◆−28.賢者の石−星野流 (2007/10/28 20:40:13) No.33437
 ┣29. Ruby Eye シャブラニグドゥ−星野流 (2007/11/4 22:42:00) No.33442
 ┣番外。L様の根性試し (魔・護)−星野流 (2007/12/16 15:03:25) No.33472
 ┣番外。L様の根性試し (神・武)−星野流 (2007/12/16 15:42:53) No.33473
 ┣30.叶えてみせよう、その願い。−星野流 (2007/12/27 22:05:54) No.33475
 ┣31.サイラーグへ −星野流 (2008/1/14 12:34:56) No.33478
 ┣番外。白魔術都市の騎士−星野流 (2008/2/23 22:52:09) No.33486
 ┣32.光の剣士−星野流 (2008/3/9 15:37:46) No.33497
 ┣33.ウォード姉妹の逆襲−星野流 (2008/4/6 21:50:46) No.33504
 ┃┗Re:33.ウォード姉妹の逆襲 そして始めまして!−のこもこ (2008/4/12 23:35:16) No.33508
 ┃ ┗はじめめして−星野流 (2008/4/18 13:23:05) No.33534
 ┗34.再会 −星野流 (2008/4/18 13:18:55) No.33533


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3343728.賢者の石星野流 E-mail 2007/10/28 20:40:13


28.賢者の石

 マリアの事で懲りて、私はパッと見ただけで女性と分かる服を仕立てた。

白いブラウスに濃紺のロング・スカート。鏡を見て合わないのでいつもは首の後ろで束ねている髪も紐解いた。

これで男性に見間違われる心配はあるまい!

それだけしか考えずにフラフラ自分が後になって悔やまれた。

何なんだ!何なんだこのやりづらさは!

叢掻き分ければスカートに引っかかり、野党やゴロツキにはからまれる!

これでは野山を駆け回ることさえできないではないか!

頭を抱えて夕食を摂っていれば、男に声をかけられた。

白い頭巾の下にある顔は、合成獣だった。

「お前、ガードか?」

〈G〉「ええ、まあ。ガードです」

知っている人だっけ?

〈G〉「申し訳ございませんが、どちら様で?」

「ゼルガディスだ」

ゼル…

〈G〉「ゼルガディスさんでしたか!久しぶり!いやぁ、変わりましたね。まあ、最後に会ったのは5年ぶりだから当たり前でしょうか。当時は10代の半ばなんだし」

〈ゼ〉「こんな変わり方してそれか!?」

〈G〉「何か変か?」

〈ゼ〉「普通こんなに変わらんだろ」

〈G〉「…人生、僅かな時間で色々なことがあるもんだ」

〈ゼ〉「…ずいぶんと…実感が篭っているが、一体5年で何があった」

〈G〉「普通に生きていたら200年経っても経験できないようなことがあったんだよ。別れて半年で」

〈ゼ〉「それはまた早いな。何があった?」

〈G〉「カタートで店を開いた」

ガシャアアアアッ

酒の入ったコップを彼は取り落とした。

〈G〉「大丈夫か?」

〈ゼ〉「何を、どうすれば、そんなことになるんだ…」

彼が妙に疲れた声音になっているのは気のせいではないだろう。


 宿屋の一室で、彼は話を切り出した。

〈ゼ〉「賢者の石は知ってるな?」

〈G〉「有名だからね」

〈ゼ〉「持っているな?」

〈G〉「賢者の石のことで私のところに来たのか」

〈ゼ〉「その通りだ。俺はそれを捜し求めている」

〈G〉「私は持っていないよ」

言いながらも、目を逸らしてしまう。

〈ゼ〉「嘘をつくな。ちゃんと情報があるんだ」

〈G〉「持っていたが、持っていないよ」

〈ゼ〉「ならば、誰にやった?賢者の石だぞ?」

〈G〉「誰にもやっていない」

〈ゼ〉「おっ!お前!まさか捨てたんじゃないだろうな!?」

〈G〉「ははは…捨てたんならいいんだけどね…」

〈ゼ〉「何なんだ!一体何をした!」

彼は立って私を問い詰める。

まあ、気持ちは分かるが。

〈G〉「まぁ…色々と」

〈ゼ〉「色々!?一体どうなったんだ!?」

〈G〉「それがその…オリハルコンと一緒に溶かしちゃったりなんかして」

〈ゼ〉「製鐵したのか!?」

〈G〉「大鍋で煮込んだり…」

〈ゼ〉「あ!あ!あああああああっ!」

彼は頭を抱えて叫んだ。

私のせいだが、ご近所に迷惑だよ。


 賢者の石を巡っての騒動は終わったわけではなかったんだ。

〈G〉「なぁんでこうなるかなぁ…」

私は、ワラワラ出てきたトロルやオーガなどの混合軍を見てため息を吐いた。

「おい!ガード=ワードだな」

〈G〉「どちら様で?」

「ディルギアだ。賢者の石を出せ」

〈G〉「それはそれは無理なお話で」

「そうか。ならば、実力行使で行くだけさ!」

切りかかってくるのは悪いが、この頃ちゃあんと頭を使うようになってね。

逃げ回るのではなく防御に回っている。

命名、雷の結界。

結界に触れた相手を感電させる魔法だ。

攻撃は最大の防御。ならぬ、防御は最大の攻撃である。

私は、相手が襲ってくるのを見てるだけ。何とも楽だ♪

私がゆっくり歩む間にも感電して倒れ付す相手方。

しばらくすれば、相手は学習したのか遠巻きに見ているだけになる。

〈G〉「霊縛符(ラファス・シード)」

広範囲・強力化したラファス・シードを解き放つ。

全員の動きは止まった。

これでよし。今回2・3日は動けないだろう。

鼻歌を歌いながら私は歩き始めた。


 行く手に、ロディマスさんを発見。

〈G〉「ロディマスさん、お久しぶりです!もしかして、お仲間がいたりしませんか?」

〈ロ〉「どういうお仲間だ」

〈G〉「賢者の石を探している仲間」

〈ロ〉「大勢いるだろうな」

〈G〉「そいつらにもう賢者の石は存在していないから追っても無駄だって言っておいてくれないか?ここからちょっと行ったところで固まっているから」

「固まっている?」

言ったのは私より少し身長の低いマミー。

〈G〉「わぁ〜っ!しゃべったぁ!」

〈ロ〉「嬉しがるのか?」

「しゃべれて当然だ!」

〈G〉「ロディマスさん。ネクロ・マンサーとしても腕がいいんですね」

〈ロ〉「いや、こいつは…」

「ゾルフだ…」

・・・・・・

〈G〉「…ご冥福をお祈りします」

〈ゾ〉「生きとるわああああっ!」

〈G〉「そうか。すまない」

〈ゾ〉「そうだ。リザレクションは唱えられるか?」

〈G〉「当たり前だろう」

〈ゾ〉「悪かったな。リカバリィもできなくて」

…どう、返答すれば、いいのだろうか。

〈G〉「その、私は白魔法の探求をしているから当たり前なのであって、だから」

〈ロ〉「もういい。とりあえず、ゾルフの怪我を治してやってくれ。これではゼルガディスどのに加勢したくても足手まといになる」

〈ゾ〉「ロディマスぅううっ!」

〈G〉「では、早速取り掛かろう。復活!(リザレクション)」

形容すればガッというような眩い光がゾルフさんを中心に光る。(断じてカッとではない)

〈ゾ〉「おお!もう治った」

〈ロ〉「魔法は便利だな」

〈G〉「リカバリィ…お教えしましょうか?」

〈ゾ〉「…よろしく頼む」

〈ロ〉「では、ゼルガディスどのの許へ」

何があったのかは分からないが、私はリカバリィを教えると言った手前一緒に行くしかなかった。


 三日歩いて、ゼルガディスさんと合流できるというような事をゾルフさんが言った。

勿論、リカバリィはさっさと覚えたゾルフさん。

しかし、ゼルガディスさん…ああ、もう面倒だ。

ゼルさんが反逆したとあっては一度戦った戦友として見捨てることはできなかった。

「ゾルフ。ロディマス」

ふと、二人を呼ぶ声に私はそちらを見る。

そこには、赤い髪に赤い法服を着た僧侶がいた。

〈G〉「お知り合いで?」

〈ゾ〉「あの『赤法師レゾ』だ」

〈G〉「へえええっ!あの!?」

〈レ〉「はい。その通りです」

〈G〉「文献は読めるのに光景が見えないっていうあの!?」

〈レ〉「私はどのように評価されているのですか!?」

〈G〉「え?うちでは魔術に秀でた僧侶で目が見えないのに文字は読めるという変わったお方だと」

何やら、レゾさんはやる気を失った。

〈レ〉「はぁ…。とりあえず、ガード=ワードさんですね?」

〈G〉「初対面なのに分かるんですか!?あ、肖像画とかも見れるんですね?凄いなぁ」

〈レ〉「違います!」

では、何故分かるのだろうか。

〈ロ〉「ガード。とりあえず、聞け」

〈レ〉「どうも。では、気を取り直して。賢者の石をお譲りください。私の…目を治すために」

〈G〉「貴方もですか!?」

うわぁ。あんな石ころ巡って三つ巴。

〈レ〉「お願いします」

〈G〉「残念ですが」

〈レ〉「そうですか…」

〈G〉「溶かしました」

〈三人〉「はいっ!?」

〈G〉「いやぁ。一ヶ月ほど前に賢者の石だ〜ってことが判明して、煮込んでみたらどうなるだろう。オリハルコンがあったので魔力の塊と魔力が通じない物質とを溶け合わせたらどうなろう。
ということを実験しまして。で、やってみたら、全く役に立たない物質の出来上がり!水と一緒に煮込んだら水蒸気爆発で蒸発してしまいました。あっはっは!」

〈レ〉「ああああああああっ!」

レゾさんもゼルさんと同じように頭を抱えた。

いやぁ、お二人さん、ごめんなさいね?


