◆−宿屋から−惣流 舞 (2006/7/31 19:16:28) No.32672
32672 | 宿屋から | 惣流 舞 | 2006/7/31 19:16:28 |
お久しぶりですの方も、始めましての方もこんにちは。 惣流舞です。 夏ですねー。暑いですねー。暇ですねー(勉強しろ受験生) というわけで突発SSです。 多分恋人未満なガウリナです(笑) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 扉を開けると、目の前にはリナのスリッパがあった。 *宿屋から* 「ただいまー、あぁ?!」 リナが調べたいものがあるというのでオレたちはこの町に来た。 ちなみに、町の名前は忘れた。なんていうとリナに殴られそうだからばれない様にごまかしているオレだったりする。 それはともかく、リナは魔導師なんたらとか言うところから借りてきた本を一日中読み漁っているので退屈なオレはぶらぶらと町を散歩したりしていたわけだが。 なんなんだ?この状況。 散歩から帰ってオレの部屋に入ろうと扉を開いた瞬間(っていうか、今?)目の前におなじみになった、リナがスリッパを振り上げているところだった。 オレ、何かしたっけ? いやいや、何もしてないはずだ。 っていうか、何もできないから一人寂しく散歩に出かけたわけだけど。 でも、じゃぁ何でリナはスリッパでオレを殴ろうとしてるんだ? っていうか、避けた方がいいのか? いやいや、そんなことしたらリナは更にムキになって今度は魔法をぶっ放しかねん。 そんなことしたら宿の修理代がかかるから、ここはやはりおとなしくスリッパを受けた方がいいのか? いやいや、理由もなく殴られるのもなぁ? でも、避けたら避けたで魔法をくらった後で修理代をオレに払わせるかもしれないしな〜。 うん、やっぱりここは大人しくスリッパを受けることにしよう。 ということで。 スパンっ! オレの頭に小気味良い音を立ててスリッパが炸裂した。 「いってぇ!いきなり何するんだよリナ!」 「五月蝿いわね!今まで何処ほっつき歩いてたのよこのクラゲ!」 理不尽に殴られたオレが講義しても良いと思うのだが、リナはそれを五月蝿いの一言で終わらせてしまった。 なぁ、最近オレの扱いが更に酷くなってないか? しかしここでリナの機嫌を損ねると夕飯を食わしてくれないかもしれないし、リナ自身も夕飯を食べずに部屋に籠って本を読み出しそうだから黙っている。 とりあえず、オレはぶたれた頭をさすりながら、 「何処って……この辺をぶらぶらと散歩してただけだぞ?」 首を傾げて、それがどうしたと問う。 「それよりも、ここ、オレの部屋だぞ?リナの方こそどうしたんだ?」 うん。そっちの方が大切だよな。 よく見ればリナの目が若干潤んでいる。 その上、思い返せばオレを殴ったスリッパに込めた力もいつもよりなかったように思う。 「な、なんでもないわよ!」 オレがリナの目を気にしたことに気付いたのか、リナは顔を背ける。 口ではなんでもないと言っているが、こういうときのリナは嘘を吐いている。いや、意地を張っている、の方が正しいか。 とりあえず、なんでもないというのは絶対に嘘だ。 「なんでもないことないだろ?どうしたんだよ、ほら、オニーサンに話してごらん?」 業とおどけた様に言うと、リナはキッとこちらを振り向き睨む。 「誰がオニーサンよ、この脳みそミジンコのクラゲ!」 いや、クラゲって言うのは良いけどね。 「脳みそミジンコって……」 流石にオレも傷つくのよ?リナちゃん。 いや、でも少しはいつもの調子を取り戻したみたいだから結果オーライなんだけど。 「なによ。あんたなんて脳みそミジンコのクラゲで十分じゃない」 ふん、と唇を尖らせるリナに、何か嫌なことでもあったのか、と思い至る。 「わかったわかった。わかったからそれ以上言わないでくれ。流石にオレでも傷付くから」 ぽんぽんとリナの頭を撫でると、しばらく口を尖らせたままだったリナも大人しくなる。 こうやっていると、ただの女の子なのになー。口を開くとアレだもんなー。 勿体無いというかなんと言うか。 ま、それも全部含めてリナだからな。うん。 「で、何があったんだ?」 「………………………なんでそういうことだけ覚えてるのよ」 「ま、リナのことだからなー」 「な」 「オレも一応保護者だし。放っておけないだろ?」 「……………あ、そ」 はぁ、と小さくリナが溜息を吐く。 ん?オレ、また何かしたか? でも、スリッパを取り出す気配もないから、そうではないのかもしれない。 「リナ?」 先を促すと、しばらく言いにくそうにしていたが、目線をオレに合わせないように斜め下を向く。 「……………………じ」 「は?」 あまりにも小さくて聞き取れないだろ〜? 「だから、ナメクジが出たって言ってんのよ!クラゲ!いっぺんで理解しなさいよクラゲ!」 「あ、あぁ」 何だ、ナメクジか。 ま、このリナが苦手なものといったら話に出てくる『故郷の姉ちゃん』とナメクジくらいだもんな〜。 そうか、ナメクジ。 「梅雨が明けたから今年は見なくてすんだと思った矢先にこれよ!しかも丁度アンタはいないし!もう最悪!!」 もーいや!と叫ぶリナに苦笑する。 「わかったわかった。いなくてすまなかったな」 「こういう時位役に立ちなさいよ!」 「だから、悪かったってー」 オレは関係ないのにぷりぷり怒るリナが面白い。 ま、オレに頼るようになったってのは、いい兆候だな。 「ナメクジ出たのはお前さんの部屋だな。んじゃちょっと行って来るから、ここで待ってろよ」 最後にポンと頭に手を置いて部屋を出ようとするオレの袖に、小さな違和感。 振り返ってみると、服を握り締めるリナの姿。 「どうした、リナ?」 まさか一人にしないで、なんていう可愛いことはないと思う。っていうか、絶対にない。 そのくらいは一緒にいたつもりだ。 すると案の定、 「部屋、変わって」 ここまでリナの性格を把握できるようになった自分に拍手したい気分だった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― どうも、お疲れ様でしたー。 ここまで読んでくださりありがとうございます。 久しぶりに書くと、やっぱり口調とかが違ってきますね。 書き出しとかタイトルとか、某有名作品を彷彿とさせてみました(日本語おかしい) スレは惣流にとって原点となる作品ですので、なんだか懐かしい気分になりました。 ていうか、初、ガウリイ視点だったり。 名前表記ないけど、ガウリイだったり。 業と名前表記しなかったり。 そんなこんなでお邪魔しました☆ 惣流 舞。 |