私も最近小説の方書いてませんね…;

>story6
>
>
>小さな島の少女は出逢った。
>
>−−−そして、5年の月日が流れた。
>
>計画は裏で着実に進んでいった。
>
>全ては、この世界のために・・・。
 五年っ!?
 だ、だいぶ飛びましたね…
 
>「ねぇ、碧。」
>『む?なんだ?』
>少女は自室のソファーに寝転び、
>部屋の中央に浮かぶ碧に声を掛けた。
>「どうして碧は封印されていたの?」
>それは、少女が5年間溜めていた質問だった。
>『ふむ。深蒼もそろそろ理解ができる頃だろう。』
>そういうと碧は床の上に座った。
>深蒼もソファーの上に正座をした。
>『これは、昔話で、過去の話だ。
>我は、碧の王。遙か遠くの昔に1人の者によって
>生み出されし、創生の王。
>我を生み出せし者。すなわち神だ。
>神は我を生み出し、神託を授けた。
>そして、神は眠った。我を遺して・・・。
>神託は語った。
>“我 決断を下せし時 古の彩開かれん
>   汝 闇を包み 光を纏う いざ開かれん紅の下に”
>と。』
>静かな部屋に彼の声だけが凛と響いた。
 色に関する話ですか。
 現在は、蒼、碧と、微妙に紅ですね。

>−−−青い空は無機質な色に変わり、森は侵食された。
>地表は温度が上がり、大量の氷が融け、水面の上昇が起きた。
>島国は沈み、陸が狭まる。
>内陸国では猛烈な乾波が荒れ狂う。
>草木が失われ、砂漠化が進んだ。
>やがて、酸の雨が降り始め、人々の数は激減した。−−−
 地球温暖化に似てますね。
 本当に、人間が何かをしないと、世界は終わりますね。
 まぁ逆に、人間が何もしなければ大丈夫というものもありますが…
 …微妙に話ずれましたね。

>『−−−そして、世界は急速に暁に向かって終息し始めた。
>その時、我は自らの持てる力を引き出し、
>なんとしてでも、と暁を防いだ。
>しかし、奴らはその身が滅ぶ寸前にある細工をしたのだ。
>我は、その細工に抵抗する力すら持てなかった。
>故に、我は封印された。』
>「そいつらは、一体何者なの?」
>深蒼は真剣に、訊いた。
>『我は知っている。奴らは、人間だ。』
>碧の言葉に深蒼は愕然となった。
>「そ・・・んな・・・・あた・・し・・たちなの・・・・!」
>『安心しろ。人間は人間でも、深蒼とは違う。
>奴らは、侵さざる域を侵した、“暁を目指す者”だ。』
>碧は優しく深蒼を諭した。
>「うん・・・。ありがとう、碧。」
>そう言って、深蒼は微笑んだ。
 まだ少女にしては、責任感のある。
 それに、飲み込みも早い。
 …頭の良い少女ですね。

>〜あとがきという名の言い訳〜
>冒頭で話したとぉり、更新遅れてスンマセン。
>てかいきなり時間率飛ばしました。
>まことにもぉしわけございません(><;)
>というか、昔の世界って今の地球そのものです。
>では、短いですがコレにて!
>失礼しましたぁ〜☆
 温暖化問題について考えさせられました。
 後、「――」←こういう線を使いたいなら、他の小説の――をコピーして貼り付ければいいと思いますよ。
 私も自分のPCで、その線が出ないのでそうやってます。
 よく分からなかったら、もう少し具体的に説明します。
 …説明下手なんで、どこまで通じてるか分かりませんが。

それでは。





トップに戻る
32416Re:ありがとうです☆河田 優妃 2006/3/26 03:30:55
記事番号32411へのコメント

こんばんわ、レスどうもです(>▽<)


>こんばんは。二度目まして、氷室です。
>早速、レスに入ろうと思います。
はいお願いします。(ぺこり)


>>story6
>>
>>
>>小さな島の少女は出逢った。
>>
>>−−−そして、5年の月日が流れた。
>>
>>計画は裏で着実に進んでいった。
>>
>>全ては、この世界のために・・・。
> 五年っ!?
> だ、だいぶ飛びましたね…
あ。やっばし飛びすぎですか?

