◆-Refelection-MEIMI(8/11-13:37)No.3929
 ┗Refelection2-MEIMI(8/12-01:16)No.3945
  ┗Refelection2-MEIMI(8/12-01:52)No.3946
   ┗Re:Refelection1、2-松原ぼたん(8/12-22:48)No.3969
    ┗Refelection3-MEIMI(8/13-00:28)No.3980
     ┗Re:Refelection3-松原ぼたん(8/13-17:14)No.3999
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3929RefelectionMEIMI E-mail 8/11-13:37

Refelection(1)


「ガウリイ!ガウリイ!ガウリイイイ!」
わかってる・・・いくら叫んでもどうしようもない事・・・・
でも・・・でも・・・・・
あたしは神様じゃない・・・・大切な物を守り切る事が出来ない・・・
だから・・・だから・・・・・
「リナ・・・」
胸を真っ赤に染めたガウリイは、僅かに上半身を動かすと、あたしの耳元で囁いた。
大切な・・・大切な・・・最後の言葉・・・・・・・
そしてーーーーーーーー
「ガウ・・リイ・・?」
世界よりも大切なその人はーーーーあたしの腕の中で息を引き取った・・・・。

Refelection(1)



「ガウリイ!ガウリイ!ガウリイイイ!!!」
・・わかってる・・・いくら叫んでもどうしようもない事・・・
でも・・でも・・・・・・・
あたしは神様じゃない・・・大切な物を守り切る事が出来ない・・・・
だから・・だから・・・
「リナ・・・」
胸を真っ赤に染めたガウリイは僅かに上半身を動かすと、あたしの耳元で囁いた。
大切な・・・大切な・・・最期の言葉・・・・
そしてーーーーーーーー
「ガウ・・リイ・・?」
世界よりも大切なその人はーーーーあたしの腕の中で息を引き取った・・・・。



そして時が流れーーーーーーー



「起立!礼!」
号令と同時に頭を下げると、あたしは机を片づけるのももどかしく教室を飛び出した。
6月某日ーーーー6月の掃除当番の保健委員は、あたし達3年生である。
「失礼しまーす!」
ドアを開けるなりそう叫ぶと、あたしは箒を手にとって掃除を手早く始めた。
「あら?長嶋さん、急いでるの?」
「はい。・・っと、これで終わり!さよーなら!」
ロッカーに箒を叩き込むと、あたしは転がるようにして保健室を飛び出した。

そうそう、自己紹介が遅れていたわね。
あたしは長嶋絢子。千葉県立N西高校の3年H組。
親からは「絢子」とか「絢ちゃん」って呼ばれているし、先生や学友からは「長嶋さん」って呼ばれている。
まあ・・・それが名前なんだから当たり前なんだけど・・・・でも・・・
「特急上野行きが6両編成で入ります。危ないですから白いラインの内側にお下がりください・・・。」
聞きなれた構内アナウンス。
12時5分の特急。土曜日にはいつもこれに乗って帰っている。
降りる人がいなくなったのを見届けるなり、あたしはサッと空いている席に座った。
プリーツスカートの裾をちょっと直すと、駅前の古本屋で買った文庫本をさっそく開く。
車内のほどよい弱冷房が心地よかった。

「佐倉ー、佐倉ー。途中、臼井、ユーカリヶ丘・・志津で下りるお客様は・・・」
・・・・ん?
「いけないっ!」
あんまり気持ちよくてついウトウトしてしまったらしい。
あたしは慌てて飛び起きると、急いでホームに下りた。
普段はもう一つ先の駅で下りるんだけど、今日は違う。今日は・・・・・
突っ込むような勢いで改札口を通り抜けると、あたしはタイミング良く来た団地バスへと飛び乗った。
前払いの200円を払ってのんびり揺られて30分。
5丁目入り口の所で下りると、あたしはパッと角を曲がって、目の前のマンション目掛けて走った。
エレベーターで3階。76号室。
「こんちにはー!皆、来てる!?」
チャイムも無しにいきなり部屋に入るのも、気の知れた仲間の間柄ならでは。
玄関を通り、洒落たリビングのドアを開けると・・・・・
「あーっ!めぐ姉ちゃん!」
「いらっしゃい、めぐみ。」
「あ、来た来た!ケイン!」
「よお、リナ。」
「こんちちわ、めぐみさん。」
「久しぶりだな、リナーインバース」
・・・・そこには期待通りの笑顔が並んでいた・・。

奈緒、千夏、美月、桜、甲斐・・・・そして隆臣。
親にも級友にも内緒の大事な仲間。
ひょんな事から知り合ったあたし達は、歳も育った環境もバラバラだけど、至って仲はいい。
ちなみに、「奈緒」や「千夏」は本名ではない。故あって、皆、仮名を使っているのだ。
ちなみに、あたしのここでの名前は「朝倉めぐみ」。
かの、大声優の「林原めぐみ」さんからいただいたのだから、すごいと言えばすごいが・・・
「長嶋絢子」という名前も教えてはあるが、電話の呼び出し以外ではその名前を使われた事はない。
「リナーインバース」や「ケイン」という呼び名は、角川書店から出ている「スレイヤーズ」と「ロスト・ユニバース」という小説の主人公から来ている。
大食いでぺちゃぱい、乱暴者の主人公があたしそっくり(?)なので、自然とそういう風に呼ばれるようになったらしいのだが・・・・。
最大の理由は他にあった。
如月隆臣ーーーーーーあたしの一番大好きな人。
「自称めぐみの保護者」の彼は、綺麗な顔立ち、長身のルックス、そしてクラゲな脳みその持ち主である。
そして、この彼にそっくりな人物が「スレイヤーズ」の中に登場してくるのだ。
ガウリイ=ガブリエフ・・・・主人公の相棒の剣士なのだが、不気味なぐらいに隆臣と瓜二つ。
彼を「ガウリイ」と皆が呼ぶまでには、そう時間がかからなかった。
そして、その彼にいつも引っ付いているから、あたしは「リナ=インバース」
・・外見的にはかなりの相違点があるもの、中身はそんなに変わらないのは認めざるを得ない・・・・・。
それに、そう呼ばれつづけると、本当にあたしはリナじゃないかという気すら起きてくる・・・。
「あ・・もう、こんな時間・・・。」
スナック菓子を広げて他愛の無い話を続けているうちに、外はもう黄昏時となっていた。
「じゃ、あたし帰るねー。」
「私もー。」
「オレも帰る。」
皆、口々にそう言って立ち上がる。
「じゃ、あたしも帰るね・・・。」
あたしも鞄を持って立ち上がると、隆臣はうなづいてテーブルの上の財布を手に取った。
「どうしたの・・・?」
「駅前のコンビニで買い物があるんだ。途中まで一緒に行こう。」
「うん!」
あたしは笑顔で首を縦に振っていた。


