◆−和泉式スレイヤーズすぺしゃる長編前書き−和泉 (2007/3/5 18:21:29) No.33023
 ┣『バーチャルエネミー』第13話−和泉 (2007/3/5 18:26:30) No.33024
 ┣『バーチャルエネミー』第14話−和泉 (2007/3/12 18:08:24) No.33031
 ┣『バーチャルエネミー』第15話(毎週月曜日に投稿させていただいてます)−和泉 (2007/3/19 18:12:55) No.33042
 ┣「バーチャルエネミー」第16話−和泉 (2007/3/26 16:41:58) No.33056
 ┗「バーチャルエネミー」第17話−和泉 (2007/4/2 17:52:39) No.33069


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33023和泉式スレイヤーズすぺしゃる長編前書き和泉 2007/3/5 18:21:29


和泉と申します。
前にも少し投稿したことがありますけど、こちらの方で投稿させていただきます。管理人様どうぞよろしくお願いします。
お話は途中からとなりますけど、以下のような話の続きです。

(あらすじ)
あてもない旅を続けながら、雇われ魔道士にいそしむリナとナーガ。
そこに、ローザが仲間として加わり、ローザが拾ったワードッグのイリスとさらに、ワーキャットのセリーと再会し次々と仲間に引き入れた。
さらに、グループ分けしてお話は続きます。
リナ、ナーガ、ローザの人間組はキルヴァさん、ガルちゃんとともにゼクセン王国へ。
リナからリーダーに指名されたイリスがセリーと、さらにネイル、ルシフェリアを従え、さらに哀しいことにルナ姉ちゃんまで引き入れて別の仕事へ。

1.『インターチェンジ』 =リナとナーガの人格が入れ替わる話です。
2.『滅びの魔鎗』 =キルヴァさんとガルちゃんとともに背徳者を懲らしめて、ついでにローザを仲間に引き入れる話です。
3.『君がいるから』 =ローザをさらってひどい目に合わせた魔族をリナとナーガが退治して、ついでにイリスを拾っちゃう話です。
4.『犬鳴き峠』 =イリスが正体を現す話です。
5.『喜憂』 =イリスが、ローザに捨てられちゃうのではないか、と勝手に思い込んじゃう話です。
6.『Child days memory』 =リナとナーガが、呪いで子供にされる話です。
7.『メガブランド猫』 =イリスとローザが、ワーキャットのセリーと出会い呪文を教える話です。
8.『じはーど』 =リナとイリスとガルちゃんが宗教戦争を鎮圧する話です。
9.『Near miss』 =ガルちゃんとガウリィさんが、本気で一騎打ちする話です。
10.『鬼姫(番外)』 =30年前、ゼロスがオークワド国王とキルヴァさんを結婚させちゃった話です。
11.『Like a Beast』 =リナとイリスとキルヴァさんが、悪徳学生グループを懲らしめる話です。
12.『聖者の晩春』 =ナーガとローザが、エルフの森を守るために一計を案じる話です。
13.『恋の涙とアメ降る中で』 =ナーガとローザとアメリアが、殺人事件の犯人を懲らしめる話です。
14.『妖魔の休日』 =リナとイリスとキルヴァさんが、有名俳優のストーカーをやってた妖魔と闘う話です
15.『セリーアゲイン』 =ワーキャットのセリーと再会して仲間に引き入れる話です。
16.『リナ様を探せ』 =ゼロス登場♪。イリスとゼロスのショートコントみたいなもんです。
17.『Breaking out』 =シリーズ最悪の大ピンチに
18.『極悪フェイク』 =影の鏡から現れたシャドウイリスとの死闘。
19.『胸なき子』 =哀しい哀しい女達のお話です・・・・
20.『Sweet Greatest』 =ルナ姉ちゃん登場♪、イリス達とともに依頼をこなしまする。
21.『ラムステイツカーニバル』 =シャドウイリスがアイリスと名を変え再登場。
22.『我輩は坊ちゃんである』=ルナ姉ちゃん達の前に、ジェフリー君とジョセフィーヌさん登場。
23.『百鬼夜行』=リナが捨てたはずの、ナーガコピー10人が野生化して再びリナ達の前に現れた。
24.『ターコイズブルーあいず♪』=海王ダルフィンがかわいがっている海霊族の男の子がセリーに迫る。
25.『サーカスプレイ』=巨乳の女神を奉る国でリナは。
26.『デモンクエイク』=大地震を起こして人々を苦しめる裏切り魔族にルナ、ゼロスも大ピンチに。
27.『バーチャルエネミー』=投稿中。
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(キャラ名鑑)

☆ルナ様(ルナ・インバース)
言わずと知れた、リナの怖い怖い郷里の姉ちゃん。
イリス達の仲間に加わって旅を続ける。

☆ローザ:19歳
@容姿(リナ評)
『スレイヤーズすぺしゃる』10巻参照。オリジナルキャラじゃないです。
「くやしいかな、身体はきゃしゃなのに、肝心なところはしっかり出ていて、顔も、かなりかわいかったりする。でも、良いのは見た目だけ。この辺はナーガっぽい。」
A特徴
「ゆったりとした服を着て、いかにも白魔術が得意そうな感じなのに、黒魔術とか使ったりするナーガとは、逆パターンにして、性質は同類。
かつて、人権擁護団体を偽装する盗賊団に雇われて、あたし(リナ)にケンカを吹っかけてきた、元宮廷魔道士。その実は大バカタレ。
戦いは・・・ちょっとした攻撃呪文を使うが、はっきし言ってザコ。」(『滅びの魔鎗』)
B寸評
本家の『すぺしゃる』とは全く性格は違いますが、実はこんな奴だったということです。(強引
リナに出会った時は何日もごはんを食べてなかったというから、かなり危機的な状況だったといえる。
友達いなくて寂しいからとリナについてきた割には、男にはひたすらモテる。ただ、声をかけてくるのは、遊び人の男ばかり。本人はそういうタイプは嫌いのようである。
しかし、どう見てもモテるタイプではないエルフマニアのカプルスさんを好きになって、求婚までしようとした、『面食わず』。
ザコとは言っているが、火炎呪文だけを取るとリナにも匹敵する魔力を持つ。潜在能力はナーガ並み。潜在したまま終わりそうなところもナーガっぽい。
魔道書をほとんど読まず、モノマネだけで呪文を覚えていくという、ある意味天才。
呪いで5歳児にされたリナと本気でケンカしていたことから、物理的戦闘はそのへんの犬より弱い。

☆イリス:年齢不詳
@容姿(人間形態)
「この女性、見かけは19か20歳、ローザとほぼ同じ年齢。
冷酷さすら感じる切れ長の瞳、その眼差し(まなざし)はするどく、口元だけがやさしく微笑みを浮かべている。
腰まで伸ばした金の髪も、絹糸のようなつややかさ。ローザとは違い、妖艶(ようえん)な大人の風格を漂わせていた。」
「その妖しい女(イリスの人間形態)は、ローザと同じデザイン・・・しかし色違いの、薄紫色のローブ、ブーツ、手袋を着用している。
これがまた、やけに似合っている・・ローザのように、かなりの美貌(びぼう)の持ち主でないと、このデザインは似合わないのだが・・・」
(『犬鳴き峠』)
A特徴
半人半犬のワードッグという種族の女性。
犬形態では、ローザの肩に乗るほど、小さくてかわいい子犬。
人間形態では、ローザをして『私よりかわいいからむかつく』と言わしめるほどの美女。
ハークレイン公国でローザに拾われて、そのまま飼われているローザのペットである。
魔力によって人間形態に変身でき、人間でいる時は、魔道士として広い範囲の呪文を使いこなす。
はっきし言って、飼主のローザより強くて、頼りになる。
キレて野獣と化したキルヴァさんを、ビーストインプリンティングで自由に操ることができる。
ど変態黄金竜ルシフェリア(♀)に力の限り惚れられた。
B寸評
リナと接する機会が多かったので、いつの間にか、リナのお気に入りの存在になっている。
魔力は強いわ、呪文は多いわ、世話好きだわ、腰低いわで、魔力を使いすぎると犬になってしまう以外におよそ欠点が見つからない。
黒魔法、白魔法だけではなく催眠術やらビーストインプリンティングやら、あげくにドラグスレイヴまで使えることが判明した。
芸幅は限りなく広く、潜在能力は底が知れない。
なぜか、悪ガキに殺されかけたり、普通の犬と子供を作らせられかけたり、単身で敵に乗り込んでいったり、刹那的な性格がある。
現在、ネイル達3匹の部下とルナ様を従えてリナの命令を遂行中。

