◆−1.激変!第2の人生−ガード・ワード (2007/7/3 23:45:22) No.33177 ┣2.困惑…依頼主は魔竜王−ガード・ワード (2007/7/7 18:10:05) No.33188 ┃┗3.友人、その名はリナ=インバース−ガード・ワード (2007/7/8 21:59:09) No.33197 ┣Re:1.激変!第2の人生−。。。 (2007/7/7 18:14:42) No.33189 ┃┗コメントありがとうございます−ガード・ワード (2007/7/8 21:55:04) No.33196 ┣4.衝撃!L様ご降臨−ガード・ワード (2007/7/9 00:12:52) No.33201 ┣5.Fight!サバイバル・マッチ (前編)−ガード・ワード (2007/7/9 23:47:14) No.33206 ┣6.Fight!サバイバル・マッチ (後編)−ガード・ワード (2007/7/14 14:47:31) No.33224 ┃┗番外!L様はその時?−ガード・ワード (2007/7/14 16:39:45) No.33225 ┃ ┗Re:番外!L様はその時?−。。。 (2007/7/14 19:03:23) No.33227 ┃ ┗Re:番外!L様はその時?−ガード・ワード (2007/7/14 23:23:52) No.33231 ┃ ┗Re:番外!L様はその時?−。。。 (2007/7/16 02:00:59) No.33242 ┃ ┗Re:番外!L様はその時?−ガード・ワード (2007/7/19 23:07:51) No.33259 ┣7.プリンセスを守れ!−ガード・ワード (2007/7/14 23:13:36) No.33230 ┣8.騎士の特訓−ガード・ワード (2007/7/16 00:53:15) No.33239 ┣9.ああ、徳高き人たらん−ガード・ワード (2007/7/16 23:14:10) No.33249 ┣10.盗賊退治−ガード・ワード (2007/7/19 22:40:02) No.33258 ┣11.カタート山脈でいらっしゃい!−ガード・ワード (2007/7/22 21:22:57) No.33269 ┣12.誕生!リトル・ドラゴン−ガード・ワード (2007/7/22 22:36:55) No.33270 ┣13.再会!従兄は不幸の種の代名詞−ガード・ワード (2007/7/25 23:17:54) No.33286 ┣14.必殺!風邪薬! 15.ルナ=インバース−ガード・ワード (2007/7/29 14:22:52) No.33289 ┗16.初犯もないのに指名手配−ガード・ワード (2007/8/5 11:51:43) No.33303
33177 | 1.激変!第2の人生 | ガード・ワード | 2007/7/3 23:45:22 |
1:激変!第2の人生 目を開けると、魔族がいた。 何事!? 「おや、気がつきましたか」 私は物言えず、頷く。 「そんなに怖がらなくてもいいですよ。あっ、お名前は?私はラギアソーンと申します」 〈G〉「が。ガード・ワード」 〈ラ〉「ガードですかぁ。あなた、上流から流されてきたんですよ」 上流…川に落ちたのか。 〈ラ〉「ところで、何があったのか尋ねても?」 ぬっと顔を近づけるラギアソーンさん。はっきり言おう。怖い。 〈G〉「おねえちゃんが」 カクッと首を傾げる。近さはそのままで。恐らく、悪意はないのだろう。 私は肩の力を抜いた。 〈G〉「どらぐ・すれいぶとなえたの」 〈ラ〉「ほほぅ、それはまた凄いですねぇ〜」 あっはっはと笑う。 〈G〉「わたしに」 笑い声はピタリと止まる。 〈ラ〉「あなたに?」 〈G〉「そう。わたしに」 〈ラ〉「それはそれは。よく無事でしたねぇ」 〈G〉「そうだねぇ」 私はラギアソーンさんに送られて家へと帰った。 家でも波乱は待ち受けていた。玄関を開けるとファイアー・ボール。階段上れば槍の雨。部屋のドアに手をやればダム・ブラス。 なんとか服以外は無事に部屋の中に入ることができた。 〈ラ〉「いつもこんなで?」 〈G〉「ええ。だからスカートとかお洒落は無縁の生活ですよ。 段々と動きが素早くなって武術や魔術まで上達しましてねぇ。ハッハッハ」 〈ラ〉「それはまた難儀な生活を送ってますねぇ。家出とか考えたことはないんですかぁ?」 〈G〉「まっさかぁ。捨て子だから親戚がありませんから行き先がないんです」 〈ラ〉「旅とかはどうですか?いや、私もジョンを探して旅をしているんですよ。 空き缶拾いや水遣りをしたりして悪いことをしてるとは自覚してますけどね」 空き缶拾いや水遣りが悪いことなのか。恐らく、魔族の価値観では人間の善行が悪行となっているのだろう。 〈G〉「旅ですか。いいですね。お先真っ暗よりも自分で切り開いてみせましょう!」 〈ラ〉「いい度胸をしてますね」 〈G〉「ありがとうございます。もしよろしければ、少しの間ご一緒させていただいてもよろしいですか?」 〈ラ〉「勿論ですよ。旅は道連れといいますからね」 〈G〉「うわぁ、ありがとうございます」 かくして、私とラギアソーンさんは窓から脱出して旅に出た。 初めの恐怖はどこへやら。仲良く和気藹々と話すようになっていた。 これから始まる第二の人生。 希望と不安を胸に、私は第一歩を踏み出した。 魔族が初めての友達だったと気がつき不安に思うのはまだ先の話。 |
33188 | 2.困惑…依頼主は魔竜王 | ガード・ワード | 2007/7/7 18:10:05 |
記事番号33177へのコメント ☆1.私は道を踏み外した魔族、ラギアソーンさんに助けられ、家出した。 2.困惑・・・依頼主は魔竜王 私はラギアソーンさんと別れ、聖王都セイルーンにやってきていた。 理由1.旅に必要な物がない 理由2.心身の疲れ 理由3.ラギアソーンさんが用事でカタートへ 一人になるのは初めてだったんだ。人々の雑踏がどれだけ心細いかも知らなかった。 とりあえず、私は宿をとって細工を始めた。今日は木工を作る。一時間して小さな小箱が幾つかできあがった。 まあ、明日売りに出して銀貨が数枚手に入れることができるだろう。 空に幽かにある雲は暁光に照らされ、鳥の鳴き声が遠くから聞こえる、正に清々しい朝。大きな音と共に振り返る。 「ガード〜!」 〈G〉「お…にいちゃん?」 何故ここにいるのか。ここはセイルーン、家はゼフィーリアであるというのに。 〈R〉「ああっ、何で家出なんかするんだ!心配したじゃないか!」 〈G〉「嘘でしょう」 〈R〉「何で断定!?お父さんはそんな子に育てた覚えはありませんよぉっ」 〈G〉「お父さんじゃあないでしょっ!育てられた覚えもありません!大体、何でここにいるんですかっ!」 〈R〉「え〜。ガードを連れ戻しに来たに決まっているじゃないか」 〈G〉「私はあんなところ、御免です」 〈R〉「つれないなぁ。そんなだから余計に構いたくなるんだけど♪」 〈G〉「兄さん…疲れたんで朝食の後にしませんか?」 〈R〉「ようし、じゃあ、僕が作ってあげよう!」 こうして、清々しい朝は兄の織り成す喧騒へと移り変わった。 王都の門を抜け、広がる草原に兄は私を連れ出した。 〈G〉「一体何を…」 カバンをゴソゴソと探り、中から机や椅子などを取り出した。調理道具やコンロまである。 〈G〉「無くなったと思ったら兄さんが持ってたのか」 〈R〉「うん!色々と便利だよね!さすがはガードだ。僕は一切縫い物ができないというのに!」 〈G〉「・・・で、朝食は?」 〈R〉「あっいけない。忘れてた!」 忘れないで! 食べ終わると、いきなり話に移りこむ。 〈R〉「じゃあ、早速。何で家出を?」 〈G〉「そりゃあ、呪文や武器が飛び交うあの家が怖くて」 〈R〉「何だ。そんなことか」 そんなこと!?そんな事で済む事柄じゃあないでしょうっ。 〈R〉「あんなの兄妹の戯れだよぉ。父さんや母さんがいたころはもっと凄かったんだから。ま、僕やガードが物心つくまではやめさせていたけどね」 一生やめてください。 〈R〉「じゃ、ちょっとレベルを落とすようにするよ。だから、帰ってきてよ。ね?」 できるかどうかは疑わしいことだが、私は兄に連れられて家に帰った。 家に着いた時、帰らなければ良かったと思ってしまった。 〈兄姉〉「お帰り〜!」 〈G〉「ぎゃっ」 〈R〉「ガード、魔法や武器が飛んでくるのが怖かったんだって。だから、やめてあげよっか」 「はーい」 私は家に入ると同時に飛び掛ってきた兄姉に押しつぶされながら、その間の抜けた声を聞いていた。 家には、見知らぬ赤い髪に強面の男性がいた。 〈R〉「あ、こちらはガーヴさん。自称、魔王竜のガーヴさん」 魔竜王じゃなくて、魔王竜なんだ。 〈G〉「よろしくお願いします。魔王竜のガーヴさん」 「や、違う。魔竜王のガーヴだ」 〈R〉「そんなに違いはありませんて!」 あっはっはと笑う兄を見て、私は彼に向き直って一礼。 〈G〉「申し訳ございません」 「ああ、苦労してんな」 〈R〉「で、ガーヴさんが今回僕らに依頼してきたんだって!」 〈B〉「異界黙示録の書き写しですって」 〈G〉「で、なにそれ」 〈R〉「異界黙示録。クレア・バイブルは正確で膨大な量の知識が書かれているもの。 誰が書いたのかは分からないけど、世間にある異界黙示録は一つとして同じものがないんだ」 〈G〉「へぇ。・・・ラーク兄さん、何でそんなことを知ってるの?」 〈R〉「ちょっとした伝手で」 どういう伝手だよ。街中ではなく山奥の一軒家でまだ家にいなければならない年なのに。 〈B〉「ラークは色々と不思議なことまで手に入れてくるからね〜」 〈G〉「さ、ともかく書き写しを始めましょうか」 〈ガ〉「やっとか」 異界黙示録の書き写しは終わった。しかし、何故こんな書き写しをするのだろうか。私は自称魔竜王ガーヴさんに尋ねてみた。 〈ガ〉「ああ、嫌がらせだ」 〈G〉「は?」 〈ガ〉「昔の知り合いにゼロスって奴がいるんだが、何でも写本を集めてるんだ。そいつに対する嫌がらせだ」 〈G〉「いやがらせ・・・ですか」 〈ガ〉「最も、それはまだまだ序の口なんだけどな!で、次の依頼も引き受けてくれねえか?」 〈G〉「どういった内容で?」 〈ガ〉「カタートに大砲をぶち込むんだ」 〈G〉「ええっ。カタートに!?そんな大砲が勿体ない!」 〈ガ〉「驚くところはそこかっ!?」 〈R〉「当たり前じゃあないですか。うちのガードは賢いですから」 踏ん反り返る兄さん。しかし、私は褒められているわけではない。 〈G〉「だって、カタートにいるのは魔族や魔王竜でしょう?大砲が勿体ないですよ」 〈ガ〉「じゃあ、大砲だけ作ってくれよ」 〈R〉「あのね、こんな10にも満たない子供に大砲作れって言うのも無茶苦茶でしょ」 〈ガ〉「無理を承知で軽口叩いてんだ」 〈G〉「作れますけどね」 〈ガ〉「何だってぇ!?」 〈G〉「その分依頼料は高くつきますよ。で、どんな大砲がいいですか?」 〈ガ〉「そうだな。騒音が喧しいやつがいいな。勿論、こちら側は静かで」 〈G〉「やってみましょう」 〈R〉「じゃあ、兄さんや姉さんに仕入れて貰って来るね」 〈G〉「ありがとう、兄さん」 〈ガ〉「言わなきゃ良かったか?」 ガーヴさんの嫌がらせ依頼は続いた。 異界黙示録を流通させ、大砲をカタート山脈にぶっ放し、冥王がいると言われる砂漠にフロウ・ブレイクを乱発する。 〈ガ〉「ま、これだけやったりゃ良いだろう」 〈A〉「これで、終わりなんですね?」 〈ガ〉「後はここに少々潜伏させてもらうかな」 まだいるんだ。まあ、彼がいることによって多くの知人ができた。 ラルタークさんには多くの魔法を習い、ラーシャートさんには武術を習い、ヴァルガーヴさんには世の中で何が起こっているかを教えてもらっている。 三人ともほんの偶にやってくるぐらいだが、家で兄さんと二人よりは楽しい。 で、ガーヴさんが家から出て行ったのは全てを終えてから3ヶ月経った頃であった。 ―登場人物― ガード・ワード 性別・女。年齢・9歳。ワード家末娘。ドラグ・スレイブを受けても怪我しないという体を持っている。手先が器用で再来年に魔道士協会に入会する予定。既に魔道・武術に関してほどほどの実力を持っている。 ラギアソーン 性別・?。年齢・?。ペットのジョンと別れて以来道を踏み外して悪行中。ガードの恩人であり、初めてのお友達。カタート山脈に戻るため、セイルーンでガードと別れた。 ラーク・ワード 性別・男。年齢・10歳。ワード家末息子。ゼフィーリアからセイルーンまでいつの間にかやってきた一つ上の義兄。この人も孤児。手先は不器用だが料理の腕はピカ一。来年には魔道士協会に入会予定。魔道・武術は一般以上。 自称・魔竜王のガーヴ 性別・男。年齢・?。ワード兄妹が自称・魔竜王と思っているだけで礫とした正真正銘の魔竜王。この度は魔族に対する嫌がらせを依頼してきた。 ベル・ワード 性別・女。年齢・20歳。ワード家次女。長男から六男、長女は既に結婚して家を出ているため、次女が大黒柱。 ワード家 兄妹の戯れにドラグ・スレイブやダム・ブラス、槍や剣までもが飛んでくる。 ワード家の男の子は長男から順にZ〜Rまでの頭文字を持つ。 逆に、ワード家の女の子は長女から順にA〜Gまでの頭文字を持つ。 尚、父も母も老衰により死亡。子供は皆孤児である。 |
33197 | 3.友人、その名はリナ=インバース | ガード・ワード | 2007/7/8 21:59:09 |
記事番号33188へのコメント ☆ 1.私は道を踏み外した魔族、ラギアソーンさんに助けられ、家出した。 2.ラギアソーンさんとはセイルーンで別れ、兄がやってきた。私は家に舞い戻り、自称魔竜王ガーヴさんの依頼(嫌がらせ)を遂行する。 3.友人、その名はリナ=インバース 今日この日、私は魔道士協会に入会する。 初心者への講義に二人一組で座るようだ。私の隣には小さな女の子が座った。 「ここいい?」 〈G〉「ええ、どうぞ」 「あたし、リナ。あなたは?」 〈G〉「ガードです。ガード=ワード。よろしく、リナさん」 〈リ〉「よろしく、ガード。リナ=インバースよ。リナって呼んで」 〈G〉「じゃあ、リナ。これからよろしく」 彼女は満面の笑みを浮かべてくれた。 彼女は何と7歳らしい。よくその年で入会できたな、と感心する。 まあ、初対面の魔族と旅立った経歴を持つ私が思うことでもないけれど。 年がさほど離れていないせいか、私とリナは日が経つにつれ仲良くなっていった。一緒に魔道実験をしたりもした。 でも、各々の興味が全く違うことが発覚した。リナは攻撃呪文、私は補助呪文・回復呪文に興味を持つ。 しかし、それもまた面白いと私達は思った。実験はリナが破壊した物を私が修復する、という流れに発展する。 また、逆もある。互いの分野を教えあうのだ。私が補助呪文を。リナが攻撃呪文を教える。 呪文を覚えるのはリナのほうが早かった。私がフレア・アローを出すのに苦労していても彼女はレイ・ウィングまでも習得していくのだ。 〈G〉「リナは覚えが早いね」 〈リ〉「ふふ、ありがとう。もう補助呪文は完璧かな」 〈G〉「完璧ってことはないだろう。まだまだ上達するさ。まだ私達は伸び盛りなのだから」 〈リ〉「うーん。でも、ほとんど覚えたからなぁ」 〈G〉「回復呪文も覚えてみたら?リザレクションとか」 〈リ〉「えー。いいよ、そんなの。リカバリィでも十分だし」 〈G〉「まあ、大抵はリカバリィで済むからねぇ」 〈リ〉「ジュエルズ・アミュレットにも手を伸ばそうかな」 〈G〉「じゃあ、私は魔力の加減でも研究しようか」 〈リ〉「成功したら教えてね♪」 〈G〉「現金だなぁ。ま、リナらしいか」 〈リ〉「じゃあね!また明日」 〈G〉「ああ、お休み」 私達は別れた。家に戻って研究を始める。 置いていかれてなるものか!彼女に呪文で負けるなら、私は道具で勝とうと去年の暮れから思っていたのだ。 13の夏、私は兄弟に話を切り出した。旅に出ても良いか、と。 〈C〉「ま、いいんじゃない?ラークも旅に出たんだし、ガードだって」 〈T〉「じゃ、決まりだな。いつ旅立つか、旅立つ前に家の者に挨拶してくれればいつでも良いよ」 〈G〉「そう、ありがとう。そうだな、三日後にでも旅立とうかと思うんだ」 リナとその家族にも旅に出るつもりだと切り出した。 〈ル〉「そう、気をつけてね」 〈リ〉「そっか、旅か。気をつけてね。お土産待ってるね」 〈G〉「うん、三日後に旅立つよ。でも、お土産は持ってくるけど今言うことじゃあないだろう」 〈リ〉「旅立つ時に言って欲しかった?」 