◆−新たな生−セス (2009/11/21 21:32:19) No.34863 ┣Re:新たな生−水野 (2009/11/22 19:13:01) No.34868 ┃┗Re:新たな生−セス (2009/11/26 20:10:19) No.34886 ┣新たな生 2−セス (2009/12/12 00:42:27) No.34941 ┃┗Re:新たな生 2−kou (2009/12/12 19:41:26) No.34942 ┃ ┗Re:新たな生 2−セス (2009/12/15 21:20:01) No.34951 ┗新たな生 3−セス (2010/1/2 22:25:32) No.34987 ┗Re:新たな生 3−フィーナ (2010/1/4 16:44:19) No.34992 ┗Re:新たな生 3−セス (2010/1/11 14:21:49) No.35001
34863 | 新たな生 | セス | 2009/11/21 21:32:19 |
赦されないことだろうか。 罪深いことだろうか。 ただ生き続けたいと望むのは――存在することを求めてあがくことは。 雪が降っていた。 水底を沈んでいくようにゆっくりと、無数の雪片が降り続けて周囲を純白に塗りつぶしていく。 むき出しの赤茶けた大地も――その上に横たわる無数の屍も。 巨木が朽ちて倒れるように無造作に転がっているのは、漆黒の鱗に覆われた巨躯である。 あるものは杭のごとく無数の槍で刺し貫かれ、あるものは頭を砕かれ――徹底的に、執拗なまでの虐殺の痕を穿たれ、冷えきった骸の数々。 「ひ・・・く・・・う・・・ぐ・・・」 白い静寂に凍る光景の中で誰かが呻いていた。 否――誰かが泣いていた。か細い声で、切れ切れに。 大地を覆い尽くすように転がる無数の黒い屍に囲まれているのは、まだ十にも満たないと見える子供だ。 肩の辺りで切りそろえられたその髪が透けるように明るい浅葱色でなければ。 あるいは小さな背から、体躯にそぐわないほど巨大な一対の黒々とした翼が生えていなければ、その姿は人間に見えたろう。 人にはありえない色彩の髪と、闇色の翼は人でないことの証。 「ひ・・・ぐ・・・ど・・・どうして・・・こんな・・・」 嗚咽の合間に漏れてくる問いかけに、周囲に横たわる骸は答えない。 存在そのものを異端と決め付けられ否定されてしまった、古代竜(エンシェント・ドラゴン)の死骸たちは。 雪は静かに降り積もる。流れ出た血潮を覆い尽くすように。 一つの種族が虐殺されたことを悼んで涙をこぼすように―― 「神さま・・・お願い、助けて・・・」 残酷なほど冴え冴えと白い薄片をこぼすだけの天空は、幼い哀願に耳を傾けてくれなかった。 幼い魂に刻み込まれた、不条理な現実。 この世に『神』という救いの手を差し伸べてくれる超越者はいない。 祈りを聞き遂げてくれるものはおらず、願いを叶えてくれるものもいない。 無数の生命が誰も殺さず誰も憎まず、清いままでいられるはずがない。 それが分かっていてもやはり死ぬのは怖かった。自分の存在が消えてなくなるのが嫌だった。 だからもがいてもがいてもがき続けて―― 疲れ果てて生への執着が薄れて。 もう何もかもどうでもいいと思うようになった頃に出会った。 眼に焼け付くように鮮烈な紅の長髪を背に流した偉丈夫に。 「お前に俺の名を与えてやろう、ヴァルガーヴと名乗るがいい」 低いが深い声で告げられると共に、新たな生を与えられた。 続 あとがき(という名の言い訳) TRYの一部を書いてみようと思いまして・・・やはり筆力不足・・・ しかも暗い・・・まあヴァルガーヴなのでしかた・・・ さずっ! (後ろから薄緑の髪の青年に刺される) |
