◆−仮初めの形−セス (2009/10/7 21:01:28) No.34630 ┣Re:仮初めの形−ホリ (2009/10/8 11:39:33) No.34635 ┃┗Re:仮初めの形−セス (2009/10/9 22:14:42) No.34646 ┗仮初めの形・続−セス (2009/10/14 00:23:51) No.34672 ┣Re:仮初めの形・続−kou (2009/10/14 18:20:20) No.34677 ┃┗Re:仮初めの形・続−セス (2009/10/15 18:54:59) No.34679 ┗Re:仮初めの形・続−フィーナ (2009/10/18 23:50:28) No.34690 ┗Re:仮初めの形・続−セス (2009/10/20 19:14:13) No.34697
34630 | 仮初めの形 | セス | 2009/10/7 21:01:28 |
「チェックメイト、ですわね」 にっこりと微笑みながら宣言したのは一人の女。長く癖のない黒髪を背に流し、うりざね顔の中で黒目がちの瞳を悪戯っぽく輝かせている。 細身の身体を飾るのは、豪奢な蒼いドレスである。それも蒼穹のような涼やかで明るい色合いの蒼ではなく、海の底を覗き込むような藍に近いほど深みのある蒼。 「む・・・」 低くうなって眉根を寄せたのは、チェス盤をはさんで対面していた女。 短くまとめた色鮮やかな金髪は癖が強く、正面から見ると獅子の鬣のように見える。女性にしては大柄だがしなやかで豊満な体つきが服の上からでもよく分かる。華美を厭うのか、服装は動きやすさを優先したごく簡素なものだ。目じりがやや下がり気味だが、気弱そうな印象は微塵もない。むしろ、黙っていてもどこか鍛えられた鋼のような印象がうっすらと醸成されている。 対照的な外見の女たちはしばしチェス盤を挟んで静かに対峙し―― 「・・・」 金髪の女のほうは黙してチェス盤を見据えている。 「ゼラス。チェス盤とにらめっこしたところで負けは変わりませんわよ」 「・・・分かった、私の負けだ。ダルフィン」 ゼラスと呼ばれた女は呻くような声を漏らす。 「・・・それで、約束のほう忘れてはいませんよね」 「・・・」 「獣王様、ただいま戻りました・・・」 「ああ、お帰りなさい」 帰還した獣神官を出迎えたのは、彼の主ではなかった。 「・・・海王様?」 眉をひそめて僧侶の姿をした若者は、にこやかに出迎えた深海色のドレスの女を訝しげに見やる。 「・・・あの、獣王様は?」 「ああ、ゼラスは逃げてしまったわ」 「・・・はい?」 ますます困惑して神官は首をかしげる。 「そんなことよりも、こっちにいらっしゃい」 「・・・?」 未だ困惑をにじませたまま海王のそばに歩み寄り、その場にひざまずいた。 「いい子ね」 婉然たる笑みをたたえて満足げに頷くと、海王はその白い掌をかざした。 「・・・」 形のよい唇から、波打つように緩やかな旋律がすべりでる。 それが人ならざるものの言語で紡がれる『力ある言葉』だと気づいた刹那。 眩い白光が閃いた。 「なっ・・・」 愕然、というより呆然たる声を漏らしたのは白光に包まれた獣神官だった。自分の身体を見下ろし、未だ事態に理解が追いつかないという風に眺めている。 普段は肩の辺りまでの濡れ羽色の髪は今は腰の辺りまでまっすぐに伸びている。身に纏う神官の法衣は漆黒のまま、巫女の法衣のような衣装へと変わっている。 そして何より。衣服の上からでもはっきりと分かるほど、胸囲は柔らかな弧を描いてふくらみ、腰の辺りは艶めかしくくびれている。 「か・・・海王様!これはどういうことですか!?」 ようやく我に返った獣神官が悲鳴じみた声で問いかけると、海王は悪びれぬ笑顔で 「実は、ゼラスと賭けをしたのよ。チェスで私が勝ったら何でも一つ言うことを聞くっていう条件で」 「・・・それと、僕がこんな姿になることに一体どんな関係が・・・」 「勝ったらあなたを貸してくれってお願いしたのよ」 「なっ!何でそうなるんですか!?」 「実は最近、着せ替えにこっているんだけど、部下は仕事だ何だと理由をつけて逃げ出すし、ゼラスはどうしても付き合ってくれないし・・・なかなか着せ替えできる相手が見つからずに困っていたのよ」 「いやあの・・・だからって何で僕を・・・」 「チェスをやる前にゼラスから聞きましたの、あなたここしばらくはお仕事無いんですって?」 「・・・」 珍しくゼロスは辟易した表情で海王のにこやかな微笑を眺め 「・・・ちなみに獣王様はどうして逃げたんです?」 「あなたを貸すことを渋っていたので『じゃあ、あなたが代わりになってくださる?』って言ったら」 「・・・」 がっくりと、巫女の法衣に包まれたほっそりとした肩を落とす。 (獣王様・・・僕を身代わりにしないでください) そんな彼――否、彼女の恨みがましい思いをよそに 「さて、じゃあまずこれからはじめましょうか」 などと言った海王が携えているのは漆黒のドレスである。 「・・・海王様、お戯れもほどほどになさってください」 「あら、遊び心を持つのは大切ですわよ?私たちのような存在(もの)には特に」 「それに僕を巻き込まないでくださいって申し上げているんです!」 ゼロスの抗議も柳に風と受け流し、海王は満足げに微笑している。まさしくお気に入りの人形をもてあそぶ童女のように、無垢な笑顔で。 続 |
34635 | Re:仮初めの形 | ホリ | 2009/10/8 11:39:33 |