「なあ、リナ。」
「ん?」
JR組の千夏さんや甲斐さん達と別れた後、京成組のあたしや桜達は駅前のセブンイレブンに入っていた。
「オレ、昨日・・変な夢を見たんだ。」
「何よ、唐突に。」
あたしは素っ気無く答えてガラッスケースの中の缶コーラを手に取った。
「ガウリイが死ぬ夢を見た。」
「あんたが!?」
「違う。『スレイヤーズ』の中の本物のガウリイだよ。胸を血に染めてさ、リナの腕の中で息を引き取るんだ。」
「やめてよ・・・。縁起でもない。」
あたしは菓子棚から小さなチョコを手に取ると、コーラと一緒にレジへと持って行った。
隆臣も薄っぺらい雑誌を持って後についてくる。
「お前さ・・・生まれ変わりって信じるか?」
店を出るなり、彼の言った言葉がそれだった。
「・・どーゆー意味よ?」
既に先に店を出て待っていた奈緒や桜までもが不思議そうな顔をする。
「・・・・考えた事無いか?オレ達が、本当に、リナやガウリイだって・・・。」
「・・・つまり、あたし達があの二人の生まれ変わりって?」
言うと、隆臣はコクンとうなづいた。
「やめてよ!『スレイヤーズ』って、神坂一って人が書いた、ただのファンタジー小説でしょ!?いい年して変な事言わないでよ!」
「そうか・・・。」
「そうかじゃないわよ!・・ったく・・」
「ねえ、メグ姉ちゃん。」
ちょいちょいとあたしの肩をつついたのは桜の小さな指だった。
「なあに?桜。」
「もうこんな時間だよ。暗くなっちゃう。」
・・・っげ!
「あ、もう行かなきゃ!奈緒、桜、走るよ!隆臣、またね!」
あたしは慌てて制服のポケットから定期を取り出すと、急いで走り出した。

あたしが「リナ=インバース」の生まれ変わり?・・・・・ンな、馬鹿馬鹿しい・・・・。

(To be continued)









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3945Refelection2MEIMI E-mail 8/12-01:16
記事番号3929へのコメント
MEIMIさんは No.3929「Refelection」で書きました。
> Refelection(1)
>
>
> 「ガウリイ!ガウリイ!ガウリイイイ!」
>わかってる・・・いくら叫んでもどうしようもない事・・・・
>でも・・・でも・・・・・
>あたしは神様じゃない・・・・大切な物を守り切る事が出来ない・・・
>だから・・・だから・・・・・
>「リナ・・・」
>胸を真っ赤に染めたガウリイは、僅かに上半身を動かすと、あたしの耳元で囁いた。
>大切な・・・大切な・・・最後の言葉・・・・・・・
>そしてーーーーーーーー
>「ガウ・・リイ・・?」
>世界よりも大切なその人はーーーーあたしの腕の中で息を引き取った・・・・。
>
> Refelection(1)
>
>
>
>「ガウリイ!ガウリイ!ガウリイイイ!!!」
>・・わかってる・・・いくら叫んでもどうしようもない事・・・
>でも・・でも・・・・・・・
>あたしは神様じゃない・・・大切な物を守り切る事が出来ない・・・・
>だから・・だから・・・
>「リナ・・・」
>胸を真っ赤に染めたガウリイは僅かに上半身を動かすと、あたしの耳元で囁いた。
>大切な・・・大切な・・・最期の言葉・・・・
>そしてーーーーーーーー
>「ガウ・・リイ・・?」
>世界よりも大切なその人はーーーーあたしの腕の中で息を引き取った・・・・。
>
>
>
>そして時が流れーーーーーーー
>
>
>
>「起立!礼!」
>号令と同時に頭を下げると、あたしは机を片づけるのももどかしく教室を飛び出した。
>6月某日ーーーー6月の掃除当番の保健委員は、あたし達3年生である。
>「失礼しまーす!」
>ドアを開けるなりそう叫ぶと、あたしは箒を手にとって掃除を手早く始めた。
>「あら?長嶋さん、急いでるの?」
>「はい。・・っと、これで終わり!さよーなら!」
>ロッカーに箒を叩き込むと、あたしは転がるようにして保健室を飛び出した。
>
>そうそう、自己紹介が遅れていたわね。
>あたしは長嶋絢子。千葉県立N西高校の3年H組。
>親からは「絢子」とか「絢ちゃん」って呼ばれているし、先生や学友からは「長嶋さん」って呼ばれている。
>まあ・・・それが名前なんだから当たり前なんだけど・・・・でも・・・
>「特急上野行きが6両編成で入ります。危ないですから白いラインの内側にお下がりください・・・。」
>聞きなれた構内アナウンス。
>12時5分の特急。土曜日にはいつもこれに乗って帰っている。
>降りる人がいなくなったのを見届けるなり、あたしはサッと空いている席に座った。
>プリーツスカートの裾をちょっと直すと、駅前の古本屋で買った文庫本をさっそく開く。
>車内のほどよい弱冷房が心地よかった。
>
>「佐倉ー、佐倉ー。途中、臼井、ユーカリヶ丘・・志津で下りるお客様は・・・」
>・・・・ん?
>「いけないっ!」
>あんまり気持ちよくてついウトウトしてしまったらしい。
>あたしは慌てて飛び起きると、急いでホームに下りた。
>普段はもう一つ先の駅で下りるんだけど、今日は違う。今日は・・・・・
>突っ込むような勢いで改札口を通り抜けると、あたしはタイミング良く来た団地バスへと飛び乗った。
>前払いの200円を払ってのんびり揺られて30分。
>5丁目入り口の所で下りると、あたしはパッと角を曲がって、目の前のマンション目掛けて走った。
>エレベーターで3階。76号室。
>「こんちにはー!皆、来てる!?」
>チャイムも無しにいきなり部屋に入るのも、気の知れた仲間の間柄ならでは。
>玄関を通り、洒落たリビングのドアを開けると・・・・・
>「あーっ!めぐ姉ちゃん!」
>「いらっしゃい、めぐみ。」
>「あ、来た来た!ケイン!」
>「よお、リナ。」
>「こんちちわ、めぐみさん。」
>「久しぶりだな、リナーインバース」
>・・・・そこには期待通りの笑顔が並んでいた・・。
>
>奈緒、千夏、美月、桜、甲斐・・・・そして隆臣。
>親にも級友にも内緒の大事な仲間。
>ひょんな事から知り合ったあたし達は、歳も育った環境もバラバラだけど、至って仲はいい。
>ちなみに、「奈緒」や「千夏」は本名ではない。故あって、皆、仮名を使っているのだ。
>ちなみに、あたしのここでの名前は「朝倉めぐみ」。
>かの、大声優の「林原めぐみ」さんからいただいたのだから、すごいと言えばすごいが・・・
>「長嶋絢子」という名前も教えてはあるが、電話の呼び出し以外ではその名前を使われた事はない。
>「リナーインバース」や「ケイン」という呼び名は、角川書店から出ている「スレイヤーズ」と「ロスト・ユニバース」という小説の主人公から来ている。
>大食いでぺちゃぱい、乱暴者の主人公があたしそっくり(?)なので、自然とそういう風に呼ばれるようになったらしいのだが・・・・。
>最大の理由は他にあった。
>如月隆臣ーーーーーーあたしの一番大好きな人。
>「自称めぐみの保護者」の彼は、綺麗な顔立ち、長身のルックス、そしてクラゲな脳みその持ち主である。
>そして、この彼にそっくりな人物が「スレイヤーズ」の中に登場してくるのだ。
>ガウリイ=ガブリエフ・・・・主人公の相棒の剣士なのだが、不気味なぐらいに隆臣と瓜二つ。
>彼を「ガウリイ」と皆が呼ぶまでには、そう時間がかからなかった。
>そして、その彼にいつも引っ付いているから、あたしは「リナ=インバース」
>・・外見的にはかなりの相違点があるもの、中身はそんなに変わらないのは認めざるを得ない・・・・・。
>それに、そう呼ばれつづけると、本当にあたしはリナじゃないかという気すら起きてくる・・・。
>「あ・・もう、こんな時間・・・。」
>スナック菓子を広げて他愛の無い話を続けているうちに、外はもう黄昏時となっていた。
>「じゃ、あたし帰るねー。」
>「私もー。」
>「オレも帰る。」
>皆、口々にそう言って立ち上がる。
>「じゃ、あたしも帰るね・・・。」
>あたしも鞄を持って立ち上がると、隆臣はうなづいてテーブルの上の財布を手に取った。
>「どうしたの・・・?」
>「駅前のコンビニで買い物があるんだ。途中まで一緒に行こう。」
>「うん!」
>あたしは笑顔で首を縦に振っていた。
>
>
>「なあ、リナ。」
>「ん?」
>JR組の千夏さんや甲斐さん達と別れた後、京成組のあたしや桜達は駅前のセブンイレブンに入っていた。
>「オレ、昨日・・変な夢を見たんだ。」
>「何よ、唐突に。」
>あたしは素っ気無く答えてガラッスケースの中の缶コーラを手に取った。
>「ガウリイが死ぬ夢を見た。」
>「あんたが!?」
>「違う。『スレイヤーズ』の中の本物のガウリイだよ。胸を血に染めてさ、リナの腕の中で息を引き取るんだ。」
>「やめてよ・・・。縁起でもない。」
>あたしは菓子棚から小さなチョコを手に取ると、コーラと一緒にレジへと持って行った。
>隆臣も薄っぺらい雑誌を持って後についてくる。
>「お前さ・・・生まれ変わりって信じるか?」
>店を出るなり、彼の言った言葉がそれだった。
>「・・どーゆー意味よ?」
>既に先に店を出て待っていた奈緒や桜までもが不思議そうな顔をする。
>「・・・・考えた事無いか?オレ達が、本当に、リナやガウリイだって・・・。」
>「・・・つまり、あたし達があの二人の生まれ変わりって?」
>言うと、隆臣はコクンとうなづいた。
>「やめてよ!『スレイヤーズ』って、神坂一って人が書いた、ただのファンタジー小説でしょ!?いい年して変な事言わないでよ!」
>「そうか・・・。」
>「そうかじゃないわよ!・・ったく・・」
>「ねえ、メグ姉ちゃん。」
>ちょいちょいとあたしの肩をつついたのは桜の小さな指だった。
>「なあに?桜。」
>「もうこんな時間だよ。暗くなっちゃう。」
>・・・っげ!
>「あ、もう行かなきゃ!奈緒、桜、走るよ!隆臣、またね!」
>あたしは慌てて制服のポケットから定期を取り出すと、急いで走り出した。
>
>あたしが「リナ=インバース」の生まれ変わり?・・・・・ンな、馬鹿馬鹿しい・・・・。
>
> (To be continued)
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3946Refelection2MEIMI E-mail 8/12-01:52
記事番号3945へのコメント
Refelection(2)