☆ガルダス:25歳
@容姿(リナ評・世間評)
「背中まで伸ばした、絹糸のようなつややかな長い銀髪が、ふぁさ、と垂れてきた。
ゆっくりと顔を上げ、あたし達に向かって微笑みかける・・・・か・・かっこぇぇ♪・・・」
「見上げるような大女。しなやかな四肢。
鎧の上からでもわかる、鍛えぬかれた筋肉を幾重にもまとった肉体。
それでいて、容貌は気品と自信を満ち溢れた、きりりとした顔立ち。言うなれば、男前な美女。
そんな身体を、日輪のような鮮やかな色の鎧で覆い、左腕に両刃の付いた金の鎗をたずさえ、黒竜にまたがっている。
形容するなら、その姿はまさに『戦いの女神』。」
A特徴
ゼクセン国王女にして将軍。キルヴァさんの娘。
「ゼクセンにガルダスあり」。周辺諸国や山賊、盗賊をにらみ、ふるえ上がらせている、稀代の女傑。
その戦いぶりは、敵地にあっても無人の野を駆け抜けるがごとく、その金の槍に斬られた相手は、痛みすら感じることなく死んでいくという、飛燕の早わざの持ち主。
人呼んで『金鎗手(きんそうしゅ)のガルダス』。」(滅びの魔鎗)
B寸評
容姿と特徴は褒めすぎである。(おい・・
リナ達の行く先々で時々現れるが、リナにはパシリ扱いされている思慮の薄い猪女。
浮いた話には果てしなく縁遠く、お見合い100連敗中。彼氏募集歴10年目。
しかし女性には、国内では女性だけのファンクラブがあるくらいモテる。初対面時には、リナやイリスをもときめかせた(危)。
一騎打ちをして負けたガウリィさんのことを、かなり根に持っていて再戦を望んでいる。

☆キルヴァさん:推定50歳(現在18歳に若返りちう♪)
@容姿(リナ評・オークワド〔ダンナ〕評)
「ガルダスに負けず劣らずのガタイの持ち主。両手に両刃の付いた中尺鎗をたずさえ、黒竜にまたがっている。
顔も、ガルダスとそっくり。健康的でツヤがあって、良い年の取り方をしている。」
A特徴
ゼクセン国王妃。ガルちゃんの母親
『物理的な戦いなら、キルヴァの右に出る者はいない。
30年前、2本の鎗だけで、魔族を倒したという伝説の竜騎士。
戦場にあっては、一騎当千。キルヴァが動けば敵の将すらも道を譲ったと言われる、名将にして豪傑。
人呼んで『双槍手(そうそうしゅ)のキルヴァ』』(滅びの魔鎗)
B寸評:
かつての『鬼姫』、今は温厚なおばちゃん。年を重ねて、かなり性格が丸くなり、部下の評判もよい。
しかし、双鎗を持たせて戦場に立たせると、関係ない人まで斬りまくる、殺人マシーンに変貌する。(だめじゃん)
休暇中にリナと再会し、悪徳学生グループを壊滅させたが、そこでまた人を斬り殺してしまい、ダンナに怒られるのがイヤで国に帰れなっていた。
ようやくガルが向かえに来て、久々に国に帰ることになったがダンナは逃亡中。

☆セリー(ワーキャット):年齢不詳
@容姿(イリス評)
「細身の身体に黒のワンピースはなかなかセクシー(リナ様より・・)である。
でも、裏地が赤い黒マント、革製のひじまである黒手袋にブーツはちょっと暑苦しい。」
「目が猫っぽいし、夜とか光りそう。それ以外の外見は、人間そのものではある。
背中まで伸ばした黒髪はつやつやサラサラでとってもきれい・・若さだね♪・・・」
「ワンピースが似合う細身の身体。見た目10歳くらいなのに15歳のリナ様よりもスタイルが良かったりする。背もリナ様と同じくらい。
愛嬌のある顔で、猫目だけど逆にそれが可愛らしさを引き立てている。いわゆるリナ様やローザ様のようなコミカルな癒し系の顔である。
あたしやナーガ様のような、凛々しい系の顔に猫目だとひたすら怖いだけなのだが、コミカル系だけに、お得な奴である。」(メガブランド猫)
A特徴
半人半猫のワーキャット。猫が100年以上、生きて魔力が生じ、人間に変身する能力を持ったという魔獣である。
魔力は強いが、イリスに出会うまで呪文は全く知らなかった。
イリスのことを師匠と仰ぎ、呪文を習ったが、まともにマスターする所まではいかなかった。
B寸評
魔力はイリス並に強いので、きっかけさえつかめば将来性は明るい。
でも、まだ魔道士としては半人前。
当分は得意の体術でリーダーで魔道の師匠であるイリスをサポートする。

☆ネイル(リリム):年齢不詳
@容姿
少女の身体にコウモリの羽・・・要はリリムである。
豊満な胸を誇示するかのように胸を張った立ち姿、背中まで伸ばした青みかかった髪、対面する者を誘い込むような青い瞳・・・とにかくリリムである。
つややかな唇に整った目鼻立ち、童顔なのに女王のような貫禄がある物腰・・・やっぱしリリムである。
蛍光色のような青いぴったりした青い服に同系色のひじまである手袋、宙に浮いているから足ははだし・・・そんな感じのリリムである。
A特徴
リリムなりに魔力は強く呪文を使うこともできるが、空中を音速で移動することができるのでむしろ物理攻撃の方が得意。
リリスと同じく、伝承の中ではヒワイの象徴のように書かれているが本人は至って普通で背中に羽がある以外は人間の女の子と変わらない。むしろ人間の若い女の子より礼儀正しくていいコだったりする。
キルヴァさんにスカウトされ、ゼクセンの親衛隊に入隊。
現在、イリスとともに仕事のお手伝い中。
B寸評
背中のこうもりのような羽で、空中を高速移動できる。
一通りの呪文を使うことができるが、剣術は素人。
浄化呪文をやられると浄化されちゃうので、気をつけるべし。

☆ルシフェリア(黄金竜):年齢不詳
@容姿(リナ評)
「イリスと似たような金髪の少し影のある美女。
聞けば、グループではナンバーワンの女の子だという。確かに、そう言われても納得してしまうほどの美貌である。」
A特徴
正体は黄金竜のめす。
筋金入りの同性愛者。俗にいう、れず。
悪徳学生グループに入って、人間の若者と一緒に遊んでいたが、彼らの犯罪にも加担していたため役人に突き出された。
男装したイリスに一目ぼれして、そのままイリスのストーカーに近い存在となる。
キルヴァさんにスカウトされて、ゼクセンの親衛隊に入隊。
現在、大好きなイリスとともにお仕事ちう♪
B寸評
黄金竜に変身すると、便利な乗り物に変わる。当たり前。
呪文も一通り使えるが、浄化呪文などの白魔法が得意。
当然腕っぷしは強く、身体能力は人間の比ではない。

