◆-真実は暗闇の中へ-ちょぴ(8/12-01:04)No.3944
 ┣Re:真実は暗闇の中へ-松原ぼたん(8/12-22:48)No.3968
 ┃┗松原ぼたんさんありがとうございます-ちょぴ(8/17-21:43)No.4096
 ┣発見-つと(8/13-00:55)No.3982
 ┃┗つとさんありがとうございますぅ-ちょぴ(8/17-21:48)No.4097
 ┣HUSH’A BY BABY-M(8/13-01:44)No.3985
 ┃┣Re:HUSH’A BY BABY-三里桜架(8/13-02:40)No.3987
 ┃┗Re:HUSH’A BY BABY-松原ぼたん(8/13-17:14)No.4000
 ┣Re:真実は暗闇の中へ-明美(8/13-02:08)No.3986
 ┃┗明美さんありがとうございます-ちょぴ(8/17-22:42)No.4098
 ┗感想です♪-Shinri(8/17-00:08)No.4080
  ┗Shinriさんありがとうございますぅ-ちょぴ(8/17-23:07)No.4099


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3944真実は暗闇の中へちょぴ E-mail 8/12-01:04


こんばんわ。またはこんにちわ。はたまたおはようございます(^^)
2度目の投稿ちょぴです。
今回は趣味にはしりまくってます(爆)
いえ、前回のも趣味だろうと言われれば否定はできませんが(^^;;

では、よろしければおつきあいくださいませ。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

エピソード3 『真実は暗闇の中へ』

どすぅっ!!!!

 鈍い感触。
 確実な手応え。
 骨と肉を断つ。
 もっとも今まで感じたことの多い感触。
 人を−−−刺し、貫いた感触−−−−−。
 ずっしりと重い。
 自分が今、貫いた人間は先ほどまで生きていた。呼吸をしていたソレは、単なる肉塊と化したのだ。
 彼の手によって。
 その肉塊が腕の中に落ちてきた。
 支える事の出来なくなった手と足では、当然と言えば当然だろう。
「・・ガウ・・・リイ・・・どうし・・て・・・・?」
 自分の腕の中でゆっくりと息絶えていくそれに、初めて視線を向けた。
 それは栗色の長い髪がゆっくりとなびいた。
 意志に満ちた赤い瞳がゆっくりと、濁っていく。
 たった今、自分が貫いたのは、彼女だったのか?
 自分が執着した者。
 『保護者』として、護ってきた者。
 なによりも、誰にも渡したくないと想った者。
 その、彼女が今、自分に刺し貫かれ、息たえようとしている。
 かすれる声で、絶叫した。
「リナぁああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

ばっ!

 ガウリイは跳ね起きた。
 長い金髪が汗で額に張り付いている。
 まだ手に残る。リナを刺し、貫いた感触。
 自分の両手を思わず確認する。
「!!」
そして、血に塗れていることに驚愕した。
 だがすぐそれは錯覚だと気付き、ほっと息を吐く。
 すぐ側に感じる気配。
 人間のものともちがう、獣のものとも違う。
「いるんだろ? ゼロス」
「あれ? どうしてわかっちゃったんですか?」
 闇がわだかまり、凝り、それは人の姿を形取った。
 黒い法衣。
 肩で切りそろえた黒い髪。
 赤い宝玉のついた錫杖。
 筆で一掃きしたように細められた瞳。
 おちゃらけたいつもの口調でゼロス。
「おまえ、その宝玉で俺の負の感情を集めてたろ」
 剣呑な瞳をして言うガウリイに、ゼロスは至って平然と言った。
「あ、それでですか」
 一見優しそうな顔をしたその裏には、冷徹な刃を持つ高位魔族。
 しかも赤眼の魔王シャブラニグドゥ、腹心のうち一人。獣王ゼラス=メタリオムが神官、腹心に次ぐ能力を持つ魔族のエリート中のエリートだ。
 魔族の糧は生きとし生ける者の負の感情−−−−−。
 ゼロスはガウリイの悪夢からでた、悲しみととまどい。自分が殺してしまったと、手にかけてしまったという恐怖と絶望の感情を喰ったのだ。
「それだけじゃないがな」
 いつもよりやや細められたガウリイの瞳は、真剣だった。
「おまえが、見せたのか?
 あの、夢を−−−−−」
 ガウリイはゼロスの細められた瞳を見ながら言った。
 ゼロスの瞳。
 普段滅多にぱっちりと開くことのない瞳。それは正体を隠すためであるだろうし、自分の持つ瘴気を出さないようにするためでもあるだろう。
 深い闇色の瞳をうっすらと開けてゼロスはガウリイを見た。
「いいえ、違いますよ。
 僕はそんなことはしません」
 いつもの口調で、ゼロスは答えた。
 ガウリイはゼロスをまっすぐと見た。薄く開いた闇色の瞳をのぞき込むように、その真意を測るように。
 だが、誤魔化すことはあっても、彼はうそはつかない。例え真実全てを話さなくても。そしてその紫水晶がごとき瞳から真実を探り出すことはできないだろう。
 あまりにも、闇が深くて−−−−−。
 ガウリイは小さく嘆息した。
「なぁ、ゼロス」
「何ですか?ガウリイさん」
 少し、躊躇してガウリイは言葉を口にした。
「リナの、本心を知ることはできないか?」
「ガウリイさんらしくないお言葉ですねぇ」
 ガウリイは自分でもそう思っていた。
 普段なら絶対に言わない言葉。
 思わない事。
 何故そう思ったかというと、寝る前に酒場に行ったときのことだった。


 ガウリイが階下の酒場に降りていくと、広い食堂の中、一人の青年が酒を飲んでいた。
「ゼルじゃないか」
 ガウリイはにこやかにいつもの調子で声をかける。
「ガウリイの旦那」
 白ずくめの服を身につけ、幅広の剣をテーブルに立て掛け、ゼルガディスはそこにいた。
「眠れないのか?」
 ガウリイのセリフにゼルガディスは苦笑すると、
「そういうわけでもないが・・・。
 旦那こそどうしたんだ?」
 言葉を濁し、逆に問いかける。
「ちょっと、な」
 ガウリイも言葉を濁し、奥で明日の仕込みをしているおやじに、酒を注文する。
「おいおい、いいのか?
 リナに怒られても知らんぞ」
 酒を注文するガウリイに慌てるゼル。
 何てことはない、先日ガウリイは酒を飲み、酔ったためだろうリナの部屋で眠っていたのだ。ガウリイは酔っても行動としては酔っているようには見えない。
 自分の部屋の隣にたまたまリナの部屋があり、自分の部屋と間違えて部屋に入り、床の上で眠ってしまっていたのだ。リナに限らず扉には鍵をかけて眠る。鍵をかけて眠ったにもかかわらず、目が覚めたら床の上で寝ているガウリイに驚き、そこで「しばらくは酒を飲むな!」とリナに怒られてしまったのだ。扉のノブはガウリイの馬鹿力で鍵が壊れており、弁償するハメになったことも手伝っていただろう。
 リナはすさまじく怒っていた。
 すっかりそのことを忘れていた、というわけでもないが、今夜は眠れそうになかった。だから、内緒でこっそりガウリイは酒場に来たのだ。
「リナには内緒にしといてくれよな」
 苦笑と共に言った言葉にゼルガディスは、複雑な表情で頷いた。
 ゼルガディスとて口が軽いわけではない、だが、リナにかかれば、たやすく聞き出されてしまうだろう。
 一抹の不安を覚えたのだ。
「なぁ、ゼルガディス」
 いつになく真剣な口調のガウリイ。
「なんだ」
 言いながら、酒を一口のむ。
「リナのことなんだが」
 いつになく歯切れの悪いガウリイ。
「だから、なんだ」
 多少いらいらしながらゼルガディス。
 さらに一口酒を飲む。
「アイツのことをどう思ってる?」
 ぶーーーーーーっっっ!!!!
 ゼルガディスは思い切り酒を吹き出してしまう。
「げふっ・・げほんっげほっ・・・」
「おいおい、大丈夫か?ゼル」
 のほほんとした声でガウリイ。むせてしまったゼルガディスの背中をさすってやる。
「・・あ、あんた・・・なにを考えてるんだ・・?」
 むせかえった呼吸を整えながら、ゼルガディス。
「答えてくれ。ゼル」
 まだガウリイは背中をさすっているので、ゼルガディスの位置からでははっきりと表情を見ることはできない。
 だが、声は真剣だった。ごまかすことなど出来ないだろう。
 数瞬、躊躇したあと重いため息をはいて、答えた。誤魔化すことは不可能だと思ったのかも知れない。
「そうだな、女として、好きだ。
 今までにあんなヤツには出会ったことがない」
 広い店内にいるのはガウリイとゼルガディス、そして厨房で仕込みをしている宿屋の店主だけだ。
 本人に聞こえるわけなどないが、ゼルガディスはそれだけで耳まで真っ赤になってしまった。
「そういうあんたはどうなんだ?リナのこと」
 俺にも知る権利はあるとばかりにゼルガディスは言った。憮然としたまま、横を見ていたが、残っていた酒を一気にあおる。
「おれは、『保護者』だぜ?」
 自嘲気味に答えるガウリイ。あくまで冷静に。
「たてまえじゃなく、本心だよ」
 ゼルガディスの容赦のない言葉に、一瞬ガウリイは止まった。
 見透かされている、そう思ったから。
「そう、だな」
 苦笑して言葉を継いだ。
「俺は、アイツが好きだ。女として、愛してる」
 自分の気持ちを言葉にしたのは初めてだった。自分の中では認めていても、言葉に出して言うと、それが妙に照れくさく、恥ずかしい。