記事番号34630へのコメント こんにちは、セスさん 私が住んでいる所は台風は直撃しませんでしたが、そちらはどうですか? 今回は、最初にゼロスをいじめていますね(笑) > 対照的な外見の女たちはしばしチェス盤を挟んで静かに対峙し―― このお二方、気が合うのでしょうかねえ? ・・・・・・魔族だから違うかな? >「・・・」 > 金髪の女のほうは黙してチェス盤を見据えている。 >「ゼラス。チェス盤とにらめっこしたところで負けは変わりませんわよ」 >「・・・分かった、私の負けだ。ダルフィン」 > ゼラスと呼ばれた女は呻くような声を漏らす。 >「・・・それで、約束のほう忘れてはいませんよね」 >「・・・」 >「獣王様、ただいま戻りました・・・」 >「ああ、お帰りなさい」 > 帰還した獣神官を出迎えたのは、彼の主ではなかった。 >「・・・海王様?」 なんでいるんだ?って感じでしょうね。でも、自分よりも上の方なので何も言えないだろうな。 > 眉をひそめて僧侶の姿をした若者は、にこやかに出迎えた深海色のドレスの女を訝しげに見やる。 >「・・・あの、獣王様は?」 >「ああ、ゼラスは逃げてしまったわ」 >「・・・はい?」 > ますます困惑して神官は首をかしげる。 >「そんなことよりも、こっちにいらっしゃい」 >「・・・?」 > 未だ困惑をにじませたまま海王のそばに歩み寄り、その場にひざまずいた。 >「いい子ね」 > 婉然たる笑みをたたえて満足げに頷くと、海王はその白い掌をかざした。 >「・・・」 > 形のよい唇から、波打つように緩やかな旋律がすべりでる。 > それが人ならざるものの言語で紡がれる『力ある言葉』だと気づいた刹那。 > 眩い白光が閃いた。 > > >「なっ・・・」 > 愕然、というより呆然たる声を漏らしたのは白光に包まれた獣神官だった。自分の身体を見下ろし、未だ事態に理解が追いつかないという風に眺めている。 > 普段は肩の辺りまでの濡れ羽色の髪は今は腰の辺りまでまっすぐに伸びている。身に纏う神官の法衣は漆黒のまま、巫女の法衣のような衣装へと変わっている。 巫女服って・・・・・・。 > そして何より。衣服の上からでもはっきりと分かるほど、胸囲は柔らかな弧を描いてふくらみ、腰の辺りは艶めかしくくびれている。 顔は変化があるのでしょうか? >「か・・・海王様!これはどういうことですか!?」 > ようやく我に返った獣神官が悲鳴じみた声で問いかけると、海王は悪びれぬ笑顔で >「実は、ゼラスと賭けをしたのよ。チェスで私が勝ったら何でも一つ言うことを聞くっていう条件で」 >「・・・それと、僕がこんな姿になることに一体どんな関係が・・・」 >「勝ったらあなたを貸してくれってお願いしたのよ」 >「なっ!何でそうなるんですか!?」 >「実は最近、着せ替えにこっているんだけど、部下は仕事だ何だと理由をつけて逃げ出すし、ゼラスはどうしても付き合ってくれないし・・・なかなか着せ替えできる相手が見つからずに困っていたのよ」 ・・・・・・運が悪いゼロスさん >「いやあの・・・だからって何で僕を・・・」 >「チェスをやる前にゼラスから聞きましたの、あなたここしばらくはお仕事無いんですって?」 知らない開いたに、賞品になってしまいましたね。ゼロスさん >「・・・」 > 珍しくゼロスは辟易した表情で海王のにこやかな微笑を眺め >「・・・ちなみに獣王様はどうして逃げたんです?」 >「あなたを貸すことを渋っていたので『じゃあ、あなたが代わりになってくださる?』って言ったら」 >「・・・」 > がっくりと、巫女の法衣に包まれたほっそりとした肩を落とす。 リナがゼロスのこんな姿を見たら、爆笑するんでしょうね。 >(獣王様・・・僕を身代わりにしないでください) > そんな彼――否、彼女の恨みがましい思いをよそに >「さて、じゃあまずこれからはじめましょうか」 > などと言った海王が携えているのは漆黒のドレスである。 >「・・・海王様、お戯れもほどほどになさってください」 >「あら、遊び心を持つのは大切ですわよ?私たちのような存在(もの)には特に」 >「それに僕を巻き込まないでくださいって申し上げているんです!」 しかも、わざわざ女性の姿に変えさせてまでね〜。 > ゼロスの抗議も柳に風と受け流し、海王は満足げに微笑している。まさしくお気に入りの人形をもてあそぶ童女のように、無垢な笑顔で。 このあと、ゼロスはどう遊ばれるんでしょうかね? 以上、ホリでした。 |
34646 | Re:仮初めの形 | セス | 2009/10/9 22:14:42 |
記事番号34635へのコメント どうも、ホリさん。 > 私が住んでいる所は台風は直撃しませんでしたが、そちらはどうですか? > 今回は、最初にゼロスをいじめていますね(笑) こちらもあまり被害はなく、学校は休みになりませんでした(笑 同じく学校が休みにならなかった妹が 「ここら辺は、あまり地震とか台風とかに縁が無いからね」 などと残念そうにのたまっておりましたが・・・あっても困るぞ、そんな縁。 > >> 対照的な外見の女たちはしばしチェス盤を挟んで静かに対峙し―― > このお二方、気が合うのでしょうかねえ? まあ、少なくとも仲は悪くないんじゃないかなと思いまして。 対照的な者同士は意外と合いそうな気がしたので。 >> そして何より。衣服の上からでもはっきりと分かるほど、胸囲は柔らかな弧を描いてふくらみ、腰の辺りは艶めかしくくびれている。 > 顔は変化があるのでしょうか? 幾分眉が細くなったりして女性っぽくなってる感じです。 > > このあと、ゼロスはどう遊ばれるんでしょうかね? > 以上、ホリでした。 拙い文章を読んでいただきありがとうございます、ホリさん。 |
