◆-まえがき-白銀の魔獣(7/31-18:28)No.3723
 ┗白と黒の輪舞-白銀の魔獣(7/31-18:30)No.3724
  ┗Re:白と黒の輪舞-松原ぼたん(8/3-16:26)No.3754


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3723まえがき白銀の魔獣 7/31-18:28


 えっと、アメリア一人称の話です。
 アメリナの方は今加筆編集中+執筆中です(汗)
完結したら掲載します。
 連載は整合性が取れなくなるので私には無理だった様です。
しばらくお待ち下さいって……待ってる人いませんよね?

 では、アメリアの話を読んでみて下さい、どたばたです。

                       白銀の魔獣

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3724白と黒の輪舞白銀の魔獣 7/31-18:30
記事番号3723へのコメント

『白と黒の輪舞』

 あたしの名はアメリア、アメリア=ウイル=テスラ=セイルーン。
正義の心を燃やし、この世に愛と平和をもたらす正義の使者なのです!
 あたしは、ようやく明るみ始めた空に向かって瞳に炎を燃やすのでした。
 昨日は野宿でした、一昨日も野宿でした、その前も野宿です。
公務も終わり、少し暇になったので、寂れた街道を歩いていたのですが宿が
全然ありません。
 でも……全くへ〜きです、あたしはほんと〜にセイルーンのお姫様で巫女
なのでしょうか?
 正義の為にはこのくらいで音を上げるわけにはいきませんが、ある日この
ギャップが埋まらなくなる日が来るのではないかと少し心配です。
 きゃあぁぁ〜〜 どわどわどわ〜
 あたしが野宿の後始末をしていると、絹を裂く様な女性の悲鳴とドラム缶
を叩くような男の悲鳴が聞こえてきました!!
 チャンスです! あたしはすかさず手持ちの絹を取り出すと思いっきり引
き裂いてみました。
 びり…びりびり……
 ……やっぱりです! どう聞いても女性の悲鳴には聞こえません!!
 あたしの手によって、ここにまた一つ真実が明かされました。
古き言い伝えは間違っていたのです!!
 当然あたしは空に向けてガッツポーズを決めました。
 きゃあぁぁ〜〜
 ……はっ!!
 こんな事をしている場合では有りません、早く助けに行かなければっ!!
 悲鳴の聞こえた方向に向かって走ります、幸いこの街道は森を中を通って
いるので高い所に困る心配はありません。

 木に登ったあたしの目の前で、ひ弱そうな男の人と逞しそうな女の人が、
野盗に襲われています。
「お待ちなさい、この世に闇なす者たちよ! その心に例え一片でも光ある
ならば、今すぐその行いを悔い改めるのです!!」
「なにぃ! どこだどこだ!!」
 きょろきょろと辺りを見回す野盗達を燦然と見下ろすと、あたしは勢い良
く枝を蹴って野盗の方に飛び降ります。
 ――がしっ!!
 飛び降りたあたしは宙で何者かに足を掴まれ、地面が徐々に迫り来ます。
 う…むぎゅ……
 叫ぶ暇も有りはせず、あたしは地面にしたたか顔をぶつけました。
「何するんです! 痛いじゃないですか!!」
 あたしは後ろを振り向くと、あたしの足を掴んだと思しき女の人?に声を
荒げた。当然、もう既に足は掴まれてはいない。
 女の人は虚空を見詰めながら、淡々と語ります。
「……人助け、それはすなわち悪……」
 …………………
「人助けとは、他人の苦労を肩代わりし、感謝の言葉をもって満足する行為
……また、他人の苦難を取り除く事によって、その者が困難を克服し成長す
るチャンスを阻害する行為でもある……」
 思考を攪拌され、真っ白になったあたしの前で彼女はまるで独り言のよう
に語り続ける。
「チャンス……? そうチャンスだ、誰もが困難を克服し成長できるとは限
らない、困難は克服すれば強くなる坐絶すれば賢くなる……だが卑屈になる
者もいるだろう、まして人に頼れば弱くなる。自らを高みに登らせる行為を
辞した者も等しく生きる権利を有するのだろうか?」
「え? ……え〜と、そういう次元の話ではないと思いますけど?(汗)」
 何を話しているんだろう? この人……??
つい反射的に答えてしまったけれど、当たってるのかな?
こんな時、ゼルガディスさんがいればすらすら答えるんだろうな……
「否…断じて否だ! 弱き個体は間引かれなければならぬ、弱者救済の形体
をとっていては、強き者に負担が掛かり先に死滅するか共に死滅するかの二
択となってしまう……」
 え〜と、何を話しているんだろう?
 ……まとめます……まとめます……まとめます……まとまりません(涙)
「哀れむべきは魔族か……生を望む者たちがここまで不甲斐なくなければ、
均衡を崩す事も無かったであろうに…強さの分類もまた問題だ、政治・学問
商売・論争・戦争、必要となる能力が違う! 兼用できない事も無いが商売
で勝っていても権力闘争で負け、弱者として排斥される事も有るか…ふむ」
「そこまでです! 何を言ってるのか判りませんがあたしの邪魔をした理由
を簡潔に話しなさいっ!!」
 語りが一段落したのを見計らって、あたしは彼女に向かって指を突きつけ
憤懣を爆発させました。
 彼女が悪人なら、燃える正義の心をぶつける所ですけど、どうも悪人とい
うわけでは無いみたいですし……
「与えられた恵みを奪おうとしたからだが?」
 ……恵み……奪う?
「あたしが何を奪おうとしたって言うんですかっ!!」
「人を……困難から助けようとしただろう?」
「それのどこが奪うというのです!」
「困難を克服する機会をだ……」
 ……困難……機会……?
「どうやら、事は既に終わったようだが?」
「ああっ!!」
 あたしが振り向くと、金目の物を全て奪われ街道に放置されている男女の
姿がありました。
「だ…大丈夫ですかっ!!」
 あたしは慌てて駆け寄る。
「大丈夫だとは思わんが、命に別状はないしばらくしたら気が付くだろう」
 いつのまにか近寄って来た彼女が、倒れた二人を看ています。