34868 | Re:新たな生 | 水野 | 2009/11/22 19:13:01 |
記事番号34863へのコメント こんにちは、セスさん。 水野です >赦されないことだろうか。 >罪深いことだろうか。 >ただ生き続けたいと望むのは――存在することを求めてあがくことは。 シリアスな雰囲気からSTARTですね……。 >雪が降っていた。 >水底を沈んでいくようにゆっくりと、無数の雪片が降り続けて周囲を純白に塗りつぶしていく。 > むき出しの赤茶けた大地も――その上に横たわる無数の屍も。 > 巨木が朽ちて倒れるように無造作に転がっているのは、漆黒の鱗に覆われた巨躯である。 > あるものは杭のごとく無数の槍で刺し貫かれ、あるものは頭を砕かれ――徹底的に、執拗なまでの虐殺の痕を穿たれ、冷えきった骸の数々。 しっ屍!? 虐殺……。 >「ひ・・・く・・・う・・・ぐ・・・」 > 白い静寂に凍る光景の中で誰かが呻いていた。 > 否――誰かが泣いていた。か細い声で、切れ切れに。 > 大地を覆い尽くすように転がる無数の黒い屍に囲まれているのは、まだ十にも満たないと見える子供だ。 きょ……今日行くによろしくないですな……。周りが屍というのは……。(そう言う問題じゃない) > 肩の辺りで切りそろえられたその髪が透けるように明るい浅葱色でなければ。 > あるいは小さな背から、体躯にそぐわないほど巨大な一対の黒々とした翼が生えていなければ、その姿は人間に見えたろう。 ヴァルガーヴでしたか……。 ついこの間まで書いていた小説であるキャラに殴られたと言う事にしたのは良い思い出ですね(良い思い出じゃないよ?) > 人にはありえない色彩の髪と、闇色の翼は人でないことの証。 >「ひ・・・ぐ・・・ど・・・どうして・・・こんな・・・」 > 嗚咽の合間に漏れてくる問いかけに、周囲に横たわる骸は答えない。 死人に口なしですからね……。 > 存在そのものを異端と決め付けられ否定されてしまった、古代竜(エンシェント・ドラゴン)の死骸たちは。 >雪は静かに降り積もる。流れ出た血潮を覆い尽くすように。 > 一つの種族が虐殺されたことを悼んで涙をこぼすように―― >「神さま・・・お願い、助けて・・・」 ・・・の部分は偶数になるようにやると良いですよ。あくまでアドバイスですが……。 > 残酷なほど冴え冴えと白い薄片をこぼすだけの天空は、幼い哀願に耳を傾けてくれなかった。 うぅ……可哀想に……(ぐすっ) > 幼い魂に刻み込まれた、不条理な現実。 > この世に『神』という救いの手を差し伸べてくれる超越者はいない。 居るのは乱暴な金髪姉さんですからね > 祈りを聞き遂げてくれるものはおらず、願いを叶えてくれるものもいない。 >無数の生命が誰も殺さず誰も憎まず、清いままでいられるはずがない。 確かにそれはそうですね > それが分かっていてもやはり死ぬのは怖かった。自分の存在が消えてなくなるのが嫌だった。 > だからもがいてもがいてもがき続けて―― うぅぅ……泣けてきてしまいます……。 > 疲れ果てて生への執着が薄れて。 > もう何もかもどうでもいいと思うようになった頃に出会った。 > 眼に焼け付くように鮮烈な紅の長髪を背に流した偉丈夫に。 ガーヴでたー!! >「お前に俺の名を与えてやろう、ヴァルガーヴと名乗るがいい」 > 低いが深い声で告げられると共に、新たな生を与えられた。 こうしてヴァルが登場と言う事ですか……。 とても上手に出来ています。 次のストーリーに期待しています。 以上水野でした |
34886 | Re:新たな生 | セス | 2009/11/26 20:10:19 |