―登場人物―

   ガード=ワード
L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。

  ゼルガディス
合成獣になっていた。精霊魔法が得意らしい。

  ディルギア
狼人間。オーガやトロルなどが主体の軍隊を率いていた。

  ロディマス
主に戦斧を使って戦う戦士。

  ゾルフ
黒魔術の最高峰、ドラグ・スレイブも使える魔道士

  レゾ
俗称『赤法師』赤い法衣に身を包んでいる。かなり前から名が登場する事から相当な老人と推測。

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3344229. Ruby Eye シャブラニグドゥ星野流 E-mail 2007/11/4 22:42:00
記事番号33437へのコメント

29. Ruby Eye シャブラニグドゥ

 ゼルガディスさんの許へ行くと、他に二人いた。

しかも、なんと、片方はリナだった。

思わぬ展開に言葉を失う。

しかし、今はそんなことを言っている場合ではない。

〈G〉「雷の翔封界!(レイ・ウィング・ヴォルト)」

どごおおおおおっ

私はリナの近くにいるオーガに突っ込んだ。

〈G〉「リナっ!怪我は!?」

〈リ〉「へ?」

リナは戸惑いを見せた。

〈リ〉「えっと…会ったことある?」

ざくううううっ

あ、あ、あああああっ!忘れられてるううううぅっ!

〈G〉「りな…いくらなんでもひどいよ…」

〈リ〉「ちょっ!ちょっと!泣かないでよ!」

〈G〉「何で忘れるのさぁ〜」

〈ガ〉「今はそんなことを言っている場合じゃないだろ」

〈G〉「そうだっ!ゼルガディスさん」

彼の許へと走った。

私がオーガやトロルなどを相手にしている間に、二人が合流し、ディルキアさんと昆虫人間をやっつけた。

・・・ロス(ロディマスさんを勝手に略した)が昆虫人間を両断したときにはマリアのを思い出して吐き気がしたが。

〈ロ〉「ガード。先に行くなよ」

〈G〉「いやぁ、つい…」

〈リ〉「ガードだったの!?ごめん…全然分からなかった」

それはそれで酷いんじゃないかい?


 リナの話が終わり、私が話を切り出そうとした。

が、賢者の石の行く末に話が行く。

〈リ〉「ちょっと…いいかげんにしなさいよ!」

そうだよ。その人が誰とか聞いてないよ。

〈リ〉「いいかげんにしなさいってば!―そりゃあたしかに興味深い対戦になるでしょうけど、他に先にやらなくちゃならないことがあるでしょ!」

興味深いんだ?

「お嬢さんのおっしゃるとおりですよ」

リナの後ろには赤い法師さんがいた。

〈G〉「赤い法師…」

〈ゾ〉「赤法師だ」

私の言葉をポツリとゾルフさんが訂正する。

事態はより一層深刻化。言葉の応酬に頭が着いて行かない。

ああ、そういえばこの人が敵さんなんだっけ?

リナの長い話によって一番肝心と思われる部分が抜け落ちていた。

男性がふところから取り出した女神像を受け取り、リナは放される。

〈G〉「治癒(リカバリィ)」

治したところで、緊迫している状況で気付いてはくれなかったが。

直した後で彼を見ると、石―これが男性の持っていた賢者の石なのだろう―を飲み下すところだった。

それを見て窒息する気分に陥る。

「ぶわっ!」

驚きの声を上げたのは誰だったのかは分からない。

鬱陶しい瘴気が辺りに吹いた。

前にいたはずの皆は一歩下がって後ろにいる。

ゼルガディスさん ―面倒だ。ゼルがしかける。

青い火柱 ―ラ・ティルトがレゾを包み込む。

しかし!彼は何事もなくたっている。

〈G〉「わぁ!凄いなぁ」

偉人となるとそのような人間離れした芸当ができるようになるのだろうか。

まあ、自分の事を棚に上げて他人の事を言うなと言うが。

しかし、そう思ったも束の間。

ボロボロと崩れ落ちる肉体。

彼の体は、ダーク・ロード。

赤眼の魔王、シャブラニグドゥへと変わっていった。


 静寂の中、第二の魔王が言う。

「選ばせてやろう。好きな道を」

流石は魔王。悠然と立つ様は気に入った。

「このわしに再び生を与えてくれたそのささやかな礼として。
このわしに従うなら天寿を全うする事もできよう」

あ。北の魔王さんと比べて口調年齢が上がってる。

「しかし、もしそれがどうしてもいやだと言うのなら仕方ない。天竜王に動きを封じられた『北の魔王』―もう一人のわしを解き放つ前に、相手をしてやろう」

彼を封じたのは水竜王…。それでいいのか魔王!?

〈G〉「歴史をきちんと把握できていない上に、たかだか七分の一の魔王に従えって言われて従えないよな」

それに、そこが間違っていたらSさんが可哀想だぞ!

まあ、どちらも同じだと言われれば言い返せないが。

ひゅっ

赤い閃光が頭の横を掠めた。

今のって…

怪我するわけではないのだが、ドラ・スレが横を通り過ぎたときにはザアッと血の気が引いてドクドクと心臓が動くのが分かった。

〈ロ〉「逃げろ!ゾルフ!」

あ。ここにいたら危ない?

思考が動き出したときには炎の塊によって吹き飛ばされた。

〈G〉「あっちゃあああああああっ!」

水!水!

〈G〉「浄結水(アクア・クリエイト)」

ざばぁっ

〈G〉「おいっ!なにをしてく

私の言葉は途中でなくなる。

そう、そこには誰もいなかったのだ。

忘れられた。

従わなければ殺すと言っていた魔王にも忘れられたよ!

良い事だと言われればその通りなのだろうが、かなり悲しいぜ。ちっくしょう!

〈G〉「私の存在って…一体?」

後を追おうにも追えない状況、私はやる事が見つからず、リナ達が生き延びてくれるよう祈りながら、二人の墓を作った。


 あの後、一向に戻ってくる気配のない四人(魔王含む)に痺れをきらし、私は目的の店に向かった。

〈G〉「たっだいま〜!」

「おかえりなさい」

〈G〉「うおおおおっ!?」

いないと思って言った「ただいま」に「おかえり」が帰ってきたので吃驚。

〈G〉「何でいるんだ」

閉店している店に勝手に入るな頼むから。

〈S〉「あの事があったのでガードさんが来そうだなっと思いまして」

〈G〉「そう…」

行動パターンが読まれているようだ。

〈G〉「それにしても、レゾさんの中にいた貴方。封印解けば良かったのになぁ」

〈S〉「本当ですよ。先の事を考えて行動しないと」

〈G〉「耳が痛いな…」

〈S〉「しかし、何故封印を解けば良かったんです?あなたは人間だから解けないほうが良いのでは?」

〈G〉「自分勝手な話なんだが…その…L様に面白い事に首をつっこめと言われているんだが、正直かなり苦痛なことが多いんだ」

〈S〉「言っておきますけど、封印が解ければ神族と戦争に行くのでわたしは手伝いませんよ」

〈G〉「・・・・・・そのままでいてね」


―登場人物―

   ガード=ワード
L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。


   ロディマス
主に戦斧を使って戦う戦士。

   ゾルフ
黒魔術の最高峰、ドラグ・スレイブも使える魔道士

   リナ=インバース
「ドラまた」「盗賊殺し」などなど、様々な異名を持つ。

   男性
リナと一緒にいた男性。なんと、伝説の『光の剣』を持っていた。
・・・まだ名前が聞けないままだ。

   ゼルガディス
合成獣になっていた。精霊魔法が得意らしい。

   ディルギア
狼人間。オーガやトロルなどが主体の軍隊を率いていた。

   レゾ
俗称『赤法師』赤い法衣に身を包んでいる。かなり前から名が登場する事から相当な老人と推測。

   シャブラニグドゥ
紅玉(Ruby)の瞳を持つ事からルビー・アイと呼ばれる。

第二の魔王
  レゾさんの中にいた。
北の魔王
  通称「S」。水竜王の力で氷の中に閉じ込められているらしい。

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33472番外。L様の根性試し (魔・護)星野流 URL2007/12/16 15:03:25
記事番号33437へのコメント