Pi!Pi! Pi!

細かい電子音とほぼ同時に、あたしはレンジから発砲スチロールのトレイを取り出した。
ホットサラダ、フライドポテト、ホットケーキ・・・・今、冷凍食品売り場で流行っている『TVランチ』というやつだ。
これだけでは少々ボリュームが足りないので、自分で作ったスクランブルエッグと温めたチキンナゲットを添える。
学校帰りに買って来たグレープフルーツジュースをコップに注げばこれでランチの準備は完了。
あたしはそれらを持って、リビングの隅のデスクトップ型パソコンへと向かった。

7月6日、期末テスト一日目・・・学校は午前中で終わる。
時計を見るとちょうど12時半を指していた。 

 あたしがインターネットを始めたのは、我が家に『ウィンドウズ95』付きの新しいパソコンがやって来て1ヶ月後の事だった。
そして、退屈しのぎに『スレイヤーズ』を『検索』で探してたまたま見つけたのが、ここーーーーー『ABITIOUS―CLUB』というHP。
スレイヤーズのHPはごまんとあるが、ここはスレイヤーズはスレイヤーズでも、『ガウリナ』ーーーつまり、スレイヤーズの主人公のリナと相棒のガウリイのカップリングが好きな人達の為のHPなのだ。
あたしもこのカップリングは結構大好きだ。あたしがリナで隆臣がガウリイ高らって訳でもないけど・・・・・ある意味、正反対で、ある意味、似た者同士のこの二人のキャラは何となく面白い。
パソコンを起動させて、ネットを繋ぐと、見慣れたライトブルーの画面が視界に飛び込んでくる。
白く浮かびあがった『チャットルーム』の文字にカーソルを合わせると、あたしはジュースを一口飲んでマウスをクリックした。

 インターネットの最もポピュラーな楽しみ方の一つ、『チャット(電子会議)』の事は今更説明するまでもないだろう。リアルタイムで、同じ趣味を持つ者同士がパソを通して会話を楽しむのだ。
しかし、チャットで行われる会話は、意外とガウリナ関係のものは少なく、自分達の日常を話の種にする事が多い。
時間帯や日にちによって、メンバーも大体固定してくる。平日の昼チャットでお会いするのは・・・・マキさん、武巳さん、まりあさん、恋歌さん、真珠さん、秋人さん・・・・・この6人だろうか。
勿論、全員、HN(ハンドル・ネーム)である。年齢も職業もバラバラ、まりあさんは2児の母親だし、マキさんはまだ20代の若妻、武巳さんも社会人だし、
秋人さんと真珠さんは大学生、恋歌さんは専門学校生らしい。
インターネットはその気になればHN以外は、性別すら隠す事も可能だが、ここでは割とオープンにしている。実際に、近郊に住む者同士が計画して会う事(オフ会という)も珍しくないらしい。
ちなみにあたしのHNは『MEGUMI』・・・とっさに考えるのも面倒くさくて、『めぐみ』をそのままローマ字にしたのだ。
まさか、ここで『リナ=インバース』を使う訳にもいかないしねえ・・・。