〈G〉「もう、いい」 私はガックリと肩を落とした。 三日後、私は兄弟とインバース一家に別れの挨拶をした。そのまま旅に出る。さて、どこへ向かおうか。まずは… 考えながら橋を渡っていると、その吊り橋はあっけなく崩れ去った。 〈G〉「そこで落ちるかああぁ!?」 レビテーションの暇なく、私は着水した。足、着くじゃないか。 心配して損したなぁ、と思いながら崖を上る。 〈G〉「さて、と。これをどうするか…」 考えるまでもない、私が崩したのだから作るしかない。 橋作りに三日の時を要した。 橋を作る間に目的地は決まった。 目的地はカタート山脈!久しぶりにラギアソーンさんに会いに行こう! 勿論、寄り道をしながら、ね? ちょっとわき道に入り、草むらを掻き分けて散策する。気まぐれだったんだ。だけど・・・ 古びた遺跡を発見しました。 なにこれ、良いのか本当に。簡単に見つけてしまっていいのだろうか。 好奇心には勝てず、私はどんどん奥へと入り込む。途中分かれ道があったが、迷わずに道を進んでいく。何も入り込んだ形跡もない。 入り口を遺跡を模様しただけだったとか? しかし、どっしりと構えた、いかにもそれらしい両開きの扉があった。 入っちゃえと勢いで入り込む。扉を開ければ埃っぽい臭いが鼻につき、埃がどばっと押し寄せてきた。脇にどいて呪文を唱える。 〈G〉「クリーンアップ」 カオス・ワードに合わせて、風が出口まで埃を吹き飛ばした。 中には、本の山、金銀財宝ざっくざく。魔法道具がたんまりと。 こんなにあっても良いのだろうかと思わず思い悩む。 盗賊などのねぐらではないだろう。それは、先ほどの埃が証明している。 〈G〉「今度ゆっくり分別するか」 一先ずカバンに入れておくことにした。 ―登場人物― ガード=ワード 性別・女。年齢・13歳。ワード家末娘。ドラグ・スレイブを受けても怪我しないという体を持っている。 リナ=インバース 性別・女。年齢・9歳。インバース家次女。攻撃呪文大好き! いわずと知れた、スレイヤーズの主人公である。 ―オリジナル― クリーンアップ Cleanup オリジナルの清掃魔法。風で埃を吹き飛ばす。 ランクアップされた呪文で水で床を洗い、火で乾かすものもあり。 カバン 一見普通のカバン。しかし、中には机やコンロ、タンスなどまで何でも入る優れもの。 入れるには良いが、取り出す際にはカバン用の呪文を唱えて引き寄せなければならない。 |
33189 | Re:1.激変!第2の人生 | 。。。 | 2007/7/7 18:14:42 |
記事番号33177へのコメント 今日は、初めまして 自分は、ショウセツ1と2を行き来する特技を持った者です(ヮァ 基本的にはどちらにも居ますよ(って言いたかったンです コンジツはコメントさせて頂きたく、馳せ参じた次第です さて早速ですが。 今回の作品、自分が先ず目を惹いた所は、 ラギアソーンが出ている点ですッ!!(バーン 自分ラギアソーン大好きなんですよッああ何て素晴らしいっ!! レイチェルとエイプリルに並んで、ラギアソーンは愛しています。(宣言 ですが、こういうサブキャラ(?)は作品に入れるの難しいじゃないですか なのにアナタはそれをさらりとやってのけたっ! 凄いですっ!チャレンジャー、ぃやッ!冒険王と呼ばせて頂きますッ!!(ぅゎ 大変かと思われますが頑張って下さいね 滅茶苦茶影から応援しています(何故 それでは。 |
33196 | コメントありがとうございます | ガード・ワード | 2007/7/8 21:55:04 |
記事番号33189へのコメント 。。。さん、コメントありがとうございます。 ガード・ワードと申します、よろしくお願いいたします。 ラギアソーンを出してみたら喜んでいただけるとは思いませんでした。 私もこの人は好きです。 初めは脇役から出そうかというノリだったのですが・・・ 。。。さんはショウセツ1と2の両方に投稿なさっているのですね、これから拝見させていただきます。 コメント、本当にありがとうございました。嬉しかったです。 今後ともよろしくお願いいたします! |
33201 | 4.衝撃!L様ご降臨 | ガード・ワード | 2007/7/9 00:12:52 |
記事番号33177へのコメント ☆ 3.魔道士協会に入会。そこでリナ=インバースという少女と友人となる。そして、13の夏、私は旅立った。 4.衝撃!L様ご降臨 私は宿をとって先日見つけた本を読み、新たな知識を増やしていった。 そして、それは宿を取り続けて6日後のことであった。 朝、目が覚めるとそこには、絶世の美女がいた。 「おはよう」 〈G〉「ああっ!お見苦しいものを見せてしまいすみません!」 「よく眠ってたわね…のうのうと」 〈G〉「申し訳ございません…。それと、お久しぶりです。われらが主よ」 片膝ついて臣下の礼をする。 そして、はたと気付いた。何でこんなことをしているんだろう。 しかし、自分の困惑を他所に身体は勝手に動き、口は言葉を発する。 〈G〉「何かご用意しましょうか?」 「その前に着替えたら?」 呆れ顔で彼女は言う。 〈G〉「失礼致しました!すぐに着替えます」 着替えが終わり、先ほどと同じように屈む。 だから、何で不法侵入してきた女性に仰々しく対処しているんだ私! 「紅茶が欲しいわね」 〈G〉「分かりましたぁ!紅茶ですねっ!すぐに用意致します!」 しかも、かなりうれしそうだ。初対面のはずなのに! 紅茶を注ぎ、片隅に突っ立つ。 「ま、座りなさいよ」 もう一着の椅子を指差す。 〈G〉「ありがとうございます」 そっと椅子を引き、音を立てないよう腰を下ろす。 〈G〉「L様。何か私に御用ですか?何なりと申しつけ下さいませ」 女性はLというらしい。にしても、何故様付け? 〈L〉「とりあえず、覚醒する前にこんなに尽くしてくれたからおしおきは止めておいてあげるわ」 〈G〉「ありがとうございます」 〈L〉「で、本題なんだけど」 真剣な眼差しを彼女に向ける私。もう突っ込む気にもならない。 〈L〉「この先、面白そうになるの。面白そうな事に首をつっこみなさい」 〈G〉「それは、強引にでもということですか?」 〈L〉「勿論。できるわよね?」 〈G〉「はい、やります」 〈L〉「じゃ、これ持って行って。中継カメラみたいなものよ」 カメラ? 〈L〉「さてと、思考の内では何が何だか分からないみたいだし。説明してほしい?」 〈G〉「そりゃ勿論」 やっと自分の言葉が話せた!今までは自分が自分でないような感覚だったから不安だったが、ちょっと安心した。 〈L〉「言葉遣い、気をつけなさい」 〈G〉「はい!」 彼女は話し始めた。 〈L〉「私はロード・オブ・ナイトメアと称される者よ。魔王や竜神の上司に当たるわ」 〈G〉「は〜、それは凄いですね。しかし、何故私の所へ?」 〈L〉「あなたも魔王や竜神と同じく、私が生み出したのよ」 嘘だろ?嘘だと言って! 〈L〉「嘘なわけないじゃない!」 彼女は綺麗な笑みを浮かべた。真実なんだ・・・ 〈L〉「まあ、生み出した。とはまた違うけどね。厳密に言うと、組み合わせたの」 〈G〉「組み合わせた?」 〈L〉「そう!魔王と竜神を混ぜたらどうなるかなって思いつきで」 〈G〉「人体実験と言いませんか?」 〈L〉「それぞれの世界の魔王と竜神の半分をえぐりとって」 〈G〉「え…えぐっ!?」 〈L〉「それを混ぜ合わせて、あなたたちができたのよ」 わー。自分のことなのに他人事に感じるよ。そんな風に言われると。 〈L〉「でも、まともに動けるのはあなただけだったのよね」 〈G〉「え?先ほどの話だと、同じような人が数人いるのでしょう?」 〈L〉「根性のないことに、他の二人はもう存在してないのよ。そして、もう一人も単なるバカだったわ」 〈G〉「えっと…一体何がどうなったんですか?」 〈L〉「精神崩壊したの」 精神体である彼らにとって精神崩壊って…確かに存在できないな。 〈L〉「だから、この話を持ってきたの」 〈G〉「それで、今の私は人間なんですか?」 ここで否定されたらどうしよう。 〈L〉「ええ、今は人間よ」 〈G〉「そうですかぁ。よかった」 〈L〉「その方が面白いから当分の間、復活させないでおく」 〈G〉「はい、ありがとうございます。ところで気になったのですが」 〈L〉「何?」 〈G〉「私にも本当の名前があるのですか?赤眼の魔王シャブラニグドゥや赤竜神スィーフィードのような」 〈L〉「名前つけるの忘れたから役職名しかない」 ―こどもには名前をつけましょう― 〈L〉「役職名はね、魔王や竜神の対極の名前にしておいたわ」 〈G〉「対極…庶民Aとか?」 L様、爆笑。笑い上戸なのかもしれない。 〈L〉「そんな役職名はつけないわよ。私でも」 そりゃまあ、確かに。 〈L〉「対極なのは、色よ」 〈G〉「では、緑色。ですか?」 光ならば紫。 〈L〉「そう。他の世界の奴らは黒・白・青よ。何か分かる?」 〈G〉「白・黒・橙ですね?」 〈L〉「正解!生きてるのは白昼の武王ね。年中彷徨い歩いているバカだけど」 年中…それはまた、苦労してるなぁ。白昼の武王さん。 〈L〉「で、あなたの役職名なんだけど。思いつかなかったから適当に」 適当なんですか・・・。肩を少し落とす。 〈L〉「武王がいるから守護者にしようってことで、新緑の守護者にしといたの」 意味の分からない役名ですね。本当に 新緑を守護する者って何さ。お役目って環境保護だけっ!?切なっ! 〈L〉「お役目?魔王や竜神がするような事とその他諸々」 今回の一件から考えて、その他諸々が主だと確信する。前世はこんなことをしてたのか… 〈L〉「違うわよ。普通の人として暮らしてたわ。精神体だったのは100年だけ」 〈G〉「100年、ですか?」 〈L〉「うん。過労でボロボロになって見かねた竜神と魔王が人間に封印して」 過労でボロボロになるような程仕事してたのか?思ったより責任重大なのだろうか。 〈L〉「さすがに復活してもらわないとこっちが面白くないし」 そうですかぁ。 〈L〉「じゃあ、他の話題に移りましょう!」 L様は話題を変えた。 話題を変えたL様は、当分の間一緒にいるとのこと。 〈G〉「しかし、一ヶ月は滞在する予定なのですが」 〈L〉「なんですってぇ!?」 その棍棒は何ですか? 〈L〉「あら。トゲトゲハンマーのほうが良かった?」 言って、棍棒をトゲトゲハンマーに変える。 〈G〉「い、いえ。あの」 〈L〉「ああ、守護者は硬度高いからこっちにしましょうか」 トゲトゲハンマーは大鎌に変わった。 〈L〉「大鎌持ってると死神になったような気分よね♪」 彼女はルンルン気分で楽しそうですが、私は恐怖で一杯です! 〈G〉「さ、L様。早速旅立ちましょう、どこにでも着いてゆきます。朝食はどうなさりますか?」 〈L〉「食べていこうかしら。こういう宿は久しぶりだし」 前にも何度か来られたことがあるようだ。 〈L〉「当然、あんたが払うのよ」 〈G〉「勿論でございます」 〈L〉「でも、痛い思いはさせるつもりだから」 〈G〉「えっ」 振り返ると同時に、拳が顔面にめり込んだ。 はっと目を開けると、天井が見えた。あまりの痛さに顔を抑える。 鼻から血がダラダラと出ていた。 〈G〉「初めて自分から血がでるのを見たなぁ」 拳一発の方がドラグ・スレイブよりも威力があると思われる。しかし!本能は告げていた。 まだまだ手加減をしていただいている。と リカバリィで治し、用意をして彼女の前に座った。 〈G〉「お姉さん、サンドウィッチをお願いします」 40代半ばのお姉さんは気前良く答え、持って来てくれた。 「コーン・スープもサービスしとくよっ」 〈G〉「うわぁ、ありがとうございます」 〈L〉「A・B・Cセット、それぞれ一つづつ頂戴」 「はーい」 L様が食べ終えるのを待ち、私は彼女に率いられて旅立った。 ―登場人物― (特別バージョン) L様 ロード・オブ・ナイトメア。全ての王と渾名される創造者。通称・L様。 長くてサラサラな金髪美女。あらゆることでNo.1! ガード・ワード 性別・女。年齢・13歳。 元は魔王と竜神の半分をえぐりとって混ぜ合わされた「新緑の守護者」 L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 あとがき 「L様が出られる間、この特別バージョン(L様が一番上)でお送りいたします。 それにしても、L様を出て頂くと話が長くなりますね。さすがはL様という感じです」 |
33206 | 5.Fight!サバイバル・マッチ (前編) | ガード・ワード | 2007/7/9 23:47:14 |
記事番号33177へのコメント ☆4.L様がご降臨。私に面白いことに首を突っ込むようご命令された。そして、ご本人も当分の間こちらにいるらしい。 5.Fight!サバイバル・マッチ (前編) 旅人で賑わう街。私達はその只中を歩いていた。・・・仲間を求めて。 L様に連れられてやってきたポルガラ・シティ。何と、サバイバル・マッチが開催されるとのこと。 参加は四人一組、勝者チームには金貨1,000枚が授与される。 〈G〉「L様、これに参加なさるのですか?」 〈L〉「そうよ。あなたがね」 〈G〉「そうですか、私が・・・・・・」 あれ? 〈G〉「ええええぇっ。私一人でですか!?」 〈L〉「うん。そう」 〈G〉「あの、L様はその間何を・・・」 しかし、彼女は笑みを浮かべるのみ。 〈G〉「はい。分かりました。出場します」 絶対に拒否権などないのだから。 当てもなく、私達は歩く。宿を探してだ。 〈L〉「じゃあ、物騒な宿に行きましょうか」 〈G〉「危ないですよ。L様」 〈L〉「私に危険などないのよ!」 〈G〉「いえ、私が言いた―ハグッ!」 L様の数歩後を歩いていた私は、勢い良く開いた扉に顔面をぶつけた。 ガックリと膝つき手をつく私に、声をかけたのは男の人のようだ。 「お、おい。大丈夫か?」 〈G〉「だいじょうぶです。ただ、ふいうちだったので」 〈L〉「今日で三度目じゃない?不慮の事故」 〈G〉「四度目です。川で食器を洗っているときに滑って転げ落ちましたから」 〈L〉「まあ、面白いと言えば面白いんだろうけど。もっとしゃきっとしなさいよ!シャキッと!」 〈G〉「すみません!」 1「美人さんよ。あんたも出るのかい?何なら一緒に来ないか?俺たちゃ三人なんだ」 〈L〉「あら。いいの?じゃあお願いね」 2「いやいや。か弱い美女を守るのが男の勤めなのでな」 〈L〉「じゃあよろしく。良かったわね、ガード。見つかったわよ」 1・2「は?」 3「つまり、こっちの坊主が出場する、と?」 〈L〉「うん、そう。じゃ、私行くから」 L様は私を置いて行ってしまった。 1「こんちくしょぉー!」 〈G〉「わわわ。なんて事を言うんですかっ!」 死にますよっ! 2「小僧、名前は?」 〈G〉「ガード・ワードと申します。それと、小僧じゃありません。私は女です!」 「女っ!?」 そんなに女に見えないんですか・・・?ちょっと悲しくなってきた。 1「女かぁ。もっと不安だな」 2「むぅ。まあ、決めたことだし名乗ってもらった。ならば、名乗るしかあるまいな。ロディマスだ」 1「ゾルフ」 3「ゼルガディスだ」 〈G〉「よろしくお願いいたします」 〈ロ〉「ところで、お嬢ちゃん。年はいくつだ」 〈G〉「13です」 〈ゾ〉「紅一点が13かよ・・・」 あからさまに彼は肩を落とす。 〈ゼ〉「それはともかく、中に入るぞ」 彼らに連れられ、私は彼らの部屋に入った。 ゼルガディスさんは盗聴防止のためと思われる呪文を紡ぐ。 〈ゼ〉「これでよし。で?お前は何ができる?」 〈G〉「回復・補助呪文全般が得意です。攻撃呪文は弱めですが、ブラスト・ボムまでできるようになったのでファイアー・ボールが4・5個を一度に放つ程度が大技でしょうか。それと、剣術などの武術も人並みには扱えます」 〈ゼ〉「ブラスト・ボムまで・・・。俺は精霊呪文が得意だ。大技ならラ・ティルトときたところか」 〈ロ〉「ふむ。見ての通り、肉弾戦が主だ。剣も扱えるが、戦斧が主だな」 〈ゾ〉「聞いて驚くなよ?何と、黒魔術最強であるドラグ・スレイブも使えるのだ!」 〈G〉「へー。そうですか」 〈ロ〉「もうちょっと驚いてやれよ。可哀想だから」 〈G〉「そんなに凄いことなんですか?」 〈ゼ〉「知らんのか?ドラグ・スレイブを使える魔道士はそういないんだぞ」 〈G〉「へえぇ。凄いんですね、ゾルフさん」 〈ゾ〉「はっはっは!やっと俺の凄いところが分かったか!」 〈G〉「で、近距離戦もできるんですか?」 〈ゾ〉「人並みにはな」 〈G〉「じゃあ、心配ないですね」 〈ロ〉「むしろ、ガードのほうが心配だ。自分の身を心配しとけ」 〈G〉「はっはっは!心配はいりませんよ。皆さんが亡くなられても生き残る自信はあります」 〈ゼ〉「ほぉ、自信たっぷりだな」 私はカバンからナイフを取り出し、一思いに足へ突き刺す。 〈ロ〉「おい!」 〈G〉「まあ、こんなわけで」 突き刺したナイフは刃が折れている。が、服が切れても血は一滴たりとも流れてはいない。 〈ゼ〉「強度が高いのか?」 ゼルガディスさんはナイフを見ながら言った。 大会当日、私たち四人は会場へとやってきた。 私は年の割りに背が高いとはいえ、群衆の中でははぐれてしまうのでロディマスさんに肩車してもらっている。 「さて、みなさんお待ちかねいたしました!サバイバル・マッチへようこそ! ルールを説明しましょう。係員に渡された箱の中身を無事に守り抜き、一週間を無事に迎えたチームが勝利します。 一週間後、無事なチームが続出した場合、街のはずれで決闘していただきます。 それでは開場です!」 どっと人々が入り口に押し寄せた。 私たちも後に続き、一つの小箱を受け取った。 ゲームが始まるのは30分後。その間に他のチームと分かれることだ。 きっかり30分が経った頃、アナウンスが聞こえた。 「では、サバイバル・マッチ。スタート!」 戦いの火蓋が下ろされた。 ―登場人物― (特別バージョン) L様 ロード・オブ・ナイトメア。全ての王と渾名される創造者。通称・L様。 長くてサラサラな金髪美女。あらゆることでNo.1! ガード・ワード 元は魔王と竜神の半分をえぐりとって混ぜ合わされた「新緑の守護者」 L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 ロディマス 壮年の男性。主に戦斧を使って戦う戦士。 ゾルフ 若年の男性。黒魔術の最高峰、ドラグ・スレイブも使える魔道士 ゼルガディス 十代後半の男性。精霊魔法が得意らしい。 |
