◆−二年ぶりかの連載開始?−かお (2006/10/4 15:13:29) No.32804
 ┣スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜8話〜−かお (2006/10/4 15:15:07) No.32806
 ┣スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜9話〜−かお (2006/10/4 15:16:27) No.32807
 ┣スレイヤーズフォーエバーinNEXT〜10話〜−かお (2006/10/4 15:21:41) No.32808
 ┣スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜11話〜−かお (2006/10/4 15:23:09) No.32809
 ┣スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜12話〜−かお (2006/10/4 15:24:09) No.32810
 ┣スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜13話〜−かお (2006/10/4 15:25:09) No.32811
 ┣スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜14話〜−かお (2006/10/5 07:37:47) No.32813
 ┗Re:お久しぶり(?)です。−河田優妃 (2006/10/7 22:22:31) No.32819
  ┗おひさしぶりですv−かお (2006/10/10 22:10:00) No.32822


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32804二年ぶりかの連載開始?かお E-mail URL2006/10/4 15:13:29


こんにちわ。多分ほとんどのひとが始めましてです。
ときどぉぉぉき、ほんとうに時々ここに出没しているかおといいます。
とりあえず…二年前くらいから編集するのにほっといた(まて)
スレイヤーズのアニメ版。
それのエル様漫遊記版(つまりリナ=エル様)が並行世界に移動している。
というお話の続きをいくのです。
前までのお話は、過去ログ、もしくは著者別リストからおねがいします。
・・・ようやくある程度のひと段落・・・かな?これに関しては……
連載中の、パラレルトラベラーもある程度まとまったら投稿しますねv
あと・・・いい加減に漫遊記の番外編(よみきり版)も・・・
前回まで7話まで投稿しているので、今回は8話までです。
・・目標。このツリーで15話までいけたらいいなぁ・・・(汗
何はともあれ、いくのですv

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32806スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜8話〜かお E-mail URL2006/10/4 15:15:07
記事番号32804へのコメント

  まえがき&ぼやき:

  さてさて。こんにちわ。
  このようなお話の場においでくださりまして。まことにありがとうございます。
  って、堅苦しい挨拶はおいといて。
  はじめまして、の人は始めまして。お久しぶりの人はお久しぶりです。の薫ことかおです。
  こちらのスレイヤーズフォーエバーは。アニメのスレイヤーズネクスト。
  あちらの設定で、それに別世界でリナやってたエル様と。
  薫のオリキャラ、スミレちゃん(エル様と同じ存在)と。
  あとは気の毒にもお供となってる獣神官ゼロス、
  さらには時間率的には、覇王さんの計画が終わった後であるがゆえに。
  気の毒にもエル様がリナという人間やってた世界からは。
  異世界旅行もどき、つまりはリナたちの世界に巻き込まれているルークとミリーナ(笑)
  とりあえず、こちらは。薫の小説、「エル様漫遊記」その設定となってます。
  なので、エル様一人称ではありますが、エル様の姿はリナだったり(笑
  なので、リナが二人いるんですよねぇ。
  この話。ついでにいえば、こちらの世界では。リナたちは神聖魔法つかえますv
  でもって、リナとシルフィールは幼馴染だったりして。
  上記の事実を納得した人のみ、お付き合いくださいなのです。
  それでは、一年半以上も間があきましたが。
  いくのですv
  今回は、ネクスト、8話「フィルさんが死んだ日!?」です!
  それでは!

  #########################################


    スレイヤーズフォーエバーinNEXT 〜永遠なれフィルさんが死んだ日!?〜


  とある遺跡より、こちらの世界。
  つまりは、あたしが人間やってた世界と同じ並行世界のうちのひとつの世界にときているあたし達。
  なぜかちょっとしたかかわりから、あちらの世界からルークとミリーナ。
  という人間たちも同行していたりするけど、それはそれ。
  こっちの世界に前回きたときに残ったガウリイはともかくとして。
  遊びにきているユニットと、いまだにあたしたちのお供としてついてきているゼロスとともに。
  とりあえず目指すはセイルーン。
  こちらの世界のリナたちとアメリアやゼルガディスとも合流し。
  ちょっとしたドラゴン料理などを食べたりしながら。
  やってきているここ、セイルーン。

  「しっかし。作りはあちらとかわらんのだな。」
  何やらそんなことをいいつつ、周りをみてつぶやいている目つきのちょっぴし鋭い男性。
  そんな彼の言葉に。
  「ルーク、まあ深く考えても何ですわよ。それよりもきちんと私たちの世界に戻れるかを考えないと。」
  そんな彼にと言っている銀色の髪をポニーテールにしている女性。
  くすくすくす。
  「まあまあ、ルークもミリーナも。そのうちに戻れるし。今は状況たのしみましょv」
  あたしの言葉に。
  「つうか、絶対にエルなら自力で戻れるような気がする……」
  なぜかぽつり、とあたしの横でつぶやいているこちらの世界のリナ。
  「オレはリナのいるところがオレの居場所だしな。」
  などといっているガウリイ。
  「しかし…何だな。何かおかしくないか?」
  周りをみてそんなことをぽつり、といっている鋼の髪をしている男性。
  ちなみに、ここセイルーンでは見た目でどうこう、という人間はあまりいないがゆえに。
  この男性、つまりはゼルガディスの姿は目立っていない。
  目立ってはいないけど、逆にあたしとリナの姿をみて。
  ちょっぴし目立っていたりするあたしたち。
  まあ、あたしとリナはスタイルはともかくとして、それ以外はそっくりだしね。
  「はぁ…またあの人にあうのですか…気が重いです……」
  などとつぶやいているゼロス一号。
  「?どうかしたのですか?」
  そんなゼロスにと問いかけているこちらの世界のゼロス。
  「い、いえ、ちょっぴし精神的にあの人苦手なんですよね……」
  などとそんな情けないことをいってるし。
  「そんなことよりも!リナさん!それにエルさん!皆さんもはやく!こちらです!」
  などといいつつ、元気にかけている一人の少女。
  一人先にと駆け出し、城門にとむかっているこの少女…アメリア。
  「はやくいきましょう!前回もここで元に戻れる方法がわかったんです!
  ですから今回もわかるかもしれませんし!さあ、はりきっていきましょう!」
  などといいつつ元気よくかけていたりする。
  「……いや、『前回』って……」
  そんなアメリアの言葉に思わずつぶやいているミリーナに。
  「ミリーナさん、前回も僕たちこちらの世界にきたんですよ。
    ……まあ、あの時は鏡を経由しての移動でしたけどねぇ。」
  そんなミリーナに対してにこやかにと説明しているゼロス一号。
  「そんなことがありましたねぇ。まさか、二度もこられるとはおもってませんでしたが……」
  などといいつも、笑みを浮かべながら冷や汗を流しているゼロス二号。
  「まあ、アメリアのやつはあんなことをいってるが。
    本当は自分が親父にあいたいだけなんだろうがな……」
  そんなアメリアをみてつぶやいているゼルガディス。
  「まあ、アメリアもまだ子供だし。ああいうところは。
    とりあえず、会いたくないけど、いくしかないでしょ。」
  ため息をつきつつ、そんなことをいっているリナに。
  「だな。」
  「しかし、何というか、静かすぎますわ。」
  そんなことを顔を見合わせていっているルークとミリーナこの二人。
  「ま、とりあえず、いきましょ。」
  あたしの言葉に従い。
  そのまま、あたしたちもまたアメリアの後を追って城門の方にとむかってゆく。

  カーン。
  カーン。
  カーン。
  静かな鐘の音が鳴り響く。
  青空の下それが静かにと国中にと響き渡っていたりする。
  「人がいませんねぇ。」
  周りをみてつぶやいているゼロス二号に対して。
  「そうですねぇ。それに、ほら。半旗になってますよ。」
  そんなことをいって、広場の中央にとある国旗を指差し。
  二人して会話しているダブルゼロス。
  「?誰か国のえらい人に不幸があったのでは?」
  それをみてつぶやいているミリーナに。
  「たしかに。かなり兵士がおおいしな。」
  周りをみつつつぶやいているルーク。
  くすっ。
  「そんな…まさか。」
  そんなことをいいつつも、そのまま、城にと続く道を駆け出しているアメリア。
  と。
  「うん?おい、お前、とまれ!」
  駆け出すアメリアをみて、一般人が入り込んだ、と勘違いし。
  そんな声をかけている兵士その一。
  そのままさらに足を止めないアメリアに対し。
  次の瞬間。
  キッン!
  アメリアの行く手をさえぎる二つの槍。
  「とまれ!」
  などとアメリアにむかって叫んでいたりする兵士たち。
  そんな彼らに対し。
  「無礼者!私の顔を忘れたの!?」
  いいつつも、彼らにむかって言い放っているアメリア。
  そんなアメリアの姿をみとめ。
  「ひ……姫!?」
  「アメリア姫!?」
  というか、すぐに気づきなさいよ。
  アメリアが声をかけるまでアメリアとは気づかずに。
  アメリアを足止めしようとしていたこの兵士たち。
  そのまま、その場に膝をついている兵士達であるけども。
  「久しぶりに帰ればこの騒ぎ、何があったというのです?」
  そんな兵士達にと問いかけているアメリアに。
  「ひ…姫。お帰りがおそすぎましたぞ。」
  などといいつつ泣き出している兵士だし。
  そんな兵士の様子に不安の顔色を浮かべ。
  「どうしたのです?何があったというのです?」
  戸惑いながらも話しかけているアメリア。
  「そ……それは、私の口からはとても……」
  そういいつつもさらに涙を流している兵士だし。
  「というか、あのフィルが死ぬはずがないじゃない。」
  「そうそう、というか、あなたたち本気で信じてるの?」
  くすくすくす。
  そんな兵士達にむかって話しかけるあたしとユニット。
  「………え?」
  あたしの言葉になぜか振り向いているアメリアに。
  「…え、えっと?エル?ミリーちゃん?」
  戸惑いつつも問いかけてきているリナ。
  「あたしたちの世界でもあったからねぇ。フィルの暗殺事件v
    ちなみに、首謀者はガーヴ配下の部下たちv」
  さらりと軽く説明するあたしの言葉に。
  なぜか。
  『ごほほほほほっ!』
  なぜかその場でむせこみ始めているルークとゼルガディス。
  「ちょっとまて!?どういうこった!?」
  などと叫んでいるルークに。
  「まあ、こっちの世界があたしたちの世界と同じだとすれば。だけど。
    とある人物が魔とこの国をのっとるためにと契約して。
    それでもって、王位継承権第一のフィルことフィリオネルを襲ったのよ。
    まあ、あいつら程度の力で彼をどうにかできるはずもない、というのにねぇ。ふふv」
  そんなあたしの言葉に。
  「……え、えっと?エルさん??それって……」
  いまだに意味がわからずに首をかしげているアメリアに対して。
  「つまりこの騒ぎは。今、何か死んでないのに、フィルが死んだとかいわれて騒がれてるのよv」
  「……そ〜いや、前にもあったなぁ。こんなこと。」
  あの時のことを思い出してのんびりといっているガウリイ。
  「……あの?まさか……死んだって……まさか、そんな!?」
  あらあら。
  アメリア、死んでないっていってるのに。
  『死』という言葉をきいて、顔色を悪くしてるし。
  そして、今までこちらに注意してなかった兵士達がなぜかこちらをみつつも。
  「……げっ!?リナ=インバース!?」
  リナとあたしの姿をみて何やらひいてるし。
  「どういう意味かしらぁ?あんたたち……」
  そんな兵士をみて低い声をだしているリナに対して。
  「……つうか。あんた、何したんだ?……この国で……」
  などとそんなことをいっているルーク。
  まあ、リナは数回、ルナと一緒にこの国にきたことがあるからねぇ。
  「まあ、それはそうとして。詳しい話ききたいんだけど?城の中に案内してくれるわよね?」
  なぜかすこししり込みしている兵士達にと、にこやかにと語りかけるあたしの言葉に。
  「……いや、それはもう。我々としても……」
  どうしてリナ=インバースが二人?
  などとも思いつつ。
  まあ、親戚か何かなのであろう。
  そんな考えであっさりと済まし。
  以前にも出会ったことがあるしな。
  などと思っていたりする。
  「とにかく!城の中に!」
  死んでないって説明したのに。
  いまだに顔色もわるく、あたしの言葉か届いていないこのアメリア。
  くすくすくす。
  「あなたたちも心配しなくてもいいわよ。フィルさんは死んでないから。
    というか死んでたら暗殺者が次なる行動してるってばv
    とりあえず、フィルさんの弟さんたちから話を聞かせてもらえるかしら?」
  にっこりと。
  微笑つつもにこやかにと話しかけているユニット。
  そんなユニットの言葉に毒気を抜かれ。
  そのまま、すんなりと城の中にと招き入れてくれる兵士達。
  まあユニットの微笑みは、大概の人間達とか存在達が断れることができないからねぇ。
  その愛らしさにつかまって。
  気づいたら、自分の意思とは関係なく、すべてを受け入れてるのよねぇ。
  ユニットもまあわかっててやってるんだけど、これが。
  しかも、ただにっこりと笑うだけでなく。
  すこしばかりポニーテールにしている髪をふわり、となびかすようにちょこっと首を横にとかしげ。
  そして、上目遣いに、にこやかに。
  それでいて、軽く手を合わせて懇願する姿は。
  まあ、たいていの存在はすぐに落ちたりするんだけど。
  まあそれはそれとして。
  「ま、とりあえず、詳しい話は城の中で?それでいいでしょ?ルーク?ミリーナ?」
  いまだに何やらむせこんでいるルークと。
  なぜか冷や汗を流して固まっているミリーナにと話しかけるあたし。
  そんなあたしの言葉に。
  「あ、ああ。」
  「わかりましたわ。」
  などと声もかたくに答えているこの二人。
  「……まあ、確かに。ここで話してても何だしな。
    詳しい話をきくのに城の中に入る必要があるだろう。」
  そんなことをつぶやいているゼルガディス。
  とりあえず、そのまま。
  あたしたちは兵士の案内にて。
  王城の中にと進んでゆくことに。

  「……う……そ……」
  だから、違うってばv
  城の中にとはいり。
  とりあえず真っ先にとやってきたのは。
  城の中にとある聖殿。
  聖殿の中にと位置している教会に。
  フィリオネルの銅像と、ちなみにその目の前にあるのは白い箱。
  といっとも中身は殻なんだけど。
  「実はここ最近、フィリオネル殿下を狙った暗殺騒ぎがここ数日連続しまして……」
  ふらふらと、部屋の奥にと入ってゆくアメリアに。
  後から話をきいてやってきている一人の男性が静かに言葉も少なく説明する。
  「?あんた、誰だ?」
  そんな男性にむかって、首をかしげて問いかけているルークに。
  「ルーク、この城の中にいる、ということは。まがりなりのも王族のはずですわ。
    その言葉づかいはやめてくださいな。バートナーである私の品位が疑われます。」
  そんなルークにびしゃり、と言い放っているミリーナ。
  「ああ、そういえばルークたちは知らなかったんだっけ?
    あたしたちは以前、ちょっとした一件で知り合いになってるけど。
    この男性がここセイルーン王国第二王子クリストファー=ウル=ブロッソ=セイルーンよ。
    ちなみに、三男にランディオーネという人間もいたりするけど。
    彼は今この国にはいないからねぇ。」
  ちなみに、あたしに関してはリナの関係者、というかルナの関係者。
  というので、納得していたりするこのクリストファー。
  まあ、嘘ではないんだけど。
  その頭に白い布をかぶり、ちょっとした髪留めでとめているこのクリストファー。
  服装は、ちょっとした高位の神官の服装。
  「……ということは、この人は王子?」
  そんな彼をみてつぶやいているミリーナに。
  そして、ぼつりと。
  「……兄弟でもあまり似てませんのね……」
  などとつぶやいているこのミリーナ。
  もしかしたら、……と思ってましたが。
  あの銅像をみても、こちらのフィリオネル殿下も私たちの世界の彼と同じ容姿みたいですし……
  そんなことを思っていたりするこのミリーナ。
  まあ、彼女たちは以前フィルにはあったことがあるからねぇ。
  フィルがお忍び旅行をしていたときに。
  「とりあえず。詳しく話してくれないか?」
  前回はあまりこのクリストファーとは話しはしていないゼルガディスだけど。
  そんなクリストファーにとむけて問いかけているゼルガディス。
  「だな。こっちのアレがどうかはともかくとして。あのおっさんが簡単に死ぬ、とは思えないんだが…」
  などとつぶやいているルークに対して。
  「だ・か・らぁ。死んでないってば。フィルは。」
  そんな彼らに再度説明しておくあたし。
  フィルの埋葬もどきをみて。
  なぜか死んだ、ということを前提にしている彼らだし。
  「そうそう、死んでないわよ。実際に。ほら。すぐそこの塀の上にいるし。マスクかぶって。」
  にこやかに、窓の外を指差していっていたりするユニット。
  「そういや、顔半分を隠してる黒ずくめのおっさんが。あの塀の上にたってるなぁ。」
  などとそんなことをいっているガウリイ。
  すでにあたしたちが城にと入り、しばらくたっているがゆえに。
  先ほどまで晴れていたその天気は崩れ、外には雨が降り注いでいたり。
  びっく。
  あ、反応してるv
  クリストファーの後ろに控えるように。
  目立たないようにたっていた一人の青年が。
  そんなユニットとガウリイの言葉にびくり、と眉を動かしていたりする。
  「?死んでない……とは、まことですか!?」
  あたしではなく、ユニットの肩をがしり、とつかみ聞いてくるクリストファー。
  くすっ。
  「なら聞きますけど、クリストファーさん?
    本当にたかが暗殺者ごときで、あのフィルさんが死ぬとでも?」
  にっこりと、そんなクリストフィーにとむけて微笑むユニットに。
  「そ……それは。う〜ん……じゃが兄上も一応は人間であることであるし……
    兄上が襲われた、と思われる場所は、焼け焦げた大地があるのみで、死体も何もなく。
    のこっていたのはこの短剣のみ……」
  いいつつも、箱からそれを取り出し、アメリアにと差し出しているクリストファー。
  そんなあたしたちの会話をききつつ。
  どういうことだ?
  確かに、始末した、という報告はうけてはいないが……
  だが、本当にあの爆発で生きてるのか?
  などと思っている一人の人物。
  「おじ様が生きている、となれば私たちにはうれしいかぎりですが。
    ですが、もしそうであるならば、どうして姿をみせてくれないのですか?」
  そんなことをあたしたちにと言ってきているその人物。
  くすっv
  「あら、それは当然。周りが巻き込まれるからにきまってるじゃない。
    何しろ暗殺者の首謀者は、魔と契約してるもんねぇ。
    というか、利用されてるだけ、と気づいてないしv」
  にこやかに微笑むあたしの言葉に。
  「……利用?とは?」
  あたしに聞いてきているミリーナ。
  「簡単なことよ。とある人物を王位につけて。
    といっても、とりあえずいったんは王位にはつけても。
    そのまま以前のディルスやあとはレイナードと同じように。
    それらが国王に成りすまして、この国を拠点とする気になのよ?こっちの世界のガーヴはv」
  にこやかに説明するあたしの言葉に。
  「ちょっとまてぃ!?やっぱり今回の一件もまた魔族がらみなのか!?」
  などと叫んでいるルークに。
  「って、そんなこと暴露してもいいんですか?」
  何やら叫んでいるゼロス一号。
  「……というか。あの方たちも気の毒に……
    でも、あの人たちを始末する、というのも……僕は命令をうけてないですしねぇ。」
  などとしばらく無言になりつつも、ぽつり、といっているゼロス二号。
  「……いや、あの?ガーヴとは……」
  あたしの言葉に、何やら片手をつきだして、冷や汗かきつつ聞いてきているクリストファー。
  「あらv魔竜王(カオスドラゴン)ガーヴにきまってるじゃないv」
  「そ〜いや、姉ちゃんが。アレは魔族から離反した、とかいってたけど……」
  などとあたしの言葉につぶやいているリナ。
  「そういや、オレたちの方では、リナが何か子供にしてたよなぁ。カオ何とかっていうおっさんを。」
  さらり、と言い放っているガウリイ。
  「あら、ガウリイv子供、というか赤ん坊よv」
  とりあえずガウリイの言葉に訂正を入れておくあたし。
  「……え、えっと。何か詳しくきいたら怖いですから、聞きませんけど……
    ということは、今回のこの暗殺騒ぎは、また魔族が絡んでる、ということですの?
    でしたら、このパシリ神官に聞けばよろしいんでないのでしょうか?」
  などといいつつ、ゼロスを視線でさしているミリーナに。
  「ミリーナさぁぁん、ですからその呼び方はやめてくださいぃぃぃぃい………」
  などと情けない声をだしているゼロス一号。
  「………いや、あの、話が見えないのだが?」
  などとつぶやくクリストファーに。
  「ま、用はこの城というか国に魔が入り込んでるのよ。ちなみに中枢にねv
    この国をカタート侵攻の足がかりにしようとしてたりするのよ。
    というか、この国というか城にはいれば、この中に魔族がいることくらい。
    仮にも神官職についている身ならわからないとv」
  あたしの言葉に。
  「いや、エル。それって無理だとおもうけど……」
  そんなあたしの言葉につっこみをいれてきているリナ。
  「よくわかりませんけど。とにかく、父さんは生きている、ということなんですよね!?
    リナさん、エルさん!?そうですよね!正義が悪に負けるはずがないのですよね!?
    わかりました!父さんが安心して戻ってこられるように、このアメリア!
    この事件の裏に潜む悪をおびき出して見せます!」
  などとぎゅっと短剣を握り締め、そんなことをいいはなっいるアメリア。
  くすくす。
  「だ?そうよ?アルフレッドさん?」
  くすくすくす。
  そんなアメリアの姿をみてくすくす笑いつつも。
  さりげに話題をクリストファーの後ろにいる男性。
  すなわち、彼の息子であるアルフレッドにと話をふっているユニットだし。
  「魔族……って、それが本当ならば由々しきことです。
    それにお叔父様が生きていてくださればそれほどうれしいことはありませんよ。
    とりあえず、城のものたちを動因して、怪しき人物を探し出して見ましょう。
    あの赤の竜神騎士(スィーフィード・ナイト)の関係者のいうことであるから。
    まずは無視するわけにはいきませんしね。」
  などといいつつ、くるりと。
  向きをかえて、部屋からでていっているアルフレッド。
  どうでもいいけど、思いっきり、肩といわず体が小刻みにばれてる?
  とか驚きつつ不安になりつつも震えていたりするし。
  この人間は。
  まあ、だまされてる、と気づいてない、というのが情けないわよねぇ。
  ま、ここまでお膳立てして気づかなければ、それはそれで楽しいし♪
  「……まあ、とりあえず。ルーク。私たちがあちらの世界に戻るまえにこの一件を解決しないと。
    どうやら戻れなさそうですわね。」
  淡々と横にいるルークにと話しかけているミリーナに対し。
  「ちっ。というか、このリナたちとかかわってから…何か魔族がらみがおおくないか?
    覇王(ダイナスト)にしろ……何にしろ……」
  などとなぜかため息をついているルークだし。
  あたしたちがそんな会話をしているそんな中。

  「うん!?あやしいやつ!?」
  雨の中にたたずむその影にと気づき、声を張り上げている兵士の姿が。
  「しまった。みつかってしもうたか。」
  せめて、アメリアだけには、などと思っていたものの。
  姿がみつかったことにより。
  そのまま、そこから立ち去ろうとしているその人物。
  ちなみに、暗闇に黒装束なのでかなり目立ったり。
  そんなことをいいつつも。
  壁を飛び越え移動しているその人影。
  「追えっ!逃がすなぁぁぁ!」
  「賊だぁぁぁあ!賊がはいりこんだぞぉぉ!」
  などと、賊というか彼がフィルなのに。
  面白いまでに勘違いし。
  面白い騒ぎとなっている城の外。
  う〜ん、楽しい♪


  「カンヅェル!」
  あたしたちの目が届かない場所にと移動し。
  虚空に向かって叫んでいるクリストファー。
  そして。
  『…何か用か?』
  虚空から声のみが部屋にと響き渡る。
  「フィリオネルは生きているらしい。始末したのではなかったのか!?」
  「・・・・・・・・・・・。」
  「答えろ!」
  「それは今は答えるときではない。安心しろ、王子は確実にしとめる。」
  「その言葉、偽りはないな?」
  そんな会話をしていたりするこの二人。
  というか、こいつが契約してるんだしv
  ガーヴ配下のカンヅェル、とね。
  さって、少しばかりちょっとかかわって楽しむとしますかね。


  「さあ!ゼロスさん!知っていることはすべてはいてくださいな!」
  すちゃっ。
  前回、こちらの世界にあたしが遊んでいる世界のアメリアが来たときに。
  記念に、と手渡されているとあるイヤホン。
  それを手にして、ダブルゼロスにと言い寄っているアメリアの姿。
  ひくくっ。
  「どうしてこちらのアメリアさんも、あちらのアメリアさんと同じようになるんですか!?」
  などとそんなアメリアをみて何やら叫んでいるゼロス一号。
  「そうはいいましても。僕は聞かされてないんですよ…何しろここに入り込んでるのは。
    確かに。魔竜王ガーヴの配下の二人ですけどねぇ。気配からして。
    ですが今の僕のお仕事は写本の処分ですし………」
  アメリアの精神攻撃からひきつつも、素直に答えているゼロス二号。
  「どういうことなんだ?」
  そんなゼロスにと問いかけているゼルガディスに対して。
  「ですから、知らないんですってば。
    僕がわかるのは、ここにガーヴ配下の、カンヅェルさんとマゼンダさん。
    このお二人がいる、ということくらいですよ。
    何しろ何を考えたのか魔竜王は魔族から離反して。
    しかも、今北の魔王様におもいっきり敵対心もってますからねぇ…
    やれやれ、こまったものです。
    どうも以前の水竜王さんの封印のせいで、変なふうに人間の心がまじってしまい。
    でもって、魔族から離反しちゃったんですよ。
    ですから離反した人のことまでは僕はしらないんですってば。」
  そんなゼロス二号の説明に。
  「いや、まて、『離反』って…」
  思わずつっこみをいれているゼルガディス。
  「Sの教育がなってないからよ。まあそんなどうでもいいことはともかくとして。」
  そんなゼルガディスのつぶやきはとりあえずおいといて。
  「そうそう、問題は、この国に魔族さんが入り込んでる、という事実よ。
    ちなみに、どうやらこの気配からしてとある人間と契約してる気配みたいだし。
    まあ、二人のうちの一人だけだけどね。契約してる魔族さんはv」
  あたしの言葉に続けて説明しているユニット。
  「とりあえず、その魔族をおびき出せばいいのではないですか?」
  そんなことをいっているミリーナに対して。
  「それか、よくリナが使ってた、アレの名前をいえばでてくるんじゃないのか?」
  などといっているルーク。
  「まあ、ここはとりあえず、聖六茫星が張り巡らされてるし。
    神聖魔法でも併用して、術の特性あげればいやでもでてくるんじゃないの?」
  そんなことをいっているアメリアに。
  ふとつぶやいているリナ。
  「とりあえず、フィルが襲われた、という場所にでもいけば。いやでも相手からでてくるわよ。」
  くすっ。
  そんな会話をしている彼らにとりあえず声をかけるあたしに対して。
  「まあ、それもそうですわね。何事も、物事をきちんと判断してから行動したほうがいいですし。
    それに、何か手がかりがあるかもしれませんし。」
  そんなあたしの言葉にしみじみとうなづいているミリーナ。
  そんなミリーナに対して。
  「おお、現場検証か。さすがオレの!」
  「ルーク、いっときますけど、『さすがオレの愛するミリーナはいいこというな。』
    とかいうんじゃないでしょうね?」
  「……みりーなぁぁぁぁぁ……」
  言いかけたその言葉を先にと言われ、しばしいじけているルーク。
  「それじゃ、話は決まりね。明日の朝出かけましょ。とりあえず今日は各自やすんで?
     あ、アメリア。あたしたちの寝室、用意できるわよね?」
  にっこりと話しかけるあたしの言葉に。
  「はい!まかせてください!見ていてください!父さん!この私が父さんを襲った人物は必ず!
  父さんが安心してもどってこれるように見つけ出して成敗してみせます!」
  などと一人張り切っているアメリア。
  「ま、それじゃ。とりあえず今日のところは休みましょ。」
  あたしの言葉をうけ。
  とりあえず今日のところは各自ゆっくりと体を休めることに。
  さってと。
  明日は朝早く出かけることにしますかねv

                     −続くー

  

  ######################################

  あとがきもどき:

  薫:さてさて。一番気の毒なのは誰なのでしょうねぇ?
    まあ、意味もなく巻き込まれたルークとミリーナに決定でしょうけど(まて
    何となくゼロスが一番あわれに見えるのは気のせいでしょうか?(かなりまて
    ちなみに。このメンバー。リナ=インバースことエル様。ただいま19歳。
    ちなみに、ガウリイとは十五のころから三年間ほど行動してます。
    リナ=インバース(人間)ただいま16歳。
    ガウリイとは本人気づいてないけど、公認の仲にされてたり(リナの家族に)
    ゼルガディス=グレイワーズ&アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。
    彼らはリナ、つまりはエル様たちとかかわるのは二度目です。
    詳しくは、イレアヤーズフォーエバー一部を参考にしてくださいな(まてこら)
    でもって、悲しきお役所神官獣神官ゼロス。
    こちらはエル様があそん・・・・もとい、人間やっておられた世界のゼロスと。
    リナたちの世界のゼロス、二人います。
    あとは、今回巻き込まれているルークとミリーナ。
    前回巻き込まれたのはエル様のところのアメリアとゼルガディスでしたがね。
    ちなみに、この世界には、ガウリイはもともとおらず。シルフィールとリナが幼馴染、という設定です。
    あとは、知る人ぞしる、神聖魔法が使える世界だったりします。
    上記を納得し、それでもよんでみよっかな?
    という人のみ、しばらくお付き合いくださいねv
    それではv
  

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32807スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜9話〜かお E-mail URL2006/10/4 15:16:27
記事番号32804へのコメント

  
  まえがき&ぼやき:

  さてさて。まず、はじめに。こちらをはじめて読まれるかたに(いないだろうけど・・・)
  まず、こちらの話は。スレイヤーズアニメ。第二弾。スレイヤーズNEXT。
  そのパロディの話みたいなものです。
  設定としては、とある平行世界のひとつで、リナとしてあそん・・もとい。
  降臨されて生活していたエル様ことリナ=インバースが。
  ちょっとした事件(?)に巻き込まれ。前回のときは。アメリア&ゼルガディスたちとともに。
  もうひとつの平行世界。すなわち。
  同じリナ=インバースが存在する世界にと移動しているお話です。
  なお、こちらの世界にはもともとガウリイ=ガブリエフは存在しておらず。
  リナとシルフィールが幼馴染、という設定となっております。
  ちなみに。こちらの世界のリナは神聖魔法がつかえたり・・・と。
  ちょこっとアニメとも原作とも違う世界観となっております。
  そして…今回。今回またまた移動するのに巻き込まれたのは。
  何とお宝探し屋(トレジャーハンター)のルークとミリーナの二人。
  まあ、昔、ついつい子供のころのリナ(エル様)に声をかけてしまったが縁にて。
  リナに動向するハメとなっているゼロスも加え。
  そして、エル様と同じ存在であるとある少女をも仲間に加え。
  やってきているこの世界。
  前回移動したときに、リナに一目ぼれ(まて)したガウリイはそのままこの世界にいるものの。
  さて、今回これから起こるできごとは?
  (ま、大雑把な説明は間違ってないな。うん)
  何はともあれ、いっきますv
  (参考:エル様漫遊記・スレイヤーズフォーエバー←かおの小説一覧より)


  #####################################

 
    スレイヤーズフォーエバーinNEXT  〜セイルーン騒動歌?〜


  「しかし、いいんでしょうか?あの御方と別行動なんてしてて…」
  何やらそんなことをつぶやいているゼロス二号。
  「そうはいいますけどねぇ。あの御方が気づかれたら楽しくない。とおっしゃっている以上。
    僕たちがそばにいたら、それこそカンヅェルさんたちに気づかれちゃいますよ?
    まあ、僕はなれたくないですが、最近はなれてきましたし…
    でも、あの御方に力を上げてもらっていないあなたでは。
    下手したら死ぬどころか消滅する自体になりかねませんよ?ははははは………」
  何かそんなことを乾いた笑いをつくりつつ、いっていたりするゼロス一号。
  ……あのねぇ。
  「そ…それは遠慮したいですね……とりあえず、あの御方にちょっかいかけないように。
    このあたりの周りの下級の人たちには、丁寧にご辞退願っておくとしますか。
    まったく…というか、何を考えてるんでしょうか?冥王様は……
    あの御方がこられている、というの報告するわけにはいきませんし……
    リナさんについておくように、という命令ですし…」
  はぁぁぁぁ〜……
  何かそんなことをいいつつ、ため息ついてる一号だし。
  まったく、どっちのゼロスも根性ないったら。
  「とりあえず、少しでもあの御方の手を煩わさないようにしないと。
    僕たちの未来はありませんからねぇ。あはははは。
    何しろあの御方とユニット様もいらっしゃいますし……」
  「……それをいわないでくださいよ…あちらの世界の僕……」
  何やらしみじみとそんな会話をしているダブルゼロスだし。
  「とりあえず、あ、すいませ〜ん。お水をもういっぱいいただけますか?」
  そこにいる、ウェイトレスにとまたまた水のお代わりを注文している一号のその言葉に。
  「あんたねぇ!少しは何か注文しなさいよ!
    そっちの兄ちゃんだか弟さんだかは、アイスクリームを注文してるんだかんね!」
  彼らがいまいるのは、セイルーン王国の中にとあるとあるカフェテラス。
  そこで何やら愚痴をいってるし。
  あとでちょこおっと話し合いが必要ね。
  ふふv

