◆−黒の獣−エスエル (2006/9/30 21:59:19) No.32801


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32801黒の獣エスエル 2006/9/30 21:59:19




 艶やかな漆黒の美しい毛並みに顔には二つの赤い大きな瞳を埋め込んだ、芸術家の彫刻のように美しい一匹の猫は、にやりと笑っていた。
 冥王宮に忍び込んで三日目。いやはやまったく、息子を監視するのは楽しいなんてものじゃない、ストレス解消に最適だ。
 赤眼の魔王からの盗撮に気づくことなく、今日もまた、冥王は深くため息をついていた。
「どうして僕の気持ちわかってくれないんだろうなぁ……」
 魔王はなんだかそんな彼が可愛くなって、猫の姿のまま目を細めて少し笑った。金色の魔王からのいたずらでこの姿に変えられたが、いざとなればいやいや……からだが小さいとはどんだけ便利だろう。
「くっそぉ……ダルフ干からびさせてやる! 絶対干からびさせてやる!」
 覇王の将軍のことをいっているのだろう? やはり、それなら海王には八つ当たりだ。まったくまったく……恐ろしいことをいってくれる。
 Sはまた微笑む。天井を支える太い柱の影から隠れて冥王の監視中だ。
 あぁもうまじに、最高。
「いや……やっぱグラウを雪だるまにするのが先決かなぁ……」
 そんな事した日にゃ冥王お気に入りの覇王の将軍はショックでなくことになりそうだ。またやっぱりおかしくて、Sは笑をかみ殺した。


              続
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侑莱維からの改名で再びエスエル復活です。
駄文まんは相変わらずですが、前よりはマシになったかな……(笑)
続きがあります。ここまで読んでくださりありがとうございます