33224 | 6.Fight!サバイバル・マッチ (後編) | ガード・ワード | 2007/7/14 14:47:31 |
記事番号33177へのコメント ☆4.L様がご降臨。私に面白いことに首を突っ込むようご命令された。そして、ご本人も当分の間こちらにいるらしい。 5.ポルガラ・シティにてサバイバル・マッチに出場することになった。 6.Fight!サバイバル・マッチ (後編) サバイバル・マッチが開始。が、発から山火事ってどういうこと!? 〈ロ〉「山火事ぃ!?」 〈ゾ〉「おいおいおい。囲まれてんじゃねえの?」 〈ゼ〉「よし、ここは上空に逃げるぞ。おい、レビテーションかレイ・ウィングは?」 〈G〉「勿論、使えます。消化もしたいのでレビテーションを使わせていただきますけど」 〈ゼ〉「無茶すんな」 〈G〉「大丈夫ですよ。補助呪文は得意なんです!」 〈ゾ&ゼ〉「翔封界!(レイ・ウィング)」 〈G〉「浮遊!(レビテーション)」 ある程度の高度まで上るとエクスト・ボールを唱える。 〈G〉「消化弾!(エクスト・ボール)」 何度も続けると、ある程度火の勢いは弱まっていく。 地面に降り立つ私たち。丸裸になった木々はこちらを隠すことができなくなっていた。 そして、他のチームからも丸見えである。現に囲まれていた。 〈ロ〉「さて、そろそろわしの出番だな」 〈ゾ〉「よぅし、いっちょやりましょうか。ゼルガディスさん」 〈ゼ〉「ああ、一気に畳み込む」 あれ? 〈G〉「もしや、ゼルガディスさんがまとめ役で?」 〈ゼ〉「あ、ああ。そうだ」 〈G〉「へえ、ロディマスさんがまとめ役かと思っていました。年長に見えますし」 〈ロ〉「ゼルガディス殿の剣術には感服したのでな」 〈ゾ〉「この世で最も尊敬しているのだ」 〈G〉「こんなに慕われて…幸せ者ですね、ゼルガディスさん」 〈ゼ〉「敵に集中せんか!集中を!」 彼は顔を赤らめていた。 〈ロ〉「ぜえええぃっ!」 〈ゼ〉「烈閃槍!(エルメキア・ランス)」 〈ゾ〉「烈火球!(バースト・フレア)」 〈G〉「ファイア・ボール!」 私は火の粉を撒き散らす。 ガすっ! 〈ゾ〉「発音が間違っとるぅっ!」 〈ゼ〉「ファイアー・ボールだ。ファイアー・ボール!」 〈G〉「火炎球!(ファイアー・ボール)」 ズボごぉおっ 私の放った火炎球は敵のはるか後方で爆発し、轟音を伴って炎上した。 〈G〉「ひええっ」 〈ロ〉「頼む!強い魔法は控えてくれ!」 最前線で戦っている彼は危険を感じたらしい。 〈G〉「言われるまでもなく!じゃあ、フレア・あロー!」 現れたのは一本の炎の糸だった。げしっ 〈ゾ〉「あローって何だ、あローって。フレア・アローだ。ちゃんとやれ!」 〈G〉「炎の矢!(フレア・アロー)」 数十本の炎の矢が出た。 〈G〉「GO!」 向こうからやってきた敵さんをやっつける。 夜となって、私達は一息つく。 〈G〉「それにしても、苦手なのは発音が違ったからなんですね」 〈ゾ〉「ある意味凄いと思うぞ」 〈ゼ〉「ゾルフ、攻撃呪文の発音を教えておいてやれ」 〈ゾ〉「分かりました」 私は料理の片手間、ゾルフさんに発音を教えてもらうことになった。 〈G〉「フレア・リャンス」 私は炎上しない炎の槍(間違いにより偶然開発できた代物)で肉を焼く。 〈ロ〉「ほぉ、結構便利だな」 〈G〉「用法間違いすぎですけどね」 攻撃呪文を便利呪文として認識している私たちにゼルガディスさんたちは頭を抱えた。 〈ゼ〉「とにかく、だ。明日は二人一組で出向こうと思う」 〈G〉「ええっ。それは危険なのでは?」 〈ゾ〉「ほぉ、怖気づいたか」 〈G〉「勿論です。うかつに攻撃呪文を唱えられません」 〈ゼ〉「あー。当分は物理攻撃でいけ」 〈G〉「やはりそうなりますよね」 私はカバンから1mあるハリセンを取り出す。 〈ロ〉「なんだ、その、ハリセン…」 〈G〉「兄さんが旅立つ前に対魔族用にも使えるこのハリセンを私に貸してくれて・・・」 〈ゾ〉「どういうハリセンだよ、それ」 〈G〉「まあ、魔力の篭ったハリセンなのではないかと」 〈ゼ〉「それに、そのカバンはどうなってる」 〈G〉「私が開発したカバンでして、詳しいことは企業秘密です」 〈ゾ〉「さー、寝よう寝よう。こんな漫才じみた話はもう御免だ」 〈G〉「それにしては、ツッコミが手慣れてましたね」 〈ゾ〉「慣れたかないわい!」 そんなこんなで、一週間が過ぎて会場を出る。 ちらほらと出てくる無事な参加者たち。 「さあ!ここで出てきたもの同士の戦いが幕開けます!」 〈ロ〉「ふはははは!わしらに適う者などこの中におらんわ!」 〈ゼ〉「口を閉じろロディマス。油断大敵だ」 〈ロ〉「むぅ」 「さあ!戦闘開始!」 〈G〉「烈閃剣!(エルメキア・ソード)」 〈ゼ〉「雷撃!(モノヴォルト)」 〈ゾ〉「氷の矢!(フリーズ・アロー)」 〈ロ〉「おおおおおっ!」 結果、私達は勝利した。 返り血まみれの二人に目を背け、死傷者たちの冥福を祈る。 〈ゼ〉「さて、賞金の山分けだが。お前はどうする」 〈G〉「賞金?」 〈ゾ〉「忘れてたのか?何ならわしがお前の分け前も貰っとくぜ」 〈G〉「じゃあ、そうしてください」 〈ロ〉「おいおい、そりゃあダメだろう」 〈G〉「じゃ、金貨10枚」 〈ゼ〉「そんだけでいいのか?」 〈G〉「ええ、参加料ですし」 そういや、まさかこの賞金って参加料をかき集めた内の少し? 村おこしだったか・・・ 〈ゼ〉「それにしても、しけた賞品だなぁ」 〈G〉「賞品もあるんですか」 〈ロ〉「ちゃんと書いてあっただろう」 〈G〉「ちゃんと読んでませんから」 〈ゾ〉「ちゃんと読めよっ。参加するならっ!」 〈ゼ〉「賞品は魔道書ということだったが、こんな魔道書初心者くらいしか読まないな」 〈G〉「ライティングやリカバリィですか…いりませんね」 1週間のサバイバルに決闘して賞金金貨1000枚と魔道書一つ… 〈G〉「一体何のために参加したんですか?あなたたち」 めしっ 〈三人〉「言うなっ!」 三人の拳骨が頭頂部にふりかかった。チームワーク抜群ですねっ! L様が戻ってこられた。 〈L〉「で、どうだった?」 〈G〉「ええ、色々と教えていただきました」 〈L〉「賭けにも勝ったし、帰ることにするわ」 賭けまでやっていたんだ、この街。 そして、L様は帰られた。 今回、一週間という時間を費やしたものの、収穫はなし。 面白いものに首を突っ込むというのは面倒なだけの代物のような気がするのは気のせいではない。 私はポルガラ・シティを出て、道すがら発音の練習を続ける。 ―登場人物― (特別バージョン) L様 ロード・オブ・ナイトメア。全ての王と渾名される創造者。通称・L様。 長くてサラサラな金髪美女。あらゆることでNo.1! ガード・ワード 元は魔王と竜神の半分をえぐりとって混ぜ合わされた「新緑の守護者」 L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 ロディマス 壮年の男性。主に戦斧を使って戦う戦士。 ゾルフ 若年の男性。黒魔術の最高峰、ドラグ・スレイブも使える魔道士。 ゼルガディス 十代後半の男性。精霊魔法が得意らしい。三人組の中心。 |
33225 | 番外!L様はその時? | ガード・ワード | 2007/7/14 16:39:45 |
記事番号33224へのコメント 番外!L様はその時? 注)この話はFight!サバイバル・マッチの間にL様が何をしていたかをラーク兄さん視点で書かれた物です。 ―――僕はいつもの通り人を闇討ちしていた。 スパカーンッ 〈R〉「赤法師レゾ、討ち摂ったりぃい!」 骸骨杖を変化させたハリセンを手に、僕は勝利のときの声を上げた。 討ち取ったレゾから赤いものが浮き出てくる。こいつの中にあったのはシャブラニグドゥかスィーフィードか。んなものまだまだ分からない。 どちらにしても嬉しいものである。 浮き出る赤いものを引っこ抜く。途中でプツンと切れて少しレゾの中に入ってしまうが、まあ養生させれば元の形に戻るだろう。 どうやらシャブラニグドゥの欠片だったようだ。 自分の中に欠片を入れる。途端に赤く仄かに光る身体。傍目に見ると心霊現象そのもの。 〈R〉「一年で三人も見つかるなんてついてるねぇ…」 〈L〉「北の魔王なんて一千年かかってまだ誰も復活させてないものねぇ」 〈R〉「うんうん、そうそう。完全復活の時は近・・・」 あれ? 〈R〉「L様ぁっ!?」 〈L〉「にしても、面白いことやってるじゃないのよ。あんた」 〈R〉「いやぁ、それほどでもございません」 L様に褒められるなんて一生に何度あるか… 〈L〉「そういえば、今までガードの所にいたの」 〈R〉「えええええぇっ!」 〈L〉「何よ」 〈R〉「何故ガードの許へ?はっ、まさかガードの中にも欠片が!?」 〈L〉「まさか。本人よ」 〈R〉「本人?」 スィーフィードも僕も欠片である。また、水竜王も欠片と化したらしい。魔竜王?いや、あいつは変な風に復活している。ならば、誰か? ダークスターの腹心がこちらに来ているみたいだからそいつらの内の誰かか?いや、それはない。武器の形をした精神体だっていう話だから。 もしくは他の竜王が…火竜王でないことは一目瞭然。その前に神族はこちら側に来られない。 ああっ、L様が呆れた目で見ている。いかん、これではドツかれる! 〈L〉「どういう意味よそれはっ!」 ドグシャ ああ、ほらやっぱり 〈L〉「混沌の海に沈めて欲しいようね」 〈R〉「ああああっ。L様やめてくださいっ!それだけはっ!」 志半ばで朽ちては男が廃る。 〈L〉「で、今からカタートに行くわよ」 〈R〉「はい、分かりました」 北の片割れ…がんばれ、ファイトだ、死ぬんじゃないぞ、こっちにまで降りかかるから。 えるさまにつれられ、きたのかたーとまでやってまいりました。 〈L〉「もっとシャキッとせんかぁ!」 ぞごおおおおぉっ! がだーっ ぐさっ …がんばれ、ファイトだ、死ぬんじゃないぞ、こっちにまで降りかかるから。(2回目) 〈S〉「うっ、人身の片割れ…見てるだけじゃなくて手を…」 〈R〉「嫌だよ。十四歳で変死なんて。それに…」 〈S〉「そ、それに?」 〈R〉「魔族になったら彼女に相手してもらえないじゃないか♪」 ぶしゃあああっ! あ、トドメさしちゃった? 〈L〉「あらら、動かなくなちゃった」 〈R〉「ま、そのうち何とかなるでしょう」 〈L〉「面白くないわね」 どすっ L様は動かなくなった身体にスコップを突き刺す。 〈R〉「これからどうしますか?」 〈L〉「一週間あんたの闇討ちに付き合いましょうか」 一週間ですか。 〈R〉「じゃあ、行きましょうか。L様。検討はついているのです」 〈L〉「ふぅん、やってみなさいよ」 〈R〉「騎士の家系に生まれたジョセフィーヌという女性らしくて、結構腕っ節が良いのだとか。ま、違ってもエルメキア・ランスに当たった程度。すぐに回復するでしょう」 ジョセフィーヌという人物がいる町へと向かう。 〈L〉「で?どこに行くつもり?」 〈R〉「記憶が戻っても能力が戻りません。骸骨杖も弱くてヘナヘナです。ここは、歩くしかありません」 ばきっ 何故殴るのですか?L様 〈L〉「あんたそれでも魔王っ?!くぅぅっ、お母さんそんな子に育てた覚えはありませんよっ!」 げしっ、ばきっ、ざくぅ 僕の意識は暗転した。 目を覚ますと、下級魔族がいた。 「おや、気がつきましたか」 僕は物言わず、頷く。 「そんなに怖がらなくてもいいですよ。あっ、お名前は?私はラギアソーンと申します」 面白そうなのでからかいついでにおびえた少年のフリをする。 〈R〉「ら、ラーク・ワード」 〈ラ〉「ワード?」 何やら考え込むラギアソーン。あれ?ラギアソーン? ― 姉さんのドラグ・スレイブで川に落ちたところを助けてくれたのがラギアソーンさんでねっ! ああ、ガードが言ってた。 〈R〉「ガード・ワードって知ってる?」 〈ラ〉「ああ、やっぱり!聞いた事のあるファミリーネームだと思ってたんですよ!」 〈R〉「ああ、やっぱり。ジョンを探して三千里のラギアソーンだな」 しばし固まり頷く彼。おおお、困惑しとる困惑しとる。 〈R〉「で?見つかったの?」 〈ラ〉「いえ、それがまだ・・・」 頭の角がしおしおと萎びてゆく。 〈R〉「へえ、よかったね」 〈ラ〉「良い訳がないじゃないですかぁあっ!」 ぶわっと涙を流し、目をうるうるさせながらラギアソーンは僕の肩を鷲掴み。 スパカーン 〈R〉「鬱陶しいから肩を掴まないでくれる?下級魔族のくせに」 ハリセンで肩を叩きながらラギアソーンを見下ろす。 まだウジウジやってる… 魔族だからこれ以上して弱体化しないよう何もしないが、神族だったらげちょげちょに殴って滅してやりたいほど鬱陶しい。(スィーフィードだったら吸収させるけど!) ここは、さっさと離れて闇討ちに行くか。 またL様に出会った。 〈R〉「L様、また北のにやっていたのですか?」 〈L〉「ええ。精神体だけあって復活が早いわね」 〈R〉「人身は回復が遅いですからねぇ。ま、それもそれで一興ですよ。L様」 〈L〉「戻る頃の恋煩いを引きずってるものね」 ダメですか?魔王が人間の娘に恋煩いしては。 〈L〉「悪いとは言わないけどね。面白いっちゃあ面白いし」 ジョセフィーヌの許へと向かう道すがら、L様はいなくなったり現れたりを繰り返す。 北のの所に行っているのか、それとも他の三方かスィーフィードか… こちらに怒りがこなければそれはそれでよし! L様と共にとある村へとやってきた。あれ?この波長は… 〈R〉「や、こんにちは。ガーヴさん♪」 〈ガ〉「どあああああっ」 そんなに驚かなくてもいいじゃないか。驚いてくれたほうが嬉しいけど♪ 〈ガ〉「が、餓鬼が何でこんな村にまで」 〈R〉「旅に出てるので」 〈ガ〉「あー、そうかい、そうかい。で、そっちは保護者か」 あーあ、言っちゃった。知らないよー、この後のこと。でも、裏切り者だから何でもよし。 〈L〉「ふーん。そんなこと言うんだったらおしおきしちゃうっ!」 ノリノリのL様。ご愁傷様、ガーヴ。 精神世界に引きずりこまれるガーヴの悲鳴が響き渡った。 ガーヴの悲鳴があちらから聞こえる中、彼の食べ残した食事を啄ばむ。 〈R〉「あ、お姉ちゃん。この料理もうふた皿もらえますか?」 「あいよー。待っておいでよ坊ちゃん」 はっきり言っておばさんの彼女にリップ・サービス。 「はい、どうぞ。いい子にはサービスしてあげるわね」 コロッケがサービスに追加されていた。もちろん、先ほどのお姉さん発言もこれが目当て。 〈R〉「L様〜。料理が冷めちゃいますから食べましょう!勿論、ガーヴ持ちで」 〈L〉「あら、いいわね」 ドサッ 〈ガ〉「ぐほっ」 苦痛に呻くガーヴを他所に僕らは箸を進める。 あっという間に一週間!L様は帰るらしい。 〈L〉「で、ガードの話なんだけど」 ああっ、僕としたことがあの疑問を忘れてた! 〈L〉「新緑の守護者って覚えてる?」 〈R〉「新緑の守護者???」 誰だっけ・・・・・・・・・・・・ああっ! 〈R〉「過労によってフラフラしてたところを僕とスィーフィードの攻撃の板挟みにあった」 〈L〉「そう、それ」 〈R〉「そっか。ガードはあの100年しかもたなかった奴か」 あまりにも目立たない存在だから忘れてた! 〈L〉「じゃ、お土産に何かちょうだい?」 〈R〉「はい、どうぞ。何でも持って行ってください」 カバンの中から全てを取り出す。 〈L〉「じゃ、これにするわ」 〈R〉「お気をつけて!」 L様は金品財宝を持ってかき消えた。 〈R〉「さてと」 僕はジョセフィーヌの許へと行く最中、金がなくなったので盗賊郎党から金品を巻き上げることになった。 ―登場人物― (特別バージョン) L様 ロード・オブ・ナイトメア。全ての王と渾名される創造者。通称・L様。 長くてサラサラな金髪美女。あらゆることでNo.1! ラーク・ワード 僕のこと。相棒の骸骨杖はハリセンに変えて闇討ち旅行中。 北の魔王 北のカタート山脈に繋がれている片割れの一人。 ガード・ワード 僕の妹。元は「新緑の守護者」で100年しかもたなかった存在感の薄い奴。 ラギアソーン 鬱陶しい下級魔族。ガードの恩人であり、初めてのお友達なんだとか。 魔竜王のガーヴ 正真正銘の魔竜王。裏切り者。 |