−−−−−だが、アイツが好きなのは・・・。

 それを考えると暗くなってしまう。
「こんな時ぐらい素直に言ってもらわないとな。
 俺が本心を言った意味がないからな」
「なぁ、ゼル。
 俺はアイツが好きなのはお前だと思うんだが・・・」
 ぶーーーーーーっっっっ!!!!
 ゼルガディスはまたも思い切り酒を吹き出してしまう。ガウリイのあまりと言えばあまりの言葉に。
「おいおい、汚いなぁ。
 酒がもったいないじゃないか」
 心底もったいない、という顔をしているガウリイに、ゼルガディスは聞いた。
「しょ、正気で言ってるのか旦那・・・」
 うんざりとした口調で、だが眼光鋭くゼルガディスはガウリイを見た。
 ゼルガディスから見て、リナは絶対にガウリイのことが好きだと思った。
 本人が自覚していないだけで。
「もちろん正気だ。
 俺はリナのことが好きだが、アイツを幸せにしてくれる男になら、アイツを任せてみようと思うんだ。
 アイツにとって所詮は俺は保護者だからな」
 少し哀しげに言ったガウリイの言葉に、ゼルガディスは真剣な声で言った。
「それは俺にリナを譲る、と言ってるのか?」
 その言葉にガウリイはゼルガディスを見た。その言葉に衝撃を受けたから。
「保護者としてではなく、一人の男としてリナを俺に譲る、と言っているのか?」
 ゼルガディスは言葉を重ねた。
 ガウリイは本心を言っている。
 実際にそう思っている事実はある。
 しかし、それを目にしたとき、自分がどういった行動をとるか、はっきりいってわからない。
 ガウリイは何かを言いかけ、やめる。
「リナが俺を好きだといったのか?」
 なにやら考え込みはじめたガウリイに、ゼルガディスは問いかけた。
「いや、それは・・・」
 ガウリイは言いよどみ、うつむく。
 リナの言った言葉ではないのだ。
 ガウリイがそう思ったにすぎない。
「それに、俺はリナは旦那のことを好きなんじゃないかと思ってるんだがな」
 ゼルガディスの言葉にガウリイは顔を上げた。
「ま、もっともこれもリナが言った訳じゃない。
 それに、リナから聞いた言葉じゃないと、俺も旦那も信じられないんじゃないか?」
 正論だった。
 ゼルガディスはこう言っているのだ。
 チャンスは五分五分だ、と。どちらにどう転ぶかなど、最終的にはリナ次第だと。
「たしかに、な」
 ガウリイはため息をつくと、酒をあおる。
「俺はもう寝るが、旦那はどうするんだ?」
 ゼルガディスは自分のグラスに残っていた酒を飲み干し、ガウリイを振り返った。
「オレは、もう少しいるよ」
「そうか。 じゃ」
「ああ、おやすみ」
 ゼルガディスは自分の分の代金をテーブルに載せると、階段を上がっていった。
 それから、ガウリイはしばらく一人で考えたり、おやじさんとたわいのない話をし、代金を払うと部屋に戻り、眠りについたのだ。
 そして、あの夢を見た。

−−−−−オレは心の中では、リナを殺してでも自分のモノにしたいと思ってるんだろうか?

 疑問が浮かんでは、消えていく。
「だから、リナさんの本心をしりたい、と?」
「あ? ああ。 できるのか?」
 物思いに沈んでいたガウリイはゼロスの言葉に、一拍おくれて答える。
「できますよ」
 いつものにこやかな顔と口調でゼロス。
「しかし、それを知ることでガウリイさんが失うものもあります。
 それは二度と元には戻りません。
 それでもよろしいですか?」
 ゼロスの言葉に一瞬顔をゆがめる。
「それは、オレの持っているものと言うことか?」
「形のあるものとは限りません。
 それを知ってしまったことで、ガウリイさんがリナさんへの気持ちをなくしてしまう、とか。
 他には、ガウリイさん自身ではなく、ゼルガディスさんやアメリアさんやリナさんが、ガウリイさんのことを忘れてしまうとか、そういった事があります。
 ただし、なにが失われるかはわかりません。
 過去には自分が大切にしていたペットの命がなくなってしまったと言うこともありました。
 はっきりしているのは、必ず何かが失われ、それはかえることがない、ということですね。その想いが強ければ強いほど、比例して失われるものも大きくなります。
 それでも知りたいとおっしゃるなら、やりますけど」
 微笑みながらゼロス。
 ガウリイは苦笑した。
「どうしてもしりたいんだ。でも、リナの事を忘れてしまうのも、リナ達に忘れられるのも困るなぁ」
「どうしますか?ガウリイさん」
 しばらく考えた結果、ガウリイは口を開いた。
「難しいことはわからん。
 でも、リナの気持ちを知りたい」
 ゼロスは呆れた。

−−−−−難しいことはわからん、てあれほどわかりやすく言ったのに・・・・。

 小さく嘆息して、言葉を紡ぐ。
「わかりました。
 ご協力しましょう」
 そういうとゼロスは空間を曲げると、闇の中への入り口を作り出す。
 そこに手を伸ばし、引き戻すと、ゼロスの腕の中にはリナが居た。
 パジャマ姿であどけない顔をしている。まだ寝ぼけているのか、なにが起こっているのか分からないのだろう。眠たげに目をこすりつつ、
「ガウリイがいるぅ・・・。
 何でゼロスがいるのぉぉ・・・?」
 小さくぼやくようにぶつぶつつぶやく。
「ゼロス!」
 とがめるような口調で言うガウリイに器用にウインクすると、ゼロスは手を振りかぶった。
「では、いきますよ」
「やめろっっ!!!!」
 まだ半分寝ているリナに向かって、ゼロスは手を振り下ろした。
 ガウリイは叫んだ。
 何故叫んだのかは分からない。
 ただ、ダメだと、そう思っただけだった。
 しかし、ゼロスは手を振りきった。
 ゼロスはリナの胸に手を突き刺した。
 血は出ない。
 リナの身体に闇がわだかまる。
 その闇の中に手を入れたゼロスは、中からひとかたまりの光を採りだした。
「これが、リナさんの『心』ですよ」
 その色は白。
 光そのもの。
 リナの色。
 純粋な彼女の奥に眠る心の色。
 そのなかから、声が聞こえた。
 リナの声だ。
『ガウリイ。
 すきよ。
 大好きよ。
 素直にはなれない。
 でも、いつでも大好きよ。
 言葉には出さないけど。
 大好きよガウリイ』
 それはリナの本心。
 心の中にある言葉。
 素直な心。
 たとえ自覚していなくても。
 それは事実。
 それは真実。
 リナの心そのまま。
 心の輝きそのもの。
 だがゼロスの手の内に輝いていたそれは次第に輝きを失う。
 そしてリナは崩れ落ちた。
 冷たい木の床へと。
「リナぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 叫び、手を伸ばす。
 リナは、冷たくなっていた。
 ただの肉の塊。
 濁った瞳。
 栗色の髪が揺らめく。
「どうやら、耐えられなかったようですね」
 何の感情もないままに言われた言葉。
「・・何故、リナは死んだ?」
 ガウリイの低い声に。ゼロスは微笑んだ。
「代償です。
 先ほど言ったように。その思いに比例してその代償が大きくなります。
 つまり、リナさんはそれだけガウリイさん。あなたのことが好きだったんですねぇ」
「・・・・・」
 たとえ何があっても。
 どうしても、と。
 望んだのは自分。
 彼女の命がなくなるとは考えつかなかった。
 彼女ではなく、自分に降りかかると思っていた。
 自分のせいで彼女が傷ついた。
 自分が傷つけた。
 腕にあるひやりとした感触。
 苦しみはなかったのか、きれいな顔で眠っているように。
 その冷たい唇に、自分の唇を重ねた。
 最初で最後のキス。
「リナ・・・・。すまん。
 オレも、すぐ行くから・・・」
 ゼロスはいつの間にか消えていた。だが、ゼロスの存在など、今のガウリイにはどうでも良かった。
 リナがいない。リナの存在が消えてしまったことの方が重要だった。
 自分の望みのせいでリナが死んでしまった。
 あとのことなどどうでもいい。ただ、リナの側に行きたい。
 何の感情もわかない。
 心など意味がない。
 リナのいない世界に、価値なんか見いだせない。
 自分の望みでリナが死んだことを知ったら、リナは怒るだろうか?
 怒って、きっと済んでしまったことは仕方ないと笑うだろう。
 でも、自分がリナのあとを追ってきたのだと知ったら、彼女はおこるだろう。しかし、それでもリナのいない世界には生きていても意味がないのだ。
 もう何も考えられなかった。
 冷たくなったリナの身体ををベッドに横たわらせると、ガウリイは持っていた短刀で、首を掻ききった。
「おやおや、ガウリイさんまで」
 精神世界で様子を見ていたゼロスはため息をついた。
「ここで死なせてしまってはまたおしかりを受けてしまいますね」
 錫杖をうちならす。
「今回限りですよ。 ガウリイさん」