☆カミュラさん(リリス):年齢不詳
@容姿
人間形態では、なんちゅうことはないどこにでもいる恰幅の良いおばはんで年相応のどっぷりとしたずんどう体型。
話には登場しないが、実は人間のダンナがおり人間形態での容姿はそのダンナの年に合わせて変えている。
正体であるリリスに変身した時は、青みかかった長い髪にスレンダーなモデル体型。娘のリリム達と同じく、青い瞳には男性を魅き付ける魔力を包含する。
A特徴
正体は強大な魔力と権力を持つ『妖魔女君リリス』。
元は人間でありながら何人もの悪魔と交わり、たくさんの娘(リリム)を産み落とした。
伝承の中では、多淫多情で天下無双の尻軽女だの毎日子供を産んでいただの、ぼろっくそ言われていたが本人は結構良い人でキルヴァさんと意気投合しお友達になった。
今は人間と夫婦になり、ベリアードの町で人間として生活している。
趣味は『有名人の追っかけ』という、徹底的に人間くさい妖魔のおばはんである。
B寸評
正体を現せば、その名に偽りない計り知れない魔力を持つ。本気で魔力を解放すれば、リナ達が束になって闘っても勝ち目がない。
『間違っても敵に回したくないおばはん』その2である。(その1はキルヴァさん)

☆オークワド:55歳
@容姿:不明
A特徴:
ゼクセン国王であり、王妃であるキルヴァさんや王女であるガルちゃんなどクセ者揃いの部下をアゴで使っている偉い人(まあ、身内だしね)。
立憲君主国であるゼクセン王国の内政をほとんど一人で仕切るバイタリティーの塊のようなおっさんである。
最近キルヴァさんがよその国で無茶しやがるものだから、夫婦仲の危機とも噂されている。
現在は、仕事に疲れて脱走中。

☆ナルミ:48歳
@容姿:不明
A特徴:
オークワド国王の妹で、ガルちゃんの叔母。つまりキルヴァさんの義妹。
元ゼクセン王国総相兼国王代理。さらにガルちゃんの教育係もやっていた。
およそ、学問と呼ばれる物の全てに精通し、魔力のキャパシティーも無限という噂である。
レビテーションなど生活や仕事に便利な呪文が得意で、ガルちゃんもびびるほど厳格な完璧主義者。
国民から『飛天夜叉』とあだ名され、そのまま通り名となっている。
現在は、息子のスティルウェルとともにゼクセン城で政務の代行をこなしている。

☆スティルウェル:20歳
@容姿:不明
A特徴:
ナルミの息子。つまりはガルちゃんのいとこ。
ゼクセンの時期国王の筆頭候補。本人は国王になることを心底イヤがっているが、母親であるナルミが強制的に城に連れてきて帝王学をやらせている。
母親のも劣らぬ明晰な頭脳を持っているらしいが、性格その他は不明。


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33024『バーチャルエネミー』第13話和泉 2007/3/5 18:26:30
記事番号33023へのコメント


(リナの一人称です)


ガーラン城攻略成功♪・・・ってことで。

とりあえず、ガーラン城は元の持ち主ビルドレイさんに返した。

集落までみんなでビルドレイさんを向かえに行って、そこまでつれてきたのである。

城を乗っ取ったからといっても、民心が定まったわけではないし、ガーランの残党が領内に残っているからこれから整理するのに大変だ。

そこは長年この地を治めてきたロードビルドレイさんと、後でここに到着するであろうゼクセンの救援隊にお任せすることとした。

これで、ガーランの反乱鎮圧で一件落着。

しかし、今回の事件はもう一つ問題があった。

ガーランの娘の一人で、あたしに降参した魔道士のねえちゃんの話である。



場所を変えて、ここはお城の一室・・・・キルヴァさん達は、ビルドレイさんと今後の領地の回復について打ち合わせをしている。

そして、あたし、ナーガ、ついでにローザの3人は別の部屋で先ほどのねえちゃんからお話を聞くことにした。

ちなみにアイリスは興味なさそうに、部屋の隅で犬に変身して眠りはじめた。

アイリス(犬):「くゅ〜ん・・・くか〜♪・・・・・」

犬になったアイリスは相変わらずかわうい・・・イリス達にも早く会いたいな・・・・・・

って、そんなこと言ってる場合じゃなくて。

リナ:「あんたさっき、あたしに『助けてくださひ!』とか言ってたけど、助けろってどゆこと?・・・
ってか、あんたって誰?・・・ガーランの娘じゃないの?・・・・」

魔道士のねえちゃん:「あたしの名前は、ジェミニ・ビーンズっていいます・・・・
ガーランの娘ではあるんですけど、あたしはあの男と話をしたこともありません・・・・」

ロ:「みみっちい名前ね〜・・・直訳すると双子のまめ?・・・・
おまめさん〜♪・・・・」

ジェミニ:「あう〜!(泣)・・・気にしてるのに〜!・・・・」

ローザ:「あ、ごめ〜ん!・・・
わたし、ローザ・ライマン・・・かわいい名前でしょ〜♪・・・・・・」

またまた出た、ローザのお友達欲しい病・・・・このねえちゃんが敵のスパイかもしれないから、あまり親しくするのは良くないのだけど。

ちなみに最近、ローザが友達になりたがる人には特徴があるということががわかった。

その特徴とは、女は美女ばかりで男はちびでぶばかりということである。

男がちびでぶばかりなのは、彼女の死んだ父親がそうだったからだそうだ・・・ナーガから聞いた。

彼女は自分の父親のことが忘れられなくて、その大好きな父親と同じような外見と男性と一緒に暮らすのが夢らしい。

ローザは、つつましいのかわがままなのかよくわからんねえちゃんである。

美女が好きなのは、別にヘンな趣味があるからではない。彼女の母親が巨乳美女だったからしい。殺されちゃったみたいだけど。

ちびでぶの父親からこれだけきれいな娘が生まれたのだから、その母親の美しさはハンパではなかったのが予想できる。

そして、このジェミニというねえちゃんも、巨乳の上にぱっちりとした目のと引き締まった口元・・・ぴったりとした魔道服がよく似合うスレンダーなビジュアル系の女性である。



ローザ:「この2人とあっちの一匹はみんなあたしの友達だよ♪・・・・
あの、ワンちゃんになって眠ってるのがアイリス・・・・
こっちの胸も背もみにみになのがリナちゃんで、この胸ど〜んでわけわかんないのがナーガ・・・・」

