◆−魔族たるものこうであれ−獣王様１０ヶ条−−夢月なつか (2006/4/4 18:36:05) No.32432
　┗Re:魔族たるものこうであれ−獣王様１０ヶ条−−蝶塚未麗 (2006/4/14 12:19:34) No.32465
　　┗確か初めましてだったと・・・−夢月なつか (2006/4/15 19:41:10) No.32468
トップに戻る
32432魔族たるものこうであれ−獣王様１０ヶ条−夢月なつか URL2006/4/4 18:36:05





　魔族たるものこうでなければいけない。

１、極悪非道であれ
２、人間に背を見せるな
３、竜どもにいい思いさせるな
４、あの方の悪口・愚痴は言うな
５、上司に忠実であれ
６、ウソをつかない
７、廊下は走らない
８、魔術を使わない
９、恐怖を与えろ
１０、おやつは３００円まで

「って、なんかわけのわかんないものが入ってますけど獣王様」

「なにをいう。常識ではないか。
　廊下を走ったらうるさくて落ち着けないし、おやつは３００円あればそれなりに」

「・・・いや、廊下は獣王様のご機嫌を損ねるのはいやなので走らないのはわかりますけど、おやつって・・・」

「ゼロス、お前はなんにもわかってないな・・・」

「はぁ・・・」

「魔族だから食事はとらない。そんなものとうの昔のことだ
　今は魔族も食事をする時代になってきたからな・・・もちろん主食は人間共の負の感情だが
　あ、バナナはおやつに入らないぞ。負の感情を溜めたのはおやつではなく主食だ」

「・・・・・」

　などとなんか、どこが極悪非道だと突っ込みたくなるようなこの会話。
　すでに１項目めのことは守れていない。

　獣王ゼラスは、その１０ヶ条を壁にはり、さらに印刷したものをあちこちに貼りまくった。
　正確には張ったのは彼女の部下たちである。

「これが守れないものは、城の掃除１００年だ」

「「えぇぇー」」

　かなり不満の声もあがるが、それでも上司に逆らえない部下たちは、
　必然的に５項目のことを守っていた。いや、守らざるえない。

「さて、最近人間たちの間では私達魔族は伝説上の生き物とされていたりするが、
　それだと恐怖を味わえないので、近隣の町を襲って来い。魔族のことを忘れ去るなど歴史が伝統が許さん！」

　なんの伝統ですか。などとは誰も口に出さない。
　いまいち利にかなっているようなかなっていないような、意味がわかるようなわからないような・・・
　とりあえずゼラスの命令で、部下たちは近くの町や村に向かっていった。
　
「ゼロス、ゼフィーリア名物ぶどうワインを買って来い」

「・・・おやつですか？」

「違う」

「わかりました」

　これでおやつといった場合、３００円オーバーである。
　おやつでないと聞いたゼロスは今が旬のブドウをふんだんに使ったワインを求めてゼフィーリアに旅立った。
　で、その途中。人間に背を見せずに恐怖を与えている極悪非道の魔族を何体か見かけた。

「ふむ、我ながら達筆だな」

　彼女が考えた１０ヶ条を見て、ゼラスはあらためてその出来に満足していた。
　筆でかかれた１０ヶ条はプロ並の上手さだった。流れるような筆使い、躊躇いなくスっとした線。

「さて、竜共はなにをしているかな」

　第三項目、竜どもにいい思いさせるな。これを達成するためにゼラスは自ら・・でなく、
　カタート山脈でＬ様にいびられている部下Sにテレパシーで通信した。
　
「魔王さま、すみませんけど竜たちはどんな感じかわかります？」

『あぁ――・・・そうだな、いつもとかわらん
　それよりも、へるぷみー、Ｌ様の大鎌が・・・・』

「失礼します」

　プっ

　ゼラスは冷や汗うかべながら通信をきる。
　なんかやる気のなさそうな声だった部下Sだが・・実はそう聞こえるほど憔悴しきっているとか？

「・・・・さて、さっきのことは忘れて。
　竜たちはいつものかわらんか・・・つまらん」

　いい思い（＋波があったら）をしていたら魔力弾でも落とそうかと思っていたゼラスだった。
　なければないで、破ることもできないのでいいが・・・

「つまんない」

　最近面白いことが全然ない。
　魔王二体も倒したあの魔術師たちは今ごろどっか旅しているだろう。
　あの人間が大きなことに巻き込まれれば魔族も退屈しないでいいのだが、そう上手くはいかないのが現状だ