  「しかし、いいのか?ゼロスとかおいてきて?」
  なぜかそんなことをいっているルーク。
  「いいのよ。それに、いたら楽しめないしv」
  さらりと言い切るあたしの言葉に。
  「……エルさん。楽しめないって……まあ、深くは追求しませんけど……」
  あたしの言葉に何やらつぶやいているアメリア。
  「それはそうと。フィルさんが襲われたのはこっちの方向であってるのか?」
  などと質問しているゼルガディス。
  「あら。それは間違いないはずですけど?
    こっちから、ちょこっと焦げ臭い臭いしてるじゃないですか?」
  にこにこにこ。
  にこやかに、さらっとそんなことをいっているユニット。
  まだ朝も早いがゆえに、あたりには朝もやがかかり。
  うっすらと日の光がもやの中にと照らされて。
  ちょっとした絵のような風景となっていたりする。
  そんな中をとある場所を目指して歩いているあたしたち。
  あたし・ユニット・ガウリイ・リナ・ゼルガディス。
  そして、ルークとミリーナ。
  まあ、あたしとリナに関しては。
  はっきりいって、年齢こそ違えども、瓜二つなので、ま当然だけど。
  スタイルとかは違えども。
  そのために、姉妹、と見られていたりするのはそれはそれ。
  ユニットなんかは、長い黒い髪をポニーテールにして。
  ちょこっと動きやすいからといって。
  いかにも、子供らしい少しばかりフリルのレースのついた服を着こなしているがゆえに。
  どういう旅の仲間なんだろ?と思う存在も数知れず。
  ま、ただ、ゼロスたちがあたしたちに対して従順な態度をとっているので。
  どうも、ゼロスたちがあたしとユニットのおつきのもの。
  つまり、『ちょっとしたお金持ちたちが旅をしている。』というように、
  大体あたしたちを具間みた一般の存在は、そんな勘違いをしていたりする周りの反応だったり。
  ま、別にそんなことはどうでもいいことだし。
  さらり、と言い切るユニットのその言葉に。
  「お〜。そういえば何か焦げ臭いなぁ。」
  などとそんなことをいっているガウリイ。
  そんなユニットとガウリイの台詞に。
  「……旦那は相変わらず人間離れしてるな……
    まあ、そっちのミリーちゃんはともかくとして…もう一人のリナと同じく……」
  何だかそんなことをつぶやいているゼルガディス。
  あらv
  どういう意味かしら?
  「あら?ゼルガディス?どういう意味かしらねぇ?
    それだとまるであたしが人間でないような言い方じゃない?んv」
  にこやかに笑みを浮かべてそんなゼルガディスにと問いかける。
  そんなあたしの言葉に。
  「……つうか、あんたは人間でないと思うぞ。俺は。
    俺達、あんたとかかわって。魔族がらみの事件にかなり巻き込まれてるんだが?
    しかも、何か相手がかなり恐怖してたぞ?覇王にしろ、海王、獣王、
    それに、…何か北の魔王、とかうそか真実かわからないが。そう名乗ってたやつとか…」
  じと目でそんなあたしの言葉にとつっこみをいれていているルーク。
  「ルーク、気にしてたらきりがありませんわ。
    それより、そのフィル殿下が襲われた、という場所に。とっとといきましょ。」
  そんなルークの言葉をさらり、と交わしているミリーナ。
  「はっ!そうでした!リナさん!ガウリイさん!それにエルさんにミリーさんも!
    ミリーナさんの言うとおりです!さ!早くいきましょう!
    さ!ゼルガディスさんもついでにルークさんも!」
  「こらまて!俺はついでか!?」
  そんなアメリアの言葉に面白いまでに抗議の声をあげているルーク。
  「ま、確かにミリーナのいうとおりね。ここはやっぱり、一気にいかない?」
  あたしの言葉に。
  『却下(です)(だ)(してくれ)(してほしいです)!』
  なぜか、ユニットとガウリイ以外の全員の声が一致してるし。
  まったく。
  そんなに嫌がらなくてもいいじゃない?
  「まあまあ、エル。ただ歩くだけも森林浴でいいわよ?
    さ、のんびりといきましょ。のんびりと。あと一キロほど先だしね。」
  にこにこと。
  そんなことをいっているユニットがいたりするけども。
  ま。
  確かに。
  朝の空気は結構澄み切っているし。
  それに、ただあるくだけ、というのも楽しい、といえば楽しいしね。
  「つうか、怪しいやつを片っ端から締め上げればいいとおもうんだけど………」
  そんなことをつぶやいているリナ。
  「というか、あの魔族と契約してるの、アル何とかってやつだろ?」
  『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
  さらりといったガウリイの言葉に。
  面白いまでにとその場にと固まっているリナたちだし。
  「って、ガウリイ。それいったら楽しくなくなるじゃない。暴露しないのv」
  「そうそう。アルフレッドさんがカンヅェルさんと契約してるって暴露したら楽しくないじゃないv」
  まあガウリイも、この一件、あっちであたしと経験してるからねぇ。
  といっても、ガウリイの場合は。
  その気配から、魔と契約しているか否かなんて簡単に見破られるんだけど。
  というか、そんなこと誰でもできるんだけどね。
  簡単だしv
  でも、なぜかできないよねぇ。
  一般の存在って。
  情けないったら。
  あたしとユニット、そしてガウリイのそんな台詞に。
  『何ですってぇぇぇぇぇぇえ!?』
  『何だとぉぉお!?』
  『やっぱり知って(たか)(たのですわね)。』
  なぜか、リナとアメリア。
  そしてゼルガディス。
  ルークとミリーナの声が重なっていたりするし。
  「まあ、いいじゃないですか。犯罪捜査の基本は、現場検証ですし。
    それに、あそこにいったら相手から出向いてきてくれますし。つけてきてるのわかるでしょ?」
  にこにこにこ。
  なぜかわめいているリナたちにと。
  にこやかにと話しかけているユニット。
  そんなユニットの言葉に、はた。と我にと戻り。
  「とにかく!証拠が必要なんです!証拠が!
    これは王宮内の信用にかかわる重大な問題なんです!
    うかつなことはできません!大丈夫です!
    正義の仲良し四人組と、それに、エルさんやミリーちゃん、それにミリーナさんとルークさん!
    この私たちメンバーに怖いものはありません!」
  などといいつつ。
  空にむかって指を差しているアメリア。
  「……だから、頼むからそういう呼び方はやめろ……」
  肩をがっくりと落として。
  無駄にもアメリアにと抗議を一応はしているゼルガディスに。
  「……噂にたがわず、の正義おタクだな……こっちのこのお姫さんも……」
  「ルーク。それをいってはいけませんわ。」
  何やらそんな会話をかわしているルークとミリーナ。
  「ま、とにかく、いきましょv」
  くすっ。
  そんな彼らの話をききつつも。
  とりあえずあたしたちは、そのまま。
  フィリオネルが襲われたというその場所にとむかって、そのまま足を進めてゆく。

  「ほ〜。かなり派手にやってるんだなぁ。」
  そこをみて開口一番、そんなことをいっているルーク。
  「かなり強い魔力が使われたようですわね。
    完全にこのあたり一帯が焼け焦げてますし。大地ごと。」
  冷静に、あたりの光景をみて分析しているミリーナ。
  「こりゃ、調べようにも出てくるのはモグラのステーキくらいでしょうね。証拠も何も……」
  そんなことをつぶやいているリナ。
  「あらvだったら、このあたり、再生させましょうか?」
  にっこりとそんなリナたちにと話しかけるあたしの言葉に。
  「それはやめといたほうがいいと思うんだが……」
  何やらそんなことをつぶやいているガウリイ。
  「なるほど。どうやらフィルさんは証拠がほしくて一人で行動していたみたいだな。
    ここならば、敵がでてきても、まさに相手をするのはうってつけ、だしな。」
  そんなあたりいったい、といっても、たかが半径ヒャクメートルほど焼け焦げているそんな空間。
  森の中にぽっかりと、その場のみが焼け焦げ、少しばかりこげた大地を空気にとさらしている。
  あたりにころがっているのは炭とかしたかつてここにと聳え立っていた木々。
  「しかし。本当にここまで、かなり完全に焼け焦げたような衝撃で?助かってるのか?
    その『ここ』のフィル殿下は……」
  何やらそんなことを顔を潜めていっているルーク。
  ま、この程度でどうにかなるなんて、そんな貧弱な存在は、情けないにもほどがあるけど。
  あのフィルだし、無事にきまってるのにね。
  ふふv
  そんなルークの言葉に。
  「何をいってるんですか!ルークさん!それにリナさんたちも!
    犯罪捜査の基本は粘りと根性!そして正義を愛する心です!」
  などといいつつも。
  そのまま、術で少しばかり浮き上がり。
  その場にとある焼け焦げたものの、原型を少しばかりとどめている木のてっぺんにとのぼり。
  「正義の心があればおのずから、証拠のほうから近づいてきてくれます!正義は私たちにあり!」
  そんなことをいいつつ、空にむかって叫んでいるアメリアの姿が。
  「……また始まったぞ……」
  はぁ〜…
  そんなアメリアをみてため息ついているゼルガディスに。
  「…こっちの姫さんも負けず劣らずの正義おタクだな……」
  「ルーク。それをいうなら、元気がありあまっている。というべきでしょう。」
  そんなアメリアをみてつぶやくルークに、そんなルークの言葉にさらり、と訂正をいれているミリーナ。
  「お〜い。アメリア。おりといで〜。」
  そんなアメリアに対して声をかけているリナ。
  しばし、正義の賛歌を歌いつつ。
  そのまま、リナにいわれて降りてきているアメリアだけど。
  「しかし。完全に無駄足だな。まさかこうしている間にもゼロスのやつ…」
  何やらつぶやいているそんなゼルガディスのその言葉に。
  くすっ。
  「あら。大丈夫よ。いくら二号でもこのあたしに許可なくそんなことしないってば。
    まあ、たしかにこのセイルーンには異世界黙示録(クレアバイブル)の写本、あるけど。」
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・
  ・・・・
  なぜかあたしの言葉にしばし無言。
  そして。
  『何ぃぃぃぃぃぃぃい!?』
  『何ですってぇぇぇぇぇぇ!?』
  あ、面白いv
  何か、リナ・ルーク・ゼルガディスと。
  そして、珍しいことにミリーナまでもが思わず叫んでるしv
  アメリアと一緒に。
  「つうか、ゼロスの奴ら哀れだなぁ。とうとう一号、二号、と呼ばれ始めたか…」
  違うところで何やらつぶやいているガウリイ。
  「あら。ゼロスだからいいのよ?便利屋一号、二号、というのでもいいけどねv」
  あたしの至極もっともなそんな言葉に。
  「……相手はまがりなりにも獣神官…高位魔族だぞ…って!?おい!?それは本当なのか!?」
  あたしの至極当然なことばになぜか突っ込みをいれてきつつも、あたしにと聞いてきているルーク。
  「あら。気づかなかった?アクアの魔力残留のこってるのに?セイルーンに?」
  「普通、赤ん坊とかでもわかるわよね。あの気配は?」
  あたしとユニットのそんな当然の言葉に。
  ぶんぶんぶん。
  なぜか首を横にふり。
  『わか(りませんってば)(らないとおもいますわ)(らないとおもうぞ)(るわけないだろうが)(らないってば)』
  なぜか面白いことに、アメリア・ミリーナ・ゼルガディス・ルーク・リナ。
  この五人の声が一致する。
  くすっ。
  「あんなに簡単なのにねぇ。ま、それはそうとして。ちょうどいい時間稼ぎもできたようだしv」
  背後に出現するとある気配。
  ……どうでもいいけど、気配くらい完全に消しなさいよね…情けない。
  「フィルさんも証拠がほしくて自ら敵に襲わせやすい場所にと移動したんだろうがな。」
  いいつつも。
  剣にと手をかけ、剣に術をかけているゼルガディスに。
  「自ら敵に襲わせて、そこを抑えるつもりだった。
    ただ、あのフィルさんがそうそう簡単にやられるはずなんてない。ということ。」
  いいつつも。
  その気配から普通の人でないことを感じ取り。
  というか、カンヅェル…その瘴気消しなさいよね…
  あからさまに、自分は【魔族】です。
  といっているようなものだ、というのに……
  精神生命体にも完全にときく、簡単なちょっとした神聖魔法を唱え始めているリナ。
  「けっ。まあ、敵の方から現れてくれるなんて願ってもないことだがな。」
  「ルーク、油断は禁物ですわ。」
  そんなリナの言葉につづき。
  臨戦態勢にと入っているルークとミリーナ。
  「この事件、確かにどうやらエルのいうとおり。大物が絡んでるみたいね。」
  そうつぶやき。
  振り向きざまに。
  「ルナティック・アロー!!!!」
  その手に宿した暁の光を宿したちょっとした魔力の矢を、
  そのまま振り向きざまにと気配のほうにと解き放つ。
  「何!?」
  ………って、こらっ!
  思いっきり直撃うけてるし………
  ドォォォン!!!
  面白いことに、というかよけきれずに、そのままリナの術の直撃をうけているその存在。
  振り向いたその先にいるのは。
  その背にまるで骨のような羽を二本ほどはやし。
  ついでに上半身と下半身、それらをつなぐのは、口らしきいくつかの牙の生えたお腹。
  ……どうでもいいけど、もうちょっと考えてから具現化しなさいよね…
  「でましたね!悪の根源!やはり正義があれば、おのずから敵のほうからやってくるのですね!
  さあ!観念なさい!この私たち正義の仲良し四人組とブラスαが!
  あなたの悪しき野望を打ち砕いてあげるわ!」
  それにむかって、
  びしっ!
  指を突きつけてそんなことをいっているアメリア。
  そして。
  そんなアメリアの指の先。
  そしてまた、あたしたちの視線の先の空中に浮かぶは一つの物体。
  「……まさか、神聖魔法が使えるとはな……油断したぞ…
    このままおとなしくセイルーンを手にいれようと思っていたが。とんだ邪魔がはいったものだな。」
  そんなことをいいつつ。
  ぽたぽたと。
  青い体液をその左肩より流しつつ。
  正確にいうらなば、
  今のリナの術においてダメージをうけた精神体の一部が液体状と化して流れ出ているだけなんだけど。
  「な、なぜセイルーンをほしがるんですか!?」
  そんなそれにむかって問いかけているアメリアに対し。
  「死にゆく貴様らがそれを知る必要はないな。
    神聖魔法まで使えるとなれば、今ここで始末しておいたほうがいいだろう。死ね!」
  いいつつも。
  そのお腹より魔力の球をつくりだし。
  あたしたちにとむけて解き放ってくるその物体。
  ……ふぅん。
  こいつ、だぁぁあっれにむかってそんな口の利き方してるのかしらねv
  それと同時に、あたりの小動物を媒体にし、レッサーデーモンなどをいくつか作り出してるし…
  「ふぅん。誰にむかってそんな口の聞き方してるのかしらv」
  「ねえねえvエル。遊んでもいいわよねv」
  「そね。ちょこっと遊びましょv」
  「……げっ!?リナ!?こっちへ!!」
  なぜかうきうきと話すあたしとユニットの会話をきいて。
  とっさにリナを抱き寄せて、あたしたちから離しているガウリイの姿。
  「ちょっと!ガウリイ!離しなさいよ!あいつを倒せないじゃない!」
  じたばたと、そんなガウリイの腕の中でもがいているリナの姿が見えていたりするけども。
  「…なあ?ミリーナ?今、俺。はてしなぁぁぁく嫌ぁぁな予感がしたのは…気のせいだと思うか?」
  「…ルーク。それおそらく気のせいではありませんわ。
    えっと、ゼルガディスさん、でしたわよね。それにアメリアさん。
    急いで結界を張ったほうがよろしいようですわ。」
  なぜか顔色もわるくそんなことをつぶやいているミリーナ。
  ぶるっ。
  なぜかあたしとユニットの言葉に悪寒がはしり。
  「……何かそのようにいうとおりにしたほうがよさそうだな……」
  なぜか顔色を多少わるくしてつぶやくゼルガディスに。
  「何をいってるんですか!たとえ相手が魔族といえど!私の正義はゆるぎません!
    父さんの残したこの短剣をもって、今こそやつらに正義の裁きをうけさせるまでです!」
  一人、完全に自分の世界にと浸っているアメリア。
  そんなアメリアに。
  「…つうか、絶対に、エルさんとユニットちゃんがああいった言い回しする場合。
    大抵とことんの力が荒れ狂うんだが?」
  ぽそり、と何やらそんなことをつぶやいているガウリイだし。
  「ガウリイ。それをいうなら混沌って……混沌!?」
  「って!?」
  何やらガウリイの正解な台詞にと驚きの声を発しているリナに、目を丸くしているアメリアの姿。
  「それじゃ、いっちばん!ミリアム=ユニット!いっきます!エターニア・スピリッドv」
  きゅどどどどどど!!
  「それじゃ、かるぅぅぅくvコスモ・レインv」
  ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
  『うどわ!?何だ!?この術はぁぁぁぁあ!?』
  あv
  何か、面白いことに、カンヅェルとゼルガディスたちが一緒になって叫んでるし。
  ユニットの言葉にと従い。
  あたりにちょっとした大きさの虹色にと光る球体が出現し。
  それらはそのまま、このあたり一帯の上空を、
  そこいらにいるすべての存在にむかって突き進みつつも、
  大地に触れてそのまま大地ごとちょっぴり無と化してゆく。
  そして。
  あたしの言葉に従いて、虚空より銀色の光の雨が降りそそぐ。
  「う〜ん。今回のこれは、ちょっと控えめだなぁ。」
  リナをしっかりと抱きしめて保護しつつ。
  その光景をみて何やらのんびりといっているガウリイ。
  そんなガウリイに対して。
  「どこが控えめなのよ!?どこが!?というか、何!?あのミリーちゃんっていったい!?」
  何かパニックになっているリナがそこにいたりするけど。
  まあ、あたしに関しては、何かルナの知り合い、ということで、何があっても不思議ではない。
  そうリナの中で判断されてるし。
  ちなみに、この術。
  リナたちには無害になるようにと、ちょこっと干渉しているので彼らが触れても何ともないしv
  まあ、ちょっぴり触れたりしたら、体が消えたりする、ということはあるにしても。
  簡単な回復術で直る程度のものだし。
  やっぱり、完全に無害にしたらそれはそれで面白くないしねv
  あたりでは。
  情けないことに、ユニットの放った光球と、あたしの放った雨により。
  なぜかあっさりと掻き消えていっているレッサーデーモンたちと。
  そのまま、素体となっていた小動物。
  つまりはこの森にと生息していた鳥や獣たち。
  森が焼け焦げてないちょこっと離れた場所にと、そのまま彼らの体そのものは、
  デーモンが掻き消えると同時に移動していたりするけども。
  ちなみに、当然。
  乗り移られた時点で一度死んではいるものの生き返らせてのことだけどv
  そんなあたしとユニットをみつつ。
  「さすがです!エルさんもミリーちゃんも!ここは私も!」
  いいつつも。
  ミリーナとゼルガディスが張っている風の結界の内部よりそのまま走り出し。
  術をつかい、いまだに逃げ惑っている一匹のレッサーデーモンにと向かっていっているアメリア。
  ちなみに、情けないことに、あたしに攻撃を仕掛けてきていたカンヅェルは。
  なぜか、空中にて完全にと固まった状態のまま、それらの力から逃げ惑っていたりするし。
  ま、これって。
  精神世界面に逃げ込んでも、そっちにも同じく降り注いでいるから関係ないしねv
  「ちょっ!アメリア!?」
  そんなアメリアに気づき、思わず静止の声を上げるリナではあるが。
  その手にもたれているのが、普通の短剣なのにと気づき。
  「アメリア!?」
  違う意味で叫んでいるリナ。
  まあアメリアも、素手でレッサーデーモンくらいならなぎ倒せるんだけどねぇ。
  そういや、リナってそのことまだ知らないのよね。
  ふふv
  「おいおい!いくら何でも剣じゃむりだ!」
  それに気づいてこちらもまた叫んでいるルークに対し。
  「いや、でもアメリアならやるかもしれん……」
  などとぽそり、とつぶやいているゼルガディス。
  そのまま。
  剣を振りかざし。
  いかにも剣にて攻撃を仕掛けようとし。
  だが。
  「とかいいつつ。烈閃槍(エルメキア・ランス)!」
  バシュ!
  剣を囮りにつかい、そのまま、レッサーデーモンの懐にて烈閃槍(エルメキア・ランス)を叩き込んでいるアメリアだけど。
  「……って。ひきょうもんかい!あんたは!」
  いまだにガウリイにがっしりと後ろから抱きかかえられているままで。
  空に浮かんでいるアメリアにと思わず突っ込みをいれているリナ。
  そんなリナの言葉に。
  ストンっ。
  そのまま、再び結界の中にと降り立ち戻り、にこやかにVサインをしつつ。
  「正義がなせればそれでよし!」
  きっぱりと言い切っているアメリア。
  そんなアメリアの言葉に。
  「…今のが正義か?」
  おもわずじと目でそんなアメリアに突っ込みをいれているルークのその言葉に。
  「正義です!」
  きっぱりと言い切っているアメリアだし。
  「ちっ!小ざかしいまねを!とりあえず、あの人間たちからやれ!」
  すでに、手ごまはかなり少なくなっている。
  手勢が少なくなるたびにそのあたりにいる諸動物を媒体にして下級魔族を呼び出しているものの。
  自分としても逃げるのに必死。
  本能がこの力は危険だ、と警告している。
  何がどう危険なのかはわからないが。
  そんなことをおもいつつも。
  まだ生き残っているレッサーデーモンにと支持をだしているカンヅェル。
  というか、このあたしに気づかないどころか、ユニットにすら気づいてないし…
  しかも、あたしやユニットはともかくとして。
  ガウリイなんかは、ここの世界とは別世界、つまりは別の平行世界のひとつの住人なのに。
  ついでにいえば、ミリーナとルークも。
  そんな単純なことにすら気づいてないし、こいつは……
  何かこの力は不可解極まりないし、触れたら危険だが。
  当人たちは別に恐れるほどの力をかんじないし。
  そんな完全に勘違いしまくったことをおもいつつ、命令をだしているカンヅェル。
  「アメリアさん!後ろ!」
  今、彼らが張っているのは、普通の風の結界。
  まあ、あたしとユニットが放っているこの術は、
  ちょっとした風とかの流れがあれば、それに流されるくらいの程度の威力のもの。
  ゆえに、その結界の中にとはいっていれば雨などの影響はうけないものの。
  そのほかの攻撃などは当然有効。
  アメリアの後ろにと回りこんでいるレッサーデーモン。
  それに気づいて注意を促しているミリーナ。
  「しまっ!」
  アメリアが振り向くのと同時。
  「そこまでだ!」
  高らかにその声は、ちょっとした頭上より振りそそぐ。
  そして。
  「そこまでだ!異郷の地よりいでしものよ。
    その傍若無人なる振る舞い、これ以上見逃すわけにはいかん!
    正義の光あるところ、闇のはびこる道理はない!」
  などといいつつ、高らかに。
  アメリア同様、目の前にとあるちょっとした岩山の上よりその手を腰にとあて、
  右手をびしっと、カンヅェルたちにと突きつけて、そんなことをいっている黒い影がひとつ。
  「というか、あの声は。」
  「…何で全身タイツというかぴっちりとした黒服なのよ……」
  その姿をみてつぶやいているゼルガディスに、頭を抱えているリナ。
  面白いことに、その胸元にXの文字の入った黒い服。
  ちなみに、全身タイツのようなぴっちりとその体にフィットしているその服装。
  顔半分を布で覆っているものの、それが誰なのかは一目瞭然。
  「とうっ!」
  掛け声とともに、そのまま岩山より飛び降り。
  そして。
  そのまま素手にて、そこにいるレッサーデーモンたちにと殴りかかる。
  当然、そんな彼の行動に、レッサーデーモンたちもまた攻撃をしかけるものの。
  それらすべてをかわし。
  「うけよ!明日平和のために!人類みな兄弟!平和主義者クラァァァシュ!」
  どすっ!
  バシュ!
  素手で、ちなみに、魔力などを加えないままにと、デーモンを消滅させているその姿に。
  「……おいおい。」
  思わず頭を抱えていルークに。
  「父さんっ!」
  目を輝かせて叫んでいるアメリア。
  そして。
  「……つうか、魔族を素手で倒すか?普通?…さすがフィルさんというか何というか…」
  あきれてそんなことをつぶやいているゼルガディス。
  先ほどのレッサーデーモんのうちの一人が放った力により、
  すでに顔半分を覆っていた布はとれている。
  ゆえに、その顔がはっきりと太陽のもと浮かび上がっているのだけど。
  そのまま。
  すたっ!
  アメリアの真横、つまりはあたしたちの横にと降り立ってくるのは。
  いうまでもなく、セイルーン王国第一王位継承者。
  フィリオネル=エル=ディ=セイルーン。
  アメリアの父親でもあるその当人。
  「………こちらの世界のフィルさんも。素手で魔族を撃退するのですわね……」
  どこか遠い目をしてそんなことをつぶやいているミリーナ。
  まあ、あたしのいる世界のフィル、彼女たち知ってるからねぇ。
  ちょっとした関わりでv
  「父さんっ!」
  目を輝かせその男性…フィルにと駆け寄ってゆくそんなアメリアを片手で制し。
  「アメリア。感動の対面はあとじゃ!正義を愛するものの真なる戦い。しかとみとどけるがよい!」
  そんなことをいいつつ、いまだにのこっているデーモンたちにと駆け寄ってゆくフィルの姿。
  ちなみに、いまだに雨などは降り注いでいたりするけど。
  それらは素手で振り払い、進んでいっているフィル。
  ちなみに、振り払うときにと生じる余波で、
  その身体には降り注ぐ銀色の雨などはふれてはいなかったり?
  「うけよ!人類みな友達!ハンドインハンド!」
  バシバシバシ!
  ポシュポシュポシュ!
  「再開の喜び!ペアーバックル!」
  がしっ!
  先ほどは、素手でデーモンたちを張り倒し。
  次はそこにいるデーモンを両手で二匹ほどその脇にてつかみ。
  そのまま、互いの顔をぶつけさせてるフィル。
  「…なあ。ミリーナ?普通、レッサーデーモンを素手で倒すなんて芸当…できないよな…」
  ぽつりと、そんなことをつぶやいているルークに対し。
  「ルーク。事実はうけとめましょう。
    つまりこちらのフィル殿下というかフィルさんもあちらと同じなのだ、ということを。
    それに…リナさんもよくやっておられましたし。素手で何もせずにデーモンとか倒すことは。」
  いいつつもどこか遠い目をしてルークにと返事を返しているミリーナに。
  「…あの、みも蓋もない技はたしかにフィルさん…だな。
    やはり、もう一人のリナのいうとおり、死んでなかったか。」
  もっとも、あのフィルさんが簡単にどうこうなる、とは思えないがな。
  そんなことを心の中でつぶやきつつも何やらいっているゼルガディス。
  「……セイルーン王家って…いったい……」
  そんなフィルと、そして隣にいるアメリアをみつつ、何やらつぶやいているリナ。
  「う〜ん。父さん!すばらしいです!」
  父親であるフィルが、素手で召還されていたデーモンたちをけちらしてゆくのをみて。
  目をきらきらとかがやかせ、褒め称えているアメリア。
  「まあ、フィルさんだし。しかし、一体全体どうなってるのよぉぉぉ!」
  そんな光景をみつつ、思わず叫んでいるリナ。
  「リナさん!お願いします!」
  「……はいはい。も、好きにして……魔風(ディム・ウィン)!」
  リナに吹き飛ばされ、そのままフィルの横にと飛んでゆくアメリア。
  「おお。アメリア。」
  「父さん!」
  「ゆくぞ!父と」
  「娘の!」
  「ダブル平和クラアッシュ!!!」
  あたりに、アメリアとフィルのそんな声が響き渡ってゆく。

  そんな光景をみつつ。
  「くっ……生きていたのか。どうも態勢がわるいな。出直そう。新たな作戦とともに…な。」
  それに、あのような力がつかえる人間を手ごまに加えるのもわるくない。
  そんなことをおもいつつ。
  そのまま、その場より掻き消えているカンヅェルだけど。
  「あ!てめぇ!逃がすか!烈閃槍(エルメキア・ランス)!」
  バシュ!
  面白いことに。
  ルークの放った術をまともにくらい。
  「ぎゃっ!?」
  小さく悲鳴をあげ、
  そのまま、この場より逃げ出そうとしているカンヅェルの姿がみうけられていたりするし。
  「う〜ん。今あっちにいったほうが危険だとおもうんだがなぁ。」
  ぽつり。
  とつぶやくガウリイの言葉を肯定するかのように。
  やがて。
  『うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?』
  なぜか精神世界面(アストラルサイド)にてカンヅェルの悲鳴が響き渡る。
  ちょこっと黒い雨に触れただけで……情けないったら…

  やがて。
  雨もやみ。
  そこにいるのはフィルと。
  そしてフィルを取り囲むあたしたち。
  「父さん!無事だったんですね!」
  「おお!アメリア!」
  がしっ!
  そんなことをいいつつも。
  二人して抱き合っている父と娘の姿。
  「…どうでもいいけど。説明してくれないか?」
  「そうよ!何がどうなってるのか、きちんと説明してよね!」
  ルークとリナの問いかけに。
  「うむ。すまんかったな。」
  いいつつも、今回の一件についてフィルの口から説明がなされてゆく。

  説明としてはいたって簡単。
  暗殺騒ぎの首謀者を突き止めようとして、一人で行動したまではいいものの。
  カンヅェルの力により、大地ごと吹き飛ばされそうになった。
  ということ。
  まあ、その程度の攻撃でフィルがびくともするはずもなく。
  どうせならば、やられたふりをして相手の出方をみてみよう。
  と思っていた矢先にあたしたち…すなわちアメリアが戻ってきた、ということ。

  「しかし。リナ殿たちがいるのならこちらは百人力じゃの!がははははっ!」
  「父さん!私たち正義を愛するメンバーにて、悪の根は叩きのめすのです!」
  そんなことをいいつつも、父娘とともに笑いあっているこの二人。
  「…というか、やっぱりまたやっかいなことに巻き込まれるのか?俺たちは……」
  などとつぶやくルークに対し。
  ぽんっ。
  そんなルークの肩にと手をおき。
  「あきらめろ。というかリナにかかわったらこれが常識だ。……おそらく。」
  何やらそんなことをいっているゼルガディス。
  「まあいいじゃないですか。ルーク。
    とにかく、私たちは元の世界に戻る方法を探さなくてはいなけいのですから。」
  そんなルークをさらりと諭しているミリーナに。
  「リナ、怪我はないか?どこかいたいところはないか?」
  などと問いかけているガウリイ。
  「って、あんたはいつまで乙女を後ろからはがいじめにしてるのよぉぉぉぉぉお!」
  すばこぉぉぉぉぉん!
  静まりかえった森の中。
  リナの放ったスリッパのこぎみよい音が鳴り響いてゆく。
  さってと。
  楽しくなってきたわねv

  とりあえず。
  フィルとともに、セイルーンの王宮に戻るとして。
  さって、少しばかり楽しみますかv

                             −続くー

  

  ######################################


  あとがきもどき:
  
    L:で?あたしの活躍は?
    姫:あたしも活躍してないし…
   リナ:というか、エルにミリーちゃん・・・あんたたちっていったい…
       さすが姉ちゃんの知り合いだけのことはエルに関してはあるにしろ…
    薫:・・・・リナさん、世の中知らないほうがいいこともあるのです。ええ。絶対に。
  L&姫:どういう意味かしら?ん?
    薫:・・・・・ぎくっ!いえ、何でもないです。はい(棒読み)
   リナ:しかし、何か今回もまたまた魔族がらみかぁ。
       何でこう、か弱き乙女の周りに厄介ごとがまよいこんでくるのよ!
    L:あら、楽しいからいいじゃないv
    姫:そうそうv
   リナ:・・・・楽しいって・・・・・・・・。
        ・・・・まあ、姉ちゃんの特訓にくらべたら微々たるものだけどさ・・・・・
  ルーク:それはそうと!いつになったら俺は愛しのミリーナと!ラブラブ二人旅に戻れるんだ!?
 ミリーナ:ルーク。いっときますけど、あなたと私は旅のバートナーであって。
       別にラブラブでも何でもありません。
  ルーク:ミリーナァァァ〜…
    薫:それは・・・・まあ、エル様達がご存知ですよ。ええ。
       ということで、私はこれにて…
  ルーク:こらまて!まだききたいことは!
 ミリーナ:それはともかく。どうやら魔族が入り込んでいるセイルーンでいったい何が起こっている。というのでしょうか?
    L:あら?知りたい?簡単よ。
    姫:そうそう。王位を継がせる、といって言葉巧みにアル・・・・・
    薫:と、とにかく!何か対談がまとりませんので!
       それでは、これにて対談を打ち切りにさせていただきます!
    姫:あら?この私の説明をさえぎるなんて、薫さん?ふふふふふふv
    薫:・・・いえあの?その手になされている。
      ちょっと何やら表現のしがたい水のような物体は・・・・・・・・・
    姫:とある世界の名物v産業廃棄物汚水v
    薫:・・・・ま・・まぁぁぁぁぁぁぁ!
 
 ぱしゃぁぁぁぁぁん!!

 リナ&ミリーナ&ルーク:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   L:あら。何やら水泳にでかけた薫はほっといて。それではまた次回にてお会いしましょうねv
    姫:それではvあ、そうそう、さっきの続き、ききたい?
 リナ&ミリーナ&ルーク:遠慮(しておくわ)(しておきますわ)(しておく)・・・・
    姫:あら、根性ないわね。まあいいわ。それでは、まったねv

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32808スレイヤーズフォーエバーinNEXT〜10話〜かお E-mail URL2006/10/4 15:21:41
記事番号32804へのコメント


  まえがき&ぼやき:

  こんにちわ。久方ぶりに打ち込みです。
  というか、打ち込みたのしいのに。・・なぜか気分がのらなくて。
  気づいたら一年半年過ぎている今日この頃・・・・できたら二年以内で完結させたいな・・・
  とおもいつつ。なぜか別の話を思いついたり・・・とりあえず、いくのです。
  今回ようやくフィルさん王宮にともどります。
  それでは、いってみますのです。

  #####################################
  
   スレイヤーズフォーエバーinNEXT  〜帰還、そして・・・?〜


  「しっかし、いつになったら元の世界に戻れるんだ?」
  道を歩きつつもそんなことをつぶやいているのは。
  「そうか、貴殿らは、前の儂の娘たち同様に、別の世界からきたのか。
    なぁにここにきたのも何かの縁。がっはっはっ。」
  「……はぁ。まあ、確かに。下手に動けないのですから。
    ルーク、ここはやはりリナさん達と行動を共にするしかないですわ。」
  フィルの言葉に多少ため息をつきつつも。
  さらりと先ほどぼやいていたルークに返事を返しているミリーナ。
  「まあまあ。そういうなよ、二人とも。ここもあまり代わり映えしないぞ?
    ただ、こっちのリナは普通の人間で、ものすっごくかわいい、という以外はなv」
  にこやかに、リナの横に並びつつも
  そんなことをいいつつ、ルークとミリーナの二人にと話しかけているガウリイ。
  ほぉう。
  「あら?ガウリイちゃぁん?どういう意味かしらねぇ?
    まるでこのあたしが普通じゃない、といいたいのかしら?」
  そんなガウリイをにこやかに、笑っていない笑みを浮かべて話しかけるあたしの言葉に。
  「つうか、すでにあんたは普通じゃないだろうが……」
  「確かに。リナさん達にかかわってから。とんでもない事件に巻き込まれましたものね。
    まったく。普通、旅の宝探し屋(トレジャーハンター)などをしているだけで。
    覇王をはじめとして、海王、獣王とかまでとお知り合いにはなれませんわよ……
    それに、何やらリナさん。彼らをこきつかってましたし。」
  なぜかため息をつきつつも、あたしをみてそんなことをいっているミリーナがいたりするけども。
  「あら?彼らは自分から進んで役に立つことをしたい。といってるだけじゃない?」
  にこやかに微笑み、返事を返すそんなあたしの言葉に。
  「俺にはどうみてもおびえているようにしか見えなかったぞ?」
  なぜかじと目であたしをみてそんなことをいっているルークだし。
  「あら、それは気のせいよ。ルークさん。」
  にっこりと、そんなルークにと微笑みかけているユニット。
  「そうなんですか?私はゼロスさんくらいしか知りませんけど?」
  首を傾げつつ、そんなルークとミリーナにと問いかけているアメリアに。
  「…アメリア、あまり深く追求しないほうがいいと俺は思うぞ……」
  なぜか少しばかり冷や汗を流しつつもそんなことをいっているゼルガディス。
  なぜか前回、あたしたちがやってきたときのことを思い出し。
  なぜか多少冷や汗を流していたりするようだけど。
  「それもそうですね。リナさんというかエルさんたちですし。
    とりあえず、父さん。これからどうするんですか?」
  フィルが口笛にて呼び寄せた彼専用の騎乗の馬にとまたがりて。
  並んで歩く彼に対して話しかけているアメリア。
  そんなアメリアの言葉に対し。
  「うむ。先ほどガウリイ殿や、それにエル殿のいっていたことも気がかりであるしな。
    ひとまずは、クリストファーの友人として城に入り込んでいる、カンヅェルとマゼンダ。
    彼らの身元確認が先決であろう。」
  パカラ、パカラ、パッカラ。
  馬をゆっくりと進めつつも神妙な顔をしてアメリアにと話しかけているフィル。
  身元確認って。
  一応、あいつら。
  身分、というか身元は一応はっきりとさせておく、とかいって。
  まあ、それを指示したのは、ラルタークなんだけど。
  「あら、身元は調べても無駄よ。
    というか、すでに身内のものはこの世にいないし。何だったら戻しましょうか?」
  「そういえば、彼ら、自分の身元を作るのに。
    とある家系を皆殺しにしてたわねぇ。何を考えているのかしらないけど。」
  にこやかに話すあたしとユニットの言葉に。
  「お〜い。エル…まさか、また生き返らせるとかいうんじゃないだろうな?」
  なぜかじと目であたしをみて言ってきているガウリイだし。
  「「いや、生き返らせるって……」」
  なぜかガウリイの言葉にしばし一時足をとめ。
  顔を見合わせて、同時につぶやいているアメリアとゼルガディス。
  そして、そのまま二人同時にガウリイを眺めていたりするけども。
  「うん?ああ、そういえばこっちのアメリアたちは知らないんだったっけな?
    あっちのリナことエルは、軽く人とか生き返らせること簡単に行えるからなぁ…
    いや、初めてみたときにはオレもたまげたけど。」
  さらり。
  さらりとそんなことをいうガウリイの言葉に対し。
  「つ〜か!まてぃ!生き返らせるって、んなこと可能なわけ!?
    瀕死状態から復活させるのは簡単だけど。
    一旦、その魂、というか精神(アストラル)体が体から離れたら、
    普通、それってむちゃくちゃに高度な術になるわよ!?」
  がくがく。
  さらりといったガウリイの襟首を捕まえて、がくがくと揺さぶっているリナの姿が。
  「あら?でもリナ?ルナもできるじゃないv」
  にっこりと微笑むあたしの言葉に。
  「まあ、そりゃ、姉ちゃんはできるけど…まあ、エルも姉ちゃんの関係者なんだから、
    何があっても不思議じゃないけど…以前のときのでそれは身にしみてるし……」
  何やらぶつぶつとそんなことを続けざまにいっていたりするんだけど。
  それはそれ。
  「死人を生き返らせるうんぬんはともかくとして……
    ……何であんたはそんなことがわかるんだ?というか知ってるんだ?」
  なぜか脂汗をながしつつ、あたしに聞いてきているルークに対し。
  「あら、誰でもわかるわよ。」
  「ゼロスさんにこのあたりの身元調査はしてもらってますし。」
  まあ、嘘ではないし。
  にこやかに答えるあたしとユニットの言葉に。
  「なるほど、確かにゼロスさんならそのあたりの調査は簡単ですわね。」
  一人納得しているミリーナ。
  「まあ、あのゴキブリが関係してるんだったらわかったけど…それにエルも姉ちゃんの関係者だし…
    だけど。セイルーン王宮。しかも、フィルさんの弟であるクリストファーの友人、
    といって入り込んでるんでしょ?その二人の魔族は?」
  そんなリナの素朴な疑問に。
  「うむ。じゃが、相手が魔族だからといって、悪事をたくらんでいるとは……
    生きとしいけるものすべてみな兄弟じゃからな。
    クリストファーとてそう思っているからこそ友人であろうに。」
  「というか、脳裏に記憶を埋め込んでるんだけどね。」
  まあ、記憶操作なんてたやすいことだし。
  その気になれば誰でもできる簡単なことだしね。
  「いや、だから何でそんなことまでわかるんだよ…あんたらは…」
  そんなあたしの至極当たり前の言葉に、なぜかつっこみをいれてきているルークだし。
  「ルーク。このリナさんは何があっても不思議ではありませんわ。」
  いいつつも、なぜか少しばかり冷や汗を流しているミリーナ。
  「ま、とりあえず。セイルーン王宮にもどるんでしょ?」
  そんなユニットの言葉に。
  ふと全員顔を見渡し。
  「そういえばもうそろそろ着きますね。セイルーン・シティ領内に。」
  視界の先に見えるのは。
  セイルーン・シティを取り囲んでいる町を守っているとある壁。
  町の出入りにはここの出入り口より出入りしないと町の中には入れない。
  ちなみに空にはセイルーン独特の特殊結界が施されており、
  何も知らずに空から進入などしようとするものならば。
  たちどころに電撃がそれらに流れる仕組みとなっていたりする。
  もっとも、それはとある特定の大きさ以上のものに限るんだけど。
  「そうね。とりあえず、みんな、いらないことはいわないで。
    相手の様子をまずみる。それでオッケー?エルたちもいいわよね?」
  もうすぐ町につく、というので。
  とりあえず騒ぎを大きくしないためにと全員にと語りかけているリナ。
  そんなリナの言葉に。
  「ま、ここの状況とか何もわからないから一応はおとなしくしておくさ。
    しかし、こうしてオレのミリーナと異世界でまで騒ぎに巻き込まれるなんて。
    やっぱりオレとミリーナは運命の糸で……」
  言いかけるそんなルークの言葉を。
  「誰もあなたと私は運命などで結ばれてはいませんわ。
    それより、確かにリナさんのいうとおりですね。
    ここはひとまずあいての動向を探る、というリナさんの意見には賛成ですわ。」
  ピシャリとそんなルークの言葉をさらりと交わし。
  冷静に表情ひとつ変えることはなく言い放っているミリーナ。
  「うむ。とりあえずは貴殿らは、わしの護衛、ということでどうじゃろ?
    おお、門が見えてきたな。では、いくぞ!」
  そんなほのぼのとした会話をしつつも。
  あたしたち一行はそのまま。
  セイルーン・シティにと入る門の前にとたどりついてゆく。
  あたしが瞬間的に戻りましょうか?
  とここに来る前、というかフィルと出会ってすぐにいったら。
  なぜか全員から却下されたのよね。
  まったくみんな根性がないったら…