番外。Lさまのこんじょうだめし

 ある日、店の二階にある私室で目覚めると、L様達がいた。

〈G〉「えっ、L様!あっ!お待たせしてスミマセン!何か出しましょうか?それとも、先に着替えた方が!?」

〈L〉「まあ、着替えたら?」

〈G〉「はいっ!そうしま

〈ル〉「きゃああああっ!いきなり脱がないのっ!」

〈G〉「でっ、でも、L様をお待たせするわけには」

〈ル〉「それでもダメなものはダメ!男が二人もいるんだから!恥じらいというものはないの!?」

〈G〉「精神体に男も何も…」

〈S〉「ガードさんっ!?」

〈A〉「ひっでぇ…これでも奥さん子供いるんだぞ」

〈三人〉「ええええええっ!?」

〈S〉「武王なんかに奥さんと子供が…」

〈ル〉「武王なんかと結婚するだなんて…根性があるわね」

〈A〉「ねえ、何で役職呼び?名前で呼んでくれよ」

〈G〉「いくらなんでも酷いだろ」

〈ル&S〉「まさか!今までの行いを考えたら妥当でしょ?」

〈G〉「お前は一体何をした!」

〈L〉「いいかげんにしなさーーーいっ!」

〈四人〉「ごめんなさーーーいっ!」

一発ずつ殴られ、私は一人着替えて出て行く。

一回には未だ目を覚まさないアタックとうんうん唸っている二人の姿があった。

私がL様に手加減をされているのだろうか。それとも、生身でも魔王より防御力が高いのだろうか。

・・・後者のような気がするが、あえて前者であると思いたい。


 Lさまに連れてこられたのはとある古城。一体何が待ち受けるのだろう。

門の前には第二の魔王さんの姿があった。

〈G〉「お久しぶりです」

〈レ〉「会った事あったか?」

ざくっ

その言葉は心に深く突き刺さった。私、あの時一番前にいたはずなのにっ!

〈L〉「分かると思うけど、根性試しの始まりよっ!」

〈A〉「よしっ!ガード。俺と組もう!」

〈ル〉「いいえっ!私とよね!」

〈A〉「俺の防御力の低さは知ってるだろう!?引き下がれっ!」

〈ル〉「私は生身の人間なのよ!?」

〈A〉「お前は人間とは呼ばないっ!」

〈ル〉「なんですってえええっ!?」

話の内容からすると、この根性試しは二人組みで行なわれるようだ。

言い争う二人を見て深く頷き、Sさんに声をかけた。

〈G〉「ご一緒してもよろしいですか?」

〈S〉「勿論です」

〈ル&A〉「何でそっちに行くの!?」

〈G〉「これを機会に仲良くなってね♪」

〈S〉「残り物には福があるとはこのことでしょうかね」

〈ル〉「くっ…よりによってこんな…」

言って、ルナはがっくりと崩れ落ちた。

本当に…何をしたんだ…アタック。

    〈刃の間〉
〈G〉「とても不吉なものが起こるきがするのは気のせいだろうか」

〈S〉「全てが不吉だと思います」

どぐしゅっ

L:何ですって?

GS:ごめんなさいっ!

〈S〉「何はともあれ、行きましょう」

ギィィイイ

うわぁ…嫌な気配満開だ。

私達二人は慎重に歩を進める。そして、真ん中に来た時…

ガタガタガタ

何とっ!部屋の壁一面から槍が出てきた。

〈S〉「結界が張れない!?」

〈G〉「ああっ!こっちもダメだ!」

一斉にこちらへ降り注ぐ槍の群れ。だめだっ!

〈G〉「しゃがんでっ!」

しゃがみこむ彼に覆いかぶさる。カンカン背中に槍がぶつかって来るのが分かった。

槍の雨は終わったようで、一息つく。

〈G〉「怪我は?」

〈S〉「ありません。それより、何て無茶を」

〈G〉「私の方が丈夫だ。違うか?友人」

〈S〉「女性の言う言葉ではありません!」

うっ…確かに…

〈S〉「とりあえず、ここを抜けましょう」

〈G〉「ああ、そうだな」

ちょっとした空きスペースがあって、扉があった。

そこには、〈幻惑の間〉と書かれている。

〈S〉「先ほどが槍なのだから、やはり、幻なのでしょうね」

〈G〉「まあ、そうだろうなぁ。どんな幻なんだろう」

そんな会話をしつつ、二人背中合わせに針仕事をしている姿はかなり滑稽だと思う。(さっきの槍でビリビリに破れていたからね)

破れの補正が終わり、扉を開けると二手に分かれていた。

〈G〉「どう考えてもこれは…」

〈S〉「二手に分かれて進めってことでしょうね」

何が始まるのだろうか?

不安を抱えながらも二手に分かれて進む。しかし、角を曲がったりクネクネした道をそのまま進み、何事も無く再会して無事に部屋を出た。

幻惑の間というより、困惑の間のほうがあっていると思う。


再び空きスペースがあり、扉には〈死霊の間〉と書かれている。

〈G〉「Sさん。ここでギブアップする、なんてことは…」

〈S〉「できるわけがないでしょう」

この字を見て幾分か強気になっている彼は私を引きずって部屋に入った。

〈G〉「いやだあああああっ!」

〈S〉「あはは。いい感情だしてますねぇ」

他の魔族にも言えることだが、人が嫌がったり恐怖に怯えているときに一番良い表情をするのはどうかと思う。

少し進むと、ゴースト・レイス・ゾンビ・スケルトンなどの面々が現れる。

〈G〉「ひいいいいっ!」

〈S〉「さ、行きましょう」

ずんずん進んでいくのを私は必死に戻ろうとする。しかし、力では全く勝てずに引きずられる。

そして、恐れていた事態は起こった。

ぶしゅうううう  ビチャビチャビチャ  ガラガラガラ

〈S〉「えええええっ!?」

〈G〉「わあああああっ!」

〈S〉「ちょっ!ちょっと!何ですか!?これ!?」

〈G〉「だから嫌だって言ったのに!」

〈S〉「何でレイスとゴーストが蒸発してゾンビが破裂して、スケルトンが崩れるんですか!」

〈G〉「知らないっ!アンデッドとは元々相性が悪くて近付いたら蒸発したり破裂したりするのっ!だからネクロマンスだって一度も成功してないし、こうやってトラウマ化してるのっ!」

〈S〉「何だ。そういうことですか」

〈G〉「簡単に納得して引きずらないでっ!」

〈S〉「じゃ、一気に行きますよ」

ひょいと俵かつぎにし、彼は部屋中を駆け回った。

それが、私にとってかなりの恐怖であった事は言うまでも無い。


         ―登場人物―   (特別バージョン)

   L様
ロード・オブ・ナイトメア。全ての王と渾名される創造者。通称・L様。
長くてサラサラな金髪美女。あらゆることでNo.1!

   ガード=ワード
L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。

   ルナ=インバース
赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)。インバース家長女。兄の想い人。

   アタック=ホワイト
白銀の武王を称号とする神魔。L様の命により、物事をさらにかき回すことになった。

   シャブラニグドゥ
北の魔王
  通称「S」。水竜王の力で氷の中に閉じ込められている。

第二の魔王
  レゾさんの中にいた。Sさん曰く「滅ぼされた」らしい。

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33473番外。L様の根性試し (神・武)星野流 URL2007/12/16 15:42:53
記事番号33437へのコメント

番外。L様の根性試し (神・武)

 L様に連れられてきた古城には第二の魔王の姿があった。

あった事がないと言われて意気消沈するガード。

魔王には罪悪感と言うものはないのかしらっ!ガードが守護者と知って以降、罪悪感に悩んでいたのに。

根性試しは必ず二人一組。勿論、組むなら…ガードよね♪

後の二人は問題外よ。特に 武王 !

あれの顔を見ると沸々怒りがこみ上げてくるもの。絶対に組みたくないわ!

何で同じ神魔なのにこうも違うのかしら。信頼度は天と地の差だわ。

〈A〉「俺と」

何ですって!?

〈ル〉「いいえ!私とよね!」

困った顔をするガードを尻目に、私は武王と言い争いになる。

そして、ガードの声が聞こえてきた。

〈G〉「お願いします」

しまった!