34672 | 仮初めの形・続 | セス | 2009/10/14 00:23:51 |
記事番号34630へのコメント 麗らかに澄み切った蒼天から柔らかい日差しが緩やかに降り注いでいた。 時折あたりに流れる潮騒のようなざわめきは、周囲の露天に集まる客たちの喧騒や、微風になぶられ陽光をはじいて艶やかにきらめく色濃い緑に覆われた梢の葉擦れの音か。 「ううっ、何で僕がこんな目に・・・」 賑やかながらも穏やかで優しい町の光景にそぐわない陰気な声でつぶやいているのは、黒衣の巫女である。 海王の『着せ替え』からようやく解放された後。 元に戻れるかと思ったが、海王の『次の仕事があるまでそのままでいいじゃありませんか』との無情な一言にゼロスはしばらく立ち直れそうに無かった。 うじうじしていてもしょうがないので、気晴らしに人間の町へといってみたが―― 「何だ、ゼロスじゃないか。久しぶりだな」 ずしゃああっ! 聞き覚えのある声に思わず盛大な音を立ててその場に突っ伏した。 何とか身を起こしながら声が聞こえた方向へ視線を向ける。そこには予想通りの人物がいた。 年のころは二十代過ぎほどの若い男である。長い金髪に囲まれた面長の端正な顔の中で蒼い眼が人懐っこい笑みに細められている。しなやかに引き締まった長身といい、それを固める蒼い甲冑や携えた長剣といい、一目で傭兵と知れるのだが凛々しさや雄雄しさよりはどこか日向で居眠りする猫のようなのほほんとした印象のほうが目立つ。 「が・・・ガウリイさん・・・」 呻くような声を漏らして思わず頭を抱えた。 「え・・・ええと・・・」 「ちょっと、ガウリイ何してんのよ・・・」 訝しげな声をかけながら男――ガウリイに近寄ってきたのは、十代半ばはどの少女である。長くやや癖のある柔らかな栗色の髪、大きな紅玉のような瞳がよく目立つ愛らしい風貌だ。 小柄な体躯に纏うのは薄紅を基調にした衣装と宝玉をはめ込んだ漆黒の肩当て、漆黒のマントという魔道士然とした服装だ。 「り・・・リナさん・・・」 思わず名をつぶやくと少女は怪訝そうに眉をひそめて 「えーと・・・どこかでお会いしました?」 「何言ってんだリナ、ゼロスじゃないか」 「へ!?」 思わず間の抜けた声を漏らし、リナと呼ばれた少女はまじまじと巫女のいでたちに身を包んだ眼前の女性を見る。 「あ、えと・・・ひ、人違いです、僕・・・じゃない私はこれで・・・」 「・・・生ゴミ魔族」 ぼそり、とリナがつぶやくと 「だっ・・・誰が生ゴミですか!?誰が!どこかの凶暴わがまま黄金竜みたいなこと言わないでください!」 そそくさとその場を立ち去ろうとしていた巫女は、途端に切れ長の目じりを吊り上げて叫んだ。 「・・・ほほーう」 「はっ!?しまったつい!」 「リナさーん、どうしたんですかー」 「どうした、何かあったのか?」 高く愛らしい声と共に駆け寄ってきたのは、小柄な体躯を清潔そうな白い旅装束に包み込み、やや癖の強い黒髪を肩の辺りで切りそろえ、大きな紺碧の瞳が印象的なあどけない容貌の娘。 その後ろから歩いてくるのは、同じく白い衣装に身を固め、自身の風貌を隠すようにフードを深々とかぶり口元もマフラーで覆った背の高い男である。 アメリアとゼルガディス――先ほどの少女魔道士と青年剣士の旅の仲間である。 「な・・・なんで・・・こんな時に皆さんそろって・・・」 「?リナさん、この女の人お知り合いですか?」 小首をかしげながら黒髪の少女が問いかけると 「え、気づかないのか二人とも、ゼロスじゃないか」 『ええっ!?』 ゼルとアメリア、二人の驚愕の叫びの後に、リナは長い黒髪の美女(?)に笑いかける。 「さーて、すっとこ神官さーん、どうしてそんな格好してるのか、説明してくれなーい?あ、ちなみに逃げようとしたら速攻でラグナ・ブレードなんでよろしく♪」 「え、えーと・・・」 にっこりと異様なくらいに愛想よく微笑みながらにじり寄ってくる少女に、ゼロスは顔を引きつらせた。 ――そして、半ば脅迫じみた少女の要請により事情説明を終えた後に、爆笑の渦が沸き起こるのにさほど間はなかった。 「・・・皆さん、僕の前でそんな遠慮なく大笑いしなくても・・・」 「だ・・・だって・・・海王の趣味で勝手に外見をいじくられたって・・・しかも目的が着せかえってあんた、これは笑うしかないでしょ」 笑い過ぎて苦しいのか、腹の辺りを押さえながらリナが切れ切れに言うと 「そ・・・そうですね・・・ゼロスさんには悪いと思うんですけどやっぱり・・・」 リナと同様の様子のアメリアが同意する。その隣では珍しくおかしさをこらえきれないという風に肩を震わせているゼルガディスがいた。 笑っていない――というより事態を理解しきれていないのはガウリイのみである。 「そ・・・それにしてもよく分かりましたね、ガウリイさん」 未だ腹を押さえ、声に笑いの名残をにじませたままアメリアは金髪の剣士に言葉をかける。 「え?・・・えーとまあ、気配が同じだったから・・・」 アメリアの感嘆とも呆れともつかぬ台詞を受けて当のガウリイ――相棒たる魔道士から『ケダモノ並みの直感』と評されるほど勘が鋭い青年剣士はなんでもないことのように答えた。 「まあ、こいつはゼロスが魔族だって見た瞬間に分かっちゃうような奴だしね」 軽く肩をすくめてリナは言う。 「にしてもお前さん女にもなれるんだなー。知らなかったぞ」 「知ってなさいって。魔族は精神生命体だから外見なんて思いのままなのよ。人の姿はいわばかりそめの姿なんだから」 リナに言われてガウリイは 「へー。