◆−蝶塚未麗−囚鳳 (2006/2/22 17:10:42) No.32323
 ┗裏庭主義宣言−囚鳳 (2006/4/6 14:17:25) No.32438


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32323蝶塚未麗囚鳳 2006/2/22 17:10:42




マエガキ
こんばんは。
久しぶりの短歌です。
最近全然思い浮かばないので10個しかありません。








 ――蝶塚未麗――








1:蝶塚未麗
標本にされた蝶らのたましいが降り積もるから花は咲かない




2:旅立ち
旅立ちは夜行列車と決めていた インターチェンジは雨雲の下




3:劣等感とプライドそして無理解
おとうとでできた砂漠でただ僕は吊り下げられた一粒の星




4:永遠の孤独
(君がいつも腰掛けている場所だからここならひとつになれる気がして)




5:弱き者、汝の名は男
(幽霊になっても変わらず君が好き この苦しみが分かるだろうか)




6:アトカタモナイノ国
夕暮れの道をいつまで歩いても辿り着けない……夜になるだけ




7:幻想少年
子どもらの中に紛れているだろうニッカド電池で動く少年




8:現実嫌い
偽物の海で泳いで偽物の家族と帰る偽物の空




9:視点1
洗い物している母の真後ろを大また開きで一気に通る




10:視点2
意味もなくウロウロしているわが息子背中で見ながら洗い物する








アトガキ
ちょっと歌について解説。
そういうのが嫌いな方は見ないようにしてください。








1は私の小説書く方のHNの由来みたいな感じですが、ハイドラントからの改名時点ではぼんやりしたイメージがあっただけなので、ほとんど後付けです。
「塚」はお墓。
「未」だ「麗」しくないのは花が咲いていないから。




2は来月から一人暮らしが始まるので。




5のタイトルはシェイクスピア「ハムレット」のセリフのパロディ(本当は女)。




6のタイトルは谷山浩子さんの歌から。
「月光シアター」というアルバムに収録。
「不思議の国のアリス」が好きな人にはおすすめ。




7のニッカド電池で動く少年っていうのは、長野まゆみさんの小説に出てくる人間そっくりの自動人形「三日月少年」のことで、さらに「夢の世界の住人のような少年」の比喩でもあります。
伝わらないと思うので明かしました。




9と10は昨夜洗い物をしていた時、弟が私の後ろを忙しそうに何往復もして、それがなぜか妙に可笑しかったので歌にしてみようと思いました。
歌にする段階でかなり内容に変化が生じました。








それではこれで失礼致します。
次回があるのか凄く不安です。

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32438裏庭主義宣言囚鳳 2006/4/6 14:17:25
記事番号32323へのコメント














 ――裏庭主義宣言――

















木の上の魚は海に帰れずに夢を見ている洪水の日の





蝙蝠傘広げて空に消えていく叔父と僕とを夜霧が隔て





裏庭の小惑星に腰かけて晩のおかずを考えている





屋上の風が運んでくる記憶 君はここから空へと跳んだ





道端に弱い私は捨てられて強い私のヒールの確かさ





抱きしめるあなたの腕には海があり私が太古へ還れる時間





粉雪の静けさの中ひとりきり最終電車の灯りを思う





ゆっくりと海へと落ちていくワゴン ハッピーエンドの映画の終わり





死神の冷たい鎌を握る手に流れる血液 確かな温度



 
10
「幸せになるのは最後の一瞬で構わないから」涙がこぼれ




11
明日の陽を見られぬ人に黙祷を捧げつつゆく横断歩道




12
(集団の中で孤独を感じたい)頭の中につくられた都市




13
アメジストの海を歩いていくうちにいつしか耳が波を求めて




14
この風に帽子を飛ばせばもう一度いけるだろうかあの王国へ




15
溜息でどれだけ夢が濁っても手放すことは決してしない




16
裏庭にもう一人の僕住まわせて昼下がりには会いにいくこと




17
「殺す前に「愛している」と言ってくれ。たとえ嘘でも構わないから」
















 アトガキ
 こんばんは囚鳳です。
 久しぶりの短歌となります。
 タイトルに深い意味はありません。
 でも裏庭というものにはあこがれます。
 広い裏庭がいいですね。
 さまよえるくらいのサイズがあって欲しいものです。
 得体の知れないものがあったり、ダンジョンがあって探検できたりしたらなおいいです。
 毎日自宅の敷地内にあるダンジョンに潜る生活だなんて何て素敵なんだろうと思います。
 「自宅の敷地内」というのがミソです。
 プライヴェートな空間でおこなわれる自己充足のための行為だから楽しいのです。
 自分のためだけの創作というのもこれに近いかも知れません。
 それではこれで……