  ざわっ!
  ちょっとした人数、ともいえなくもない。
  あたしたち一行。
  あたしとユニットを含め。
  フィル・アメリア・ゼルガディス。
  リナにガウリイにルークにミリーナ。
  そしてあたしとユニット。
  この計9人が町に近づいてくるのをみて。
  ただいま警戒態勢中であるがゆえに思わず身構えるものの。
  その手前に見覚えのある姿を各自認め、思わず息を呑んでいる門番たち。
  彼らが目にしたのは。
  白い馬にとまたがった見覚えのあるその姿。
  少しばかりごつい体格に見間違えのない髭の顔。
  「「殿下!?殿下だ!!!!!」」
  わっ!!!
  町にと向かってきているのがフィルだとわかり。
  そのまま、歓喜に満ちた伝令が一瞬のうちにと町の中、そしてまた。
  そのまま城にとむかって伝わってゆく。
  パッパラパパー!
  盛大に鳴り響いてゆくファンファーレの音とラッパの音。
  高々と掲げられるセイルーンの国旗。
  今までは半旗となっていたそれは。
  フィルの帰還とともに、盛大に高々と掲げられてゆく。
  『わっ!』
  フィルが無事であった。
  というその情報はあっという間に町中にとひろがってゆき。
  一目、無事であったフィルの姿をみようと。
  ほとんどの家という家などから町の人々が顔をだし。
  数分もたたないうちにあっという間に大通りは人で埋め尽くされ。
  そして、そんな人のまるで並木道となっているその大通りの真ん中を、
  フィルを先頭に城にむかって進んでゆくあたしたち。
  「殿下!殿下!よくご無事で!」
  「殿下!お帰りなさい!」
  わっ!
  歩くフィルにと向かって人々から投げかけられる無事を祝うその言葉。
  「へ〜。このフィルさん、結構人気はあるんだなぁ。外見はともかく。」
  そんな人々の言葉をききつつ、そしてまた。
  人々が心から祝いの言葉を投げかけているのをみてとり。
  フィルの後ろを歩きつつもそんなことをつぶやいているルーク。
  「ルーク、そんなことをいったらいけませんよ。いくら事実でも。」
  さらりとそんなルークに釘を刺しているミリーナ。
  「ひどい!ルークさんもミリーナさんも!見かけは関係ありません!」
  そんな二人にと抗議の声を上げているアメリア。
  いまだに城にむかってゆくあたしたち、というか。
  フィルにとむかって無事を祝う人々の言葉が投げかけられているそんな中。
  そんなアメリアの言葉に。
  「ということは、見かけに問題がある、というのはお前も思っている。ということだな。」
  「……うっ……」
  そんなアメリアの言葉に突っ込みをいれているゼルガディス。
  まあ、フィルをはじめて見た人は。
  間違いなくどこかの盗賊の親分か、またはちょっと小柄のドワーフもどきか。
  などと思うことは間違いなし。
  という風貌をしているからねぇ。
  このフィルは。
  こちらでもあちらでも同じ姿をしているのは言うまでもないけど。
  だって楽しいしねv
  見かけのわりに人当たりがよく、
  ちょこっとたまにお茶目な失敗とか勘違いとかをするその人柄。
  それらもあり、国民の中からはとても人望が熱いこのフィル。
  まあ、実質、今この国を動かしているのも病弱であるエルドランに変わり。
  彼が動かしているのであるからして、一応皇太子、という立場にあるにしろ。
  まず国王代理、といっても過言でないこのフィリオネル=エル=ディ=セイルーン。
  そんな会話をしつつも。
  フィルを交えたあたしたちはそのまま。
  国民が埋め尽くしている大通りを進んでいき。
  そのまま城の中に続く道にと入ってゆく。


  ざわざわざわ。
  城に続く門を抜け。
  城の中にと入ると。
  すでにフィルが無事に帰還した、という報告は。
  城の人々にいきわたり。
  主たる関係者全員が出入り口付近にと立ち並び、無事にと戻ってきたフィルをでむかえてゆく。


  「うむ、みなのもの、元気そうで何よりじゃ。」
  全員に気さくに声をかけつつ、そのまま謁見室にと向かって進んでゆくフィル。
  身分など関係なく誰にでもきちんと声をかけたりするその心配り。
  それがこの彼、フィルの人気のひとつでもある。
  主たる関係者全員を謁見室にと集め。
  謁見の間にとしかれている赤い絨毯。
  その部屋の奥にとある椅子に座ることはなく。
  そのまま少しほど足場が高くなっているそこに突っ立ったまま。
  集まった人々に向かい合ってゆくフィル。
  「あれ?おじ様の姿が…それにアルの姿も……」
  その場にいるはずの二人の姿が見えないことに気づき。
  ぽつり、とそんなことをいっているアメリア。
  ちなみに、ただいま二人はクリストファーはフィルが無事に戻った。
  という報告をうけ、すぐにも駆けつけたい衝動に駆られているものの。
  国務をないがしろにするわけにはいかず。
  きちんと執務をこなしているのでこの場には来ていないのであるが。
  そしてまた。
  アルフレッドはなぜこの場にいないかはいうまでもなく。
  だがしかし、探しにいくわけにもいかず。
  とりあえず、フィルの娘として自分がすべきことはアメリアもまたわかっている。
  ゆえに。
  そのままフィルの横にていつものようにとひかえているアメリア。
  彼らがどこにいるのか気にはなるものの。
  だがしかし、今自分のすべきことは。
  そう自分に言い聞かせ。
  フィルの横にと並ぶアメリアだけど。
  「あのおっさんがいないな。」
  その場にクリストファーの姿がみえないことに気づき、そんなことをいっているルークに対し。
  「あら、クリストファーさんなら今、執務中よ。終わったらすぐにくるわよ。」
  にこやかにそんなルークに説明しているユニット。
  そんなユニットの言葉に。
  「……だからどうしてわかるんだよ……」
  なぜかそんなことをつぶやいているルーク。
  くすっ。
  「あら、ユニットだし。それにあたしもわかるわよ?」
  「……ルーク。この二人に関しては深く考えたらきっと負けですわよ……」
  なぜかそんな会話をしているルークとミリーナ、この二人。
  あたしたちがそんな会話をしているそんな中。
  「みなのもの、心配をかけた。じゃが儂はこのとおり無事にぴんぴんしておる!」
  フィルがかるく手を上げると同時に、あたりのざわめきが静まり。
  そして次のフィルの言葉により、部屋全体が再び歓喜の声にと満ち溢れ。
  「みなのものの喜びの顔、儂は心底うれしい。
    じゃがこの喜びはこの騒ぎが収まるまでとっておくとしよう。
    儂はセイルーンの名にかけてこの暗殺騒ぎの全貌を必ずつきとめ。
    首謀者を見つけ出してみせる!みなのもの、安心してくれぃ!」
  「「殿下!殿下!フィリオネル殿下!!!!」」
  フィルの言葉に従い。
  集まった人々よりフィルをたたえる声がしばし部屋の中にと大合唱されてゆく。

  確かにこの人気は邪魔以外の何ものでもないわね…
  でも、まさか生きていたとは…カンヅェルのやつ、しくじったわね…
  少し遅れて部屋にと入り。
  無事なフィルの姿をちらりとみて、内心したうちしている一人の女性。
  その赤い髪が印象深い。
  この地は、われらが主、ガーヴ様が支配するのよ。
  すべてはわれらが主のために。
  そんなことを思いつつ、身を翻してゆく一人の人物。
  正確にいうなれば人ではないけども。
  「ん?」
  少しほど部屋にとはいり、すぐに外にでていったその姿を視界の端にととらえ。
  もしかして…あれが?
  そんなことを思いつつその消えた人影を目にて追っているリナ。
  そんなリナたちの対応とは裏腹に。
  あたりにはフィルをたたえる声がしばらく響き渡ってゆく。

  「おぬしたちには儂のボディーガードを頼む。」
  とりあえず謁見の間にてフィルの演説を終え。
  あたりに人払いの手配をし。
  あたしたちにむきあい、そんなことをいってきているフィル。
  「ま、乗りかかった船だし?それにほっといたら……」
  ぶるっ。
  軽くいい、そしてその後に。
  もし何も自分がしなかった。
  というのが姉ちゃんの耳にでもはいったら…
  などと内心面白いまでにとおびえているリナ。
  そしてまた。
  「今回の一件。解決したら前、こいつらが来たときと同じようなやつ。
    あれがほかにもないのか探してくれる、というのはまちがいねぇのか?」
  あたしたちが今来ているのはルークとミリーナとだけど。
  前回、あたしが遊んでいる世界のアメリアとゼルガディス達と共にこちらの世界にやってきたとき。
  元というかあちらに戻る鍵として使ったのはとある鏡。
  そのことをきき、それと同じものがあれば戻れるのでは?
  というようなことを考えつつもフィルにと問いかけているルーク。
  そんなルークの問いかけに。
  「うむ。力になってやりたいが、今のこの状況ではどうにもならぬ。
    今回の一件が解決したあかつきには、セイルーンの名のもとに。
    お前たちが元の世界に戻るよう、いろろいと調べてみよう、そう力になることを約束する。」
  そんなルークの問いかけに力強くうなづいているフィルの姿がそこにあったり。
  「何かもう一人のリナに関しては…自力で戻れるような気がひしひしとするがな……」
  「ゼルガディスさん、それは私も同感です。」
  なぜかしみじみと。
  そんなことをいっているゼルガディスとアメリアだし。
  そんな二人の言葉に。
  「よくわかってるな……ってぇぇぇえ!?」
  どっん!
  「あらあら♪」
  「あら、ガウリイさん?何レンガの下敷きになってるのかしら?」
  くすっ。
  なぜかいきなり落ちてきたレンガにと押しつぶされ。
  床にとつっぷしたガウリイにと微笑みながら話しかけるあたしとユニット。
  「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
  なぜかそれをみて無言になっているあたしとユニット以外の全員の姿がそこにあったりするけども。
  「と、とにかく。今回は魔族が絡んでいる、ということだし。
    ただ働き、というわけにもいかないから、お給金はこれくらいでどうかしら?」
  いいつつも。
  懐より携帯式のソロバンを取り出して、ぱちぱちとはじいているリナの姿。
  「なぬ!?それは高すぎる。せめてこれくらい!」
  「いや、それは安すぎるわよ!せめてこれくらい!」
  「…リナさん、相変わらずですね……」
  「つうか、そういう問題でもないだろうが……」
  フィルと値段交渉にて盛り上がっているリナをみて。
  ぽつり、となぜかそんなことをつぶやいているアメリアとゼルガディス。
  そしてまた。
  「…こっちのリナは何かがめついな……」
  「あら、ルーク、似たり寄ったりと思いますわよ。まあ、私たちの知っているリナさんは。
    あの使いっぱしりのゼロスさんにいろいろと用意させてましたもの。」
  なぜかその様子をみてそんな会話をしているルークとミリーナ。
  「お…お前なぁ。いい加減にしろよ……」
  そんなリナをみてあきれたため息をついているゼルガディス。

  しばし、リナとフィルによる。
  値段交渉がこの場にて執り行われてゆく。

  さって、そろそろ彼らがくるころだし。
  からからって楽しみますとしますかね♪


                            −続くー

  

 ######################################

 あとがきもどき:

 薫:今まで60KBだったのをちょっと分けてみようと試みたり・・・・
   次回でマゼンダ&カンヅェル登場です。
   爆弾発言をするのは誰でしょう?(笑)←だからまちましょう…
   何はともあれ、それではまた、次回にてv
  

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32809スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜11話〜かお E-mail URL2006/10/4 15:23:09
記事番号32804へのコメント

 
  まえがき&ぼやき:

 こんにちわ。
 ようやくネクスト第9話〜♪
 というか…かなり時間かかってるよな〜…続きうちこむの……
 ま、とりあえず。誤字脱字。それら全てを確認して訂正しつつ。
 ちなみに…HPにおいては以前の10話までの内容がいちぶかわってたりv
 削除してくつもりがなぜかふえてく表現(笑
 さてさて。
 このたび魔力を封じられるのは誰でしょう?(笑
 何はともあれ、数年(まていっ!)ぶりの続き、いっきま〜す♪

  #########################################

  スレイヤーズフォーエバーinNEXT  〜宮廷魔道士?〜


 リナとフィルが値段の交渉をしているそんな中。
 トントン。
 ガチャリ。
 あたし達がいる部屋の扉が開く音。
 それと共に、
 「兄上っ!」
 白いローブを纏った男性が二人、部屋にと入ってくる。
 そしてそのままあたし達のほうにと近づいてくる。
 「おお。クリストファーにアルフレッドではないか。」
 あたしから聞いて多少の事態は飲み込めているがゆえに、だがしかし。
 そんな二人にとにこやかに声をかけているフィル。
 「兄上。ご無事だったのですか。ご無事のご帰還何よりです。
   このクリストファー。心からお喜び申し上げます。」
 いってフィルの側にと近づいてきて、フィルの手を握っているクリストファー。
 フィルとは似ても似てつかないけど、一応本当の弟だったりする。
 ここ、白魔術都市セイルーンにはフィルを筆頭に三人の皇子がおり、
 フィリオネル、クリストファー、ランディオーネ。
  この三人が一応、国王エルドランの息子たち。
 最も、ランディオーネに関しては、以前お家騒動を起こしかけて行方不明になってるけど。
 「うむ。立て続く暗殺騒ぎに周りに被害が及んではとおもって、身を隠しておったのだ。」
 「それでしたら。せめて弟のわたくしだけにでも本当のことをおっしゃってくだされば。」
 「すまん。何しろ事情が事情なだけにな。」
 「しかし。そうは申しましても。我々二人の間には、何の隠し事も必要がないではないですか。」
 「そうとはおもったが。ことは儂の身のだけのことではないからな。」
 「そうかもしれませんが……」
 そんな会話をしているフィル兄弟。
 まあ、クリストファーは本気で心配してるからねぇ。
 それに。
 アルフレッドが黒幕だって暴露をすでにしてるしねv
 「だがもう安心せい。心強い味方がきてくれた。
  おぬしもしっておろう。あのリナ=インバースと、その一行じゃ。
  ついでにこの前の異世界のリナ=インバース殿も来ていることじゃしな。」
 「おお。おぬしたちが兄を救ってくれたのか。心から感謝する。
  礼をいうぞ。これからも兄をたすけてやってくれ。
  …って、またこの世界に迷い込まれたのですか。難儀ですな。」
 あたしのほうをみてそんなことをいってくるクリストファー。
 まあ、以前。
 あたしと話したことあるしねぇ。
 そして。
 「我が白魔術都市セイルーンは白魔術都市といわれるだけあって。
   白魔術の使い手は多いのだが、白魔術だけではこのような事態には対応しかねるのだ。」
 すこし心配そうにあたし達を見渡しつつもいってくる。
 そして、見覚えのない顔。
 つまりは、ルークとミリーナの顔をみて多少首をかしげるものの。
 あたしの仲間。
 というので、おそらくまた別世界から以前の人々と同じく迷い込んできた人たちであろう。
 そう一人納得していたりする。
 そんなクリストファーに続き、
 「じゃが。我がセイルーンが黒魔術や武力を蓄えはじめれば、
   周りの国々に脅威を与えることになるであろう。セイルーンは今のままが一番いいのじゃ。」
 いって、しみじみとうなづいているフィル。
 このあたり、フィルはわきまえてるからねぇ。
 強い国力は、はからずとも正義にはならない。
 ということを。
 「いざとなれば、リナさんみたいな人もいますしね。」
 確認を込めてアルフレッドをみつつアメリアがいってるけど。
 「そうですね。」
 自分が黒幕だ。
 と知られているとは知らずにそのままうなづいているアルフレッド。
 「そのお力。ぜひとも一度拝見させていただきたいものです。」
 そんな会話をしている最中。
 開け放たれたドアから挨拶もせずに、入ってくる人影が二つ。
 そしてそんなことを言ってくるけど。
 緑の髪に紫の瞳。
 ついでにその頬にはなぜか傷跡。
 そしてまた、もう一人。
 紅い髪に紫の瞳。
 ついでにその唇も真っ赤に色とられているけども。
 「控えぬか。カンヅェル。」
 そんな二人にむかい、ぴしゃりと言い放つクリストファー。
 「これはご無礼を。」
 いって軽く会釈をしてるけど。
 …誇りはどうしたのよ、誇りは……
 「こちらは?」
 おもいっきり怪しいんですけど……
 そんなことを思いつつもリナがそんな彼らをみてクリストファーにと問いかける。
 「申し送れました。
   わたしたちはクリストファー様に使えております宮廷魔道士カンヅェルと申します。
   以後お見知りおきを。」
 「同じく、マゼンダと申します。あの有名なリナ=インバース殿とお会いできるとは。
   あなた様のお名前は魔道士仲間の間にとどろいております。
   ぜひともご教授願いたいものですね。そのお力。」
 などと二人していってくる。
 どうでもいいけど……
 あたしのことをそっくりだから、リナの姉だと思ってるようだけど。
 情報収集がなってないわねぇ。
 まったく……
 「ご心配なさらずとも。その機会はすぐにあるとおもいます。ごく近いうちにね。」
 リナはリナで、彼らが人でない。
 とすぐに気づいてるようだし。
 というか…こいつら、気づかれてるのすら気づいてないし……
 「?マゼンダ?マゼンダって確か……」
 「たしか。以前邪教徒の集団の中で幹部職についてたとか聞いた名前ですわね。」
 マゼンダの名前をきいて、ルークとミリーナがそんなことをいってるけど。
 「ああ、クロツの一件ね?あのとき、マゼンダはザナッファーに情けないことに食べられてたけど?」
 そんな二人にとにこやかにあたしが言うと。
 「って、ザナッファー…って。
   この前、コピーレゾさんがあの残留思念と合体したあのザナッファーですか?」
 アメリアが以前のことを思い出しながらきいてくる。
 「ああ。あれとは違うわよ。クロツが写本をつかって作り出した不完全なものよv」
 「お〜。あのときのあれか。」
 フィルもまた、あのときのことを思い出してそんなことをいってるけど。
 「確かあのとき。父さんは素手で勝ってましたよね。さすが父さんですっ!」
 そんなあたしたちの会話をききつつ。
 「…あんたら。以前ここにきたときにいったい何にかかわったんだよ……」
 なぜかじと目であたしを見ていってきているルーク。
 「あら?聞きたい?」
 「……何となくですけど。聞かないほうがいいとおもいますわ。ルーク。
   何となくですけど。こちらの世界の魔王とかも出てきた。という可能性が高いですし……」
 さらっと何気に図星をさすミリーナの言葉に。
 「あら。よくわかったわねー。ミリーナさん。そのとおりよ?
   というか、そっちでもエルってやっぱり魔王とか関わってるの?」
 『…ぶっ!?』
 そんなあたしたちの会話をきいて、何やら噴出しているカンヅェルとマゼンダ。
 そんな二人をおいといて。
 「というか。ちょくちょくよびだしてたぞー?エルは。異世界の魔王とかいうやつも。」
 「そこっ!ガウリイちゃんv何を暴露してるのかしらねぇv」
 「まあ、事実だけどv」
 『ごふごふごふっ!』
 さらっと暴露するガウリイにとりあえず制しておくとして。
 そんなガウリイに続いてユニットまでがいってるけど。
 そんなあたしたちの会話をきいてなぜかむせこんでいるあたし達以外の全員。
 「…いやあの。冗談がどうやらお好きな人たちのようですね。」
 などと、マゼンダ。
 と名乗ったそれがあたし達にいってくるけど。
 「というか。事実だぞ。今のは。」
 「ですよねぇ。事実。私たちもよく、呼び出された獣王(グレータービースト)ゼラス=メタリオムや。
   海王(ディプシー)ダルフィンにもあってますし。」
 じと目であたし達をみつつ、しみじみと何やらいっているルークとミリーナ。
 「そうなんですか?さすがですねっ!エルさんっ!」
 「……エルって……まあ、郷里の姉ちゃんが恐れてるくらいだからありえないことでも……」
 そんな会話をききつつも、目をキラキラさせていってくるアメリアに。
 そしてしみじみとつぶやきながらも、そんなことをいっているリナ。
 「……まあ、何しろ。滅んだはずの魔王をあっさりと一時復活させて。
   何やらお仕置きとかいって、しかけてたからなぁ。こいつは……」
 なぜかコメカミに手をあてながらも、レゾのときのことを思い出し、そんなことをいっているゼル。
 「あら。Sのことなんかどうでもいいのよ。」
 『……Sって……』
 そんなあたしたちの会話に、なぜかか細い声で突っ込みをいれてきているマゼンダとカンヅェル。
 そして。
 「まあ。エルだしな〜。それはそうと。魔族も大変なんだな〜。
   宮廷で働かないといきてかれないのか?」
 ……ぴしっ。
 ガウリイの言葉に面白いまでにその場に硬直している二人だし。
 「ガァウゥリィっ!どうみてもあからさまにわかっても、あっさりといわないのっ!」
 あっさりといったガウリイの襟首をつかんでリナが何やら叫んでるけど。
 そんなガウリイの言葉をうけ。
 「……やっぱしか。」
 「そうではないか。とはおもってましたけど。ガウリイさんの勘はすごいですからね。」
 ため息とともにいっているルークとミリーナ。
 一方で、そんなガウリイの言葉に驚愕しつつ。
 「ま…!?」
 なぜか一人絶句しているクリストファー。
 そして。
 「どういうことですか!?というか、お前たち!?」
 背後にいる二人をみてそんなことを叫んでるけど。
 「何をいってるのかわかりませんが?それよりご冗談の好きなお方たちみたいですね。」
 「わたくしたちは、用事がありますので、これにて。それではまたのちほど……」
 どうにか話題を変えようとしている二人だし。
 「冗談じゃないんだけどな〜v」
 そんな二人ににっこりと微笑みかけているユニット。
 「まあ、場を和ませる冗談のお上手なことで。でも時と場合がありますけどね。
   ところで?アメリア?叔父様?
   この異世界からきたとかいうもうひとりのリナさんはわかりますけど。
   たしか…エルさんとか呼んでた人ですよね?それで…あとのお二人は?」
 『異世界…って……』
 我々はそんな話は聞いてないぞ?
 アルフレッドの台詞に思わずぽつりとつぶやいているマゼンダとカンヅェル。
 そんな二人のつぶやきは無視し。
 「おお。そうであったな。とりあえず。このものたちの自己紹介をしておこう。」
 いって、改めてあたしたちを見渡してくるフィル。
 「そういえば。二人とも。仕事の途中だったのではないの?」
 このままだと分が悪い。
 そう判断し、どうにか二人をこの場から退けようとしているアルフレッド。
 そんなアルフレッドの言葉をうけ。
 「そうですね。それでは。お話の途中ですが。これにて。」
 「それでは。また。」
 いって、何やらそそくさと逃げるようにしてこの場を立ち去ってゆく二人の姿が。
 そんな二人の姿を見送りつつも。
 「根性ないわね〜。」
 「というか……いきなり暴露されたら誰でもあせるとおもうぞ……」
 正直な感想をつぶやくあたしに、なぜか突っ込みをいれてきているゼル。
 そして、二人が立ちさった後。
 「あの?ところで…今の……」
 なぜか戸惑いつつもあたし達にと聞いてくるクリストファーの姿が。
 さってと。
 とりあえず、一部省いて説明しておきますかv


 「何なんですか!?あのカンヅェルとかいう人は。あからさまな態度で挑発してきて!
   というか、叔父様までだましてたなんて!魔族の風上にもおけませんっ!」
 クリストファーに、彼らがガーヴ配下の魔族であることを。
 ひとまず完結に説明し。
 初め、信じられない面持ちであったクリストファーであるが。
 面白いので精神世界面(アストラルサイド)に連れて行って、そちら側から姿をみせたところあっさりと納得し。
 なぜか戸惑い気味のクリストファー。
 そしてまた、まさかこうもあっさりと彼らの正体がばれるとは。
 と一人顔色のわるいアルフレッド。
 口を開けば分が悪くなる。
 そう判っているがゆえに、口を閉じてだまって話しをきいていたりしたけども。
 とりあえず、そんな話を完結にし終わり。
 まだ執務などが残っている、ということと。
 フィルもまたやることがあるから。
 というのであたしたちは、ひとまず体を休めることにしている今現在。
 セイルーン城内にとあるテラスにて、飲み物を飲んでいるあたし達。
 「まあ、普通はあの反応だよな〜。」
 「ですわね。あっさりと暴露されるとは誰もおもわないでしょうしね。」
 そんなアメリアの言葉にぽつりといっている、ルークとミリーナ。
 「ともかく。魔族が絡んでいるのは確実とみた。
   やっかいだな。二匹も魔族か……そういえば、ゼロスたちはどうした?」
 あいつらがいれば、すこしは牽制になるかもしれないが。
 そんなことを思いつつ、ふとあたしに聞いてきているゼル。
 「あら?ゼロスがついてきたら楽しくないじゃないv」
 「ゼロスさん達には別な用事をお願いしてるのよv
   とりあえず、フィルさんの護衛も必要だろうから。私やってもい〜い?」
 あたしに続いてにこやかに、ユニットがいってくるけど。
 「別にいいけど。でもあまり派手にしないのよ?」
 「あら?大丈夫よ。町が消滅しても再生させとくしv」
 「それなら問題ないわねv」
 『おおありだっ!!』
 『おおありですっ!!』
 そんなあたしとユニットの会話に即座になぜか突っ込みをいれてくる、ルークとゼル。
 そしてアメリアとリナの四人。
 ガウリイにいたっては、のんびりとジュースを飲んでいたりするけども。
 いっても無駄だしな〜……
 と内心悟ってるし。
 どういう意味かしらねぇ〜v
 「しかし。セイルーンとはよくよく騒動のおおい国だな。今回のフィル王子暗殺未遂といい。
   その第一皇女。つまりおまえの姉さんの失踪事件といい。
   聞けば第三王子ランディの謀反もあったそうじゃないか。」
 あたし達に抗議の声をだしつつも、腕を組んで話を変えようといわなくていいことを言っているゼル。
 「ちょっとゼルっ!」
 そんなゼルガディスにとリナが抗議の声をあげ、心配そうにアメリアをみてるけど。
 「…アメリア……」
 そんなゼルガディスの言葉をうけ、うつむき下をむいて震えるアメリア。
 そして、きっと顔をあげ。
 「だから、絶対の正義が必要なんですっ!どんな悪の魔の手をもはねのける燃える正義が!
   炎の正義が、最強の正義がぁぁ!」
 意を決するように、机の上に足をのせて力説してるけど。
 そんなアメリアの様子をみて、失敗した…とおもいつつ、
 指をあわせていじけているゼルガディス。
 確かに。
 言わなくていいことをいってるんだしね〜。
 というか、アメリアの姉。
 つまりナーガの場合は失踪。
 というよりは道に迷ってる。
 というのが正解なんだけど♪
 そんなゼルガディスに対し。
 「……今のは失言だったな。あんた。」
 などとため息とともにいっているルークに。
 「たしか。セイルーンのフィリオネル殿下の第一皇女って…あの人ですわよね?」
 ナーガと面識があるがゆえに、顔を多少曇らせていっているミリーナ。
 そして、
 もしかしてここでもあの格好なんでしょうか?
 などとおもっていたりするけど。
 「というか。セイルーン王家の人たちって楽しいひとが多いからねぇ♪」
 そんなミリーナの考えを肯定するかのように、にこやかにいっているユニット。
 ま、あたしがここも多少干渉してるし…ね♪
 そんな中、無言でゼルガディスの頭をこつんと叩いているガウリイ。
 あたし達がテラスにてそんな会話をしているそんな中。
 「あ…あのぉ……」
 建物の中よりあたし達にと声をかけてくる女性が一人。
 茶色い長い髪を後ろでたばね、みつ網にして一つにまとめている女性。
 白い巫女服をきこみ、そのふちにはピンクの色がついている。
 そして、その手には何やら小さな紙のようなものをもち。
 そして。
 「あのぉ……リナ=インバース様は……」
 か細い声で言ってくる。
 「?リナに何か?」
 そんな女性にガウリイが声をかけてるけど。
 「あの。これをリナ様に渡すように…と……」
 なぜかあたしたちの会話を聞いて、話を挟むタイミングを見計らっていたがゆえに、
 多少震えていたりする。
 ガウリイの声をうけて、ほっとしつつ。
 手にもっていた紙をガウリイにと手渡しているその女性。
 ちなみに名前をアリスというけど?
 「何ですか?それ?あ。まさかラブレターだったりして!」
 「何!?ラブレター!?リナにそんなものよこすやつは殺すっ!」
 「あら?エルにならありえるわよ?」
 それをみてアメリアが覗き込み、そんなことをいい。
 アメリアの言葉をうけてガウリイが殺気を思いっきりふりまき、
 にこやかにユニットがさらっとそんなことをいってるけど。
 「…そんな怖いもの知らずのやついるのか?」
 「外見だけだと。わかりませんからね……」
 そんな会話になぜか突っ込みをいれてきているルークとミリーナ。
 「どちらにしても。これは破棄だな。」
 いって、それを破り捨てようとするガウリイに対し。
 「こらこらっ!今後の展開を無視したようなまねをするなっ!」
 そんなことをいっているゼル。
 「でもゼル?あたしも。知らない人とかからのラブレターなんかいらないし。」
 そんなゼルにとさらっといっているリナ。
 「とにかく。中身を見てみないことには意味ないだろうがっ!」
 一人、なぜか叫んでいるゼル。
 くすっv
 「まあ、そこまでいうんならみてみますか?」
 内容は開かずともわかってるけど…ね?
 そんな会話をしている最中。
 「で…では、私はこれで。」
 なぜか後ろに下がりつつもこの場から立ち去ろうとしている手紙を持ってきた女性、アリス。
 そして、そのまま。
 「き…きゃぁぁっ……」
 なぜかそのままテラスの柵を乗り越えて落っこちていたりするし。
 「あ。おい。ここ二階っ!」
 そんなアリスに思わず叫んでいるルーク。
 「大丈夫よv彼女、浮遊(レビテーション)使えるしv」
 ユニットの言葉を肯定するがごとくに。
 ふわっと浮き上がり、上手に地面に着地し。
 そのまま走り去っているアリスの姿が眼下にあったりするけども。
 「さってと♪」
 かさり。
 リナ達の手前ということもあり、手紙を開く。
 そして。
 「あら♪面白いことが書かれてるわよv」
 にっこりと、リナ達を見渡しつつ話しかける。
 「何なに…あ、ほんとだv」
 ユニットも判っているのに、のぞきこみそんなことをいってるけど。
 「何がかいてあるの?…えっと……
   『暗殺事件の首謀者について情報あり。先の場所にこれらたし。』
   って…差出人は……」
 「…って…ええぇ!?」
 リナが覗き込み、そこに書かれている内容を読み上げ。
 続いて覗き込んできたアメリアが、そこに書かれている名前をみて何やら叫んでいるけども。
 くすっv
 「動き出したみたいね?どうする?」
 にっこりと微笑み聞き返すあたしに対し。
 「面白いじゃない。この罠。のってあげようじゃないのよっ!」
 「そうですね。話し合えばきっとアルもわかってくれますっ!」
 同時にいってくるリナとアメリア。
 そんな二人に対し。
 「……あっさり決めてもい〜のか?」
 「いっても無駄ですわ。間違いなく。」
 なぜかいいつつも二人してため息をついているルークとミリーナ。
 そして。
 「まあ、いくにしても。…どうするんだ?このミリーちゃんたちを残していったら。
   絶対に何をしでかすかわかんないぞ?」
 ルークがあたしとユニットをみつつそんなことをリナ達にといってるし。
 「あら?どういう意味かしらねぇvルークv」
 「そんな…ルークさん。ひどい……。ただちょっと。遊ぼうとおもっただけなのに〜……」
 「それが問題なんだっ!それがっ!あんたらの遊びは洒落になんないだろうがっ!」
 あたしとユニットに対し、そんなことをいってくるし。
 そんなあたしたちのやり取りをききつつも。
 「……何か、そっちのリナのほうはかなり無茶してるんだな……」
 などとため息をつきつついっているゼル。
 まあ、以前。
 一緒に旅をしたときに何となくは理解はしているが……
 などと思ってるようだし。
 「……まあ、話をきくだけなら。あたしとアメリアだけで十分よ。
   エルたちは、ガウリイ達とフィルさんをお願い。」
 「ええ!?リナ。オレはおいてきぼりか!?」
 「あんたがきたら、またあっさりと暴露しかねないでしょうがっ!」
 そんなリナの言葉にガウリイが抗議の声をあげ、リナがそんなガウリイにとピシャリと言い放つ。
 「それじゃ。そういうことで?あたしたちは神殿でまってるわね?」
 どちらにしろ。
 リナ達、このセイルーンの神殿にと来るはずだし…ねv
 とりあえず。
 なぜかいじけるガウリイをそのままに。
 リナとアメリアの二人で話しを聞くためにひとまず外出し。
 あたし達はあたし達で、しばらくリナ達の帰りを宮殿内部で待つことに。
 さってとv
 ミリーナたちつれて、神殿に移動しておきますかv
 ふふv


