◆-ひとときの夢はサイラ−グで-沙夜(8/13-09:14)No.3997
 ┣Re:ひとときの夢はサイラ−グで-松原ぼたん(8/13-17:15)No.4003
 ┃┗ありがとうございます-沙夜(8/15-08:00)No.4033
 ┣Re:ひとときの夢はサイラ−グで-明美(8/15-00:08)No.4024
 ┃┗明美さんありがとうございます-沙夜(8/15-07:57)No.4032
 ┣Re:ひとときの夢はサイラ−グで-ちび☆(8/16-10:08)No.4061
 ┃┗ありがとうございます-沙夜(8/19-07:28)No.4115
 ┗奇跡は・・-沙夜(8/25-23:47)No.4201
  ┣読みましたあ(はあと)-明美(8/26-01:54)No.4203
  ┃┗ありがとうございます-沙夜(8/26-16:31)No.4212
  ┗これは..ガウリナ?? 彼女の災難、彼の不幸?(そ-沙夜(9/2-13:22)No.4287
   ┗彼女の災難、彼の不幸?(その2)-沙夜(9/2-13:25)No.4288
    ┗彼女の災難、彼の不幸?(その3)-沙夜(9/2-13:29)No.4289
     ┗読みましたあ。てへっ-明美(9/3-23:59)No.4306
      ┗ありがとうございます-沙夜(9/4-12:18)No.4311


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3997ひとときの夢はサイラ−グで沙夜 E-mail URL8/13-09:14

こちらでははじめまして。
近頃崩壊中の駄文書き沙夜と申します。
ちょっと、いつもと毛色の変わったのができたので投稿します。

ひとときの夢はサイラ−グで


「おい、リナ。あそこ、見てみろよ。」
「なによ。あんまし、きょろきょろしてると、また、落ちるわよ。」
レイウイングで飛翔中の二人。
「なんか、光ってるぞ。」
「え、あ、あそこって。」
ゆっくり地上に降り立つ。
ぽっかりとあいた大きな穴。
空からでなくてはわからないその底がほのかに輝いている。
「これって、フラグーンの跡よね。」
「フラグーン、ああ、あのでっかい樹か。」
「なんだろう。ここからじゃよく見えない。」
「おい、一人で行くな。あぶないかもしれん。」
ふよふよと、漂いだすリナをガウリイが捕まえる。
「こら、どこさわってんの!」
「どこさわっても、さわりごこちなんてかわらん・・」
「なんかいった?」
「いやなんでもない。」
いつもの夫婦漫才をくりひろげながら、ゆっくり降りていく。
「フェアリーソウル??でもなぜこんなに??」
穴の底に降り立てば 絶え間なく降り注ぐ 淡い光。
「リナ、お前光ってるぞ。」
「え、ガウリイも光ってる。」
互いの姿さえ確認できない程、光は広がり、二人は意識を失った。


ここは・・どこ・・
あたしは・・あたしは・・リナ
「リナ、あそぼ」
「かくれんぼしよ」
「かくれんぼ??」
目をあければ、いくつもの小さな顔がのぞきこんでいる。
「ほら、はやく」
腕をとられて起こされる。
自分の手も同じくらい小さい。
「あ、あたし」
なんで、子供...。
そんな想いが頭をよぎる。
「リナのねぼすけ」
「ねぼすけじゃないやい」
「じゃあ、かくれんぼしよう、かくれんぼ」
「ほら、はやくかくれて」
「う・ん」
子供達の一人が手をひく。つられて、走る。
「ひとつ、ふたつ・・」
かん高い声が深い森にこだまする。
いつしか疑問は溶けて消える。
「こんどは、リナがオニだよ」
「ずるしないで、ちゃんとかぞえるんだよ」
「ずるなんてしないもん」
大きな幹にもたれて顔を隠す。
「ひとおつ..ふたあつ...」
子供達のざわめき。
「みっつう...よっつう..」
だんだん遠くなる。
「いつつ..むっつ..ななつ..」
沈黙と共にやってくる孤独。
「やっつ.ここのつ.とお」
ふりかえればそこはほのじろい闇。
「みんな、どこ?」
駆け出す。不安に駆られる胸を抱いて。