そうなのかー。でもなんでゼロスさっきからそんなに元気ないんだ」 「・・・さっき説明したじゃないですか・・・海王様に勝手に外見変更されて、しかも海王様ご自身が解除してくださらないと元に戻れないから落ち込んでいるんですけど・・・」 「へー、そうなのか。大変なんだなー」 「・・・」 太平楽な口調で言われて獣神官は静かに肩を落とす。 「でもそんなに気にするなよ。いつかは元に戻れるだろ。それにその格好よく似合っているぞ、リナよりプロポーションもいいし」 ぴしっ! 青年剣士の言ってはいけない一言に、その場の空気が音を立てそうな勢いで瞬時に凍結した。 「ガウリイ・・・あんたそれ遠まわしに自分を吹っ飛ばしてくれって言っていると解釈していいわね」 常日頃からひそかに抱いている劣等感を刺激されたリナはぼそりと地を這うように低い声でつぶやくと、即座に呪文詠唱を始めた。 「どわわわっ!リナよせ!」 「メガ・ブランド!」 ちゅどごおっ! 景気のよい爆音とともに、青年剣士とそばにいた神官――今は巫女なのだが――は勢いよく吹っ飛んでいった。 「いやー、さっぱりしたわー。やっぱりいらいらした時は溜め込まずに外に出すのが一番ね」 「あの・・・リナさん、何でゼロスさんまで一緒に・・・」 アメリアがうっすらと汗を流しながら問うと 「決まってるじゃない、あたしより胸でかいのが許せんからよ!」 「・・・」 (対抗意識燃やしてどうするんですか) 脳裏に浮かんだ突っ込みをアメリアは胸のうちでつぶやくにとどめた。ちなみにゼルガディスはいつの間にかやや離れた場所に移動し、あさっての方向を眺めている。 ――どうやら他人のフリに徹しているらしい。 「なんだか散々な目にあってばかりですね・・・」 身を起こしながらげっそりとした顔でぼやく。どうやら町から少し離れた場所まで吹っ飛ばされたようだ。 「ガウリイさんは・・・違う場所に吹っ飛んでいったんですかね?まあ、ガウリイさんだから大丈夫でしょうけど・・・」 そういった後に、くすくすと笑い出す。 「久しぶりでしたけど、あの人たちは相変わらずですね・・・」 どこか楽しげな独白には微かな笑いが含まれていた。珍しく作り物ではない微笑をこぼしながら、立ち上がりぱんぱんと服についたほこりを叩き落した。 「ええと・・・すっかり暗くなっちゃいましたね」 周囲は茜色の残照が色褪せ始めて青みがかった宵闇が漂い始めていた。いい加減帰ろうかと思い始めた頃。 あたりの空気にうっすらと漂う酒気と濃い血の香りに気づいた。 「・・・」 小首をかしげてそれが流れてくる方向へと進んでいく。 いくらも行かぬうち、予想された光景が眼前にあった。 ――抉られた腹部をどす黒く汚し、皮袋のように無造作に横たわっている男。人目で既に息絶えていることが窺える。その傍に血染めの刃物を手に、荒い息を吐きながら眼をぎらつかせている男が一人。 おそらく酔った勢いか何かで殺害したのだろう。だがそのこと事態にさしたる関心はなかった。 殺した男が殺した男との間にどういう事情があったのかなどどうでもいいことである。人間同士で何らかの理由でいさかいが起こることなど珍しくもなんともないと分かっているからだ。 しばし無言で眺めていると不意に男が振り向き、表情を険しくする。 「て・・・てめえ、見やがったな、このアマ・・・」 酔いにいくらか濁った声で言いながらこちらに近づいてくる。無言で立ち尽くしていると、逃げようともしないことを訝しく思ったのか男は眉根を寄せてこちらを凝視する。 ――すると不意に男の顔が酔いとは違う意味でだらしなく緩んだ。 「あんた・・・別嬪さんだな・・・」 呂律の回らぬ舌で呟くと、大股で近づいて太い腕でいきなり手首をつかんだ。とろりと濁っていながら、ぎらついた両眼が嘗め回すように見詰めている。今は細く優美な女の姿を装っている身体を。 (ああ。なるほど) 酔いのせいか、あるいは殺人を犯したことによる興奮か。いずれにせよ目撃者を放っておくわけにはいかないので、始末する前に暴行しようというわけか。 そんなことを考えている間に、ろくな抵抗をする間もなくあっさりと押し倒される。その際に、藍色に塗りつぶされた夜空と、磨いた鏡のように冴え冴えと白い満月が見えた。 無骨な男の指に白いあごをつかまれながら、微かに苦笑する。怯える様子もないことに気づいたか、怪訝そうな表情になった男にその苦笑を向けた。ほっそりした白い指をするりとしなやかな動作で当てて ざずっ。 ――いとも無造作に掻き切った。 「ぐ・・・が・・・ぎ・・・」 裂かれたのどを押さえながら、濁ったような掠れたような聞き取りがたい呻きをもらして男は悶え苦しんだ。 その表情が無様に引きつり歪んでいるのは、驚愕か、苦痛か――あるいは恐怖か。 「よいしょっと」 わずらわしそうに男の身体をどけてから身を起こす。立ち上がりながら既に白目をむいて断末魔の痙攣を始めている男に言葉をかける。 「いやあ、残念でしたね。相手が普通の人間の女性だったらよかったんでしょうけどね・・・だめですよ、相手を見かけで判断しちゃいけないって教わらなかったんですか?」 言い終えてからふと微苦笑を漏らす。 「最も見かけに・・・仮初めでしかない姿かたちにほいほいだまされる人間が多いから僕たちが人間のふりできるんですけどね・・・でも中にはそうじゃない方たちもいるんですよね」 救いようがないほど愚劣で脆弱で。なのに同時に、同族同士で殺しあうことも珍しくないほど残忍な存在。 「だから人間なんてくだらないって僕らは思うんですけどね・・・なかにはその逆・・・ひどく興味深くて珍しいって思わせてくれる人もなかにはいるんですよね・・・」 鉄さびのような異臭が漂う黒々とした静寂の中、ひそやかに独白した後。 「さて・・・帰りましょうか」 仮初めに人の姿を装った魔は、宵闇に姿をにじませかき消えた―― あとがき(という名の言い訳) うーむ、最初ギャグっぽい感じだったのに、またこんな感じに・・・ 未熟な点を挙げるときりがないので一言だけ、ゼロスファンの方、すみません・・・ |