 「リナさん。でも本当に二人でいくんですか?」
 「何いってるのよ。相手が誘ってるのよ。そういうのにはのらないと。
   郷里の姉ちゃんの口癖にもあるし。売られた喧嘩は倍にして買えってね。」
 「それとこれとは別のような気も……」
 手紙に記されていたのは夕刻。
 それゆえに、夕方になり指定された場所。
 つまりは、王宮の敷地内部にとあるクリストファーの自宅にと向かっているリナとアメリア。
 あたし達はといえばお留守番v
 それゆえに、リナとアメリアの二人で指定された場所に歩いていっているこの二人。
 すでに周囲は夕刻がせまり、黄昏の気配が濃くなり始めていたりする。
 青い屋根の、ちょっとしたとある世界でいうところの洋式の建物。
 その中にと進んでゆく。
 「失礼しま〜す。どなたかいらっしゃいませんか〜?」
 扉をくぐり、声をかけながら建物の中にと入ってゆく二人。
 「返事がありませんね。」
 人気のない建物の中。
 そんな会話をしてるけど。
 「やだ。人を呼び出しておいて留守じゃないんでしょうね。」
 きょろきょろと周りを見渡しつついうリナの言葉に。
 「ですから。罠だとしたら彼が呼び出したとは限りませんって。」
 そんなリナにといっているアメリア。
 そんな会話をしていると。
 こつこつと足音がし。
 「ようこそ。リナ=インバースさん。お待ちしてました。」
 いって奥からでてくる青年が一人。
 「これはどういうことなんですか?アルフレッド殿下。」
 手紙を手にして、そんな出てきた青年。
 つまりはクリストファーの一人息子であるアルフレッドにと問いかけているリナ。
 「書かれているとおりですよ。あなたがたに事件の情報をお伝えしたかったんです。」
 いって、悪びれもなくしれっといっているアルフレッド。
 「じゃあアルフレッド。あなたが本当に…?」
 まさか、このまま。
 自分が契約してます。
 とかいうんでしょうか?
 そんなことを思いつつも、従兄弟である彼にと問いかけているアメリア。
 「まあ、立ち話も何ですから。こちらに。」
 「何があったんでしょうか?」
 「ま。話をききましょう。」
 いいつつも、ちょっとした廊下を屋敷の奥にと向かってすすんでゆく。


 カチャ。
 テーブルにつき、運ばれてくる紅茶が三つ。
 「さあどうぞ。毒なんかははいってませんから。」
 紅茶を運んできた女性が遠ざかるのをうけてリナ達にいっているアルフレッド。
 そして、いって自分が率先して紅茶に口をつける。
 「話は単刀直入にお願いしたいんですけど。殿下。」
 何か絶対に裏がある。
 そう警戒しつつも問いかけるリナの言葉に。
 「もっとざっくばらんにいきましょう。リナさん。アルフレッドと呼んでください。」
 にこやかに、そんなリナにといっているアルフレッド。
 「じゃあ、アルフレッドさん。この手紙にかかれている情報。というのはどういうこと?」
 アルフレッドの言葉をうけて、手紙をひらつかせて再度といかける。
 「その前に一つだけ条件があります。その情報をお伝えするかわりに。
   僕のほうのお願いを一つきいてほしいんです。」
 そんなリナの言葉に、真剣な面差しで机にひざをつきつつも、
 ひたり、と二人を見つめつつ言っているアルフレッド。
 「まあ、聞けるものなら。」
 アメリアと顔を見合わせ答えるリナ。
 そんな二人をみて、こくりとうなづき。
 「それでけっこうです。」
 「それで。その情報というのは?」
 問いかけるアメリアの言葉に戸惑いの表情を浮かべ、
 「実は、僕もどうしたらいいか困ってるんです。わが親のしでかしたことながら……」
 「ええ!?」
 突拍子もないアルフレッドの台詞に面白いことに叫んでいるアメリアに。
 「それって、今おこっている暗殺騒ぎのことですよね?」
 確認の意味を込めていっているリナ。
 「そうです。」
 あたし達から内情を知らされている。
 とは夢にも思わずに、さらっといっているアルフレッド。
 「つまり。あんたはあのクリストファーさんがフィルさんの命を狙っている…と。」
 こいつ…父親に罪をなすりつける気?
 そんなことを思いつつも、問いかけるリナ。
 そんなリナの思いを知る由もなく、
 「はい。みなさんもお気づきでしょうけど、間違いなく僕の父が首謀者です。」
 きっぱりはっきりといいきっているアルフレッド。
 「……もしもし?」
 「残念ながら事実ですからね。」
 事実じゃないってば。
 リナが知っているとは知らずにいっているアルフレッドの行動が何とも笑えるけど。
 「でも。どうしてそれを私達に?」
 「それで。さっきいったお願いがあるんです。」
 「お願い?」
 アルフレッドの言葉に続けざまに問いかけているアメリアとリナ。
 そんな二人にと、
 「僕は…僕はもう耐えられない。父さんを説得する時間がほしいんだ。
   このままではいずれ、父とフィリオネル叔父さんの間でいさかいがおこる。
   すでに重臣たちの間では、クリストファー派とフィリオネル派とにわかれ、
   王位をめぐっての対立がおころうとしています。そんなことになれば、父のためにも。
   このセイルーンの為にも決してよい事態にはならないでしょう。
   僕がもう一度父さんを説得してみます。その時間がほしいんです。
   じっくりと説得すればきっと父さんもわかってくれるはずなんだ。」
 まあ、彼の説得。
 というのは、王位をフィルからクリストファーが勝ち取る。
 という説得なんだけど。
 そんな会話をしている最中。
 「ところが。そうはいかないんだよね。」
 部屋にとこもった声が響き渡る。
 「誰!?」
 その声をうけリナが叫び、
 「姿を隠すなんて卑怯きわまりないわ。姿をみせなさいっ!」
 カタン、と席を立ち上がり、何やらいっているアメリア。
 そんな二人の声をうけ、
 「ならお言葉にあまえて。」
 いいつつも、リナの後ろにあった絵の中から出現してくる人影一つ。
 どうでもいいけど、もったいぶって腕からゆっくりと出現させ。
 上半身だけ絵から抜け出たようにでなくても……
 「魔族。」
 「以前のやつと違いますよ。」
 壁からでてきた異様に長い手をしたそれをみて何やらいっているリナとアメリア。
 「ってことはこの事件に絡んでいる魔族は少なくとも二体以上はいる。ということね。
   …やっぱエルのいうとおり…かぁ。…だぁぁ!何でこう面倒なことにっ!」
 わかってはいたけど。
 そんなことを思いつつも、何やら叫ぶリナに。
 「一人でもやっかいですのに、二人以上ですか?」
 なぜか泣き言をいっているアメリア。
 別にどうってことないでしょうにね?
 「お前たちにうろちょろされると目障りなのよ。」
 いうなり、その攻撃をアルフレッドにとむける。
 まあ、こいつは契約を交わした相手じゃないから。
 それに、彼を殺すことにより契約は無効になるからねぇ。
 「危ない!アルッ!」
 攻撃の手がアルフレッドに向かっているのにきづいて、アルフレッドをかばっているアメリア。
 ドンッ!
 放たれた攻撃により、部屋がちょっとばかり焦げてるけど。
 「アメリア。ここじゃ戦えないわ。いったん逃げるわよ。」
 「はい。振動弾(ダムブラス)!」
 アメリアの言葉に応じ、壁にと開く穴。
 「リナさん。こっちですっ!」
 「いったん逃げるわよ!」
 「アルっ!早くっ!」
 アメリアはといえば、出現した魔族…いうくまでもなくマゼンダがアルフレッドを攻撃しようとした。
 というので、もしかしたらアルフレッドも利用されている口かも。
 そんなことを思いつつ、アルフレッドを心配していってるし。
 というか。
 これもすべてアルフレッドが提案した余興なんだけどねぇ。
 ふふv
 壊れた壁からその場から逃げ出すリナ、アメリア、アルフレッドの三人。
 そのまま、駆け出してゆくものの。
 扉をくぐるとともに、ぐにゃりと空間が揺らいでゆく。
 「ま…まずいっ!」
 リナがそれに気づいて足を止めようとするものの、すでに遅し。
 そのまま三人はちょっとした面白い空間にと入り込んでゆく。

 周囲はなぜか空に窓が浮かんでいるようなちょっとした空間。
 どうみても、建物の中ではない。
 というのは一目瞭然。
 「何なんですか?ここ?」
 周りをみてつぶやくアメリアに、
 「ふふ。このセイルーンの聖なる結界は我々魔族にとってはやっかいなものでね。
   少々場所をかえさせてもらったわ。」
 姿を見せずに何やらいってるし。
 「どうやら。異空間にひきずりこまれたみたいね。」
 瞬時んに状況を判断しつぶやくリナに。
 「異空間?」
 首をかしげて問いかけているアメリア。
 「魔力でつくった結界の中。つまり普通とは違う空間をつなげたのよ。」
 そんなリナの説明をうけ、
 「僕達はその中に閉じ込められた。というわけですね。」
 納得したようにいっているアルフレッド。
 まあ、彼は自分には攻撃はこない。
 そう信じきってるからねぇ。
 相手が本当に自分を殺してもかまわない。
 と思ってるとは知らないで。
 「あたしたちの動きは相手につつぬけだったみたいね。」
 リナの言葉と同時。
 ドバシャ……
 足元の大地らしき場所から何かが飛び出してくる。
 その音にリナ達がそちらを振り向けば。
 なぜか色豊かなとある物体が一つほど。
 目はぎょろりとうごき、とある世界のカメレオンもどき。
 ついでに体はひらべったいような、そうでないような。
 ちょっとばかり楽しい体つきをしていたりするけども。
 「何なんですか!?これはっ!?」
 「つ〜か!これも魔族じゃないのよぉぉ!」
 アメリアの叫びとリナの叫びが同時に重なり。
 そしてまた。
 「ここなら私が相手をするまでもないわ。あなたたちの相手はこの子で十分。」
 いって、それの肩にと出現しつつ、虚空に浮かんでいる先ほど出現した魔族。
 まあ、どうみても。
 その赤い髪からして、自分は先刻マゼンダと名乗った本人だ。
 と自分から言ってるようなものだけど。
 マゼンダの声とともに、それがリナたちに攻撃をしかけてきそうになるけども。
 「ああもうっ!いちいちこんなのを相手にしてられますかってのっ!」
 相手にこちらの手のうちを見せるのはまだ早い。
 そんなことを思いつつも、
 「天を翔ける闇夜の星々よ。大地を束ねる古の契約よ。
   我が命に従いて 彼の者を呼び寄せ給へ!フェアリス・ブリードっ!」
 「その呪文は召喚呪文?」
 「こっちもあの魔獣に対抗できる魔物を召喚するんですね。」
 だがしかし、アメリアの言葉とは裏腹に。
 パキィン……
 鏡がわれるかのごとくに空間の一部が割れ、
 パタパタパタ……
 そこからリナの召喚呪文に応じて出現するハト。
 「…ハ…」
 「……と?って、手品なんかやってる場合じゃないですよ。」
 現れたハトをみて、目を点にしてつぶやくアルフレッドに。
 それをみてリナにといっているアメリア。
 だがしかし、パンパンと手をたたき。
 「さ。はやくあそこから。」
 いってそのまま浮かび上がるリナ。
 「…え?あ。はい。」
 リナが浮かんでいくのをみて、横にいるアルフレッドをつかみ、
 アメリアもまた術をつかって浮き上がる。
 そしてそのまま、空間が割れた場所から出てゆく三人の姿が。

 「…ここは?」
 「…神殿?」
 「どうなってるんですか?」
 異空間。
 というか結界の中から出たのをうけ、周りをみわたすとそこは見慣れた場所。
 それゆえに、周りをみていっているアルフレッドとアメリア。
 そしてリナに疑問の表情で問いかけてるけど。
 「もともとあの手の空間は、バランスを保つのが難しいのよ。
   つまりあたしは、ハトを召喚することによって、あの場所と神殿の空間をつなげたのよ。」
 そんなアメリアにと丁寧に説明しているリナ。
 というか、リナはそんなことしなくても。
 あれくらい自力でどうにかできるんだけどねぇ。
 まあ、相手に手のうちを見せない。
 というのは不意打ちとかにもよくきくし?
 「なるほど。さすがリナさん!リナさんってすっごぉい!」
 「まあね。もっと褒めてもいいわよ。」
 そんなリナにと尊敬の眼差しをむけていっているアメリア。
 そんな会話をしている最中。
 大地からゆっくりと出現してくるマゼンダの姿が。
 どうでもいいけど…こいつ、本当にあれでリナ達を閉じ込めたつもりだったのかしら……
 まったく……
 「なかなかこしゃくなまねをしてくれるじゃないの。」
 そんなことをいってるし。
 こしゃくも何も…子供だましよねぇ。
 まったく……

 一方で。
 「我が結界を破るとはなかなかやるようだな。マゼンダでは手にあまるやもしれん。ふふ。」
 マゼンダが使った結界を張ってたカンヅェルがとある場所でそんなことをいってるけど。
 というか、あれは結界とはいえないんだけどねぇ……

 「いくわよっ!封除(アンロック)っ!」
 そのまま、神殿の扉を術であけ、神殿の中にとはいってゆくリナ。
 そんなリナに続いてアメリアもまた中にとはいってゆく。
 「どこへ逃げ込もうとおなじこと!」
 そんなリナ達をマゼンダがおいかけてゆくけど。
 というか…せめて、空間移動くらいしてからおいかけなさいっ!
 「エルのいうとおりだったわね。」
 「ですね。」
 すでに打ち合わせで合流するのはこの場所と決めていたあたし達。
 ゆえに、すでに神殿の中ではあたし達が待機していたりするんだけど。
 それすらマゼンダは気づいてないし……
 神殿の中心部にて待機するあたしたちのところにとアメリアとリナがやってくる。
 そんな二人の姿をみて。
 「お。リナ!大丈夫か?」
 真っ先に声をかけているガウリイ。
 「お客さんつきだけどね。」
 「みてぇだな。」
 リナの言葉に答えるかのように、ルークが出入り口のほうをみて何やらいってるし。
 「さってと♪なら手はずどおりにいきましょv」
 リナ達が出かける前に打ち合わせていたとおり。
 あたし達はそのまま、陣営をとってゆく。

 「…スィーフィードか。人間とは愚かなものだ。
   こんなものを祭り上げたところで何の役にはたたないのに。」
 リナとアメリアを追いかけて、そのまま神殿の中にと入ってきているマゼンダ。
 神殿の中心部に飾られている神像をみてそんなことをいってるけど。
 どうでもいいけど……
 人型を成せるんだから、ずっとその人型のままでいればいいのにねぇ。
 それに……
 「そうでもないし。そっちの気をひくのには十分すぎるみたいだし。」
 「…というか。空間移動くらいしてからおいかけなさいよねぇ。」
 「つ〜か。この魔族の姉ちゃん。俺たちにきづいてなかったのか?」
 「たぶん。エルが何かしてたんじゃないのか?」
 「ありえるな。」
 すでに部屋の四方にと散り、陣営を整えているあたし達。
 アメリアは神像の上にて待機してるけど。
 部屋の中に無造作にはいってきたそれにと口々にと話しかけるリナ、ゼルガディス。
 そしてガウリイにルーク。
 そんな声にようやくこちらに気づき。
 「…なっ!?いつのまに!?待ち伏せ!?」
 などといってるマゼンダ……
 「ああもうっ!仮にも魔族なんだから気づきなさいっ!マゼンダっ!」
 まったく情けないったら……
 そんなあたしの言葉に。
 「ええ!?この魔族の人。あのマゼンダって人なんですか!?」
 などと叫ぶアメリアに。
 「あら?アメリアさん。みればわかるじゃないv」
 あっさりといっているユニット。
 「…やっぱり、魔族本人だったか……」
 ため息とともに、何やらいっているゼルガディス。
 「それより。さすがリナさんというか…絶対に先…よんでましたよね……」
 なぜかあたしのほうをみてそんなことをいってきているミリーナ。
 「…お前たち………」
 ここにいたり、ようやく自分がこの場に誘い込まれたのに気づいてるけど。
 だがしかし。
 「ふっ。逃げ場のない場所に逃げ込んだとおもったら。
   だがしかし。待ち伏せをしていたからといってこの私が倒せるとでも?」
 完全に小馬鹿にした口調でいってくるし。
 「それはどうかしら?アメリア!」
 「はいっ!」
 そんなマゼンダに対して、にっと笑い、神像の上にて待機しているアメリアにと声をかけているリナ。
 そんなリナの声をうけ。
 「崩魔陣(フロウブレイク)!!」
 アメリアが術を解き放つ。
 「ふん。こんなもの……何!?」
 アメリアの言葉とどうじに、マゼンダの周囲に六紡星が出現し。
 そのままマゼンダを包み込むようにして光が発生し、簡単な即席結界が生み出される。
 人間の使う術など……
 と完全に見くびっていたがゆえに、あっさりと捕まってるし……
 「というかっ!何でそんなにあっさりと術に捕らわれるのよっ!なさけないったら……」
 「そうよね。せめて術を無効化させるくらいはしないと♪」
 「…あんたらは、いったいどっちの味方なんだよ…おい……」
 そんなあたしとユニットに対してなぜか突っ込みをいれてきているゼルガディス。
 だって…ねぇ。
 情けないにもほどがあるというか……
 まったく……
 そのままあっさりと術に捕らわれ身動きできなくなっているマゼンダ。
 そんな彼女の姿を認め、
 「さてと。観念していただけますか?
   リナさんが何かしてくるまえに話したほうがいいとおもいますが?」
 ゆっくりとマゼンダに対して間合いをとりつつも何やらいっているミリーナ。
 「あら。ミリーナ。どういう意味かしらねぇv」
 そんなミリーナににこやかに話しかけるあたしの言葉に。
 「リナさんが何かしたら。下手をしたらこの国が消滅しかねませんし。
   かといって、以前のように何かを呼び出されても困ります。
   何となくですけど、こちらでもリナさん、ああいうことできそうですし。」
 「あらvミリーナさん。さっすが〜v正解v」
 淡々というミリーナに、あっさりと認めているユニット。
 「あら?別にいいじゃないのよ。どいつを呼び出してもv」
 「……問題あるとおもうな〜。オレは……」
 なぜかあたしの言葉にぽそりといっているガウリイ。
 「?…くっ!…なぜに人間ごときにこんな…!?」
 あっさりとアメリアの術を解くことができる。
 そう思っていたものの、できずに何やらそんなことをいっているマゼンダ。
 あたしたちの会話の意味は理解してないようだけど。
 「あら。あたりまえじゃない。このセイルーンには聖なる結界が張られてるんだし。
   さっきあんたもいってたじゃない。ましてやこの神殿はこの結界の中心部。
   つまり、あんたたち魔族の力は弱められ、逆にアメリアの使った白魔術は強化される。
   さって、話してもらいましょうか?あんたたち魔族が何をたくらんでいるのか。」
 いいつつも、腕をくんでマゼンダにちかづいてゆくリナ。
 とりあえず部屋の隅々にと分かれていたゼルガディスたちもまたマゼンダに近寄って様子をみてるけど。
 つまりは、神殿のまん前で術にて捕らわれた状態になっているマゼンダの前にと、
 それぞれ固まりつつも、間合いをとりつつ固まっているリナ達の姿が。
 目の前にいるリナ達をざっと見渡し、笑みを浮かべ。
 「ふふふ。我々魔族を甘くみるな…って……くうっっっっっっっ!」
 無理やり力づくでアメリアの張った結界を解こうとして力を発揮しているマゼンダ。
 …どうでもいいけど。
 何でそれくらいあっさりと解くことができないのかしらねぇ。
 いくらルナの協力もあって、多少この国の結界が強化されてる。
 といっても…ねぇ……
 だがしかし、人間ごときにこのまま…という意地もあり。
 力づくで術を解くために力を開放しているマゼンダだし。
 「ああもうっ!そもそも。それくらいの術で捕らわれるほうがどうかしてるのよ。
   まったく……ほんと。最近の魔族はなってないわよねぇ……」
 思わずもれるあたしの本音に。
 『……あのな……』
 なぜか、ルークとゼルガディスの声が一致する。
 「それはそうとvそろそろくるわよv」
 にっこり。
 ユニットがにこやかに全員を見渡していうと同時。
 バチバチバチッ!
 ドグワァァン!!
 力づくでどうにか束縛を打ち破り、なぜかそれとともに巻き起こる爆発。
 あたりに爆発によって生じた煙りなどが発生するものの。
 「消去v」
 パシュ。
 あたしの言葉に従い、あっさりとそれらはいとも簡単に消滅する。
 「…なっ!?」
 そのことになぜか驚きを隠せないマゼンダ。
 どうでもいいけど…今のでかなりの力を消耗してるし…こいつは……
 「…ま、エルだし。それはそうと。そんな状態であたしたちに戦いを挑む気?
   はっきりいってあんたに勝ち目ないわよ?」
 「…たしかに。それは無理なようだけど…だけど、土産はもらっていくわっ!」
 いって、固まっているリナ達。
 すなわち、リナ、ガウリイ、ゼルガディス。
 そしてルークとミリーナにむけて自らの具現化させている髪の毛を投げ放つ。
 ちなみにアメリアはというと、神像の上にいまだにたったまま。
 あたしとユニットも、リナ達と同じ場所にいるものの。
 そんなあたし達を包み込むかのようにマゼンダの放った髪の毛が、
 あたしたちを中心として逆五紡星に一瞬輝き。
 そして。
 術が発動したのを見届けてそのまま、神殿の上にとある窓から逃げてゆく。
 どうでもいいけど…空間移動くらいしてにげなさいっ!
 バリィン!
 …窓ガラスを割って逃げてるし……
 「あ!まちなさいっ!にがしませんっ!」
 そんなマゼンダをみて、アメリアが浮き上がり追いかけようとし。
 「逃がすかっ!」
 同じく、ゼルガディスもまた叫んでその場から飛び上がろうとする。
 ……が。
 ふわ……すとん。
 多少浮いただけでそのまま床にと着地しているゼルガディス。
 「…何!?」
 「……って…これは……逆五紡星の形を……」
 術が完全に発動しないのをうけて驚きの声をあげているゼルガディスに。
 床にと突き刺さった髪の毛にきづき、かがみこんでそれを取り外しつついっているミリーナ。
 ミリーナがそれを手にすると同時に、髪の毛は虚空にと溶け消える。
 「…どういうこった?」
 何か一瞬、何かが体に負担かかるような気がしなくもなかったが。
 だが、その圧力はなぜかはじけとんだ。
 その感覚がわかり、戸惑いの声をあげているルーク。
 くすっv
 「あらあら。どうやら私達を中心にして何やら逆五紡星の形に髪の毛が投げられてるv
   というか、こんなもので封じられるようだとまだまだよねv」
 いいつつも。
 パチン♪
 軽く指を鳴らしているユニット。
 それとともに、
 パシュ……
 床にと突き刺さったままであったほかの四つの髪の毛がいともあっさりと消滅する。
 「まあねぇ。って。どうやら。リナには術はかかってないわね。
   あとガウリイは精神で断ち切ってるし。あとは…っと。あら。
   ゼルとミリーナ。あんたたち、マゼンダの術にかかってるわよv」
 「ってまて!俺のミリーナが何だって!?」
 「ルーク。誰が誰のものだというんですか。…ふむ。…まさかとはおもいますが……
   明かり(ライティング)。」
 逆五紡星を使い相手にかける術。
 その可能性にすぐさま思い当たり、確認をこめて術を唱えているミリーナ。
 「お…おい!?ミリーナ?」
 ミリーナが術を唱えたのにも関わらずに、明かりが発生しないのに驚き。
 戸惑いの声をあげているルークだし。
 「ふむ。どうやら。あの魔族に魔力を封じられたようですわね。
   こういう場合は、相手の魔族を倒したら復活するか。もしくは一度死んだら復活するか。
   そのどちらかですわね。」
 淡々と、一人状況を判断していうミリーナの言葉に。
 「何だと!?あの魔族め!俺のミリーナにぃい!
   というか、一度死んだら…って、ミリーナ。縁起でもないことをいうんじゃねぇっ!」
 何やら戸惑い驚きつつも、そんなことをいってるルークだし。
 「あたしは…っと。明かり(ライティング)。」
 ぽうっ。
 リナがミリーナの術が発動しないのをうけて確認のために術を唱えると同時。
 ほのかな光の球体がリナの手のひらにと出現する。
 「何で俺のミリーナの術が発生しなくて。チビリナの術が発生するんだっ!」
 「誰がチビですってぇ!」
 「お前にきまってるだろうがっ!このチビっ!」
 「あのねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
 「チビだろうがっ!得に胸っ!」
 …ぷちり。
 ルークの言葉をうけ。
 「…闇よりも暗きもの、夜よりも深きもの……」
 「って!リナっ!それは!!重破斬(ギガスレイブ)じゃないかっ!やめろって!」
 低い声でうなり、あたしの力の召喚呪文の一つを唱え始めているリナ。
 そんなリナの混沌の言語(カオスワーズ)を聞いてあわてて止めているガウリイ。
 「あら?別にかまわないわよv」
 そんなガウリイに、にっこりというあたしの言葉に。
 「かまうにきまってるだろうがっ!」
 なぜか即座に突っ込みをいれてきているガウリイ。
 「……あの?いったい??」
 一人、よく理解できずに戸惑いの声をあげるアメリア。
 ちなみに、アメリアはゆっくりと神像の上から降りてきて、そんなリナ達のよこに降り立ってるけども。
 「ルーク。今はそんなことよりも。とにかく。この状況をどうにかするのが先決ですわ。
   確か。私たちの世界では、魔法医ルナンとかいう人がいたはずです。
   噂では彼は封じられた魔力を元に戻すことができる術を開発してるとか。
   そういう人がいるかどうか。それを探すのが先決ではないですか?」
 「うっ……ミリーナがそういうんだったら……
   しっかし。あの魔族のやろうっ!今度あったらただじゃおかねえからなっ!」
 ミリーナに冷静にいわれ、一瞬押し黙り。
 なおかつ、その怒りの矛先をマゼンダに向けているルーク。
 「あの?いったい何が…?」
 未だに完全に理解していないアメリアの台詞に。
 「だからね。アメリアさん。今のマゼンダさんの術によって。
   ミリーナさんとゼルガディスさんの術が封じられちゃったのよ?」
 にっこりと、代わりに説明しているユニット。
 そしてまた。
 「まあ、リナに関しては、あたしとユニットが以前あげた道具があることだしね。
   あれ身につけてたらほとんどの術無効化されるし?」
 にこやかに、ひとまず追加説明をしておくあたし。
 「ともかく!あのマゼンダってやつをおいかけようぜっ!
   俺のミリーナに…俺のミリーナにぃぃぃ!!」
 「…寝言をいってるルークはおいとくとして。…とりあえず。フィル殿下のところにもどりませんか?
   たしか…ゼロス一号さんにまかせてたんでしたわよね?」
 とりあえず、ゼロス一号のほうを呼び寄せてフィルの護衛もどきをさせているゆえに、
 そんなことをいっているミリーナ。
 ほんっと。
 ミリーナって、どういう状況でも冷静に判断するから便利よねぇ。
 それが楽しいんだけどv

 とりあえず。
 未だにわめいているルークをそのままに。
 あたし達は一度。
 フィルのまっている宮殿の中にと戻ることに。
 さってと。
 楽しくなってきたわねv

                   −続くー

######################################

あとがきもどき:
  L:……二年……
  薫:……ぎくっ(汗
  姫:…二年たってるわねぇ。前回のこれの打ち込みから……
  薫:あ…あははは……
  L:つまり。それだけあんた。小説全体の編集作業…進んでないってことなんだけど?
  薫:…あうあうあう……で、でも!漫遊のほうはどうにかすすめてますよっ!
  L:あたしの活躍する話をうちこみしてないでしょうがっ!!
    番外編もあのままぱったりだしっ!一日六時間以上ねてないでねずにやりなさいっ!
  薫:……無理いわないでくださいよ〜(涙
  姫:あら?普通、ねなくても大丈夫よv
  薫:・・・無理です(汗
  L:と・も・か・くっ!とっとと仕上げなさいね?
    それでなくても、これはじめてる最中に、すでにもう新たなボックス発売になってるんだし。
  姫:そうよねぇ。せめてTRYのボックスがでる前までには今回のボックスの付録ドラマCD。
    あれの話もうちこみしてからしあげないとね♪あ、あとネオアンジェの話もね♪
    そ・れ・にv私の話もね♪
  薫:……はひ……(汗
    努力しますのです……
L&姫:努力…ねぇ?
  薫:…あ?あの?おふたりとも、何をにっこりとわらって…って。
    その手の大鎌とロッドは…って…

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

  L:さってと。何かねないでやれ。といったのに寝てる薫はおいといて。
  姫:それでは次回。NEXT10話。くせ者揃いの珍道中をお送りしますね♪
  L:アニメのほうでは10話だけど、これだと12話になってるけどね。
  姫:計画性がないのよ。この薫さんに。
  L:そうねぇ。
 L&姫:ともあれ、それではまた、次回でvまったね♪

あとには、なぜかどすぐろい染みの上に黒い人型がのこるのみ……


 

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32810スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜12話〜かお E-mail URL2006/10/4 15:24:09
記事番号32804へのコメント

  
  まえがき&ぼやき:

  こんにちわ。何やら改めて。フィルムブックと、DVDを見直してたら。
  まあ、台詞などが割愛されまくってますね〜。と一人で内心改めて突っ込みしてたり(笑
  しかし、何やら台詞ばかりになってきてるようなきがひしひしと……
  情景・・・やっぱりいれた方がいいよなぁ……
  台詞ばかりで、そのやり取りを空想してもらえれば一番いいんだけど。
  下手にいれたら、その空想とかけ離れたものになりかねないしなー。
  などと、いろいろおもいつつも表現方法を変えている薫です(まて
  とりあえず、この話が終われば次はVOL4〜♪
  まだまだ先は長いです。
  ちなみに、ボックス使ったら置く場所がかさばるので単体でそろえたほうのDVDつかってます。
  ドラマCDメアテに今回、新たに販売されたボックスも購入してますけど…ね(笑
  今回のはでも何においても、表紙だけで満足v
  エル様が表紙に〜♪(といってもリナ乗り移りバージョン
  何はともあれ、いくのですv

  #####################################


    スレイヤーズフォーエバーinNEXT 〜 くせ者揃いの珍道中?魔力をとりもどせ! 〜


  「………え゛?」
  ピッシ。
  なぜか説明をうけて固まっているゼロス一号。
  「まったく。このあたしにまで術をかけてくるなんてねぇ。ま、効くわけないけどv」
  とりあえず、フィルの護衛を命じておいたゼロスの元にと戻り。
  あたし達からマゼンダの魔力の気配を感じ取り、ゼロスが聞いてきたのでとりあえず答えたところ。
  なぜかその場にて固まっているゼロス。
  そして。
  「…あああっ!何かんがえてるんですかっ!ほんと。この世界のマゼンダさんはっ!」
  何やら頭を抱えて叫んでるし。
  「それはそうと。フィルさん。魔法医ルナンがどこにいるか知らないか?
    以前、レゾが話していたのを聞いたことがある。
    とりあえず、封じられた魔力を取り戻すのが先決だからな。」
  腕をくみつつも、フィルにといっているゼルガディス。
  ちなみに、ゼルガディスの体は邪妖精(ブロウデーモン)と岩人形(ロックゴーレム)の合成であるがゆえに。
  精神世界面から隔離され、術が使えなくなったのをうけ。
  肉体的にもかなり軟弱になっていたりする今現在。
  ゼルガディスの体そのものが、魔力の影響を根強くうけてるからねぇ。
  先ほど、彼女があの名前をいってたが。
  あちらの世界にも彼の名前は知れ渡っているのか。
  そんなことを思いつつも、ミリーナをちらりと見た後フィルにと問いかけているゼルガディス。
  「ルナン殿…か?うむ。たしか……」
  魔法医ルナン。
  一応このあたりでは有名な医者。
  簡単な術とかならば解くことが可能。
  最も、ルナに言えばすぐだけど。
  ま、マゼンダが使った程度の術は自力でもどうにかできる分野だしねぇ。
  まったく。
  もうすこし根性いれてやるならやらないと……
  「確か。ルーン山に住んでいる。という話はきいているが。
    何しろもう数年前の情報じゃからな。今も健在だという話はきいてるが。」
  以前、このセイルーンにて勤めていたものの。
  娘が結婚し。
  娘たちと暮らすためにとセイルーンからでていったルナン。
  ちなみに、ここ数年は早くに他界した娘夫婦の忘れ形見。
  孫娘と暮らしていたりする。
  「で。どうするの?ゼルとミリーナの二人でいってくる?」
  そんなあたしの言葉に。
  「俺のミリーナと二人っきりにさせるかぁぁ!」
  「ルークの戯言はともかく。魔法医ルナンですか。
    たしか昔、噂で彼は写本をもってるとか聞いたことがありますけど。
    こちらの世界もそうなんでしょうか?」
  ふと思い出し、そうつぶやくミリーナの言葉に。
  「写本!?あたしもいくわっ!」
  目をきらん、と輝かせてそんなことを即座にいっているリナ。
  「なら、フィルさんの護衛は私達でやっとくわね。
    とりあえず、リナさんやミリーナさん達でいってくる?」
  にっこりと。
  リナやミリーナをみつつ言っているユニット。
  「案内は私にまかせてくださいっ!」
  なぜか一人はりきっているアメリア。
  「まあ、ミリーちゃん達が護衛してるんなら何も問題ないだろうが。………遊ぶなよ?」
  なぜか、そんなユニットの言葉をうけて、じと目でユニットをみつついっているルーク。
  くすっ。
  「なら、決まりねv」
  そんなほのぼのとした会話をしつつも。
  とりあえず、詳しい話を敷き詰めてゆくことに。

  「気をつけてな。お〜い。何かあったら必ず連絡するんだぞ〜?」
  「何かあったら必ず連絡してね?」
  とりあえず、写本目当てということもあり。
  ミリーナたちにとついていくことにしているリナ。
  当然、リナにくっついてガウリイもいくことにしてるけど。
  出かけるリナ達を心配そうにみていっているフィルに、にっこりというあたし。
  そんなあたし達を多少不安そうにみているミリーナとルーク。
  そしてまた。
  「ふっふっふっ。しゃっほん、しゃっほんv」
  すでに頭の中が写本のことで一杯になっているリナ。
  ま、リナらしいけどねv


  「さあ。いらっしゃい。いらっしゃい。」
  「やすいよ。やすいよ。銀貨一枚であなたの呪いはあなたのままよ!」
  いってお手製のゾアメルグスターのブローチを販売しているマルチナの姿。
  「ま…マルチナさん。もういい加減にしませんか?」
  おもいっきり詐欺だ。
  と判っているがゆえに、戸惑いつつもそんなマルチナにいっているゼロス二号。
  「ゼロス様。わたくし悟りましたの。世の中お金ですわ。
    いとしいゼロス様とお茶をするのも。復讐をするのも。すべて先立つものはお金。
    ですからこうしてこつこつと……」
  そんなゼロス二号にと、きっぱりと言い切っているマルチナ。
  「ああ!やっぱりマルチナ!それにゼロス二号!」
  そんなやり取りをゼロスたちがしているそんな中。
  マルチナの声をきき、リナ達が様子をみに寄っていたりする。
  「何やってんだ?ゴキブリ二号?」
  そんなゼロス二号にとさらっといっているルーク。
  「……ひどい。ルークさん…しくしく…と、ともあれ。やっときましたね。リナさんたち。」
  ルークの言葉にいじけつつも、気をとりなおしてリナ達にと話しかけているゼロス二号。
  「リナさん…って。じゃあ、ゼロス様がお待ちになっていた人って……」
  そんなゼロスの言葉に驚きつつも、問いかけているマルチナ。
  「あれ?リナさんたちですよ?いってませんでしたっけ?」
  そんなマルチナに対してあっさりといっているゼロス。
  「ええ!?」
  そんなゼロスの言葉に思いっきり驚いているマルチナだけど。
  というか。
  ゼロスが二人いたの、前この人間ってみてるのにねぇ。
  ほんっと、面白いったら?
  「いやぁ。このたびは災難でしたねぇ。魔術を封じられるなんて。」
  そんなマルチナをあっさりと無視し、リナ達を見つめてそんなことをいっているゼロス。
  まあ、ゼロスのほうは、あたしがリナにとある品物を渡している。
  とうのを知っているので、リナさんの術は封じられていないのは確実ですね。
  と確信をもちつつも、言っていたりするんだけど。
  「やはりゼロスさんはゼロスさんですね。情報早いですし。」
  そんなゼロスの言葉に、あっさりとうなづいているアメリアに。
  「ま、二号だし。というか何もしてないけどね。こいつは……」
  思わず頭をかかえつつも、そんなことをいっているリナ。
  そしてまた、
  「それはそうと?何でおまえ。このゾアナ王国の皇女といっしょにいるんだ?」
  額に手をあてて、ゼロス二号に問いかけるゼルガディスの言葉に、
  「二、三日まえに、マルチナさんが盗賊に襲われていたのをお助けしまして。
    お知り合いになりまして。僕と一緒にいく。といわれまして。
    魔法医のところまでご一緒しようとおもいまして。まってたんです。マルチナさんと。
    いけませんか?」
  「いけませんか…って……そういう問題ではないとおもうのですが……」
  しばらく様子を見て黙っていたミリーナがぽつりと言っていたりする。
  くすっv
  別にどうでもいいでしょうにねv
  とりあえず、リナ達に詳しく説明するために。
  近くにあるカフェテラスに移動しているゼロス。
  そんなゼロス二号についていっているリナ達一行。
  さってと。
  これで少しはリナ達のほうも楽しくなってきたわねv
  ふふv