さよーならー(^^)>おおる

キーを打ってチャットから抜け出すと、時刻はもう4時半になっていた。
「もう帰ってるかなあ・・・。」
ネットを切ると、パソの上の電話の受話器を取り、すっかり暗記したナンバーをプッシュする。
「はい、森下ですが。」
「もしもし、朝倉というものですが、洋子さん・・・」
「なんだ、めぐみ・・じゃなかった、リナか。」
途端に受話器の向こうの雰囲気がガラリと変わる。
「良かった。千夏さん・・・いや、ゼル・・帰っていたんだ。」
あたしの仲間の一人の、氷山千夏(本名・森下洋子)はまたの名を『ゼルガディス』。・・・無論、外見はキメラなんぞではなく、ごく普通の美人だが、沈着冷静でちょっとトゲのある性格があの『スレイヤーズ』のゼルガディスというキャラと全く同じなのだ。
ガウリイこと隆臣があの変な発言をして以来ーーーーあたし達は、何故かスレイキャラのニックネームの方で呼び合うようになっていた。
「どうしたの?何か用?」
「いや・・明日。忘れていないでしょ?あたし、1教科だけでテスト終わるから・・・放課後、八千代台のマックでさ・・。」
「ああ、お昼食べるって話ね。うん、シルフィールから聞いてる。」
「そう・・11時にエルムの時計の広場の前で待ち合わせね。アメリアも来られれば良かったんだけど・・・」
「あの子は中学生だから無理でしょ。そうそう、ガウリイも来るって話は聞いた?」え・・・?
「ガウリイも来るの!?」
「ええ。珍しいわよね。ちょうど時間が空いたから一緒に行きたいって。
いいよね、リナは。」
「あ・・・うん。勿論かまわないけど・・・。」
ガウリイが・・・ねえ。
それから他愛のない世間話を小1時間ほどしてから、あたしは電話を切った。
それから軽くシャワーを浴びて着替えると、鞄を持って2階の自室へと行く。
もうそろそろ、うちの両親も仕事から帰ってくる時間だろう。
ガウリイが・・・か。
最後に会ったのはどのくらい前だろう・・・?


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3969Re:Refelection1、2松原ぼたん E-mail 8/12-22:48
記事番号3946へのコメント
 おもしろかったです。

>世界よりも大切なその人はーーーーあたしの腕の中で息を引き取った・・・・。
 うわ、いきなり大変。
>6月某日ーーーー6月の掃除当番の保健委員は、あたし達3年生である。
 ずいぶんと場面変換したようですね。
>ちなみに、「奈緒」や「千夏」は本名ではない。故あって、皆、仮名を使っているのだ。
 不自然な状況・・・・というにはハンドル名乗るのやめなきゃいけませんね。
>「やめてよ!『スレイヤーズ』って、神坂一って人が書いた、ただのファンタジー小説でしょ!?いい年して変な事言わないでよ!」
 本当にそうかな、ふふふ。
>あたしが「リナ=インバース」の生まれ変わり?・・・・・ンな、馬鹿馬鹿しい・・・・。
 ここで「運命の恋、素敵(はぁと)」とか言い出さないところがリナって呼ばれるゆえんなんだろうな。
>細かい電子音とほぼ同時に、あたしはレンジから発砲スチロールのトレイを取り出した。
 発砲スチロールがチンできるようになってんだから怖い世の中だわ。
>しかし、チャットで行われる会話は、意外とガウリナ関係のものは少なく、自分達の日常を話の種にする事が多い。
 日常的にそういう話ばっかりしてるチャットも怖いとおもうけど。
>あたしの仲間の一人の、氷山千夏(本名・森下洋子)はまたの名を『ゼルガディス』。・・・無論、外見はキメラなんぞではなく、ごく普通の美人だが、沈着冷静でちょっとトゲのある性格があの『スレイヤーズ』のゼルガディスというキャラと全く同じなのだ。
 そりはみてみたい。
>最後に会ったのはどのくらい前だろう・・・?
 気になるようなことを言い残すんじゃない(笑)。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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3980Refelection3MEIMI E-mail 8/13-00:28
記事番号3969へのコメント
Refelection(3)

 
 7月6日AM12:15ーーーーーーーーーー

あたしとガウリイ、それにゼルとシルフィールの4人は、マクナルドからちょっと格上げして、デパート内の食堂街のとある洋食レストランに入った。
時間の割には空いていて、あたし達は運よく窓際の席に陣取る事が出来たが、なかなかオーダーを取りにこない。
「テストシーズンだしね。高校生のバイトが休んでるから人手不足なのよ。」
そうポツリと呟いたのはゼルガディスだった。
膝にはさっき買ったばかりの文庫本、それに、大学の教科書やバインダーが入った。クリアバックが置かれている。
「シルフィールは腹減ったか?」
「いいえ。大丈夫です。」
そう問いかけるガウリイに、ニッコリ微笑みかけながら、シルフィールこと高橋奈緒は静かに首を振った。
しわ一つないブラウスとベストに包まれた細い小柄な彼女の持つ、独特の優し気な雰囲気は、正にシルフィール。別にガウリイにラブラブってわけでもないらしいのだが、自然と彼女は『シルフィール』と呼ばれるようになっていた。
もっとも、彼女がそう呼ばれるようになったのには、もっと大きな理由があるのだが・・・・それは後で明らかになるだろう・・・。
やっとウェイトレスが来てオーダーを済ませると、あたしは何となく窓の外へと目をやった。
眼下に広がる駅前道路の左右には、和菓子屋、古本屋、英会話教室・・・そんなものの類が並んでいる。
その中の小さなケーキショップの店先に目を止めて思わず微笑んでいると、すかさずガウリイも背後からあたしの視線を追っていた。
「どうした?リナ。」
「あ・・ううん。思いだしちゃったの。昔の事・・・。」
あたしは笑って軽くごまかす。
何年前の事だろうか・・・・あたしとガウリイは、ささいな事でケンカをした。
本当に本当にささいな事だったけど・・・・・まだ幼かったあたしは完璧にすねちゃって・・・・あたしの頑固さにとうとう折れたガウリイが、仲直りの印にくれたのが、ゲームセンターの景品みたいな小さなキャンディーだったのだ。
言われるまままに掌を広げると、パラパラとこぼれてきた赤や黄色の包装紙のキャンディーと、ガウリイの無邪気な笑顔は今でも覚えている。
ケーキショップの店先に並んだキャンディーボックスを見て微笑んだのも、ふいにその事を思い出したからだった。
「そう言えば、ガウリイさんとリナさんってお付き合いが長いんですよねえ。」
運ばれてきたサンドイッチをつまみながら、シルフィールがのんびりとした口調でそう呟いた。
「・・・そーねえ・・・知り合ったのが、何年も前になるものねえ。あたし達。」
「これからも一緒にいるんでしょ?ずっと。」
「ああ。」
ハヤシライスを口に運ぶ手を止めて、ゼルガディスが冷やかすようにそう言うと、ガウリイは自信満々にうなずいた。
「何てたって、オレはリナの保護者だからな。」