「うわぁっ!?」
 ガウリイが目を覚ますとそこにはリナが居た。
 ベッドの上ですやすやと眠るリナに、ガウリイは安堵した。
 夢を見たのだ。
 自分の手でリナを殺す夢を。
 そのほかにもなにやらいろいろと夢を見たような気がするが、覚えていない。
 生きていることを確かめたくて、ガウリイは眠っているリナを抱きしめた。
「きゃあっ!!」
 ガウリイに抱きしめられ、目を覚ましたリナは驚き叫んだ。
「なっ、また酔っぱらったわねぇーーーーー!!!!
 飲酒禁止って言ったでしょう!!!」
「おはようリナ」
 外はまだ薄暗い。
 夜は明けてきたようだが、まだみんな眠っている時間だ。
 幸せそうに挨拶されてしまい、リナは毒気が抜かれてしまった。
「・・・・・おはよう」
 憮然と呟かれたリナのセリフに、ガウリイは笑った。
「なぁ、リナ」
「何よ!」
「生きてるって素晴らしいなぁ」
「あんたなんか悪いもんでも食べたんじゃない?!」
 ガウリイのセリフに、リナの驚きが宿屋にこだました。
 真実は闇の中へと消えた。
 今日もまた騒がしい一日が始まる。


END
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ここまで呼んでくださった方。
おつきあいありがとうございました(^^)

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3968Re:真実は暗闇の中へ松原ぼたん E-mail 8/12-22:48
記事番号3944へのコメント
 面白かったです。

>「・・ガウ・・・リイ・・・どうし・・て・・・・?」
 う゜ぞ。
> ガウリイは跳ね起きた。
 あ、夢なんですか。
>「ガウリイさんらしくないお言葉ですねぇ」
 確かにそうかも。
> ゼルガディスとて口が軽いわけではない、だが、リナにかかれば、たやすく聞き出されてしまうだろう。
 そうかも・・・・。
>「おいおい、大丈夫か?ゼル」
 自分の言った言葉に自覚と責任をもとうね、ガウリイ。
> だが、声は真剣だった。ごまかすことなど出来ないだろう。
 うわ、本気なの?
> ゼルガディスはまたも思い切り酒を吹き出してしまう。ガウリイのあまりと言えばあまりの言葉に。
 ゼル、こういう会話なれてないだろ?(笑)
> チャンスは五分五分だ、と。どちらにどう転ぶかなど、最終的にはリナ次第だと。
 鳶にあぶらげという可能性も・・・・(笑)。
>−−−−−オレは心の中では、リナを殺してでも自分のモノにしたいと思ってるんだろうか?
 いや、夢ってあてになるときとならないときと半々だから・・・・。
> はっきりしているのは、必ず何かが失われ、それはかえることがない、ということですね。その想いが強ければ強いほど、比例して失われるものも大きくなります。
 それは結構賭ですね。
>−−−−−難しいことはわからん、てあれほどわかりやすく言ったのに・・・・。
 いくら言葉で説明されても結局はわかんないと思う。だれにも。
>「代償です。
 ひどいっ。
> オレも、すぐ行くから・・・」
 いや、それってリナ喜ばないと思う、残酷だけど。
>「ここで死なせてしまってはまたおしかりを受けてしまいますね」
 なんの命令うけた、おまえは。
>「生きてるって素晴らしいなぁ」
 アメリアみたい。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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4096松原ぼたんさんありがとうございますちょぴ E-mail 8/17-21:43
記事番号3968へのコメント


>あ、夢なんですか。
はい。夢なんです(笑)

>>ガウリイさんらしくないお言葉ですねぇ」
>確かにそうかも。
リナ関係で、らしくなくなるガウリイって好きなんですよ♪
趣味まる出しですね(汗)

>鳶にあぶらげという可能性も・・・・(笑)。
そうです。人生なにがあるかわからないし(笑)

>それは結構賭ですね。
まあ、何がなくなるかわかっちゃったらそれはそれでつまらないし(爆)

>いや、それってリナ喜ばないと思う、残酷だけど。
そうですね。リナは絶対に喜ばないですね。
それが自分のエゴでも、リナのいない世界にガウリイはいることができなかったらしいです(爆)

>なんの命令うけた、おまえは。
うちのゼロス君はあの2人の観察をするのが趣味(仕事ではない・爆)
になってます(笑)

>>生きてるって素晴らしいなぁ」
>アメリアみたい。
まさに、アメリアの心境でした(笑)

>本当に面白かったです。
>ではまた、ご縁がありましたなら。
感想ありがとうございます。
まだまだ未熟者ですが、機会がありましたらまた感想など聞かせて下さいませ(←まだやる気かい)

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3982発見つと E-mail 8/13-00:55
記事番号3944へのコメント

> 冷たくなったリナの身体ををベッドに横たわらせると、ガウリイは持っていた短刀で、首を掻ききった。
>「おやおや、ガウリイさんまで」
> 精神世界で様子を見ていたゼロスはため息をついた。
>「ここで死なせてしまってはまたおしかりを受けてしまいますね」
> 錫杖をうちならす。
>「今回限りですよ。 ガウリイさん」
>
どーもつとです。(^^)発見したので感想をば・・・
読み応えのある長編でした。
しかしBAD ENDで終わるのかと思ってしまった。
最後がやっぱりうれしいです。

おもしろかったです。

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4097つとさんありがとうございますぅちょぴ E-mail 8/17-21:48
記事番号3982へのコメント

>どーもつとです。(^^)発見したので感想をば・・・
あうっ! 発見されてしまいました(笑)

>読み応えのある長編でした。
あ、やっぱし長かったですか?
一応短編のつもりだったんですけど(^^;;
どこどこ長くなってしまったという過去が(爆)

>しかしBAD ENDで終わるのかと思ってしまった。
>最後がやっぱりうれしいです。
BAD ENDも好き(自爆)なんですが、
ガウリナというか、スレキャラって死のイメージがでてこないんです(笑)
殺害シーンとか、人を殺そうとしているところは、ころころ浮かぶ(危険だ)
んですけど、絶対に生きているという(笑)

>おもしろかったです。
感想ありがとうございますぅ。
某所でもよろしくおねがいします(^^)

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3985HUSH’A BY BABYE-mail URL8/13-01:44
記事番号3944へのコメント
先日、僕とちょぴさんてば。こんな会話をしてました。