  「盗賊を倒したときのゼロス様の。それはもうりりしかったこと。
    前のときには気づきませんでしたけど。
    あちらの女性のゼロス様よりこちらのゼロス様のほうが。」
  未だに一号のほうを女性だと勘違いして思いこんでいるマルチナ。
  一応、今回は確認のために胸をさわって男性だ。
  とそれとなく確認していたりするようだけど。
  そんなことを思いつつ、ひとり浸っているマルチナ。
  ゼロスがリナ達に説明している間。
  ゼロス二号との出会いのシーンを自分なりに美化して思い出しているマルチナ。
  マルチナの美化された思いでシーンでは。
  にこやかに微笑んだゼロスの歯がきらっとひかっていたりするけど。
  こいつは別にそんなことしてないんだけどねぇ?
  そんなマルチナをあっさりと無視して、淡々とリナ達に説明しているゼロス二号。
  「……と。いうわけでして。マルチナさんにすっかり気に入られてしまいましてね。」
  「そういう問題でもないとおもうが……」
  ゼロスの説明をうけ、じとめでマルチナをみつつつぶやくゼルガディス。
  「でもいい人ですよ?マルチナさんは。復讐するときめたらてこでもうごかない。
    手段も選ばない。そのためにこつこつアルバイトまでする。
    その執念と意思の強さにはほんと敬服しちゃいます。……あれ?どうかしたんですか?」
  くたっ。
  にこやかにいうゼロスの言葉になぜか全員テーブル…否。
  ミリーナ以外の全員がテーブルに突っ伏していたりする。
  「…どこがいい人なんだ?」
  テーブルに突っ伏しつつも、突っ込みをいれているゼルガディスに。
  「……まあ、こいつらしいが。どうせあのゼロス一号と同じゼロスだしな。」
  どうにか体をおこしつつも、ため息とともにいっているルーク。
  「まあ…ゼロスさんですしねぇ。どこの世界でも同じ。ということなんでしょうか?」
  そしてまた。
  ため息とともにそんなことをいっているミリーナ。
  ガウリイはといえば、ひとりもくもくと起き上がりつつも出されてきた食事を食べてるし。
  そしてまた。
  マルチナはといえば、ゼロスが説明している間もぴったりとゼロスにくっついてるけど。
  どうも、今回は胸をさわっても平べったい。
  ということもあり、前回のゼロスのときのように女性。
  ということはありえない。
  と一人勝手に確信もってるようだけど。
  だからぁ。
  外見上の性別ってどうにでもなるってばv
  ふふv

  ゼロスがリナ達に簡単な説明をしているそんな中。
  セイルーンのとある一角において、何やら呼び出されている一つの物体。
  なぜか骨…しかも完全に骨だけのような形態で、その頭部分にはなぜか角。
  ……どうでもいいけどもうすこし考えてから具現化しなさいよね……
  見た目、何となく人間の上半身の骨格模型に似せてるし……
  まったく…最近の魔族は……
  やがて命令をうけ、それはその場から掻き消える。
  あとには、窓辺にたたずんでいるカンヅェルとマゼンダの姿が見受けられていたりするし。
  こいつらも、まったく。
  相手の力量くらいはかりなさいっ!
  魔族失格よね………

  とりあえず。
  まあ別に害もないだろう。
  というのと、いっても無駄。
  というのが判っているがゆえに、ゼロスを伴い目的地にと進んでいるリナ達。
  「ああ。そうです。それじゃあ僕は食糧を買い込みにいってきますから。
    みなさんは先にいっててください。あ、マルチナさん。
    今回は僕の顔をたてて穏便におねがいしますね。」
  山道に入りかけて、ふと足をとめ、そこにある雑貨屋をみていっているゼロス。
  「お前もあの一号と同じくパシリが板についてきてるのか?」
  さらっというルークの言葉に。
  「ひどいっ!ルークさん!そんな言い方って!……ただ。
    もし、あなたたち…得にリナさんの機嫌をそこねたりして。あの御方の耳にはいったり。
    もしくは、スィーフィードさんの耳に入るのがいやなだけです。僕は。」
  きっぱりと言い切っているゼロス二号。
  「だから。どうしてゼロスさん達はあちらのエルさんを畏れてるんでしょうか?」
  そんなゼロスの態度に首をかしげつついっているアメリアに。
  「ゼロスさんだけではないですわ。畏れてるのは。」
  言外に、異世界の魔王とかもいますし。
  などという意味合いをこめてため息とともにいっているミリーナ。
  そんなアメリア達に対し、
  「それは秘密です?あ。言い忘れてましたけど。リナさんをいじめちゃだめですよ?」
  さらっと話題をかえつつも、マルチナにそんなことをいってる二号だし。
  「わ、わかってまぁす。」
  そんなゼロスの言葉をうけ、ぶりっこしつつもいっているマルチナ。
  「それじゃあ。」
  いいつつも、山道に入りかけた場所にとある小さな小屋形態の雑貨屋にとはいってゆく二号の姿が。
  「ゼロス様はああおっしゃったけど。これはチャンスよっ!ようはゼロス様にばれなきゃいいのよ!」
  ゼロスの姿が見えなくなるのを確認し、一人拳を握り締めてきっぱりといい。
  ドドドド……
  いうなりそのまま走り出すマルチナ。
  「あ、おい。」
  そんな彼女にゼルガディスが声をかけてるけど。
  「…で?どうすんだ?」
  横にいるリナにと問いかけるガウリイに対し。
  「…ほっとくわけにはいかないでしょ……」
  はぁ〜……
  盛大なため息をつきつつも、そんなマルチナを追いかけてゆくリナ。
  そして、そんなリナに続いてゼルガディスたちもまた、マルチナの後を追いかけてゆく。

  ずりずりずり……
  「ちょっとまってね。」
  そのあたりにころがっている木の枝で、地面に魔法陣をえがいているマルチナ。
  「…やるだけ無駄とおもうけど……」
  そんなマルチナをみつつも、そのあたりの木の下に座っていっているリナ。
  「……まったく。どっと疲れるな。俺は先にいくぞ。」
  そんなマルチナの様子をみつつ、長引きそう。
  そう判断し、ため息とともに言っているゼルガディス。
  「私達も先にいきましょう。ルーク。」
  「だな。」
  同じ時間率というか行動だとすれば。
  このあたりで別行動を多少しても、問題ないはずですし。
  たしか、暗殺騒ぎのことを噂できいたとき、私達は別のところにいましたしね。
  そんなことを思いつつも、淡々といっているミリーナに。
  そんなミリーナにあっさりとうなづいているルーク。
  「ほっとくわけにもいかないから。あたしがのこってるわ……」
  ため息とともに、そんなゼルガディスたちにといっているリナ。
  「ならオレものこるな。」
  などといっているガウリイ。
  そんな会話は何のその地道に間違いつつも魔法陣を描いているマルチナだし。
  そんなマルチナを見下すかのように空ではカラスがないている。
  「さってと。魔法陣は完成したわ。お次は……何か身につけるのちょうだい。」
  「…も、逆らう気もおきんわ……」
  ため息とともに、マルチナにともっていたハンカチを手渡しているリナ。
  「お〜ほほほ。ついに罠におちたわね!リナ=インバース!」
  「……これ罠?」
  額に手をやりあきれつつもつぶやきながらいっているリナ。
  確かに。
  罠とはいわないわねぇ。
  「お前の魔術が封じられたのも、天がゾアメルグスター様に与えてくれたチャンス!
    丹念に丹念をかさね、磨き上げた我がのろいの恐ろしさに震えるがいいっ!」
  ごろごろごろ……
  「お。すごいな〜。ほんとに空が変化してきたぞ?」
  「でもずいぶんと時間かかってるわよ?」
  すでに時間的には数時間以上経過していたりする今現在。
  ゼルガディスやアメリア。
  そしてルークとミリーナはといえば、この先の宿場町にてすでに宿をとって休憩している。
  「うるさいわね!来たれ!いかづち!」
  ピシャァン……
  「あ。ほんとにきた。」
  ガラガラガラ……
  カッ!!
  そのままマルチナに直撃している雷ひとつ。
  「あ、直撃してる。」
  「んきゃぁぁ!?」
  その反動でその場から多少吹き飛んでいるマルチナ。
  「お〜。あれでもいきてるぞ?」
  「へ〜。根性あるわねぇ。」
  リナはルナの特訓で雷程度の耐久性は出来ているものの、
  マルチナが雷直撃を耐えたのをみてそんなことをいってるし。
  リナ達がそんな会話をしているそんな中にも。
  そのまま続けざまに雷がその場にて落ちてくる。
  木に直撃したり、崖の上の岩に直撃し。
  岩がそのまま落ちてくるけど。
  「……はぁ。火炎球(ファイアーボール)。」
  どわしゃっ!
  落ちてきた岩にむかってリナが術を唱え、そのままそれを粉砕していたりする。
  「って…んきゃぁぁ!?」
  何やらそれにマルチナまでが巻き込まれて叫んでいたりするけど。
  「ちょっと!魔術。ふうじられているんじゃなかったの!?」
  無傷でそんなリナにと何やらいってきているマルチナだし。
  「あら?あたしは封じられてないわよ?封じられたのは、ゼルとミリーナだもん。」
  「…そ…そんな……」
  くてっ。
  リナの言葉にショックをうけ、その場にパタン、と一時たおれているマルチナ。
  だがしかし、すぐさまに気を取り直し。
  「ふ。魔術が使えようが、使えまいが!この私の呪いに勝てるはずがないのよっ!」
  などといってるマルチナだし。
  「……お〜い。リナ?いつまでつきあってるんだ?これ……」
  「そね。おなかすいたし…ゼルたちがまってるはずの宿にいきましょ。」
  「ちょっと!まだおわってないわよっ!…って、んきゃぁぁ!」
  ガラガラ…
  ピシャァン!
  その場から立ち去るリナとガウリイに向かってマルチナが叫ぶものの。
  再び雷の直撃をうけその場で逃げ惑い、踊っているマルチナの姿が。
  そんなマルチナをその場にのこし。
  「…やれやれ。」
  額に手をあてながらゼルガディスたちと合流するためにと進んでゆくリナとガウリイ。
  そんな一人で遊んでいるマルチナの姿を木の陰にかくれてみつつ。
  「う〜ん。やっぱりマルチナさんってあきませんねぇ。」
  などといっているゼロスの姿が。
  あの御方が来られているので気をつかいますし……たまには遊び心も大切ですし…ね。
  などと思っていたりするようだし。
  どういう意味かしらねぇ?
  まったく……


  ルーン山の麓。
  そんなに開けた場所ではなく、家の数などもまばら。
  この場所は隠居している魔法医ルナンをたずねてくる旅人のために多少の店がある。
  そんな程度。
  町に数件しかないお店。
  一通りの雑貨を扱っているお店の軒先で、
  「おばさ〜ん。小麦粉とお塩もちょうだい。」
  ピンク色の髪をした十歳程度の女の子が店の中にむかって言っている。
  肩のあたりまで延びた髪を頭の上で二箇所にお団子にしまとめていたりする。
  そしてふと、店先にと並んでいるキャンディーにと目をやり、
  「あ〜。このキャンディ。おいしそう。」
  「おまけだよ。もってきな。」
  「わぁぃ。ありがとう。」
  「あの?このあたりに魔法医ルナンって人の家があるとおもうんですけど。しりませんか?」
  「はい。しってます。」
  「案内してもらえるか?」
  「はい。いいですよ。」
  「これで俺のミリーナも元にもどるな。」
  「歳からしてミリーちゃんと同じくらいですわね。」
  そんなルークの声をさらっと無視して、少女をみていっているミリーナ。
  そんな会話をしつつ。
  少女の案内でリナ達は山にむかって進んでゆくことに。

  山間にぽつりとある一軒屋。
  「ここです。」
  周囲には他の家の姿はまったくない。
  カチャリ。
  扉をノックする必要もないのでそのまま中にとはいってゆく少女。
  「ここが。か。」
  「ごめんくださ〜い。って、誰もいないようですけど?」
  建物の中にはいり、周りを見渡してそんなことをいっているアメリアとゼル。
  「魔法医ルナンさんは…往診中でしょうか?」
  そんなにごちゃごちゃしてない、さっぱりした部屋。
  誰もでてこないので、ミリーナがそんなことをいってるけど。
  「あれ?いいませんでしたっけ?私が魔法医ルナンです。」
  そんなミリーナ達に対して振り向きつつ、にっこりわらっていってる少女。
  『ええええ!?』
  『何ぃぃぃ!?』
  そんな少女の返事に、面白いまでにアメリアとリナ。
  そして、ルークとゼルガディスの声が一致する。
  ガウリイは、のほほ〜んとしてるけど。
  「私はキラっていいます。よろしく。」
  にこっ。
  「……どうりで。あのリナさんがあっさりと私達だけでいくのを許可したわけですわね。」
  「というか。あいつらの場合は。のこってとんでもないことをしでかす。
    という目的があるような気がするんだが……」
  少女の自己紹介をうけて、何やらしみじみといっているミリーナとルーク。
  「…ま、まあ。この際。年齢はともかくとして。あのユニットちゃんの前例もあるし。
    それはそうと。実は、あたし達、魔族に魔力を封じられる術をかけられちゃってね。
    あたしとこっちの子…アメリアっていうんだけど。あたし達は無事だったんだけど。
    この二人。ミリーナとゼルガディスが魔力封じられちゃって。
    みてのとおり、このゼルって。合成獣(キメラ)だからか、赤ん坊より弱体化してるのよ。
    それで、どうにかその術をといて魔力が復活できないかな?とおもって訪ねてきたんだけど。」
  そしてまた、額に手をやりつつも。
  ユニットちゃんのこともあるし……
  人間見た目じゃないし……
  そんなことを思いつつも、とりあえず説明しているリナの姿。
  「…あのユニットちゃんは特別だとおもうんだが……」
  「ガウリイさん。お願いですから何もいわないでくださいね?」
  そしてまた、ぽつりとそんなことをいっているガウリイに、
  何やら本気ですがるような眼差しをむけて懇願しているゼロス二号。
  「あ。本当ですね。そちらの人。みたところ。
    岩人形(ロックゴーレム)と邪妖精(ブロウデーモン)が混じってる合成獣(キメラ)さんみたいですね。
    なるほど。判りました。私にまかせてください!」
  「「……大丈夫なのか?」」
  「「……何かすっごい不安なんですけど………」」
  きっぱりといいきるキラの台詞に、なぜか顔を見合わせて不安そうな表情をしているリナ達。
  そんなリナ達とは対照的に。
  「とりあえず、詳しくおしえてもらえますか?」
  いって、にっこりとそんなリナ達を見渡して問いかけているキラ。
  そんなキラの問いかけをうけ、ダメでもともと。
  という概念もあり、とりあえず詳しくキラにと説明してゆくことにしているリナ達一行。
  くすっ。
  まだこの子ってば、祖父にいろいろと習ってる状態で、いわば見習い魔法医。
  みたいな存在なんだけどね。
  ふふふv

  「へぇ。魔族さんに魔術をふうじられちゃったんですか。それは災難でしたねぇ。」
  いって、必要な書物を用意するために、うろうろとしてる少女。
  そして、材料などがはいった宝箱の中から必要と思われる材料を取り出しつついってくる。
  「…これが…なのか?」
  「ものすっごぉぉく不安なんだが……」
  ごそごそと埃のかぶった魔法書などを取り出しては用意しているキラをみつつ。
  不安そうな声をだしているルークとゼルガディス。
  「あの?それで、ゼルガディスさんたちの魔力は元にもどるんですか?」
  そんなキラにと心配そうに問いかけているアメリア。
  何しろ、今のゼルガディスって普通に叩いただけで痛がるくらいまで弱体化してるからねぇ。
  まったくもって根性がないったら。
  「戻ります。」
  アメリアの問いかけに即答する。
  「ほんとか!?」
  そんなキラの即答をうけ、思わず身を乗り出してルークが何やらいってるけど。
  「はい。大丈夫。治療の仕方はちゃんと習ってるし。
    たしか…六年前に一度、同じような患者さんをおじいちゃんとみたことあるし。」
  いいつつも、机の上に必要な魔法薬や材料を用意し作業を始め、
  「おじいちゃんは去年。引退したんです。それで魔法医ルナンの名前を私がついだんです。
    おじいちゃんは今。持病の腰痛の治療のために温泉旅行にいってるんです。
    やっぱり自然治療も大事だとかいって。私もついていきたかったんですけど。
    もしお客さんがきたらいけないから。というのでのこってたんです。」
  いいつつも、直し方がかいてある羊紙皮をみて用意した材料で作業をはじめるキラ。
  分量どおりに、薬などをはかりつつ。
  粉状のものを扱っている最中。
  「は…はくしゅっ!」
  そのままくしゃみをしてそれらを吹き飛ばしていたりする。
  「い、いっけな〜い!」
  そのくしゃみの反動で、容易していた薬すべてが吹き飛んでいたりするけど。
  「……何かものすごい不安なんだが……」
  「大丈夫ですよ。ゼルガディスさん。……たぶん。」
  ため息とともに、つぶやくゼルガディスに、励ますようにといっているアメリア。
  「…その多分って……」
  「……怖くてもリナさんたちにお願いしたほうが早かったかも…ですわね……」
  「それだとあいつらのことだ。ぜったいに後々何かこきつかわれるぞ?」
  おもいっきり不安そうにつぶやくゼルに、そしてまた。
  あたしとユニットに頼んだほうがよかったかも。
  などといっているミリーナ。
  そんなミリーナにすかさず突っ込みをいれているルーク。
  そんな会話をしている最中にも、材料が一通りそろい。
  ちょっとした大きさの壷を用意して、その中にと材料を放り込み始めているキラ。
  そんなキラの手伝いをせっせとゼロス二号がしてるけど。
  「えっと。オッペの実とコーマの尻尾…それと……」
  治療法がかかれた洋紙皮を片手に、壷の中にととにかく材料をいれてゆく。
  そして、ふと首をかしげ。
  「あの。すいませ〜ん。これって何てよむんですか?」
  書かれている文字がよめずに、近くにいるゼルにと聞いてるけど。
  「……アオンドラ…だ。」
  「あ。そうでした。どうもです。」
  ため息とともに説明するゼルにペコリと頭をさげて、再び作業にもどってゆく。
  「あ。そうでした。どうもです。」
  ため息とともに説明するゼルにペコリと頭をさげて、再び作業にもどってゆく。
  「ものすっごぉぉい不安なんだが……」
  「本当に大丈夫なのか?」
  「……さあ?」
  何やら思いっきり負の要素を振りまきつつも、とりあえず静かにまっているリナ達。
  リナ・ゼルガディス・アメリア・ルーク・ミリーナの五人。
  マルチナはマルチナで、ゼロスがキラの手伝いをしていることから。
  ゼロス様って子供にも優しいのですわね。
  何て素敵v
  などと、自分の世界に浸っていたりするけども。
  ガウリイはガウリイで、
  何かあるんだろ〜なぁ。
  などと思いつつも、そのままリナの横でぼ〜と立っていたりする。
  そんなそれぞれが、キラの作業を見守っているそんな中。
  「大丈夫。きっとよくききますよ。」
  ぐりぐりぐり。
  材料を入れ終わった壷の中身を木の棒でぐるぐるとかき混ぜる。
  だがしかし。
  ドロッ…
  ボチャ……
  『んげげ!?』
  『あらら……』
  液体の中にと触れていた木がそのまま解けるようにしてそのまま、壷の中にと落ちてゆく。
  それをみて、なぜか同時に叫んでいるルークとゼル。
  そしてリナとアメリアとミリーナの五人。
  「さってと。次は…っと。」
  いって、チョークを取り出し床にと六芒星を描き、その中心に布団をひき。
  「出来ました。後はここに横になってください。」
  にっこりと、ミリーナとゼルを見つめつつ言い放つ。
  フラッ……
  それをうけて、思わずよろけているミリーナに。
  「……えっとぉ。見た所調合法は間違っていないようですし。モノはためしにうけてみてはどうですか?」
  面白いまでにこの場に負の気が充満しているので、多少それで食事をしつつも。
  にこやかに、ミリーナとゼルガディスをみてそんなことをいっているゼロス二号。
  「じゃあ。お前がのんでみろっ!」
  そんなゼロスにゼルガディスが何やらいってるけど。
  「え?い、いやぁ。僕は……」
  「あのなぁ!」
  そんなゼルガディスの言葉を遠まわしに断っているゼロス二号。
  そんな二人の会話をききつつ、
  「ちょっとまて。ごきぶりに飲ませても意味がないとおもうぞ?
    こいつは根本的に違うしな。とりあえず、俺のミリーナに害がないかどうか。お前がさきに……」
  腕をくんで、きっぱりといいきっているルーク。
  「だから!何で俺が先になるんだっ!」
  そんなルークに面白いまでに突っ込みをいれているゼルガディス。
  「何だと!?俺のミリーナに害があるかもしれないようなものを先に飲ます気か!?」
  「ならお前が毒見でのんでみろっ!」
  「俺たちより、あんたのほうが体も丈夫だろうがっ!」
  「どういう理屈だ!」
  何やら二人して、面白いまでの言い争いをしているし?
  そんなほのぼのとしたやり取りを横目でみつつ、
  まずいわ。
  これでリナの仲間たちまで魔力を取り戻したら…
  まさかとは思うけど……
  そんなことを思いつつ、懐から小さな小瓶をとりだして。
  小瓶の表面になぜかドクロマークがついているそれを、
  キラがつくっている液体の入った壷の中にと小瓶のまま放り込む。
  「これで……」
  コポポ……
  壷の中の液体にマルチナが液体をいれると同時に泡が立ち上り。
  そして次の瞬間。
  どぐわぁぁぁん!!
  楽しいことにそままま爆発をひき起こす。
  爆発とどうじに家そのものがふっとんでいたりするけど。
  おやおや。
  そんなことを思いつつも、腕を上にとあげて簡易的な防御を張っているゼロス二号。
  リナはリナで、即座に自分達の周りに同じく防御結界をはってるし。
  ま、このあたり。
  ルナとの特訓で機敏になってるからねぇ。
  リナはv
  「ゼロス様v」
  ゼロスを助けてくれた。
  そう思い込み、ゼロスに何やら話しかけているマルチナ。
  ドグワッ。
  ゼロスが防御を解くと同時に、吹き飛んでいた壷がそのままマルチナにと直撃する。
  「な…何なのよ。」
  「…ん?…ああ!こんなのいれたら爆発するにきまってるじゃないですか。」
  同じく、落ちてきた小瓶を手にとり、目を丸くして叫んでいるキラ。
  「あんなモノを俺のミリーナに飲ませなくてよかったというべきか。それとも……」
  一人、何やらうなっているルーク。
  「残念でしたね。ゼルガディスさん。もうすこしでのめそうだったのに。」
  「お前らは!あれを俺に飲ますきだったのか!?アレを!?」
  しみじみというアメリアに、何やら叫んでいるゼルガディス。
  ルークやアメリア達がそんな会話をしているそんな中。
  「いけませんねぇ。マルチナさん。おかげで今のでいらぬお客さんを呼んでしまったようですよ?」
  空を見上げて言うゼロスの言葉と同時。
  空に雲が立ち込める。
  それをみて。
  「まぁたあんた。何かやったんじゃないでしょうね?」
  「え…お〜ほほほ。これぞゾアメルグスターの呪い。」
  リナの問いかけに、目を一瞬点にするものの。
  これも私の力にしてやりましょう。
  そんなことをおもいつつ、から笑いをあげながらいっているマルチナ。
  「…違うな。こりゃ。」
  そんなマルチナをあきれた表情でみてリナがつぶやくと同時。
  渦をまいた中心から雷がリナたちにむかって解き放たれる。
  「ちっ!」
  それをみて、すかさず短剣をそれにむけて投げているゼル。
  ピシャンっ!
  短剣が避雷針の役割をし、雷がそちらに逃げるけど。
  「ほう。魔術が使えんわりにはやるな。」
  いって、渦をまいた雲の中。
  そこから出現してくる骨もどき魔族が一体。
  その姿をみとめ、こそこそとキラと一緒に隠れているゼロス二号。
  「ま…魔族!?」
  「何でこんなところに魔族がくるんですか!?」
  「ちっ。やっかいだな。」
  「というか、また魔族……」
  「あの?あなた、命令まちがえてませんか?
    今回あのフィル殿下は一緒ではないですが?セイルーンはあちらですけど?」
  「そうそう。命令聞き間違えてどうすんのよ。」
  「ふ。間違いではない。リナ=インバース。お前に用がある。われはカンヅェル様の僕。
    ご命令とあらばどこへでもいき任務を果たすまで。」
  「?あたしに?いったい何のようよ?」
  「それは。リナ=インバース。お前に死んでもらうことだ!」
  いって指先を掲げるそれ。
  それとともに、上空に数十匹のレッサーデーモンもどきが出現する。
  「どうしてリナさんをねらうんですか!ですが!正義の心は我々にあり!」
  ぴっと、それにむけて指をつきつけ、すばやく混沌の言語(カオスワーズ)を唱え、
  「霊王結魔弾(ヴィスファランク)!!」
  力ある言葉を解き放つアメリア。
  それとともに、アメリアの拳に魔力が込められ、
  精神体である魔族にもダメージが与えられるようになっていたりする。
  それをみて。
  「……何!?」
  魔術をマゼンダ様が封じたはずではなかったのか?
  そんなことをおもい驚愕の表情を浮かべてるし。
  「ちょっと!あれなんなんですか!?」
  「魔族にきまってるでしょうが!」
  「魔族!?あれが!?」
  そんな会話をしているリナとマルチナの会話に割って入り、
  「もしかしてみたことないのか?」
  思わずといかけているルーク。
  「あたりまえじゃない!お育ちのいいわたくしがそんなものみたことあるわけないでしょう?
    わたくしはこの前まで皇女だったのよ。」
  きっぱりはっきりいいきるマルチナに。
  「でもマルチナさん?私もセイルーンの皇女ですけど。よくみてますよ?」
  きょとんとしていっているアメリア。
  「お前は特別だ。ぜったいに。」
  そんなアメリアにすかさずゼルガディスが突っ込みをいれてるけど。
  そんな会話をしつつも、
  「どうもそっちの情報がなってなかったみたいねぇ。
    そんな雑魚でこのあたしがどうにかできるとでも?」
  いって、不適に笑い。
  「烈閃槍(エルメキアランス)!!ブレイク!!」
  チュドド!
  バシュシュ!!
  リナの放った光の槍が言葉とともに炸裂し。
  一気に数十体のレッサーデーモンを消滅させる。
  「…何だと!?」
  面白いまでにうろたえ。
  そして。
  「ば…馬鹿な!?マゼンダ様が魔力を封じたのではなかったのか!?」
  おもいっきり動揺してそんなことをいってるし。
  「あたしにはきかなかったみたいだけど?」
  「私はあのとき。あの逆五紡星の魔法陣の中にはいませんでしたし!」
  きっぴりはっきりと言い切っているリナとアメリア。
  そしてまた、
  「きゃぁぁ!助けてぇ!ゼロス様ぁ!」
  いいつつも、壷にはまったままで逃げ惑っているマルチナ。
  そんなリナ達の様子を壊れた建物の背後で見ているゼロス二号とキラ。
  「?いいんですか?助けにいかなくても?」
  「いろいろと事情がありましてね。おおっぴらに動くわけにはいかないんです。」
  両手を顔にあててそんなことをいっている二号だし。
  キラはそんなゼロスをみて首をかしげているけども。
  ゼロスたちがそんな会話をしているそんな中。
  「俺は何でかきかなかったしな。さ。覚悟するんだな?
    チビリナのやつが本気になるまえに、降参したほうがいいぞ?たぶん。」
  「ルークぅぅ!誰がチビなのよ!誰が!」
  「お前にきまってるだろうがっ!」
  「ぬぁんですってぇぇ!またいってはならないことを!
    んっふっふ……あんたがそういう気なら今度こそ……」
  「闇よりもくらきもの、夜よりもふかきもの、混沌の海よ、たゆたいし存在……」
  「ってぇぇ!リナさん!その術だけはやめてください!その術だけはっ!」
  すばやい口調で完全版の重破斬(ギガスレイブ)を唱えるリナ。
  そんなリナの呪文をきき、顔を真っ青にし叫びながら瞬時にリナの側にと出現しているゼロス二号。
  「お…お前は!?」
  そんな出現したゼロスをみて、驚愕の表情を浮かべている骨魔族。
  「…ルーク。こちらのリナさんにも下手なことはいわないでください。
    あちらのように、いきなり周りが無の空間とかになったらどうするんですの?
    私達の知っているリナさんは、ミリーさんとかが再生させてますけど。
    普通の人間にあんな状態で再生させたり。とかいうのは不可能のはずですし。」
  「……『いきなり無の空間』って……」
  そんなルークに突っ込みをいれているミリーナの言葉に、
  なぜか冷や汗ながしつつつぶやいているゼルガディス。
  「だぁぁ!とめないで!ルークのやつ、消滅させてやるぅぅ!」
  「ですから!やめてくださいってば!この世界ごときえてしまいますよっ!」
  いって。
  「…いや、それまではいかないかもしれませんが。何しろあの御方が……」
  何やらぶつぶついっているゼロス二号だし。
  「お〜い?ゼロス?リナに呪文を使わせたくないんだったら、お前がどうにかしろよ?」
  「し…仕方ありませんね。背に腹はかえられません。」
  いって、深くため息をつき。
  「僕が始末しますから。く・れ・ぐ・れ・も!
    リナさんはあの御方の召喚呪文だけはやめてくださいぃぃ!」
  何やら悲痛な叫びをあげながらもリナにいってるし。
  『召喚呪文って……』
  なぜか異口同音で声を重ねている、ゼルガディス・アメリア・ルーク・ミリーナを完全に無視し。
  上空にと浮かんでいる骨魔族に視線をうつし。
  「と。いうわけで?もうしわけありませんが。滅んじゃってくださいね。」
  にこやかにいって。
  すっとその手にもっている錫杖を構えるゼロス二号。
  そして。
  「四界の闇を統べる王、汝ら欠片の縁に従い、汝ら全員の力もて、我に更なる魔力(チカラ)をあたえよ。」
  ゼロスの言葉をうけて、ゼロスのはめている紅い宝玉のついたブレスレッドが鈍くひかる。
  「暴爆呪(ブラストボム)。」
  錫杖を地面に突き立てると同時。
  錫杖の周りからちょっとした炎がまきおこる。

  「な…なぜお前がここに!?」
  炎によってリナ達の視界から二人の姿がさえぎられる。
  それに驚いて回りを見渡している骨魔族。
  それと同時に、しゅっと目の前にと出現しているこちらの世界のゼロス二号。
  こいつがいるなんて聞いてないぞ?
  そんなことを思いつつも、恐れながらも。
  「……く……」
  何やらうなってるし。
  「それは秘密ですv」
  すっと閉じていた目を見開いて紫の目で見つめ返し、
  すっと人差し指を口元にもっていきいっているゼロスの姿が。
  腹心の次に実力がある。
  といわれている相手と対峙するには自分はあまりにも力不足。
  それゆえに完全に固まってるけど。
  にっこり言い放つと同時。
  どすっ。
  その手にもっている錫杖をそのまま骨魔族の懐にと叩き込むゼロス。
  それと同時に本体そのものにも力を加え、本質から攻撃し。
  当然。
  まがりなりにも獣神官の役についているものと、役のないどうでもいい下っ端魔族。
  その差は歴然。
  瞬時のうちにとそのまま消滅してゆく。
  そのまま、残りの下級魔族もどきたちも一瞬のうちに掻き消えてゆく。

  完全にもう大丈夫。
  そう判断し、隠れていた場所からごそごそと家の跡にと向かい、
  とりあえず、その破壊された家の中の瓦礫の後をたしかめ、
  「あらら。もう薬はつくれません。」
  といっているキラ。
  ま。
  このキラ。
  昔、ああいった魔族を幾度かみたことあるからねぇ。
  祖父の関係でv
  それゆえにあまり動じてないんだけど。
  そんなキラの言葉をうけ、
  「え〜!?もう薬はつくれない!?どういうことよ!?」
  思わず叫んでいるリナに対し、
  「さっきの爆発で全部燃えちゃいました。」
  きっぱりさらっといっているキラ。
  「いやぁ。危ないところでしたね。」
  「へ〜。くさっても一応はゼロスね。」
  「だな。パシリ二号ではあるけど、実力はこいつあるからな。」
  「…ひどい。リナさんもルークさんも……」
  戻ってきたゼロス二号にさらっという二人の言葉に、
  何やらいじけているゼロス二号だし。
  事実でいじけてどうするのよv
  「ゼロス。一応お礼はいっとくわ。でもって。そのタリスマン。売って!」
  「は?」
  「首からさげたのと。両手首にはめているやつと。ベルトのバックルにつけてるやつ!
    その四つをつかって魔力の魔力容量(キャパシティ)を増幅している。」
  「さっすが。みやぶられちゃいましたね。」
  「最初に唱えた呪文の内容は、は魔力の拡大だったもんね。あんたに必要とはおもえないけど。
    呪文だけで拡大するんだったら苦労はしないわ。」
  「何でも魔血玉(デモンブラッド)とかいう石で。それぞれが赤眼の魔王(ルビーアイ)。
    蒼穹の王(カオティックブルー)。闇を撒くもの(ダークスター)。白霧(ディスフォッグ)
    この世界の魔王と、異世界の魔王の四体をあらわしているとか。」
  「へ〜。こっちのやつもそれもってるのか。」
  「たしか。ゼロス一号さんももってましたわね。」
  「話が大きいわね。なおさら。それ売って!」
  「ダメですよ!これは高貴なるお方からもらった大切なものですから!
    第一!リナさんはあの御方達からもらったペンダントとかがあるじゃないですか!」
  「それはそれ。これはこれ?」
  「二百。いや、おもいきって三百だしちゃう。いやぁ、ふとっぱらだねぇ。リナちゃん。」
  「ええい。四百!」
  「何であんたが参加するのよ。」
  「ゼロス様。リナに売るくらいならこのマルチナに譲って。出世払い。分割。利息なし。」
  「そうはいくか!五百!」
  「いえ。ですから……」
  「五百五。」
  「五百二十。」
  「五百三十。」
  「…ですから…話を……」
  「でええぃ。五百五十。これでどうだ!」
  「五百五十万なら……」
  「よおしっ!買ったぁ!」
  「でぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?」
  「クラウネの根が一束と。メルティアの薬が二つ。
    フーデリンの指輪とレムタイトの原石。おまけにクルアの丸薬もつけちゃう。
    これだけあれば捨て値でうっても軽く五百五十万は超えるわよ。」
  「で…ですが……」
  「売るわね?」
  「う・る・わ・ね!」
  「は…はい……」
  「はっきりいって詐欺だな。」
  「というか。詐欺そのものだろうが。」
  そんなリナとゼロスのやり取りをみてそんなことをつぶやいているゼルガディスとルーク。
  魔族が嘘をつくのは自分の弱体化をも招くこと。
  それに……下手にことわってまたあれを唱えられても……
  そんなことを思いつつも、ため息とともに、首飾りとベルトバックル。
  そしてブレスレッドをそれぞれ外し、その四つをリナにと手渡しているゼロス。
  「さってと。これはゼルにね。」
  「俺にか!?」
  リナから手渡され、思わず驚きの声をあげ。
  そして。
  「てっきりお前はそれも独り占めにするもんだと……」
  「ですよね。リナさんですし。」
  「誰があげるっていったのよ!貸すの!貸すだけにきまってるでしょうが!
    今のあんたは赤ん坊より無力になってるからね。で、貸し出し料は…っと?」
  ごけけっ!
  いとも当然のようにいうリナの言葉に、なぜかその場にことごとくこけている、
  ルーク・ゼルガディス・アメリアの三人。
  そして。
  「…やっぱりそうきますか。どちらのリナさんもリナさんだというか……」
  「まあ、それもリナのいいところなんだけどな?」
  何やらしみじみとそんなことをいっているミリーナとガウリイ。