実に適切な自己紹介をするローザは、あたしとナーガが適当にドツキまわした・・・ぴくぴく。



リナ:「じゃ、自己紹介はこのくらいにして本題に入りたいんだけど、ジェミニ・・・あたし達に助けてほしいって、どゆことなの?・・・・」

ジェミニ:「いやあの・・・その前にあなたがたって、単なるツッコみなのに血流してぴくぴくするまでやるんですか・・・・」

部屋の隅でぴくぴくしてるローザを見やって。

リナ:「ああ、気にしないで、いつものことだから・・・・
彼女もいい加減慣れちゃってるはずだからいいのよ・・・そのうち適当に復活するから・・・・」

ジェミニ:「そうですか・・・それなら・・・・」

と、納得したところでようやくジェミニが説明し始めた。



数分後。

ぅどどどどどどどどどどどどどど!!!!!・・・・ばんっ!(ドア、開けっ)・・・・・

リナ:「キルヴァさん、大変ですっ!・・・って、わわっ!・・・・・」

兵士:「何だ貴様!?・・・・」

ドアを開けた瞬間、近くにいた兵士があたしに槍を向けてきた。

あちゃ・・・タイミング悪かった・・・・・

その部屋では、多くの兵士や文官達が中央に座ったロードビルドレイにひれ伏していた。

そのロードの横には、キルヴァさんとガルちゃんがえらそうに座っている。

どうやら、これまでの経緯を城の中にいた家来達に説明して、それがちょうど終わったとこみたい。

昔の家臣達を呼び戻し、ようやっとビルドレイ公の統治体制で『これから復興がんばろう!』、って儀式をやってたとこにあたしがなだれ込んでしまったようである。



キルヴァ:「こらこらリナちゃん、ノックくらいしないと・・・・
何をそんなに慌ててるのよ?・・・・・」

リナ:「そんなことより大変です、キルヴァさん!・・・さっき捕まえたジェミニとかいう女のコに聞いたんですけど!・・・・
あたし達がさっき倒したガーランって、影武者らしいです!・・・・・」

がたたたたっ・・・・その場にいる人達が一斉に立ち上がる。

ビルドレイ:「何ですと!・・・リナ殿、それはまことですか!?・・・・」

リナ:「まことでス・・・・」

ビルドレイ:「ぬうっ・・・それじゃ、ガーランはまたすぐにここに攻めてきますぞ!・・・・
王女さ・・・じゃなかった、キルヴァ王妃様!・・・・」

そうなのである・・・・さっきキルヴァさんに両腕を斬りおとされて逃げたおっさんは、本物のガーランではなかったのだ。

さっきの胸のおっきな女魔道士・・・ジェミニが話してくれた。



ジェミニの話はこうである。

まず彼女は本当のガーランの娘ではなかった。正確には彼女の母親が元ガーランの側女で、彼女はその母親に育てられたのである。

そして彼女の母親は、今ではエキドナ王国のどこかでひっそりと暮らしているそうなのだが。

最近、その母親がガーランの手下に命をねらわれているというのだ。

それはなぜか・・・・というか、当然である。

ガーランの横暴を知り尽くした元側女が、他国で隠れて暮らしている・・・なんてことになると、ガーランの悪評を他国に流されてしまう危険があるからである。

いわゆる口封じである・・・ジェミニ自身ももし彼女の生い立ちをガーランが知ることになれば、殺されてしまうことになるだろう。

だから、ジェミニはガーランを裏切った・・・あたし達の実力を見込んで。

先ほどあたし達に、『助けてほしい』と言ったのは『自分の母親を助けて欲しい』ということだったのである。

(つづく・・・)

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33031『バーチャルエネミー』第14話和泉 2007/3/12 18:08:24
記事番号33023へのコメント

(リナの一人称です)

あたし達が倒したはずのガーラン。実は影武者だった。

道理でこんな大きな騒ぎを起こした割には弱いと思ったけど。

オマケにガーランの娘と名乗る女魔道士ジェミニから母親を助けてくれという依頼まで受けて。

リナ:「どうしよ、キルヴァさん!・・・早く出向いて行かないと、本物のガーランがこの城に攻め込んでくるかもよ!・・・・」

キルヴァ:「う〜ん・・・でも、アイリスはこっちにいるしドラグスレイブ使える魔道士なんてほかにいないでしょ・・・・
ここで待っててもいいんじゃないの?・・・」

リナ:「まあ、そうですけど・・・そんな気楽なこと言ってないで、準備しないと!・・・・」



ぅどどどどどど!!(走)・・・・ばんっ(ドア開けっ)

ローザ:「大変だよリナちゃん!・・・ガーランから挑戦状が投げ込まれてきたよ!・・・・」

あたしに続いて、その部屋にローザとナーガが駆け込んできた。

リナ:「挑戦状?・・・・」

ローザ:「うん、中に石入れて窓から投げ込まれたの!・・・・
あたし達は無事だったんだけど、ちょうど寝ていたアイリスの頭に当たっちゃって・・・・」

アイリス(犬こぶ):『あう〜(いたひ〜)・・・・・』

リナ:「なりゅほど・・・だから、アイリスがでっけぇたんこぶ作って泣いてるのね〜・・・・」

言いながら、ローザに抱えられた犬アイリスをつんつんしてみたのだった。



そのローザが持ってきた挑戦状を受け取り読んでみる。

リナ:「ふみゅふみゅ・・・ジェミニを返せ、さもなくばその城ごと破壊する・・・・らしいです・・・・・」

ローザ:「やっぱジェミニのお母さんの秘密バレちゃうのが怖いのかな・・・ジェミニをガーランに返したら殺されちゃうよ・・・・」

キルヴァ:「ストレートな挑戦状ね・・・んでジェミニって誰?・・・・」

リナ:「ジェミニって、さっきつれて帰ってきた女の子ですよ・・・ガーランから睨まれてるみたいなんです・・・・・
彼女のお母さんがガーランの側室だったんだけど、ガーランから逃げちゃったとかで・・・・」

キルヴァ:「ほうほう・・・じゃ、さっさとその女の子のとこ戻りなさいよ、あんた達!・・・・」

そういって、キルヴァさんは髪をたばねていたヘアピンを抜き取った。

ふぁさりと束ねた髪が垂れ、キルヴァさんは軽く首を振って紙を整えると。

ひゅっ・・・・・

と、スナップスローでヘアピンをこちらの方へ投げつけてきたのである。

そのヘアピンは、ローザの髪をかすめてその背後に。そして、いつの間にかすぐ後にいた兵士の一人が。

どさり!(倒)・・・・・

ローザ:「ひょえっ!・・・王妃様、何てことを!・・・・」

眉間にピンが突き刺さり、その兵士は絶命した・・・まさか、敵?・・・・

キルヴァ:「迂闊(うかつ)だったわね・・・こんなとこにも敵がいたなんて・・・・
ビルドレイ、あんたほんとに人望ないのね〜・・・・」

ビルドレイ:「・・・え・・・・えっと・・・・・」

キルヴァ:「ここにいる兵士・・・みんな敵・・・・・
わかるわね?・・・・」

全員:「ええっ!・・・・」

あたし、ナーガ、ローザ、ビルのおっちゃん・・・ユカイなポーズでシンクロした瞬間。

かちゃかちゃかちゃ!・・・・兵士達みんなが、一斉に腰の剣を抜いた。

マジでみんな敵でやんの・・・そういえば、さっきまでいなかったのにこの兵士達ってどこから来たんだろ?・・・・

キルヴァ:「やるわね、あんた達・・・このあたしも気付かなかったわ・・・・
どうやって、ここまで来たのよ?・・・・」

兵士:「普通のあんたらと一緒に城に入ってきたのさ・・・それよりビルドレイ・・・・
あんたの兵隊は弱いな・・・全部倒して鎧を剥ぎ取るのに汗もかかなかったぞ・・・・」

なるほど・・・・ビルのおっちゃんの部下が裏切ったのではなく、敵の兵士がおっちゃんの兵士に化けて潜り込んでいたようである。

ビルドレイ:「ぬうっ!・・・・」

怯えるような表情を見せたビルドレイさん・・・これはおそらく敵が怖いというより、またしても失態を演じてしまったから、キルヴァさんに咎められるのを恐れているのだろう。