34677 | Re:仮初めの形・続 | kou | 2009/10/14 18:20:20 |
記事番号34672へのコメント こんばんは。セスさん。 kouです。 > 麗らかに澄み切った蒼天から柔らかい日差しが緩やかに降り注いでいた。 > 時折あたりに流れる潮騒のようなざわめきは、周囲の露天に集まる客たちの喧騒や、微風になぶられ陽光をはじいて艶やかにきらめく色濃い緑に覆われた梢の葉擦れの音か。 これだけ聞くと、平和以外なんでもありませんね。 >「ううっ、何で僕がこんな目に・・・」 > 賑やかながらも穏やかで優しい町の光景にそぐわない陰気な声でつぶやいているのは、黒衣の巫女である。 別名、ゼロス女性バージョン > 海王の『着せ替え』からようやく解放された後。 > 元に戻れるかと思ったが、海王の『次の仕事があるまでそのままでいいじゃありませんか』との無情な一言にゼロスはしばらく立ち直れそうに無かった。 ゼロスは精神に五十のダメージを喰らった。 のこりポイントは低い。 と、言った状態でしょうか? > うじうじしていてもしょうがないので、気晴らしに人間の町へといってみたが―― > >「何だ、ゼロスじゃないか。久しぶりだな」 > > ずしゃああっ! > > 聞き覚えのある声に思わず盛大な音を立ててその場に突っ伏した。 > 何とか身を起こしながら声が聞こえた方向へ視線を向ける。そこには予想通りの人物がいた。 > 年のころは二十代過ぎほどの若い男である。長い金髪に囲まれた面長の端正な顔の中で蒼い眼が人懐っこい笑みに細められている。しなやかに引き締まった長身といい、それを固める蒼い甲冑や携えた長剣といい、一目で傭兵と知れるのだが凛々しさや雄雄しさよりはどこか日向で居眠りする猫のようなのほほんとした印象のほうが目立つ。 ガウリィか。そういや、セスさんの作品では魔族の方がよく出てますね。 >「が・・・ガウリイさん・・・」 > 呻くような声を漏らして思わず頭を抱えた。 >「え・・・ええと・・・」 >「ちょっと、ガウリイ何してんのよ・・・」 > 訝しげな声をかけながら男――ガウリイに近寄ってきたのは、十代半ばはどの少女である。長くやや癖のある柔らかな栗色の髪、大きな紅玉のような瞳がよく目立つ愛らしい風貌だ。 > 小柄な体躯に纏うのは薄紅を基調にした衣装と宝玉をはめ込んだ漆黒の肩当て、漆黒のマントという魔道士然とした服装だ。 >「り・・・リナさん・・・」 > 思わず名をつぶやくと少女は怪訝そうに眉をひそめて >「えーと・・・どこかでお会いしました?」 そりゃ、普通はわからんわな。 >「何言ってんだリナ、ゼロスじゃないか」 >「へ!?」 > 思わず間の抜けた声を漏らし、リナと呼ばれた少女はまじまじと巫女のいでたちに身を包んだ眼前の女性を見る。 >「あ、えと・・・ひ、人違いです、僕・・・じゃない私はこれで・・・」 名前を呼んどいて言うか? >「・・・生ゴミ魔族」 > ぼそり、とリナがつぶやくと >「だっ・・・誰が生ゴミですか!?誰が!どこかの凶暴わがまま黄金竜みたいなこと言わないでください!」 そういうお前は悪質陰険魔族 > そそくさとその場を立ち去ろうとしていた巫女は、途端に切れ長の目じりを吊り上げて叫んだ。 >「・・・ほほーう」 >「はっ!?しまったつい!」 後悔先立たず、覆水盆返らずだよ。ゼロスくん。 >「リナさーん、どうしたんですかー」 >「どうした、何かあったのか?」 > 高く愛らしい声と共に駆け寄ってきたのは、小柄な体躯を清潔そうな白い旅装束に包み込み、やや癖の強い黒髪を肩の辺りで切りそろえ、大きな紺碧の瞳が印象的なあどけない容貌の娘。 とても、父親には似ていない。 > その後ろから歩いてくるのは、同じく白い衣装に身を固め、自身の風貌を隠すようにフードを深々とかぶり口元もマフラーで覆った背の高い男である。 > アメリアとゼルガディス――先ほどの少女魔道士と青年剣士の旅の仲間である。 >「な・・・なんで・・・こんな時に皆さんそろって・・・」 恨むなら神様を恨むのか。それとも、海王を恨むべきか。 はたまた、金色の魔王でも恨みましょうか? >「?リナさん、この女の人お知り合いですか?」 > 小首をかしげながら黒髪の少女が問いかけると >「え、気づかないのか二人とも、ゼロスじゃないか」 >『ええっ!?』 > ゼルとアメリア、二人の驚愕の叫びの後に、リナは長い黒髪の美女(?)に笑いかける。 >「さーて、すっとこ神官さーん、どうしてそんな格好してるのか、説明してくれなーい?あ、ちなみに逃げようとしたら速攻でラグナ・ブレードなんでよろしく♪」 って、事は―――― まだ、ルークには会っていない頃と言うことでしょうか? >「え、えーと・・・」 > にっこりと異様なくらいに愛想よく微笑みながらにじり寄ってくる少女に、ゼロスは顔を引きつらせた。 >――そして、半ば脅迫じみた少女の要請により事情説明を終えた後に、爆笑の渦が沸き起こるのにさほど間はなかった。 ゼロスはさらに精神に五十のダメージを喰らった。 のこりHPは少ない。 >「・・・皆さん、僕の前でそんな遠慮なく大笑いしなくても・・・」 >「だ・・・だって・・・海王の趣味で勝手に外見をいじくられたって・・・しかも目的が着せかえってあんた、これは笑うしかないでしょ」 > 笑い過ぎて苦しいのか、腹の辺りを押さえながらリナが切れ切れに言うと >「そ・・・そうですね・・・ゼロスさんには悪いと思うんですけどやっぱり・・・」 > リナと同様の様子のアメリアが同意する。その隣では珍しくおかしさをこらえきれないという風に肩を震わせているゼルガディスがいた。 > 笑っていない――というより事態を理解しきれていないのはガウリイのみである。 直感はあるのに、理解力はない男。またのなをガウリィ >「そ・・・それにしてもよく分かりましたね、ガウリイさん」 > 未だ腹を押さえ、声に笑いの名残をにじませたままアメリアは金髪の剣士に言葉をかける。 >「え?・・・えーとまあ、気配が同じだったから・・・」 > アメリアの感嘆とも呆れともつかぬ台詞を受けて当のガウリイ――相棒たる魔道士から『ケダモノ並みの直感』と評されるほど勘が鋭い青年剣士はなんでもないことのように答えた。 >「まあ、こいつはゼロスが魔族だって見た瞬間に分かっちゃうような奴だしね」 > 軽く肩をすくめてリナは言う。 >「にしてもお前さん女にもなれるんだなー。知らなかったぞ」 無知……と、言うか無邪気と言うか >「知ってなさいって。魔族は精神生命体だから外見なんて思いのままなのよ。人の姿はいわばかりそめの姿なんだから」 > リナに言われてガウリイは >「へー。そうなのかー。でもなんでゼロスさっきからそんなに元気ないんだ」 >「・・・さっき説明したじゃないですか・・・海王様に勝手に外見変更されて、しかも海王様ご自身が解除してくださらないと元に戻れないから落ち込んでいるんですけど・・・」 >「へー、そうなのか。大変なんだなー」 >「・・・」 > 太平楽な口調で言われて獣神官は静かに肩を落とす。 >「でもそんなに気にするなよ。いつかは元に戻れるだろ。それにその格好よく似合っているぞ、リナよりプロポーションもいいし」 > ぴしっ! > 青年剣士の言ってはいけない一言に、その場の空気が音を立てそうな勢いで瞬時に凍結した。 皆様ー、リナ=インバース警報が発令しました。 避難をしてください。避難をしてください。 子供は女性を優先的に避難させてください。 特に、胸の大きな方は早く逃げてください。 繰り返します……… >「ガウリイ・・・あんたそれ遠まわしに自分を吹っ飛ばしてくれって言っていると解釈していいわね」 > 常日頃からひそかに抱いている劣等感を刺激されたリナはぼそりと地を這うように低い声でつぶやくと、即座に呪文詠唱を始めた。 >「どわわわっ!リナよせ!」 >「メガ・ブランド!」 > ちゅどごおっ! アーメン。(キリスト教徒じゃないけれど) >あとがき(という名の言い訳) >うーむ、最初ギャグっぽい感じだったのに、またこんな感じに・・・ >未熟な点を挙げるときりがないので一言だけ、ゼロスファンの方、すみません・・・ いえ、おもしろかったです。(ゼロスファンじゃないけれど) シリアスを上手に出せているセスさんがうらやましいです。 以上、kouでした。 |
34679 | Re:仮初めの形・続 | セス | 2009/10/15 18:54:59 |
記事番号34677へのコメント こんばんは、kouさん。 コメントありがとうございます。 >> 海王の『着せ替え』からようやく解放された後。 >> 元に戻れるかと思ったが、海王の『次の仕事があるまでそのままでいいじゃありませんか』との無情な一言にゼロスはしばらく立ち直れそうに無かった。 > ゼロスは精神に五十のダメージを喰らった。 > のこりポイントは低い。 > と、言った状態でしょうか? そんな感じです(笑 > ガウリィか。そういや、セスさんの作品では魔族の方がよく出てますね。 個人的に書いていて楽しいのはどちらかというと魔族のほうなので(ちゃんと書けてるかどうかは別にして) >>「が・・・ガウリイさん・・・」 >> 呻くような声を漏らして思わず頭を抱えた。 >>「え・・・ええと・・・」 >>「ちょっと、ガウリイ何してんのよ・・・」 >> 訝しげな声をかけながら男――ガウリイに近寄ってきたのは、十代半ばはどの少女である。長くやや癖のある柔らかな栗色の髪、大きな紅玉のような瞳がよく目立つ愛らしい風貌だ。 >> 小柄な体躯に纏うのは薄紅を基調にした衣装と宝玉をはめ込んだ漆黒の肩当て、漆黒のマントという魔道士然とした服装だ。 >>「り・・・リナさん・・・」 >> 思わず名をつぶやくと少女は怪訝そうに眉をひそめて >>「えーと・・・どこかでお会いしました?」 > そりゃ、普通はわからんわな。 >>「何言ってんだリナ、ゼロスじゃないか」 >>「へ!?」 >> 思わず間の抜けた声を漏らし、リナと呼ばれた少女はまじまじと巫女のいでたちに身を包んだ眼前の女性を見る。 >>「あ、えと・・・ひ、人違いです、僕・・・じゃない私はこれで・・・」 > 名前を呼んどいて言うか? >>「・・・生ゴミ魔族」 >> ぼそり、とリナがつぶやくと >>「だっ・・・誰が生ゴミですか!?誰が!どこかの凶暴わがまま黄金竜みたいなこと言わないでください!」 > そういうお前は悪質陰険魔族 ひどいけど的確ですね(笑 >> そそくさとその場を立ち去ろうとしていた巫女は、途端に切れ長の目じりを吊り上げて叫んだ。 >>「・・・ほほーう」 >>「はっ!?しまったつい!」 > 後悔先立たず、覆水盆返らずだよ。