33227 | Re:番外!L様はその時? | 。。。 | 2007/7/14 19:03:23 |
記事番号33225へのコメント お久しぶりですっ! 大きな話になって来ましたね それでは早速コメントです > ―――僕はいつもの通り人を闇討ちしていた。 > > >スパカーンッ > >〈R〉「赤法師レゾ、討ち摂ったりぃい!」 > >骸骨杖を変化させたハリセンを手に、僕は勝利のときの声を上げた。 > ハリセンで殺されるのって、滅茶苦茶イヤでしょうね 多分レゾは この事実だけでも精神的ショックを受けるでしょうから・・・・ つまり、コレで攻撃する事によって アストラルサイドからの攻撃(精神攻撃)も兼ねてるってワケですね! うぅ〜ん恐ろしい武器だこと・・・! >ああっ、L様が呆れた目で見ている。いかん、これではドツかれる! > >〈L〉「どういう意味よそれはっ!」 > >ドグシャ > >ああ、ほらやっぱり > >〈L〉「混沌の海に沈めて欲しいようね」 > >〈R〉「ああああっ。L様やめてくださいっ!それだけはっ!」 > >志半ばで朽ちては男が廃る。 L様は心の声も聞き取る事が出来るんですね 男が廃るどころの話じゃありませんよ >〈R〉「魔族になったら彼女に相手してもらえないじゃないか♪」 なッ何を言っているんだ!! 魔族のゼロスは女の子にモテてるじゃないか!! フィリアさんとも仲良しじゃないか・・・!! (何 >〈R〉「で?見つかったの?」 > >〈ラ〉「いえ、それがまだ・・・」 > >頭の角がしおしおと萎びてゆく。 > >〈R〉「へえ、よかったね」 > >〈ラ〉「良い訳がないじゃないですかぁあっ!」 > >ぶわっと涙を流し、目をうるうるさせながらラギアソーンは僕の肩を鷲掴み。 > >スパカーン > >〈R〉「鬱陶しいから肩を掴まないでくれる?下級魔族のくせに」 > >ハリセンで肩を叩きながらラギアソーンを見下ろす。 ひ酷い・・!! ラギアソーンにとってジョンはかけがえの無い家族なのに・・! >〈R〉「人身は回復が遅いですからねぇ。ま、それもそれで一興ですよ。L様」 > >〈L〉「戻る頃の恋煩いを引きずってるものね」 > >ダメですか?魔王が人間の娘に恋煩いしては。 回復が遅いと、彼女に看病してもらえますもんねv いいですねぇ、魔王と娘の恋。・・・歌になりそうです プロポーズの言葉は「俺の小悪魔になってくれ家臣にするから」みたいな?(ォぃ >〈ガ〉「あー、そうかい、そうかい。で、そっちは保護者か」 > >あーあ、言っちゃった。知らないよー、この後のこと。でも、裏切り者だから何でもよし。 > >〈L〉「ふーん。そんなこと言うんだったらおしおきしちゃうっ!」 > >ノリノリのL様。ご愁傷様、ガーヴ。 保護者っちゃあ保護者なのに・・・! ガーヴ間違ってナイのに・・・! まぁ、魔族なりのコミュニケーションの取りかたですか(ぇ >〈R〉「過労によってフラフラしてたところを僕とスィーフィードの攻撃の板挟みにあった」 > >〈L〉「そう、それ」 > >〈R〉「そっか。ガードはあの100年しかもたなかった奴か」 兄に殺されかけてたなんて・・っ! 不憫な子です・・! > ―登場人物― (特別バージョン) > > L様 >ロード・オブ・ナイトメア。全ての王と渾名される創造者。通称・L様。 >長くてサラサラな金髪美女。あらゆることでNo.1! > > ラーク・ワード >僕のこと。相棒の骸骨杖はハリセンに変えて闇討ち旅行中。 > > 北の魔王 >北のカタート山脈に繋がれている片割れの一人。 > > ガード・ワード >僕の妹。元は「新緑の守護者」で100年しかもたなかった存在感の薄い奴。 > > ラギアソーン >鬱陶しい下級魔族。ガードの恩人であり、初めてのお友達なんだとか。 > > 魔竜王のガーヴ >正真正銘の魔竜王。裏切り者。 登場人物の中に、ジョセフィーヌも是非入れとくべきですよ! 自分的に凄く気になる人物です!(ォぃ 面白い展開になってきましたね これからも頑張って下さいよ! 応援しています それでは |
33231 | Re:番外!L様はその時? | ガード・ワード | 2007/7/14 23:23:52 |
記事番号33227へのコメント 。。。さん、コメントありがとうございます! コメント一つ書いてくださるだけでも励みになります。ありがとうございました! それにしても、。。。さんのコメントは面白いですね。尊敬いたします。 私のコメントは結構堅苦しいところがあるので・・・ ところで、ラーク兄さんの闇討ち、死なないように加減をしてすっぱたいています。 死んじゃったら転生しちゃいますから。 ジョセフィーヌさんの件ですが、後々ラーク兄さん視点の投稿も始める予定ですのでご期待下さい。 では、再度。ありがとうございました! |
33242 | Re:番外!L様はその時? | 。。。 | 2007/7/16 02:00:59 |
記事番号33231へのコメント >。。。さん、コメントありがとうございます! > >コメント一つ書いてくださるだけでも励みになります。ありがとうございました! ぃえいえ、毎回コメント打つ事が出来ずに申し訳無く思っております >それにしても、。。。さんのコメントは面白いですね。尊敬いたします。 な/// 全くそんなっ/// 照れるなぁ全く/// 自分を褒めても何も出ませんよ? でもまぁこんな可愛いガードさんの為なら、自分コメント頑張っちゃおうかなぁ(ォぃ >私のコメントは結構堅苦しいところがあるので・・・ 堅苦しいなんて全然そんな事無いですよ、 むしろそれが普通ですから。 ガードさんは結構積極的にコメントされてる方なので、読ませて頂いておりますよ とても素敵なコメントでした 自分なんかは、コメント打つ際にオチで悩んで時間くってる時とかありますから。 そんな時、自分何してんだろうとよく思います。 >ところで、ラーク兄さんの闇討ち、死なないように加減をしてすっぱたいています。 > >死んじゃったら転生しちゃいますから。 そうですよね、普通殺しませんよね(恥 >ジョセフィーヌさんの件ですが、後々ラーク兄さん視点の投稿も始める予定ですのでご期待下さい。 読みましたよ、とても納得致しました。 本当にあらゆる意味・・じゃなくて点で、凄い話ですよね。 これからも期待しているので、頑張って下さい。 それでは。 |
33259 | Re:番外!L様はその時? | ガード・ワード | 2007/7/19 23:07:51 |
記事番号33242へのコメント お返事のコメントまでいただいてありがとうございます。 まさか、いただけるなんて思わなくて気付きませんでした。ごめんなさい! 面白いと思っているのは正直な気持ちなので、頑張らなくてもいいですよ。 コメントをいただいて疲れさせてしまうと思うとどうしようかと思いますから。 それと、ラークの方まで読んでいただき、ありがとうございます。しかし、あと数話でそちらは終わりになる予定です。 その代わり、こちらのガードの話はすぺしゃる、長編の方まで手を伸ばすことを考えておりますのでこのままずるずると続くことを宣言させていただきます。 では、ありがとうございました。 |
33230 | 7.プリンセスを守れ! | ガード・ワード | 2007/7/14 23:13:36 |
記事番号33177へのコメント まえがき この度、3作を一日で考えたので面白くないかもしれません。 お読みくださる方々、こんな小説でも最後までごゆっくりお読み下さい。 7.プリンセスを守れ! メトロズ・シティにある魔道士協会で仕事の話を持ち込まれた。 「で、頼まれてはくれんだろうか」 〈G〉「まあ、受けますけど…」 仕事はこのメトロズ・シティを収める領主の娘達の護衛。何でも、旅行がしたいそうだ。しかし… 〈G〉「見ず知らずの通りすがりの魔道士、しかも子供に頼んでもいいんですか?この仕事」 「子供だからあんまり悪さはできんだろう、という事で。さらに、旅先の警備兵もつくそうだし」 あんまりって…悪さをするかもしれないと? 「それに、研究筋の者しかおらんからなぁ」 〈G〉「いいですよ。断る理由がありませんから」 「そうか!なら頼むぞ」 城門の前に並ぶ警備兵の隣に立つ、しばらくして彼女たちがやってきた。 「では、よろしくお願いいたします」 一番上に見えるお姉さんが挨拶をすると、並ぶ警備兵が敬礼した。 「あなたも警備さん?」 〈G〉「いえ、私は魔道士です」 私のどこをどう見れば警備兵に見えるのだと心の中で付け加える。 「あらそう、魔道士さんも警備さんになれるのねぇ」 ずるぅ 〈G〉「違うって言ったじゃないですかあっ」 「まあ、違ったの」 ああ、だめだ。手応えが何か違う。 〈G〉「で、どこをどう見たら私を警備兵に?」 「どこをどう見ても」 自分の姿を見下ろす。魔道士だとはっきり言えないが、警備兵ではないとはっきり言える旅装束だ。何より、職に就ける年齢ではない。 一緒にやってきていた騎士が立ち止まる。 〈G〉「盗賊…ですか」 「えええええっ!?」 驚きの声をあげたのは警備兵の一人。驚くな、仕事だろうが。 息を詰める四姉妹。警備兵の二人は彼女たちの周りを固める。騎士は思いっきり戦闘態勢。むろん、私も。 戦いが始まる。驚きの声をあげた警備兵がおどりかかってよけられ、倒れ付す。おいおい 〈G〉「烈閃剣!(エルメキア・ソード)」 盗賊相手にフレア・アローはなかろうと、エルメキア・ソードで応戦する。 騎士や警備兵も同様に。皆さん手慣れでいらっしゃる。 〈G〉「烈閃の盾!(エルメキア・シールド)」 三姉妹に結界をはり、次の相手に・・・ん? 〈G〉「しまったあっ」 一人足りない! 〈G〉「グレイさん!(騎士の名前)探してきます!」 「おいっ!」 〈G〉「翔封界!(レイ・ウィング)」 盗賊のアジト、そこに初めに倒れ付した警備兵と姫は捕らわれていた。 〈G〉「炎の矢!(フレア・アロー)」 私の炎の矢が炸裂する。 「わあああああっ!」 途端に飛び出す盗賊たちと警備兵。おいあんた、姫をおいてくな! 〈G〉「さ、早く!」 「あ、はい!」 出口にくると警備兵とぶつかる。 〈G〉「一体?」 ぐいっと私を押しやり、彼女と私の間に入り込む。??? 外には、盗賊がやってきていた。 咄嗟に呪文を紡ぎながら水をぶちまける。 〈G〉「氷の矢!(フリーズ・アロー)」 足元を凍りつかせ、盗賊との間に壁を作る。冷気が私たちを襲った。 「うっわあああああっ」 パニックを起こす彼。あんたそれでも兵士か!?女子供が平然とする中パニックに陥るなんて、何て情けない。 私はベフィス・ブリングで穴を掘り、脱出を図る。こそこそとまたもや真ん中に割っている彼。 この場合、後ろを守るべきでは?と、思うものの呪文を使っている最中ツッコムことはできない。 地上に出た。盗賊たちの真っ只中だった。 「いたぞ!」 〈G〉「烈閃剣!(エルメキア・ソード)」 長めのエルメキア・ソードを作り出し、ブンブン振り回す。突撃してきて当たって倒れる盗賊たち。 一体何がしたいのだろうか・・・? 「おい、あんた!もっと一発で大勢を倒せる術は?」 〈G〉「色々ありますけど、こんなとこで使えません!」 「私だけ助かればいいんだ!どんどん使ってくれ!」 〈G〉「あんたは仕事を何だと思ってる!?」 左足で彼の脛を蹴る。こいつ、まさか姫の前に入ったのは後ろ盾にする気だったのか? 「ぐおっ!?」 いや、そんなに強くは蹴ってないんだけど。 「まあっ!大変」 〈G〉「氷窟蔦!(ヴァン・レイル)」 応戦の一方、氷の蔦を張り巡らせる。静かになったとき、私達は外に出た。 〈G〉「さ、もう大丈夫ですよ」 「はぁ、助かった」 「ありがとうございました」 「いやいや、それほどでも…」 〈G〉「あんたが一体何をした!?」 「い…色々したではないか」 〈G〉「何を?」 〈グ〉「ご無事でしたか、フィオレシア姫!」 「はい!この方たちが助けてくださって」 〈グ〉「ふむ、ご苦労であった。特にその方、倒れても尚姫を助けようとする心意気は見事である」 いえ!彼は姫を見捨てました! 〈フ〉「もしよければ、お名前をお聞きしてよろしいですか?」 「はい!私はクォート・フェタールと申します!」 〈フ〉「そう、ありがとうございました」 和やかな会話をする二人を私たち七人は白々と見ていた。 巡り巡ってメトロズ・シティに帰り着く。 色々とあったこの仕事。一番の問題はあのフェタールさんとフィオレシア姫が恋仲になったことである。 〈G〉「一体、何を考えているのでしょうね」 〈グ〉「さあな、ロードの娘の思考には昔からついていけん」 私とグレイさんは彼ら二人の結婚式を壁の花となって飲み物を飲んでいた。 〈G〉「で、フィオレシア姫はこの後どうなるのですか?」 〈グ〉「フェタールのところへ嫁入りするそうだ。姫という名をおいてな」 〈G〉「いーんでしょーかねー」 〈グ〉「本人が言うなら仕方ないと嘆いていたよ。こちらの噂ではフィオレシア姫が押し切ったそうだ」 〈G〉「・・・お姉さんたちはどうなったので?」 〈グ〉「これがあって、私たちもあんな熱い恋がしたいと」 〈G〉「まともな相手にめぐり合えたらいいんですけどね」 〈グ〉「あいつはまともじゃないのか?」 〈G〉「違います。姫を置いて盗賊から逃げようとしていました」 〈グ〉「何ぃいいいいっ!?」 グレイさんの声に驚いて式に出席していた全員がこちらを向く。 〈G〉「あ、気にしないで下さい」 〈グ〉「こほん。出るか」 私達は式場の外に出て近くの飯屋で遅くまで愚痴をこぼした。 ―登場人物― ガード=ワード 元は魔王と竜神の半分をえぐりとって混ぜ合わされた「新緑の守護者」 L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 グレイ メトロズ・シティの場内に勤める騎士。 フィオレシア メトロズ・シティ周辺を治める領主の四女。盗賊に一緒に捕らわれた警備兵に惚れる。 クォート・フェタール 警備兵。守るべき姫を置いて逃げたり、子供を前に立たせて戦わせるやつ。自分>仕事(他人)が成り立っていそう。 ―オリジナル― 烈閃剣(エルメキア・ソード) エルメキア・ランスの改良したもの。手に持って剣のように扱う。エルメキア・ランス並みに精神衰弱する。何人にでも使用可能。 烈閃の盾(エルメキア・シールド) 風の結界にエルメキア・ランスを纏わり着かせた結界。外側に触れると気力が減退する。 あとがき スレイヤーズすぺしゃる27巻のスタンプ・トゥ・キル、ファミリー・ポートレートの過去という形にしました。 しかし、神坂一さんが考えた代物とは一切合財違うことを強調させていただきます。 お読みいただきありがとうございました。 |