「あ。」
木の根につまずいて転ぶ。
痛みより不安で涙が出る。
探したいのは、誰?
泣き顔をフェアリーソウルがほのかに照らす。


ここは..どこだ..
オレは..あいつは...どこ..
起きあがるなり走り出し、違和感。
何かおかしい。
浅い水たまりに姿を映せばそこにはほっそりした少年の姿。
「オレ..か、なんで..」
疑問が浮かぶが、すぐにもっと大事なことに気付く。
「そんなこと、あとでもいい。今は、まず探さなきゃ。」
すべてに優先すること。そのために彼は森を走った。
「おにいちゃん、どこいくの。」
不意にかけられた声に振り向けば、黒髪の幼い少女。
「ひとりは怖いの。一緒にいて。」
不安気なそのまなざし。
「悪い、探してる人がいるんだ。だから。」
「あたしじゃ、駄目?」
ひた、と見つめてくるそのまなざし。
まっすぐに見つめ返して、彼は答える。
「ごめん、あいつじゃなきゃだめなんだ。」
「そう、多分あっちにいるよ。」
「ありがとう」
少女の指さす方向へ駆け出しながら手を振る。
見送る少女の眼には涙。
「さよなら、ガウリイさま」
そのつぶやきは誰にも聞こえない。


女の子が泣いている。
まだ小さいのに声を殺して泣いている。
その情景が目に入ったとたん、彼の足は止まった。
驚かさないようそっと近づいていく。
「どうした、お嬢ちゃん。」
できるだけ優しく声をかける。
ぴくり、小さい肩が震えて、涙に濡れた顔が彼を見つめる。
「なんでもないの。あっちいって。」
「でも、泣いてる」
放っておけるはずはない
「泣いてなんかないもん。」
いやいやと首を振る。
「そっか、泣いてないか」
座り込んだ頭をなででやる。
「やん。」
小さな手が頭をかばう。
上目遣いに見上げてくる。
「おにいちゃん、だれよ。」
「オレ?オレは..」
オレは誰だ..オレは..
「ガウリイ、オレはガウリイ..ガブリエフ」
「ガウリイ..」
小首を傾げて考え込む仕草。
「ガウリイ..」
呼ばれる度に、琴線に何かが触れる。
「お嬢ちゃんの名前は」
しぼりだすような声で尋ねる。
知りたい。この子の名前。
「しらないひとに、おしえちゃいけないもん」
つんと、頭をそらす。
しらないひと...。
双方の胸に何かが刺さる
「何でここにいるの?」
「かくれんぼしてたら、だれもいなくなった。」
「それって、迷子..」
「まいごじゃないもん。みんながいなくなったんだもん。」
つい笑ってしまう。あまりにらしい言い方。
「そっか、みんながいなくなったのか。じゃあ、おにいちゃんと探そう。」
ほっそりした手を差し出す。
「しらないひとについてっちゃいけないもん。」
差し出された手と顔を交互に見ながらためらう。
「知らない人じゃないだろう?名前だって知ってるし..」
「..ガウリイだよね」
「ああ、そうだ」
「でも..」
「でも?」
小さな顔をのぞき込む。
「あしいたくて、あるけないの。」
血の滲む膝小僧を見せる。
「なんだ。じゃおぶってやるよ。」
さして広くもない背中を向ける。
「ほら、早く来いよ。」
「う.ん。」
そっとちいさな手が肩に掛かる。
「おにいちゃんおもくない?」
ためらいがちに体重を預ける。
「大丈夫、お嬢ちゃん一人ぐらい平気だよ。」
背中にかかる心地よい重みと暖かさ。
「お嬢ちゃんじゃないもん。リナだもん。」
「リナ...?リナ!」
「そうよガウリイ。ガウリイ!」
背中から振り落とすようにして、抱き合う。
「リナ!」
「ガウリイ!」
輝くフェアリーソウル。


「でもなんで、ガキになっちゃたんだ。オレたち」
「なんでって..多分、フラグーンの記憶..」
「フラグーンの記憶?」
「あの木で遊んでた子供達の記憶に引き寄せられたんじゃないかな。
 思い出したとたんに戻ったし..」
ちょっと赤くなる。
「子供の記憶か..。それって危ないもんじゃないよな。」
「うん。浄化しなきゃいけないものじゃないみたい。単なる記憶、とはいえないと思うけど。」
「あのままにしておいていいよな。」
「あたしたちみたいに、空でも飛ばなきゃ気付く人もいないだろうから、大丈夫だと思うけど..。」
「なんか、そっとしておいてやりたくてさ。フラグーンの見てる最後の夢なんだろう?
 子供達と遊ぶ平和な夢。」
「うん、そうだね。」
寄り添う二つの影を、静かにフェアリーソウルが照らしている