ゼロスくん。 速攻で墓穴を掘ってしまいました(笑 >>「リナさーん、どうしたんですかー」 >>「どうした、何かあったのか?」 >> 高く愛らしい声と共に駆け寄ってきたのは、小柄な体躯を清潔そうな白い旅装束に包み込み、やや癖の強い黒髪を肩の辺りで切りそろえ、大きな紺碧の瞳が印象的なあどけない容貌の娘。 > とても、父親には似ていない。 ・・・似てなくてよかったです(笑 >> その後ろから歩いてくるのは、同じく白い衣装に身を固め、自身の風貌を隠すようにフードを深々とかぶり口元もマフラーで覆った背の高い男である。 >> アメリアとゼルガディス――先ほどの少女魔道士と青年剣士の旅の仲間である。 >>「な・・・なんで・・・こんな時に皆さんそろって・・・」 > 恨むなら神様を恨むのか。それとも、海王を恨むべきか。 > はたまた、金色の魔王でも恨みましょうか? それはさすがに恐れ多いというか・・・ >>「?リナさん、この女の人お知り合いですか?」 >> 小首をかしげながら黒髪の少女が問いかけると >>「え、気づかないのか二人とも、ゼロスじゃないか」 >>『ええっ!?』 >> ゼルとアメリア、二人の驚愕の叫びの後に、リナは長い黒髪の美女(?)に笑いかける。 >>「さーて、すっとこ神官さーん、どうしてそんな格好してるのか、説明してくれなーい?あ、ちなみに逃げようとしたら速攻でラグナ・ブレードなんでよろしく♪」 > って、事は―――― > まだ、ルークには会っていない頃と言うことでしょうか? えーと、ゼロス君がフィリアがどうの、と言ってますのでアニメ版の設定になっています >>「え、えーと・・・」 >> にっこりと異様なくらいに愛想よく微笑みながらにじり寄ってくる少女に、ゼロスは顔を引きつらせた。 >>――そして、半ば脅迫じみた少女の要請により事情説明を終えた後に、爆笑の渦が沸き起こるのにさほど間はなかった。 > ゼロスはさらに精神に五十のダメージを喰らった。 > のこりHPは少ない。 哀れ獣神官・・・ >>「でもそんなに気にするなよ。いつかは元に戻れるだろ。それにその格好よく似合っているぞ、リナよりプロポーションもいいし」 >> ぴしっ! >> 青年剣士の言ってはいけない一言に、その場の空気が音を立てそうな勢いで瞬時に凍結した。 > 皆様ー、リナ=インバース警報が発令しました。 > 避難をしてください。避難をしてください。 > 子供は女性を優先的に避難させてください。 > 特に、胸の大きな方は早く逃げてください。 > 繰り返します……… 速やかに避難しないと攻撃呪文の巻き添えになります(笑 >>「ガウリイ・・・あんたそれ遠まわしに自分を吹っ飛ばしてくれって言っていると解釈していいわね」 >> 常日頃からひそかに抱いている劣等感を刺激されたリナはぼそりと地を這うように低い声でつぶやくと、即座に呪文詠唱を始めた。 >>「どわわわっ!リナよせ!」 >>「メガ・ブランド!」 >> ちゅどごおっ! > アーメン。(キリスト教徒じゃないけれど) > >>あとがき(という名の言い訳) >>うーむ、最初ギャグっぽい感じだったのに、またこんな感じに・・・ >>未熟な点を挙げるときりがないので一言だけ、ゼロスファンの方、すみません・・・ > いえ、おもしろかったです。(ゼロスファンじゃないけれど) > シリアスを上手に出せているセスさんがうらやましいです。 > 以上、kouでした。 ありがとうございます。 感想いただけて本当にうれしいです。 |
34690 | Re:仮初めの形・続 | フィーナ | 2009/10/18 23:50:28 |
記事番号34672へのコメント こんばんは。セスさん。 色々あって遅くなりましたがつたないレスをいたします。 > 元に戻れるかと思ったが、海王の『次の仕事があるまでそのままでいいじゃありませんか』との無情な一言にゼロスはしばらく立ち直れそうに無かった。 そして海王さまは、そんなゼロスの負の感情をおつまみがわりにしているんでしょうねぇ。 > うじうじしていてもしょうがないので、気晴らしに人間の町へといってみたが―― >「何だ、ゼロスじゃないか。久しぶりだな」 > ずしゃああっ! なんでついたそうそう出会いたくもない人に出会うんですか!?(ゼロス心の声) しかも正体ばれてるし(笑) >「だっ・・・誰が生ゴミですか!?誰が!どこかの凶暴わがまま黄金竜みたいなこと言わないでください!」 じゃあゴキブリ? 懐かしいなーフィリア。 >「な・・・なんで・・・こんな時に皆さんそろって・・・」 こんな時だからこそ、某金髪のお方が巡り合わせたのでしょう。 >「・・・皆さん、僕の前でそんな遠慮なく大笑いしなくても・・・」 >「だ・・・だって・・・海王の趣味で勝手に外見をいじくられたって・・・しかも目的が着せかえってあんた、これは笑うしかないでしょ」 映像にとってからかえばいかがでせう(外道) >「でもそんなに気にするなよ。いつかは元に戻れるだろ。それにその格好よく似合っているぞ、リナよりプロポーションもいいし」 > ぴしっ! > 青年剣士の言ってはいけない一言に、その場の空気が音を立てそうな勢いで瞬時に凍結した。 ガウリイ・・・あんた勇者だよ。 光の剣士の末裔とは別の意味で。 >「あの・・・リナさん、何でゼロスさんまで一緒に・・・」 理由はゼロスだから。 >「決まってるじゃない、あたしより胸でかいのが許せんからよ!」 >「・・・」 >(対抗意識燃やしてどうするんですか) 口に出したらアメリアの末路はガウリイゼロスのコンビの二の舞を踏むことに。 >「ええと・・・すっかり暗くなっちゃいましたね」 > 周囲は茜色の残照が色褪せ始めて青みがかった宵闇が漂い始めていた。いい加減帰ろうかと思い始めた頃。 空間を渡ることは出来るんですね。 海王様。ゼロスのそういった能力も封じてくれないかな。 >――すると不意に男の顔が酔いとは違う意味でだらしなく緩んだ。 >「あんた・・・別嬪さんだな・・・」 > 呂律の回らぬ舌で呟くと、大股で近づいて太い腕でいきなり手首をつかんだ。とろりと濁っていながら、ぎらついた両眼が嘗め回すように見詰めている。今は細く優美な女の姿を装っている身体を。 男って、悲しい生き物。 > 救いようがないほど愚劣で脆弱で。なのに同時に、同族同士で殺しあうことも珍しくないほど残忍な存在。 >「だから人間なんてくだらないって僕らは思うんですけどね・・・なかにはその逆・・・ひどく興味深くて珍しいって思わせてくれる人もなかにはいるんですよね・・・」 魔族が人間を自分より格下の下等生物だと認識している理由も、その辺にあるかもしれませんね。 >あとがき(という名の言い訳) >うーむ、最初ギャグっぽい感じだったのに、またこんな感じに・・・ 不幸なゼロスと極悪ゼロスの両方を楽しめました。 >未熟な点を挙げるときりがないので一言だけ、ゼロスファンの方、すみません・・・ 魔族は書きやすいですね。 セスさん相変わらず描写がすばらしいです。 |
34697 | Re:仮初めの形・続 | セス | 2009/10/20 19:14:13 |
記事番号34690へのコメント >こんばんは。セスさん。 >色々あって遅くなりましたがつたないレスをいたします。 こんばんは、フィーナさん。毎回コメントありがとうございます。 >> 元に戻れるかと思ったが、海王の『次の仕事があるまでそのままでいいじゃありませんか』との無情な一言にゼロスはしばらく立ち直れそうに無かった。 >そして海王さまは、そんなゼロスの負の感情をおつまみがわりにしているんでしょうねぇ。 その通りです(笑 >> うじうじしていてもしょうがないので、気晴らしに人間の町へといってみたが―― >>「何だ、ゼロスじゃないか。久しぶりだな」 >> ずしゃああっ! >なんでついたそうそう出会いたくもない人に出会うんですか!?(ゼロス心の声) >しかも正体ばれてるし(笑) >>「だっ・・・誰が生ゴミですか!?誰が!どこかの凶暴わがまま黄金竜みたいなこと言わないでください!」 >じゃあゴキブリ? >懐かしいなーフィリア。 >>「な・・・なんで・・・こんな時に皆さんそろって・・・」 >こんな時だからこそ、某金髪のお方が巡り合わせたのでしょう。 これも日ごろの行いのせいです(笑 >>「・・・皆さん、僕の前でそんな遠慮なく大笑いしなくても・・・」 >>「だ・・・だって・・・海王の趣味で勝手に外見をいじくられたって・・・しかも目的が着せかえってあんた、これは笑うしかないでしょ」 >映像にとってからかえばいかがでせう(外道) あ、そういういぢめかたもありましたかと感心してしました(をい) >>「でもそんなに気にするなよ。いつかは元に戻れるだろ。それにその格好よく似合っているぞ、リナよりプロポーションもいいし」 >> ぴしっ! >> 青年剣士の言ってはいけない一言に、その場の空気が音を立てそうな勢いで瞬時に凍結した。 >ガウリイ・・・あんた勇者だよ。 >光の剣士の末裔とは別の意味で。 そのあとすぐに命知らずな発言の報いを受けることになりましたが(笑 >>「あの・・・リナさん、何でゼロスさんまで一緒に・・・」 >理由はゼロスだから。 >>「決まってるじゃない、あたしより胸でかいのが許せんからよ!」 >>「・・・」 >>(対抗意識燃やしてどうするんですか) >口に出したらアメリアの末路はガウリイゼロスのコンビの二の舞を踏むことに。 アメリアもまだ命が惜しいので口にはしません(笑 >>「ええと・・・すっかり暗くなっちゃいましたね」 >> 周囲は茜色の残照が色褪せ始めて青みがかった宵闇が漂い始めていた。いい加減帰ろうかと思い始めた頃。 >空間を渡ることは出来るんですね。 >海王様。ゼロスのそういった能力も封じてくれないかな。 >>――すると不意に男の顔が酔いとは違う意味でだらしなく緩んだ。 >>「あんた・・・別嬪さんだな・・・」 >> 呂律の回らぬ舌で呟くと、大股で近づいて太い腕でいきなり手首をつかんだ。とろりと濁っていながら、ぎらついた両眼が嘗め回すように見詰めている。今は細く優美な女の姿を装っている身体を。 >男って、悲しい生き物。 ですね・・・ >> 救いようがないほど愚劣で脆弱で。なのに同時に、同族同士で殺しあうことも珍しくないほど残忍な存在。 >>「だから人間なんてくだらないって僕らは思うんですけどね・・・なかにはその逆・・・ひどく興味深くて珍しいって思わせてくれる人もなかにはいるんですよね・・・」 >魔族が人間を自分より格下の下等生物だと認識している理由も、その辺にあるかもしれませんね。 そんななかでゼロス君はリナ達を面白いってかんじてるんじゃないかなと思ったので。 >>あとがき(という名の言い訳) >>うーむ、最初ギャグっぽい感じだったのに、またこんな感じに・・・ >不幸なゼロスと極悪ゼロスの両方を楽しめました。 >>未熟な点を挙げるときりがないので一言だけ、ゼロスファンの方、すみません・・・ >魔族は書きやすいですね。 >セスさん相変わらず描写がすばらしいです。 ありがとうございます。 いつも温かいコメントいただけて嬉しいです。 |