33239 | 8.騎士の特訓 | ガード・ワード | 2007/7/16 00:53:15 |
記事番号33177へのコメント 8.騎士の特訓 私の前に壮年の男性がずっと座っている。 〈G〉「で、何か御用でも?」 私は堪えきれずに尋ねた。 「うむ。実はだな・・・」 彼の名はゴルディアス=メイルスター。彼の息子に騎士になる特訓をしてくれ。それが、彼の依頼だった。私は十日という日数制限を申し入れた。 何でも、小さい頃から体が弱いものの騎士の家系とあって、騎士になりたいと言うのだとか。 早速、彼の家に迎えられた。非常に大きなお屋敷である。私たちの家が5つぐらいは入るだろう。 〈ゴ〉「息子のジェフリーだ。さ、挨拶を」 〈ジ〉「ジェフリー=メイルスターです。よろしく」 私と同じくらいの少年は確かに体が弱そうだった。 〈G〉「ガード=ワードだ。よろしく、ジェフリー」 握手を交わす。あまりにも頼りない細い手だった。これでも剣を持てるのだろうか? 〈G〉「よし、剣を持つことから初めてみようか」 〈ジ〉「はいっ」 1.彼に剣を持たせてみる。まずは短剣から。 握りが甘い。持ち方から教えることにする。 2.持つことができたので素振りを始める。(二日目) へろへろとした剣筋。当分は素振りをしたほうが良いようだ。 市場から牛肉を仕入れてきた。 〈G〉「さーて、ジェフリー。切る練習をしようか」 〈ジ〉「えー」 〈G〉「えー、とは何だ。えー、とは」 〈ジ〉「だって、調理場ですよ?」 〈G〉「だから、切る。だろ?」 〈ジ〉「こんなので上達するんですか?」 〈G〉「確かに戦いは人間が相手だ。しかし、お前にはまだ人間相手にするのは無理だドォっ」 「ジェフリーちゃんになんて事を言うんですかぁっ!」 な・何だ?振り向くと、覆面の貴婦人がいた。 〈ジ〉「あの、あなたは?」 「私はしがない旅の者。気にしないでね」 呆然としている間に彼女は行ってしまった。はっきり言おう、旅人は絶対に他人の家の台所は通らない! 〈ジ〉「ただの旅人だったようですね」 〈G〉「ええっ!?そうなのか!?それで済ますのか!?」 人を呼びに行こうとして彼が言って思わず立ち止まった。 〈ジ〉「これくらいで動じていてはダメですよ。同じ男として情けないです」 〈G〉「女だからいいんだ」 自分でも訳の分からん詭弁だと思ったが言い切った。 それに、これはどんな者でも驚くだろう。 ゴルディアスさんに彼女のことを言った。 〈ゴ〉「ああ、それならジョセフィーヌだろう」 〈G〉「ジョセフィーヌ?」 〈ゴ〉「妻の事だ」 奥さんって一体・・・? 〈ゴ〉「一度通り魔に襲われて寝込んだんだが、起き上がってからはそのような暴挙をするようになってなぁ…。日に日に常識離れしていっておる」 その通り魔、一体何をした?寝込んだ後には常識離れって・・・ ジェフリーの特訓は続く。牛肉を切るのは嫌だ嫌だとごねる。 かと言って、動かない木に向かって切る練習をして手首を捻る。 私は決断を下した。彫刻刀を持って言う。 〈G〉「さ、かかって来なさい!」 〈ジェ〉「えええええっ!?」 〈G〉「お前の腕などこの彫刻刀でじゅうぶっ!?」 じょせふぃーぬさんのこんしんのいちげきがとうちょうぶにひっと。 〈ジョ〉「何て事を言うんですかっ!ジェフリーちゃんは強いのですよ!」 〈G〉「うぅっ。また旅人さんが来たようですね」 〈ジェ〉「そうですね」 すぐに納得する彼。本当にこれでいいのだろうか? 〈ジェ〉「しかし、ガードさん。そんな彫刻刀ではダメです」 〈G〉「えー」 私は不満の声を上げる。体の弱い彼に怪我をさせるわけにもいかないからという苦肉の策だと言うのに。 〈ジェ〉「女性が彫刻刀だというのに僕が短剣では無理です!剣を向けられません!」 〈G〉「しかし…世の中の女性には麺棒で魔族をドツキまわすという人も…」 〈ジェ〉「それでもです!ガードさんがどんなに女性離れしていようと!どっからどう見ても男性であっても!女性は女性なのだから、それではダメなんです!」 相手は病人、相手は病人。 私は奥歯を噛み締め、微笑を浮かべて怒りを押し殺す。 〈ジェ〉「ですから!彫刻刀VS短剣というのは何が何でも了承する気にはなれません!」 〈G〉「分かった、譲歩しよう」 私は石を持った。 〈G〉「では、この石を投げるから受け取るんだ」 〈ジェ〉「剣にどう関係があるんですか?」 〈G〉「身のこなしも必要だろうが」 〈ジェ〉「ああ、そうか」 〈G〉「じゃあ、行くぞ」 ひょいっと下から軽く放り投げる。 動くジェフリー。こけっ 〈ジェ〉「痛い!」 〈ジョ〉「ジェフリーちゃんに何をするんですかあああああっ!」 チーン 今回の音は何故か金属音がした。頭頂部に当たったのに関わらずである。 もしや、私も人間離れしてきたのでは・・・? こけて擦りむいたジェフリーにリザレクションをかけながら私は鬱々と考え込んでいた。 十日間はあっという間だった。奥さんには十数回会った。普段は養生のために部屋に篭っているのだとか。息子思いのいいお母さんだとは言えない。甘やかしすぎも禁物である。 私は逃げるようにその屋敷を旅立つ。幾ら効かないと言っても頭をポコポコ叩かれるのはいい気がしない。 そして、結局ジェフリーの剣術は全く様にならなかった。が、持ち方心構え等を教えることができたので少しは上達したと思う。否、してくれないと困る。 宿の扉を開けて思った。 あ、そういえばただ働きだった。 隣町でラーク兄さんと再会。ポルガラ・シティのサバイバル・マッチやお姫様たちの護衛、メイルスター家の話をした。 メイルスター家の奥様が通り魔に会って寝込み、常識離れしていくという件に入ると目が泳ぐ。 〈G〉「兄さん、まさか、通り魔なんかしてないよね?」 〈R〉「そんな風に見える?」 良かった。違うようだ。 兄からの話に耳を傾けながらする食事は楽しかった。 ―登場人物― ガード=ワード 元は魔王と竜神の半分をえぐりとって混ぜ合わされた「新緑の守護者」 L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 ゴルディアス=メイルスター メイルスター家当主。今回の依頼人。 ジェフリー=メイルスター 体が弱いが騎士になろうとしている。 ジョセフィーヌ=メイルスター 通り魔に会って寝込んだ後、常識離れして行く奥さん。 ラーク=ワード 兄さん。竜神の欠片を探して各地を放浪中。 |
33249 | 9.ああ、徳高き人たらん | ガード・ワード | 2007/7/16 23:14:10 |
記事番号33177へのコメント 9.ああ、徳高き人たらん 私達はサイラーグへとやってきた。中心にあるのが神聖樹フラグーンだ。 〈R〉「で、こっちにあるのが瘴気の森ね。何がでてくるか分からないから気をつけなよ」 〈G〉「分かった」 何事もなくサイラーグにつくかと思われた。が、横の木が揺れる。 ガサッと出てきたのは同じくらいの少女だった。 〈G〉「こんにちは。サイラーグの方ですか?」 「あ、はい。あの…」 〈G〉「私たちサイラーグに向かっているのです。もし良ければ近頃のサイラーグのことをお聞かせ願えますか?」 彼女の名はシルフィール=ラーダ。彼女に近頃のサイラーグ、サイラーグの歴史を聞かせてもらった。サイラーグに入るまでとお願いしたのだが、サイラーグに入ってからも現地を説明してくれている。 〈シ〉「そして、ここがサイラーグのスィーフィードを崇拝する神殿ですわ」 〈G〉「祈りを捧げても?」 〈シ〉「はい、どうぞ。ここは万人に開かれています。では、私はここにおりますので、何かあったら相談に乗りますわ」 〈G〉「ありがとう。シルフィールさん」 〈シ〉「どういたしまして」 彼女は奥へと入っていった。 〈G〉「いやぁ、いい人だったね」 〈R〉「そだね」 あれ?何かそっけない。 〈G〉「兄さん?」 〈R〉「なに」 〈G〉「・・・すねてる?」 〈R〉「ん?別に?すねてないよ?」 すーねーてーるぅぅぅ!絶対にすねてる!確かにサイラーグに着くまで彼女としか話してなかったけど…ごめんなさい。 〈G〉「あ、あ、あ、あ。あ、あのさ」 〈R〉「魔道士協会に行ってくるね」 ラーク兄さんは行ってしまった。 しまったあああっ!本当にすねてなかった!すねるを通り越して怒ってたあっ! 私は、赤の竜神、スィーフィードに願いを捧げた。 本来は、旅の無事を願う所だが、兄と仲直りできるように願った。 その後、兄さんの許…否、魔道士協会に向かった。 ちゃんと待ってくれたぁ! 〈G〉「待っていてくれたんだ!」 〈R〉「おそいよ」 まだ機嫌は直っていないようだ。って、そらそうか。 〈G〉「さ、行こう!」 私は兄さんの背中を押して中に入った。 私達は評議長室に通された。 〈R〉「で、何の用ですか?」 「うむ。君たちの噂は聞かせていただいておる」 どんな噂だ? 「聞けば黒魔法と白魔法が得意なことから、二人揃って紅白のワード兄弟と言われているそうじゃないか」 〈R〉「で?何が言いたいんです?」 ああああっ!輪をかけて苛立ってる! 兄さんの隣で私は冷や汗が出て寒気がしながら評議長の話を聞いていた。 評議長が言うには、私には神殿で。兄さんには協会で講義をしてほしいのだそうだ。 〈R〉「分かりました。で、依頼料なんですが・・・」 とんでもない数字を切り出した。何と、金貨百枚を要求したのである。 〈G〉「待ったあああああっ!」 〈R〉「何?」 〈G〉「何でそんなとんでもない金額!?普通講義するだけで金貨百はおかしいだろ!」 〈R〉「おかしくないよ。僕は最低額が金貨百枚なの。それ以下はどういう事情だって何もしないよ」 〈G〉「ええええええっ!?」 それが最低額!? 〈G〉「じゃ、じゃあ。倒れたご老人がいました。あなたならどうする?」 〈R〉「素通り」 だぁめぇだあああああっ! 〈G〉「あ、あ、あ…」 「む…こちらとしては、金貨五十枚が出せる最高金額なのだが…」 〈G〉「分かりました!金貨五十枚で講義をいたします」 〈R〉「えー、やだ」 〈G〉「じゃ、私も五十枚払うから。協会での講義、ちゃんとやって!」 〈R〉「何でそんなにやりたがるのさ」 〈G〉「う…それは…その、え、L様が・・・」 面白そうなことには絶対首を突っ込めって。 〈R〉「わぁかったあああっ!」 おぉっ!? 〈R〉「その依頼。引き受けます」 「は、はい。ありがとうございます」 一旦、私達は別れてそれぞれの会場へ向かった。 神殿を訪れた。神官がいたので話しかける。 「ああ、やっとですか。では、どうぞ」 やっとって・・・何時から待っていたんだ? 「何でも、上級の白魔法を使う魔道士が少なくて講義がほとんど行われないようになっていたんです」 神官長の許へと通された。白髪の髪を後ろに撫で付け、慈愛に満ちた聖母のような印象の女性だった。 見ただけで心洗われる気分におちいる。 「あなたが白魔法の講義をしてくれるのですね?」 〈G〉「はい、ガード=ワードと申します。白魔法を中心とした補助魔法を研究していたのでお呼びがかかりました」 「そう。では、よろしくね」 〈G〉「はい、よろしくお願いいたします」 私は退出した。 ああ、何と徳高き人なのか。 講義を無事に終え、私は椅子に座った。質問を受けるのだ。ちゃんと理解してもらわなければ意味がない。 ――― 思ったより質問が多すぎました。 〈G〉「よし!今度の講義は皆で読書だ!白魔法の書かれた魔道書を皆で読みふけよう!」 「はーい」 皆は帰っていった。 十日間、無事に講義を語り終え、これで約束は果たした。 〈G〉「ありがとうございました」 「いえ、私共の願いを聞いていただき、こちらこそ感謝します」 〈G〉「いえ、そんな…」 「これからも、世のためになる研究を続けてください。私たち神官一同も人のための仁行を行っていこうと思います」 〈G〉「分かりました。お互い頑張りましょう」 「あなたの行く先々に幸運がふりかかりますように・・・」 〈G〉「ありがとうございます」 私は神殿を後にする。 願わくは、全ての人に幸多からん事を ―登場人物― ガード=ワード 元は魔王と竜神の半分をえぐりとって混ぜ合わされた「新緑の守護者」 L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 ラーク=ワード 兄さん。竜神の欠片を探して各地を放浪中。 シルフィール=ラーダ サイラーグの神殿に仕える少女。 神官長 一目で心洗われる気持ちになる聖母のような徳高き人。 |
33258 | 10.盗賊退治 | ガード・ワード | 2007/7/19 22:40:02 |
記事番号33177へのコメント 10.盗賊退治 十日後、私は兄さんに連れられて近くの山にやってきた。 〈G〉「兄さん、一体何するの?」 〈R〉「盗賊の討伐」 〈G〉「へー」 〈R〉「ガードがやるんだよ?」 〈G〉「ええええええっ!?」 私が!? 〈R〉「僕は見てるだけ。OK?」 嫌だと言ってもやらされるのは目に見えて分かる。しぶしぶ頷いた。 〈R〉「よし、いけ!」 盗賊のアジトを指差して兄は言った。 盗賊のアジトに近寄り、私は盗賊に話した。 〈G〉「こんにちは」 「お、おう」 〈G〉「私、盗賊退治をしなければならないんです。皆さん、盗賊をやめていただけませんか?」 笑い飛ばされた。 「おいおい、坊ちゃん。冗談はいけねえぜ」 ・・・訂正する気がこの頃失せてしまった。 「そうそう。いい子だから家に帰ってお手伝いでもしてな」 「俺らはお坊ちゃんみたいな子供に退治されるようなやつらじゃあないんだよ?」 「だからさっさと帰りましょーねー」 言って、大笑い。子供と思ってなめてかかると痛い目見るよ。 〈G〉「でも…退治することが依頼だから。お願いだから、やめてくれないかな?」 「へん、やめてと言われてやめる盗賊がいるもんか!やめてと言われてやめるような奴が盗賊になんかならねえよ!」 確かに。 〈G〉「そこを何とか」 「じゃ、力ずくでやってみろよ」 盗賊たちはニヤニヤと笑いながら武器を手に取った。 〈G〉「じゃあ…崩霊烈域!(ラ・ティルト・フィールド)」 スッと腕を上げて振り下ろすと、青い光が辺りを包み盗賊たちは全員戦闘不能に陥った。 おお、発動した。後で協会に提出しよう。 〈R〉「早かったね。音も出なかったし。何やったの?」 振り向けば、兄さんがいた。 〈G〉「辺り一帯にラ・ティルトを放ったようにしたんだ」 〈R〉「それで青く光ったの?」 〈G〉「そ。後は全員ふんじばって、役所に届ければ万事良好だ」 〈R〉「よーし。おたから回収しよう!」 え? 〈G〉「え、依頼人のところに行くんじゃないのか?」 〈R〉「そもそも依頼されてないし」 〈G〉「兄さん、何で依頼されてもいないのにこんなことを?」 〈R〉「私利私欲」 〈G〉「うわぁ」 協会での依頼は面倒だとごねたが私利私欲のために盗賊退治をするとは…呆れた。 〈R〉「それと、盗賊に襲われても自分で対処できるか見ておきたかったんだよ」 〈G〉「そう…でも、ゼフィーリアの者でそこらの盗賊にやられるような者はいないような・・・」 〈R〉「何言ってんだ!ゼフィーリアに住んでいてもか弱い女の子だっているんだから!」 〈G〉「まあ、そうかもしれないけど…」 いるかもしれないけど、ルナはか弱くないよ?兄さん。 魔族を素手でドツキ倒すような子だよ? 片手でバスターソードを振り回すような子なんだよ? 美化しすぎだよ! 〈R〉「何?」 〈G〉「・・・や、なんでもない」 聞く耳持たないだろうから何も言わずに盗賊を連れて山を下りた。 朝、起きたら兄さんの姿が見えなかった。宿の奥さんに尋ねたら朝早くに出て行ったという。置いて行かれたようだ。 朝食を食べて私は宿代を支払う。そして、協会に向かった。 受付「おはようございます。ご用件は何でしょう」 〈G〉「呪文を開発したので買っていただけませんか?」 受付「少しお待ち下さい」 少し待たされて、昨日作った術は言い値で売れた。 協会から出てしばらくすると、シルフィールと会った。 〈G〉「おはよう、シルフィール」 〈シ〉「あ、おはようございます」 〈G〉「昼には旅立つから挨拶だけはしていこうと思って神殿に向かったところなんだ。ちょうど良かった」 〈シ〉「そうですか。寂しくなりますね」 〈G〉「ハハ。そうかい?ありがとう」 しばらく話して私達は別れた。 昼までに旅道具を揃えてまたカタートへの旅を再開する。 カタートに行った所で会えるかどうかは分からない。しかし、行く先々で色々な人に会えるだろう。それが、旅の面白さだ。 ―登場人物― ガード=ワード 元は魔王と竜神の半分をえぐりとって混ぜ合わされた「新緑の守護者」 L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 ラーク=ワード 兄さん。竜神の欠片を探して各地を放浪中。 シルフィール=ラーダ サイラーグの神殿に仕える少女。 |