「あ、あたし、ちょっとトイレ。」
「私も行きます。」
「はいはい、いってらっしゃい。」
店を出てからCDショップに立ち寄ってる最中、ゼルとシルフィールはそう言って階段の踊り場の方へと歩いて行った。
「じゃ、リナ、さっきの待ち合わせ場所の広場で待っていてよ。」
「うん、わかったー。」
二人にひらひらと手を振ってから、あたしはクルリとガウリイの方へと振り返る。
「さて・・と、ガウリイは何か買うものがあんの?」
「いや・・・別に・・・。」
「じゃ、もう下へ行こ。あたし、喉乾いちゃった。」
あたしはガウリイの腕を引っ張って催促するととサッサと歩き出した。


「お前、本当によく食うなあ・・。」
せっせとソフトクームを嘗めるあたしを、ガウリイは呆れたような顔で見つめていた。
「だって、さっきのお店じゃデザート食べなかったんだもの。ゼルガディス達、そろそろ来るかな?」
「そーだなー・・・。」
「あー・・美味しかった じゃ、あたしゴミ捨てに・・・」
「あ、待てよ。」
立ち上がろうとすると同時に、あたしはひょいっと顎を掴まれーーーー
「何・・・」
「口についてるぞ。いっぱい。」
言うが早いか、ガウリイはポケットからクシャクシャのハンカチを取り出して、あたしの口の周りを拭い始めた。
「ちょっと・・・」
「ほら、じっとして。」
思わず決まりが悪くなってそっぽを向こうとするが、ガウリイの大きな手はあたしの顔をガッチリ掴んで離さない。
「ったく・・・高校生になっても赤ん坊みたいなんだから・・・」
「ほっといてよ!」
「いくつになったんだっけ?お前。」
言って今度はポンとあたしの頭を軽く叩く。
「・・・今年で18になるわ。」
「背、高くなったなあ。お前さん。」
「・・中学生から止まってるんですけどね。」
誰のせいだよ・・・誰の・・・・・
確かに、こうやって並んで座っていても、あたしとガウリイには殆ど身長差は感じられない。
まあ・・・立ち上がると、かなり差があるのはなんか情けないが・・・
それでもあたしは女性の中ではかなり上背がある方だろう。
身長だけじゃない、胸だってかなりある方だし、髪も長く豊かに伸びて背中で優しく広がっている。
チビでぺちゃぱいのオリジナルのリナ=インバースとはかなり違うわけだが・・・・まあ、それは・・・・・
「でも、まあ・・なりはでかくてもまだ子供だな。」
「こっ・・・子供じゃないわよ!あたし!」
「ほら、そうやってすぐにでかい声出してムキになる所が子供だよ。」
「もう大人だもん、子供じゃないもん!」
「だから・・・・あ、来た。」
ガウリイの声につられるように顔を上げれば、ゼルガディスとシルフィール、2人の姿。
「またケンカしてたの?あんた達。こっちまで聞こえるような勢いだったわよ。」そう言って、ゼルガディスは苦笑しながらあたしとガウリイの顔を交互に見つめる。
「じゃ、もう行こうか。」
「うん・・・。」
あたしはコックリうなずいて立ち上がった。


 「じゃーねー。」
「バイバーイ。」
あたしとゼルガディスは、電車のガラス越しに微笑むガウリイに向かって笑顔で手を振った。
ガウリイの家の近くの佐倉駅から3駅ほど前の勝田台駅。ここから、あたしとゼルガディスは、自分の家のあるそれぞれの団地行きのバスへと乗る。
シルフィールとは八千代台でお別れしていた。
「あたしはバスが来るまでちょっと時間があるけど・・・」
「あ、あたしも。あたしはちょっと化粧品見ているけど、リナはどうする?」
「じゃあ、駅前のミスドで待ってる。」
「わかった。」
そこであたしはゼルガディスと別れると、駅前のミスドに入った。
アイスティーを注文すると、外からでもよく見える席へと陣取り、日本史の暗記本を広げ・・・・
「ご一緒してよろしいでしょうか?」
やけに響く高い男の声であたしはふと顔を上げた。
「・・・どうぞ。」
上目使いにチラッと見て合図すると、その男性はあたしの向かい側へと座った。
あたしは再び本へと目を戻し・・・・・・
「浅倉めぐみ・・・いや、リナ=インバースさんですね。」
え・・・?
あたしは思わず本を膝の上に落とした。
「あなたは・・?」
「ゼロスと言います。それだけです。」
言って男性はにこやかな笑顔を見せながらお辞儀をした。
歳は・・・20歳そこそこ、細い線の感じの顔立ちに、高級そうなブランドスーツが妙に似合うスレンダー・ボディ。切れ長の形の良い目に、後ろでくくったちょっと長い漆黒の髪は確かに『スレイヤーズ』のゼロスそのものである。
でも・・・リナとかガウリイとか・・・・それはあたし達の間だけの呼び方のはずなのに・・・・・・
「森下陽子さん・・・・・いや、氷山千夏さんかな?彼女が僕にあなたの事を教えてくれたんですよ。さっき、あなたと彼女が一緒にいるのを見まして、きっとあなたがあのリナさんではないかと・・・・」
「ゼルガディスが!?でも・・・」
「そんな訳ないと言いたいのでしょう?」
そう。
あたし達の関係は絶対の秘密。決して外部の人間に知られてはいけない。だから・・・・・
「実はちょっと理由がありましてね。」
湯気がたっているアメリカンを涼しい顔で飲み干すと、ゼロスはニッコリと微笑みかけた。
「氷山千夏さんことゼルガディスさん・・・朝倉めぐみさんことリナさん・・・森本桜さんことアメリアさん・・・・そして・・・」
「やっぱりね。如月隆臣ことガウリイーーーーそう言いたいんでしょう?
やっぱり、彼が関係するのね。」
「ご存知なんですか?ガウリイさんの・・・事情」
「知らない。・・・でも、予測は着くわ。大まかにはね。」
言って、あたしはアイスティーを飲み干した。
「でも、あたしには立ち入っていい領域の限界があるわ。
保護者と被保護者ごっこ。あたしとガウリイは今のままの関係が限度だと思う。」
「・・・・随分大人しい考えをお持ちなんですね。リナさんにしては。」
「あたしだって、理性と社会的常識は持っていますから。・・・ところで、ゼロスさん。」
「何でしょう?」
「あたし、ここでゼルガディスと待ち合わせているんですけど・・・。あなた、あたしと一緒にいる所を見られたら困るんじゃないですの?」
「いえ、実は僕も彼女と待ち合わせているんですよ。」
「え・・?」
「昨日、ご連絡がありましてね。『勝つ田台駅前のミスドで待っていてほしい。バス停でリナと別れたらすぐに私も行くから』と。
どうやらお話があるようでして・・・」
あんの女・・・・・。
「やっぱり気になるんですか?」
「?」
「僕とガウリイさん、そしてゼルガディスさんの関係ですよ。」
「まあ・・・多少はね。でも。」
「でも?」
「さっきも言ったでしょう?あたし達・・ううん、人間には誰だって領域がある。
あたしが深入りする事じゃないわ。」
「じゃ、いいんですね。」
「そうよ。」
あたしは顔を上げてまっすぐゼロスの目を見据えた。
「何もあなたに教えてもらう事はないわ。」