後悔しても遅いけど、私達を傍観していたシャブラニグドゥに取られてしまった。

コレを機に仲良くだなんて…絶対に無理だわ。


 不満たらたら、武王と共に部屋に入る。ちょうど、真ん中に来た時、ガタンと動いて槍が降り注いだ。

急いで赤竜の剣を虚空から取り出す。

そして、とんでもない言葉を聴いた。

〈A〉「ボム・ディ・ウィン!」

そう、武王の呪文によって、一直線に飛んできた槍は爆風によって吹き荒れた。

〈ル〉「きゃあああああああっ!」

今生に未だないほどの速さで私は剣をふるった。


 武王をしばき、私は扉を開く。二手に分かれていた。

やっと!やっと、こいつと離れられる!幸福にじんとし、私は意気揚々と一方に入った。

足取り軽く、心弾み、私は通路を抜ける。そして、向うから誰かが来るのが聞こえた。

また、武王かと消沈するが、はっきりと見えるようになると驚きで歩みを止める。

何で、こんなところにいるの?

向うからやってきた彼は顔を輝かせ、私の許に駆け寄ってきた。

その様子に私も微笑んでしまう。恋はできないとわかっているのに。

駆け寄ってきた彼は私を抱きしめてくれた。そして…

「露姫!」

ビキッ

傷心の私は彼をボロッボロになるまで殴り倒し、そのまま扉を開けた。

動く気配が無いのでチラリと後ろを見ると、何と武王ではないか。

幻惑の間って…そういう…

胸のうちに怒りが湧き起こる。

次にあった死霊の間では思う存分暴れまわった。


 大きな広間に出て、しばらくするとガードとシャブラニグドゥが出てきた。

シャブラニグドゥの満面の笑み、ガードの泣き顔で何があったかははっきりと分かった。

こいつ、ガードを使って死霊を蹴散らしたなって。

確かに、結構簡単に蹴散らせるから良いんでしょうけど…この作戦、絶対に私や武王には使えない戦法だ。

わんわん泣き喚くガードを戦場に引きずり出すなんてとてもできない。

最も、守護者を墜落させる前はしたかもしれないけど。

〈ル〉「大丈夫?」

〈G〉「ルナぁ」

シャブラニグドゥにしがみついていたガードに抱きしめられる。

勝利にしばらく酔いしれた。

〈G〉「アタックは?」

〈ル〉「あんな奴は忘れなさい!」

先ほどの出来事を思い出し、怒りに打ち震える私から、ガードはそっと離れていった。

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3347530.叶えてみせよう、その願い。星野流 URL2007/12/27 22:05:54
記事番号33437へのコメント

30.叶えてみせよう、その願い。

 L様の根性試しが終わった後(一日かかりました)、ルナとアタックが店に来て料理を振舞っていたらアタックが唐突に話した。

〈A〉「そういや…」

〈G〉「ん?」

お茶を淹れながら先を促す。

〈A〉「滅びの砂漠…洪水状態のままだった」

がっしゃあああっ

うっかりとポットを取り落とし、悲惨な状態になってしまった。下ろしたての服だったのに…。

〈ル〉「なん…ですって?」

ルナが、カウンターから振り返る。

〈A〉「いやぁ。砂漠に緑を取り戻そうとしている団体があって、水がいるから池か何かを創ろうとしたんだ。そしたらさ」

一拍おいて続きを話す。

〈A〉「力が強すぎて洪水になった」

〈G〉「何をしとるんだあっ!お前はああああっ!」

ついつい力んでしまった。

頭を抱えるルナ。出した結論はこれだった。

〈ル〉「守護者の精神、解きましょう」

私の顔を見て話す。守護者って・・・・・・

〈G〉「あ。私か」

〈ル&A〉「忘れるなあああっ!」

ルナが手をかざし、私の頭に置いた。

何処か、遠くにやられるように感じた。


 彼女が遠のき、僕が引き寄せられた。クラクラする頭を振って感覚を取り戻させる。

「まだ…本調子じゃないんだけどな」

〈A〉「や。久しぶりだね。小鳥君」

「あ、うん!久しぶりだね、アタックさん。スィーフィードさん。シャブラニグドゥさんがみえないのが残念だな」

G:砂漠のことを忘れるなあっ!

「あ、そうだった。で、砂漠の件だけど…」

〈ル〉「頼むわね」

「今どれくらい水浸しになってるの?時間が経つと増えたりしちゃう?」

〈A〉「そりゃあ、増える一方だろ。木がないから水を吸い取ってくれない。水と言うより泥浸しだ」

「ありゃあ。参ったなぁ…」

〈ル〉「だから早く行かないと」

「僕、精神界移動の方法知らないから…」

G:うわぁ・・・

ルナがガックリと崩れ落ちた。

「そもそも、知らないからこそ小鳥の姿をしてたんだよね。まあ、小鳥言うにはかなり大きすぎたけど」

〈A〉「じゃ、気長に行くか」

「とんでもない!その団体さんは泥の海で漂流しているのでしょう?だったら直にでも出発すべき。さ、行くよ!アタックさん!」

〈A〉「L様に連れられてきたからどこをどう行けば分からないんだよね」

「あれま。忘れちゃったんだ。ん〜…あっ。だったらレイ・ウィングで飛んで行っちゃおう!」

〈ル〉「あんたは魔力を使い果たす気!?全く!だらしないわね!さっさとそこになおりなさい!」

アタックと私の体…守護者は素直に言う事を聞いた。否、聞くしかなかった。

〈ル〉「一気に行くわよ!」

家の中だというのに、足元がなくなり、浮遊感を味わった。


 何とそこは泥の海!ここは滅びの砂漠!?ルナ…お前も精神界移動できたのか…

「浮遊!(レビテーション)」

疲労しているルナを抱えた守護者はレビテーションを唱えた。

白銀の竜が地面から飛び上がったとき、緑の光を地に投げつけた。

緑の光は大地を滑り、おさまる頃には泥の海は消え、滾々と湧き出る泉があった。

「母なる大地に眠る子よ」

G:は?

「永き眠りから覚め その息吹 吹き返さん事を」

どうやら、混沌の言語だったらしく、砂漠に小さな草木が芽吹いた。


 目を覚ますと、ルナとアタックがいて、知らない人たちも数人いた。

「あーっ!目を覚ましましたよー!」

法衣に身を包んだ人が大声を出した。やめて。頭に響く。

〈ル〉「一時はどうなることかと思ったんだから!でも、決着が着いて良かったわ」

「本当にありがとうございました。芽の出る範囲がじわじわと広がってるんですよ。どれくらい広がるかは分かりませんが、芽吹いた草木を育てていきます」

〈G〉「ところで、この人、誰」

「あ。クリア=グリーンと申します。セイルーンの神殿から派遣されました。よろしく」

〈G〉「あ。よろしく」

〈A〉「あ、そうそう。勝手にお前の名前借りたから」

〈G〉「借りた?」

〈A〉「領主制度をまだ行ってるだろ?だからセイルーンの身分で」

〈G〉「勝手な事…するなよ…」

教えるんじゃなかった。

守:でもさ!そのおかげで皆が喜んだんだから良いじゃない!

・・・・・・あれ?

守:スィーフィードさんが精神解き放ってくれたんだけどさ、また封印する事できないみたい。と言う事で、よろしく!

守護者が封印されてない事に頭を抱えた。これから先、ずっと頭の中でごちゃごちゃ横槍を入れられるのだろうか?


追記:「呼び名がないから名前を付けよう」と尋ねると「じゃあ、イアンでいいや」という返事が返ってきた。…Gard Ian。
何て安直な名前を…お前一生使う気か?


―登場人物―

   ガード=ワード
L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。

   アタック=ホワイト
L様の命により、物事をさらにかき回すことになった。

   ルナ=インバース
赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)。インバース家長女。兄の想い人。

   新緑の守護者 イアン
新緑の守護者。ルナによって封印を解かれた。今回イアンという名前を選んだ。

   クリア=グリーン
滅びの砂漠に緑を取り戻すために奮闘している所にアタックを拾って大災害。最も、その後に泉ができて草木が芽吹いたから結果オーライ?



 あとがき
パソコンが直りました。これからまた投稿させていただきたいと思います。
パソコン触れない時に限って構想が生まれてくるんですね…。忘れたものもあるので悲しいです。

父に借りた時に打ち込んだ時は忘れていましたが、この一ヶ月の間に携帯でホームページ作ってみました。

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3347831.サイラーグへ 星野流 URL2008/1/14 12:34:56
記事番号33437へのコメント

31.サイラーグへ


 アタックは立止って言った。

〈A〉「そういや」

〈C〉「どうしたの?」

隣をあるいていたクリアが先を促す。

〈A〉「リナ=インバースが指名手配されたって知ってる?」

〈G〉「いつ、どこで、誰が?」

彼ら二人はびくっと体を震わせ、硬直する。

〈A〉「2週間前。サイラーグ。レゾでっす!」

〈G〉「よぅし、ありがとう。行ってくる」

〈A〉「ええっ!?」

〈C〉「ガードさん!?」

私はレイ・ウィングを唱えた。


 私が飛び立って4日。さすがに疲れて一時着陸。しばらく休んでもう一度飛ぶ事にする。

〈G〉「はぁ〜…」

横になったらすぐに眠気がさした。

「ガード!」

〈G〉「のわああああああっ!」

耳元で名を呼ばれた。どこだ!?急いで周りを見回す。

何!?ティアーの声が近くで聞こえたのに見当たらない。

上かっ!ばっと上を仰ぎ見る。いない。

下かっ!足元を見下ろす。いない。

あいつ…一体どこに?私をからかう新手の遊びかっ!?