おまけ
「小さい頃のリナってかわいかったんだなあ」
「なによ、いきなり」
「いやちょっと」
「どうせ、今はかわいくないわよ」
 ふん、かわいげなくて悪かったわね。
「そうだな、かわいくはないな。」
「喧嘩うってるならかうわよ。」
「かわいい、なら子供だもんなあ。綺麗だぜ。リナ」
「...馬鹿。」

おわり

ふだん、一線すれすれ(と本人は思っている)ばっかりかいてて
とうていここには出せないんですが...
すこしでも楽しんでいただけたら幸いです。

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4003Re:ひとときの夢はサイラ−グで松原ぼたん E-mail 8/13-17:15
記事番号3997へのコメント
 面白かったです。

>「これって、フラグーンの跡よね。」
 をひ。
>探したいのは、誰?
 それって、怖い。
>「さよなら、ガウリイさま」
 シルフィールですね。
>「なんか、そっとしておいてやりたくてさ。フラグーンの見てる最後の夢なんだろう?
> 子供達と遊ぶ平和な夢。」
 確かに。
>「かわいい、なら子供だもんなあ。綺麗だぜ。リナ」
>「...馬鹿。」
 らぶらぶですね。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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4033ありがとうございます沙夜 E-mail URL8/15-08:00
記事番号4003へのコメント
松原ぼたんさん
ありがとうございます。

>>「...馬鹿。」
> らぶらぶですね。

はい、設定では新婚旅行中ですから・・

> 本当に面白かったです。

ありがとうございます

> ではまた、ご縁がありましたなら。
 
はい、また、頑張ります


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4024Re:ひとときの夢はサイラ−グで明美 E-mail 8/15-00:08
記事番号3997へのコメント
沙夜さんはじめまして。

>「これって、フラグーンの跡よね。」
>「フラグーン、ああ、あのでっかい樹か。」
ガウリイフラグーン覚えてたんですね。

>「おい、一人で行くな。あぶないかもしれん。」
>ふよふよと、漂いだすリナをガウリイが捕まえる。
ふっ、心配してるのね。(はあと)

>「こら、どこさわってんの!」
>「どこさわっても、さわりごこちなんてかわらん・・」
おいおい

>痛みより不安で涙が出る。
>探したいのは、誰?
ガウリイよね(はあと)

>オレは..あいつは...どこ..
ほほー、記憶なくなってもリナを探そうとするとは。
えらいぞガウリイ。

>少女の指さす方向へ駆け出しながら手を振る。
>見送る少女の眼には涙。
>「さよなら、ガウリイさま」
>そのつぶやきは誰にも聞こえない。
シルフィールですね。

>「どうした、お嬢ちゃん。」
あんただって子供の姿だろ。

>「おにいちゃん、だれよ。」
>「オレ?オレは..」
>オレは誰だ..オレは..
>「ガウリイ、オレはガウリイ..ガブリエフ」
おっ、ちゃんと自分の名前覚えてた。

>「それって、迷子..」
>「まいごじゃないもん。みんながいなくなったんだもん。」
>つい笑ってしまう。あまりにらしい言い方。
ほんとにリナらしい言い方。

>「そうだな、かわいくはないな。」
>「喧嘩うってるならかうわよ。」
夫婦喧嘩?

>「かわいい、なら子供だもんなあ。綺麗だぜ。リナ」
おおっ、すごい。こんなセリフを書くなんて。

>すこしでも楽しんでいただけたら幸いです。
楽しんだのでコメント書きました。
それじゃ、また。

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4032明美さんありがとうございます沙夜 E-mail URL8/15-07:57
記事番号4024へのコメント
はじめまして
明美さんありがとうございます
いつも、ラブラブな話ばかリ書いています。
これは、連作の一つで新婚旅行中の設定です。
よろしければHPへおいでください

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4061Re:ひとときの夢はサイラ−グでちび☆ E-mail URL8/16-10:08
記事番号3997へのコメント

初めまして!ちび☆という者です。

「ひとときの夢はサイラーグで」
ほのぼのとして、いい作品でした!
感想、行きます。

>「こら、どこさわってんの!」
>「どこさわっても、さわりごこちなんてかわらん・・」
>「なんかいった?」
>「いやなんでもない。」
>いつもの夫婦漫才をくりひろげながら、ゆっくり降りていく。

