◆−狂いの回旋曲−チェイス (2006/9/25 11:05:47) No.32794


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32794狂いの回旋曲チェイス 2006/9/25 11:05:47


プロローグ―語の狂い―

 紅き魔。紅き神。赤き世界。
 そこは、彼女にとっては小さすぎる世界。
 自分の宮殿にも及ばぬ小さい世界。
 されど、そこの世界に惹かれる銀に星とオーロラを散りばめたような髪の色をした美女がいた。
 金の髪の娘。その子のお気に入りの世界だったはずだ。
 そんな事を思う。
 多々の娘と息子の魂をコピーした世界。
 平行世界の数では勝る世界がないほど。
 滅茶苦茶な世界であった。
 歪みの多さに関してもそうだ。
 なぜか、一日(その世界での、だが)経てば歪みを訂正したとしても元に戻っているのだ。
 確かに、娘の降臨に異界の魔王と神の合成物の降臨。
 さらに魔王の不完全降臨が二回となると、納得するのだが。
 異常だ。
 時間率の狂いも見られる。
 この現象は、過去にも一度だけあった。
 回旋曲の魔。そんな呼び名の存在だったはずだ。
 神を飲み込み世界を滅ぼしつくし。
 バランスを崩し自滅の道をたどった存在。
 だが、自滅をたどる前に、一時的に存在が消失した。
 もしかすると、この時間率に一時割り込むのか?
 そう考えるのが自然だろう。
「神託でも、落としてあげますか。」
 そして、一つの神託がそこに降り立った。
「ルー様、今のは?」
「な・い・しょv」
「はあ……。」
 部下に一度だけ聞かれたが、彼女――ルーと呼ばれている――はひらりとかわす。

――時の交錯 無へのカウント
  生なる五つの光の交差
  神なる存在 魔なる存在
  全ての力は一つとならん――

 幕は、開かれた。