〈T〉「おーい。ガード?」

〈G〉「どこにいる。ティアー」

〈T〉「どこって…ああ。セイルーンだよ」

〈G〉「セイルーン?」

〈T〉「レグルス盤をこの前会った時に取り付けた」

こいつ…何を勝手に人の荷物をいじくるんだ。

〈G〉「用件は?」

〈T〉「あ、そうそう。忘れるところだった」

忘れるなよ…

〈T〉「13年前にお前がつぶした組織、覚えてる?」

〈G〉「まあ…」

忘れられるはずがない。あの時の忌々しい記憶は、一生心に残るだろう。

〈T〉「何人か、廃人にならずにすんだよな?」

〈G〉「おい、まさか」

〈T〉「そいつらが脱獄した。すぐに身を隠せ。そうだな…カタートにまでは来ないだろ。そこに行け。でなければ、ルナ=インバースの所に行け」

〈G〉「ティアー」

〈T〉「どうした。まさか、奴らそこにいるのか?」

〈G〉「ははは…そんなことはない。大丈夫だ」

〈T〉「そ、そうか」

〈G〉「私の身代わりになろうとはするんじゃないぞ。絶対だ」

〈T〉「…分かったよ。身代わりにはならない」

〈G〉「ならいいんだ。今までありがとう」

〈T〉「おい!何するつもりだ!」

〈G〉「身を隠すに決まってるじゃないか」

私はしゃあしゃあと嘘を吐いた。

〈T〉「そうじゃない。今までって…過去形にするなよ」

〈G〉「これで最後かもしれない。レグルス盤も外すから」

〈T〉「何ぃぃいいいいっ!」

〈G〉「じゃ。ありがとう。さようなら」

私はレグルス盤を焼却した。


 私は頭の中でイアンに語りかける。

G:なあ、イアン。私は狙われている。

I:大丈夫だよ。僕もついてる。反撃するのも厭わない。

G:狙われているが、戦いの中に身を投じたいんだ。

どこにいるのか分からない敵から身を隠すか、追われる友に手を貸すか。

決まってる。私は友を助けたい!

I:ガードの好きにしなよ。僕もいるけど、この体はガードのものだから。

G:ありがとう。

I:ただし!もし死にそうな時は強制的に入れ替わるからね!

私は彼の言葉に苦笑し、返答しなかった。

〈G〉「さ、寝ようか!」

I:うん!

―登場人物―

   ガード=ワード
L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。

   アタック=ホワイト
L様の命により、物事をさらにかき回すことになった。

   クリア=グリーン
滅びの砂漠に緑を取り戻すために活動していた。只今、セイルーンに向かって一緒に行動中。

   ティアー=ウインド
従兄。

   新緑の守護者 イアン
新緑の守護者。

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33486番外。白魔術都市の騎士星野流 URL2008/2/23 22:52:09
記事番号33437へのコメント

番外。白魔術都市の騎士

 私がショックが治った頃には時遅く、ガウリイさまとリナさんは既に旅立った後だった。

〈グ〉「神殿に、行ってみるかい?」

おじさまは紅茶をコップに注ぎながら言った。

〈シ〉「はい。それから、一つお願いしてもよろしいでしょうか?」

〈グ〉「何でも言ってみなさい」

〈シ〉「神殿からの帰りに人を訪ねたいのです」

〈グ〉「知り合いがいたのか」

〈シ〉「いえ、友人の従兄だそうで。手紙を渡してくれと頼まれました」

〈グ〉「そうか。で、どういう人なんだね?知っている人だと良いのだが…」

私のコップにも注いでくれる。

〈シ〉「王宮や神殿に勤めている人なら分かると言っていたのですが…バル=ウインドという方を知っておりますか?」

ピタ、と止まって目を丸くする。

〈グ〉「そうか…まあ、良いだろう。しかし…」

何故か言いよどみ、視線を落とす。

〈グ〉「絶対に私と共に行く事。いいね?女性と一緒に行ってはいけないよ」

〈シ〉「何故そのようなことを?」

〈グ〉「彼は少し…女性が苦手でね」

〈シ〉「わかりましたわ。一緒に来てください」


 神殿の帰り、実際によってみた。玄関を入り、おじさまはそのままずかずか上がりこむ。

〈シ〉「あの、よろしいのですか?」

〈グ〉「いいんだよ。部屋住まいだから」

〈シ〉「そ、そうですか…」

階段を上って行くと、何やらドタバタと音がしている。
おじさまがドアの前で立ち止まった事を見ると、ウインドさんの部屋のようだ。

コンコンコン

バタバタバタ ギャアギャアギャア

ノックの音は聞こえていないようだ。

バァアアアアンと威勢よくドアを開けた。

ピタと騒音は止まる。中を覗いて見ると、大きなテーブルを振り上げた男性と身構えている男性がいた。

恐らく、この大きなテーブルを振り上げている男性がガードの従兄なのでしょう。良く似ています。

「あ。ようこそいらっしゃいました」

怒りの剣幕から一転。彼は顔を綻ばせてテーブルを置き、グレイさんを招きいれ、私に気付いた。

スーッと血の気が引いていくのが手に取るように分かる。

私がそんなに怖いですか。

「あ、あ、あの、グレイさん。彼女は…」

〈グ〉「わたしの姪ですよ。サイラーグで巫女をしておりました」

「あ、巫女さんでしたか」

ほっと息を吐き、私も招かれた。

「初めまして。私はバル=ウインド。彼は友人のクリア=グリーンです」

〈シ〉「シルフィール=ラーダと申します」

〈C〉「お邪魔でしたら外しましょうか?」

〈B〉「うん。そうして」

クリアさんは部屋を出て行った。

〈B〉「それで、何か御用ですか?」

〈シ〉「はい。ガードさんから貴方宛に手紙を渡してくれと頼まれました」

〈B〉「ガードからの手紙!?」

私が手紙を差し出すと、血相を変えて開く。みるみるうちに青くなり、そして…

何と彼は泣き出してしまった。

〈シ〉「え、あの」

〈B〉「ご、ごめんなさい」

しかし、ボロボロ零れる涙は後を絶たない。

しばらくして彼は泣き止み、私に言った。

〈B〉「取り乱してすみません。それで、シルフィールさん」

〈シ〉「はい」

〈B〉「何か困った事があったら何でも言ってくださいね。できるだけ尽くすようにしますから」

ええっ!?そ、そんなことを言われても。

〈グ〉「あ、あの。一体どのような」

〈B〉「サイラーグが壊滅して彼女一人が生き残った。親類の家に身を寄せることにするそうだが、困っていたら助けてやってほしい。と」

〈シ〉「あ、ああ。そういうことでしたか」

〈B〉「はい。ガードの言う事ですし、私も最善を尽くします。困った事があれば何でも言ってくださいね」

〈グ〉「いえ、そういうわけにも…」

〈B〉「大丈夫ですよ。私は仕事そっちのけで手助けするようなことはしませんから」

〈グ〉「私はって…部下にさせるとか、言いませんね?」

〈B〉「え?ああ、違いますよ!そんなこと言いませんって!ガードならやりかねないから言っただけです!」

〈シ〉「あの、バルさん、結構立場が上の方だったんですか?」

〈グ〉「城で騎士を務めてなさるんだ」

〈シ〉「うそ…」

きゃああああっ!私ったら何てこと!

〈B〉「ま、そこらへんは置いといて」

聞かなかった事にしてくれたようで、ほっとする。

〈B〉「ガード、元気そうでした?」

〈シ〉「寝不足で倒れました」

彼は椅子を蹴って立ち上がり、窓から身を乗り出す。

〈グ〉「何をなさるおつもりですかっ!」

〈シ〉「バルさん、早まらないでください!」

彼を何とか引きずり戻し、落ち着かせた。

〈B〉「すみません。もう大丈夫です」

〈シ〉「そ、それで、しばらく寝たら元気になりましたよ」

〈B〉「そうですか。よかった」


 その後は何事もなく、私達は退出した。

〈シ〉「良い人ですね。やはり、家系なのでしょうか。何だか、親類が集うときを思うと」

〈グ〉「シルフィール」

私の言葉を遮り、おじさんは立ち止まって振り返る。

〈グ〉「先入観を持ってはいけないよ。お前があのことを知った時の事を思うと…」

え。ガードとバルさんだけなのですか?