ちょぴさん(以下:ち):「Mさん、何か新作書いてください!」
僕:「(忙しいんだけどなあ)じゃあ、何か一坪さんの所にUPしなさい(^^)」
ち:「えー?(汗)」
僕:「そうしたら、何かUPしましょう(にこにこ)」
ち:「わ、わかりましたあ(汗汗汗)」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


HUSH’A BY BABY

 はてさて、人生には様々な事が起こる。
 それがどんな事かって?
 もちろん、思いも掛けない様な事に決まっている。
 例えば、それは一人の少女が。姉の一言によって世界を旅する事が決まったように。
 例えば、それは一人の青年剣士が。たまたま出会った少女と共に、世界を左右する出来事にあうように。
 それまで、出会った事もない出来事にかち合ってしまう。
 人生とは、そんな事の繰り返しだ。
 誰でも、計算や予想だけでは計り知れない事と。隣り合わせで生きている様な事実に、人は時として気付かなくてはならない。
 そして、人は気付かないふりをしながら生きている事も。
          ◇
 ガウリイは、呆然としながらも口を開き。言葉を紡いだ。
「どーすんだよ……これ」
「どーすんだって言っても……決まってるじゃない……」
 答えるあたしも、別に何か考えがあるわけではない。
 ただ、言われて反射的に答えてしまったと言うのが正しい。
 実際の所を言えば、途方にくれたと言うのが。正直な意見なのだ。
「どーすんだよ……」
 繰り返すガウリイの声も、何となく覇気が感じられない。
 まあ、当然と言えば当然かも知れない。
 あたしは、腕の中を見下ろした。
「決まってるじゃない。このままで、いられるわけないよ……」
          ◇
 事の起こりは、いつもと同じだった。
 旅の途中。盗賊を倒しに、宿から抜け出すリナと。
 リナの後をこっそりと着いてくるガウリイと。
「なんだって着いてくるかなあ。このあたしが、あんな奴らにやられるわけないじゃないのに!」
「そういう問題でもないだろう?」
 呆れた声で言われるけれど、何を言いたいのか判らない。
 まあ、全部が全部判らないって事はないんだけど……。
 心配してるんだって事は、判る。でも、それってあたしの実力を過小評価してるって言わないわけ?
「言わないって……。だから、その……」
 何よ、言いたいことがあるならはっきりと言いなさいよね!!
「言わなきゃわかんないわけ? お前さん……」
 心底、呆れた様に言われる。
「ガウリイに『だけ』は言われたくないわね」
 森の中を歩く。
 暗いけれど、月が皓々と照らしてる。だから、怖くはない。
 足下はおぼつかないけど、盗賊団を倒した後だから『明かり』の魔法で明るい事は明るいし。もっとも、ない方がムード的にはいいと思うんだけどね。
 まあ、このクラゲ男にムードを求めるのは間違いな気も……しないでも。ない。


 どんっ!!


 衝撃は、突如として現れた。
 何も、前兆の様なものは全くなかった。
「リナ!!」
 振り向いた時。そこには、光の柱があった。
 そう。それは、まさしく「光の柱」としか言いようのないものだった。
「何なの、あれは……」
 遙かな高みから、大地へと貫かれる光が。
「行くわよ、ガウリイ!」
 何があるのかは判らない。でも、騒動のあるところ金儲けの話あり!
「おう!」
 もちろん、あたしの中にあるのは金儲けだけではない。
 もしかしたらと。
 背中に視線を感じて、あたしは思う。
 それを知って判っているから、ガウリイは一緒にいてくれるのだろうか。
 いつまで?


