◆−闇色奇想曲。−百鬼夜源。 (2006/8/30 08:54:25) No.32756


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32756闇色奇想曲。百鬼夜源。 2006/8/30 08:54:25



ワガママな、ないものねだり。


『ココロヤマイ』


「はぁ……」
自室のベッドにシェーラは勢いよく倒れこむ。
フカフカとした枕に顔をうずめ、意味もなくバフバフバフ、と手をじたばたさせる。
それがやんでしばしの静寂。
(……なんで上手くいかないの……)
心の中、シェーラは一人問いかけた。
この所、彼女は調子が良くない。
指令を受けてもささいなミスで失敗してしまう。
別にそれで他人に何を言われようとも気にしないタイプだが、
(……覇王様……)
自分の主が悪く言われる事は耐えられなかった。
「……ったく」
腰につっていた武器であり、部下であるドゥールゴーファをとり、恨めしそうににらむ。
「……あんたの所為だからね」
責任転換である。
しかし、いくら彼女が語りかけようともドゥールゴーファは返すことができない。
「……何よ黙っちゃって」
今のイラついたシェーラにとって、それは火に油を注ぐに等しいことだった。
「あんたを創ったのは私なのよ? たまにはじっとしてないで主様のために何かしたらどうなのよ!? 剣以外に変身でもして、私を楽しませてみなさいよ!!」
大声で叫んだ所為でシェーラの息は上がっていた。
瞳にうっすら涙を浮かべて。
「……何か言ったらどうなのよ……」
ふたたび、枕に顔をうずめる。
ドゥールゴーファは手を離れ、床にカランと転がった。


「…………」
しばらく気を失っていたシェーラを目覚めさせたのは
「にぎゃ」
という奇妙な鳴き声だった。
「……?」
そっとシェーラは顔を上げる。
ネコの形をしたそれは彼女のすぐそばにちょこん、と座っていた。
黒くて、さっき落とした剣の模様が体中にあって、顔が無い。
「……ドゥールゴーファ?」
シェーラがそっと呼ぶとネコ型は『にぎゃ〜』と鳴きながら彼女にすりよった。
「……鳴き声……間違ってる」
呟きながら両腕で愛おしそうに抱きしめた。
瞳を閉じ、シェーラは感じた。
(……ダメ……)
ドゥールゴーファの変身への満足感。
それ以上のどうしようもない虚無感を。
(……ドゥールゴーファじゃダメ……足りない……)
自分の一部で創ったモノで埋まらない空間。
それを埋める術を彼女は知っていた。
彼女の全てを創った人なら、それを埋められる。
だけど、それは……。
「……覇王様……」




<雑書きと言うなのあとがき(仮)>
初めまして、百鬼夜源。と言うものです。
初投稿です、よろしくお願いします。
最近、スレイヤーズにはまりまして、愛ゆえに書いてしまいました(汗

シェーラの切ない心情が描けていたらいいな、と思っています。
三人称が苦手なので描けてないとおもいますが。

それでは、失礼します。