そのまま私達はおばさんから頼まれた物を買って家へと戻りました。


―登場人物―

   シルフィール=ラーダ
サイラーグで巫女をしておりました。今度はセイルーンでがんばります。

   グレイ
神官と魔法医を兼任している、私のおじさんです。

   バル=ウインド
ガードの従兄。宮殿で騎士として務めているそうです。

   クリア=グリーン
バルさんのお友達です。

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3349732.光の剣士星野流 URL2008/3/9 15:37:46
記事番号33437へのコメント

32.光の剣士

 木漏れ日溢れる森の中、そこにひっそりと佇むのは父の墓である。

何者にも荒らされぬよう、セイルーンとウォード家の血縁者しか入れないように結界が施されている。

…今になって思うが、伯父さん何で手の込んだ結界の仕方なんて知っていたんだろう?

墓参りに行く途中、花を摘んでいると、誰かが争う音がしてきた。

え。しかも近づいてくる!?

そして、こちらに逃げてくる金色の髪の男は、知り合いだった。

〈G〉「何でこうなるかなぁ〜」

私は最近開発した術を唱える。レイ・ウィングよりも早い移動用の術。

〈G〉「其疾如風、動如雷霆!(ライニング・フライヤー)」

その疾き事風の如く、動く事雷ていの如し。兵法の一節より引用。

男に向かって突き進み、引っ掴んで戦闘離脱。

「どわあああああ!」

本人叫んでいるが逃げるが勝ちだ。


 町に降り立ち、食堂に入って、改めて挨拶をする。

〈G〉「お久しぶりですね。ガウリイさん」

〈ガ〉「えーっと」

〈G〉「ガード=ワードです。リナはどうしたんですか?」

〈ガ〉「ああ!」

彼はポンッと手を叩く。

〈ガ〉「はぐれた!」

〈G〉「何だってええええっ!?まさか、あいつらとの戦闘中にはぐれたってんじゃないだろうな」

〈ガ〉「実はさ…」

彼が話すには、リナが魔力を封じられ(思い余って胸倉掴んで詳しく問い詰めた。マゼンダという女がやったらしい)
ナンタラ崇拝の宗教団体を敵にし(全く覚えていないらしい。よく傭兵やってこれたな)
バレて逃げ出し、追いつかれて彼はリナたちを先に逃がして囮となり、反対方向に逃げ、いつの間にかこのような所まで来たそうだ。

〈G〉「じゃあ、宗教団体の所まで行く時、村とか通っただろ?覚えている名前は何だ?」

私は頭を抱えながら問う。

彼はニッコリと笑って一言。

〈ガ〉「忘れた」

だめだ…この人。

〈G〉「で、この後どうするんですか?」

〈ガ〉「どうしよな。あ、敬語じゃなくていいぞ」

〈G〉「そりゃどうも。で?」

〈ガ〉「うーん。そうだ!ガードに着いてく!」

〈G〉「そりゃ困る」

〈ガ〉「何でだ?何かするのか?」

〈G〉「うん。悪辣組織を壊滅させてやろうかと」

鶏肉を持ったまま彼の動きは止まった。

〈ガ〉「ま、いいや。手伝うよ」

〈G〉「いいのか?それで」

〈ガ〉「お前、一人で乗り込む気だろ。大の男だろうが危ないぞ」

〈G〉「私は女だ」

〈ガ〉「あ、そうなんだ。って、え?女?」

〈G〉「ま、危ないのは当然だが、私にはこの身体がありますんで」

〈ガ〉「色香を使うってのは無謀だと思うぞ」

〈G〉「誰も色香を使うとは言っとらんわ」

〈ガ〉「何だ、違うのか」

〈G〉「そういう意味じゃなくて、奴らにしてみたら私を生け捕りにしたいわけだ。ここまではいいか?」

〈ガ〉「そんなに長くないじゃないか」

あんたの思考回路がちょっと分からないからだよ。

〈G〉「で、生け捕りにするために大技は使えない。しかし、私の目的は壊滅させる事だ。だとすると、どうなる?」

〈ガ〉「………あ、奴らが多くてもこちらが有利なわけだ」

〈G〉「その通り!」

〈ガ〉「じゃ、オレが行ったら…」

〈G〉「どうなるかなぁ…」

かなり不安だ。私としては関係のない人を巻き込みたくはない。

〈ガ〉「もっと捗るだろ。だから、一緒に行くよ」

〈G〉「来るのか」

〈ガ〉「当たり前だろ。で、その後にリナ達を探そう」

〈G〉「はいはい。分かったよ」


 再びあの場所に戻り、花を摘んで墓へと向かう。今度は彼と二人で。

〈ガ〉「誰の墓?」

〈G〉「父の墓だ。世間から離れた場所に作ってくれと生前話ていた」

〈ガ〉「お前の父さん…自分が死ぬ事を知っていたのか」

〈G〉「そうだね。大分具合も悪かったし、遺言も残して逝った」

〈ガ〉「身内が死ぬのはさ…」

私は墓から彼に顔を向ける。

〈ガ〉「いや、身内だけじゃなく、身近な親しい人が死ぬのも…」

何とも辛そうな顔をしていた。

〈ガ〉「辛いよな…」

彼も、身近な人を亡くしたのだろうか。

〈G〉「さて…父さん。貴方の願い…破らせていただきます」

私は墓に背を向け、話しかける。

〈G〉「乗り込むぞ。ガウリイ」

〈ガ〉「ああ、そうするか」

この人いつもこんな軽いノリで戦ってきたのだろうか?


 そこからそう遠くもない遺跡。そこに組織の根城がある。

〈ガ〉「で、どうやって乗り込むんだ?」

〈G〉「私が目標に突き進むからあんたはそれを切り進めばいい。高速で飛ぶから光の剣にしておいたほうがいいな。剣がへし折れるかもしれない」

〈ガ〉「なんだ。そんなことか。よし。任せろ!」

〈G〉「よし、行くぞ!」

〈ガ〉「おうっ!」

〈G〉「其疾如風、動如雷霆!(ライニング・フライヤー)」

〈ガ〉「光よ!」

私達は光の矢となり敵の根城に突き進んだ。


―登場人物―

   ガード=ワード
L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。

   ガウリイ=ガブリエフ
光の剣士。リナと旅をしていたが追っ手からの囮となり逸れた。

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3350433.ウォード姉妹の逆襲星野流 URL2008/4/6 21:50:46
記事番号33437へのコメント

33.ウォード姉妹の逆襲

 ガウリイと共に組織に突入し、中の様子に驚きレイ・ウィングに切り替えて着地する。

〈ガ〉「一体、何が?」

そう、私たちが目の当たりにしたのは、一刀両断にされた死者の山々だった。

あまりの光景に私は後ずさりする。ダメだなぁ、奇襲をしかけておいてこんなでは。

しかし、先に進まねば私の野望は更に実現困難となる。やらねばならないのだ。

〈G〉「それにしても、誰がこんなことを…」

〈ガ〉「少なくとも、何かで急所をスッパリ切られてるな」

見たくもない死体をチラリと見て、一瞬思い出したくもない姿が頭をよぎる。

いやいやないない。絶対ない!そんなことはありえない!帰ろうとする足を踏みとどめる。

ああもう私の根性なし!何で逃げようとするんだ!

〈ガ〉「なあ、ガード」

〈G〉「何」

〈ガ〉「嫌なら、止めないか」

蜜より甘いその提案に危うく乗りそうになる。しかし、そんなことはできないのだ。

〈G〉「ダメだ。私がやるのが一番いいんだ。確かに私は弱いさ。バル兄さんのような馬力も、姉さんのような精神感応も、リナのような攻撃魔法もない。でも、私だけが傷つけられない。私がやれば、誰も傷つかない!」

〈ガ〉「そうか?やろうとすることで傷ついてるように見えるけど」

そこで、ぐっと詰まる。確かに精神的には傷つくんだな、これが。

〈G〉「そ、そちらこそ、嫌なら止めてくれ。というより、止めろ。私が嫌だから」

〈ガ〉「そういうわけには行かないだろ。仲間だからな」

彼の言葉にしばし呆然となる。仲間、なんだろうか。

〈G〉「分かった。先に進もう」

極力死体を見ないようにしながら転がる方へと歩を進める。

〈ガ〉「そっちに行くのか?」

〈G〉「その方が危険は少ないだろ。敵の敵は味方…かもしれない」

〈ガ〉「なるほど」


 私の読みは当たったらしく、一度も敵襲を受けずにすんだ。…まさか、一人残らず殺されてなんかないだろうな。

もうしばらく進むと、戦う音が聞こえてきた。ガウリイと目配せをし、そちらに駆け出す。

大きな広間で数十人の相手と合間見えている。
黒くて長い髪、白い肌。そして、ぐっしょりと返り血に染まったその人は…姉だった。

うあああ、姉さん、何でそんなに返り血に染まって…!