  「まあ、たしかに。ゼルガディスさんは今かなり無力ですからねぇ。
   ですけど、それを身につけてもたいした魔力がつかえるとも。」
  「それはわかってるわよ。だけど、今のゼルは赤ん坊より無力だし。」
  ゼロスとリナがそんな会話をしている最中。
  ふと、未だに壷をかぶったままのマルチナが、その中にあるとある物体にと気づき。
  「ねえ?これなあに?さっきの爆発で紛れ込んだみたい。」
  いってそれを取り出してゼロスたちに見せていたりする。
  小さな箱の中にはいった小さな本。
  その表面には六芒星がかたどられた表紙がついていたりする。
  「まさか…それは!?」
  それをみて、思わず目を丸くしているゼルガディスに。
  「それは!」
  何やら叫んでいるルーク。
  「らっき〜!本当にあったんだ!」
  そしてまた、にこやかにそんなことをいっているリナに。
  「あれって。まさか……」
  表紙をみてつぶやくようにいっているアメリアに、
  「間違いないわ。異界黙示録の写本ですわね。」
  淡々と、それでいて多少驚きつつもいっているミリーナ。
  「?クレ?何ですか?それは?」
  そんなリナたちの会話をききつつ、首をかしげ。
  それって昔の私のお絵かき帳。
  そんなことを思いつつも問いかけているキラ。
  「ふ。決まってるじゃない。ウクレレの教本よ。」
  そんなキラの問いかけに、自信満々にまったく嘘をいっているマルチナ。
  「嘘をいってはいけませんよ。私が少々教えてあげましょう。」
  そんなマルチナの台詞に、ふっとため息をつき、ゆっくりと手前に歩いてくるゼロス二号。
  「はい。ゼロス様?」
  そんなゼロスの声に、すんなりと従っているマルチナ。
  「異界黙示録(クレアバイブル)。それはこの世界に伝わる伝説なんです。
    こことは別の世界の魔王や魔族たちの伝承。
    果ては私達の魔道奥義までが克明に記されているという伝説の魔道書。
    それが異界黙示録(クレアバイブル)なんです。
    ま、なかなか本物の写本にはお目にかかれないのですが。
    ラッキーというか、何というか。」
  嘘でもないけど完全に正確ではない説明をしているゼロス二号だし。
  そんなゼロスの説明は何のその。
  「あ。ルーン文字じゃない。いよいよ本物っぽいわね。」
  それを覗き込んでパラリとめくっていっているリナ。
  「あ、ほんとうだ。」
  そしてまた、そんなリナの横からそれを覗き込んでいっているアメリアに。
  「何がかいてあるんだ?」
  同じく、リナの背後から覗き込みつついっているルーク。
  「お前にくっついてたら、本当に向うのほうからいろいろと近寄ってくるな。」
  そしてまた、ルークの横でリナの斜め背後から覗き込むような格好で、
  ふっと息をつきつつそんなことをいっているゼルガディス。
  「どういう意味よ?ゼル。」
  そんなゼルガディスに思わず突っ込みをいれているリナ。
  「言葉どおりだが?」
  「あのね!」
  「…それで。いったい何が……」
  「ちょっとまってね。…って、これって!?」
  問いかけるミリーナの台詞に、改めて解読しつつめを通し。
  思わず小さく叫びをあげているリナ。
  これって…昔からあたしが研究してた術の奥義みたいなものじゃないのよ!
  らっき〜v
  などと思っているリナ。
  「どうやら、すでに失われたはずの術の一つの奥義書みたいよ。」
  いいつつも、それを覗き込んで解読を始めているリナ達の姿が。

  さて…どうしましょうかね?
  あれに書かれているのが…何なのか。
  この僕もわかりませんし。
  まさかこんなところで、本来のお仕事ができるとは……
  無関係な人間に知識を与えるのは……
  先に燃やしちゃいましょうか。
  そんなことをゼロス二号が思っているそんな中。
  「ゼロス?処分するなよ?」
  いつのまにかガウリイがゼロスの背後にいき、耳元でそんなことをいってるし。
  「いやあの……」
  ゼロスが言いかけるより早く。
  ぽんっ。
  「ゼロス。リナがみるっていってるんだから、みせるよな?当然。
    もし先に燃やしたりして処分したら、エルたちの正体。ルーク達はともかく。
    こっちの全員にも教えるからな?」
  ゼロスの肩にと手をおき、にこやかにゼロスのみに聞こえるようにいっているガウリイ。
  「ガウリイさんっ!僕を脅迫する気ですかっ!」
  そんなガウリイの言葉に目を丸くしてゼロスが何やらいってるけど。
  「オレはべつにどっちでもいいけど?どうするんだ?」
  そんなゼロスの態度にはまったく目もくれずに、にっこりと言い放っているガウリイ。
  「……し、仕方ありません……ですけど。読み終わったら処分しますからね……」
  このガウリイさん…リナさんが絡んだら本当に言いかねませんしね……
  し…仕方ありません。
  ここは、あきらめましょう。
  ……あれに書かれてるのがあまりあの御方に関することでなければいいのですが……
  そんなことを思いつつも、がっくりと力を抜いているゼロスの姿が。
  そんな二人の態度を首をかしげてみているキラ。
  まあ、キラは今の会話をきいてても、意味がわからないしねぇ。
  もし、ルークとかがきいてたら、予想は立てたでしょうけど。
  ルークもミリーナもまた、今はリナが手にもってる写本に夢中だし…ねv

  「おのれ、リナ=インバース!くさい芝居でわたくしのゼロス様の気をひくなんてぇ!」
  リナだけではない。
  というのに、リナ限定で、そんなことを言っているマルチナ。
  ゼロスはといえば、解読がおわってから燃やすとしますか。
  などとおもいつつ、常に状況を背後で見守っているんだけど。
  マルチナの目には、ゼロスがじ〜と熱い視線でリナを見ているように映っていたりする。
  「……これって、何かもしかしなくても……」
  そこに書かれているのは多少、あたしのことに触れつつも。
  この世界の神と魔について書かれていたりする。
  ちなみに、その力の融合方法なども?
  リナって昔から融合魔法。
  研究してたからねぇ。
  未だに完全なやつは発動させてなかったものの?
  さすがに、そこにかかれている内容に気づいて思わず声をあげるミリーナに。
  「?……何か、金色の魔王とかかかれてますけど……」
  「…え゛!?」
  ピッシ。
  思わずつぶやいたアメリアの台詞に、なぜかゼロス二号はその場に固まってるし。
  まったく、情けない……
  「どうやら。はるかな古に実在したという、混合魔法の奥義みたいだな。」
  リナがもっている魔道書を覗き込むようにして解読していたゼルガディスがぽつりとつぶやき。
  「…みなさん。熱中しちゃってますね。」
  じ〜と、リナ・アメリア・ゼルガディス・ミリーナ・ルークの五人で呪文書を覗き込んでいるのをみつつ、
  ぽつりといっているキラ。
  「混合?…そ〜いや、前。エルのやつ、デュグ何とかってやつと、ヴォル何とかってやつ。
    何かおっことしてたな〜。あのときも何か混合何とかとか、別のところの神族の人がいってたけど。」
  さらり。
  と何やら暴露しているガウリイ。
  「…あの?ガウリさん…それってもしかして…もしかしなくても……
    闇を撒くもの(ダークスター)と漆黒の竜神(ナイトドラゴン)のことじゃあ………」
    この世界とは別のあの……」
  そんなガウリイの言葉に多少震えるこえでゼロスが問いかけ。
  「よくわからんが。何かんなこといってたぞ?」
  きょとん。
  といっているガウリイ。
  「…………それ、リナさんたちには…まさかいってませんよね?」
  ……あの御方…あちらでいったい何をしていたのでしょうか……
  ですけど、それを知られたら。
  あの御方の正体がリナさんたちにばれかねませんね……
  などと思いつつ、ガウリイに確認しているゼロス二号。
  「まだ話してないぞ?」
  「お願いですから絶対に話さないでください……」
  おもいっきりそんなガウリイにと懇願している二号だし。
  どういう意味かしらねぇ。
  あとでゼロス二号はお仕置きね?

  最後のページをめくると同時。
  リナたちの目に飛び込んでくる色とりどりの落書きが?
  「…よ、よめない。」
  どでっ。
  それをうけて、なぜか、リナとルーク、そしてゼルガディスがその場に倒れ伏しているけど。
  「あ、落書きされてます。」
  それを覗き込んで、みたままをいっているアメリア。
  「…あ、なつかしい。これって三歳のころの落書きです。たしかもういっさつあったのは。
    全部落書きしちゃって、焚き火の材料にしましたっけ?」
  投げ出された呪文書をみて、それにかけより、そんなことをいっているキラ。
  「何ですってぇ!?もういっさつあったわけ!?」
  そんなキラの言葉に思わず目を見開き、問いかけているリナだけど。
  「というか、これだと肝心な部分が全然よめませんわね。」
  そしてまた、冷静に、落書きされているページをみてそんなことをいっているミリーナ。
  リナ達がそんな会話をしているそんな中。
  しゅっと、地面に置かれて…というか落ちていたままの呪文書を手にとり、
  瓦礫の上にと移動し。
  「お〜ほほほほほほ。何だかわからないけど、残念だったわねぇ。」
  などと、呪文書片手に高笑いを上げているマルチナ。
  「…何いってんだか。ほら。さっさとかえしなさいよ。」
  またこいつは…何をしようとしてるんだか……
  そんなことを思いつつ、額に手をあててリナがマルチナに言い放つけど。
  だが、そんなリナの言葉は何のその。
  「この写本っていうのが手にはいればこっちのもの。
    これをうって、魔人ゾアメルグスター様の復活の資金にするのよ。
    まっていてください。ゾアメルグスターさま。復活のあかつきには、にっくきリナに……」
  「やれやれ。しょうがないですねぇ。」
  そんなマルチナの台詞をききつつ、ゼロスが小さくつぶやき。
  それとともに、
  マルチナが何やらいっている最中。
  マルチナが手にした魔道書が一瞬のうちにと燃え上がる。
  「お〜ほほほ。って…あちちちち。」
  いきなり燃え出した本を手放すマルチナ。
  それとともに、魔道書は地面におちてそのまま炭と化してゆく。
  「ゼロス。お前!」
  すぐにゼロスの仕業とわかったゼルガディスが何やらいい。
  「おのれ!リナ!よくも!」
  「…あたしじゃない。っていっても無駄よね。もう勝手にして。」
  ため息をつきつつもいっているリナ。
  ま、マルチナは思い込んだら人の話なんかまったくきかないから…ね?
  くすっv
  しばし。
  何やらほのぼのとした光景が繰り広げられてゆく。
  さってと。
  そろそろいいかしら…ね。
  ふふv

                   −続くー

 

######################################

あとがきもどき:
  薫:何気に。リナとルーク。そしてルークとゼルガディスの掛け合いがすきだったりv(まて
    あのメンバーで言い争ったらたぶん面白いとおもうんですよね〜。
    ゼルも譲らないだろうし。とうぜんルークも譲らないv(だからまて
    ガウリイは、さすがに伊達に二年くらいエル様と旅をしていただけあって。
    度胸とかかなりついてます(笑
    ……ま、散々異世界の魔王とかの呼び出しとかにも直面してますからねぇ…ガウリイ……
    その意味では、もう何があってもあまり動じなくなってるのかもしれません(笑
    人間。理不尽なことになれたら常識(?)的なことは些細なことに感じる…はず(汗
    さてさて。次回でようやくセイルーンに残ってるエル様とスミレちゃんのサイド♪
    さて…気の毒なのは誰なんでしょうねぇ(笑
    お二人があちらで遊んでいる間に、それではまたv
    今回はお二人がこられるまえに、次回予告v
    それではまた、次回にてv
    ではではvv

 

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32811スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜13話〜かお E-mail URL2006/10/4 15:25:09
記事番号32804へのコメント



  まえがき&ぼやき:

  今回のネタは、ほとんど神滅斬に関係ないような気も(笑
  一番のネックは、ガウリイのやっぱりネタばれ(まて)と、エル様の暴露…かなぁ?
  何はともあれ、続きをいくのですvv

  #####################################


      スレイヤーズフォーエバーinNEXT
     〜迫りくる闇の声、切り裂け神滅斬(ラグナブレード)〜


  「あのぉ?エル様…いったい、僕はいつまで……」
  「はいはいv文句をいわないv」
  「いや、文句も何も…これだけでもかなりの負担かかってるんですけど……」
  セイルーンの神殿の中心部。
  その地下にとある魔法陣の中でそんなことをいっているゼロス。
  「そうよ。ゼロスさんvたかが、姿形をフィルさんにしてるだけじゃないv」
  「…姿かえられないようになさってますけどね……」
  何やら、その中心であたし達に泣きそうな表情で何やらいってきているのは。
  フィルの姿に変えているゼロスの姿。
  「しかし。身代わりとは。よくもまあ、そこまで同じ姿になれるものですな。
    それで、兄上は……問題ないのですか?」
  フィルの姿がみえないことをうけて、そんなことを聞いてきているクリストファー。
  というか。
  「あら?それは心配ないわよv」
  真横にいるのに気づいてないしv
  くすっv
  「父上!」
  そんな会話をしている最中。
  用事があるから。
  といって席を外していたアルフレッドが戻ってくる。
  ちなみに、アルフレッドにはゼロスをフィルの姿に変えている。
  というのは当然知らせてはおらず、目の前の魔法陣の中にいるフィルの姿をしているゼロスが、
  フィル当人だと思いこんでいたりするけど。
  それは別に説明することでもないし?
  「まあ。とりあえず。この中で相手がくるのをのんびりと待ちましょv」
  「そうそう。そのうちに相手のほうからやってくるしね。」
  「まあ。ここが一番安全ではありますからね。」
  そんなあたしたちの会話をききつつも、魔法陣の外にてそんなことをいっているクリストファー。
  「お暇なようですね。」
  そんな会話をしている最中。
  コツッ……
  足音を響かせて、部屋にと入ってくる人影が一つ。
  ゆっくりと影からでてくる紅い髪。
  「マゼンダ殿。」
  その姿をみて、この場にいる神官長が思わずつぶやいていたりするけど。
  ちなみに。
  いまだに、この彼。
  マゼンダたちが魔族だって説明してるのに、半信半疑だったりするのよねぇ。
  まあ、どうでもいいけど。
  「まあ。何ともおかわいそうに。これではまるで籠の鳥。」
  そんなことをいいつつも、こつこつとあたしたちのほうにと近づいてきて、
  そのまま、魔法陣の中にと足を踏み入れる。
  マゼンダが足を踏み入れるのと同時。
  ちょっとした術を彼らがかけていたりするのは、情けないことにも、
  クリストファーも誰も気づいていなかったりする。
  「で?何ようですか?マゼンダさん。」
  そんなマゼンダに、ため息をつきつつも問いかけているゼロス。
  そういうゼロスの声は、マゼンダには、
  「で?何用かな?マゼンダ殿」
  というように聞こえて、表情を崩していないフィルの容姿に映っていたりするけども。
  魔族のみにはゼロスの口調がフィルの口調に聞こえるようにしてみたりv
  「ええ。ぜひともフィル殿下にわたくし共のゲームのお相手をねがいたくて。
    ご一緒にどうぞ?わたくし共のゲーム盤にご招待いたしましょう。」
  マゼンダがそういうと共に、足元の魔法陣が赤く輝き。
  それと同時にあたし達の姿もまた掻き消える。
  「ああ!?大きいほうのリナ殿!?」
  「これは!?いったい……」
  神官長や、クリストファーが驚愕の叫びを上げているそんな同時刻。

  「…あれ?」
  「…何だ?」
  「…え?これは……」
  「…え?」
  いまだに写本を覗き込んでいたアメリア達。
  それぞれの体がいきなり光り輝き始めたのをうけ、何やらそれぞれにつぶやいている、
  アメリア・ゼルガディス・ミリーナ・ルークの四人。
  彼らがそれぞれつぶやくと同時。
  シュッ…ン。
  彼らの姿はその場より一瞬のうちにと掻き消える。
  「え!?きえちゃいましたよ?!」
  そんな彼らをみて、驚きの声をだしているキラに。
  「ふっ。ずいぶんこったマジックね。」
  などととことん勘違いしまくっているマルチナ。
  「…いったい、何が?」
  いきなり目の前で、アメリア達が消えたのをうけ、戸惑いの声をあげているキラ。
  そんなキラにと。
  「どうせエル達がまた何かやったんだとおもうぞ?」
  さらっと何でもないように言っているガウリイに。
  「…つ〜か、離れた場所からも移動できるんだ…さすが姉ちゃんの知り合い……」
  それをうけて、何やら額に手をあててうなっているリナ。
  そんな最中。
  「おおい!リナ殿にガウリイ殿ではないか!?」
  何やら聞きなれた声が小さくリナ達の耳にととどきゆく。
  それとともに。
  「あ。アレ、何でしょうか?」
  「…のろし…のようですねぇ。」
  キラが山の向う。
  つまりはセイルーンのほうから立ち上る煙を目にし、指を指して疑問がり。
  そんなキラに答えるようにといっているゼロス二号。
  「…セイルーンに何かあったんだわ。」
  リナがつぶやくと同時。
  再び。
  「おおい!リナ殿にガウリイ殿!!」
  何やら足元のほうから、聞きなれた声が小さく再び聞こえてきたりしてるけど。
  実は。
  アメリア達をこっちに呼ぶかわりに、リナたちのほうに送り出した人物がいるのよね。
  ふふv

  「……あれ?…叔父様…って、んきゃ!?」
  その直後。
  あたしたちの姿が掻き消えると同時。
  一瞬、アメリア達もまた魔法陣の真上に出現するものの。
  だがしかし。
  そのまま、アメリア達の姿もまた掻き消える。

  「な!?いったい!?…と、とにかく!誰か胸のないほうのリナ殿に連絡を!」
  今一瞬魔法陣の上に現れた人物の中に、リナの姿は見えなかった。
  それをうけ、そんなことをいっている神官長。
  どうでもいいけど。
  それ、リナが聞いたら怒るの目に見えてるでしょうねぇv

  「…ここは?」
  さっきまでたしか。
  私達は外にいたはずですけど……
  でも、ここどこでしょうか?
  そんなことを思いつつも、きょろきょろと周囲を見渡していっているアメリア。
  そしてまた、
  「……というか。リナさん!?」
  「……まぁた、かってに移動させたな!?てめぇは!?」
  あたりを見渡しあたしの姿を認め、何やら驚きの声をあげてくるミリーナに。
  なぜかつっかかってきているルーク。
  そんな二人とは対照的に、しばらく自分の置かれた状況を確認しようと、
  周囲を見渡していたアメリアとゼルガディスが、目の前にいるマゼンダにと気づき、
  「ああ!?マゼンダ!?」
  「なるほど。やっと正体を現したわけだ。胡散臭い宮廷魔道士。」
  などとそれぞれ交互にいっているアメリアとゼルガディス。
  そんなゼルガディスの意見を否定するわけでもなく、ただにっと笑っているマゼンダ。
  私はこの子たちは呼び寄せてないけど。
  たぶん、カンヅェルが何かしたんでしょう。
  それで思い込んで納得してたりするし。
  カンヅェルはカンヅェルでマゼンダが呼び寄せた。
  と思い込んでいるようだけど。
  実は、どっちもその考えはハズレなのよね。
  くすっvv
  「なるほど。そうとわかれば、その胸にみちた悪。
    我が正義の鉄槌をもって打ち砕いてみせるわ!」
  今の状況が気にはなるものの。
  だがしかし、相手のほうから出向いてきたのならば話は別。
  そんなことを思いつつ、ぴっとマゼンダにむけて指を突きつけて言い放つアメリア。
  「ふふふ。正体ですって。まさかこんな正体を…期待してたんじゃないでしょうねぇ。」
  そんなアメリアの台詞に、にっと笑い、わざわざご丁寧に姿をかえているマゼンダ。
  何やらひょろっとした体型に、口も鼻もない姿形になってるけど。
  まったく、何考えてるのかしらねぇ……
  せめてもうすこし考えてから実体化しなさいよね。
  一応、人と同じ姿かたちをとれる程度の実力はあるんだから。
  こいつらは……
  「やはり魔族か。」
  そんなマゼンダの姿の変容にため息まじりにつぶやいているゼルガディス。
  「あら。だから幾度もいってたじゃないv」
  そんなゼルガディスにとひとまずつっこみをいれておくあたし。
  「それはそれ。これです。それはそうと。
    もう一人の小さいほうのリナさんと、ガウリイさんの姿がみえませんけど?」
  それであっさりとすまし。
  きょろきょろと周囲を見渡してリナとガウリイの姿がみえないことに気づいて、
  あたしとユニットに問いかけてきているミリーナ。
  「ああ。あの二人なら、まだキラさんのところよv」
  そんなミリーナににこやかに答えているユニット。
  そんなあたし達の会話に首をかしげつつ、
  「ともかく。どちらがリナ=インバースかわからない以上。
    とりあえず、あなたのほうもお相手さしあげるわ。
    お仲間であるあなたたちにもね。さあ、ゲームを始めましょうか。」
  などと、勝利を確信し、なおかつ食事ができる、と思い込んでそんなことをいってくる。
  「……マゼンダさぁん……」
  そんなマゼンダにと何やらゼロスが不安そうな声をだしてるけど。
  そんなゼロスの声はとりあえず、マゼンダたちには聞こえないようにしておいて…っと♪
  ちなみに、いまだにゼロスの姿はフィルのままv
  さってと。
  お遊びタイム、開始しますか…ね♪

  マゼンダの開始の声とともに、背後に出現する些細な数のレッサーデーモンたち。
  …どうせならせめて純魔族、と呼ばれてるヤツラくらいそろえなさいよね……
  それとともに。
  バシュ!
  マゼンダから、手始めの魔力の塊がこちらに向かって投げられてくる。
  「ふふふ。どれだけ頑張れるかしら?」
  マゼンダが放った術を防御結界を張ってこらえているアメリアとルーク。
  そしてまた。
  一人、何やらこめかみに手をあててうなっているフィルの姿をしているゼロス。
  マゼンダから放たれた術の効果がなくなったのと同時。
  すばやく呪文を唱え、
  「崩霊裂(ラ・ティルト)!!」
  バシュ!!
  自分達に同時にむかってきていたレッサーデーモンたちに術を叩き込んでいるアメリア。
  「きりがありませんわ。…私の術もまだ回復してませんし……」
  「てめえら!俺のミリーナに触れようとするやつはようしゃしねぇ!」
  戸惑いの声をあげつつも、簡単にルークに短剣に術をかけてもらい、
  体術と、剣のみで、レッサーデーモンたちをさばいているミリーナに。
  そんなミリーナを守るかのように、というかよってくる輩を蹴散らすかのごとくに、
  レッサーデーモンなどをたたっきっていっているルーク。
  そんなそれぞれの行動をみつつも、
  「それよりもここから脱出だ。」
  全員を見渡して何やらいってくるゼルガディス。
  「ええ?でもどうやってここから脱出するんですか?
    ゼルガディスさんも、ミリーナさんもまだ魔力復活してないのに!」
  そんなゼルガディスに思わず突っ込みをいれているアメリア。
  「よっしゃ!因を律するもの、来るべきもの、去りゆくもの。
    その結ばれし鎖を断ち切り我が意のままに、我が為すままに。」
  ゼルガディスの言葉をうけて、口早に呪文を唱え始めているルーク。
  「召喚魔法?そうか。この前リナさんがやったみたいに。」
  そんなルークの言葉に首を一瞬かしげるものの、すぐさまに思い当たり、
  ぽんっと手をうっているアメリア。
  「いでよ。我が盟友!」
  ルークの術が完成するものの、それは形にはならずに空間干渉は恥じかれる。
  「な!?空間がやぶれない!?」
  いつもなら、この術で簡単に魔族の結界なども最近は破れていたのに。
  そんなことを思いつつ、驚愕の声をあげているルーク。
  というか。
  実は、あたしがちょっぴし今のルークの業。
  無効化させたのよね。
  ふふv
  ルークたちに気づかれないようにv
  「ほほほ。気がすんだかい?」
  そんなこととは露知らず。
  自分達の結界がまさっている。
  と勘違いしまくり、そんなことをいってきているマゼンダ。
  「だぁ!?いったいどうなってやがるんだ!?」
  何やら叫ぶルークに対し、にっこりと微笑み。
  「あら?つまり、マゼンダたちを倒せばいいのよv」
  「ここなら、少々遊んでも問題ないみたいね。ね。エル?少しあそばない?」
  「あ。それいいわねv」
  そんなあたしとユニットの会話をきき、さっと顔を青ざめ、
  「ってまてぃっ!」
  「リナさん!ミリーさんっ!それだけはっ!!」
  何やらいってくるルークとミリーナ。
  「ほぉう。なら遊んでもらいましょうか?」

  「…あああ。わかってない。わかってないんですよ…マゼンダさんたちは……」
  一人ぶつぶつつぶやくゼロスの声に、はたと気づき。
  「…あれ?もしかして?」
  「…というか。何だってお前がフィルさんの格好をしてるんだ?」
  その口調から、フィル当人ではないことに気づききょんとした声をだしているアメリアに、
  ため息とともに、そんなフィルの姿をしているゼロスにといっているゼルガディス。
  「…あの御方たちに、姿をかえられちゃったんですよ……」
  「ええ?!それじゃあ、父さんは!?」
  「…たしか……」
  そんなアメリア達の会話はマゼンダの耳には届いてはいないけど。
  ま、聞こえてたら聞こえてたで面白くないし…ね。


  「…あれ?この声……」
  「?何か声がしてるような?」
  その声に思い当たり、きょろきょろと周りをみているリナに。
  耳を済ませてか細い声をどうにか聞き取ろうとしているキラ。
  「おおい。ここじゃここじゃ。」
  何やらリナにとっては聞きなれた声は足元から。
  何でこんなところにフィルさんの声が……
  そんなことをおもいつつ、ふとリナが視線を足元に向けると。
  そこに何か小さい物体が。
  何やら小さなモコモコしたものが動いていたりする。
  「…ネズミ?」
  見間違えのない、フォルムと尻尾。
  大きさ的にはそれほど大きくなく、家ネズミ程度くらいであろうか。
  全身が真っ黒なので茶色い地面にいれば多少目立つが。
  「リナ殿!ガウリイ殿!ここじゃここじゃ!」
  『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
  声はどうみてもその物体のあたりから。
  よくよく調べてみようと、それに目を凝らし……
  なぜか二人して目を点にして無言になっているリナとガウリイ。
  そしてまた。
  「…ね!?…んきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
  何やらネズミ、という言葉をきいて、
  叫んで未だに抱えているままの壷の中にと引っ込んでいるマルチナ。
  「リナ殿!ガウリイ殿!儂じゃて。儂!」
  「「……って、フィルさん!?」」
  どうみても、その声はそのネズミとおもえし物体から。
  よくよく目を凝らしてリナ達がみれば、そのネズミは…胴体はともかく。
  そのカオは…ごつい顔に見慣れたくない見覚えのある髭。
  思わずリナとガウリイ二人同時に叫んでるけど。
  そして、おもわず、ふらっとしつつも。
  「……何でそんな格好に……」
  頭を抱えつつも、ガウリイに支えられるような格好でつぶやいているリナ。
  そこにいるのは。
  大きさ的にはそれほど大きくなく。
  手の平にすっぽりと入るくらいの大きさのちょっとしたネズミが一匹。
  普通のネズミと違う場所といえば、その顔が、フィリオネルの顔である。
  ということと、そのネズミがフィルの声で話している。
  ということのみ。
  リナとガウリイを見上げつつ、ちょこん、と両足でたち必死に何やらいっているフィルネズミ。
  「リナ。大丈夫か?」
  よろけたリナを支えつつも、心配そうにいっているガウリイ。
  「……どうにか。というか、何それ……」
  それでなくても、どうみてもネズミ。
  それ以外の何物でもない。
  お尻にでているちょこんとした長い尻尾。
  手足と胴体もネズミそのもの。
  なのに…その顔のみがフィリオネルの顔のまま。
  まあ注意してみなければ、何かすこし違和感を感じる程度のネズミでしかないのだが。
  「いや。それがじゃな。魔族をおびき出すのに儂の姿をゼロス殿に借りさせるとかで。
    それで、儂の姿を気づいたらもうひとりのリナ殿。
    すなわちエル殿がこのようにしておってな。じゃがどうじゃ?なかなか男前だろう?」
  いって、腰…とおもえしばしょにと小さな手をあてて、くりっと回転しているフィルネズミ。
  「……ノーコメント。」
  そんなフィルネズミにコメカミに手をあてたままでうなるように答えているリナ。
  しばし、そんなリナと足元にいるフィルネズミを目を点にしてみていたものの。
  「うわぁ。何ですか?これ。おもしろ〜い。」
  いって。
  ひょいっとフィルネズミを手にとっているキラ。
  そして。
  「これってお面ですか?それとも本物?」
  いいつつも、その顔についている髭をひっぱり始めていたりする。
  「こりゃ。やめんか。うん?おぬしは…確かキラ殿か?」
  以前、魔法医ルナンから孫を紹介されたことがあるがゆえに。
  キラのことは知っているフィル。
  といっても、まだキラが一歳のころなのでキラとしては覚えてないけど。
  「すご〜い。このネズミさん、お話できます!本当にお話してるんですね!
    わたし、このネズミさんほしいですっ!」
  フィルネズミの手足や髭をひっぱりながらもキャッキャといっているキラ。
  「……これは何というか……そ、それより。いったいどうかなさったんですか?フィル殿下?
    いきなりアメリアさんたちが姿をけしたかとおもったら。
    今度はそのような姿になっているフィル殿下が現れましたし……
    何かセイルーンであったんですか?というか、まさかマゼンダさんたちが何か……」
  何かがあった。
  というのは明白でしょうけど…怖いですけど、聞かずにはおれませんし……
  そんなことを思いつつも、フィルにと問いかけているゼロス二号。
  そんな二号の問いかけをうけ、
  「うむ。それがじゃな…って。キラ殿。髭をひっぱるでない!ヒゲを!」
  「きゃっきゃ!このネズミさんもどきおもしろ〜いv」
  キラに髭をひっぱられつつも。
  フィルネズミの口から簡単にと状況説明が成されてゆく。

  「何ですってぇ!?」
  「…えっと。そのぉ…確認しますけど。ほんと〜にマゼンダさんが。
    あの御方たちを連れてったんですか?」
  フィルの説明を聞き終わり、思わず叫ぶリナに。
  なぜか震える声でフィルネズミに問いかけている二号の姿。
  「うむ。儂はあのリナ殿たちの横にいたんじゃが。
    マゼンダ殿が入ってきて、何やらどこかに儂の姿をしたゼロス殿たちをつれてってな。
    …それはそうと、アメリア達はどうしたんじゃ?」
  ふと、この場にアメリア達の姿がないことに気づき問いかける。
  そんなフィルネズミとは対照的に、
  「あああ!何考えてるんですか!?マゼンダさん達はぁぁ!
  この世界ごと消滅させる気ですか!?ほんとにぃぃ!?」
  何やら叫びまくっている二号だし。
  どういう意味かしらねぇ〜?
  「……世界ごと…って。」
  「まあ、それはそうとして。アメリア達ならたぶん、エルにつれてかれたんだとおもうぞ?」
  そんな二号の言葉をきき、じと汗をながしつつつぶやくリナに、
  さらっと何でもないようにいっているガウリイ。
  まあ、たしかにその通りではあるんだけどv
  「何となく急いだほうがいいのは気のせい?」
  「まあ、エルとユニットちゃんが遊び始めたら誰にもとめられないからな〜。」
  「ガウリイさぁぁん!そんなのんきにいわないでくださいぃぃ!!」
  そんなほのぼのとした会話をリナ、ガウリイ、ゼロス二号がしているそんな中。
  「ちょっと!このわたくしをさしおいてゼロス様と仲良くしないでよっ!」
  などとまったく別のことで文句をいっているマルチナの姿が。
  どこをどうみたら、『仲良く会話している。』というように見えるのかしらねぇ。
  ふふv
  「とりあえず。戻ったほうがよさそうなのは事実ね。」
  つぶやくリナに対し、
  「あ。僕が皆さんをお送りします!
    というか、ものすっごぉぉく!急がないと危険だとおもいますので。」
  「いっても何もできないとおもうぞ〜?」
  「急いでいかなかったりしたほうがもっと後々こわいですっ!」
  どきっぱり。
  きっぱりと言い切っている二号だし。
  …しっかりとあとでお灸をすえときますかv
  ゼロス二号がそう言うが否や。
  「…って、んきゃぁ!?」
  「……なるほど。」
  ぐにゃり。
  リナとガウリイの周囲の空間が一瞬揺らぐ。
  魔族が得意とする空間移動。
  それをリナ達を巻き込んで移動している二号だし。
  ガウリイはすでに慣れているので動じていないけど、
  リナはあまりなれていない、というのとルナのことを思い出す。
  という面から何やら叫び声をあげていたりする。
  そして、そのままリナ、ガウリイ、ゼロスの姿が瞬時のうちにその場から掻き消え。
  「こりゃまて!リナ殿!ガウリイ殿!ゼロス殿!この儂をおいてゆくでないっ!」
  何やら一人叫んでいるフィルネズミの姿が。
  「あれ〜?リナさんたちもきえちゃいました。でもほんと。このネズミさんおもしろ〜い。」
  一人、残されたフィルネズミを手にとり、未だにいじってあそんでいるキラ。
  「ああ!?ゼロス様!?ゼロス様はどこに!?
    おのれぇ!リナ!ゼロス様をどこにつれてったのよぉぉ!」
  なぜかまったく正反対のことをいいつつも、怒りながら叫んでいるマルチナ。
  ほんと、この人間って面白いわv
  「と、ともかく!こうしてはおられん!アメリアぁぁ!」
  ピョン。
  「…あ、にげないでくださぃぃ!」
  キラの手からどうにか飛び降り脱出し、
  そのまま駆け出してゆくフィルネズミと、
  「リナ!まってなさいよ!あんたの手からゼロス様を救い出してみせるわ!
    ゼロス様ぁぁぁぁぁ〜!!」
  何やらいいつつも、これまた走ってゆくマルチナ。
  そして。
  「……何かみなさん。忙しそうですねぇ。…それはそうと。これ、どうしましょう?」
  いって、壊れた家をみながらつぶやきつつも、
  「ま、いっか。おじいちゃんがもどれば直しえもらえますよね。きっと。」
  それですまし、
  「またいつものようにお泊りしとこ…っとv」
  毎回というかたびたび、調合などに失敗して家を壊したりすることがあったがゆえに、
  独自に家を再生させる方法をも編み出している魔法医ルナン。
  まだ、このキラはその方法が完璧ではないがゆえに、
  以前やったときは犬小屋くらいの大きさに再生されたりして、再び直したりした。
  という事実があるのだけど。
  それゆえに、いつも家が壊れた場合。
  山の麓にある宿屋にてお世話になることにしているキラ。
  ま、別にお金を取られるわけでもないし…ねv


  「…これは、ち…いや、リナ殿!?」
  思わず小さいほうのリナ殿。
  といいかけるが攻撃をうけるのも嫌なので言い直しているのはセイルーンの神官長。
  リナ達が直後に目の前に現れたことに一瞬は驚くものの、
  幾度かルナの移動を見慣れていたがゆえにさほど驚いてはないかったりする。
  まあルナも、忙しいときなどは時間節約とかいって、人がいようが移動してたりするからねぇ。
  ここのルナってv
  「って、ここは……」
  「神殿ですよ。あの?それで?マゼンダさんたちは…って……」
  ピシリ。
  異空間ともいえる結界の中にあたし達を閉じ込めているというのに気づき、何やら固まり。
  「……ど、どうしましょうか?」
  などとつぶやくようにいっているゼロス二号。
  「下手に手をだしてエルの怒りかってもいいんだったらお前が壊せばいいんじゃないか?」
  「ガウリイさぁん!人事みたいにいわないでくださいっ!」
  そんなゼロス二号にのほほんというガウリイに対して何やら泣き言をいっている二号だし。
  そんな会話をしている最中。
  ピシッ……
  神殿の壁に亀裂がはいる。
  「……え〜と、これって…どっちの仕業?」
  「……たぶん、エルたちじゃないのかな〜?」
  「…アメリアたち、大丈夫かしら?」
  それをみてそんなことをいっているリナ達に対し、
  「リナ殿!?何をのんきな!?早くどうにかしてくださいっ!」
  何やらしばし唖然としていたクリストファーがそんなリナ達にいってるけど。
  「方法はあるけど、もし…ねぇ。」
  姉ちゃんですら恐れてたエルが万が一何かしてるとしたら、あたしの魔力じゃあ……
  そんなことを思いつつつぶやいているリナ。
  そんな最中。
  『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
  『んきゃぁぁぁぁぁぁぁ!?』
  ちょっとしたサービスで部屋の中にゼルガディスたちの悲鳴を聞こえるようにしてみたりv
  「リナ殿!はやくアメリア達を助けてくださいっ!」
  それをうけてクリストファーがリナに懇願してたりするし。
  「父上…気持ちはわかりますが、おちついて。」
  父親がフィルの名前を呼んでないことにまったく気づかずに、
  身内を心配するかのように振る舞い、父親にいっているアルフレッド。