>>「ねぇ、碧。」
>>『む?なんだ?』
>>少女は自室のソファーに寝転び、
>>部屋の中央に浮かぶ碧に声を掛けた。
>>「どうして碧は封印されていたの?」
>>それは、少女が5年間溜めていた質問だった。
>>『ふむ。深蒼もそろそろ理解ができる頃だろう。』
>>そういうと碧は床の上に座った。
>>深蒼もソファーの上に正座をした。
>>『これは、昔話で、過去の話だ。
>>我は、碧の王。遙か遠くの昔に1人の者によって
>>生み出されし、創生の王。
>>我を生み出せし者。すなわち神だ。
>>神は我を生み出し、神託を授けた。
>>そして、神は眠った。我を遺して・・・。
>>神託は語った。
>>“我 決断を下せし時 古の彩開かれん
>>   汝 闇を包み 光を纏う いざ開かれん紅の下に”
>>と。』
>>静かな部屋に彼の声だけが凛と響いた。
> 色に関する話ですか。
> 現在は、蒼、碧と、微妙に紅ですね。
はい。色に関する物語にしてみたいです。

>
>>−−−青い空は無機質な色に変わり、森は侵食された。
>>地表は温度が上がり、大量の氷が融け、水面の上昇が起きた。
>>島国は沈み、陸が狭まる。
>>内陸国では猛烈な乾波が荒れ狂う。
>>草木が失われ、砂漠化が進んだ。
>>やがて、酸の雨が降り始め、人々の数は激減した。−−−
> 地球温暖化に似てますね。
> 本当に、人間が何かをしないと、世界は終わりますね。
> まぁ逆に、人間が何もしなければ大丈夫というものもありますが…
> …微妙に話ずれましたね。
まぁ、あたしも地球温暖化意識してましたしね。
あ、そうですよね。
人間が何かをしなくちゃいけませんよね。
よし、あたしも緑化運動はじめるかぁ!(何故に緑化運動?

>>『−−−そして、世界は急速に暁に向かって終息し始めた。
>>その時、我は自らの持てる力を引き出し、
>>なんとしてでも、と暁を防いだ。
>>しかし、奴らはその身が滅ぶ寸前にある細工をしたのだ。
>>我は、その細工に抵抗する力すら持てなかった。
>>故に、我は封印された。』
>>「そいつらは、一体何者なの?」
>>深蒼は真剣に、訊いた。
>>『我は知っている。奴らは、人間だ。』
>>碧の言葉に深蒼は愕然となった。
>>「そ・・・んな・・・・あた・・し・・たちなの・・・・!」
>>『安心しろ。人間は人間でも、深蒼とは違う。
>>奴らは、侵さざる域を侵した、“暁を目指す者”だ。』
>>碧は優しく深蒼を諭した。
>>「うん・・・。ありがとう、碧。」
>>そう言って、深蒼は微笑んだ。
> まだ少女にしては、責任感のある。
ですね。15くらいなのにこんな重い話を聞かされても・・・
って感じですね。
> それに、飲み込みも早い。
> …頭の良い少女ですね。
はい。母親が学者なのでそれなりに飲み込みが早い子にしたくて。


>>〜あとがきという名の言い訳〜
>>冒頭で話したとぉり、更新遅れてスンマセン。
>>てかいきなり時間率飛ばしました。
>>まことにもぉしわけございません(><;)
>>というか、昔の世界って今の地球そのものです。
>>では、短いですがコレにて!
>>失礼しましたぁ〜☆
> 温暖化問題について考えさせられました。
なぜかあたしってそういうことに関して妙に詳しかったりするんですよね(笑)

> 後、「――」←こういう線を使いたいなら、他の小説の――をコピーして貼り付ければいいと思いますよ。
ああ!なるほど!
ありがとうございます!!
今度そうさせてもらいます!!勉強になりました!
> 私も自分のPCで、その線が出ないのでそうやってます。
> よく分からなかったら、もう少し具体的に説明します。
> …説明下手なんで、どこまで通じてるか分かりませんが。
いえいえ。