記事番号34868へのコメント こんばんは、水野さん。 >死人に口なしですからね……。 死人というか、死竜というか・・・ >> 存在そのものを異端と決め付けられ否定されてしまった、古代竜(エンシェント・ドラゴン)の死骸たちは。 >>雪は静かに降り積もる。流れ出た血潮を覆い尽くすように。 >> 一つの種族が虐殺されたことを悼んで涙をこぼすように―― >>「神さま・・・お願い、助けて・・・」 > >・・・の部分は偶数になるようにやると良いですよ。あくまでアドバイスですが……。 基本的に・・・は三つで一つにまとめておくやり方が多いと思いますが・・・ >> 残酷なほど冴え冴えと白い薄片をこぼすだけの天空は、幼い哀願に耳を傾けてくれなかった。 >うぅ……可哀想に……(ぐすっ) > >> 幼い魂に刻み込まれた、不条理な現実。 >> この世に『神』という救いの手を差し伸べてくれる超越者はいない。 > >居るのは乱暴な金髪姉さんですからね 時折気まぐれで優しい一面も見せますけどね(笑 > >> 祈りを聞き遂げてくれるものはおらず、願いを叶えてくれるものもいない。 >>無数の生命が誰も殺さず誰も憎まず、清いままでいられるはずがない。 > >確かにそれはそうですね > >> それが分かっていてもやはり死ぬのは怖かった。自分の存在が消えてなくなるのが嫌だった。 >> だからもがいてもがいてもがき続けて―― > >うぅぅ……泣けてきてしまいます……。 > >> 疲れ果てて生への執着が薄れて。 >> もう何もかもどうでもいいと思うようになった頃に出会った。 >> 眼に焼け付くように鮮烈な紅の長髪を背に流した偉丈夫に。 > >ガーヴでたー!! > >>「お前に俺の名を与えてやろう、ヴァルガーヴと名乗るがいい」 >> 低いが深い声で告げられると共に、新たな生を与えられた。 > >こうしてヴァルが登場と言う事ですか……。 > >とても上手に出来ています。 >次のストーリーに期待しています。 > >以上水野でした ありがとうございました、TRYも結構好きな話なので一度書こうと思ったのですがまだ未熟・・・ |
34941 | 新たな生 2 | セス | 2009/12/12 00:42:27 |
記事番号34863へのコメント 黙然と佇む若者は仇敵でも睨みすえるように空を睥睨していた。 無数の雲が緩やかにたゆたう色鮮やかな蒼穹はよく晴れ渡っていた――抜けるように深く、嘲笑するように高らかに。 「・・・我が主・・・」 ポツリと呟くように漏れた声は、微かに震えていた。裡に秘めた激情を押し殺そうとして押し殺しきれずにいるように。 吹き付けてきた風を受けて肩で切りそろえた髪が緩やかになびいた。淡く青みがかった浅緑の色を添えたしなやかな髪が。 「ガーヴさま・・・」 その名を口にしても、答えてくれる者はもういない。自分の存在を肯定して、自分の存在に意味を与えてくれた『彼』は滅ぼされてしまった。 自分が身を置くべき場所はもう無い。 「・・・」 身をもがれたような喪失感と、それを埋めるように勢いよく噴き出す憤怒が胸を締め付ける。 (思い知らせてやる――) 『世界のため』という大義名分を免罪符として振りかざし、同族たちを根こそぎ滅ぼした『神』に属する者たちにも。 すべてを無に還すという理に反した自分の主を滅ぼした『魔』に属する者たちにも。 そして――それらを存続させている世界そのものにも。 黄金色の双眸が炎を灯したようにぎらついていた。 自分を認めてくれた存在を奪われたことへの悲嘆、憤り、その他諸々の激情によって醸成されたほの暗い望みを秘めて。 そしてその望みに突き動かされるがままに、主の敵の一人である人間の娘を見つけた。 明るい栗色の髪に囲まれた小さな顔、毅然と輝く紅玉のような瞳が印象的な娘。 見るからに小柄な外見に反して、弱々しく脆そうな印象は微塵も無い。それはその瞳に浮かぶ眼光のせいだろうか。 自分の生が危険にさらされながらも、ふてぶてしいまでの生気を秘めた凛然とした光を宿した紅い瞳がこちらをねめつけている。 こんな眼をどこかで見たことがある。だがどこでだっだだろうか・・・? 不意にそんな思いが掠めた。 |