  「……何なんだ!?これはぁぁ!?」
  何やら叫んでいるゼルガディス。
  「……またか。またこれかぁ!?」
  「……何かなれてきてる自分が怖いですわ……」
  あたりにランダムで落ちてきているちょっとした黒い稲妻。
  「何なわけ!?これは!?」
  面白いまでに恐怖しつつも、狼狽しているマゼンダ。
  マゼンダたちが作り出したとある空間。
  ちなみに、カンヅェルがこの空間を作り出し、神殿の女神像を媒体とし自分達なりに強化しており、
  ゆえに、力のない人間などの魔力ではこの結界は破れなかったりするんだけど。
  さきほどルークの術が完全に聞かなかったのは、あたしが干渉しているのもあるにしろ。
  黒い稲妻が大地に触れるたび、その場所が無の空間と成り果てて、
  そこにはぽっかりと黒い何もない空間ができあがる。
  ちなみに、稲妻はランダムに落ちてきているので当然アメリア達。
  即ち、アメリア・ゼルガディス・ルーク・ミリーナ、そしてゼロス。
  彼らについてもまた然り。
  まあゼロスにいたっては、幾度もすでに慣れている。
  というのもあるにしろ、
  「あああああ……」
  などといって頭をかかえてうずくまっていたりする。
  幾度かこの光景は見慣れていることもあり、何やら叫んでいるルークに、
  悟りきったようにつぶやいているミリーナ。
  そしてまた。
  「……こっちのリナさんって……」
  「いや。それより問題はあっちの子のほうだとおもうぞ?どこの世界でもリナはリナなんだろうし。」
  ユニットはといえば、呼び出されていたレッサーデーモン達をあっさりと分離させ、
  その器である小動物などを元の場所に戻しつつも、
  そんな彼らに取り付いていた魔族を物質化させてそれに対してそのあたりにある小石を投げたり、
  もしくは魔族をタマがわりにして投げて遊んでいたりする。
  そんなユニットをみつつも、つぶやくアメリアにぽつりといっているゼルガディス。
  「そんなことより!はやくにげねぇとやばいぞ!?これはっ!!」
  「防御結界もこれききませんものっ!」
  そんなアメリアとゼルガディスに何やら叫んでいるルークとミリーナ。
  そして。
  それと同時。
  ピシャァン……
  『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
  『んきゃぁぁぁぁぁぁぁ!?』
  彼らのいる真横に黒い稲妻が直撃する。
  面白いからこの声をリナ達に聞かせてみて…っとv
  面白くなくなるから、この光景はカンヅェルにはまったく別の光景として視せてるし?
  さってとv
  リナがあれをしてくるまで楽しみますかv

  「ちょっと!そこのネズミ!ゼロス様はどこにいったの!?」
  「セイルーンじゃ!」
  「案内なさいよっ!」
  ネズミが話す、というのに多少不思議がるものの。
  だがしかし、今のマルチナにとってはそれはどうでもいいこと。
  「今むかっておるっ!」
  「ああもう!のんびりしてられないわっ!
    こうしている間にも、リナがゼロス様に色目をつかって!案内なさいなっ!」
  ひょい。
  いってとてとてと走っているフィルネズミをひょいと抱き上げ、肩にのせ、
  そのままセイルーンの方向。
  すなわち、のろしが上がっている方向にと走り出すマルチナの姿が。
  いまだにマルチナ、このネズミがフィル当人だって気づいてないのが面白いけど…♪
  そして走ってゆくことしばし。
  「あああ!川が!…こうなったら!」
  きょろきょろとあたりを見渡して、そして。
  「ゾアメルグスター様。このマルチナに力をおかしください!」
  いって、そのまま。
  「まってなさいよぉ!リナぁぁ!」
  だっ!
  出来るはずもないのに、飛ぶつもりで崖に向かって飛んでいるマルチナ。
  当然のことながら。
  ひゅるるるる……
  「おのれぇ!リナぁぁ!」
  叫びつつも、そのまま崖下に落ちていき
  バッシャァン……
  そのまま崖下に流れている川に落ちてるしv
  そしてまた。
  「うおお!アメリアぁぁ!」
  一緒に川に落ちながらも犬かきで川を泳いで下っているフィルネズミの姿がv
  ま、がんばってねv
  二人ともv
  ふふv

  「……う〜ん。確実な方法でいくしかない…か。」
  壁に走る亀裂はどんどんと増えており、異空間の中では何が起こっているのかはリナには理解不能。
  「確実な方法?とは?」
  そんなリナにと不安そうな表情をつくりだしてといかけているアルフレッド。
  「つまり。ここセイルーンは聖なる結界に覆われているのに。
    さらにこの神殿はその結界の中心。あのルークとかいう奴の実力はわからないけど、
    術がきかなかったことからそこそこの実力はあるのは明白だし。
    おそらく、そのルークにすら敗れない結界を魔族は作り出してるはずよ。
    とすれば、何か結界を強化させる何かがあるはず。」
  「それってあれのことか?リナ?」
  そんなリナにのんびりと、壁にとはめ込まれている女神像を指し示しているガウリイ。
  「なるほど!あれかっ!ひとまず、確認のため!火炎球(ファイアーボール)!!」
  パシッ。
  リナの放った術は女神像に直撃する前にと霧散する。
  「ふふふ。ほぉう。ようやく気づいたな。」
  それをうけてようやくカンヅェルがリナ達にと話しかけてるけど。
  姿は見せずに部屋の中に響くようにと話しかけているカンヅェル。
  というか、いまだにこいつ、ゼロスにすら気づいてないのよねぇ。
  情けない……
  「やっぱりあんたね。カンヅェル!」
  そんなカンヅェルに向かってリナが高らかに言い放つ。
  「だが少々おそかったな。もうすこしでゲームは終わりだ。」
  そんなリナの言葉を嘲笑し、そんなことを言い放っているカンヅェル。
  ま、こいつ。
  いまだに、あたしたちのほうで事実何がおこってるか理解してないしねぇ。
  その気になってきちんと調べようとおもったら視えるようにしてるというのにv
  「どうかしら?この女神像を壊してから皆を取り戻してからでも延長戦には間に合うわよ?」
  相手がどうも勘違いをしている。
  というのは口調からもわかる。
  それゆえに確認のためにも挑発的な言葉を投げかけているリナ。
  「ふっ。無駄な強がりを。まだ魔力は完全にもどってないのだろう?」
  完全に馬鹿にした口調でカンヅェルがいってるけど。
  …相手がどういう状態かくらいすぐに判断つきなさいよね。
  まったく……
  「ふ。このリナ=インバースを甘くみないでよねっ!」
  やっぱりこいつら、完全に勘違いしてる。
  このあたしの魔力を封じてる…と。
  それを確信し、きっぱりと勝利を確信して言い放つリナに対し、
  「ふふふ。今のお前にいったい何ができるというのだ。」
  小ばかにした口調で言い放っているカンヅェル。
  そんなカンヅェルの言葉ににっと笑い。
  「悪夢の王の一欠けよ、天空のいましめ解き放たれし、凍れる黒き虚無の刃よ。
    我が力我が身となりて共に滅びの道を歩まん。神々の魂すらも打ち砕き……」
  本当なら、リナに渡してるアレの影響で混沌の言語(カオスワーズ)はいらないんだけどねぇ。
  念のためというのと、相手の様子を伺うためにと唱えているリナだし。
  「何だ!?その呪文は……」
  何やらありえるはずもないのに畏怖する感覚が巻き起こるのは気のせいか?
  そんなことを思いつつも、戸惑いの声をようやくだしているカンヅェル。
  それと同時に、
  どういうことだ!?
  リナ=インバースの魔力はマゼンダが封じたはず!?
  まさか…まさかこいつ、欠片の一人か!?
  などと勘違いしまくった考えに到達していたりするし。
  あら、残念v
  欠片を宿してるのはリナじゃないんだけどね。
  くすっv
  「魔王の中の魔王というか、すべてなる母。悪夢を統べる存在(ロードオブナイトメア)の力を借りた究極の呪文。
    神々すらをも打ち砕く暗黒の剣!!」
  ご丁寧にきちんと説明しているリナだし。
  その横では、ぴしりとリナの言葉をきいて固まっているゼロス二号。
  一方で、
  「…ま…まさか!?」
  馬鹿な!?そんなまさか!?
  何やらリナの呪文をきいておもいっきりうろたえ、震える声を出しているカンヅェル。
  しかも、
  あたしの呼び名だけで多少のダメージうけてるし……情けないったら……
  「そ…それは…!?」
  「神滅斬(ラグナブレード)!!!」
  わざわざ完全版にしなくても、こいつ程度じゃあ不完全版でも十分にことたりるんだけどねぇ。
  リナの術の発動をうけ、何やら狼狽しつつ逃げようとするカンヅェルだけど。
  そうは問屋がおろさないし♪
  「…何!?」
  空間を渡れないのに気づいて驚愕の声をあげているカンヅェル。
  それと同時にリナの手に暗黒の刃が出現する。
  ちなみに、以前あたしたちが渡している増幅器があることもあり、
  意志力によりその長さなども自由自在になっていたりするのよねぇ。
  「…くっ!!」
  カンヅェルのうめき声と、
  ピシッ…ピシピシピシ……
  パシュ!!!
  一瞬、女神像にと亀裂が入り、それは闇の刃が触れた場所から瞬時に無と化し、
  形から消滅してゆく。

  「…い…いったい……ぎぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
  「あ、逃げそびれてるv」
  すでにマゼンダがつれてきた下級魔族もどきたちはすでに消滅しており、
  落ちてくる雷からどうにか逃げ惑っていたマゼンダだけど。
  逃げ遅れて片腕にそれの直撃をうけてたりするし。
  「ああもう!それくらいよけなさいよっ!」
  それをみてにっこり笑っていっているユニットに思わず叫ぶあたし。
  「…無理だとおもうぞ?俺は絶対に。」
  そんなあたしたちになぜか突っ込みをいれてきているルークに。
  「…これってどうなるんですかぁ!?」
  何やら叫んでいるアメリア。
  「……僕は何もみてません。何もみてません……」
  何やらいいつつも、一人ぶつぶつといっているフィルの姿をしているゼロス一号。
  「……ん?」
  そんな最中。
  アメリア達のいる空間が一瞬白く発光を帯びる。
  「あ。空間が破れるわね。」
  「そうね。なら…っと、滅?」
  シュッ。
  ユニットが回りをみてにっこりといい、あたしはあたしで小さくつぶやく。
  それと同時に当たり構わずに落ちてきていた黒い雷が瞬時のうちにと掻き消える。
  雷が掻き消えると同時。
  空間を包み込んでいた光が輝きをまし、それはその場にいる全員を包み込む。

  「…も、もどったのか?」
  光が消えるとともにやがて全員、リナ達のいる場所。
  すなわち神殿の中にと移動する。
  どうしてカンヅェルの結界が解かれたの!?
  などと驚くものの、自分が元の神殿の中にと戻っているのに気づきまわりを見渡しているマゼンダ。
  「皆!」
  魔法陣の上に出現したあたしたちをみて、リナが声をかけてくるけど。
  「……魔族か!?貴様!?」
  一方で、マゼンダの異形の姿をみて身構えている神官長たち。
  「……くっ……」
  先ほどかすった雷が当たった腕を押さえつつ、何やらうなりそのまま一瞬マゼンダは、
  人の姿にわざわざ戻りその場から掻き消える。
  「おお。よく無事で。」
  マゼンダが姿を変えたのに一瞬驚くものの、アメリアが怪我もなく無事な姿をみて、
  声をかけつつ近寄っていっているクリストファー。
  さって。
  とりあえず…っと♪
  「あ。何も行動しないのよv」
  「…は、はい……」
  ふわっ。
  あたしがゼロスに言うのと同時。
  ふわり、とフィルの姿をしているゼロスの体がふわりと浮き上がる。
  「フィル殿下はいただいてゆくぞ。」
  声とともに、空中にカンヅェルが姿をあらわし、そのままフィルの姿のそれを絡め取る。
  「…あ。」
  それ、父さんでなくてゼロスさんなんですけど……
  アメリアがそういうよりも早く。
  「カンヅェルっ!」
  そんなカンヅェルにむかって叫んでいるリナ。
  まあ、リナもあれがゼロスだとフィルから聞かされて知ってるからねぇ。
  何しろ本物のフィルネズミみてるし♪
  「この男を助けたくば我々の前から決してにげるな。」
  そんなリナたちの思惑や考えなどまったく気づくことすらなく、
  いってそのまま、さらにゼロスだと気づかないままゼロスをつれて姿を掻き消してるけど。
  というか…今さっきのリナ攻撃…すこしかすってるわねぇ。
  まったく。
  あのくらいはよけないとv
  「…きえた?」
  カンヅェルの姿が掻き消えたのをみてつぶやくアルフレッドに。
  「……これはいったいどういうことだ?」
  戸惑いの声をあげているクリストファー。
  そしてまた。
  「……あいつを人質にとるとは。あいつらいったい何をする気だ?」
  「そういえばそうだな。」
  何やらしみじみといっているゼルガディスとルーク。
  くすっv
  「それは、あいつらの目的がフィルでなくてリナだからよv」
  そんな彼らにととりあえず説明しておくあたし。
  何て親切v
  『はぁぁ!?』
  なぜかあたしの言葉に、ユニットとガウリイ。
  そしてゼロス以外の全員の声が一致してるけど。
  「ちょっと!?エル!?それどういうこと!?」
  そんなあたしに目を丸くして問いかけてくるリナに対し、
  「あら?いってなかったっけ?いったとおもうけど。
    あのカンヅェルってやつ、魔竜王ガーヴ配下のあれでも一応中級魔族なんだけど。
    Sのやつに反旗翻す戦力に力ある存在集めてるみたいねぇ。でしょ?ゼロス?」
  にっこりいって、いまだに硬直しているままのゼロス二号にと話しかける。
  「……あっさりとばらさないでくださぃぃ〜…エル様ぁぁ〜……」
  そんなあたしの言葉に、なぜかだくだくと器用に涙を具現化させて流しつつも、
  そんなことをいっているゼロス二号。
  そしてまた。
  ぽんっ。
  と手をうち。
  「お〜。確か、あの。エルが前、オレ達のいた世界のほうで赤ん坊にしたやつか〜。」
  以前のことを思い出して、さらっといっているガウリイ。
  『……ちょっとまてぃっ!』
  『……かなりまって(ください)……』
  そんなガウリイの台詞に、なぜかリナとルーク。
  そしてアメリアとミリーナの声が一致する。
  「…あ…あの?魔竜王…とは…まさか?」
  そんなあたしたちの会話をききつつも、震える声で問いかけてきているクリストファー。
  くすっv
  「そv一応はこの世界の魔王やってる無能極まりないSこと、
    赤眼の魔王(ルビーアイ)・シャブラニグドゥの五人の腹心の一人。魔竜王(カオスドラゴン)ガーヴのことよ?
    今面白いことに水竜王(アクアロード)ラグラディアの封印の影響で人の心が混じって、
    でもって魔族から離反しちゃってるのよ。楽しいでしょ?」
  「…しくしくしく……ゼラス様ぁ……僕にはもうどうにもできません……」
  そんなあたしの話をききつつも、なぜかその場にうづくまり、
  床にのの字を書きながら、ぶつぶつとつぶやいているゼロス二号。
  「そんなどうでもいいことより。とりあえずvみんなあれくらいよけられないとだめよv」
  「無理いうなっ!!」
  「そうですっ!というかあれ下手したら消滅するじゃないですかっ!
    って、何なんですか!?あれっ!」
  「聞きたい?」
  「……遠慮しておきます。」
  あたしの言葉に即座に突っ込みをいれてきているゼルガディスに、
  何やら抗議の声をだしてきているアメリア。
  そんな二人ににっこりと微笑んでいっているユニットに、
  なぜか冷や汗を流しつつも答えているアメリアだし。
  「ま。とりあえず。今は。
   このセイルーンに入り込んでいたあの二人の魔族さんを探し出すのが先決なんじゃないですか?」
  なぜか戸惑いまくっている人々を見渡してにっこりといっているユニット。
  「そ…そうであるな。とにかく!あの二人の魔族を何としても探し出すのだ!」
  そんなユニットの言葉にはっと我にと戻り。
  何やらそんなことをいっているクリストファー。
  一方で、アルフレッドはといえば、ちっとしたうちし、
  そのままその場をゆっくりと退出していたりする。
  ま、アルフレッドはカンヅェルがフィルを連れてった。
  と思い込んでるからねぇ。
  その勘違いは訂正しないでおきましょっと。
  そのほうが楽しいし…ねv
  「どうでもいいことはともかくとして。とりあえず休憩しましょv
    何かアメリア達疲れてるみたいだしv」
  「誰のせいなんですかぁ〜……」
  あたしの言葉にじとめであたしをみてくるアメリア。
  「それもそうだな。とりあえず、移動しようぜ。」
  ぽんとリナの肩に手をおいて、にこやかにいっているガウリイに。
  「……後でエル。詳しくおしえてよね?それとゼロス二号もっ!!」
  あたしをじと目でみつつも、きっとゼロス二号をにらんでいっているリナ。
  「………僕〜はしがない中間管理職〜……」
  そんな中でなぜかいじけつつも歌を歌っている二号の姿が。
  とりあえず、そんなゼロス二号をその場に残し。
  あたし達はひとまず宮殿の中へと戻ることに。

  さってと。
  もう少し、あの二人で楽しませてもらいますか…ねv


                       −続くー

  
####################################

あとがきもどき:
    薫:ようやく本編の11話め〜。そろそろお話が二つに重なるかな?
       とくに、12話目と13話目は。最強呪文の回はお約束で、
       そのままリナとアメリアでいくか。もしくはリナとスミレちゃんでいくか(笑
       エル様ば〜じょんは残念ながらありませんv
       服を変えてならあるけどね(だからまて
  L:……で?
  薫:・・・・・・・ぎくっ!
  L:まったく。このあたしから隠れて何かできるとでも?
  薫:・・・い、いえその……あ。そういえば、エル様のイラストが、
     また再びアップされてましたねv公認FCのメガブラさんv
     即座にすべて保存しましたのですv
  L:あ〜。あれねぇ。まったく。このあたしの扱いをもう少し……
    許せないのはSよ!S!!
  薫:(話題変換完了・・・かな?)
  L:まあ、あれについては当時もそれなりの制裁くわえてるしねぇ。
    ってことで、あんたはあんたで覚悟いいわね?
  薫:・・・・・・・え゛!?
  L:さってと♪
  薫:いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

しぃぃん……

後にはなぜか静か過ぎるほどの静寂が……

  L:まったく。あんなに絶叫とかあげなくてもいいのに。
    今回はサービスで異空間の中につれてったので外に音はもれてないのに♪
    さてさて。それでは、何だかなかなか打ち込みがすすまない薫ですが。
    その件に関してはしっかりと幾度も幾度も活をいれるとして♪
    それでは、まったね♪

 

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32813スレイヤーズ・フェーエバーinNEXT〜14話〜かお E-mail URL2006/10/5 07:37:47
記事番号32804へのコメント

  

  まえがき&ぼやき:
  
  さてさて。こんにちわ♪
  打ち込みのんびりやっている最中。
  とうとうTRYの発売日までがすぎてしまった薫です(まて)
  今回のTRYのBox特典のドラマCDはまさかのまさかv
  ヴァルガーヴの転生後。
  すなわち、魔族でなくなった古代竜(エンシェントドラゴン)の子供ヴァル(五歳)がでてきたしv
  あの映像…ブックレットの中にでもいいからのせてほしかったなー。
  かわいいだろ〜なぁ。
  ひらひらフリル服スカートきてる子供ヴァル〜♪
  あと、どうしてガウリイが『腐女子』なの言葉をしってるのか…
  という疑問がのこったり(笑
  あの世界にもああいうのってあるんですね〜(ドラマだからノリかもしんないけど…笑
  今回のだけでも映像化してくれませんかね〜。
  切実に(笑
  それか、あらいずみ先生の新たな画集がでるとして、その中に画像をばvv
  などといろいろと想像しつつの打ち込みですv
  ……がんばってこのNEXT編しあげてTRY編にいこっと……(汗

  #####################################

     
     スレイヤーズフォーエバーinNEXT  〜どんでんがえし?〜

  
  「しかし。あいつら本当に何を考えてるんだ?」
  「ですわね。」
  とりあえず貴賓室にとはいっているあたしたち。
  貴賓室だというのに、
  壁にはアメリアが書いた『ビクトリー』という文字が額縁の中に飾られていたりする。
  それぞれに椅子やベット、好きなところに座りながらもそんなことをいっているルークとミリーナ。
  そしてまた。
  「それはそうと。フィルさんはどうしたんだ?」
  などとあたしにきいてきているゼル。
  「そ〜いえば、フィルさんきてないわね?」
  ふと今更ながらに気づいてそんなことをいっているリナ。
  「そういえばそうたな〜。」
  ガウリイもまたリナにつづいてそんなことをいってるけど。
  「?おまえら、フィルさんをみたのか?」
  「何かあんたたちが消えると同時にあたしたちのところにきてたけど?」
  首をかしげつつ問いかけているルークにさらっと答えているリナ。
  「ああ。フィルなら今マルチナとこっちにむかってるわよv」
  そんなリナたちににこやかにあたしが答えるのとほぼ同時。
  バタン!
  勢いよく部屋の扉が開かれ、そして。
  「リナさん!エルさん!大変です!」
  何やらあわてた様子で部屋の中にとはいってくるアメリアの姿。
  「あ。アメリア。どうだった?」
  アメリアはといえば、『クリストファーやアルフレッドの様子をみにいく。』
  といって少しばかり様子を伺いにいっていたんだけど。
  「それどころじゃありません。クリストファー叔父様が王位継承権を放棄したんです。」
  息をきらせつつもあたしたちにいってくる。
  「どういうことだ?」
  そんなアメリアの言葉をきいて顔をしかめるゼルに、
  「それって。フィル殿下に万が一のことがあっても王位を継がない。ということですわよね。」
  「さすが俺のミリーナだ!」
  「でも、どうして……」
  ルークの台詞をさらっと無視し、手を顎にあててつぶやくように考え込んでいるミリーナ。
  「ミリーナァ……」
  そんなミリーナに対してルークが毎度のことながら情けない声をだしてるけど。
  「そうなんです。自分がやとった魔道士が引き起こした事件の責任をとるっていって……」
  今の今まで。
  クリストファーはカンヅェルたちが魔族だと、半信半疑であったからねぇ。
  せっかくあたしが説明してあげたというのにv
  「どういうことだ?この事件にはやはり彼は関係ない。ということなのか?」
  ゼルもまた腕組みをしつつ何やらつぶやいてるけど。
  くすっv
  「ま。とにかくみにいってみたらわかるんじゃない?」
  そんな彼らに淡々といっているリナ。
  「ま。たしかにね。」
  「あ。私もいく〜v」
  リナの言葉をうけ、ひとまずあたし達はクリストファーの様子を見に行くことに。

  「よいか。怪しいと思われる場所はしらみつぶしに探索せよ。
    何としてもカンヅェルたちの居場所を突き止めるのだ。ゆけいっ!」
  王宮の中にとある中庭。
  そこに捜索隊の兵士達を集めて何やら支持を飛ばしているのはいうまでもなくクリストファー。
  自分がふがいないばかりに魔族に入り込まれた。
  というのと、今回の一件を招いた。
  という責任を彼なりに感じて、今回の行動にでているようだけど。
  『はっ!!』
  クリストファーの言葉をうけて、集まっていた兵士達が姿勢をただし、
  そしてそれぞれに割り当てられた場所にと散ってゆく。
  「王位継承権を放棄すると宣言したあと。あの調子で捜索隊を指揮してるんです。」
  少し離れた場所にとある渡り廊下からそんな彼の様子を眺めつつ、
  あたしたちにと説明してくるアメリア。
  「ということは。やっぱりあいつは何もしらなかった。ということか?」
  そんな彼の様子をみつつ、つぶやくようにいっているルークに、
  「かもしれませんわね。それとも……」
  私達の世界のほうのリナさんが言われたとおり、あのアルフレッド殿下が黒幕。
  というのは事実でしょうけど。
  父親である彼がそれを知っていたかどうかは怪しいですわね……
  そんなことを思いつつも、すこし考え込んでいるミリーナ。
  「そうね。今のクリストファーさんの行動が本心からかどうかはわからないけど。
    とりあえずもう一度アルフレッドから話を聞く必要がありそうね。」
  そんな彼らの言葉をうけて、こくりとうなづき、そして。
  自分自身に確認を入れるようにというリナに対し。
  「ですね。アルフレッドからこの事件の首謀者はクリストファー叔父様だ。ともきいてますし。」
  そんなリナにとアメリアが賛同した声を出す。
  いまだにアメリアは、あの優しいアルが首謀者とは信じられないです。
  などとそんなことを思っていたりするんだけど。
  まあ、彼の場合はコンプレックスとかもあったからねぇ。
  ナーガやルナにも負けてる、という自負があったようだしv
  勝てるはずもないのにねv
  ふふv
  「まあ、エルたちから『首謀者はアルフレッドだ。』ってはきいてはいるけどね。」
  いって、ちらりとあたしとユニットをみてくるリナ。
  「確かにな。とりあえずきちんとした確認はしておいたほうがいいだろう。
    魔族の動向も気になるしな。それはそうともうひとりのゼロスはどうした?」
  うなづきながらも、もうひとりのゼロスの姿が見えないのに気づいてリナに問いかけているゼル。
  まあ、ゼロス二号は彼らと一緒に魔法医のところにいってたからねぇ。
  それでもってリナとガウリイと一緒にセイルーンに戻ってはきてるけど。
  「ああ。ゼロス二号ならそのうちにくるわよv」
  「何か情けないにも、倒れてたけど。ゼロスさん。」
  いらないことを言おうとしたゼロスに対して、ちょっとぱかりお灸を据えたら、
  それだけでなぜか倒れてしばらく動けなくなってたりするのよねぇ。
  あいつは……
  まったく……
  「……何かこっちのごきぶりのやつにも同情するな〜……俺。」
  「同感ですわ。」
  あたしとユニットの言葉をきき、何やらしみじみといっているルークとミリーナに。
  そしてまた。
  「ま、ゼロスだし。いいんじゃない?」
  「だな〜。」
  それですませているリナとガウリイ。
  「……まあ、詳しくは怖いので聞かないが……
    とりあえず、アルフレッド殿下のところにいってみよう。」
  なぜか額に一筋汗を流しつつもいってくるゼル。
  「そね。ここで話しててもしかたないしね。」
  そんな会話をしつつ、ひとまずあたしたちはアルフレッドを探しにいくことに。
  まあ、すでに彼はこの王宮から外にでていってるんだけどねぇ。
  例の場所にv

  「いない?アルフレッドが?」
  とりあえず、兵士たちにも話をきき、アルフレッドの行方を探すアメリア。
  そして、彼らから戻ってきた返事は……
  「ええ。屋敷の中はもちろんのこと。どうも王宮の敷地の中にはいないみたいです。」
  それでなくても今は捜索隊がしらみつぶしにカンヅェルたちの行方を捜している最中。
  それといっしょにアルフレッドの姿を見かけたらすぐにわかるはず。
  それでも姿が見えない…ということは。
  そんなことを思いつつも、あたし達にと報告してきているアメリア。
  そんなアメリアに問いかけるように言っているリナに、
  「ならいったい……」
  顔をしかめて何やらいっているゼル。
  「たしか。町の外れに別宅があるはずです。ひょっとしたら……」
  ふと思い当たり、そちらのほうの報告はまだだったはず。
  そう思い当たり、何やらアメリアがいってくるけど。
  「とりあえず、そこにいってみましょv」
  いってにっこりあたしが微笑むと同時。
  「…って、エル!?」
  「ちょっとまてぃ!」
  「…またですかぁ!?」
  「……ま、エルだしな〜。」
  かるくパチンと指を鳴らすと、あたし達全員の姿はその場から一瞬のうちにと掻き消え。
  なぜかリナ、ゼルガディス、アメリア、ガウリイの声が一致していたりするけども。
  まったく。
  なれないとねぇ。
  瞬間移動くらい。
  くすっv

  セイルーンの町の外れ。
  中心の五紡星からはずれた山の麓。
  このあたりは人工的な結界から生じたひずみなどが多少ところどころに出てる場所でもあるけども。
  ひっそりとあたりに家の姿もなくたたずむ一つの一件屋。
  白い外観と赤い屋根が周囲の緑から多少浮いてるけど。
  ギギィ……
  鍵のかかっていない屋敷の扉を開くと鈍い音が響き渡る。
  「やっほ〜。アルフレッド〜。」
  声をかけつつも、扉から中にとはいりつつ何やらいっているリナに。
  「アルフレッドさ〜ん。」
  のりで声をかけているユニット。
  「返事がありませんわね。」
  きょろきょろと周囲を確認しつつ、そしてまた何の返事もないことをうけ、
  ふと考え込むようにといっているミリーナ。
  「そうですね。」
  そんなミリーナにアメリアが同意してるけど。
  「とにかく、奥にいってみようぜ。」
  「だな。ここにいても仕方ないしな。」
  ルークとゼルガディスはそんな会話をしつつも、とりあえず。
  そのまま建物の中にと入ってゆく。

  ギィ……
  建物の中にはいり、廊下を進むことしばらく。
  明かり一つもついていない廊下を歩いてゆくことしばし。
  奥の部屋からぽつりともれている灯りがひとつ。
  それを見つけてそれぞれが顔を見合わせその部屋の扉に手をかけて。
  しずかに扉を開くと。
  その部屋の奥に影に潜むようにひっそりとたたずんでいる人影が。
  「アルフレッド?」
  その影に向かって恐る恐るアメリアが声をかけると同時。
  「ようこそ。みなさん。いらっしゃるころだとおもっていましたよ。」
  いって、こつこつと暗闇から腕を組みながらでてくる人影一つ。
  この屋敷の内部には彼以外には誰もおらず。
  今は彼とあたし達のみがいる状況。
  白い神官服を基準として、その胸から腰にかけて青いタスクをかけている人物。
  いうまでもなく、アルフレッド当人だったりするんだけど。
  「ってことは。クリストファーさんが王位継承権を放棄したのをきいたみたいね。」
  そんな彼の姿をみとめ、確認の意味をこめて問いかけているリナに対し。
  「ええ。ききました。」
  半ば投げ捨てるようにと言い捨てるアルフレッド。
  ちなみに、いまだに腕を組んでいるままだったりするけども。
  「どういうことなの?この前あなたからきいた話と違うけど?
    あのクリストファーさんが一連の事件の首謀者だというんだったらありえないことだと思うんだけど。」
  あたしから前もって事実を聞いていた。
  というのもあり、あまり驚いてはいないものの。
  だがやはり、確認は必要。
  それと、相手がどのような手にでてくるか。
  そんな見定める意味をもこめてリナが問いかける。
  「そうですね。まったく父にもあきれたものですよ。
    せっかくこの僕があれだけなりたがっていた国王にしてあげよう。というのに。
    子の心、親しらず、といったところでしょうね。」
  ため息とともに、いけしゃあしゃあと言い放つアルフレッド。
  それって、イコール、自分も父親も殺されるか、もしくは幽閉されるかのどちらか。
  という事実にはまったく思い当たらずに彼らの話に乗ってるからねぇ。
  こいつは……
  少し考えればわかるでしょうにv
  「何ですって!?」
  そんな従兄弟の言葉に思わず声を荒げるアメリアに、
  「あなたたちさえやってこなければ、もっとうまくことが運ぶはずだったんですけど…ね。」
  いいながらも、きっとあたし達をにらんでくるアルフレッド。
  というか。
  うまく事が運ぶ。
  という考え事態が甘いんだけどねぇ。
  「ということは。やはり。あなたが王位につくために一連の事件を引き起こした。ということですわね。」
  そんなアルフレッドに、淡々と問いかけるミリーナ。
  「そういうことになりますかね。」
  それをあっさりと認めているアルフレッド。
  ある意味、潔い。
  というか、完全に開き直ってるしねぇ。
  こいつって。
  それに、あたしたちをもあいつらに始末させればいい。
  そしてリナの姉も…とかおもってるけど。
  Sの腹心たちですらルナにはかなわないのに下っ端にどうにかできるはずないのにねv
  「こいつ…いけしゃあしゃぁと……」
  そんなアルフレッドの態度にゼルガディスが何やら吐き捨てるようにいってるけど。
  「でも、あの演技はいただけないとおもうけどな〜。」
  にこにこと、対照的に的確なことをいっているユニット。
  そんなユニットの言葉にわざとらしくお辞儀をし。
  「お褒めにいただきまして光栄ですね。
    それもこれれもこの僕が将来セイルーンの王位につくためのこと。
    この僕こそがこのセイルーンの王にふさわしい。
    僕が王位につけばセイルーンはより強大な国になる。それこそ世界を支配することも。」
  などといってくるアルフレッド。
  というか…褒めてないってばv
  どこをどういう解釈したら、褒めてるように捉えられるのかしらねぇ。
  ふふv
  「己の欲望のために世界を支配しようなんて言語道断ですっ!」
  だんっ!
  アルフレッドの言葉をうけて一歩後ろにとびさがり、指をつきつけて言い放っているアメリア。
  だがしかし、そんなアメリアの台詞を失笑し、
  「それがこの世のためでもあるんですけどねぇ。愚かなものにはそこがわからないのでしょう。」
  などと、さらっといいきっているアルフレッド。
  というか、どちらが愚かなのかは明白なのにね♪
  「ふざけやがって!!」
  そんなアルフレッドに思わずルークが声を荒げていたりする。
  こんな奴のために俺のミリーナの魔力が封じられたのか!?
  などとそんなことを思っての怒りみたいだけど。
  というか、怒りのポイントがずれてるってばv
  「ですが、あなたがたがこのセイルーンに来たおかげですっかり計画が狂ってしまいましたよ。
    フィリオネル叔父さんはなかなか死んでくれませんし。」
  そんなアメリアやルークの声は何のその。
  腕を組みながらあたし達をにらんでそんなことをいってきているアルフレッドだし。
  「父さんはどこにいるんですか!?」
  まさか…アルフレッドがあの魔族に命じて本物の父さんまでどこかに……
  とかアメリアは一瞬おもってるみたいだけど。
  そういえば、まだアメリアたちにはフィルをネズミにしてるの教えてなかったわね。
  ま、別に問題ないでしょうv
  「それですよ。僕もそれが知りたい。」
  そんなアメリアの言葉をうけて、すこし眉を潜めあたし達全員を見渡してくる。
  「?」
  そんなアルフレッドの言葉に、一瞬アメリアが首をかしげると同時。
  「カンヅェル。」
  いいながらも虚空にむけて問いかけるアルフレッド。
  それをうけ。
  「およびですか?」
  言葉とともに、アルフレッドの背後にと出現してくる人影二つ。
  「どういうつもりだ?僕はフィリオネルを殺せと命じたはずだが。」
  そんな背後に出現した二人……
  ……いうまでもなくカンヅェルとマゼンダを横目でにらみつつ、などと言い放っているアルフレッド。
  そんな彼の言葉に動じることもなく、あっさりと表情一つかえずに言い放つカンヅェル。
  「たしかに。あなたから受けた命令はあの男を殺せというものでしたが。
    こちらにも都合ができましてね。」
  そんなことをいいながらも、マゼンダと顔を見合わせて少しばかりほくそ笑んでるけど。
  「都合だと?」
  そんなカンヅェルの言葉をきき、思わず背後を振り返りながらも叫んでいるアルフレッド。
  「ええ。」
  というか…いまだにこいつ、気づいてないし……
  「きさまらの都合などこの僕のしったことか。こいつらものとも、フィリオネルを殺すんだ!
    どうせこいつらも邪魔な存在だからなっ!」
  いってあたし達を指差してくるアルフレッド。
  力の格差くらいわかりなさいよねぇ。
  だから、そんなんだから、ナーガにすらこいつ勝てなかったりしたのよねぇ。
  「どうしても?」
  「あたりまえだ!絶対の服従をちかう。それが取り交わした契約のはずだ!」
  あたし達を無視して、そんなことを彼らに言い放っているアルフレッド。
  きちんと契約の内容を確認してなかったこいつもこいつだけど…ね。
  「たしかに。では仕方ありませんね。」
  カンヅェルがいうと同時、すっとマゼンダが一歩前にでて手をかざす。
  それと同時にその手から光の筋が延び、それはそのままアルフレッドを直撃する。
  「…な…に…」
  どさっ。
  そのまま倒れてるし。
  あれくらいよけなさいよね……
  「アル!?」
  マゼンダの攻撃ともいえないそれを直接体に受けて倒れるアルフレッドに対し、
  思わず叫んでいるアメリア。
  「…ば…馬鹿な。お前たちは契約に従うはずじゃぁ……」
  マゼンダの放った光の筋は、アルフレッドの心臓のしたのあたりをえぐり、
  それはそのまま背中にと抜けていたりする。
  なぜかそれだけのことで、瀕死になりかけているアルフレッドが、
  口から血を吐きながらも、腕をカンヅェルたちに対して伸ばして何やらいってるけど。
  「勘違いしたようね。あなたと契約をかわしたのはカンヅェルのみ。ふふ。」
  そんなアルフレッドの言葉に、笑みを浮べながらもあっさりと言い放っているマゼンダに。
  「ふふふ。」
  契約者が倒れたというのに、笑みを浮かべているカンヅェル。
  「ぼ…僕を裏切るのか?」
  未だに、自分が利用されていた。
  ということにすら気づかずに、そんなことをいっているアルフレッド。
  「うらぎる?」
  「初めからこうなる計画だったんだよ。」
  そんな彼の言葉に心外そうな声をだし、さらっと言い放つカンヅェルとマゼンダ。
  そして。
  「おまえごときが我ら魔族を従えると本気でおもってたのか?」
  瞳を閉じつつも、馬鹿にした口調で言い放つ。
  「…な…何だと……」
  そんなマゼンダたちの言葉をうけて、信じられない。
  という感情を撒き散らしつつも、自分の非を認めたくなくてさらに問いかける。
  「所詮お前は、我らの手の中で踊っていたにすぎんのさ。ふふふ。」
  きっぱりといいきるカンヅェルの言葉に、ようやく自分が利用されていた。
  ということに今さらながらに気づいて。
  「…そん…な……」
  などといいながらもそのまま意識を失っているアルフレッド。
  「くっ。卑劣なまねを。」
  そんな彼をみて、思わずつぶやいているゼルの姿。
  「ま。自業自得というか。何というか。どうする?このまま死なせてみる?それとも、なおしとく?」
  さらっというあたしの言葉に。
  「アルをお願いします。」
  いいながらも、あたしに対してぺこりと頭を下げてくるアメリア。
  「あ。ならこのまま父親のところに送っときましょ?」
  「そうね。」
  ユニットの言葉をうけ、軽く返事をし。
  一応魂のみをその体に留め置いたまま、
  そのままアルフレッドの体をクリストファーの目の前にと瞬間移動させておく。
  『……!?』
  なぜかそれをみて、カンヅェルとマゼンダが驚きの表情を浮かべてるけど。
  別に驚くようなことでもないでしょうにねぇ。
  「いったい何のつもりよ。あんたたちの目的はこのセイルーンを裏から操ることじゃなかったの?!」
  アルフレッドの体そのものを移動したことには触れず。
  まあ、姉ちゃんの関係者だし……
  それであっさりと済まし、きっとカンヅェルとマゼンダにむけて言い放っているリナ。
  というか、深く考えたら何か怖いしね……
  などとリナは思ってるみたいだけど。
  別に怖くも何ともないのにねv
  「たしかに。我々の狙いはその男を王位につかせ、このセイルーンを操ることだった。」
  「だがそれも。リナ=インバース。お前たちがこのセイルーンにやってくるまでのこと。」
  マゼンダとカンヅェルが言葉を言うのと同時。
  二人の瞳が怪しく光る。
  それと同時。
  グラグラ……
  バチバチバチ……
  大地が揺れはじめ、屋敷の外の周りに亀裂が生じ、それはそのまま上空にと浮かび上がってゆく。
  ちょっとした浮島状態になってたりするんだけど?
  「地震?」
  足元といわず、周囲全体が揺れているのをうけて、アメリアがつぶやき、
  「…まさかやつらが?」
  きっと二人をにらみながらもいっているゼルガディス。
  「ミリーナっ!」
  「おそらく。彼らの魔力で何かしたようですわね。」
  ルークはルークでミリーナをかばうように彼女の目の前にたち、
  そしてミリーナは冷静に状況を判断しながらもつぶやいていたりする。
  「何をしたのよ!?」
  なぜか叫んでいるリナ。
  「ああ。どうってことないわよ。
    ただこいつらがこのあたり一体の大地を少しばかり空中に浮かせただけよv」
  そんな戸惑うリナ達にとりあえず説明しておくあたし。
  「ほおう。よくわかったな。」
  「というか。誰でもわかるとおもうけどv」
  小ばかにした口調でいってくるマゼンダに、にっこりと笑っていっているユニット。
  「たしかに。誰でもわかるわよねぇ。」
  そんなユニットとあたしの言葉に、
  「いや。わかんないとおもうけど……」
  などとつぶやくようにいっているリナに。
  「ま。エルだしな〜。」
  「そうですね。こっちのリナさんですし。」
  「だな。」
  それですませているガウリイ、ミリーナ、ルークの三人。
  「ちょっとまってください!…今、浮かせたとかいいませんでした?」
  「…まさか……」
  いいながらも、窓から外を確認のためにとのぞくアメリアとゼル。
  そんな二人の視界にと映ったのは上空にと浮かんでゆく周囲の景色。
  眼下にセイルーンの町並みがちょっとぱかり見下ろせたりしてるけど。