 森の外には、草原が広がっていた。
 このあたりは、少し湿気が多く草木もうっそうと茂っているけれど。旅をする分には過ごしやすいと思っている。
 平地には起伏が乏しく、結構遠くまで見渡せるためかも知れない。
「なんだ、あれは……」
「あれは……」
 ガウリイが言うのも無理からぬ事で。
 その光景を言うならば……。
「一つがリビング・メイルだってのは判るけど……」
 無機物な存在に、一時的に疑似魂を与える事。それがリビング・メイルと呼ばれる存在。
 あたしは、何度も色々なリビング・メイルを見た事がある。
 中には、己の「意志」を宿した存在さえある。
「もう一つのあれは……」
 見た目からすると、なにやら得体の知れないもの。としか言いようのないもが、一体のリビング・メイルを囲んでいる。
「フレア・ビット!」
 あたしの指から、いくつもの小さな炎が飛び交う。
 瞬間的に、奴らの意識がそれる。
「どっちの味方をするんだ?」
 あたしの横で、ガウリイが剣を構える。
「決まってるじゃない。あれが見えないのっ!?」
 言いながら、あたしはリビング・メイルの足下を指さす。
 あたしの目から見て、リビング・メイルは妙な動きをしていた。と言うより、ほとんど動かなかったわけだが。近くまで来て判った。
「そう言う事か。判った!」
 言いながら、ガウリイが妙なもの。
 たとえて言うなら、びにょーんとのびた影のような。水飴の様な、黒い物体がとぐろを巻いてガウリイに襲いかかる。
「貴殿は……!?」
 リビング・メイルが、慌てた様な顔で。不意の乱入者である、あたし達を見咎める。
 もっとも、甲冑の兜だから表情があるわけじゃないけど。
「話は後よ!」
 リビング・メイルの足下をさらい、あたしは腕に抱える。
「敵じゃないわ。あんたを信用してあげる!」
「……かたじけない!」
 一瞬のとまどいの後、鎧は持っていた幅広のブロード・ソードを構え直す。
 風にはためくマントを気にするでもなく。
「クリストファ・リー・ロード郷。
 我が剣、我が主の名に置いて、貴殿を滅する!」
 鎧のくせに、なかなか立派な台詞をはいて。ガウリイが戦っている、きみょーな奴らの中に飛び込んで行く。
 話は変わるが、あたしの旅の連れ。ガウリイは、こういっては何だが超一流の剣士である。はっきり言って、そんじょそこらの奴らなんて束になってもかないはしない。
 けれど、鎧は強かった。
 ガウリイとて強いが、そのガウリイはちょっぴり苦戦している。何しろ、相手が水飴の様にのたくってる奴なのだから仕方がない。なのに、そのガウリイをフォローしてあまりあるほどの強さなのだから驚きだ。
「いやあ、強いなあ。あんた」
 戦いが終わった時、そこにはあたしとガウリイ。そして、鎧がいた。
「かたじけない。おかげで、助かりもうした。
 ところで……?」
「大丈夫よ、ほら。この通り」
 あたしは、腕を。正確には、その中を見せる。
「おお……!」
 歓喜に震える声が、鎧から聞こえる。
 けれど、その中身が空洞なのは、あまりにもリズミカルに動く動作からも判る。
 なぜかと言えば、鎧と言うのは鉄だ。どんなに頑張っても、普通に比べればぎこちない動作になるのは仕方がない。
 なのに、それを感じさせないのだから。こんなの、リビング・メイルでなければ無理だ。
 大体、重甲冑なのだし。
「ご無事で何よりです」
 正直な所を言えば、なんだか笑い話の様な気がしてならない。
 下手なお芝居でも変わらないかもしれない。
「あんた、一体なんなの?」
「申し遅れもうした。私はクリストファ・リー・ロード郷。
 従者の身でございます」
 はあ……………………。
 いや、他にどーしろと?
 あたしは、正直に困った。しかし、相手は真面目だ。あくまでも真面目だ。
 ガウリイが何かを言いたそうにしているけれど、あたしは後回しにする。いつもの事だってのもあるけど、それ以上の理由もある。
 何にしろ、こういう訳のわからない相手の場合。とりあえず、一通り事情とかを聴いた方が手間が省けるのだ。下手に口出しをして、何度も同じ事を繰り返し聴かされるのは。はっきし言って時間の無駄である。
「くりすとふぁさん……ですかあ……」
「貴殿等は? さぞや、この世界で名のある方々と見受けられますが」
 まあ……間違いじゃないけど……。
「あたしはリナ。こっちは、あたしの旅の連れのガウリイよ」
「リナ殿にガウリイ殿でおられるか」
 入れたいツッコミはやまほどあるけれど、あたしはぐっと堪えた。
「で、鎧の……ええと」
「リーとお呼び下さい。リナ殿」
「……リーね。で、なんでリーは、追われていたわけ?」
 あたしの、忍耐のたまものであるツッコミは。どうやら、この場合無視された様である。
 おい! なんだってあたしを無視するかなあ!!
 普段なら、これくらい言ったかも知れない。
 だが、今回はそういう訳にもいかなかった。
「リナ!」
「うん……」
 ガウリイの声に、あたしは反応する。
 いつもなら、ここまで反応する必要はないかも知れない。
 けれど、残念な事ながら……今のあたしには、反応しなくてはならない理由がある。
「リナ殿にガウリイ殿。申し訳ないが、しばしの間。お預け申す。
 ここは私が押さえます。安全な所へ!」
 言って、鎧のリーとやらが駆け出す。
「ちょ……」
「待てリナ」
「ガウリイ……?」
 リーの後を追おうとした。あたしを押さえたのは、驚く事にガウリイだった。
「それ、持ったままで行くつもりか?」
 あたしの腕の中に視線を投じながら、ガウリイが聴いてくる。
 う……そうか。でも。
「一度引いた方がいい。あいつなら……大丈夫だ」
「それは……」
 強く言う事も出来ず、あたしあガウリイに促されるままに走り出さないといけなかった。
 とにかく、その時のあたしと言えば。勿論、ガウリイもいつもと違っていたのだろう。
 どれくらい違っていたかと言えば。
「なあ」
 草原より離れ、来た道を戻り。やっと、昨夜泊まった村の宿屋の前まで戻ってきてから。あたし達は、ようやく息をついた。
 多少距離が離れているとは言え、ここからでもはっきりと。夜の闇に浮かぶ光の柱を見て取る事は出来た。しかし、それが音も立てずに狭まり。消えて行く。
 ガウリイが口を開いたのは、それが完全に消えてしまってからだった。
「どーすんだよ……これ」
 幾度目かの問い。
「どーすんだって言っても……決まってるじゃない……」
 応えるあたしとしても覇気と言うものが全く感じられない。
 我ながら、驚くくらい声が平坦と言うか。感情を持っていなかった。
 単に麻痺していただけ、と言う話もある。
「決まってるって?」
「とりあえず、寝ましょ。話はそれからよ」
 あえて反対をしなかったガウリイを横目に、あたしは自らに浮遊の術をかける。
 腕の中の物体が、どうか暴れ出さない事を祈りながら……。
          ◇
 朝。
 光は夢を破るものと相場が決まっている。
 しかし、それは所詮。夢以外を破る事は出来ない。
「夢じゃ……なかったか」
 溜息とも呆れともつかぬ声を出して、ガウリイが困った声を上げる。
 無論、あたしも困っている。
「夢ならよかったけどねえ……」
 溜息をもらしながら、あたしは腕の中に視線を向ける。
 朝になって目立つのも困るので、食事は部屋に運んでもらったものの。どーにもこーにもやりにくいったら、ありゃしない。
 何しろ、あたし達だけ食事をすると言うわけにもいかないのだ。
「困ったわよねえ……実際」
「そうだなあ」
 あたしは、もう一度。腕の中を覗き込む。
 そこには、すやすやと眠る。一人の赤ん坊がいる。
 そう。昨夜、リビング・メイルが守ろうとし、あたしに預けられた存在。
 それこそ、あたしの腕の中ですやすやと眠る黒髪の赤ん坊だった。
 言って置くが、まだ一度も起きてはいない。
「どうするんだ? これから」
 あたしを横目に、ガウリイもいまいち食が進んでいない。
 まあ、当然かも知れない。
 いきなり赤ん坊を押しつけられれば。誰だって困るものである。
「どーするって言われてもねえ……」
「このままじゃ、ずっとここに足止めになる訳だし。子供を連れたままで旅なんかも出来ないだろ?」
 だからと言って、子供を置いたまま。あたし達だけ旅をするわけにも行かない。
 ガウリイの言いたいことは、まあ。判っているつもりだ。でも、そう言っていたからって。いきなり子供がパッと消えてくれると言うわけでもない。
「ガウリイって、嫌いなの? 子供」
 ふと思って、聴いてみた。
 どうにも、いつもより2割り増しくらいでガウリイの機嫌が悪いような気がしたから。
「ん? いや、そうじゃなくて……。だって、おまえさん。ずっと子供抱きっぱなしじゃ疲れるだろうし。それに……」
 なに? 焼き餅?
 ふと、笑って聴いてみたりした。
「違うって……。
 だから、怖くてさ……」
 ちゃかして見たものの、ガウリイが真面目に返す。
 悪かったかな? でも、怖いって?
 大男だの、スケルトンだのゴーレムだのが相手だって。平気で戦えるガウリイが、こんなちっちゃな赤ん坊相手に怖いだなんて……。
 何かあったのだろうか?
「そう言う意味じゃないって。だから……こんなにちっちゃいだろう? だから、さわったら壊れそうじゃないか」
 なるほど、納得。
 ガウリイくん。どうやら、あまり赤ん坊とふれあうような機会はなかったのか。それとも、その関係でトラウマでもあるのかのどちらかの様である。
「リナもだけど、よく平気だよな。皆」
「そりゃあ、あたしは昔。魔道士協会の学費稼ぎも兼ねて、ベビーシッターのバイトくらいした事あるし。幸い、この子の首は座ってるし。
 サイズから見て、どうやら1歳か。そこいらは行ってる様な気もするしね。
 流石に、生まれたての赤ん坊ならばともかく。これくらいならば大丈夫よ。それに、ガウリイが思ってるよりも丈夫なんだよ。赤ん坊って」
 言われて、ガウリイがじーっと赤ん坊の顔を見つめている。
 不思議そうな、優しい目をしながら。
 うんうん。あたしにも、そんな時があったなあ。
「そんなもんなのかあ?」
「そんなもんよ。
 なんなら、抱いてみる?」
「えっ!?」
 驚く事はないと思うのだが、どうやら本気で困っている様である。
 そんなに困る様な事はないと思うんだが……。
「あたしも朝御飯食べたいしさ。ほら」
 どぎまぎしながらも、好奇心丸出しのガウリイが赤ん坊を受け取る。
 ガウリイが受け取ったとたん、赤ん坊の目が開く。
「お、おいリナ。目が開いたぞ!」
「そりゃあ、目くらい開くでしょうが。生きてるんだから」
 呆れながらも、なんだか楽しくなってしまって。笑ってしまう。
 ガウリイの過去は知らない。でも、少なくとも赤ん坊の一緒にいられる様な世界ではなかったんだろうと言う事は判る。
「どれどれ?」
 お腹は空いていたけれど、あたしはご飯を食べることも忘れて。ガウリイの腕の中をのぞく。
 赤ん坊の目は、髪と同じく黒い、綺麗な瞳をしていた。
 あたしとガウリイの顔を見て、きゃっきゃと笑っている。
「おい、リナ。笑ったぞ!!」
 驚きながらも、ガウリイが嬉しそうに笑う。
「うーん……この調子なら、柔らかいものくらいは食べられそうね。おかゆか何か頼んでくる」
「お、おい……!」
 困った調子で、ガウリイがあたしを引き留める。
「ちょっとくらい見ててよ。すぐに戻ってくるからさ」
「でもなあ……」
 真面目に困った顔をするガウリイを見て、あたしは笑いながらも部屋を出た。
 ガウリイの別の一面を見て、なんとなく。くすぐったかった。
          ◇
 赤ん坊は、かなり変わっていた。
 まるで、自分の「意志」があるみたいだった。
 別に、赤ん坊に自身の「意志」がないとは言わない。それどころか、大人の様に「壁」があるわけでもないから。自分自身の願望には、とてつもなく忠実だ。
 なのに、この赤ん坊はほとんど「泣く」と言う行為をしない。
「いいじゃないか。リナもイライラしないんだし」
 普通の赤ん坊の育て方をレクチャーされたガウリイは、どうやら本気でびびっていたらしい。まあ、ちょっと脅しすぎた部分がある事は確かだし。そう言う意味では可哀想かも知れないが。実際、あたしのやったベビー・シッターの仕事で会った子供達と言うのは。土地柄もあってか、かなり手強かったのは本当の話である。
「でも、赤ん坊の「仕事」って泣く事なんだよ? 赤ん坊が「泣く」って事は、自分の「今」の状態を周りの人に知らせる事を意味してるのに。それをしないって事は……」
「たまたまって事はないのか?」
 すっかり赤ん坊に慣れたのか、ガウリイは腕に赤ん坊を抱いたまま歩いている。
 あたし達は、昨日の鎧に会った場所に向かっていた。宿屋にいたままでは、もしも鎧が戻ってきたとしても赤ん坊を返せなくなってしまう。
「ううん、それはない。赤ん坊ってね、好奇心旺盛なの。もちろん個人差はあるけど、だからって「注目」して欲しい感情のない赤ん坊ってのは存在しないわ!」
「そりゃあ、おまえさんの……いや、なんでもない」
 あたしの視線を感じたのか、ガウリイが口を閉じる。
 素直でよろしい。
「それより、あの鎧に赤ん坊渡して大丈夫なのか?」
「大丈夫。……だと思うわ」
 ガウリイが言ってるのは、恐らく赤ん坊が「どこから」来たのかを考えての事だろう。恐らく、赤ん坊も鎧もこの世界の存在ではないだろう。あの光の柱を見たら、それくらいは判る。そして、二人を襲ったものは。あたしの知る限り、この世界の存在ではない。
「もしも、この赤ん坊がどこかの国の領主とか。どっかの誰かの子供だとしても、あの鎧は少なくともこの世界のリビング・メイルには見えないわ。基本的に、リビング・メイルに明確な「意志」はないもの」
 ただし、あたしのよく知るリビング・メイルの中には。乙女ちっくな人格と言う恐ろしい奴もいるわけだが……いや、この話はやめよう。
 噂をすると出てくると言うし。
「それなら、あの鎧も赤ん坊も。この世界の存在ではないと見るのが普通よ。
 そして、もしもそうなら。この子は元の世界に帰るべきだわ」
 あたしの言葉に、ガウリイが答えを返さない。
 恐らく、見抜かれているのだろう。
 すでに、あたしが赤ん坊を帰したくない衝動にかられているのを。でも、あたしがこの赤ん坊だとしたら。元の世界に帰りたいと思うだろう。この赤ん坊が、瞳と同じ強い「意志」を持っているとしたら。
「リナ」
 ガウリイが立ち止まって、あたしにまっすぐな視線を向ける。
「判ったわ」
 細かい事は言わず、あたしはガウリイから赤ん坊を受け取る。
 ガウリイの意識を感じ取って、あたしも精神をコントロールして魔術を行使しようとしてみる。
 つまり、周囲に「敵」がいるのだ。
 けれど、今のあたし達には赤ん坊がいる。この子を見捨てるなら全力で戦えるが、そう言うわけにも行かない。だから、あたしを防御してガウリイが前面に出る陣形を取る。
 ガウリイが、剣を抜いた。
 だけど、もし昨夜の「へんなもの」だとしたら。ガウリイの剣だけで果たして、勝てるだろうか?
「ブラスト・アッシュ」
 念のために、あたしはガウリイの剣に魔法をかけて置いた。
 魔族にも効力があって、少しでも範囲のある魔術となるとストックが少なくて困る。かと言って、んな事を今言っても仕方がない。
「これで少しは大丈夫だと思うけど……」