>それでは。
はい。また。









トップに戻る
32443願海ーーーねがいうみーーー  7河田 優妃 2006/4/9 16:33:26
記事番号32313へのコメント

どぉもっ!なんとか県立の高校の二次に受かって色々と忙しかった
ので(言い訳無用!
それはさて置き、久々に更新♪
では、どうぞ。



story7

In:kaden

プルルルル・・・・プルルルルル・・・・・

無機質なコール音がしばらく響き、途切れた。
“ただいま留守にしております。メッセージを・・・”
感情のない機械的な音声で淡々と告げられる。
『わたしだ。君のおかげで例の準備が整った。感謝する。
用件だが・・・・“彼”についてだ。
明日わたしの家に来て欲しい。期待してるよ。
クララ・ユーリシア君?』

プツッ。

メッセージが流れる。静まり返った部屋に。
「クス。バカな人間・・・。全てが私の計画通りなのを知らずに
私のことを信頼してるのね。“彼”について・・・ねぇ?
まぁ、私の邪魔にならない程に、せいぜい、踊らされることね。」
彼女は微笑みを浮かべると、自分のPCに向き直り、作業を開始する。

「クス。もうすぐ・・・もうすぐなのよ。
もうすぐで私の・・・計画が、完成するのよ・・ふふ。」

PCのキーボードの上で指を躍らせながら彼女は、笑った。
何かに憑かれたかのような狂った微笑みを浮かべながら。



In:krenaijima

「深蒼。貴女もそろそろ大きくなったわよね。」
唐突に、彼女は言った。
「え、あたしはまだ15だよ?どーしたのおかーさん?」
突然の問いに少女は戸惑った表情で訊き返す。
「いいえ。もう15、よ。」
彼女はきっぱりと、言い切る。
「それでなんだけど。そろそろ、
貴女には話した方が良いと思ってね。」
そこで一旦言葉を切り、
「私たちが何故この小さな島で暮らしてるのか
不思議じゃなかった?」
「え・・あ・・・そういえば・・・不思議よね・・。」
今までそれが普通だったから深蒼にはよくわからなかった。
だけど、よく考えれば不思議なことだった。
「私たちはね。この島の守人なの。」
「え?」
「遙か昔。この世界は、滅びかけた。」
これは・・・・!
深蒼は悟った。
彼女の母が語りだした話が何なのか。
それは、幾日も前に碧から聞いた話だった・・・・。

「私たちは、その破壊を食い止めようとした。でも、無理だった。
やがて、世界は荒れ始め、終焉を迎えようとした。
その時、私たちの前に人・・・というべきかわからないけど、
人間が現れたの。
そして、彼は始めた―――自然の、再生を。
全てが終わり、彼は“例の人々”の殲滅に取りかかった。
でも、“例の人々”が滅ぶ今際に私たちと、彼に呪を掛けた。
そして、彼は眠りにつき、私たちは呪われた。
―――ここは、彼が眠りについた場所。」

「おかー・・さん・・・。一体・・・?」
深蒼は掠れた声で問うた。
――母は、何故知っているのか・・・。
何故、鮮明に話せるのか・・・。
深蒼の頭の中に疑問が渦巻いた。
「深蒼。不思議でしょう?何故私がこんなにも、知っているのかが。
私は、当時に生き残り、呪われた一人で、
今も尚生き続けているからよ。」
「え・・・だっておかーさん・・・
あたしのおかーさんじゃない・・・・?」
すでに深蒼の頭の中は混乱し始めていた。
「貴女は、この海から生まれた子。でも、私の子。」
『ふむ。なるほど。だから我が視えたのか。』
と、突然沈黙を続けていた碧が口を挿んだ。
(碧っ!?なんで今まで黙っていたの?)
『我は、深蒼の母が話していることを聞き、考えていたのだ。』
(何を・・・?)
もう、5年も一緒なのだ。
深蒼は普通に碧と話せていた。
『我が、封印された時、何が起きたのか、だ。
深蒼の母の話で、理解った。』

碧と話しているとき、母は言った。

「深蒼。貴女は都会に行きなさい。」




〜あとがき〜
はい。長いですね。いやになるくらい長ったらしいですね。
でも、ここは一応語りの部分です。
古の記憶をお母様に語ってもらいました。
けっこぉ、重要・・・かも。(ォィ
これから、また一段と難しく・・・なると思います。
では、戯言はこれくらいにして・・・。
みなさん、さよ〜なら〜♪