  「…何だ?あれは……」
  兵士の一人が空を見上げてつぶやき。
  「…まさか…アルフレッド……?」
  捜索隊の指揮をとっていたクリストファーもまた、空に浮き上がってゆく大地をみてつぶやいてるし。
  そしてまた。
  「何だ何だ!?」
  「何がおこってるの!?」
  などと、これしきのことで何やら騒ぎ始めているセイルーンの町の人々の姿が。
  彼らが騒ぎ始めるとほぼ同時。
  クリストファーがつぶやくと同時に彼の目の前の空間が一瞬揺らぎ、
  そしてその場に地面に倒れた姿のままのアルフレッドが出現する。
  「アルフレッド!?」
  そんないきなり現れた息子の姿と、そしてまた。
  どうみても怪我をおっている息子の様子に驚き。
  そして。
  「誰か!急いで魔法医を!!」
  などと叫んでいたりするクリストファー。
  復活(リザレクション)くらい使えないと…ねv


  「きさま達がたやすく逃げられないようにしただけだ。
    きさまがここをでらるときは、死体になったときか。それとも、我らの仲間になったときだ。」
  いいながらも、あたしに対して人間のくせにやるようだな。
  そんなことを思いながらも、あたしとリナに対していってくるカンヅェル。
  「何だと!?」
  「リナを…」
  「仲間に!?」
  「何ですって!?」
  「…なっ!?」
  そんな彼の言葉に、なぜか同時に驚いたような声をだしているゼルガディス、アメリア、
  ミリーナにルーク。
  そしてまったく同時に。
  『それだけはやめといたほうが(いいぞ)(いいです)(いいですわ)。』
  きっぱりと四人が四人とも異口同音でいっていたりする。
  そして、一人だけ。
  「オレのリナをお前らにやるかっ!こっちのエルならともかく!」
  などと、リナをがばっと包み込むように抱きしめながら、あたしを指差しいってくるガウリイ。
  「ほほぉぅ。ガウリイちゃん?あちらに強制送還してほしいのかしらv」
  にっこりと微笑みかけるあたしの言葉に。
  「そうはいうけどな。お前の場合は誰も勝てないだろうがっ!こっちのリナはか弱いんだぞ!?」
  などと本気でいってきていガウリイ。
  まあ、たしかに。
  普通の人間である以上。
  こっちのリナは、か弱いのは事実だけどv
  「…どこがか弱いんだ?」
  そんなガウリイにすかさず突っ込みをいれているゼルに。
  「いや。それよりも今、ガウリイさん。こっちのエルさんには『誰も勝てない』とかいってませんでした?」
  などとあたしを見ながらも言ってきているアメリア。
  「こっちのリナならありえるぞ。」
  そんなアメリアの言葉にこれまたすかさず突っ込みをいれてきているゼル。
  「たしかに。こきつかってるみたいだしな〜。腹心たちすら……」
  いいながら、しみじみと腕を組んでいっているルークに。
  「というか。レイさんすらもこきつかってますからね。リナさんは……」
  ため息とともに、しみじみといっているミリーナ。
  「あのねぇ!あんたたち……って、腹心こきつかってるって……」
  そんな彼らの会話をききながらも文句を言おうとし、思わずあたしを見つめてくるリナ。
  そんなあたし達の会話は、『ただの冗談』として捉え。
  淡々と。
  「きさまがこの地にやってきたころ。
    我らが主。魔竜王ガーヴ様から『リナ=インバースを抹殺しろ』と命令がくだったのだ。」
  などといってきているカンヅェル。
  「ま…魔竜王!?」
  「ガーヴだと!?」
  そんなカンヅェルの言葉に、なぜかアメリアとゼルガディスの叫びが一致してるけど。
  「?あいつはたしかエルが赤ん坊にしなかったか?」
  「あれはあっちの世界のことよ。こっちはまだガーヴはいるわよv」
  対照的に、のほほんとあたしを見ながら言ってくるガウリイにとりあえず説明しておく。
  「いや。だからかなりまて。魔竜王ガーヴといえば。
    この世界の魔王。五人の腹心の一人。それが魔竜王(カオスドラゴン)ガーヴのはずだが……
    ……おまえ、それを『赤ん坊にした』って……」
  そんなあたしたちの会話をきいて、なぜか驚愕しつつもあたしに問いかけてきているゼルに。
  「……なるほど。それでいつも来るのはゼラスさんかダルフィンさんだったんですね……」
  「たしか、冥王(ヘルマスター)はあの二人がいうには、動けないとかいってたな……」
  しみじみと、どこか納得しつつそんな会話をしているミリーナとルーク。
  だがしかし、そんな彼らの反応は何のその。
  「何ものでもあろうがオレのリナはやらんぞ!」
  などと、いまだにリナを抱きしめたままでそんなことをいっているガウリイ。
  だから。
  争点がずれてるってばv
  「…え。えっとぉ。エルの言葉はともかくとして。冗談じゃないわよっ!何であたしがっ!」
  とりあえず深く考えないことにして、カンヅェルたちの言葉のみに対して叫ぶリナ。
  一方で、カンヅェルたちのほうもあたしたちの会話の意味をきちんと理解することもなく。
  「初めは命じられたまま、貴様を殺すつもりだった。だがあの呪文をみて少し気がかわったのだ。」
  淡々とリナにむかっていっていたりする。
  そういえば、マゼンダのやつも、あのこと。
  カンヅェルに報告してなかったりするのよねぇ。
  マゼンダも報告するのが怖いとかいう理由で。
  そんなことがあるものか。
  と馬鹿にされるのがいやだから。
  みたいだけど。
  「あの呪文…って神滅斬(ラグナブレード)?」
  他にはカンヅェルの前では使ってないし。
  そんなことを思いながらもつぶやくリナに。
  「あれほどの呪文が使えるのであらば我らの戦力になる。」
  相手は人間だ。
  というのに戦力として捉える発言をしているカンヅェル。
  まあ、彼らにとっては人間などはあっても別にいいかな?
  という程度の盾もどきだからねぇ。
  あとは使い捨ての何か。
  「ふ。おあいにくさま。あたしは魔族なんかと手を組むつもりなんてこれっぽっちもないわ。」
  そんなカンヅェルたちに対して、きっぱりと言い切っているリナだけど。
  「そんなことをしたら、ルナさんがこわいものね〜。リナさんはv」
  そんなリナに、にっこりといっているユニット。
  「それはいわないでぇぇ!」
  図星をさされ、リナが何やら涙まじりに言ってるしv
  そんなリナの反応は何のその。
  「さすがです!リナさん!悪に魂を売り渡してはいけませんっ!」
  違う意味でリナを褒めているアメリアに。
  「つ〜か。こいつを仲間にしても危険だとおもうぞ。おもいっきり。」
  きっぱりはっきり、なぜかいいきっているルーク。
  「ですわね。私たちの世界のほうのリナさんの場合は…いうに及ばず……」
  そしてまた、ミリーナもそんなルークに同意した声をあげていたりするけども。
  「??まあ、そういうとはおもったがな。だがこれと引き換えではどうだ?」
  そんなユニットたちの会話の意味が判らずに首をかしげながらも話を進めるカンヅェル。
  カンヅェルがそういうと同時。
  いまだにフィルの姿をしているままのゼロスが、カンヅェルの言葉と同時に彼らの背後に出現する。
  『………あ。』
  ちなみに、背後に出現したそれは、なぜか木の枝らしきものにくるまれて、
  身動きが一見したところ取れないようになっていたりする。
  まあ、あいつにはそんなのは別に関係ない束縛なんだけど。
  「このためにあいつを攫ったのか?」
  それがフィルではないとわかっているがゆえに、半ばそれをみてあきれていっているルーク。
  ま、たしかに。
  ルークの言うとおり、あきれる以外の何物でもないけど♪
  「たしか。人質とかって『自分達の力が弱いからと認める行為』うんぬんで。
    魔族らしからぬ行為じゃなかったっけ?」
  にっこりと、それがフィルではない。と指摘はせずに、
  にこにこしながらも、カンヅェルたちに対して話しかけているユニット。
  「まったく。魔族のプライドがないやつらよね〜。」
  ユニットの言葉と同時、あたしもしみじみうなづくと同時。
  「くっ。それだけ我々が強い力を求めているということだ。」
  などと、図星を指されて多少動揺しつつもそんなことをいってくる。
  子供のくせに、よくそんなことを知ってるな……
  などと、ユニットに対してはそんなことを思ってるようだけど。
  普通、誰でも思うことだとおもうけどねぇ。
  ほんっと、情けないったら……
  「なるほどね。それでアトラスの魔道士協会やセイルーンの軍隊を支配下に置こうとしていたわけね。
  あんたたちの本当の狙いはなに!?」
  相手の出方を見定めるのが何事においても重要。
  もしくは先手必勝。
  そう育てられているからこそ、カンヅェルとマゼンダに対してきっぱりと言い放っているリナ。
  一方では。
  「……もしかして、彼らきづいてないんでしょうか?」
  「だろうな。」
  などと、顔を見合わせつつも何やらしみじみといっているアメリアとゼル。
  そんな二人の会話に気づくことすらなく、
  「くっ。おしゃべりがすぎたみたいだな。
    さあ。リナ=インバース!我々に従うか。それともあの男を見捨てるか。」
  人間というものは、他人の命がかかっていれば素直に言うことをきく。
  そう思っているからこそ、自分達の優位を確信して高らかにいってくるけど。
  「やれば?」
  カンヅェルたちの思惑とは裏腹に、きっぱりはっきりといいきっているリナ。
  そんなリナの言葉におもいっきり驚きながら、
  「なっ!?これは冗談ではないぞ!…こちらが本気だとわかってないのか?ならば……」
  いって背後にいるそれにとむけて魔力の球を投げ放つ。
  ………効くわけないのにねぇ。
  バシュ。
  「「……何!?」」
  だがしかし、当然のことながらカンヅェルの放った魔力球は直撃するまでもなく霧散する。
  それと同時。
  「……あのぉ?僕はいつまでこうしていればいいんでしょうかぁ……」
  下手に動くことは出来ない。
  それがよくわかっているのか、情けない声をだしてあたしに視線をむけつつも問いかけてくるゼロス。
  「何!?馬鹿な!?意識があるだと!?」
  そんなゼロス一号の声をうけて戸惑いの声をあげているマゼンダ。
  ……まったく。
  本気で今の今までこいつら気づいてなかったみたいなのよねぇ〜……
  「というか。いつまでそうやって捕らわれたまねしてるんだ?ごきぶり?」
  そんな捕らわれた格好になっているゼロス一号に対して、さめた口調で話しかけているルーク。
  「ひど!ルークさん。そうはいいますけどね!
    エル様の許可がない限り下手に動いたらどんな目にあわされ……もといっ!
    いえその、僕だけの問題ではないんですよっ!」
  そんないまだにフィルの格好をしているゼロス一号をじと目でみつつ問いかけているルークに対し、
  何やらそんなことをいってくるゼロス一号。
  「あら。どういう意味かしらねぇ。何ならこれからず〜とその姿でいる?ゼロスちゃん?」
  そんなゼロスににこやかに微笑みかけると、
  「…できれば遠慮したいですぅ……」
  なぜかか細い声で返事をかえしてきてるけども。
  『……なっ!?』
  そんな会話を耳にし、面白いまでに動揺した負の感情を撒き散らしつつも、
  カンヅェルとマゼンダ。
  二人同時に驚愕の声をあげ。
  「…ゼロスだと!?馬鹿な!?」
  「…まさか…そんな馬鹿な!?」
  などと、二人同時に叫んでいたりする。
  あ、とまどってる、とまどってるv
  「あ。おもしろ〜い。マゼンダさんとカンヅェルさん。ものすっごぉぉく戸惑ってる?」
  そんな二人の様子をにこにこしながらみていっているユニットに。
  「まあ。普通戸惑うだろうな。」
  しみじみと腕を組みながらもいっているルーク。
  「ですわね。リナさんの完全な使いっぱしりと化していましても。
    あれでもあのゼロスさんは一応腹心の方々の次に実力のある高位魔族らしいですし。」
  そしてまた、これまたあっさりといっているミリーナ。
  「…ルークさぁぁん、ミリーナさぁぁん……」
  そんな二人の会話に対して、ゼロス一号が情けない声をだしていたりするけども。
  「ま。いっか。姿変えてもいいわよ?」
  とりあえず…っと。
  まあ、とりあえず。
  カンヅェルたちの目くらましの役目は終わったようだし。
  ひとまず姿を変えるのは許可しておくとしますかv
  「わかりましたv」
  ユラッ……
  あたしの言葉をうけて、瞬時にフィリオネルの姿からゼロスがよくとっている姿にと変化させる。
  そんなゼロスの姿をみとめ、
  『……な!?馬鹿な!?』
  なぜか同時に叫び。
  そして。
  「ならば本物のフィリオネルはどうした!?」
  などと叫んでくるカンヅェル。
  「あのねぇ。あんたたち。あの場にいたんだから。フィルがどうなってるかくらいわかりなさいっ!
    まったく……最近の魔族はどこの世界も教育がなってないったら……」
  至極もっともなあたしの意見に。
  「そういえば。まだ父さんがどうなったのかきちんときいてないんですけど?」
  ふと思い出したようにあたしにと聞いてきているアメリア。
  「フィルさんなら、エルがネズミにしてたわよ?」
  「……しかも、体はネズミでも顔はそのままフィルさんの姿でね……」
  にっこりとあたしに代わって答えるユニットに、なぜか顔色も悪く答えているリナ。
  そんなあたしたちの会話を聞きながらも、
  「……おまえ……何ものだ?」
  「……あのときも、おもったが……」
  交互にあたしにといってくるカンヅェルとマゼンダ。
  カンヅェルは今のあたしの行動などをみて。
  そしてまた、マゼンダは今の行動と先日の様子を思い出しながら何やらいってくるけども。
  くすっv
  「あら。あたしもリナよ。リナ=インバース?世の中って同姓同名っているのよv」
  嘘じゃないしね。
  「……どうやら、只者じゃなさそうだな。」
  こちらの人間もリナ…だと?
  どちらが抹殺命令がくだったほうだ?
  などとそんなことを思いながらも、あたしに対して侮れない。
  と少しばかり警戒し、だがしかし、たかが人間風情に何ができる。
  と思いながらも完全にこちらを見下しつつもいってくる。
  「お〜い。あんたら?遊ばれないうちに降参したほうがいいぞ〜?」
  そんな彼らに、なぜか親切にも声をかけているガウリイに。
  「もう遅いとおもうぞ?俺は……」
  なぜかため息をつきながらもいっているルーク。
  そんな会話をしている最中。
  「あの〜。もう降りてもいいですか?」
  「すきなさいな。」
  いまだに姿のみ、フィルのそれではなくしたものの。
  木の枝もどきに一応絡まっている状態であたしに問いかけてきているゼロス一号。
  「ではv」
  シュッ。
  あたしの言葉をうけ、ゼロスが一言。
  それと同時、ゼロスに絡まるようにまきついていた木の枝もどきが瞬時に消え去り、
  ゼロスの姿も掻き消える。
  そして次の瞬間。
  「やれやれ。しかし……いくら、おそらくこの御方たちが何かしていらっしゃったとはいえ……
    本当に僕だと気づかなかったんですかねぇ。マゼンダさん達は……」
  そりゃまあ。
  僕はこの世界の僕じゃあないですけど。
  そんなことを思いつつ、あたしたちの真横に出現したゼロスが何やらいってるけど。
  そんなゼロスに対し、
  「まあ。どうせエルが何かしてたんだろ?」
  そんなゼロスに対し、などといっているガウリイに。
  「ま。そんなことよりv」
  「そうそう。それで、カンヅェルさん達はどうする気?」
  そんなゼロスたちの会話を横目で聞きながらも、
  にっこりとカンヅェルとマゼンダに話しかけるあたしとユニット。
  あたしとユニットの言葉に、未だに多少警戒したままで。
  「……人質がいなくても、きさまらを仲間にするか。それともここで死んでもらうか。
    というのには変わりはない。しかし…なぜお前が?」
  「おのれ。なぜここに!?というかなぜあの姿に!?」
  あたしをにらみつつも、淡々とゼロスをみながらいってくるカンヅェルに、
  なぜか未だに動揺しつつも、ゼロスに対して何やらいっているマゼンダ。
  「それは秘密ですv」
  そんな彼らに対し、いつもの口調で口元に手をあてて、ぴっと言い放っているゼロス一号。
  「とりあえずvどうやら戦う気満々みたいだしvここだと動きにくいわね。」
  にっこり言い放ち、そして。
  パチン♪
  軽く指をならしておく。
  それと共に周囲といわず、あたし達がいる建物。
  すなわち、クリストファー所有の別宅のつくりがすべて砂にと変化する。
  そして。
  ドシャ!!!
  「んきゃぁぁ!?」
  「って、風気結界呪(ウィンディ・シールド)!!」
  なぜか砂にと変化した壁といわず建物全体が、その重みに耐えかねて、
  というか耐久性が追いつかず。
  建物全体が一気に崩れ落ちてくる。
  「エルっ!何したの!?」
  『けほけほけほっ!!』
  瞬時の判断で風の結界を張っているリナが何やらあたしに対して叫んでくる。
  そしてまた。
  なぜかこの場にいるほとんど全員が多少砂まみれになりながらもむせ返っているけども。
  「ミリーナ。大丈夫か?お前なぁ。俺のミリーナが窒息でもしたらどうするんだっ!」
  ミリーナを気遣いながらも、何やらあたしに対して文句をいってきているルーク。
  「あら?別に砂に埋もれた程度で窒息なんかしないってばv」
  にっこりと至極当然なことをいうあたしに対し、
  「いや。普通するとおもうぞ?量が量だけに……それはそうと。今何をしたんだ?」
  なぜかあたしに対して突っ込みをいれながらも、あたしに聞いてきているゼルガディス。
  「ああ。ゼルガディスさん。今エルはただちょっとばかり。
    建物の物質構造を砂のそれに変えただけよ?分子レベルを変換したら誰でもできるわよ?」
  にっこりと、そんなゼルガディスにと説明しているユニット。
  ちなみに。
  当然のことながら、あたしとユニットは崩れ落ちてきた砂にかかることもなく。
  また、ゼロス一号はといえば、何やら頭をかかえてうずくまっているまま。
  そのまま砂を直接もろにかぶり、何やら砂の人形と成り果てていたりする。
  「出来ないと思うぞ………『砂に変えた』…って……」
  何やらぶつぶつと未だにつぶやいているゼルガディス。
  「さってと。これでとりあえず、戦いやすくなったし?」
  にっこりと、なぜかまともに砂をかぶったままのカンヅェルとマゼンダをみつつあたしが言うと、
  「エルさぁん。ひどいです。せめて一言何かいってからやってくださぁい。」
  ぱんぱんと体についた砂を叩き落しながらもあたしにいってきているアメリア。
  「……いうだけ無駄だとおもうぞ〜?」
  そんなアメリアたちにぽそりといっているガウリイ。
  先ほどまであたし達がいた建物は、一瞬のうちに砂と化し、
  ものの見事に建物の形を形成するのに耐え切れず崩れ落ちていたりする。
  それゆえに、あたし達の周りには何もさえぎるものも何もなく。
  天井があった場所には空がくっきりと見えており、
  眼下にはすでに視界のかなたのほうにとなっているセイルーンの町並みの姿が。
  「……まあ。リナさんですからね……」
  ため息とともに、そんなことをつぶやき。
  そして。
  「とりあえず。今は目の前の魔族二人をどうにかするのが先決ですわね。
    ……リナさんとミリーさんが何かする前に私達でどうにかしないと。私達の身まで危険ですわ。」
  ルークの台詞をさらりと無視し、目の前のなぜか半ば呆然としている二人の魔族をみつつ、
  そんなことをいっているミリーナ。
  「……えっとお。とりあえず深く追求はしないわ。とにかく!
    このあたしに喧嘩を吹っかけてきた以上!ただじゃあおかないわっ!」
  とりあえず、建物が砂に変化したことは気にしないことにして、
  ぴっとマゼンダたちに向かって言い放っているリナ。
  そんなリナの言葉をうけ、はっと我にと戻り。
  「……どうやら油断がならない相手のようだな。だが……我ら二人に勝てるかな?」
  自分達ですら、物質を変化させることはきわめて高度な技。
  自分達ですら出来ない技を、
  目の前のエルとか呼ばれてる、同じ『リナ=インバース』はあっさりと成し遂げた。
  その事実に多少同様しつつも、だがしかし。
  それでも自分達の優位を確信してそんなことをいってくるカンヅェル。
  「ふ。正義の心があるかぎり、あなたたち悪の手先にはまけないわっ!」
  一方で、そんなカンヅェルに対して高々と言い放っているアメリア。
  「とりあえず。ゼルガディスさんはリナさんが貸した魔力増幅器でどうにか多少はなるでしょうし。
    問題は私ですわね。まだ魔力は封じられているままですし。」
  今の状況を判断して、的確なことをつぶやくミリーナ。
  「ガウリイ。あんたのそれ。ミリーナにかしたげて。あんたはもういっこあるでしょ?」
  そんなミリーナの声をきき、ガウリイにむかってリナが何やらいってるけど。
  「ちょとまてっ!確かそれって…異世界の魔族じゃなかったか!?
    そんなものを俺のミリーナに渡すってか!?」
  そんなリナの言葉に、何やらいってきているルーク。
  「ルーク。今はそんなことをいっている場合では……」
  ミリーナがそんなルークをたしなめようとしてるけど。
  「ともかく!俺のミリーナに変なものはもたせねぇ!」
  いって。
  そして。
  「確か。魔力を封じたのはあのマゼンダってやつだったよな?
    ならあいつを倒せばミリーナの魔力は元にもどるんだろ?なら先に俺のミリーナのためにたおしてやるっ!」
  などときっぱりはっきりいってるルークだし。
  「ほぉう。たかが人間風情がこの私を倒せるとでも?」
  そんなルークの台詞をきいて、マゼンダが小ばかにした口調で何やらいっくてるけど。
  というか。
  ルークには勝てないってばv
  「へん。よくいうぜ。このまえのこっちのリナ達の攻撃の傷。未だにどうせ治ってないんだろうが。」
  そんなマゼンダに対して何やらいっているルークだけど。
  「そういえば。おもいっきり避けそびれてましたよね。あのとき。このマゼンダさん。」
  「というか。あれをよけられるのがすごいと思うぞ?」
  何やらしみじみと、ルークの台詞をきいて話しているアメリアとゼルガディス。
  「あら?あれくらいよけられないと。」
  至極もっともなあたしの意見に。
  「……えっと。まあ、何をしたのかは怖いから詳しくは聞かないけど……
    とにかく!あんたたちを倒せば万事解決なのはまちがいないし。
    それと!ルーク!そんなことを今いってる場合じゃないでしょうがっ!
    それとも何?エルたちが何かしてもいいっていうわけ?」
  「…うっ!!」
  なぜかじと汗を流しつつも、それですまし。
  なおかつルークに向かって叫んでいるリナの姿が。
  そんなリナの言葉になぜかルークがおもいっきり脂汗を流しながら固まってるけど。
  「ルーク。こちらのリナさんの言うとおりですわ。私も足手まといにはなりたくないですし。
    かといって。あのリナさんやミリーさんが何か始めたら…まず、死にますわよ?」
  さらっと面白いことを言っているミリーナの姿もあったりするけど。
  「あら?大丈夫よ?万が一死んでも生き返らせるからv」
  「…それが怖いのですわ。」
  あたしの言葉になぜかミリーナが即座にいってくるし。
  別に怖くも何ともないでしょうにねぇ。
  ふふv
  「この前はわけのわからん術で不覚を取ったが…今度はそうはいかないよっ!」
  言葉と同時になぜか人型のそれから姿を多少崩した姿に変化しているマゼンダ。
  ……まったく……
  「あのねぇ!せめてずっと人型でいなさいっ!人型で!
    たかが力を使おうとしただけで、人間の姿を崩さないのっ!何のための実体化よっ!」
  至極最もなあたしの叫びに。
  「……だから。お前はどっちの味方なんだ……」
  なぜかコメカミに手をあてて、あたしに言ってきているゼルガディス。
  「まあいい。何かいっているようだが……
    なぜかマゼンダの魔力封じがきちんと作動してなかったようだが……
    だが、しかし。この数を相手に太刀打ちできるかな?…ゼロスのやつの動きはきにはなるが……」
  未だになぜか砂に埋もれたままで固まっているゼロスをちらりとみて、
  カンヅェルがそんなことをいってくる。
  カンヅェルの言葉と同時。
  ざわっ。
  大地とともに一緒に浮いていた木々がざわめき。
  そして、次の瞬間。
  『るうぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
  何やら叫びながらも出現してくるレッサーデーモンやブラスデーモンがたかが数匹。
  「数を頼んで援軍とは卑怯せんばん!ですが!正義の心にはこんなもの何でもありませんっ!
    今こそ私達正義の仲良し四人組プラスアルファの力をみせてあげるわっ!」
  「…そのプラスアルファって何だ?」
  アメリアの言葉に、思わずルークが何やら突っ込みをいれてるけど。
  「あら?ルークさん達のことだとおもうけど?」
  そんなルークににこやかにいっているユニット。
  「……で?結局どうすんだ?」
  そんな会話の最中。
  ガウリイがのんびりとリナにと射掛けていたりするし。
  「アメリアの台詞はともかくとして。とにかく。ガウリイはそれをミリーナに。
    体術はそこそこ使えるみたいだけど。んでもって。あの雑魚どもはガウリイに任せるとして。
    あたし達はカンヅェルとマゼンダ相手ね。」
  そんなガウリイの言葉をうけ、的確に指示をだしているリナ。
  「あら?リナ?ならあたしたちは?」
  「お願いだからっ!エル達は何もしないでっ!お願いっ!」
  にっこりというあたしの言葉に、なぜかリナが涙を浮かべて懇願してくるし。
  「……何か、そっちの小さいほうの人間からものすごい負の感情がでているが……」
  「……判る気がするわ……」
  そんなリナの反応をみて、なぜか戸惑い気味のカンヅェルに。
  何やらぽそりとつぶやいているマゼンダ。
  「え〜?私も遊び…もとい。お手伝いしたいんだけど……」
  ユニットがにこやかにそんなことをいってるし。
  それはあたしも同感v
  「……ユニットちゃんの遊びは洒落になんないだろうが……」
  そんなユニットに、ガウリイがぽそりといってるけど。
  「ま。それじゃ。何もしないっていうのも何だしね〜。ちょっとばかり空間でもいじっとくわv」
  『……げっ!?』
  「…え゛?!」
  にっこりというあたしの言葉に、なぜかガウリイとルーク。
  そしてミリーナの小さな叫びが一致してるけど、それはそれ。
  「えい♪」
  パチン♪
  軽く指を鳴らすと同時。
  一瞬のうちに周囲の大気が変化する。
  ちなみに、今この場。
  即ち、この浮遊している場所の空間は、精神世界面(アストラルサイド)に結構近い空間にしてみたりv
  つまりは、魔力を使うのに力ない存在でも適した場所。
  『……な゛!?』
  なぜか驚きの声をあげているマゼンダとカンヅェルはともかくとして。
  さってと。
  「とりあえず。精神世界面(アストラルサイド)に近い空間創造(つく)っといたわよv
    ここだと『力ある言葉』だけで術とか発動するから、結構楽なはずよv
    まあ、その分。精神生命体である魔族たちも多少力はアップしてるけど。
    ま、別にどうってことないし。遊ぶには…もとい。戦うのにはいいでしょ?このほうがv」
  にっこりとリナたち全員を見渡していうあたしの台詞に。
  「……よく姉ちゃんにそんな空間に連れてかれて特訓されてたっけ……」
  などといいながらも、どこか遠くをみているリナ。
  「…だから。お前は何ものなんだ?」
  以前のアレといい…今のことといい。
  そんなことを思いつつ、なぜか再度あたしに問いかけてきているカンヅェル。
  そしてなぜか。
  もしかして、この人間…魔王様の欠片が封印されている人間なのでは……
  などと思っているようだけど。
  「どうしてあたしがSが封印されてるとか思うのかしらねぇ。まったく……」
  『?』
  至極当然なあたしのつぶやきに、意味がわからずに首をかしげているマゼンダたちの姿が。
  ま。
  それはそれとして。
  「さってと。それじゃ。リナたちのお手並み拝見するとして。
    てこずるようならいってね〜。すぐに手を貸すからv」
  「あ。エル。なら私達はお茶でもしてましょ?」
  「あら。いいわね。」
  ふぃっ。
  手をかざすと同時、横にちょっとしたテーブルと椅子が出現し。
  それに腰掛けてリナ達にと話しかける。
  そんなあたしとユニットをなぜかしばし無言で見つめつつ。
  「……ま。まあ、深く考えたらだめ…ってことですよね?」
  それをみて、なぜか小さくつぶやいているアメリアに。
  「……そね。と。とにかく!あんたたちの好きにはさせないわっ!」
  とりあえず気にしないことにして、カンヅェルたちにと言い放っているリナ。
  そしてまた。
  「とにかく!俺のミリーナに手をだしたことはゆるせねぇぇ!」
  などと、別の意味で憤っているルークの姿が。
  ルークっていろんな意味で楽しめるわよね。
  くすっv
  「ほぉう。人間風情が我らに勝てるとでも?」
  内心、あたしとユニットが戦いに加わらない。
  というのに安心しつつも、小ばかにしきった口調でそんなことをいってくるマゼンダ。
  「我ら魔族の力。甘くみるでない。」
  なぜか。
  というか、どうやったのかはしらないが。
  今、この場は魔力が満ち溢れている。
  つまりは我々にとっては最も有利な空間になっている。
  そんなことを思いつつ、淡々といってきているカンヅェル。
  そ〜いえば。
  こいつらって、この程度のことも出来なかったのよねぇ……
  情けないったら……

  ま、しばらくは、リナ達の行動を傍観していますか…ね♪
  ふふv


                   −続くー

  
 #####################################

  あとがきもどき:
      薫:中途半端だけどここで区切りv
      L:ちょっと!どうしてあたしたちが遊びに加わらないのよっ!
      薫:あ…遊びって……(汗)
      姫:まあ。リナさんたちの出方をみるのにはいいとはおもうけど。
         でも遊べない。というのはねぇ。
         それに。戦闘シーンが今回でもはじまってないんだけど?
      薫:……え…えっと(汗)戦闘が遊び…って……まあ。それには触れないとして(おい)
         とりあえず。長くなりそうなのでここで一区切りです。
         次回に戦闘(になるのか?)と例の墜落浮遊大陸(?)になる予定v
     L:どうでもいいけど!もっとあたしを活躍させなさいっ!
     薫:ど…努力します(汗)
     姫:さってと。何やらエルが薫さんに何かしてるので。とりあえず代理にてv
        次回で一応セイルーン編は薫さんは終了の予定らしいですv
        次が禁断のダンスですv何はともあれ、それでは。またvv
  
(遠くでは、何やらか細い悲鳴が聞こえ…やがてそれも聞こえなくなってゆく……)

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32819Re:お久しぶり(?)です。河田優妃 2006/10/7 22:22:31
記事番号32804へのコメント

多分、お久しぶりです。
薫サンのL様って結構好きです。
郷里のねーちゃんのビビりっぷりとか・・・
ゼロスをこき使うところとか・・・
大好きです!!
貴女の世界観に惚れました!ってカンジです。

ごちゃごちゃと失礼しました(汗

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32822おひさしぶりですvかお E-mail URL2006/10/10 22:10:00
記事番号32819へのコメント

こんにちわ。お久しぶりです。ご無沙汰しております。
ようやく連載というか投稿開始です(まて
のんびりしている間にTRYのボックスまで発売されちゃいましたけど(汗
そのうちに、漫遊記のほうも投稿しますのです。
気がむいたら応援おねがいしますねv
>ゼロスをこきつかうエル様
昔(?)エル様に気づかずに案内してしまったのが運のつき・・かもです(汗
案外、お役所仕事なので使い勝手はいいかも・・・?しれません。(そーか?

何はともあれ、わざわざ感想と書き込みありがとうございますv
のんびりとこれも他のも連載開始しますねーv
ではでは。
お礼になってない書き込みですが。これにて。
かしこ

byかお