私たちが手を貸すまでもなく、彼女は敵を征圧した。

「お久しぶりですね。ガードさん」

〈G〉「うおあっ!」

物陰からひょっこりとマリアが姿を現した!

〈G〉「うわああっ!出たっ!」

〈マ〉「出たとは何ですか!」

〈G〉「あの後大変だったんだぞ!小さい子を泣かした酷い奴なんだと散々白い目で見られて!違うという事を分かってもらうためにどれだけ苦労したか!」

〈マ〉「知ってます。見てましたから」

彼女の言葉にガックリと膝をつく。

「あなたがマリアと知り合いだったとはね。とりあえず、久しぶり。十…二年ぶりかしら」

〈ガ〉「えっと、知り合いか?」

彼に問われてゆっくりと立ち上がる。しかし、まだまだショックは収まっていない。…マリアはトラウマになっているのだ。

〈G〉「この子はマリア・フローレンス。年上の女性は姉のフローラ・ウォードだ。二人とも、彼はガウリイ・ガブリエフ」

〈F〉「よろしく」

〈ガ〉「こちらこそ」

彼らはしっかりと…利き腕でなかったが…手を握り合った。

〈G〉「というより、何でこんな事になるんだ」

私は怒りに任せて壁を殴り、へこませる。

〈G〉「私一人でやろうとしたのに、ガウリイに会うわ、姉さんとマリアは先に乗り込んでいるわ!危ないじゃないか、どうしているかなあっ!」

〈F〉「だって。あんた、弱いし」

〈G〉「直球ど真ん中あああああっ!」

〈マ〉「遊んでないで行きますよ」

〈G〉「そ、そうだね」

I:落ち着いて行こうね。

G:分かった。落ち着く。


 私たちが歩みを止めたのは、気配のある扉に辿り着いた。私が扉を開く。

そこにいたのは、合成獣。否、キメラ化した人間たちであった。

あるものは、ブラス・デーモンか何か。あるものは黄金竜。あるものには翼が生えていた。

〈G〉「あいつら…また」

〈ガ〉「またって、どういうことだ?」

〈G〉「特殊な人間を集めて合成獣を作り出していたんだ」

〈マ〉「また、何で?」

〈ガ〉「特殊な人間ってのも」

〈G〉「特殊な人間とは、精神感応、獣使いなどの能力を持っている者。そのもの達を服従させるために合成してきた」

〈マ〉「なるほど。そういう手もありますか」

〈G〉「マリアあああああっ!」

〈マ〉「冗談です」

〈G〉「念のために動けないようにしておく。守盾界!(カバー・シールド)」

〈F〉「さて、行きましょうか。居場所は聞き出したわ」


 再び歩き始め、姉さんが壁の前で立ち止まる。

〈F〉「ガード、結界張って先頭に。振動弾!(ダム・ブラス)」

私は結界を張って姉さんの開けた穴に突入する。

真紅の細い光線が走ってくる。

思わず左に飛びのく。光線は結界を断ち切って僅かに避けることのできなかった私の腕を貫いた。

〈G〉「なっ。---復活!(リザレクション)」

イアンの力を使った結界を突き破り、更に腕を貫いた!?一体、どういう。

〈ガ〉「ガード!一体今の」

〈G〉「分からん!」

腕を治し、奥にいた者。長身の男性と跪いた少女を見る。男性が口を開いた。

「不意にだったからあまり出なかったか。まあいい」

言って、両手をこちらに向ける。まずい。

〈G〉「守(カバ

しかし、男は呪文詠唱なしで発動した。先程よりも大きく、太くなっている。間に合わない!

その時、綺麗な緑光が光り、何者かが前に出る。赤い光線はその人の目の前で自然消滅された。一体、何者?

その者はゼルガディスさんより少し低いくらいの長身に黒くて長い髪、若草色のローブを身に纏っていた。

「見様見真似!魔盾!(マジック・シールド)アタック!」

この術で彼の正体がやっと分かった。

〈G〉「イアン。なのか?」

〈I〉「うん!会うのは初めてだよね。でも、話している暇はないよ。彼らを傷つけることはできない。---彼女の願いは届いてしまったからね」

〈F〉「どういうこと?」

と、ここで第三撃。またもイアンが相殺させる。

〈I〉「彼女が願ったのは、絶対的な頑丈さ、全てを貫く攻撃力。そして、二人の不老」

〈ガ〉「相手…いくつだよ」

さて、どうするか…。そして、脳裏に一つの対策が浮かび上がった。

そう、彼女の願いを消せばいい。私も彼女と同じく神に願える能力を持つのだから。ただ…リスクが高すぎるのが難点だ。

〈G〉「全てを統べる我らが主よ」

普通、「神よ」という呼びかけをL様に変える。何故なら、相手も神に願った以上、どうなるか分からない。

〈G〉「我が身賭して願う。今までの願いを全て無に還す事を」

L:それでいいわけ?

G:お願いいたします。

終わった途端に体中を凄まじい痛みが走った。痛みに負けて倒れ付す。

同時に、敵方二人も倒れる音がした。

〈ガ〉「なにいいいいっ!?」

〈マ〉「そ、そんなに高齢だったんですか!?」

珍しくマリアが困惑している。どれだけ高齢だったと言うのだろうか。

〈F〉「あーあ。こいつら老衰で死んじゃったわ」

そんなに!?ま、まあ…父が子供の頃から付け狙われていたらしいから、あり得るか?


 イアンとガウリイは組織全員を殺そうとする姉とマリアを押し止め、精神感応で記憶の抹消をする事を提案する。姉さんは渋々頷いた。

〈I〉「何とか一件落着だね。後味悪すぎるけど」

〈マ〉「めぼしい物もありませんでしたからね」

〈ガ〉「ま、良かったじゃないか。怪我一つないことだし」

ガウリイ。私、腕を貫かれた。

〈F〉「さて、ガード。こいつは何者?」

今、それどころじゃないから。

〈I〉「初めまして。僕はイアン。よろしく、義姉さん」

〈F〉「義姉さん言うな。シャブラニグドゥと被るんだよ。赤眼野郎」

言葉遣い荒いよ、姉さん。何で苛立ってんだ?

〈I〉「…ガード。アタックが黒目だから赤にしたんだけど、選択間違えたと思う?」

聞くな。


 背負われたまま宿に着き、ベッドの上に寝かされる。

〈I〉「ガード、ごめんね。今回勝手に飛び出したから、後数年は中に入って眠り続けると思う」

〈G〉「はい!?」

驚いて聞き返す。おい、後数ヶ月で復活できるんじゃなかったか?

〈I〉「じゃ、おやすみ」

彼は鳥となり、私の中に入り込んだ。わ、私の苦労は一体…?

そう悩んでいる内に疲労によって深い眠りに引き込まれていった。


―登場人物―

   ガード=ワード
L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。

   ガウリイ=ガブリエフ
光の剣士。リナと旅をしていた。

   マリア=フローレンス
夢は玉の輿。好きなものは財宝。末恐ろしいお嬢さん。

   フローラ=ウォード
血の繋がった姉。父から精神感応・獣使いの能力を受け継ぐ。

   イアン
新緑の守護者。

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33508Re:33.ウォード姉妹の逆襲 そして始めまして!のこもこ 2008/4/12 23:35:16
記事番号33504へのコメント

始めまして星野さん!!!!!!とおりすがりののこもこです!!!!!!!
星野さんの過去ログ、発掘して読み込んだらすっかりはまっちゃいました!!!(爆)
面白いしえぐい・・・・・・・・・・じゃなくて!!!シュールな笑いが散りばめられており人生について考えさせられました!!!!!!!
ヒーロー(?)のガード・ワード(一応女の子なのに)や、新緑の守護者イアン。
そしてそしてそして!!!!!!!?すぺしゃるで強烈なインパクトをのこした
『あの』マリア=フローレンス(リナと同じくらい好きな性格…実際にはこんなトモダチほしくないが)ガードの姉ちゃんのフローラとガウリイ!!!!!!
・・・・・・・・・・うっわ。なんなんだこの人外魔境なこの組み合わせは(震)
この妙な組み合わせが、どんな面白いことに首を突っ込むのかすっごい楽しみです!!!!!!!!!!

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33534はじめめして星野流 URL2008/4/18 13:23:05
記事番号33508へのコメント

こちらこそ、はじめまして。
過去ログまで発掘してはまっていただき、ありがとうございます。
楽しみにしていただいていたマリアとフローラは早くも脱落させてしまいました。ごめんなさい!

これからもよろしくお願いいたします。

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3353334.再会 星野流 URL2008/4/18 13:18:55
記事番号33437へのコメント

34.再会

 組織を壊滅させた後、私は41度(人は42度が限界)という死線ギリギリの高熱にうかされ(非情にも姉とマリアは旅に出た。後から聞くと二人は私の金で宿代なんかを払ったという)3日間うなされ続けた。

そして、更に2日後。私は動く練習をしていた。何と、体中の筋肉が萎え、起き上がることもご飯を噛み切る事すら力を振り絞ってやっとという状態にまでなっていた。
私、楽に腹筋100回くらいできたのに!