33269 | 11.カタート山脈でいらっしゃい! | ガード・ワード | 2007/7/22 21:22:57 |
記事番号33177へのコメント 11.カタート山脈でいらっしゃい! 今私がいるのはカタート山脈の山中。目下のところ、友人のラギアソーンに会おうとハリセン持って奮闘中。 彼と再会したのは探し始めて三日後のことであった。 会ったときは凄かった。三日目の朝、会えないものだからイライラして「さっさと出てこんかぁ、ラギアソーン!」と怒りに任せて言い放ったらしばらくしてぬっと本人が出てきたのだ。 ほんと、驚くのなんのって・・・ 呼んだら出てくる・・・魔族、恐るべし! で、彼としばらく話しているときにこんな話になったんだ。 〈ラ〉「そういえば、人間の町ではおでん屋が客の愚痴を聞いているそうですね」 なんでしってる 〈G〉「まあ、ありますけど」 〈ラ〉「ガードさん。おでん屋を開いてみませんか?」 それは何か?おでんが食べたいのか?いや、愚痴を聞いてほしいのか。 〈G〉「あー。開くには屋台がいるので時間かかりますけど」 〈ラ〉「どれくらいかかりますか?」 〈G〉「木を伐って、屋台作って、設備整えて、食材を買ってきて・・・ざっと二十日あればできるかと」 〈ラ〉「木は何本いりますか?」 〈G〉「え、二本あれば足りるんじゃないかと」 〈ラ〉「早速準備しますね!」 そんなにやってみたいのか。 〈ラ〉「はい、どうぞ」 早っ! 〈G〉「あー。ありがとう」 〈ラ〉「いいえぇ。ただ、用意したのになんで負の気を出しているのかが分かりません」 〈G〉「呆気にとられているんだよ」 〈ラ〉「そうですか」 〈G〉「一気に仕上げるから話しかけないでね」 十八日後、全ての作業が終了して食材を買ってきた。 〈ラ〉「さあ、食べましょう」 〈G〉「や、相場は夜だろう」 〈ラ〉「そーですかー」 〈G〉「仕込みもあるから、うまいおでんを食わせてやるからちゃんと待ってろ」 〈ラ〉「じゃ、お仕事行ってきます」 〈G〉「いってらっしゃい」 夜、おでん屋を開いた。ラギアソーンだけだと思っていたんだ。だけど・・・ 「それでね・・・」 カタート山脈に人がいるとは思わなかった。 〈G〉「大変だねぇ」 「うんうん。そうなんだよ…今日だってさ、上司に怒られて、同僚になじられて・・・」 〈ラ〉「それはお可哀想に」 「分かってくれるかい?下級君」 下級君言ってやるなよ。可哀想だから。 〈ラ〉「あ、ガードさん。もうおでんはないんですか?」 〈G〉「や、ラギアソーン一人だと思っていたから全く」 「そっかぁ、仕方ないな。今度は酒も用意してくれよ」 〈G〉「今度もやるなんて言ってませんよ」 〈ラ&?〉「えっ、やらないの?」 〈G〉「だって、一度やったらいいかな〜って」 「そんなぁ、明日もやってよ!」 〈ラ〉「お願いします!」 〈G〉「んー。分かった。じゃ、今度はこの3倍の量を仕込んどくよ」 「よっしゃー!じゃあさ、今度は酒もよろしく」 〈G〉「未成年に酒は買えませんのでご自分で調達してください」 「あー。そうか。うん、分かった。じゃ、また明日」 〈G〉「ありがとうございました」 「そうそう、俺はノーストっていうんだ。あんたは?」 〈G〉「ガード・ワードです」 〈ノ〉「これからよろしくな!ガード。何かあったらこの覇王将軍ノースト様をよびな!」 言って、彼は掻き消えた。 〈G〉「・・・魔族だったんだ」 にしても、覇王将軍って何? 〈ラ〉「ラッキーでしたね。ノースト様にまで会えるなんて」 〈G〉「え?お偉方?」 〈ラ〉「勿論ですよ!じゃなきゃ人型になれません!」 〈G〉「ふーん。で、覇王将軍って何?」 〈ラ〉「覇王様直々に仕えられている方なんです。腹心様方は直々に仕えられる神官と将軍を擁しておいでになります」 〈G〉「神官と将軍」 〈ラ〉「はい。最も、獣王様が擁しておいでになるのは獣神官様だけですが」 〈G〉「へえ、根っからの縦社会だね。じゃあ、怒った上司は覇王で、なじった同僚ってのは、覇王将軍か神官かのどちらかか」 〈ラ〉「ガードさん、様をつけないと」 〈G〉「私は魔族じゃないからいいんだ」 〈ラ〉「あ、なるほど」 彼は六つの腕でポンッと手を叩いた。 次の夜、またおでん屋を開いた。 すると、またまたやってきた覇王将軍ノースト。 〈ノ〉「本当にかってきたぞー」 〈G〉「・・・人間の通貨を持ってるんですか?」 〈ノ〉「仕事の都合で人間のフリをする事もあるんだよ」 〈G〉「なるほど」 確かに、ラギアソーンよりも常識がある。と、納得する。 〈ラ〉「では、いただきましょうか」 〈ノ〉「よーし!いっただきまーす!」 彼らはおいしそうに食べてくれている。 〈G〉「そういえば、二人とも精神体なんだよね?」 〈ラ〉「はい。そのとおりです」 〈G〉「で、食べたおでんはどこに?」 返答が返ってこなかった。 まあ、こんな質問は困るか。また次の機会に! 「こんばんは」 〈ノ〉「ああっ!どうぞお座り下さい!」 「ありがとう」 〈G〉「いらっしゃい。お疲れ様」 「コンニャクとちくわ、お願いします」 〈G〉「はい、どうぞ」 「にしても、何で人間がここに?」 あれ? 〈G〉「もしかして、魔族さん?」 「もちろん。というより、魔族しか住んでいないでしょう」 そっかぁ、いないか。 「ま、通りがかる存在もたまにはいるみたいですけど」 〈ラ〉「あ、そういえば最近、見かけましたよ。ガードさんのお兄さん」 〈G〉「えーっと、髪が黒くて目の青い」 〈ラ〉「違います」 〈G〉「じゃあ、肌の浅黒い」 〈ラ〉「違います」 「ほら、銀髪で赤い目をした」 〈G〉「ああ、ラーク兄さんか」 ぽん、と手を一つ打つ。 〈G〉「じゃあ、あなたも兄さんに会ったんですか」 「あー。L様って分かる?」 〈G〉「えっ!?L様の事を知ってるの!?」 「知ってたんですか!?」 そっか、知ってたんだ・・・って、知ってるって事はかなりの高官!?ノーストが分かってないってことは、魔王・腹心クラス!? 〈ノ〉「あ・・・うまい」 〈ラ〉「ガードさん、ごちそうさまです」 「いやぁ、疲れた体にはよく効きます」 〈G〉「いや、一体何の話かさっぱり・・・」 〈ノ〉「私達は負の感情を食べてるんです」 〈G〉「あー、なるほど。って、私がおでん作ったの意味ないんじゃ!?」 「いえ、味覚はありますから。つまり、道楽です」 〈G〉「・・・私はここ二日、おでんしか食べてないのに」 何か悲しくなってきた。 〈ラ〉「あ、わたしもう行きますね」 〈G〉「いってらっしゃい」 〈ラ〉「いってきます」 ラギアソーンは仕事に行った。 〈ノ〉「んー。じゃあ、私も戻りますね」 〈G〉「はい、いってらっしゃい」 〈ノ〉「いってきます」 ノーストもどこかへ行ってしまう。覇王将軍ということだから、恐らく北の極点ではないかと推測する。 「やっと行った様ね♪」 〈G&?〉「L様!」 〈L〉「よぅし、ガード!卵とつくね、頂戴♪」 〈G〉「ありがとうございます!」 〈L〉「部下S!あんた酒を酌みなさい!」 〈S〉「わっかりましたぁ!」 その夜、夜遅くまでおでん屋は開いていた。 翌日、洞窟から出ると、家が建っていた。 ・・・何事? 〈S〉「あ、おはようございます」 〈G〉「あ、はい。おはようございます」 〈S〉「L様まで来られたので家にしておきましたよ。雨風にさらされると何されるか・・・」 〈G〉「確かに…。ああ、ありがとうございます」 〈S〉「どういたしまして」 言って、彼は姿を消した。 〈G〉「にしても、一夜で家を建てるとは・・・」 便利だ。 結構綺麗な家だし、喫茶店も開いてみるか? 私はその時、ドツボにはまるとは思いもせずに喫茶店まで始めた。 さあ、寄っていらっしゃい、見てらっしゃい。昼は喫茶店、夜はおでん屋。飲食無料でおいしいよっ! 上はL様、下は下級魔族が常連さん。偶にはエルフや黄金竜が来てお笑い大会が開かれるから逃げ出そう! ご来店の程、お待ちしております! ―登場人物― (特別バージョン) L様 ロード・オブ・ナイトメア。全ての王と渾名される創造者。通称・L様。 長くてサラサラな金髪美女。あらゆることでNo.1! ガード=ワード L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 只今、喫茶店とおでん屋を営業中! ラギアソーン ペットのジョンと別れて以来道を踏み外して悪行中。 ノースト 店の常連さん。覇王将軍という肩書きを持つ高位魔族。(補足:あとがきで名前しか出なかった魔族) S 店の常連さん。L様を知っているからかなり高位の存在と推測。 |
33270 | 12.誕生!リトル・ドラゴン | ガード・ワード | 2007/7/22 22:36:55 |
記事番号33177へのコメント 12.誕生!リトル・ドラゴン 朝、店の窓を開ける。その時目に映ったのはボロボロになりながらも飛行を続ける魔王竜と黄金竜だった。 〈G〉「おーい!治してやるからこっちに来い!」 聞こえるかどうかは分からないが何もしないよりは良いだろうと呼びかけてみる。すると、聞こえたらしくこちらへ向かってきた。 力なく舞い降り、倒れる二匹の竜。私は彼らにリカバリィをかける。 回復速度の早い事。人間にかけてもトロル並の回復速度になるが、見る見るうちに全身の深い傷が治っていくのだ。 さすがは竜族と言ったところか。 〈G〉「さ、もういいぞ」 〈黄〉「ありがとうございました」 〈魔〉「おかげで助かりました」 黄金竜が離すという事象は聞いたことがあるが、魔王竜まで話すとは思わなかった。 〈黄〉「この節はどうお礼すればよいものか」 〈G〉「私がやったのは傷ついた者を手当てする、当たり前のことだ。そんな事にお礼なんていらない」 〈魔〉「しかし…またもや迷惑をかけるようなのです」 〈G〉「迷惑・・・ねぇ」 〈黄〉「実は仲間に追われています」 〈魔〉「何故なら、異種の子供をなしたから」 〈G〉「って、あんたら夫婦か!」 同時に頷く二匹。 〈黄〉「すぐに追っ手が来ます」 見れば、既に黄金の竜が数匹と黒い竜が群れてやってきていた。 〈G〉「あー。これだけの数を相手に防げるかな・・・」 〈魔〉「防げないでしょうね。私達は逃げます」 〈G〉「そうか…幸運をお祈りします」 手を合わせて一礼する。 〈黄〉「で、卵を預かってください」 迷惑ってそれか。 〈魔〉「男の子ならレオン」 〈黄〉「女の子ならシルビアと名づけてください」 〈G〉「必ず」 〈魔〉「ありがとう。さ、行こうか」 二匹の竜は飛び去った。 ―――彼らが無事にまた戻ってきますように――― 気付いたのは昼ごろだった。 じっと私は卵を見つめる。 〈ノ〉「竜の卵?」 〈G〉「わあぁ」 いつの間にかノーストがいた。 〈G〉「いらっしゃい。今日は早いね」 〈ノ〉「休暇でね。ショートケーキとアップルティーを一つづつ」 〈G〉「はい。毎度」 ショートケーキとアップルティーを持っていく。 〈ノ〉「で、その卵温めなくていいの?」 〈G〉「いやぁ、それが育て方知らなくて」 〈ノ〉「ラギアソーンにでも聞けば?」 〈G〉「ああ、そうか」 ラギアソーンの名を呼んで、来てもらって尋ねる。しかし、彼にも分からないとのこと。 〈G〉「うー。まあ、懐に入れときゃいいかな?」 街に行って鳥の育て方を調べてみよう。もしかしたら、竜の育て方もあるかもしれない。 小竜が生まれたのは一年後の事だった。 たった10cmの黄金竜の体格に黒曜石の輝きを持つ鱗を持っている。で、性別なんだけど・・・ 〈G〉「・・・竜の性別の見分けが分からない」 問題は性別の見分けだ。ラギアソーンは再び旅立ってしまったし…どうしたものか。 〈ノ〉「フム。女の子だね」 〈G〉「毎度突然のご訪問ありがとう」 〈ノ〉「いやいや。どういたしまして」 〈G〉「開業前だよ」 〈ノ〉「友人の家に遊びに来て何が悪い」 〈G〉「友人だって思ってくれてるんだ?ありがとう!」 〈ノ〉「うっ」 〈G〉「ああ、ごめん。こういうのは苦手だったな」 〈ノ〉「いや、凄い正の気を放っていたものだからついね」 〈G〉「女の子か。よし、お前の名前はシルビアだ!」 シルビアーと呼ぶと擦り寄ってくる。あー、ラギアソーンの気持ちが少し理解できた。 〈G〉「でも…怒ると吐くんだよな。息」 吐く息はどちらだろうと強力無比の代物だ。閃光の吐息か虚無の吐息かの違いなのだから。 しつけはしっかり行おうと固く誓った。 〈G〉「あ、そういえば」 〈ノ〉「何?」 〈G〉「何で分かったの?」 〈ノ〉「あー。男と女では感覚が違うんだよ。微妙に」 〈G〉「へー。そうなの」 〈ノ〉「うん、そうなの。で、甘やかしすぎはやめたほうがいいと思うよ」 〈G〉「・・・そうだね」 私は温めて冷ました山羊ミルクを哺乳瓶に入れて与える。 20mlをわずか30秒で勢い良く飲み干した。ずごー、ずごーと音を立てて。 〈ノ〉「うーん。良い飲みっぷりだね」 〈G〉「そうだね」 竜の子供って皆そうなのだろうか。それとも、この子の個性だろうか。 二ヶ月後、もう飛んだりできるようになったシルビア。すでに体長50cm。 〈G〉「あのね、シルビア。今日から旅に出るよ」 シルビアは不思議そうに私を見る。 〈G〉「L様に命令されてるんだ」 L様とは何度かおいでになられた時に紹介してある。 〈G〉「だから、お店閉めたままにしようね」 外に出てCLOSEと看板を掛ける。 〈G〉「さ、行こう!」 私は一年と四ヶ月ぶりに旅立った。 ―登場人物― ガード=ワード L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 ノースト 店の常連さん。覇王将軍という肩書きを持つ高位魔族。 シルビア 黄金竜と魔王竜の混血。ガードの育て子。黄金竜の体に黒曜石の輝きを放つ鱗を持つ。 |
33286 | 13.再会!従兄は不幸の種の代名詞 | ガード・ワード | 2007/7/25 23:17:54 |