「……う…うん……」
 二人は同時に気が付くと、男の方が自分の姿を見て喚きました。
「ああっ……金がぁ無いぃぃぃ…(涙)」
「あの…よろしければ…………」
「駄目だ!」
 あたしがお金を分けてあげようと話し掛けると、彼女が口を挟んできた。
「何故ですかっ!」
「施しや救済は人の為にならない」
 彼女の一言に男は益々泣きそうな表情になってます。
「幸い私は金融業も営んでいる、私が貸すなら商売だ」
 え? ……なんだ、やっぱり悪い人じゃないみたいですね。
「ありがとうございますぅ」
 男の人はやっぱり今にも泣きそうな表情で喜んでいます。
多分、今度のは嬉し泣きでしょうけど……
「ちなみにこれが証文で、利息は十一だ返済期限は3年だからな」
 …………、男の人はとうとう涙を流しています。
「あの……それはあんまりじゃあ……」
 恐る恐るあたしは声をかける。
「この行為の有効性に付いて論じましょうか?」
「……いいです」
 ――かくして、一つの事件は終わりを告げ
 このあたしの手によって、ここら辺一体の野盗、盗賊、山賊達のアジトは
壊滅した。
 あ〜っ! もう、むしゃくしゃしますっ!!
 そう、あたしは昼から夜にかけて、盗賊たちのアジトを襲撃したのです。
 それは勿論正義の為、そしてこのあたしの胸に残るもやもやした気持ちを
昇華する為です。
 彼女に……そういえば名前も聞いてないですね……この行為が見られても
困難の一言で済むでしょうし、なんかリナさんの気持ちが良く判るような気
がします。
 再び彼女に出会わない事を祈って、あたしは夕日に向かってポーズを決め
るのだった。
 夕日? ……そういえば今は夜……
 いいんですっ! こういうときでは夕陽なんです! 夕日なんです!
夕陽なんです! 夕日ぃぃっっっ!!!
 赤々と空が明るみ、太陽がおずおずと顔を上げる。
そう…夕陽なのです! あたしは夕陽に背を向けると西に向かってポーズを
決めたのです……
 ……にし? 西ってそりゃ朝焼けですっ!!
 あ〜っ! もう、太陽まであたしを馬鹿にしでますぅぅ!!!
 もう会いませんからねっ!! あたしは空に浮かんだ彼女の顔に指を突き
つけると、太陽に背を向けて走り出しました。
 ――かくして、あたしに苦手な人物がまた一人増えたのです。

−とりあえず完−

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3754Re:白と黒の輪舞松原ぼたん E-mail 8/3-16:26
記事番号3724へのコメント
 面白かったです。

>正義の心を燃やし、この世に愛と平和をもたらす正義の使者なのです!
 わかりやすい説明(笑)。
> でも……全くへ〜きです、あたしはほんと〜にセイルーンのお姫様で巫女
>なのでしょうか?
 正義のためには些細な事なのでは?
> あたしが野宿の後始末をしていると、絹を裂く様な女性の悲鳴とドラム缶
>を叩くような男の悲鳴が聞こえてきました!!
 あの、ドラム缶ってあるの?
> ……やっぱりです! どう聞いても女性の悲鳴には聞こえません!!
 今更なにを基本的なことを。比喩と言うことをしらんのかい(笑)。
>「……人助け、それはすなわち悪……」
 ひー、怖いある意味。
>「人助けとは、他人の苦労を肩代わりし、感謝の言葉をもって満足する行為
>……また、他人の苦難を取り除く事によって、その者が困難を克服し成長す
>るチャンスを阻害する行為でもある……」
 あ、ちょっぴし正論かも(笑)。
>「え? ……え〜と、そういう次元の話ではないと思いますけど?(汗)」
 あれ? アメリアがまともだ(笑)。
>「否…断じて否だ! 弱き個体は間引かれなければならぬ、弱者救済の形体
>をとっていては、強き者に負担が掛かり先に死滅するか共に死滅するかの二
>択となってしまう……」
 動物か、おのれは。
> あたしが振り向くと、金目の物を全て奪われ街道に放置されている男女の
>姿がありました。
 お気の毒、付き合わされて。
>「ちなみにこれが証文で、利息は十一だ返済期限は3年だからな」
 いや、悪い人かもしんない。
>「この行為の有効性に付いて論じましょうか?」
 イヤ。
> このあたしの手によって、ここら辺一体の野盗、盗賊、山賊達のアジトは
>壊滅した。
 どこぞやのだれかさんの影響ちょっと受けてません?
> 彼女に……そういえば名前も聞いてないですね……この行為が見られても
>困難の一言で済むでしょうし、なんかリナさんの気持ちが良く判るような気
>がします。
 ああいうタイプは扱いさえ心得れば楽ですよ、あんたもだけど。
> いいんですっ! こういうときでは夕陽なんです! 夕日なんです!
>夕陽なんです! 夕日ぃぃっっっ!!!
 そう。
> あ〜っ! もう、太陽まであたしを馬鹿にしでますぅぅ!!!
 そればっかりはちょっと・・・・。
> ――かくして、あたしに苦手な人物がまた一人増えたのです。
 確かにあんまりオトモダチにはないたくないけど。


 本当におもしろかったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。