ここで突っ込みのスリッパが出てこないあたり、リナは成長しているんですね(笑)。

>「おにいちゃん、どこいくの。」
>不意にかけられた声に振り向けば、黒髪の幼い少女。

あら?この子って、ひょっとして……。

>見送る少女の眼には涙。
>「さよなら、ガウリイさま」
>そのつぶやきは誰にも聞こえない。

あ、やっぱりシルフィールだったのね。
こんな時でもガウリイに振られるなんて……可哀想に……。

>「何でここにいるの?」
>「かくれんぼしてたら、だれもいなくなった。」
>「それって、迷子..」
>「まいごじゃないもん。みんながいなくなったんだもん。」
>つい笑ってしまう。あまりにらしい言い方。

さすがはリナ。小さくても口が減らない(笑)。

>おまけ
>「小さい頃のリナってかわいかったんだなあ」
>「なによ、いきなり」
>「いやちょっと」
>「どうせ、今はかわいくないわよ」
> ふん、かわいげなくて悪かったわね。
>「そうだな、かわいくはないな。」
>「喧嘩うってるならかうわよ。」
>「かわいい、なら子供だもんなあ。綺麗だぜ。リナ」
>「...馬鹿。」
ラブラブだぁ♪(←馬鹿)

>ふだん、一線すれすれ(と本人は思っている)ばっかりかいてて
>とうていここには出せないんですが...
>すこしでも楽しんでいただけたら幸いです。

HP覗いてみました。
純情な私には(←誰が!?)ちょっと赤面ものでしたが、とても面白かったです!
次の作品もお待ちしています!

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4115ありがとうございます沙夜 E-mail URL8/19-07:28
記事番号4061へのコメント
感想ありがとうございます
おそくなりましてすいません。

>>「こら、どこさわってんの!」
>>「どこさわっても、さわりごこちなんてかわらん・・」
>>「なんかいった?」
>>「いやなんでもない。」
>>いつもの夫婦漫才をくりひろげながら、ゆっくり降りていく。
>
>ここで突っ込みのスリッパが出てこないあたり、リナは成長しているんですね(笑)。
>
ふふ、だって新婚さんですもの。
これで殴ってたらまた二人落っこちちゃいます。
(ガウはリナ離さんから)
幾多の経験がリナを成長させたんですねえ(遠い目)

>あら?この子って、ひょっとして……。
>あ、やっぱりシルフィールだったのね。
>こんな時でもガウリイに振られるなんて……可哀想に……。

う〜ん。でも、ガウはリナしか見えてないから……。
へたに同情するほうが、後可哀相かと。
>
>>「何でここにいるの?」
>>「かくれんぼしてたら、だれもいなくなった。」
>>「それって、迷子..」
>>「まいごじゃないもん。みんながいなくなったんだもん。」
>>つい笑ってしまう。あまりにらしい言い方。
>
>さすがはリナ。小さくても口が減らない(笑)。
>
記憶ないはずなのに何でガウリイ、らしいってわかったんでしょうね?(汗)

>>おまけ
>ラブラブだぁ♪(←馬鹿)
>
だって新婚さんですから(こればっかし)

>HP覗いてみました。
>純情な私には(←誰が!?)ちょっと赤面ものでしたが、とても面白かったです!
>次の作品もお待ちしています!
>
御来店ありがとうございます。(笑い)
赤面……ははは
そう、私の普段のはあんなのばっかり……
更新してありますので、
よろしければ、また、お越し下さい。
ありがとうございました。

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4201奇跡は・・沙夜 E-mail URL8/25-23:47
記事番号3997へのコメント
奇跡は・・・