記事番号33177へのコメント 13.再会!従兄は不幸の種の代名詞 私は両親と伯父一家と共に旅行していた。一同は昼下がりにちょうどよい原っぱで休憩をとる。 私と従兄は少し離れた場所にある吊り橋の上に行ってみた。下を覗き込むと随分と下に川が流れていた。 〈G〉「わあああああああっ」 私は次の瞬間、吊り橋から落とされた。 〈G〉「ぎゃああああああっ!」 私はパッと起き上がる。うわー、嫌な夢見た。 〈G〉「起こしてごめんね、シルビア。もう大丈夫だから安心して」 彼女は首を傾げてまた眠る。 それにしても、久しぶりに従兄の出てくる夢を見た。これは・・・ 〈G〉「何かが来る風の便りか?」 鳥肌の立っている肌を擦りながら私は呟いた。 それは突然にやってきた。 「やあ、ガード。久しぶり!」 〈G〉「出たああああああああっ!」 私はクルリと回れ右して逃走を図る。 ガシィッ 〈T〉「何で逃げるんだい?ガード」 〈G〉「ごめん、ゆるして、離してぇ…」 ティアーに腕を掴まれて涙ながらに懇願した。 〈T〉「嫌だなぁ。何で離さなきゃいけないんだ。十年ぶりの再会だってのに何で逃げるんだ?」 〈G〉「うわああああんっ」 落ちる涙は止まることを知らないかのように湧き出てくる。 私は逃げることもできず、言われるがままについていくしかなかった。 セイルーンに向かって爆走する馬の背中で私は悲鳴を上げながらティアーにしがみついていた。 〈G〉「とーめーてえええええっ」 〈T〉「アハハハハハ!」 乗馬が楽しいのではなく私が恐がっているのが面白いという笑いだということを知ってからこの従兄がとてつもなく恐い存在に思えて仕方ない。 ああ、宿に着いてからもけなされ・なじられ・言いつけられの最悪なパターンになるんだろうな… しかし、ティアーは森で馬をとめた。 〈T〉「ガード、脱げ」 〈G〉「はあっ!?」 いや、脱げはないだろう。 〈T〉「ごめん、言い方がまずかった。上着を交換してほしいんだよ」 〈G〉「あ、ああ。そういうことなら…」 〈T〉「で、これも被って先に行ってくれ」 〈G〉「え?何で?」 〈T〉「ここらに盗賊団がいるらしい。討伐してから向かうから」 こいつも私利私欲じゃないだろな。 〈T〉「大丈夫大丈夫、心配するな。そんなに弱くないから一人で行ける。でも、その服だと目立つからさ」 〈G〉「確かに、森の中じゃあ白は目立つよな」 〈T〉「じゃ、この子もよろしく。で、シルビアも借りてくな」 〈G〉「借りる言うな。この子は私の大切な娘なんだから!」 〈T〉「はいはい。じゃ、行くぞシルビア。戦い方を教えてやる」 不安になりながらも私は馬に跨り、セイルーン・シティへと向かった。 セイルーンに着いた。そこで私を待ち受けていたのは一団の兵士だった。 何故か王宮まで強制送還させて頂きますと言われ、わけの分からんまま連れてこられ、縄で拘束されて客間に座らされた。 この客間に縄で拘束という所が一番理解しがたい。 ガチャという音がしてリナと同じくらいの少女が猛然と入ってきた。 「なんてことをしてくれるんですかああああああっ!」 みしっ 少女のストレートがモロに顔に決まった。 「悪を成敗するために一緒に旅に出るところまでは良しとしましょう!しかし、魔王竜を呼び出して壊滅させた挙句、私までその場に残し、自分は見晴らしの良いところで笑うなんて言語道断! しかも!魔王竜をそのままにしておいたままだったんですよ!?あの魔王竜どうしたと思ってるんですか!?暴れまわって森林が一つ消えたくらいですまずに付近の田畑を踏み荒らして討伐するのに数十名の方が怪我したんですよ!?何考えてるんですかぁっ!」 がすっ この時、私の堪忍袋の緒が切れた。 「悪を成敗することはいいと思います。しかし!あなたのやったことは正義ではありません!」 〈G〉「風の矢!(ウインド・アロー)」 私は周囲に風の矢を撒き散らす。風の矢で縄を切り裂き、私はすっくと立って少女を睨みつける。 「なにするんですかっ!」 〈G〉「それはこちらの台詞だ!」 私は少女に指を突きたて、腰に手を置いて堂々と言い放つ。正義がどうのこうのと言う輩にはこうして堂々と正論を述べたほうがやりやすい。 〈G〉「町に立ち寄る旅人を急に城へと護送した挙句、拘束までしてから殴り、自分の意見を激昂しながら述べるとは何事だ!? 正義を語るならば自分に非がないか、本当にその人が非道を尽くしたのかを調べつくしてから怒りを表すが当然だろう!」 「ごめんなさい!」 〈G〉「へ?や、まあ、謝るんなら別にいいけど…。ちゃんと確認とってから、自分に非がないかを自問してからにするんだよ。謝っても許してくれない人もいるから」 急に謝られて私は戸惑いながら言った。 「本当にごめんなさい。あなたが本当にそっくりだったから彼かと思っちゃいまして」 〈G〉「あー、そんなに似てるんだ?」 カレと。 「はい。あ、でも、貴方のほうが優しそうです。雰囲気が」 〈G〉「えーっと、ありがとう?」 「あ、申し遅れました。わたし、アメリアです」 〈G〉「私はガード、ガード・ワードだ。ガードと呼んでくれ。アメリアさん」 〈ア〉「じゃあ、わたしもアメリアと呼んでね。ガード」 スッと手を差し出して、私達は仲直りの握手をした。 〈G〉「あ、そうだ。魔道士協会への道順を教えてくれないかな」 〈ア〉「魔道士協会ですね?それな」 バーンと彼女の言葉を遮って扉を開けたのはティアーだった。 〈T〉「ガード!」 〈G〉「シルビア!」 シルビアを抱き寄せる私を、ティアーは何とも言い難い表情で見た。 〈T〉「すまん!」 えーっと、これはもしかして、私が間違えられたカレっていうのはティアーのことだったと・・・? 〈ア〉「ガード。ティアーのことを知ってるの?」 〈G〉「従兄だ」 〈ア〉「えええええっ!?従兄だったの?道理で、外見が似ているはずだわ」 〈T〉「アメリア…それは外見は似ているけど内面は全く似てないねってことか?」 〈ア〉「どこが似ているの?」 まあ、十年前から会ってなかったから最近の事は分からないけど、似ているところがほとんどないことは確かだ。 〈G〉「味覚は似通ってるよな」 〈T〉「うん。同じものを食べてた」 お前がぶん盗っていたとも言うけどね? 〈G〉「アメリア、あいつとはどういう?」 〈ア〉「父さんの従弟なの」 従弟? 〈T〉「そ、アメリアの曽祖父と俺らの祖父が同一人物なんだ」 〈G〉「そうかぁ、遠い親戚なわけだ。改めてよろしく」 〈ア〉「もちろん!・・・・・・ほんっとうに、似てないのね」 一体何したティアー。 〈T〉「そろそろ夕食の時間だし、着替えるかガード」 〈G〉「は?」 〈ア〉「そうね!父さんや叔父さんたちにも顔見せはしておいたほうがいいわ」 〈T〉「ガードは女だから、頼むよアメリア」 〈ア〉「へー。そうだったんだ」 〈G〉「そーなんだ」 私は伯父と従兄達に顔合わせし、食事を取った。 ・・・落ち着かないことこの上ない。 食事後、私は部屋の一室を割り当てられた。父が王宮を出る前に使っていた部屋らしい。部屋の中は主がいないにも関わらず、綺麗に掃除が行き届いていた。 本棚には綺麗に並べられた魔道書。机には筆記道具や工具などが入っている。・・・私の部屋とほとんど同じだった。 父の子供時代のことを知って、久しぶりに寂しさを覚える。 〈G〉「さて、寝ようか。シルビア」 シルビアもふかふかの布団を貰っていた。 今頃、母はどうしているだろうかと思いを馳せてしまい、寒気を覚えながら寝た。 早朝、アメリアに別れを言ってレイ・ウィングで城を抜け出し、セイルーンを後にした。 一息いれたのはふた山越えた先の村。私が降り立つとシルビアも地に降りる。 宿の扉を開けた。 〈T〉「や」 〈G〉「ぎゃあああああっ!」 〈T〉「お前の思ってることはお見通し。俺から逃げることなんてできやしないさ」 〈G〉「あ、あ、あ・・・」 何でこいつがいるんだ・・・?これじゃあ、セイルーンを出た意味がないじゃないか! 〈T〉「さて、なに食べようか」 私はズルズル引きずられ、椅子に座る。 〈T〉「じゃ、改めてこれからもよろしく」 あまり、よろしくしたくない。 〈T〉「ま、逃げようったって逃げられはしないんだよ?ガード…」 ティアーは目を細めて笑う。私には最終宣告にしか聞こえなかった。 ―登場人物― ガード=ワード L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 シルビア 黄金竜と魔王竜の混血。ガードの育て子。 ティアー=ウインド 10年間音信不通だった従兄。不幸の種の代名詞。 アメリア=セイルーン 正義感の強い、セイルーン王国の皇女。従兄の娘。 ―オリジナル― 風の矢 (ウインド・アロー) 疾風の矢を生み出す。 |
33289 | 14.必殺!風邪薬! 15.ルナ=インバース | ガード・ワード | 2007/7/29 14:22:52 |
記事番号33177へのコメント 14.必殺!風邪薬! 15.ルナ=インバース 今回、二つの別の話を一つにさせていただきます。 14.ティアーの必殺!風邪薬! ある雪降る冬の日、私達は宿でゆっくりとしていた。 否、静養していた。 うんうん唸るティアーの額に湿らせた布をそっと置きながら、窓から外ではしゃいでいるシルビアの様子を見、片手間に風邪薬を作っていた。・・・風邪薬が本来最優先のはずだが。 で、何故こうなったか。それもこれも全てティアーのせいである。 今回はどうしてこうなったかをお話しよう。 北風の吹く冬の晴れた日、私たち三人は凍った湖の近くを通った。 〈T〉「よし!久しぶりにスケートでもするか!」 私はティアーに手を引かれて湖まで連れて行かれた。 ドターン バターン ズサーッ 先ほどからコケてばかりいるティアー。慣れない事はするもんじゃないよ? 〈G〉「手、貸そうか?」 〈T〉「うるさいっ!直に滑れるわいっ!」 そーかなー。 ずるぅ 立ち上がろうとする度にコケているのを見ているとそうは思えない。 そこで、シルビアが湖の上に舞い降りた。 湖の氷はひびが入って割れ、私たち三人は冬の冷水の中につかってしまった。 只今、シルビアの体長は1m80cm。重さ、私の2倍にまで成長していた。 人間二人が乗っていて危ないなーと思っていたところに二人分の重量を持つシルビアが乗ったのだ、割れるに決まっている。 私達は服と体を乾かし、暖めて次の村へと急いだ。風邪をひくのは絶対に分かる。 翌日、まともに私は前日の冷水が効いたらしく、40度の高熱を出していた。 竜族であるシルビアの方は別段平気なのかも知れないが、ティアーがピンピンしていたのは驚いた。 〈T〉「あー。これは旅に出るの無理そうだな」 喉まで痛めた私は無言で頷く。 〈T〉「この村には医者はいないらしいし…。仕方ない、俺が作ってやる。ちょっと待ってな」 一時間後、ティアーは薬を持って入ってきた。 〈T〉「ほら、飲め」 差し出されている薬は強烈な刺激臭を放ち、濁った紫色で気泡がボコンッと湧き出ている。 これを飲めと? 〈T〉「どうした。ほら、早く飲め」 〈G〉「・・・口移しで飲ませてもらってもいいかな?」 〈T〉「へあっ!?な、何言って。口移し!?」 ティアーは真っ赤になって慌て、意を決したように頷き、自分が作った薬を口に含んで・・・ 〈T〉「ごはっ」 吐き出し、その場に倒れこんだ。 〈G〉「うーん。流石はティアー。何たる破壊力」 兎にも角にも、このまま床に倒れさせておく訳にはいかない。私はティアーを抱き上げ、ベッドに寝かせた。 〈G〉「中和(ディクリアリィ)」 とりあえず、ディクリアリィを唱えておく。こんなんでどうなるか、とも思うけれども念のため。 カバンから薬草や鍋と言った、調剤器具を取り出して風邪薬を作る。 そして、冒頭の話になるのだ。 ティアーは半日後に目覚め、私は二日後に全快した。 勿論、ティアーには今後一切薬を一人で作らないことを誓わせた。 15.赤の竜神の騎士、ルナ=インバース ある春麗らかな昼下がり、私達はルナ=インバースと再会する。 一番驚いたのは何故かティアーとルナが顔見知りだったこと。 何もされてないだろうねと心配の声をかける私をルナは笑い飛ばした。私に何かできる人は少ないわ、と。 認めてしまったものの、それでいいのか?と思わざるを得なかった。 〈ル〉「ガードたちはどこに向かってるの?」 尋ねられて私はティアーを見る。 〈T〉「んー。どこだろう?」 おい 〈G〉「まさか、目的地を決めてないんじゃ・・・」 〈T〉「いや、まさかじゃなくて実際決めてない」 〈G〉「おいおいおい」 〈T〉「だからこそ、今があるんじゃないか。考え込んだら負けだぜ」 〈G〉「少しは考えろっ!」 〈ル〉「じゃあ、私と一緒に来ない?」 〈G〉「ルナはどこへ?」 〈ル〉「竜の峰。ドラゴンズ・ピークよ」 〈G〉「へえ。じゃあ、うちにおいでよ!カタート山脈と竜の峰の中間で喫茶店とおでん屋を開いているんだ」 〈T〉「そんな危ないところ何で行ってんだ!お前はっ!」 ツッコミを入れるティアー。絶句するルナ。対して、私は困った顔をするしかなかった。 私は店を開くことになった経緯を二人に話した。 〈ル〉「そう…あの方公認なら責める訳には行かないようね」 〈T〉「偉い人なのか?Lって人」 〈G〉「魔王や竜神よりも高位の方だ。…何を置いてもL様がおっしゃることが最優先にしなければならない」 〈T〉「魔王や竜神よりもって・・・」 〈ル〉「ガード」 〈G〉「存在の詳細を知らなければカオス・ワーズは作りようがない。大丈夫だ」 〈T〉「でも、そんな人と一体どこで会ったんだ?」 〈G〉「敬語を使ってくれ。私のことをL様中継に使っているらしいし」 スッと青ざめるルナ。まあ、誰だってL様が注視していると知ったら肝に銘じておかしなことをしてはいけないと思う。 〈G〉「実はだな・・・」 私はL様に出会った経緯、命じられた事を素直に話した。 〈ル〉「分かったわ…だったら、私も頑張って探すの手伝う」 〈G〉「ルナ!」 〈T〉「面白そうだし、俺も手伝うよ」 〈G〉「ティアー!二人ともありがとう!」 私は何ていい人たちに巡りあったのか。 彼らの言葉に私は幸せな気持ちで一杯になった。ノーストだったら吐き気を催すと言うぐらいに。 〈G〉「さあ、行こう!竜の峰へ!おいで、シルビア!」 私は空で遊んでいたシルビアを呼んで先頭を切って歩き出した。 あるーひ、森の中、とうぞくに、であーった。花咲くもーりーのーみーちー、とうぞくに、であーったー。 と言うわけで、私達は盗賊に出会った。 シルビアの透明な吐息を受けて吹き飛ぶ盗賊、ルナに殴られて叩き伏せられる盗賊、ティアーのファイアー・ボールに燃やされる盗賊。 盗賊たちが逃げ惑い、他三人が生き生きと戦闘を繰り広げる中、私は木陰で休んでいた。 だって、あの三人いるだけで十分だろう? 逃げ惑う盗賊に同情しつつ、喧騒を見ていた。 〈G〉「それにしても、シルビア…日に日にティアーに感化されているような気がする」 それだけは止めたい。魔族や竜族に感化された私が言える立場じゃないけど! 〈ル〉「ふー。いい汗掻いたわ」 ルナにとって、盗賊退治はちょっとした運動のようだ。 〈T〉「いやー、楽しかった♪」 ティアーにとって、盗賊退治は娯楽のようだ。 〈C〉「そうだね」 シルビアにとっても・・・って! 〈G〉「シ、シルビアっ!お前、しゃべっ」 〈T〉「ダメじゃないかシルビア。もう少し黙っていてもよかったのに」 〈C〉「あ、ごめーん」 〈G〉「ティアー!この事、知って!?」 〈ル〉「まあ、頭が良くて人間とずっと暮らしていたら人語を話せるに決まってるじゃない」 えっ、気付いてなかったの私だけ!?結構悲しくなった。わたし、そだてのおやなのに・・・ 〈C〉「実はね、攻撃呪文とかもティアーに習ってるの」 〈G〉「攻撃呪文!?」 そんな、生まれて二年しか経ってないのに。 非難の目でティアーを見ると、ニコニコと笑っていた。 〈T〉「ダメ元で教えてみたら結構覚えが早くてさ。ドラグ・スレイブまで使えるようになった」 竜族がドラグ・スレイブって・・・何か、同属殺しのような。 〈ル〉「へー。凄いじゃない、じゃあ、変身呪文も覚えてみたら?竜の峰の長老と掛け合ってみるから」 〈G〉「ミルガズィアさんと知り合いなのか?」 〈ル〉「まあね。ほら、私スィーフィード・ナイトだから♪」 あー、それで。 〈C〉「うん!やってみる!」 尻尾をフリフリ、シルビアは元気に答えた。 私はシルビアに白魔法を教えながらティアーとルナの後に続く。 確かに、シルビアの記憶力は良かった。教えた構成方を元に、一日以内で覚えてしまうのだ。 〈G〉「いやー。流石はシルビア。頭いいねー」 私は背伸びしないと届かなくなったシルビアの頭を撫ぜる。 〈ル〉「親バカ」 〈G〉「勿論だ!」 きっぱりと認めた私にルナは顔をそらした。やめさせるつもりで言ったのだろう。もうすぐお別れなのだから。 この前に泊まった宿屋の一室で私達は話し合った。シルビアの姿を見て逃げ出す人が続出したからだ。このままではいけない、と。 私も竜の峰にシルビアを託すというのは了承した。一緒にいられなくなるのは一目瞭然なのだから。 しかし、それまでは思う存分甘やかしてやりたいと思っている。 それが、私と彼らの違いだ。 竜の峰に着いた。ルナは赤竜の剣を差して山を登る。 それを遠めに見る竜たち。大きな竜が舞い降り、人の体になる。 〈ミ〉「お久しぶりです。スィーフィード・ナイト様」 〈ル〉「ミルガズィアさんもお元気そうで何よりです」 〈ミ〉「では、行きましょうか」 彼は歩みだす。 〈G〉「全員、元気にしているのか?」 〈ミ〉「ああ、元気だ。エルフの里の者たちもな」 〈G〉「それはよかった」 〈ミ〉「ガードの食事はうまいと評判。また近々開いてもらえるとうれしい」 〈G〉「言われずとも、開くさ。近くまで来ているんだ」 〈ミ〉「そうか。さて、道中暇なところだし…」 〈G〉「こんな時なのでやめておきましょう」 〈ミ〉「ふむ。それもそうだな」 〈T〉「何をしようとしてたんだ?」 〈G〉「え?あー…ギャグの一騎討ちをね」 自分にとってはかなり滑ったギャグを発さなければならないのだ。 それに、ミルガズィアのギャグは慣れた私はある程度だが、慣れていないルナとティアーが聞いたらと、思うだけでゾッとする。 そして、登りきり、ルナとミルガズィア―長いからミルでいいや―は岩肌の中へ入っていった。 5時間後、私の店にルナとミルはやって来た。 〈G〉「お帰り。お好きな席にどうぞ」 〈ル〉「ただいま。