キルヴァさんと目を合わせようともしない。

キルヴァ:「ビルドレイ、お前はもういい・・・下がれ・・・・」

あきれ返った声で言うと、ビルドレイさんはすごすごと後ろへ・・・替わりにキルヴァさんが、ずいと前に出て武器をかちゃりと構えた。

キルヴァ:「やるんでしょ・・・さっさとかかってくれば?・・・・・」

兵士:「その必要はない・・・貴様らはもうフクロのネズミだ・・・・」

ばばばっ・・・・・と一斉に飛びのいていく兵士達、そのまま窓から飛び出して飛んでいった。

全員が飛行の呪文で。

魔道士だったんだ・・・そりゃ、ただの兵士達が勝てるわけない・・・・

ローザ:「待ちなさい!・・・・」

ローザが追いかけて窓の外に向かう、そこには。

リナ:「危ないローザ!・・・ディルブランドぉっ!・・・・」

ちゅごぉぉぉおおおおおん☆!・・・・・・・ぴくぴく・・・・

窓付近まで駆けていったローザを爆発の呪文で吹き飛ばすと、そのあとからぴゅんぴゅんと無数の矢が飛んできた。

間一髪、あたしはローザを矢から守ったのだ。

リナ:「ふう・・・危なかったわね、ローザ・・・・・」

ローザ:「・・・そ・・・・そだね・・・・・ってか、助かった気がしなひ(ぴくぴく)・・・」

文句の多いねえちゃんである。



矢が飛んできた・・・ってことは、すでに。

ガーラン(本物):「はーっはっはっはっは!・・・キルヴァ!・・・・
ジェミニは頂いたぞ!・・・返して欲しければ一人で出てこい・・・・」

ジェミニ:「ぴー!・・・リナさ〜ん、助けてくださひぃぃぃいいいいい!!!・・・・」

勝ち誇った笑い声が、この王室まで響いてきた。

本物のガーランとその兵隊のお出ましである。

だだだっ・・・と窓に駆け寄るとそこは、一面を埋め尽くした兵士の群れ。

キルヴァ:「あらららら・・・ちょっと多いわね・・・・」

のんびりと言うキルヴァさん・・・この光景を見て慌てないところはさすがである。

ガーラン:「ふふふ・・・現れたな万人の敵、キルヴァめ・・・・」

ビルドレイ:「ガーラン!・・・貴様、いつの間にこんなたくさんの兵士を!?・・・・」

ガーラン:「相変わらずノンキな奴だなビルドレイ・・・貴様がこの地を治めている時から我が人民をもぐりこませていたのだ!・・・・
平和ボケした貴様には気付くすべもあるまい!・・・・」

ビルドレイ:「・・うう・・・・もう、言い訳しません・・・・・
ご随意に、おうじょ・・・じゃなかった・・・・えっと、王妃様・・・」

おっちゃん、また言い間違える。

キルヴァ:「はいはい、あんたはもういいって言ってるでしょ・・・・
にしても困ったわね〜・・・ゲリラが潜り込んでるってことは、ここにいる連中全部倒しちゃっても解決しないじゃん・・・・」

ローザ:「う〜みゅ・・・げりらが潜り込んでいる、ですか・・・・
強いんですね、そのげりらって・・・
それってどんな魔物なんですか?・・・・うん〇怪獣げりら?・・・・」

どごごりゅげみごすっ☆(蹴り)・・・・ぴくぴく・・・・・・



キルヴァ:「やるわねガーラン・・・くやしいけど、こっちには打つ手がないわ・・・・」

ガーラン:「いや(汗)・・・どうでもいいが、その足元に転がってる女の子は大丈夫なのか?・・・・
全員で顔面蹴りまくったようだが・・・・」

リナ:「ああ、気にしなくていいわよ・・・いつものことだから・・・・・」

鬼のような言葉だが、ここでは汚い話とシモネタはご法度なので、あしからず。

(ってことで、つづく)

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33042『バーチャルエネミー』第15話(毎週月曜日に投稿させていただいてます)和泉 2007/3/19 18:12:55
記事番号33023へのコメント

影武者ではない本物のガーランがついてあたし達の前に現れた。

屈強な兵士や部下の魔道士を引き連れて、あたし達のいる城は完全に包囲されてしまったのであった。

ぴ〜んち・・・・

キルヴァ:「ほんとにぴんちだよね・・・・どうしよ、リナちゃん・・・」

リナ:「さあ、どうしましょう・・・・」

ガーラン:「ようやくわかったようですな・・・
戦は力だけではダメなのですよ、キルヴァどの!・・・うわっはっはっはっは!!・・・・」

勝ち誇ったように高笑いをするガーラン・・・むう、イヤミなやつ・・・・

くやしいだろうけど、本国の王妃というキルヴァさんの立場からすれば、ここは退くしかない。

あたし達ならば戦うことは容易だが。

ビルドレイ公国の領民の中に、どれだけ敵が潜んでいるかわからない。

もしあたし達が抵抗して、潜んだ敵が暴走すればただではすまない。

ガーランの用意周到な作戦が、まんまとハマってしまったのである。

キルヴァ:「わかったわ、ガーラン・・・じゃ、あとでウチのダンナ(国王)と出直してくるわ・・・・
ここは引いてあげる・・・・
だから、領民には手を出さないで・・・・」

この人は、いつも先走る人だけどこういう時は冷静で潔かった(いさぎよかった)。

ガーラン:「そうですか・・・では私の方も一旦引き上げて後ほどまいります・・・・
私が来る前に、その城を空けておいてくださいよ・・・さもないと・・・・・わかってますよね?・・・」

そう宣言をすると兵士達とともにガーランは引き上げはじめた。あたし達は何も抵抗ができず、その様子を見送るしかなかった。

ジェミニ:「ぴー!・・・助けてください、リナさ〜ん!・・・・」

ずるずる。

・・・って・・・・あれ?・・・・・ジェミニ、そういえば忘れてた!・・・・

引き上げて自分の居城に戻っていくガーランの後に、ぐるぐるに縄でふん縛られたジェミニがずるずると引きずられていく。

そうか、さっきの部屋に一人だけ残してたからガーランに捕まっちゃったんだ!・・・・

そういえば、あのコってガーラン裏切ってあたし達のとこに来たんだよね・・・このままほっといたら、あのコ、ガーランに殺されちゃう?・・・・

リナ:「キルヴァさん、勝手なことするけどごめん!・・・・」

キルヴァ:「・・・ん?・・・・何が?・・・
ってちょっとリナちゃん、何する気?!・・・・」

ばっ・・・・とあたしはレイウイングで飛び出しガーランを追いかけた。

同時にナーガも飛び出し、ローザも復活してナーガの後から飛び出した。



リナ:「ガーラン!・・・その娘は返しなさい!・・・・」

ローザ:「そうよ、返しなさい!・・・そのコは、わたし達の友達なんだからね!・・・・・」

いや、友達になったつもりはないけど・・・あたしは、見捨てるのもあんまりだと思っただけで・・・・

ジェミニ:「ひ〜ん!・・・リナさん、助けてくれるんですね〜!・・・・・」

よく泣くねえちゃんである。

ガーラン:「そうはいかんな・・・この娘ジェミニとその母親は我らの裏切り者だ・・・・
こいつが貴様らに助けを求めたことも、知っている・・・・
裏切り者は粛清する・・・貴様らの知ったことではない!・・・・」

わーい、ひさびさに本物の悪党だー♪・・・・

ナーガ:「おーっほっほっほっほ!・・・ウソはいけないわね、ウソは!・・・・
わざわざジェミニをさらって行くのは、あんたの素性を知ってるジェミニを生かしておくと困るからでしょう、このペテン師!・・・・」