一体何処からこんな話になったのか。
リナは奇跡などないと言う。
「待ってるだけじゃ奇跡なんて起こりっこないわ。」
酒のグラスを片手にリナが力説する。
きっぱり言い切るその瞳。
「じゃあどうするんだ。」
からかうつもりで聞いてみる。
「わからない?奇跡は待つものじゃないわ。起こすものよ。
 そして人間が起こせるものなら奇跡なんて言わないわ。」
ちょっと人を小馬鹿にした言い方。お前の自信が見える。
自分自身の力と心を信じられる強さ。
「お前さんらしい言い方だな。待ってるだけじゃ駄目か。」
「当然でしょう。そんな事あったら暴れてやるわ。
 努力も何もせず、報われるなんて許せない。」
努力・・してるようには見せないな。お前さん。
しかし飲み過ぎじゃないか。だんだん過激になってるぞ。
「お前に暴れられちゃ、神様も困るだろうからなあ。
 まあ、お前の望みなら、かなわないものなんてないだろうさ。」
「本当にそう思う?」
目元を染め、見上げてくる瞳にほの見える不安。
やっぱり酔ってるな。いつもはこんな顔見せないのに。
くしゃりと髪をかき回してやる。
「ああ、オレもできるかぎり、手伝ってやる。
 ただし、盗賊いじめなんてのはなしだぞ。」
「なんでよ。」
口を尖らせる様はまるで小さな子供。
つい、甘やかしたくなる。
「それは、『望み』じゃないだろう。
 お前が心から願う事なら、オレはどんな事でも協力してやる。」
ちょっと言い過ぎたか。オレも酔ってるな。
「なんで、そんな事が言えるの?保護者だからって甘やかし過ぎよ。」
じっと見つめてくる、瞳を逃れるようにグラスの酒を煽る。
「そうか。別に甘やかしてるつもりはないぞ。
 お前にはそれだけの価値があるさ。」
「あたしの価値?」
「そう、世界に二人といない、リナだからな。
 お前のかわりなんて何処にもいないさ。」
おとといかん口が滑る。
「酔ってるのね?ガウリイ。」
自分のほうが目すわってるぞ。
「おい・・・おまえなあ。」
「珍しいこといってる自覚はある?」
「まあ、それは多少な。」
ぽりぽり。
「これこそ奇跡かもしんない。」
呆れたように言うな。聞こえてるぞ。
「何か言ったか?」
「ううん何でもない。」
ぷるぷると頭をふる。でも、目が笑ってるぞ。
「そうか、ま、いい。だがオレは奇跡もたまには起きるもんだと思うぞ。」
「なんで?いいことでもあった?」
たちまち身を乗り出してくる。
万華鏡のようにクルクル変わるその表情。
見ていて飽きない。
「ああ。」
「ふうん。どんなこと?教えて。」
興味津々。
「それは・・秘密だ。」
「何ゼロスの真似してんのよ。さっさと言いなさい。
 どんないい事があったの。財布でも拾った?」
おい、そんなことで、襟首持って締め上げるか普通。
「おい、それが奇跡なら。世界は奇跡に満ちてるぞ。」
言葉につまり、よけい赤くなる。
「うっさい。じゃあ何。きりきり白状しなさいよ。」
なんとか逃れ、息を吸う。
「お前、笑うからいやだ。」
「教えなさいったら。教えなさいよ。」
真顔になって詰め寄ってくる。
お前ほんとにかわいいな。口に出さず呟いてみる。
「嫌だ。」
あ、拗ねた。そっぽむいてら。
でもすぐに、こちらを向いてにたりと笑う。
「ふん。いいわよ。もう聞かない。
 そのかわり、明日の朝ご飯ガウリイ持ちだからね。」
「なんでそうなる・・。」
「じゃあ言う?」
見上げてくる、いたずらっぽい表情。
これには降参するしかない。
「解ったおごればいいんだな。」
「そういうこと。おやすみ、ガウリイ。」
軽い足取りで階段をのぼっていく。
「ああ、おやすみ。リナ。酔ってるんだから、盗賊いじめなんて行くなよ。」
階段の中程で、ふりかえりあかんべえ。
「それが一言多いのよ。」
あとは振り返らず、上がっていく。
それを見送り、オレはため息をつき、グラスをあける。
「言えるかよ。お前とであったのが奇跡だなんて。」
嬉しそうなつぶやきは、闇に溶けていった。

おわり

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4203読みましたあ(はあと)明美 E-mail 8/26-01:54
記事番号4201へのコメント
沙夜さんどーも、読みました。明美です。
この前、ホームページ見に行きましたよ。
すごいものを見てしまった。(赤面)

>「わからない?奇跡は待つものじゃないわ。起こすものよ。
> そして人間が起こせるものなら奇跡なんて言わないわ。」
リナらしいですね。このいい方、好きです。

>「当然でしょう。そんな事あったら暴れてやるわ。
> 努力も何もせず、報われるなんて許せない。」
>努力・・してるようには見せないな。お前さん。
努力、してるようには見えないし、努力や根性嫌いって何処かで言ってたような気がするけど。でも、陰で努力してるんでしょう。

>「本当にそう思う?」
>目元を染め、見上げてくる瞳にほの見える不安。
>やっぱり酔ってるな。いつもはこんな顔見せないのに。
酔ってるんだろうけど、やっぱり相手がガウリイだからこんな顔見せるんだろう(と、ガウリナ派の私は思う…てへっ)

>「そうか。別に甘やかしてるつもりはないぞ。
> お前にはそれだけの価値があるさ。」
>「あたしの価値?」
>「そう、世界に二人といない、リナだからな。
> お前のかわりなんて何処にもいないさ。」
いいなあ、こんな事言ってもらえて(はあと)