トップに戻る
32483願海ーーーねがいうみーーー  8河田 優妃 2006/4/23 14:38:13
記事番号32313へのコメント

お久しぶりです〜
色々忙しかったからなー。

愚痴はさて置き、では、どうぞーv


story8

「深蒼。貴女は都会に行きなさい。」

「え・・・?どういう・・・・?」
母の思わぬ言葉に戸惑いを隠せず、うろたえる。
「貴女は、都会に行って。
ここに縛り付けられている、私の代わりに・・・。」
「お・・・」
深蒼は反論しかけたが、止まった。
母の瞳に浮かぶ悲哀の色を見て。
「わかった。行く。」
深蒼はそう呟くと部屋に行って準備をはじめた。

島を出る準備をする深蒼を見て、碧はたずねた。
『深蒼。行くのか?』
「うん。」
そう言う深蒼の瞳には、はっきりと決意の意志が垣間見えた。
『深蒼が、そう決めたのだ。我は反対はしない。』
「ありがと。碧。」
深蒼は笑顔で返した。
彼女は気付いてないだろう。その顔は少し、哀しそうだったことに。
『我も、ついて行くだけだ。』
そんな深蒼の表情を見て、碧は言った。
「碧・・・ここから離れられるの?」
深蒼は当然といえば当然の質問をした。
『我は、深蒼から封印を解いてもらった時にすでに、覚醒している。』
「なるほど〜。それじゃあ、碧もいっしょに来てくれるの!」
『うむ。そのつもりだ。』
瞳を輝かせる深蒼に、碧は見せた。ぎこちないが、確かな笑みを。

「いい?何かあったらすぐに連絡するのよ?
ハンカチは持った?ティッシュは持った?忘れ物無い?」
「おかーさん、心配しすぎ。
大丈夫。あたしはおかーさんの子だから。」
家の倉庫に置いてあったボートに、
深蒼を乗せて近くの有人島に送るとき、母は何度も確認していた。
まるで、初めて遠足に行く子供に聞く親のように。
斜め後ろを見れば、いつもの様に碧が浮かんでいる。
「それじゃあ、いってきま〜す!」
「気を付けて行くのよー!」
母の言葉を後ろに、深蒼は港に向かって歩き出した。

「碧。あたし、初めてだよ。島を出るのは。」
『ふむ。面白い道中になりそうだな』
ふたりはそう会話を交わすと、互いに笑いあった。


〜あとがきという名の言い訳〜
さあ、始まりました!これからが長い旅の最初の地点です。
彼女らが帰ってこれるのは何時のことでしょう。
そして、都会に行った彼女らを待ち受けるものとは!?
次回をお楽しみに!
では、また。

トップに戻る
32491願海ーーーねがいうみーーー  9河田 優妃 2006/5/4 04:09:35
記事番号32313へのコメント

おっひさっしぶりっでっす!!
しばらく色々あったんです・・・(遠い眼)
ってことで気分を変えて行きましょー!
では、どうぞ!