ガーラン:「ペテン師だと!・・・何をバカな・・・・お前などに素性のことは言われたくないわ、変な女め!・・・」

変な女、という点については同意でス・・・・



リナ:「返さない気ね?・・・あんたあたしが誰だかわかってて言ってるわけ?・・・・」

ガーラン:「リナ・インバースだろ・・・そのくらいは知っている・・・・
何度も言わせるな!・・・領民がどうなってもいいのか!?・・・・」

お約束のようなガーランの言葉に、あたしは少しうつむいて。

リナ:「んっふっふっふっふ・・・・・・・ほーっほっほっほっほっほぉっ!(がばぁっ)・・・・」

びくくぅっ!(びびりっ)・・・・・

がばぁっと身を起してたか笑うあたし・・・ローザもナーガも空中にふよふよ浮いたまま変なポーズでびびってる。

ガーランとその手下達も・・・・後ろ見るとキルヴァさんとガルちゃんも。

そんなに変かな、あたしの高笑い(変でス)・・・・・

ま、いっか・・・それより・・・・

最近すべりっぱなしで、ストレスたまってたのよね〜♪・・・・・

リナ:「きょーっほっほっほっほ♪(変な笑い)・・・あたしの要求を断ったわね、ガーラン!・・・・
このあたし、リナ・インバースに逆らったことを死ぬほど後悔させてあげるわ!・・・・」

ローザ:「リナちゃん、また悪者とか言われちゃうよ・・・・」

ナーガ:「・・・リナ・・・・あんた、まさかここでひと暴れするつもりじゃないわよね・・・・・
王妃様にドヤされても知らないわよ・・・・」

ちょっと、身体を引くバカ2人にあたしは軽く笑みをかけ、呪文詠唱開始。

キルヴァさんに怒られるのは怖いけど、だからってジェミニを見捨てるなんてできない。

リナ:「・・・黄昏よりも暗き者、血の流れより赤き者・・・・」

ガーラン:「まさかそれは・・・ドラグスレイヴ!・・・・」

ジェミニ:「ちょちょちょちょ・・・ちょっと待ってください、リナさん!・・・・
あたしがまだ捕まったままなんですけどっ!・・・・」

ガーランの手下ども一斉に逃げようとする。

ローザ:「大丈夫よジェミニ!・・・この呪文って、ギャグでやってる時は殺傷能力ないから!・・・・」

ナーガ:「そうそう、せいぜいコントオチっぽくチリチリ頭になるくらいだから、ガマンしなさい!・・・・」


ガーラン・ジェミニ:「そういう問題かぁぁぁぁああああああ!!!!・・・・・」

ナーガ・ローザ:「そういう問題です!(胸、張りっ)・・・・」

ナーガとローザのナイスフォロー・・・そう、あたしのドラグスレイブは自然に優しいのだ!・・・・・

・・・・・だよね?・・・・・違うかも・・・まいっか♪・・・・

リナ:「・・・等しく滅び与えんことをっ・・・・くらえ、ドラグすれい・・・・って、うわわっ」

ちゅどごぉぉぉぉおおおおおおん☆!!!!!・・・・



爆音は、あたしのドラグスレイブのものではない。ガーランの方からあたし達の方に火炎呪文が飛んできたのだ。

反撃されたっ!・・・逆にあたし達の方がちりちり頭にっ!・・・・

見事にあたしにねらいを定めてきたこの攻撃呪文のコントロールは。

ローザ:「ちょっと、ジェミニ!・・・大丈夫だって言ったじゃん、攻撃するなんてひどいよ!・・・・」

チリチリ頭のローザがジェミニにびっと指差す。

ジェミニ:「いや・・・ひどいのはどっちかと・・・・っていうか、それやったのあたしじゃないわよ!・・・・」

ジェミニはウソをついていない。両手両足をぐるぐるに縛られてるジェミニが攻撃呪文を繰り出せるはずがない。

しかしその火炎球の主はすぐにわかった。

そのジェミニに向かってとことこと近づく一つの丸っこい影・・・・手下も、全く警戒していないその愛らしい姿。

ローザ:「あ、あんなとこにアイリスが!・・・・」

ぽむっ!(変身)・・・・・小型犬に化けていたアイリスが、その場で人間に変身した。

アイリス:『このバカ、そんな呪文を人に向けて使うんじゃないわよ!・・・・』

敵の真っ只中から、あたしに向かって恫喝。そしてガーランの方を向き直り。

アイリス:『ぬかったわね、ガーラン・・・ジェミニはもらっていくわよ!・・・・・』

ガーラン:「お前はアイリス!・・・いつの間にっ!・・・・」

アイリス:「いや、普通に歩いてきたのだが・・・ただし犬に化けたままだったから、誰も気付かなかったけどね・・・・
まあいい・・・炎の矢!・・・・・」

ちゅどごごごごごごごごごぉぉおおおん☆!!・・・・・

言って、アイリスはジェミニのまわりの敵に向かい炎の矢を乱れ打ち。

そう・・・あたしに向けて火炎球を撃って来たのはアイリスだったのである。

アイリスはジェミニのすぐ近くまで犬の姿でとことこと近づき、その場で変身。

まんまとジェミニを助けだし、あたし達の所まで連れてきてしまった。



アイリス:『相変わらず無茶するわね、リナ・インバース・・・ひとつ貸しね・・・・・』

イヤミっぽく言う姿が似合う奴である。

むう・・・・またアイリスに出し抜かれちゃった・・・・・

やだな、またねちねち悪口言われちゃうよ・・・

(つづく・・・)

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33056「バーチャルエネミー」第16話和泉 2007/3/26 16:41:58
記事番号33023へのコメント

(リナの一人称です)

自分の娘ジェミニをさらった極悪人ガーランに、お仕置きのドラスレ一発・・・ジェミニも一緒に飛んでけ♪・・・・

と、半ばヤケ気味で呪文を放とうとしたが、寸でのところでアイリスが遮った。

しかも、犬に変身してジェミニに近づき、見事に人質のジェミニを救出してしまったのである。

こいつ、一体どこに隠れていたのか・・・作戦とおり、でもなさそうだけど。

お手柄ではあるがこいつに活躍されるのは、ちょっぴしくやひい・・・うぎゅ・・・・

得意満面のアイリスの手を握り、ナーガが。

ナーガ:「・・・よ・・・・よくやったわ、アイリス!・・・
おかげでジェミニは助かったし、リナが余計な悪名作らずにすんだけど・・・・・
・・・でも、なんであんなとこにいたの?・・・・・」

アイリス:『ふっ(髪、ふぁさ)・・・別に大したことじゃないわよ・・・・
犬に変身したままジェミニにダッコされてたんだけど、捕まって一緒にふん縛られて連れていかれそうになってただけよ・・・・』

ほんとに大したことねえな、オイ・・・・



まんまとアイリスにやられて顔を紅潮させたガーランが、手下に指示。

ガーラン:「・・・お・・・・おのれ・・・
かかれ者どもっ!・・・あの娘ジェミニを取り戻せ!・・・・」

手下1:「無理ですっ!・・・」

ガーラン:「なんでっ!?・・・」

およよ!・・・・いきなし戦意喪失ですか?・・・・

手下1:「だって、あの魔道士の女の子ってリナ・インバースなんでしょ?・・・・
わたし達が勝てるわけないじゃないですか!・・・それに、鬼姫キルヴァもいるし・・・・」