「まもなくバスが発車します。乗客の皆様・・・・」
テープのアナウンスをぼんやり聞きながら、あたしはミスドの窓ガラスへと目をやっていた。
見知った男と女の影ーーーーゼルガディスとゼロス・・・。
あたしはふいっと視線をそらすとそのまま静かに目を閉じた・・・。
それからーーーーーどのくらいたったのだろうか。
いつも降りる停留所の名前が耳に入ってくるなり、あたしは慌てて起きて定期を取り出した。
バスを降りて歩いて15分・・・・・・家に着くなり、あたしは真っ先に電話に飛びついた・・・。


「リナ!」
不意にポンと背中を叩かれ、あたしは思わずビクッと身を震わせた。
この前の、京成佐倉駅、セブンイレブンでーーーーーー
振り向くと、ショーカットの、ジャンパースカートの制服の可愛らしい少女。
「ごめんね、待った?」
「ううん・・全然。じゃ、行こうか。」
「うん。」
アメリアこと森本桜はニッコリ笑ってスッキップするようにあたしの前を歩き始めた。
「でも・・・本当なの?リナ。昨日の話・・・・」
「まあ・・ね。」
「私、信じられないよ。そのゼロスさんていう人の話。ガウリイさんの事、それにゼルガディスさん・・・」
「これから行ってみればわかるわよ。」
そう・・・・結局、あたしは彼の巧みな誘惑(?)に負けて、話を聞いてしまったのだ。
今となっては少々後悔もしている。タブーを犯してしまったような後ろめたさも感じている。
でも・・・・でも・・・・・
「着いたよ。リナ。」
アメリアの呑気な声であたしはふと我に帰った。
「本当に入るの?」
「ここまで来たらやるしかないわよ。鍵は持ってきたんでしょ?アメリア。」
「うん・・。」
「貸して。」
あたしはひったくるようにして、ガウリイの部屋の合い鍵をアメリアから受け取ると、鍵穴へとそれを差し込む。
「開いた・・?」
「うん。・・いい?アメリア、静かにして。」
「わかった。」
あたし達は小声でささやき合うと、つま先立ちで玄関に入った。
そのままリビングを通り・・・細く空いた寝室のドアの隙間を覗くとーーー
「やっぱり・・・・・」
ゼロスの言った通りーーーーーーそこに『奴』はいた・・・。

(to be continued)

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3999Re:Refelection3松原ぼたん E-mail 8/13-17:14
記事番号3980へのコメント
 面白かったです。

>しわ一つないブラウスとベストに包まれた細い小柄な彼女の持つ、独特の優し気な雰囲気は、正にシルフィール。別にガウリイにラブラブってわけでもないらしいのだが、自然と彼女は『シルフィール』と呼ばれるようになっていた。
 ガウリイらぶらふらだったら大変(笑)。
>「実はちょっと理由がありましてね。」
 ほんとに「ゼロス」ですね。
>そう・・・・結局、あたしは彼の巧みな誘惑(?)に負けて、話を聞いてしまったのだ。
 どんな・・・・。
>ゼロスの言った通りーーーーーーそこに『奴』はいた・・・。
 はう、気になります。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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4006Refelection(4の予告編)MEIMI 8/13-22:40
記事番号3999へのコメント
今日は予告編です(^^;)

4・ガウリイのマンションに侵入していたのは、予想通りの人物だった。
あたしはそいつからとんでもない事を打ち明けられる。
ゼロスの陰謀、そしてガウリイの唯一の父親の形見、「ゴルンノヴァ」の秘密とは・・・・・?

後日、あたしは甲斐とTELする。
思い出される過去。甲斐に問われ、あたしはガウリイの存在を改めて考える。
ガウリイはあたしの保護者・・・あたしを守り、成長させてくれる大切な人・・・
でも・・・1人の男性としては・・・・・。

無理矢理ガウリイを誘ってサンシャイン60に行った帰り、ゼロスと出くわす。
何故か3人で夕食を共にする事になったけど、居心地は最悪・・・。
ガウリイも、あたし達とは別の方向からゼロスと関わっているらしい・・。
打ち明けられ、帰りの上野公園・・・あたしはガウリイを一生懸命抱きしめながら心に誓った・・・・
この人はあたしが守る・・・!

・・・というわけで、4で序章編は終わりです(^^;)
さて、これから・・・新宿、幕張、電脳空間と舞台を転々と変えながら戦いは始まるのですが・・・。
コメディ満載の皆のバトルシーンあり、ガウリイとリナのラブ(H)シーンあり(?)と展開の早いストーリーとなっていく予定ですので、皆さん、楽しみにしていてください(^^)
でも・・・ここに投稿する小説にHシーン入れても大丈夫かな?(^^;)

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4108Re:Refelection(4の予告編)MEIMI 8/18-21:53
記事番号4006へのコメント
 Refelection4
 