34942 | Re:新たな生 2 | kou | 2009/12/12 19:41:26 |
記事番号34941へのコメント こんばんは、セスさん。お久しぶりです……かな? >黙然と佇む若者は仇敵でも睨みすえるように空を睥睨していた。 > 無数の雲が緩やかにたゆたう色鮮やかな蒼穹はよく晴れ渡っていた――抜けるように深く、嘲笑するように高らかに。 >「・・・我が主・・・」 > ポツリと呟くように漏れた声は、微かに震えていた。裡に秘めた激情を押し殺そうとして押し殺しきれずにいるように。 > 吹き付けてきた風を受けて肩で切りそろえた髪が緩やかになびいた。淡く青みがかった浅緑の色を添えたしなやかな髪が。 >「ガーヴさま・・・」 > その名を口にしても、答えてくれる者はもういない。自分の存在を肯定して、自分の存在に意味を与えてくれた『彼』は滅ぼされてしまった。 > 自分が身を置くべき場所はもう無い。 >「・・・」 居場所と言うべき場所を失った 居場所を失ったのはこれで二度目 > 身をもがれたような喪失感と、それを埋めるように勢いよく噴き出す憤怒が胸を締め付ける。 >(思い知らせてやる――) > 『世界のため』という大義名分を免罪符として振りかざし、同族たちを根こそぎ滅ぼした『神』に属する者たちにも。 > すべてを無に還すという理に反した自分の主を滅ぼした『魔』に属する者たちにも。 > そして――それらを存続させている世界そのものにも。 それが金色の魔王に対する反逆と言われても > 黄金色の双眸が炎を灯したようにぎらついていた。 > 自分を認めてくれた存在を奪われたことへの悲嘆、憤り、その他諸々の激情によって醸成されたほの暗い望みを秘めて。 > そしてその望みに突き動かされるがままに、主の敵の一人である人間の娘を見つけた。 > 明るい栗色の髪に囲まれた小さな顔、毅然と輝く紅玉のような瞳が印象的な娘。 生命力あふれる光が輝く > 見るからに小柄な外見に反して、弱々しく脆そうな印象は微塵も無い。それはその瞳に浮かぶ眼光のせいだろうか。 > 自分の生が危険にさらされながらも、ふてぶてしいまでの生気を秘めた凛然とした光を宿した紅い瞳がこちらをねめつけている。 > こんな眼をどこかで見たことがある。だがどこでだっだだろうか・・・? > 不意にそんな思いが掠めた。 う〜ん、いろいろ思わせる話です。 と、言うかまだ続く見たいですね。 以上、kouでした。 |
34951 | Re:新たな生 2 | セス | 2009/12/15 21:20:01 |
記事番号34942へのコメント こんばんは、kouさん。お久しぶりです。 >> 自分が身を置くべき場所はもう無い。 >>「・・・」 > 居場所と言うべき場所を失った > 居場所を失ったのはこれで二度目 だからこそ、一度鎮火しかけていた憎悪が吹き上がってしまった >> 身をもがれたような喪失感と、それを埋めるように勢いよく噴き出す憤怒が胸を締め付ける。 >>(思い知らせてやる――) >> 『世界のため』という大義名分を免罪符として振りかざし、同族たちを根こそぎ滅ぼした『神』に属する者たちにも。 >> すべてを無に還すという理に反した自分の主を滅ぼした『魔』に属する者たちにも。 >> そして――それらを存続させている世界そのものにも。 > それが金色の魔王に対する反逆と言われても 復讐という歪んだ望みを抑えきれない >> 黄金色の双眸が炎を灯したようにぎらついていた。 >> 自分を認めてくれた存在を奪われたことへの悲嘆、憤り、その他諸々の激情によって醸成されたほの暗い望みを秘めて。 >> そしてその望みに突き動かされるがままに、主の敵の一人である人間の娘を見つけた。 >> 明るい栗色の髪に囲まれた小さな顔、毅然と輝く紅玉のような瞳が印象的な娘。 > 生命力あふれる光が輝く >> 見るからに小柄な外見に反して、弱々しく脆そうな印象は微塵も無い。それはその瞳に浮かぶ眼光のせいだろうか。 >> 自分の生が危険にさらされながらも、ふてぶてしいまでの生気を秘めた凛然とした光を宿した紅い瞳がこちらをねめつけている。 >> こんな眼をどこかで見たことがある。だがどこでだっだだろうか・・・? >> 不意にそんな思いが掠めた。 > う〜ん、いろいろ思わせる話です。 > と、言うかまだ続く見たいですね。 > 以上、kouでした。 ありがとうございます、kouさん。 ヴァルガーヴ、書いてみたかったのですが、実際書いてみたら思うようにいかなくてへこんでいたのですが、感想いただけて嬉しかったです |
34987 | 新たな生 3 | セス | 2010/1/2 22:25:32 |
記事番号34863へのコメント 結局その娘の命を仕留めそこない、彼は一時撤退した。 脳裏に思い起こしたのはその時の少女の様子。 「なるほどね、戦いを楽しんじゃうのもガーヴゆずりってわけ?」 挑発的に言い放つ少女の顔に浮かんでいたのは微笑だ。それもおびえて媚びへつらうような笑いではなく、絶望と諦観をにじませた暗い笑みでも無い。 小さな顔の中で凛と澄み切った光を宿した真紅の瞳は燃えるようにきらめき、口の端はかすかに吊り上ってふてぶてしいまでに不敵な笑みを形作っていた。 人間の小娘にしては珍しいほど剛毅な気性だ。ここまで臆することなく毅然としているのもたいしたものだ。 ――誰かに似ている。 不意にそんな言葉が胸中をかすめた。『誰か』というのは一体誰のことか? 彼はしばらく眉をひそめて考え込む。 「お前に俺の名を与えてやろう。ヴァルガーヴと名乗るがいい」 不意に思い出した、渋みを含んだ低い声音。 長く豊かな紅い蓬髪。彫りの深い端正な顔。 そこに浮かんでいるのは野卑とも獰猛ともいえる笑みだ。 ――ああ、そうか。『あの方』に似ているのか。 生気を宿した笑み。自分が生き残るためになりふり構わず足掻く意思を孕んだ眼光。 おかしな話である。主の敵である娘を見て、主に似た部分を見出すとは。 だが――彼は奇妙に納得してもいた。 自分が生き延びるために戦う――その点では主もあの娘も確かに同じだ。 だが今更復讐をやめる気はさらさら無い。 胸中で陰惨に燃え盛る瞋恚を鎮火させることは、彼自身にも不可能だった。 ――もう他に、すがるべきものが無いのだから。 |
34992 | Re:新たな生 3 | フィーナ | 2010/1/4 16:44:19 |
記事番号34987へのコメント こんにちは。セスさん。 新年明けましておめでとうございます。 >「なるほどね、戦いを楽しんじゃうのもガーヴゆずりってわけ?」 > 挑発的に言い放つ少女の顔に浮かんでいたのは微笑だ。それもおびえて媚びへつらうような笑いではなく、絶望と諦観をにじませた暗い笑みでも無い。 > 小さな顔の中で凛と澄み切った光を宿した真紅の瞳は燃えるようにきらめき、口の端はかすかに吊り上ってふてぶてしいまでに不敵な笑みを形作っていた。 ここリナらしくて好きです。 > 人間の小娘にしては珍しいほど剛毅な気性だ。ここまで臆することなく毅然としているのもたいしたものだ。 ただ単にわがままなだけじゃないんですよね。リナが聞いたら怒りそうですが。 >「お前に俺の名を与えてやろう。