ガーラン:「ナンだと、貴様デルフィ様の無念を忘れたのか!・・・・
それを晴らすことなく、キルヴァごときに屈するとは貴様それでも我が王家の配下か!・・・・」

手下1:「だったら自分でやればいいじゃないですか!?・・・・」

ごもっともです、手下さん・・・・自分でやればいいのに、ヒトに頼ってばかりのチキン男ガーラン。

ガーランの手下達があたしの名前にびびってる・・・そこでこりはチャンス、とばかりにローザがずいと前に出てびっと指差し。

ローザ:「ふはははは、そのとおり!・・・
ここにいるちんちくりんの女の子こそ、音に聞こえたえんがちょ魔道士、ゴールドドラゴンもまたいだ上にその先にあるうん〇を踏む、略して『どらまた〇んこ踏み』のリナ・インバース様なるぞ!・・・
ものども、ひかえぇぇぇええええい!!・・・・」

手下一同:「ははぁ!!(ひれ伏しっ)・・・・」

リナ:「汚い脚色すなぁぁああああ!!!!・・・・」

しぱぁぁぁあああああん☆!!!(ひさびさのスリッパ♪)・・・ぴくぴく・・・・

リナ:「ドラゴンにまたがれた上にうん〇踏まれた覚えなんてないわぁっ!(叫び)・・・・」

ナーガ:「またがれた覚えはあるのね・・・・」

アイリス:『う〇こより汚いと思われてんのね、あんた・・・・』

リナ:「やかまひいっ!・・・おまいらに言われたくなひっ!・・・・うぎゅ・・・」

とはいえ、ローザの宣言でガーランの手下達はみんなひれ伏してしまった。

あたしの異名は効果てきめん♪・・・・汚いけど・・・

キルヴァ:「すご〜い、リナちゃん!・・・う〇こ踏みだけでガーランの手下、降伏させちゃった・・・・・」

リナ:「嬉しくないでス!・・・・・」

うう・・・イジメです・・・・



ガーラン:「貴様らぁ!・・・たかが〇んこ踏みに屈服しやがって・・・・
我らが武神デルフィ様の顔に泥を塗る気かっ!・・・・」

リナ:「だから、うん〇踏み言うなぁぁぁあああああ!!!・・・・」

じたばたじたばたっ!(暴)・・・・・

泣きながら暴れるあたしをほっといて、ガーラン達は勝手に話を進める。

手下1:「むう、デルフィ様・・・・確かに、このままではデルフィ様が浮かばれん・・・・・・」

ガーラン:「そうだっ!・・・デルフィ様こそ貴様らの主神であろう!・・・・
そんなうん〇踏みごときで、その信仰を屈してどうするっ!・・・・」

手下1:「・・・・確かに・・・・・デルフィ様は、荒廃したエキドナに豊穣をもたらせられた名君であられた・・・・そんなお方を・・・・・・
キルヴァ憎しっ!・・・・」

その他大勢:「キルヴァ憎しっ!!!(ハモり)・・・・」

さすがに簡単にはいかない。あたしの名前に平伏したはずの手下連中が、たった一言でその信仰心を呼び覚ましてしまった。

振り出しに戻った。



この状況に、してやったりとばかりのガーランは一つの四角い箱のような者を取り出す。

ナンだありわ?・・・・

布に包まれた四角い箱のようなもの。ガーランはその布をばっと取り外すとその中身は。

手下大勢:「おおっ・・・デルフィ様、もったいなや!・・・・・」

デルフィさま?・・・・・

その箱に入ってたのは・・・・・神々(こうごう)しく光り輝く人間の頭蓋骨。

その表面にはびっしりと金箔みたいなもので塗り固められ、さらに何かの細工がされているのかそれ自体が光を放っていた。

手下:「おお、デルフィさま!・・・あの光こそまさに武神の証!・・・・
我らが主神デルフィさま!・・・・」

デルフィとは、30年前にキルヴァさんに斬り捨てられたエキドナ王国の反逆者で、ガーランの父親にあたる。

エキドナ国内ではかなりの人気のあるヒトだったらしく、いまだにデルフィを指示している者が多かった。

ガーランの手下のほとんどが、そのデルフィに影響された人たちである。



なるほど・・・・デルフィの頭蓋骨をご神体として崇めていたのか、こいつら。

まあまあ、ご丁寧に変な光る細工とかくっつけちゃって・・・・・手下の皆さんには、あれが細工だってことがわかんないのかな。

・・・うみゅ・・・あれ?・・・・・・・・・ってちょっと待て、おかしいぞ・・・・

あたしは気付いたのだった。

デルフィの頭蓋骨だという、そのドクロ・・・・不自然なところがある。

明らかなニセモノ!・・・・ってことは、こいつらの信仰もまやかし。

あれがニセモノであることを証明すれば、ガーランの手下達の目を覚ますことができる。

思いがけず舞い込んだ事件解決のチャンスに、あたしは思わずコブシを握ったのだった。

(つづく・・・)

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33069「バーチャルエネミー」第17話和泉 2007/4/2 17:52:39
記事番号33023へのコメント

(リナの一人称です)