 ざっ!!


 森はまだ続いている。昨日の場所そのものに出ようとするならば、あと少しは歩かなくてはならない。
 だから、風が。森が、あたし達の目をくらます「敵」となるが。同時に、「敵」の居所を教えてくれる「味方」にもなる。


 きいぃん!!


 鋭い金属質の音がして、ガウリイが一歩引いた。深追いはしない。
 それは、あたし達を守る為でもあったし。相手が昨夜の奴だからでもある。
「リナ!」
「判ってる!!」
 すでに、あたしは呪文を解放するためのコントロールを終えている。けれど、子供を抱いたままだからなのか。なかなか呪文を放てない。
「ゼラス・ブリット!」
 あたしの片手から、電撃の様な光が飛び放たれる。
 あたしの意志に呼応して、光はガウリイを避けて「へんなもの」を追いかける!
「たあぁっ!」
 あたしの脇を、ガウリイが駆け抜ける。
 後ろからも来たか!?
「大丈夫かっ!?」
「ごめん!」
 あたしは、なんとか体勢を立て直す。けれど、片手に赤ん坊を抱えたままで戦うなんて。最初から無茶な話なのだ。
 とは言うものの、だからって現状が変わるわけでもないけれど。
 幾らガウリイが頑張っても、あたしをフォローしつつ……なんてし続けていられる訳はない。どうにか現状を打破しない限り、赤ん坊もろともやられてしまうっ!?
「ブラスト・アッシュ!!」
 あたしの片手からのびた、黒いちりの様なものが。黒いやつらにばらまかれる。
 しかし、さっきのゼラス・ブリット同様。あんまり効果がある様には見えない。
 やっぱり、別の世界の存在なのだろう。この世界の中級魔族にだって効力のある魔術が、ほとんど効いてる様には見えない。かと言って、あたしのストックでは強力すぎる呪文くらいしか残っていないし……。
「リナ!!」
「判ってる!!」
 いらだつガウリイの声を、更にいらだつ。あたしの声が答える。
 けれど、赤ん坊を守りながらなんて無理だ。おまけに、相手はそこらにごろごろしている野党とか盗賊ではない。異世界の魔族だろうと思える存在。
「俺が極力攻撃するから、リナは出来る限り赤ん坊を守ってくれ!」
「でも、ガウリイ……!」
「たぁぁぁぁぁっ!」
 ガウリイが走り出す。
「エルメキア・ランス!」
 あたしの呪文が飛ぶ。けれど、それは大した威力を持たない。
 敵は体を飴の様にくねらせ、攻撃をかわしているくらいなのだ。
 遅かれ早かれ、このままでは赤ん坊共々倒れるだろう。けど、そんなのはイヤだ!
 知らぬ間に、あたしは赤ん坊を抱える力を強めていた。なるべくガウリイの側に近寄る様にして、踏みとどまろうとして。けれど、どうしたって限られてしまう!


 どうしよう。


 あたしの中にあるのは、それだけだった。
 どんなに頑張っても、赤ん坊を抱えている限り。いつもの力を発揮する事は出来ないだろう。それに、相手はこの世界の存在じゃない。
 だけど、不思議な事に。赤ん坊を捨ててまで戦おうとまでは思わない。


 呼んで……。


「リナ!?」
 あたしに向かって、手を差し延ばす。
 あたしの肩を抱くように、ガウリイが。
 敵は減っていない。なのに、なのにあたしは。
「リナ、どうしたんだ!?」
 赤ん坊を落とさない程度に、だらしなくおろされた手。
 座り込んで、力さえも入らない足。


 誰?
 ううん、誰でもいい。力を貸してくれるなら。
 あたしの主義じゃない。誰かの力を借りるなんて、相手が何者かも判らないなんて。
 そんな相手を信じるなんて。
 でも、あたしは願う。
 だって、あたしは……。


「リナ!!」


 声が聞こえる。
 ガウリイの声。あたしを呼ぶ声。
 当然だろう。戦いは、終わっていないのに。
 そのまっただ中で、赤ん坊を抱いて座り込むなんて。
 ガウリイの手間が増えるだけだと、判っていても。
 答える事すら。


 呼んで……。


 知らない声。それが、あたしに「呼べ」と言う。
 でも、一体何を呼べばいいの?


「しっかりしろ! こいつらが、何かしたのかっ!?」
「ガウリイ殿!!」
 呼び声と共に、ガウリイの目の前にいた奴が。上下に割られた。
 そのまま、黒い塵となり空気に溶けて行く。
 鎧が、宙をかける。
「ええと……?」
 当然、ガウリイは覚えていない。
「ご無事でいらしたか……」
 ほっとした様なリーの声に、敵ではないと言う安堵感を覚えたのだろう。
 さすが、本能で生きてる奴……。
「これは……!」
 何か思う所でもあるのか、リーが声を上げるが。
「来るぞ、鎧!」
 ガウリイにかかれば、鎧でしかない。いや、あたしにだって鎧でしかないけど。
「ガウリイ殿、私にはクリストファ……いえ。そのような些末な事にこだわっている場合ではありませんでしたな」
 リーが、一度抜いた剣を納め。もう一度抜き。
 出会ったときと同じ、構えを取る。
「我が主の名におき。我が名、クリストファ・リー・ロード。
 我が主に捧げし剣において、貴殿等を滅する……」
 厳かに宣言したリーは、とても重装備鎧とは思えない機敏さで。それまでとは段違いのスピードで、敵を滅ぼしていく。勿論、ガウリイも黙ってみていたわけではないが。それでも、その力は計り知れない。
 だが、どうしても打ち漏らすものがあるのか。それとも、どこからか沸いて出るのか。リーが倒して行くよりも、増殖する敵の数の方が多い。わずかばかりだけど。


 力が欲しい。今、動ける力。
 守れる力が欲しい。


 呼んで……。
 私を呼んで。


 呼ぶ。
 誰を呼べばいいの?