へぇ、結構綺麗な家じゃない」 〈ミ〉「だは、紅茶をいただこう」 〈G〉「はい、紅茶。そうだろう?いいセンスをしているよ。北の魔王さん」 ミルは聞いていなかったらしいが、ルナはまともに引きつった。 〈ル〉「その、北の、魔王さんって」 〈G〉「うん。L様が雨ざらしにならないようにって作っていった」 〈ル〉「そーぉ」 〈G〉「ところで、名前が長いからミルでもいいかな。ミルガズィア」 〈ル&T〉「はあっ!?」 〈ミ〉「勝手にしろ」 〈G〉「はーい。ま、先は長いからね」 〈T〉「エルフや竜族が客だったらエルフの里の近くにしとけばよかったのに」 〈G〉「でも、魔族の友人に頼まれて作ったんだよ」 〈T〉「何で魔族に友人がいるの!?というか、魔族が友人なのに俺のほうが恐がられてるの!?」 〈G〉「だって。ティアーのほうが恐いじゃないか」 ティアーは塞ぎこんだ。 〈ノ〉「ガード!お帰り!コーヒーとショートケーキお願い」 〈G〉「ただいま、ノースト。コーヒーとショートケーキだね」 〈T〉「出たあああああっ!」 応戦状態に入るルナと飛び上がるティアー。しかし、私もミルも動じない。 〈ミ〉「ここでまともな対応をしていると疲れるだけだぞ」 〈ル〉「ここで何が起こってるのよっ!」 〈G〉「まあ、いろいろ・・・」 〈T〉「何で平気なんだよっ!」 〈G〉「んー。二年はやってるからね」 初日は驚いていた彼らだったが、去る頃には既に慣れ親しんでいた。 再び、竜の峰に私達はやってきた。 〈G〉「元気でな、シルビア。また遊びに来いよ」 〈C〉「勿論。それに、遊びに行くんじゃなくて帰るんだよ」 〈G〉「そうだね!また帰っておいで!」 〈C〉「ガード!」 〈G〉「ぐげふっ」 感極まって抱きついてきたシルビア(110kg)に押しつぶされて私は気絶した。 気を取り戻したのは既にガイリア・シティの宿の中だった。 〈ル〉「ああ、やっと気付いたんだ」 〈G〉「ルナ」 〈ル〉「明日は早いからもう寝なさい」 〈G〉「うん、分かった。お休み」 〈ル〉「お休み」 本来、先程まで気絶していたから寝れないのだが、私は泣き疲れて眠った。 ―登場人物― ガード=ワード L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 シルビア 黄金竜と魔王竜の混血。ガードの育て子。 ティアー=ウインド 10年間音信不通だった従兄。不幸の種の代名詞。 ルナ=インバース 赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)。インバース家長女。兄の想い人。 ミルガズィア 竜の峰(ドラゴンズ・ピーク)の竜を束ねる長老。 ノースト 覇王将軍という肩書きを持つ高位魔族。 |
33303 | 16.初犯もないのに指名手配 | ガード・ワード | 2007/8/5 11:51:43 |
記事番号33177へのコメント 16.初犯もないのに指名手配 これで六チーム目…私は呟き、二人を見る。ああ、気が立ってる。 相手方に同情して、心の中で謝った。 相手方はその直後に吹っ飛ばされ、意識があるものは殴り倒された。 〈G〉「ご苦労様」 〈T〉「全く。なんなんだぁ?ちょくちょくちょくちょく出てきやがって」 〈ル〉「ま、動くお金が多いからね」 〈G〉「アハハハハ・・・。なんでだろね」 そう、私は何故か指名手配犯になっていた。初犯も犯したことなくごくごく普通…いや、普通じゃないけれども人様に迷惑を…かけたこともあるけど、人の道から外れたことは一度もない。 いやいやいや、よくよく考えてみれば魔族と仲良くなっている辺り、人の道から外れているのでは? 〈G〉「本当に、ごめんね?私のせいで」 しかも、自分が戦ってないし。 〈T〉「そっ、そういう意味じゃないんだ!ガードが気にすることなんか全くないんだから」 〈ル〉「そうよ。ガードが悪いわけじゃないわ。勘違いよ」 〈G〉「そーかなー」 〈T〉「そうだよ!自分で言うのも何だけど、ガードで金貨五百枚だったら俺なら一万軽く超えるに決まってる」 確かに… 〈ル〉「一枚でも一万を超えそうよ」 ティアーはガックリと肩を落とし、ブツブツ呟き始めた。 〈G〉「ま、運が悪かったと思ってカタートにでも引っ込むさ。それまでは逃げ回って、な」 〈ル〉「ガード」 〈T〉「眠り(スリーピング)」 〈G〉「なっ」 目を覚ますと、ルナがいて、ティアーはいなかった。 〈ル〉「ティアーって、手先が器用なのね」 〈G〉「あー・・・ティアーが作ったのか」 私は白いワンピースに着替えさせられていた。一体どこから調達したのかと思ったが、作ったとは思わなかった。 〈ル〉「まるで神業だったわ」 〈G〉「そんなにか」 〈ル〉「さ、行きましょう。女の二人旅っていう設定で…ね?」 〈G〉「ティアーは?」 〈ル〉「家に戻るって」 確かに、あそこなら大丈夫だ。 ルナとの二人旅。その時、先のほうで爆発音がした。 〈ル〉「近いわね」 〈G〉「行ってみよう」 〈ル〉「ダメよ!」 〈G〉「しかし、盗賊に襲われた一般人かもしれない!」 〈ル〉「ダメって言ったらダメなの!少しここで休みましょ」 〈G〉「ルナ?」 何故そこまでダメだと言うのだろう?そう思ったとき、ティアーのことを思い出した。そういえば、私の服もなくなっている。 〈G〉「ティアーが囮になっているのか?」 〈ル〉「行かせない」 ルナはこちらを睨み、剣を抜いた。初から赤竜の剣で来るかぁ!? 私も剣を抜いて構え、呪文を唱える。 〈G〉「神と魔よりできしもの 新緑の守護者よ その力 我が意によりて示さんことを 守盾界!(カバー・シールド)」 〈ル〉「くっ」 ルナを薄緑色の結界が包み込む。斬ろうとしているが、剣で斬れる様な生易しい結界を私は作れない。 〈ル〉「出しなさい!」 〈G〉「ごめんよぉ。翔封界!(レイ・ウィング)」 怒るルナを後に、私はレイ・ウィングで飛んでいった。 私が到着した頃には、既にティアーは剣を持ってズタボロになって立っていた。辺りに転がる相手方は数十人。 〈G〉「ティアー!」 彼はパッとこちらを向く。 〈T〉「何で来た!」 〈G〉「そんな事より手当てを」 〈T〉「ハッ、いらんよ。手当てくらい自分でできる」 〈G〉「強がるな」 〈T〉「強がりじゃないさ。手当てはできる。お前は戻れ」 〈G〉「嫌だ」 〈T〉「ガード」 〈G〉「嫌だ!自分のために他人が怪我している時にのうのうとしていられるか!」 私はリザレクションを唱えながらティアーに近づく。 〈T〉「泣くなよ」 泣くに決まっているじゃないか。 〈G〉「復活(リザレクション)」 〈T〉「おいおい、リザレクションだったのか?リカバリィでもいいのに」 みるみるうちに傷が塞がる。 〈G〉「私の回復魔法は特殊でね。トロル並みの回復速度を持っている。それをこんな傷に使ったら倒れるぞ」 〈T〉「あー。それなら確かに倒れるな」 〈G〉「さ、行こう」 〈T〉「俺は進む」 〈G〉「ダメだ。ルナを迎えに行って三人で進もう」 〈T〉「また狙われるんだぞ」 〈G〉「私が狙われたほうがお前が狙われるより怪我は少ないんだよ」 〈T〉「怪我の問題じゃない!心の問題なんだ!辛い顔をされるのが嫌だからこうしたのに」 〈G〉「辛い顔をされるのが嫌だったらこんなことをするな。こっちのがよっぽど辛いわ」 〈T〉「だったらどうしたらいいんだよ!」 〈G〉「セイルーンだ」 〈T〉「はぁ?」 〈G〉「私はお前の作ってくれたこの服で違う人を演じる。お前は正装を着て堂々としていればいい」 〈T〉「どういうことだ?」 〈G〉「ルナはスィーフィード・ナイト。私は付き人。お前はセイルーンの王族。隠れ蓑にはちょうどいい、だろ?」 〈T〉「や、お前も王族なんだがな」 ああ、そういやそうだったな。 〈T〉「それにしても、何でそんな頭が働くかねぇ」 私達はルナの許まで戻った。思い切り殴られたのは言うまでもない。 あれから数日が経った。私を狙う奴らは全く現れない。 〈ル〉「本当によくやるわね」 二人部屋の一室でルナが呟いた。 〈G〉「何が?何を?」 〈ル〉「あんたが普段しないことをよ」 〈G〉「まあ、確かに一日一日が疲れるのは確かだ」 アメリア、とまでは行かないが、かなりのハイテンション。 ローテンション気味の私にとって結構辛い。 〈G〉「だけど、気分によってはハイになることもあるし」 〈ル〉「かなり無理してそうなんだけど」 ガチャっと扉が開く。 〈G〉「ノックくらいしろよ」 〈T〉「ああ、そうか」 コンコンと扉を叩くティアー。いや、今ノックしても遅いから。 〈T〉「明日には大きい街に着く。そこで取り下げるよう交渉するよ」 〈G〉「そうか、ありがとう」 〈T〉「自分のためだよっ!」 真っ赤になって言い放つティアーを宥めながら、私はルナの許へと向かった。 翌日、私達は街の役場で交渉していた。 「申し上げ難いのですが、それはできません」 〈T〉「そうか・・・」 「はい。高名なお方が生け捕りにして私の許へと連れてくるようにと言われたそうで、私共が取り下げられません」 〈T〉「なるほど、で?その高名なお方とはどのような者なんだ?」 「確か、二十年ほど前に活躍していた魔剣士エリーズ=ウォードとか」 私は眩暈を覚えた。 ああ、まさかこういう結果とは・・・ ティアーも頭を抱えて机に突っ伏している。 〈ル〉「エリーズ=ウォード、聞いたことがあるわ。強大な魔力を持ち、数々の戦争を一人で解決したとか」 「はい。ですから、こちらが取り下げられないのです」 〈T〉「確かに、あの人が指名手配したのを取り下げたら命の危険…もとい、厄介なことになること間違いなしだな」 しかし、このままでいるとなぁ。まてよ? 〈G〉「あの、お役人様?」 「はい、何ですか?お嬢さん」 〈G〉「その、生け捕りにして連れてくるようにと言われたんですよね?」 「その通りです」 〈G〉「そうですか。なら、生け捕りにして彼女の許へ連れて行ってください。私も追い回されずに済み、貴方も手柄を立てて一躍昇進。悪い話ではありませんよね?」 「いやいや、貴女を生け捕りにしてどうするんですか」 〈T〉「いや、だから」 〈ル〉「この子が正真正銘の」 〈G〉「ガード=ワードです」 「えぇええええええええっ」 役人の驚きの声が響き渡った。 ここは聖王都セイルーン・シティ。私達は役人の繰る馬車に乗せられて護送されていた。 「ガード=ワードを護送してきました」 役人のリックさんによって、私は城の兵士に引き渡される。 はっきり言って、兵士に連れて行かれるのは二度目。今度は何故なのかが分かっている分心は軽い。 「失礼します」 兵士によって連れて行かれた先は会議室。取調べでも受けさせられるのかと思えば違ったようだ。 まあ、相手も私のことを知っているからこそこの扱いとも言えるだろうが。(前回護送したのもこの人) 〈ア〉「ガード!」 〈G〉「久しぶり、アメリア」 〈ア〉「指名手配されて、本当に心配したんだから!ティアーなら笑って納得しそうだけど」 本当に何したお前。私はティアーを横目でチラリと見る。 あ、ルナもジト目でティアーを見てる。 〈ル〉「あんた、なにやらかしたの?」 〈T〉「あははははは?」 〈ア〉「あれ?貴女は?」 〈G〉「ああ、彼女はルナ=インバース。私の友人だ。赤の竜神の騎士と言ったら分かるかな?」 〈ア〉「ええっ。貴女がスィーフィード・ナイトなんですか!?」 〈ル〉「はい。よろしくね、アメリア嬢」 〈T〉「ルナ。こちらはアメリア=セイルーン姫」 〈ア〉「こちらこそよろしくお願いいたします」 〈G〉「さて、挨拶も済ませたところで、本題に移ろうか」 〈ル〉「エリーズ=ウォードさんはどちらに?」 〈ア〉「父と仲良く庭でお茶会開いてます」 ずるぅ ルナは見事に椅子からずり落ちた。 〈G〉「ルナ。彼女に関してはティアーの二・三倍は訳の分からん行動が多い。こんなことは日常茶飯事だ、気にするな」 〈ル〉「そ、そういう問題?」 ルナはよいしょと身を起こして椅子に座る。 〈T〉「そうそう。ルナの言ってた『数々の戦争を一人で解決した』って言うのも鬱陶しかったからだって言ってたし」 〈ル〉「シャレにならないわね。それって」 〈G〉「そうだな」 「あら、あんたに言われたくないわよ」 扉を見やると彼らがやってきていた。 〈G〉「元気だった?」 〈A〉「ええ、ガードも元気そうね。さて、土産があるの」 〈G〉「ああ、やっぱりそういう事だったんだ。指名手配したのって」 〈A〉「だって、捨てた娘が今何処で何しているかなんて分からないもの」 〈G〉「今度から止めてね?」 〈A〉「次の機会に考えるわ」 次の機会がないことを祈る。 〈ル〉「待った、ガードのお母さんって生きてたの!?」 〈G〉「死んだとは言ってないだろ。捨てられたってだけ」 〈ル〉「にしても、こんな簡単に」 〈G〉「んー。ま、母さんだし」 〈T〉「だな。何時かやるって思ってたってこの前父さんが言ってたし」 〈A〉「さ、彼女たちも理解したところでお土産なんだけど。滅びの砂漠で見つけてきたのよ」 〈全員〉「滅びの砂漠!?」 そんなとこに行ってたの!? 〈A〉「うん♪何か豪奢な建物があってね、魔族が一杯いたからゴッド・シックルで斬って」 〈全員〉「魔族を斬った!?」 〈ル〉「そ、そんなのどうやって」 〈A〉「この呪符を使って唱えるとね、全能なる神王 〈G&ル〉「ちょっと話がっ!」 私たち二人は母さんを連れて私の私室になったらしい元父さんの部屋に入った。 〈G〉「その、全能なる神王の話、誰にも言っちゃあダメだよ」 〈A〉「え?何で?」 〈ル〉「あの方の存在を知られると、厄介なのよ」 〈G〉「L様は暇つぶしに教えたのでしょうけども」 〈A〉「へー。そんなに厄介なんだ?」 〈ル〉「はい。ですから、あまり使わないようにしてもらえると嬉しいかなー、何て」 〈A〉「じゃ、普通の盗賊たちやゴロツキ相手には使わないようにするわ」 そんな相手にさえ使ってるのか!ルナと私は青くなる。 〈A〉「じゃ、これ。お土産」 〈G〉「ありがとう」 〈A〉「さて、と。ガードはこれからどうするの?」 〈G〉「ティアーを置いてゼフィーリアに戻るよ」 〈A〉「そう、じゃあ私も帰るわね。実家に」 〈G〉「それでいいか?」 〈ル〉「ええ、じゃあ、そうしましょう」 翌日、私たち三人は別れを告げてゼフィーリアへの帰路に着いた。 そして・・・ 「やっほー♪」 〈A〉「まあ、L!久しぶりね。紹介するわ、この子がガード。私の娘よ。で、この子はガードのお友達のルナちゃん」 〈L〉「うん、知ってる」 そう、この方に嘘も現実も隠し通せない。 〈G&ル〉「お久しぶりです」 私達は最敬礼。 〈A〉「なんだ、知り合いだったの。つまんないわね」 〈L〉「ここらにちょっとした犯罪組織があるのよ。行ってみる?」 〈G〉「そんなっ!危ないですよっ、止めましょう!」 〈ル〉「大丈夫よ、私たちなら。エリーズさんだって守れるし」 〈G〉「違うんだっ!母さんが一度戦闘状態になったら!」 〈A〉「神鎌!(ゴッド・シックル)」 〈G&ル〉「ちょっと待ったぁあ」 〈A〉「なぁに?」 〈L〉「気にしちゃダメよ。ふ・た・り・と・も♪」 〈G&ル〉「はい」 かくして、三人は嬉々として乗り込んで行った。 私は首を振って見なかったことにし、道具いじりに没頭する。 遠くで、轟音が轟いた。 ―登場人物― (特別バージョン) L様 ロード・オブ・ナイトメア。全ての王と渾名される創造者。通称・L様。 長くてサラサラな金髪美女。あらゆることでNo.1! ガード=ワード L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。 ティアー=ウインド 10年間音信不通だった従兄。不幸の種の代名詞。 ルナ=インバース 赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)。インバース家長女。兄の想い人。 アメリア=セイルーン 正義感の強い、セイルーン王国の皇女。従兄の娘。 エリーズ=ウォード ガードの母。魔剣士として一時有名だった。 金色の呪符(L様と知り合いなことからL様自身が渡したものと思われる)でL様の魔法を使うことができる。 ―オリジナル― 守盾界 (カバー・シールド) 新緑の守護者の力を使った結界。自分のみならず、敵なども包み込める。赤竜の剣でも切れない。 神鎌 (ゴッド・シックル) エリーズの十八番。L様の力を使った魔法。大きな鎌を作り出す。リナのラグナ・ブレードにあたる。 |