ガーランの部下達の崇拝の象徴、武神デルフィ。

でも、実際は武神などではない。

エキドナの武将だったデルフィは30年前に反乱を起こし、若い頃のキルヴァさんにぶった斬られて果てた、とってもとっても悪い奴。

ガーランはその悪い奴デルフィを適当に神格化し、部下を操る道具としてきたのである。

そして、あたし達の前に現したそのデルフィのドクロは、神格っぽく光り輝いていた。

まるで、ヒカリゴケ塗りたくっているかのように。

って、まるっきしヒカリゴケだし!・・・・・・・



ナーガ:「ねえリナ(ひそひそ)・・・あれってヒカリゴケかなんかを塗ってるだけだよね?・・・・・」

ナーガの耳打ちも見たまんま。

しかしあたしはすでに、それ以上のインチキを見破っていた。

リナ:「うん・・・そうだと思うんだけど、それよりキルヴァさん!・・・・・」

キルヴァ:「・・ん?・・・なあに、リナちゃん?・・・・」

言って、あたしはキルヴァさんの耳元に顔を寄せてちょっと耳打ちをする。

あたしはあることに気付いたのだ・・・・デルフィのものだというその不気味な光る頭蓋骨。

明らかに不審な点がある・・・ただのヒカリゴケの光を武神の証だということも思いっきり間違っているのだが、それより。

・・・・それホントにデルフィか?・・・・・・ってこと。

あたしの話を聞いたキルヴァさんが、ぽんと一つ手を打ってゆっくりと前に出る。

どうやら彼女も同じことに気付いたらしい。

ガーラン:「・・うっ・・・・で・・・出たな、キルヴァ!・・・・・
ものども、かかれっ・・・・」

ざうざうぞうっ☆!(斬)・・・・



ナーガ失神・・・・まあ、そんなことはどうでもいいとして(ひどひ)・・・・・

懲りない野郎どもは、キルヴァさんに無鉄砲に突撃し肉片に変えられた。

実はキルヴァさん・・・・・あたしのアドバイス一つで、『わが意を得たり♪』とばかりにテンション上がってる。

顔についた野郎どもの血を軽く拭い、そのまま一足飛びでガーランの間近まで跳んだ。

このおばはん・・・・実はガーランを斬り捨てようと思えば斬り捨てられるのだ。

ただ、それをやると永遠にこの地でのゼクセン国の支持を失うから、やらないだけ。



この時は、すでにガーランは生きた心地がしなかったろう。

目の前には、憎み続けまた恐れ続けた宿敵キルヴァ大将軍が刃を構えている。

機嫌を損ねた瞬間、グッバイ生首♪である。

キルヴァ:「ガーラン!・・・あんたがデルフィの骨だっていってる、その頭蓋骨ってニセモノでしょ?!・・・・・」

ガーラン:「なっ・・・・何を言うか、貴様!・・・・・・」

兵士:「ニセモノですと?・・・ガーラン王・・・・・」

あからさまに動揺したガーラン・・・・とともに、ガーランの兵士達が一瞬動揺しざわつきはじめる。

ざわざわ・・・

彼らの動揺の原因は、『デルフィはニセモノ』との指摘に取り乱したガーランである。

効いとる効いとる♪・・・・

兵士たちの動揺に、今度は逆にガーランが神経質になりどうにか取り乱すまいとふんばろうとする。

ガーラン:「我がデルフィ武神に向かって貴様は根も葉もないことを!・・・・」

キルヴァ:「そいつ斬り捨てたのはあたしだからね・・・そのあたしが言ってるんだから間違いないでしょ・・・・
だってあたし、昔からボスキャラは頭の上から真っ二つにぶった斬ることにしてるし・・・・・・
その頭蓋骨って割れてないわよね?・・・本物だったら、真っ二つに縦に割れてるはずなんだけど・・・・
おおかた、誰だかわかんない頭蓋骨にヒカリゴケでも塗りたくってるんでしょ?・・・・・」

ガーラン:「いや、そんなことは(あせあせ)・・・・」

兵士:「むう・・・聞いたことあるぞ・・・・
キルヴァは、ボスキャラを倒す時は頭から叩き斬ることと歯磨く時は全裸になること、にこだわりを持っていると・・・・・」

いや、全裸で歯磨きは関係ないと思うんだけど(汗)・・・・

ガーランは、兵士のこの言葉にさらに動揺すると思ったら。

ガーラン:「・・・ふ・・・・・・ふははははは!・・・・
虚言をろうするとは、地に堕ちたものだなキルヴァよ!・・・・・」

キルヴァ:「はい?・・・・」

と、逆にガーランの方が『わが意を得たり♪』という感じになった。

ガーラン:「この頭蓋骨はデルフィ様のものだ!・・・貴様の国ゼクセンから送り付けられてきたものだからな!・・・・
ナンだったら、一緒に添えられてきたゼクセン国王の書状を見せてやろうか!・・・・」

キルヴァ:「いや・・・えっと・・・・・」

言い返されておろおろするキルヴァさん・・・・やっぱし口ゲンカ弱い。

くるりとこちらを振り返り、つかつかとあたしの前まで歩いてきて。



キルヴァ:「うぎゅ・・・リナちゃん、どうしやう・・・・」

そこで泣くな、頼むから・・・・・

背中丸めて、こぶしを口に当てて涙目であたしに助けを求める。

リナ:「いや・・・あたし当事者じゃないし、あの骨が本物かどうかなんて・・・・・
だいたい、そのデルフィってのと一騎打ちしたことは覚えてないんですか?・・・・」

キルヴァ:「そんなの、覚えてるわけないじゃん!・・・
だって、あの時は適当に敵兵斬ってたらいつの間にかデルフィってのも死んでて、でも首持って帰んなきゃカッコつかないと思ったから、適当にその辺に転がってる兵士の首を持って帰って・・・・それで・・・うぎゅ・・・・・・」





・・ぅ・・・・・ぅごごごごごごごごごごごご!(どんより雲)・・・・・・



刹那・・・・快晴だった空はどんより雲に覆われる・・・・・・



キルヴァさんを除くあたし達4人・・・・・さらに、ガーランに付き従っていた兵士達もキルヴァさんに向かい凄まじい殺気を放った。

いや・・・・これは殺気というよりも、殺気に類するとも言える『ツッコみパワー』である。

その変なパワーが、どんより雲を呼び周辺を薄闇に変えてしまったのである。

キルヴァ:「・・・こわひ・・・・なにごとですか?(うるうる)・・・・・」

ツッコむ前に、あたしは改めて確認することにした。

リナ:「あの・・・・もう一度聞きますけど・・・・・
あの首って・・・・ほんとに誰のものなんですか?・・・・・・」

キルヴァ:「知んない・・・・」

リナ:「・・・あ・・・・・」

他全員:「あほかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!・・・・・・」

キルヴァ:「ひぇぇぇぇぇぇええええええええ!!!!・・・・え?・・え?・・・・何!?・・・・・
何かあたし間違ってた?・・・・」

リナ「間違ってますよ!・・・・
誰のだかわかんない首を適当に持って帰ったのなら、あの骨どう考えてもデルフィのものじゃないじゃないですか!・・・・」

キルヴァ:「何でっ!・・・ウチの国から送り返したって言ってるのに・・・・」

リ:「その送り返した時点でニセモノだったんでしょ!・・・
っていうか、一騎打ちすらしてねえっ!・・・・・」

キルヴァ:「えっと・・・だから・・・・・」

リナ:「だからぁっ!・・・その適当に持って帰った骨を送り返したんでしょうが!・・・・
それって、デルフィのじゃなくて適当に転がってた兵士の骨ってことじゃないですか!・・・・」

言われてようやくキルヴァさんは、ぽんっと手をうち。

キルヴァ:「・・・・な・・・なりゅほどぉっ!・・・・30年間、気付かなかった・・・・・
リナちゃん、かしこいっ!・・・」

あんたがかしこくないだけでス・・・・



かくして、ついに兵士達の疑惑が確信に変わった。

兵士1:「骨がニセモノとはどういうことですか、ガーラン王?・・・・・」

兵士2:「その骨がニセモノとは・・・その骨からデルフィ様からのお告げがあったとか適当なこと言ってましたけど、あれ全部ウソってことですか?・・・・」

ガーラン:「・・いや・・・それはまあ・・・・・
この骨からのお告げじゃなかったんじゃ・・・・」

兵士3「それじゃ、その骨が光ったり動いたりしたのは演出ってことですよね・・・・
何でそんなことする必要あったんですか?・・・・」

ガーラン:「・・・・う・・・・・・」

ついにガーランの言葉がつまる。



形勢はイッキに逆転。

ガーランに適当なこと吹き込まれて暴虐に協力していた兵士達も、ガーランのウソがばれてマインドコントロールが解けてしまった。

完全孤立・・・・いまや、その場の全ての人間がガーランの敵となった。

リナ:「どうすんの、ガーラン?・・・・
降参するの?・・・それとも、改めてこのおばはんと因縁対決してみる?・・・・・
降参なら一生タダ働きですむかもしんないけど、対決だと肉片決定♪・・・・」

キルヴァ:「いつでもおっけぃよ〜ん♪・・・・」

ガーラン・・・少しくやしそうにひざまづき。

ガーラン:「・・・ま・・・・・まいりました・・・・・」



決着♪・・・・



ってなわけで結果オーライではあるが、たまたまここを訪れたリナちゃんとそのハードな仲間達のおかげでこの地に平和が訪れた。

ガーランが民衆や兵士達のマインドコントロールのために言ってたデルフィの話が、全部ウソだということがバレてしまったのである。

完全に支持を失ったデルフィはもちろん、流罪♪(るざい)・・・・

指導者を失った民衆は、一斉に前ロードのビルドレイさんの下に集まってきた。

ガーランに追われていたジェミニやそのお母さんも、もう追われる心配はなし。

あたし、ナーガ、ローザ・・・ついでにアイリスも、ビルドレイさんからたんまりと報酬をいただいて、うはうは♪だったとさ。

めでたしめでたし♪


(次作につづく)