 「ゼルガディス・・・さん?」
「何だ、アメリアまでも来たの。」
突如現れたあたし達を見つけても顔色一つ変えないその態度は、いかにもゼルガディスらしかった。
「アメリアまでもって・・・じゃ・・・。」
その後の言葉までは言うまでもないだろう。
ゼルガディスは予め知っていたのだ。ガウリイの留守を見計らってマンションに忍び込んだ彼女を、あたしが追ってくる事を。
「まさか、アメリアまで一緒に来るとは思わなかったなあ・・・。何やってんの、もっとこっちにおいでよ。」
「あ・・うん。」
おずおずと、あたしとアメリアは足の踏み場もないような部屋に入ると、古くなってすっかりペタンコになった絨毯の上に腰を下ろす。
「だって、あたしはガウリイのマンションの鍵持ってないもん。
アメリアは里花の残していった鍵を持っていたから・・。」
ちなみに「里花」とは2年前以上から行方不明になっているアメリアの姉である。彼女が何と呼ばれていたかは推して知るべし・・・。
ガウリイのマンションの鍵のコピーを持っているのはゼルガディスと里花、それに橘甲斐と言う青年だけだ。
ゼルの後を追ってガウリイの部屋に入ろうにも、あたしは鍵を持っていない。
甲斐に借りようとは思っていたのだが、いかんせん家も職場も遠過ぎて借りに行くのは困難なので、仕方なくアメリアに事情を打ち明けざるを得なかったのだ。
案の定、アメリアは里花が残していった鍵を大事に保管していた。
「でも・・・アメリア、学校は?」
アメリアは中学2年生。本来なら午後2時は学校にいる時間帯である。
「何言ってるんですか!それどころじゃないでしょう!」
やおらアメリアはすっくと立ち上がると、いつの間にやらベッドの上であぐらをかいていたゼルガディスに向かって拳を握って力説し始めた。
「聞けば、裏の世界で、ガウリイさんの命に関わるような出来事が動いているそうじゃありませんか!
大事な仲間が危険にさらされている時に、学校どころじゃありません!」
「サボッたのね。早い話。」
「う゛・・・・・。」
ゼルの身も蓋もないアッサリした物言いに、素直に反応するアメリア。
「ゼロスに会ったのね。」
「うん・・・・まあ。ゼロスがね・・・・今日、あんたが例の物を盗みにここに来るって教えてくれたから・・・・。」
「なーに考えてるんだか、あのおしゃべりスズメは。」
ゼルはくしゃりと前髪をかき回すと、ため息をついた。
「・・・・あんたも彼から色々教えてもらったの?」
言って、一瞬あたしの瞳をまっすぐ見つめると、すぐに、アメリアの方へと視線を移す。
「・・・で、アメリアはどの位までリナに聞いたの?」
「え?・・・あの・・・えっと・・・。」
「この子には殆ど喋っていないわ。あんたがあれを盗みに入る事を教えただけ。
・・・事情の成り行きだから仕方なかったのよ。」
あたふたするアメリアに代わって答えると、あたしは押入の入り口に転がっている例の物ーーーーB4判くらいの青い紙封筒とまるでTVゲームのRPGに出てくるのような見事な西洋風の剣に近寄った。
「これを・・・ねえ。」
封筒の方は、現金書留のように厳重に2重3重の糊付けがされている。
剣の方は中世の芝居にでも出てきそうな見事な小道具のように見えるが、あたし
 レプリカ
はこれが決して模造品ではない事を知っていた。
「・・・・以前、ガウリイがあたしにも見せてくれた事があるわ。
父親の形見・・・だっけ?」
「そうよ、貸して。これに入れて持って帰るんだから。」
あたしが剣を渡すと、ゼルガディスは空っぽのチェロケースにそれをしまい込んだ。
そーいや、大学のサークルのオーケストラの1員やってるんだっけ・・。
「そんなの、用意してきたの?準備いいのね。」
アメリアが感心したように呟くと、ゼルガディスは『当たり前じゃない』という顔で、
「こんなもん、剥き出しのままで外に持ち歩けないわよ。目立ち過ぎるし、マンションの人に目撃されたら、そこからガウリイにバレるかもしれないしね。」
言って、青い封筒の方もショルダーバッグにしまう。
「・・と、OK。んじゃ、長居は無用ね。リナ、アメリア・・・片づけるの手伝ってくれる?」
「あ、うん。」
「うん・・・。」
あたしが動き始めるとアメリアも渋々と腰を上げた。



 帰りーーーーー電車の中で。
「あれ・・・?」
ゆっくりと座席にもたれて足を組んだその時、あたしは靴下に1本のかすれた金髪がくっついているのに気がついた。
多分、絨毯に座った時についたものだろう。間違いなくあいつの髪だ。
『スレイヤーズ』のガウリイも見事な金髪と碧眼の青年だが、あたし達の『ガウリイ』も輝くばかりの天然の金髪と碧眼の持ち主。
独り暮らしなので詳しくは知らないが、何でも母親が北欧系の女性で、髪も瞳も彼女から受け継いだものらしい。
父親はアジア系の人間・・・・確信は持てないが、ほぼ100%日本人。
肌の色も白人と言うには少し色が濃く、割と馴染みやすい顔立ちをしているのもそのせいだろう。
ガウリイの母親の存在もあやふやなものだが、父親なんぞは最初から存在していない・・・・。多分、戸籍も母子家庭になっているのだろう。
色々と噂は立っているが、昔、ガウリイの母親は仕事の関係で日本に来ていたが、不幸な事に何らかの事情で会社が倒産し、母国にも帰れなくなった彼女は、仕方なくどこぞの日本人の議員か実業家のお妾になっていたらしい。
そして、ガウリイを身ごもり・・・未婚の母のまま、出産したのだ。
ガウリイの戸籍なんぞは勿論知らんが、認知はされていないのは確実らしい。
ただ、母親が日本国籍を持っているので彼も日本人となっている。
・・・・あくまで、これはあたし達の推測に過ぎないが。
あたし達の「仲間」の最大の暗黙のルールとして、『他人の生活環境に必要以上に探りを入れない』というのがある。
正直に言うと、あたしはゼルガディス、ガウリイ、シルフィール以外の仲間の家の住所すら知らない。
アメリアと彼女の姉の本名だって知らない。知る必要もないからである。
ひょんな事で何故か意気投合したあたし達は、お互いの社会的生活環境は最低限しか知ってはいけないのだ。
・・こういう言い方をするととことん怪しいかもしれないが、あたし達の付き合いは至ってノーマルである・・・・念の為。
時折、皆で遊んだり食事をしたりと・・・その程度である。
ただ・・・必要ないとはわかっていながら、ガウリイには誰もが興味を湧かずにはいられない。
性格も・・・勿論変わっているが・・・・それ以上に、人を引きつけるのはその容貌だろう。
金髪と碧眼だけでも目立つのに、長身のあたしより頭一つ分以上は裕にあるスラリとした長身、ほどよく引き締まった筋肉、それでいて、優し気な女性のように整った顔立ち・・・オリジナルに勝るとも劣らぬ素晴らしさである。
勿論、これはあたしの視点からに過ぎないが、それでも、その表現に異論を唱えるものはまずいない。
密かに色々な憶測が飛び交うのも仕方がないと言うものだろう・・・。
でも・・・そのガウリイが・・・・・。