story9


「おい」
いきなり掛けられた声に振り向く。
そこに立っていたのは、少し眼光の鋭い少年だった。
「なぁに?」
ゆっくりとした動作で深蒼は問いかける。
「お前、ここいらじゃ見ない顔だな。ドコのどいつだよ?」
少年がそう問いかけると、深蒼はクス、と笑って
「あたし、さっきこの島に来たの!」
純粋ともいえる笑顔でそう少年に返した。
「そうか・・・。いきなり睨んですまねぇ。
俺は、コージ。お前は?」
「あたし、深蒼!ヨロシク、コージさん!」
そう言って深蒼は右手を差し出す。
「で、お前は?」
深蒼の差し出した手を一瞥し、深蒼の斜め上を見た。
―――つまり、碧のいる所を。
『ほう。我が視えるのか。』
「喋ったッ!?」
碧が口を開くと、コージは驚愕の色を示した。
「あ、あの・・・碧が・・・視えるの?」
「ああ・・・俺は昔からユーレイとかが見えたから・・・
でも、喋る奴なんて初めて・・・」
おそるおそる深蒼が訊くと、
コージはまだ口を開けたままの状態で答える。
『ふむ。それはただの低級な者どもだな。』
碧はそう言って納得している。
「あ、コージさん。この人は、碧って言うの。」
まだ名前を教えてないことに気がついて、
慌てたように深蒼が言った。
「へぇ・・・。碧・・・ねぇ。まぁいいや。ヨロシクな。」
意外と彼は順応性があるらしい。
構えていた深蒼と碧が、拍子抜けしていた。
「ところで、深蒼。アンタ、泊まる所はあるのか?」
「へ?あー・・・そういえば・・・ない。」
空に向けている視線が泳いでいる。
「ふぅん。ま、がんばれ。」
そう言うとコージは、踵を返して歩き出す。
「ほへッ!?ちょ、ちょっと!
こんなときは『俺の家に泊まる?』とか言うモンでしょう!
本で読んだわよッ!」
歩き出したコージを、深蒼は慌てた様子で引止める。
「いや、ンなこと言っても。
俺んちはとーさんも、かーさんもいねぇし。
狭いし、散らかってるし。
宿なら、この角を右に回って5軒目だし・・・。」
「ちょっとちょっとちょっと!何?その無関心ぶり!
あたし、いきなり人間不信になりそうなんですけど・・・。」
非人情なセリフを吐くコージに深蒼は思わずツッコミをいれた。
すると、コージは真剣な顔になって、
「いいか。人間なんて、みんなそうなんだよ」
「アンタが言うなぁぁああああ!!」
どげしッ。
深蒼の怒りの鉄拳がコージの顔に直撃する。
いい加減頭にきていたらしい。
後ろで碧が呆れた顔をして、浮かんでいる。
『まったく・・・』
「お、落ち着けぇぇぇえええ!
わ、分かったから殴るのは止めてくれ!」
コージが降参をした。
「それじゃあ、泊めてくれるの?」
「仕方ねぇからよ。こっちだ。」
コージはどこか諦めたような、悟ったような顔をして、
自宅の方に深蒼たちを、案内した。


「ここだ。」
ガチャリと開いたドアの向こうには、異空間が広がっていた。
「うっわ。汚ッ!?」
『これは・・・・酷いな』
惨状を目の当たりにして深蒼と碧は呻いた。
「きたねぇとか言うなッ!」
コージはちょっぴり涙を流しながら叫んだ。
「そ、そうよね・・・泊めさせてくれるんだから・・・・
文句は言わないようにしなくちゃ・・・。」
『うむ・・・。』
そう言うと深蒼は、一歩踏み出した。
靴を履いたままで。
「ちょいまて!靴は脱げ。」
そんな深蒼に静止の声が上がる。
「え・・いや、だって・・・コレ・・・・、。」
深蒼は戸惑った表情で、振り向く。
「そういうと思って、ほらよ」
そう言ってコージが放り投げたのは、
「スリッパ・・・・いつの間に・・・?」
「おう、さっきだ。」
「ああ・・・そう言えば・・・」
コージは自宅に案内する途中、近くの小さな雑貨屋に寄っていた。
おそらく、そこで買ったのだろう。
深蒼のために。
「コージさん・・・ありがとう。」
「『さん』はいらねぇよ。コージでいい。」
どこか照れくさそうにコージは言った。
「え?でも、年いくつ?」
「俺?俺は、13だけど。」
「年下ッ!?嘘ぉ!大人っぽいッ!!」
目を丸くして深蒼は言った。
確かに、コージは大人びていた。
しかし、彼はそのことがちょっぴりコンプレックスだったりする。
「うぅ・・・どぉせ、俺はじじくせぇよ・・・」
「いや、それは悪口じゃなくて・・・いやあの・・・」
どんよりと重い空気を纏ったコージを深蒼は一生懸命に慰めていた。
こうして、第一日目の陽が沈んだ。



〜あとがきっぽいもの?〜
どぉも、前述したようにお久しぶりです。
今回はやけに大人びている年下の男の子を登場させました!
比較すると、深蒼がやけに子どもっぽいです。
あぅ・・・碧の出番が少ない・・・。
次回もコメディータッチでいきたいな。
(ってか、コメディータッチだったのかッ!?)
では、次回もお楽しみに♪