「リナ殿、若!?」
 あたしの目に映ったのは。
 戦う姿のガウリイと、閃光を残しながら。ものすごい早さで駆け抜けるリーと。
 今にも、あたし達を倒そうとしたらしい闇の塊。
「ぐろーりぃ……」
 つぶやきが、あたしから生まれた。
 どこから来たのか、あたしは知らない。だけど。


 もっと、もっと強く!


 両腕に力を込めて、とっさだったけれど。必死に体を丸めて。
 次に来るだろう衝撃にそなえ、出来れば。せめて、あたしの体で押さえたい。楯にしてでも、命を!
「グローリィ!」


 どん!


 それは、一瞬の出来事だった。
 目をつむり、赤ん坊を守ろうとし。そして、あたしは死を覚悟した。
 けれど。
「な……なにが……?」
 声。ガウリイの声。
 何を驚いているのか、それとも。あたしは、まだ「生きている?」とでも言うのか?
「おおっ!!」
 歓喜に震える声。リーの。
 鎧なのに、くぐもった感じはほとんどない。それとも、世界が違うせいだろうか?
『ロード郷よ』
 声は、知らないものだった。言葉も知らない。
 聴いたこともないのに、判る様な気がした。
 ふと、顔を上げる。
 そこには、光があった。あたしの、と言うより。
 あたしとガウリイと、赤ん坊を中心にして。天から大地に光が突き刺さっている。
「はっ!」
 リーが、ずんぐりむっくりな体を。意外にも器用に折り曲げて、その場で膝をつく。
『我は、この時代の我ではなく。されど、今ひととき我に従ってはもらえぬだろうか?
 我と、我を我とせん方々の為に』
 はっきり言って。
 判らない。
 思わず、ガウリイと視線を会わせてしまうけれど。だからって何かが判るわけでもない。
「我が時に無き主よ。我が剣は、主をお守りする為のもの。
 若の御身をお守りする為、我が剣に力を!」
 見ていると、空中に浮かんでいる人物と。リーとは会話をしているらしい。
 聴いた事のない言葉なのに、なぜか判る。
 そして、リーの言葉にうなずき。空中の人物は手をかざす。
 手より放たれた光を浴びて、リーの姿がこれまでの。卵のような3頭身から、6頭身にまで変形し。そのまま、閃光そのものとなって。これまでとは比べもにならない早さで、闇を切り裂いた。
『我を我とせしめたり、異世界の方々よ』
 浮かんでいた人物が、あたしと。ガウリイの目の前まで降りてくる。
 あたしは、いつの間にか立ち上がっていた様だ。
「グローリィ……」
 光に包まれた人物は、どことなくガウリイに似た顔立ちをしていた。
 髪も瞳も黒なのに、そこには赤い。きらきらした感じがある。
「グローリィ?」
 ガウリイの疑問は、当然と言えば当然だった。
『ありがとう。あなたが名をくれたから、私は「神をもうち倒す者」となれた』
 優しい瞳で、彼。グローリィが笑った。
「グローリィね。あなた、グローリィなんでしょう?
 この子なんでしょう?」
 もし、腕の中に赤ん坊を抱えていなかったら。そのまま胸ぐらを掴んで追求したかも知れない。それだけ、あたしは焦っていた。
『確かに、私はグローリィ。
 リナ=インバースにより名と勇気を得。ガウリイ=ガブリエフにより、力と優しさを得たもの。
 神をうち倒し、魔を破るもの。
 私は、あなた方の「ほまれ」となり得たのでしょうか?』
「あ……」
 飾り気のないローブだけ。グローリィの身にまとうものは、それだけだった。
 けれど、圧倒的な力を感じてしまう。
 そのグローリィが、あたしの腕から赤ん坊を。赤ん坊の自分自身であるグローリィを、決して乱暴にではなく受け取る。
「この子は、こいつなのか……?」
 あたしには、なんとなく判った。
 恐らく、赤ん坊となったグローリィは。元の世界で何かをしたと言うか、されたと言うか。とにかく、事件があったのだ。所が、グローリィを狙う奴らと戦う最中。世界に穴が開いてしまった。
 そして、あたし達の世界に落ちたグローリィは。知っていたのだろう。未来の自分自身が、あたし達と自分自身の危機を助ける事を。だから、未来になって力を得たグローリィは。こうして、あたし達を助けに現れた。
 あたしが名付け親となったのは、世界を開く為。
『ありがとう。そして、さようなら。
 二度と会う事はないけれど、愛していますよ』
 いつの間にやら控えていたリーが、グローリィの側にあった。
 あたし達に、一度だけ頭を下げた。
「あんたは、あたし達の「ほまれ」よ」
 赤ん坊のグローリィがいなくなったせいなのか、言っている言葉は完全に判らなくなった。でも、なんとなく判った。
 あたしの言葉が判ったのかどうかは判らない。でも、光と共に消えて行くグローリィは。
 笑っていた。
          ◇
 空を見上げる、あたしをガウリイが見ている。
 決して、声をかけたりしない。
「さて、行きましょうか」
 優しいよね、ガウリイは。そして、強い。
 あの子は、ガウリイから力と優しさを得たと言っていたくらい。
「一体、なんだったんだ? あいつは……」
 ところで、目下の問題は。どうやって、この脳スライム男に。事態を説明するかと言うわけなのだが……。
 まあ、いいか。時間はたっぷりあるんだし。
「ね、ガウリイ」
「うん?」
「赤ん坊って可愛いと思わない?」
 関係ない事を、言ってみるあたし。
 別に、話をそらそうとか思ってるわけじゃない。
「そうだなあ。思ってたより、悪くなかったなあ……」
「あたしも、欲しくなっちゃった」
 すれ違いざまに、言ってみる。
「リナの赤ん坊かあ……」
 なにやら、妙な想像でもしているのだろう。ガウリイの額に冷や汗が流れている。
 むっ。
「そしたら、見てくれる? あたしの赤ん坊」
 あたしは振り向く。
 ガウリイが、どんな顔をしているのか知りたくて。
 そして、空の向こうに消えた。
 赤ん坊を見たくて。
 いつか、会える事を願って。

 toast!

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3987Re:HUSH’A BY BABY三里桜架 E-mail 8/13-02:40
記事番号3985へのコメント
どうもです!
感想文です!


>先日、僕とちょぴさんてば。こんな会話をしてました。
>ちょぴさん(以下:ち):「Mさん、何か新作書いてください!」
>僕:「(忙しいんだけどなあ)じゃあ、何か一坪さんの所にUPしなさい(^^)」
>ち:「えー?(汗)」
>僕:「そうしたら、何かUPしましょう(にこにこ)」
>ち:「わ、わかりましたあ(汗汗汗)」

そう言う経緯があったんですか。


>「そうだなあ。思ってたより、悪くなかったなあ……」
>「あたしも、欲しくなっちゃった」

おぉ?!


>「リナの赤ん坊かあ……」
> なにやら、妙な想像でもしているのだろう。ガウリイの額に冷や汗が流れている。

一体どういう想像しているの?


>「そしたら、見てくれる? あたしの赤ん坊」

おぉ?!!
リナ、プロポーズ?!

とっても楽しかったです!
また、新しい作品楽しみにして待ってます!