ヴァルガーヴと名乗るがいい」 > 不意に思い出した、渋みを含んだ低い声音。 > 長く豊かな紅い蓬髪。彫りの深い端正な顔。 > そこに浮かんでいるのは野卑とも獰猛ともいえる笑みだ。 > ――ああ、そうか。『あの方』に似ているのか。 > 生気を宿した笑み。自分が生き残るためになりふり構わず足掻く意思を孕んだ眼光。 ガーヴもリナも、生きることにかけては貪欲ですよね。 > おかしな話である。主の敵である娘を見て、主に似た部分を見出すとは。 > だが――彼は奇妙に納得してもいた。 > 自分が生き延びるために戦う――その点では主もあの娘も確かに同じだ。 魔族でありながら人の生存の本能を宿したガーヴは、他の魔族からみたら異端であり、反旗を翻した脅威でもありました。 彼にかなう魔族は、魔王か他の腹心の部下しかいませんでしたから。 > だが今更復讐をやめる気はさらさら無い。 > 胸中で陰惨に燃え盛る瞋恚を鎮火させることは、彼自身にも不可能だった。 > ――もう他に、すがるべきものが無いのだから。 悲壮な決意でしたね。 独りで向かい風に立ち向かうイメージが、ヴァルガーヴにありました。 セスさん今年もよろしくお願いします。 |
35001 | Re:新たな生 3 | セス | 2010/1/11 14:21:49 |
記事番号34992へのコメント >こんにちは。セスさん。 >新年明けましておめでとうございます。 こんにちは、フィーナさん。 お返事遅れてすみません。 >>「なるほどね、戦いを楽しんじゃうのもガーヴゆずりってわけ?」 >> 挑発的に言い放つ少女の顔に浮かんでいたのは微笑だ。それもおびえて媚びへつらうような笑いではなく、絶望と諦観をにじませた暗い笑みでも無い。 >> 小さな顔の中で凛と澄み切った光を宿した真紅の瞳は燃えるようにきらめき、口の端はかすかに吊り上ってふてぶてしいまでに不敵な笑みを形作っていた。 >ここリナらしくて好きです。 ありがとうございます。リナらしさをうまく描写できていればいいな、と思っていたので >> 人間の小娘にしては珍しいほど剛毅な気性だ。ここまで臆することなく毅然としているのもたいしたものだ。 >ただ単にわがままなだけじゃないんですよね。リナが聞いたら怒りそうですが。 単なるわがまま凶暴娘じゃガウリイたちもここまでついていきませんよね。 >>「お前に俺の名を与えてやろう。ヴァルガーヴと名乗るがいい」 >> 不意に思い出した、渋みを含んだ低い声音。 >> 長く豊かな紅い蓬髪。彫りの深い端正な顔。 >> そこに浮かんでいるのは野卑とも獰猛ともいえる笑みだ。 >> ――ああ、そうか。『あの方』に似ているのか。 >> 生気を宿した笑み。自分が生き残るためになりふり構わず足掻く意思を孕んだ眼光。 >ガーヴもリナも、生きることにかけては貪欲ですよね。 >> おかしな話である。主の敵である娘を見て、主に似た部分を見出すとは。 >> だが――彼は奇妙に納得してもいた。 >> 自分が生き延びるために戦う――その点では主もあの娘も確かに同じだ。 >魔族でありながら人の生存の本能を宿したガーヴは、他の魔族からみたら異端であり、反旗を翻した脅威でもありました。 >彼にかなう魔族は、魔王か他の腹心の部下しかいませんでしたから。 >> だが今更復讐をやめる気はさらさら無い。 >> 胸中で陰惨に燃え盛る瞋恚を鎮火させることは、彼自身にも不可能だった。 >> ――もう他に、すがるべきものが無いのだから。 >悲壮な決意でしたね。 >独りで向かい風に立ち向かうイメージが、ヴァルガーヴにありました。 >セスさん今年もよろしくお願いします。 感想ありがとうございました、フィーナさん。 今年もよろしくお願いします。 |