「あぁ、世の中って残酷」

　魔族が何を言う。と、ゼロスがいたら思いだろうが、あいにくおつかいに行っているために誰も突っ込んでくれない。
　それを虚しく思いつつ、ゼラスは１０ヶ条を眺めながら

「あ、魔術を使えなくしたら、人間に混ぎれこむのに不便だな」

　ふと気づき、そしてまぁいいか。とすぐにねころがる。



「すみません。ぶどうワイン一つ」
　
「はい、プレゼント用でしょうか？」

「・・・いえ、違います」

　とある店、ゼロスはワインを買っていた。
　そして、購入してそれを抱えて店を出る。
　
「それにしても、この町って・・・あんなでかい犬いましたっけ？」

　ゼロスの目線の先には、緑色っぽい色のでかい犬がお座りしていた。
　しかしだらだらと涙を流している。

「まぁいいか。さて、早く帰りましょう」

　ゼロスはスタスタと無視をしてこの町を出た。
　そして、彼の去った後に

「スポット、ごはんよ〜」

「姉さん・・・届きません」

「がんば〜れ〜、スポットｖ」

「うぬぬ・・・」

「やってるなぁ・・・」

　などと、えさを持っている女性がえさを届かないぎりぎりの場所に置き、
　魔道師姿の少女がその犬を笑いながらからかい、金髪の剣士がのほほんと言った。


「獣王様、買って来ました」

「ご苦労。それとゼロス」

「はい？」

「やはりこの１０ヶ条はやめにした」

「・・・・・・はい？」

「こんなこと書かなくとも守れなきゃおかしいし、
　それに、おやつは３００円っていうのは安すぎたし、竜どももいい思いなんかしなさそうだし」

「無意味とおっしゃりたいんですか・・・」

「そのとおり。そういうことだから、はがしておいで」

「・・・・はい・・・」

　ゼロスはワインを渡して、何百枚、何千枚も印刷された獣王様１０ヶ条を剥がしにむかった。

「まぁでも、最近魔族もたるんでるから、この１０ヶ条も少しは役にたったか」

　人間達に恐怖を与えている最中の部下たち。
　最近やることがないので、いい暇つぶしもといいい修行になっていることだろう。

「ワインもあるならケーキも欲しいな」

　ゼラスは呟き、３００円以上のケーキを冷蔵庫から取り出した。
　そしておやつ・・・ティータイムを始めた。

「廃止してよかった。じゃなきゃこのケーキ食べれないからな」

　

「まったく、よくこんなに・・・」

　ゼロスは、ぶつぶつ言い時折ため息をつきながら１０ヶ条を剥がしていった。
　この作業が終わったのは、三日後だった。






　後書き

　こんにちわ。夢月です。

Ｌ様：久しぶりのＬよ。それにしても久しぶりの投稿でいきなり魔族ネタとは

　いや、他にネタがおもいつかなかったので

Ｌ様：根性でやれ。ついでにあたしも出せ
　
　・・・登場するたびに同じこと言ってますよね。

Ｌ様：同じこと言わせるあんたが悪いのよ！

　Ｌ様のご機嫌が悪くなってきたのでこの辺で。そのうちにまた。

Ｌ様：あ、こら、勝手に終わらすなぁー！


トップに戻る
32465Re:魔族たるものこうであれ−獣王様１０ヶ条−蝶塚未麗 2006/4/14 12:19:34
記事番号32432へのコメント



こんにちは、蝶塚未麗（チョウヅカ・ミレイ）と申します。
いきなり、こんなことをお訊きするのはちょっと失礼かと思うのですが……えっと、はじめまして、でしょうか？
いや、はじめまして、のような気もすれば、チャットかどこかでお会いしたような記憶もあるんですよ。
一応、投稿小説の方では初めてだと思うので、はじめまして、にしておきます。
何かすみません。



>１、極悪非道であれ
>２、人間に背を見せるな
>３、竜どもにいい思いさせるな
>４、あの方の悪口・愚痴は言うな
>５、上司に忠実であれ
>６、ウソをつかない
>７、廊下は走らない
>８、魔術を使わない
>９、恐怖を与えろ
>１０、おやつは３００円まで
いきなり登場。
これぞ王道ネタですね。
大切なのは１０番のオチなんですけど、並べ順とか微妙な表現とかに何となくセンスを感じました（リズムの問題なのかなあ）。
ただ、８番がちょっと分かんないんですけど、どういうことでしょうか？
それにしても、３００「円」って……


メインストーリーはシンプルですけど、
>『あぁ――・・・そうだな、いつもとかわらん
>　それよりも、へるぷみー、Ｌ様の大鎌が・・・・』
や、
>「スポット、ごはんよ〜」
>
>「姉さん・・・届きません」
>
>「がんば〜れ〜、スポットｖ」
>
>「うぬぬ・・・」
>
>「やってるなぁ・・・」
など色んな人の日常が見れるのが面白いなあと思いました。
こういう作風はすごく好きです。

>　などと、えさを持っている女性がえさを届かないぎりぎりの場所に置き、
>　魔道師姿の少女がその犬を笑いながらからかい、金髪の剣士がのほほんと言った。
これはまさか……
さりげないところにカップリングを配置するというのも面白いですね。

>「廃止してよかった。じゃなきゃこのケーキ食べれないからな」
廃止してなかったら、値段オーバーしている分だけ切り取らないといけませんね。
でも場所によってかかってるお金は違いますから、３００円を超えているかどうか分からない時には厳密な審査が必要となりますね。
そのせいで無駄なお金がかかってしまったりして。

>「まったく、よくこんなに・・・」
>
>　ゼロスは、ぶつぶつ言い時折ため息をつきながら１０ヶ条を剥がしていった。
>　この作業が終わったのは、三日後だった。
……これぞゼロスのあるべき姿（？）。


それではこれで失礼させて頂きます。
面白かったですよ。

トップに戻る
32468確か初めましてだったと・・・夢月なつか URL2006/4/15 19:41:10
記事番号32465へのコメント


　はじめまして・・だと思います。
　私はチャットには参加してませんし、かなり久しぶりの投稿だったので・・・
　感想ありがとうございます。

>ただ、８番がちょっと分かんないんですけど、どういうことでしょうか？

　たしか、魔族が人間の使う魔術、使うとダメージうけるみたいです。
　自分自身の力がベストとか・・・なんせ長編原作の方半年前くらい前に売りましたから。
　内容もほとんどおぼえてないんですよねぇ。あまり気にしないで下さい。私にもよくわからなかったりします（ダメじゃん）

>それにしても、３００「円」って……

　えぇ、円じゃないんですよね絶対。
　でも通貨単位が全然わからないので円にしちゃっただけです。

>それではこれで失礼させて頂きます。
>面白かったですよ。

　ありがとうございました。