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4000Re:HUSH’A BY BABY松原ぼたん E-mail 8/13-17:14
記事番号3985へのコメント
 面白かったです。

>「そういう問題でもないだろう?」
 確かに。
>「貴殿は……!?」
 をう、器用。
> そこには、すやすやと眠る。一人の赤ん坊がいる。
 ホント、これはやっかいかも。
> だけど、不思議な事に。赤ん坊を捨ててまで戦おうとまでは思わない。
 捨てるようならリナじゃないって。
> 当然、ガウリイは覚えていない。
 をひ。
> ところで、目下の問題は。どうやって、この脳スライム男に。事態を説明するかと言うわけなのだが……。
 理解させなくてもそのうち適当に納得するんじゃ。

 本当に面白かったです。
 てせはまた、ご縁がありましたなら。

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3986Re:真実は暗闇の中へ明美 E-mail 8/13-02:08
記事番号3944へのコメント
ちょぴさんへ
どーも、明美です。確か2回目のコメントですね。

>2度目の投稿ちょぴです。
>今回は趣味にはしりまくってます(爆)
>いえ、前回のも趣味だろうと言われれば否定はできませんが(^^;;
ふっふっふっ、ガウリナだからいいのよっ。

シリアスですね。

>「リナの、本心を知ることはできないか?」
>「ガウリイさんらしくないお言葉ですねぇ」
うーん、そうだねえ。でも、恋する心は止められないのよ。(はあと)

>「アイツのことをどう思ってる?」
> ぶーーーーーーっっっ!!!!
> ゼルガディスは思い切り酒を吹き出してしまう。
>「げふっ・・げほんっげほっ・・・」
ゼル、こーいう会話に慣れてないんでしょうか?
それとも、ガウリイがこんな事を言うと思ってなかったんでしょうか?

> だが、声は真剣だった。ごまかすことなど出来ないだろう。
> 数瞬、躊躇したあと重いため息をはいて、答えた。誤魔化すことは不可能だと思ったのかも知れない。
>「そうだな、女として、好きだ。
> 今までにあんなヤツには出会ったことがない」
きゃー、リナちゃんもてるんだ。

>「そう、だな」
> 苦笑して言葉を継いだ。
>「俺は、アイツが好きだ。女として、愛してる」
> 自分の気持ちを言葉にしたのは初めてだった。自分の中では認めていても、言葉に出して言うと、それが妙に照れくさく、恥ずかしい。
リナちゃんにはっきり言うんだっ!

>「なぁ、ゼル。
> 俺はアイツが好きなのはお前だと思うんだが・・・」
えーそうかなあ。

>「だから、リナさんの本心をしりたい、と?」
直接聞いたら?無理かなあ。素直に答えるかどうか分かんないし……

>−−−−−難しいことはわからん、てあれほどわかりやすく言ったのに・・・・。
ガウリイだからねえ。(しみじみ)

> そしてリナは崩れ落ちた。
> 冷たい木の床へと。
>「リナぁぁぁぁぁぁ!!!!」
> 叫び、手を伸ばす。
> リナは、冷たくなっていた。
うわーどうするんだー。

>「なっ、また酔っぱらったわねぇーーーーー!!!!
> 飲酒禁止って言ったでしょう!!!」
>「おはようリナ」
> 外はまだ薄暗い。
> 夜は明けてきたようだが、まだみんな眠っている時間だ。
> 幸せそうに挨拶されてしまい、リナは毒気が抜かれてしまった。
これは、リナじゃなくても毒気抜けるわ。

>「なぁ、リナ」
>「何よ!」
>「生きてるって素晴らしいなぁ」
せっ、精神攻撃(笑)

よかったあ、ハッピーエンドで。

それじゃあ、また。

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4098明美さんありがとうございますちょぴ E-mail 8/17-22:42
記事番号3986へのコメント

>どーも、明美です。確か2回目のコメントですね。
はい。おつきあいありがとうございます。

>ふっふっふっ、ガウリナだからいいのよっ。
おおっ! ご許可が降りた(笑)
ガウリナで頭がうめつくされてるこのごろです(笑)

>シリアスですね。

>ゼル、こーいう会話に慣れてないんでしょうか?
>それとも、ガウリイがこんな事を言うと思ってなかったんでしょうか?
そうですね。
慣れてないということもあるんですが、聞かれるとはおもわなかったというのが、
一番だと思います(笑)

>えーそうかなあ。
なにしろ自分は対象外だと思われてると思ってるから(笑)

>直接聞いたら?無理かなあ。素直に答えるかどうか分かんないし……
自覚しているかどうかもわからないし、
まあ、意地っ張りのリナだから素直には答えてくれないかも(笑)

>>「生きてるって素晴らしいなぁ」
>せっ、精神攻撃(笑)
この時ゼロスがダメージを受けたかどうかは不明です(笑)

>それじゃあ、また。
はい。機会がありましたらまた(^^)
おつきあい、ありがとうございました。

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4080感想です♪Shinri 8/17-00:08
記事番号3944へのコメント
こんにちはです、ちょぴちゃん♪
また新しいお話がUPされていたので、早速読ませて頂きました♪

まず。今回のお話を読み終わった直後に浮かんだ、一つの言葉。
それは、『パンドラの箱』。
決して開けてはならぬと固く禁じられた秘密の箱。禁断の箱。
禁を犯して蓋を開ければ、取り返しのつかぬ災いがもたらされる――
今回のお話はまさに、その『パンドラの箱』の蓋が開かれてしまった……。
そんな印象を強く受けました。

リナの心を知りたいと、強く願ったガウリイの気持ちは、よく判る。
でも。物事には、決して踏み込んではならぬ領域があって。
今回のは、まさにそのパターンだったな、と思うのです。
願いがかなった代わりに、一番大事なものが失われてしまったのだから。
ま、ゼロスのおかげで、最悪の事態は闇の中の夢として葬り去られましたけど。

けれども。もし仮に何も失われなかったとしても(それはあり得ないことだが)
それはそれで、ガウリイが、その手にした内容をどこまで信じることが出来るか、と
いうまた別の問題が生じたのでは? という気がします。
所詮、リナ自身の口から、彼女自身の意志で語られた言葉ではない訳だから・・・

夢から覚めた後のガウリイは、肝心なことは何一つ覚えていない様子。
覚えてない方が良いのだろうとは思うけど・・・
でも。ちょっと複雑な気持ちです。
願わくば、二度と同じ過ちをガウリイがすることがないように――
読み終わってそんな思いを抱かされたお話でした。

今回のお話は少しダークでしたが、色々な意味で興味深いお話でした♪
感想、何だかいつも以上にまとまってません。ゴメンなさい(涙)
考え過ぎると文章能力が低下するタイプみたい、自分・・・(感覚で動くタイプの人
間だし(^^;)
それでは。また素敵なお話がUPされることを楽しみにしています♪

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4099Shinriさんありがとうございますぅちょぴ E-mail 8/17-23:07
記事番号4080へのコメント

>また新しいお話がUPされていたので、早速読ませて頂きました♪
はい。ありがとうございます。

>今回のお話はまさに、その『パンドラの箱』の蓋が開かれてしまった……。
>そんな印象を強く受けました。
おおおっ! そんなたいそうなものではないのに、なんかうれしいです♪

>それはそれで、ガウリイが、その手にした内容をどこまで信じることが出来るか、と
>いうまた別の問題が生じたのでは? という気がします。
>所詮、リナ自身の口から、彼女自身の意志で語られた言葉ではない訳だから・・・
そうですね。
ゼロスからリナの気持ちを聞いたとして、
リナが仮に(ありえないけど)ガウリイに告白をしたとしても、
ガウリイはそれが本当にリナの気持ちなのか、信じることができたかどうか、
それは不明です。
なにしろゼロスは魔族。
リナを操っているのではないか、これは夢なのではないか。
踊らされているのではないか、という気持ちがつきまとうと思うのです。

>夢から覚めた後のガウリイは、肝心なことは何一つ覚えていない様子。
そうです。
ガウリイの記憶は夢を見たときのまま、ゼルと酒場で飲んだことも覚えていません。
ゼルの記憶を消すことまではゼロスもしなかったですが(笑)

>願わくば、二度と同じ過ちをガウリイがすることがないように――
とりあえずは大丈夫なはずです。
何しろ起きたらリナが隣にいたし(笑)
抱きしめてみて安心できたから。
夢がきっかけとなってあの2人が今後どうなるか、はわからないですけど(笑)

>今回のお話は少しダークでしたが、色々な意味で興味深いお話でした♪
私ってダークで、ブラッキーな話って大好きなんです。
頭に浮かんだシーンを使って話を作ったらこうなってしまったし(汗)


>感想、何だかいつも以上にまとまってません。ゴメンなさい(涙)
いいえ。感想いただけてとってもうれしいです。
こちらこそぶらっきーな話でごめんなさい(汗)
なんにも考えずに書いちゃった話(爆)なので、穴だらけ、のような気がしないでもないですし(汗)

>それでは。また素敵なお話がUPされることを楽しみにしています♪
素敵な話……に、なるかどうかは別として、精進します。
おつきあいありがとうございました。