 「実は僕、こういうものでしてね。」
そう言って、スッとテーブルに置かれた名刺には、
『PRIAVATE・EYE』
・・・・右端に、金色の文字でそう書かれてあっただけだった
「名前も社名もないんですけど・・・・。」
「それは秘密です。」
・・・・あ、そ。
「PRIVATE・EYE・・・・・私立探偵ってわけね。ゼロスさん。」
「よくご存知で。今、説明しようと思っていたんですがね。」
そう言って、目の前の男は満足そうに微笑んだ。
「・・・で、その探偵さんが何でゼルガディスと会っているわけ?」
「・・・・と、言うよりも、彼女の方から僕に近づいてきたんですよ。
こっそりガウリイさんに接近しようとしようとしていたのがどうやら彼女にバレてしまいましてね。
1週間前ほどでしょうか・・・・・ガウリイさんのマンションに行った帰り、
突然声をかけてきたのがあのお嬢さんだったんですよ。
それで・・・・・。」
「ちょっと!・・・・・」
「おっと。」
思わず大声で彼の言葉を遮ろうとするあたしの口を、間髪入れず、ゼロスの人差し指が塞ぐ。
「ゼルガディスさんよりも、まず、何で僕がガウリイさんに近づいているのか・・・・それをお聞きしたいのでしょう?」
とっさのゼロス仕草に思わず赤らんだ顔を隠すように、あたしは無言で首を縦に降った。
「仕事なのはわかるけど・・・・。」
「依頼主は誰なのか・・・ですよね?」
悠然と微笑みながら、こっちの心中を読み取るかのようにちらりと目配せする。
「ど・・・どーせ、『それは秘密です』とか言う・・・・」
「依頼主はガウリイさんのお父さんですよ。」
なっ・・?
「・・・・・ンなあっさり言ってもいいの・・?」
「ええ。ゼルガディスさんだって既に知っていますし。あくまで血縁上のみですが。」
「・・・ガウリイが私生児だって事ぐらいは知っていたけど。」
そう。ガウリイの家はただの母子家庭(もっとも、今は一人暮らししているが)ではない。ガウリイの母親は未婚のままでガウリイを産み育てたらしいのだ。
「・・・・そりゃ、女だけじゃ、出産は出来てもそれ以前の妊娠は出来ないものね。でも、何で20年以上も経った今に・・・」
「それは秘密です。」
「・・・・でしょうね。」
「まあ、僕もよくは知らないんですがね。何でも依頼主の方はとある組織の方だけは言っておきます。」
組織・・・・・・。
「じゃあ、暴力団とか・・・。」
「さあ?それも秘密です。では、もうすぐゼルガディスさんも来ると思いますので、僕は一旦ここを離れ・・・」
「待って!それも聞かせてよ。何で、これからゼルガディスと会うの?」
「そ・・それは・・・。」
「秘密なんて言わせないからね。どういう形でゼルガディスが関わっているわけ?あんたやガウリイの父親とか何とかがしてる事に、あたし同様ただの仲間に過ぎない彼女が加わっているのはどうしてよ?」
「それは・・・」
「秘密は無しだからね!」
「わかりましたよ・・・・。」
ーーーーー勝った。
ふうっと息をついて苦笑を浮かべるゼロスににんまり笑い返しながら、あたしはテーブルの下の両手で小さくガッツポーズを作っていた。

しかし・・・・今、思えば、あれもゼロスの策略だったのだろう。
例えて言うのなら、自分からは相手に近づくのではなく、相手の手を引っ張って自分の方に引き寄せる・・・・それがゼロスのやり方なのだ・・・。


 「リナ?・・・・リナ!」
軽く肩を掴まれ、ガクガクと肩を揺さぶられて、あたしの思考は昨日へのタイムスリップから戻ってきた。
「大丈夫?寝てたの?」
「ん・・・。」
力ない返事をしながらゼルとホームへ降り立つ。
「・・・ねえ、ゼルガディス・・・。」
「ん?」
「それ、いつゼロスに渡すの・・?」
「・・・わかんない。とにかく、盗って来たらすぐに連絡入れろとは言われてるから、今夜にでも。」
「ふーん・・・・。」
「ま、そんなに元気ない顔しない。」
言って、ゼルガディスはあたしの背中をパンッと叩く。
「とんでもない事になちゃったけどね。ゼロス達が何とかしてくれるみたいだし、
あたし達に直接害が来るような事はないわよ。」
「うん・・・。」
「だから、大丈夫だって。」
言って、チェロケースをよいしょと持ち直すと、ゼルガディスはあたしに向かって軽くウインクした。
「ガウリイだもの。あの強運の男がそう簡単にくたばるはずはないでしょ?」


 「ただ今ー。」
・・・とは言っても、誰もいない。
荷物を放り投げ、パソのスイッチを入れて立ち上げる。
まずはメールのチェック、それからHP・・・・伝言板を見て、それからチャットに行くが・・・時間帯が悪いのか、最後のログが30分前に残っているきりで、今は誰もいなかった。
『・・・つまんない。』
自分でもよくわからん独り言のログだけを残してネットを切ると、冷蔵庫から麦茶とおやつのみたらし団子を取り出して、TVの前に座った。
ラベルの張っていない数本のビデオテープから、直感で1本を取り出すと、デッキにセットして、再生させる。
「あ、間違えた・・・・。」
映ったのは、お目当ての先週のロスユニじゃなくて、『スレイヤーズ・TRY』だった。
ま・・・いいか。
ソファに座り込み、団子を頬張りながら画面を見つめ・・・・やがて顔がこおばっていくのが自分でもわかった。
何話目だろうか・・・・・リナ達がヴァルガーヴという悪役と戦う最中、ゼロスがヴァルを痛めつけるシーンだ。
ゼロスがうつ伏せに倒れたヴァルの脊髄辺りに錫杖の先をのめり込ませる。その度にヴァルは苦鳴を上げ、ゼロスは恍惚の表情を浮かべ・・・・
ーーーープツッと音を立てて画面が消える。
あたしは無言でリモコンをTVの上に置くと麦茶を一息に飲んだ。
何だかひどく嫌な気分だった。
・・・固く瞳を閉じる。
それでも瞼の裏に浮かんでくるTVの中のゼロスと『現実』のゼロス・・・。
ゼロスはああいう生き物なのだーーーーー普段はへらへら笑っている奴なのに、自分の任務の為にならためらわずにひどいサディストにもなれる・・・。
あたし達の目の前の現れた『ゼロス』もそういう奴だったら・・?
あんなのにガウリイの命を握られている・・・あんな奴らにあたし達は手を貸している・・・。
「恐い・・・。」
ポツンと1言呟いて自分の体をギュッと抱きしめる。
恐い・・・・恐い・・・・。
でもーーーーーーもう後には引けないのだ・・・・・・・・・・。

(to be cotinued)

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4144Refelectionの感想です!三里桜架 E-mail 8/23-00:53
記事番号4108へのコメント
どうもはじめまして、三里桜架と申します。

毎回楽しく、楽しみに読ませていただいております。
最初呼んだ時、『うぉ・・・ゼルが女だぁー・・・』などと思い、びっくり仰天!
全然気付かなかったもので・・・。
でも、やっぱりゼロスはゼロスですねー。(←意味不明)

これからも頑張って下さい!
続き、楽しみにしています!
短いですが、それではまた!

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4342Refelectionの感想だよんおおしょ〜 E-mail 9/7-21:04
記事番号4144へのコメント
うわあ〜〜〜・・・
久しぶりにここのHPに来てみれば・・・
MEIMIちゃまの小説があ〜〜〜〜〜〜っっ!!!
びっくりです!
早く4が読みたい〜〜〜〜〜〜っ!!!
頑張ってくださいっ!!!
ではっ!