〈ガ〉「よく頑張るなぁ」

私が腹筋をしているとボーっと見ていたガウリイが口を開ける。

〈G〉「さっさと元通りに動けるようにしないといけないからな」

私の人生、綱渡りだし。

〈G〉「それに、何度も言うが、さっさとリナを探しに行けよ。私も動けるようになったら行くから」

〈ガ〉「何度でも言うが、リナよりお前の方が危なそうだからここにいるよ」

こんな良い奴と友達になったの、シルフィール以来だ。(6年前)

〈G〉「お前が行かないのなら私が行く」

私は剣をカバンの中に入れてふらつきながらも立ち上がる。

〈ガ〉「まだ寝ていろよ。熱は下がったがふらついているぞ」

〈G〉「だからって寝ていられるか!私の命よりリナの方が大事」

〈ガ〉「過保護はダメだぞ」

〈G〉「過保護にしているつもりはない!」

旅支度を始めるとガウリイは立ち上がった。

〈ガ〉「分かった。俺が行く。お前はしっかり休んでろ」

〈G〉「えー…」

休んでるのヤダ。暇じゃないか。

っと、ここでリナの波動を感じ取る。

〈G〉「ガウリイ。リナだ。村から東に行ったところにいる。よし!リナ、待ってろよ。必ずた

私の意識は暗転した。


 私が目を覚ますと、ベッドの上に寝かされ、カバンは元の位置に戻されていた。

〈ゼ〉「どうも。お久しぶりです」

〈G〉「やあ、久しぶり。お茶でも出すよ。かけてくれ」

ゼロスがいたが、彼が寝かせてくれたのではなく、ガウリイが出て行く前に寝かせてくれたのだろうと推測する。

〈ゼ〉「もっと驚いてくれてもいいじゃないですか!」

ゼロスは悲しそうな顔をして言う。が、恐らく演技だろう。

〈G〉「何を今更」

降って沸いたように出てくるのはいつもの事だ。

〈ゼ〉「ガードさんの馬鹿!苦労性!」

〈G〉「写本はいらないんだね」

〈ゼ〉「…僕の扱い方、覚えてきましたね」

〈G〉「2年付き合えば自然とね」

お茶を注ぎ、私たちは向かい合って座る。

私はカバンから写本を取り出して渡した。

〈G〉「本当はもう一冊あるんだが…」

〈ゼ〉「まだあるんですか…」

ゼロスは呆れた顔でこちらを見る。

〈G〉「普通の人間が読むには危なすぎる内容だったから渡さないでおく」

〈ゼ〉「どういう内容だったんです?」

〈G〉「竜族のギャグって聞いた事あるか?」

〈ゼ〉「わかりましたあなたがもっていてください」

早口で言い切った。聞いた時、よほど堪えたらしい。

階下が騒がしくなり、ダダダダダと階段を駆け上がる音がした。

〈G〉「何だ?」

バンッと扉が開く。

「衝撃弾!(ダム・ブラス)」

〈G〉「ぎゃあああああっ!」

私は咄嗟に持ってたコップをダム・ブラスに投げつける。コップは粉々に砕け、私は驚きから来た心臓発作に喘ぐ。

ゼェゼェ息を吐きながら問う。

〈G〉「な…ぜ…アメ、リ、アが…ここ、に?」

〈ア〉「何でじゃないでしょう!命を狙われているから身を隠せと言ったのにサイラーグの件に関わり、その後自分の手で壊滅しに行くだなんて無茶するのが悪いんです!しかも!ガウリイさんに聞くところによると、あんな呪を使ったそうじゃないですか!死ぬ気ですか!?寿命を削ってまですることだったんですか!?」

息を整え終わった私は言う。

〈G〉「では、どうやって壊滅させるというんだ?相手に攻撃は通用しないんだぞ。しかも、結界を貫き、私の体さえ貫いた魔法を呪文なしで使った!」

〈リ〉「待った。寿命を削るってどういうこと?」

リナの問いに私達二人は固まる。

〈G〉「ま、それは置いといて。ゼロス、怪我はな

しかし、彼は既に姿を消していた。いつの間にやら窓が開いている。窓から出て行ったのか?

〈ゼ〉「ゼロスと知り合いなのか?」

〈G〉「え、ええ。知り合いです」

〈ア〉「二人で…仲良くお茶を飲んでいたんですか」

〈G〉「そうだけど…なあ、アメリア。顔がこわ

〈ア〉「どういう関係なの?わたし、ティアーが好きなんだと思ってたのに!」

〈G〉「それはないから」

話は最後まで聞いてほしいと思えど、アメリアの思い込みを修正させる事にする。

〈G〉「お前なぁ、自分と同じ顔の男を好きになれるか?」

〈ア〉「うっ」

〈G〉「無理だろ?そういうことだ。ティアーを男として見る事は絶対に無理だ。それに、ティアーには好きな子が」

〈ア〉「ええええっ!?いるの!?あんな性格なのに!?」

〈G〉「ひ、人を好きになるのって、性格関係ないんじゃ…」

〈ア〉「で、誰なの?」

お前だよ。

〈G〉「教えない」

〈リ〉「で、ガードは誰が好きなの?」

リナがニヤニヤ笑いながら問いかけてくる。

〈G〉「異性として好きになった奴は全くいない」

〈ア〉「じゃあ、気が合うなぁとか、二人だけの世界に入り込んでしまうとかいうひといない?」

アメリアは更にずいっと詰め寄ってくる。

〈G〉「それはまあ、あるにはあるが…」

〈リ〉「どういう人?」

〈G〉「まあ、二人いるんだが…」

〈二人〉「二人も!」

〈G〉「二人とも魔族だし…」

〈四人〉「って、魔族かあああああっ!」

それまで黙って呆れながら見ていた二人も一緒にツッコミをいれてくる。

〈G〉「まあ、世の中色々あるんだよ」

〈リ〉「いや、あんた色々ありすぎるから!普通、魔族と二人だけの世界に入るような事ないから!つうか、常識から外れすぎ!」

〈G〉「言われんでも分かっとるわい!そん ゲーッホゴホッゲハっ!」

〈ガ〉「とりあえず、そういうことで感情を高まらせるのは止めてやれよ。さっきもリナを守るんだーって言って無理して倒れたんだし」

〈リ〉「うっ。わ、分かったわよ」

〈ゼ〉「そうだ。ゼロスとはどういう関わりなんだ?」

〈G〉「ケホッ え?ああ、写本のことで」

〈三人〉「写本!?」

〈リ〉「写本を持ってるの?」

〈G〉「え…あ、まあ、何でか知らんが写本とは縁があるようで」

〈リ〉「頂戴!」

〈G〉「ダメ。危ないから見せられない」

〈ゼ〉「なら、何が書いてあった」

〈G〉「今持ってるのは竜族のギャグ」

〈二人〉「あ、それならいらない」

〈G〉「それで、前に持っていたのも聞きたい?楽に半日かかるけど」

ヒューヒュー言いながらも尋ねる。

〈ア〉「遠慮するわ。え?半日かかるほど難しい代物だったの?」

〈G〉「ははは。やだなぁ、そんなわけがないじゃないか。単に量が多いだけだよ」

〈リ〉「ガード。うらやましいやつ」

隣でゼルガディスさんもコックリと頷く。

〈G〉「代われるものなら代わってやりたいよ。かなりきついぞ私の人生…」

〈リ〉「あ、やっぱり、自分が一番よね!」

〈ア〉「じゃあ、わたしたちもこの宿に泊まるから、何かあったら言ってね」

二人は無理やり会話を終わらせる。

〈G〉「うん。ありがとう。ところで、リナの魔法は回復したのか?」

〈リ〉「ええ。全部解決したわ」

〈G〉「そうか。ならいいんだ」


 翌日、リナ達はディルスに向けて旅立った。

私も行くと言ったら来るのなら体調が戻ってから来るようにときつく言いつけられた。

…そんなに信用ないのだろうか。

―登場人物―

   ガード=ワード
L様の命により、面白いことに首をつっこむことになった。

   ガウリイ=ガブリエフ
光の剣士。リナと旅をしていた。

   ゼロス
謎の神官。

   アメリア=セイルーン
正義感の強い、セイルーン王国の皇女。従兄の娘。

   リナ=インバース
「ドラまた」「盗賊殺し」などなど、様々な異名を持つ。

  ゼルガディス
合成獣になっていた。精霊魔法が得意らしい。



 あとがき
今回ガウリイが連続3回出演という記録を達成しました。メインが3回出るというのは初めてです。
おめでとう!ガウリイ!