>「これこそ奇跡かもしんない。」
ガウリイがこんな事言うなんて、奇跡みたいって思うよねえ。脳みそが復活し(ばきっ、どがっ)きゃー、ごめんなさい。

>「お前、笑うからいやだ。」
>「教えなさいったら。教えなさいよ。」
>真顔になって詰め寄ってくる。
>お前ほんとにかわいいな。口に出さず呟いてみる。
リナちゃんって、すぐマジになって、からかいがいがあるねえ。

>「解ったおごればいいんだな。」
ガウリイ!お金持ってたの?

>「言えるかよ。お前とであったのが奇跡だなんて。」
いやいや、運命の出・会・い・なーんてね。

また、書いてくださいねー。

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4212ありがとうございます沙夜 E-mail 8/26-16:31
記事番号4203へのコメント
>この前、ホームページ見に行きましたよ。
>すごいものを見てしまった。(赤面)

ぎゃあ、明美さんのブラウザも古いバージョンですね。
IEでもネスケでも、新しいバージョンでは見えないのに..
気づいた時点でリンク外したから、もう見えません。(爆)

>>「わからない?奇跡は待つものじゃないわ。起こすものよ。
>> そして人間が起こせるものなら奇跡なんて言わないわ。」
>リナらしいですね。このいい方、好きです。

これと、出会ったのは奇跡。
というガウリイのせりふが書きたかった話です 

>>努力・・してるようには見せないな。お前さん。
>努力、してるようには見えないし、努力や根性嫌いって何処かで言ってたような気がするけど。でも、陰で努力してるんでしょう。
剣の稽古もまじめに(???)してるようですし、
しなきゃいけないことなら逃げはしないと思います

>>「本当にそう思う?」
>>目元を染め、見上げてくる瞳にほの見える不安。
>>やっぱり酔ってるな。いつもはこんな顔見せないのに。
>酔ってるんだろうけど、やっぱり相手がガウリイだからこんな顔見せるんだろう(と、ガウリナ派の私は思う…てへっ)

そうそう。私もガウリナ派
というより、ガウリイ至高主義ですね。


>> お前のかわりなんて何処にもいないさ。」
>いいなあ、こんな事言ってもらえて(はあと)

がうりいにこんなこといわれたら、私なら死にます。うれしすぎて

>>「解ったおごればいいんだな。」
>ガウリイ!お金持ってたの?

リナに貰ったこずかいだったら笑えるなあ

>>「言えるかよ。お前とであったのが奇跡だなんて。」
>いやいや、運命の出・会・い・なーんてね。

そう、運命です。
ボーイ、ミーツ、ガール。

>また、書いてくださいねー。
ありがとうございます
頑張ります。

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4287これは..ガウリナ?? 彼女の災難、彼の不幸?(そ沙夜 E-mail 9/2-13:22
記事番号4201へのコメント
彼女の災難、彼の不幸?

その1

「こんばんわ、リナさん。お久しぶりですね。」
宿の一室。寝支度をするあたしに声がかかった。
「あたしに用はないわ。とっとと消えなさいよ。」
髪を梳く手を休めず、あたしは言い放つ。
鏡に大袈裟に肩を竦める神官の姿が映る。
「そんなつれない事言わないでくださいな。
 せっかく、リナさんに会いに来たのに。」
「あたしは会いたくないの。
 だいたい夜にレディの部屋に断りもなくやってくるなんて。
 まああんた達魔族に常識を求める方が間違ってるんだろうけどさ。」
あたしは、さりげない風で当たりに目をやる。
魔族相手に油断するわけにはいかない。
「レディの部屋ねえ。」
わざとらしくあたりを見回している。
「じゃあ、ガウリイさんとご一緒じゃあないんですね。」
「あんた何いってんのよ。」
おもわず、ブラシを取り落とし、振り向いてしまう。
しまった、舌打ちしたがもう遅い。
「ああ、やっと振り向いてくださった。」
にーこっり、微笑む神官。
嫌な予感。じりっ。あたしは後ろへ下がりながら、急いで呪文を唱えはじめる。
「いやあ、実は僕、お腹すいているんですよ。
 上司の方は、相変わらずこき使ってくださいますし、
 なかなか僕を満足させてくれるような人間はいませんのでね。」
パジャマなのでダリスマンを外しているのが悔やまれる。
まあ増幅かけさせてくれるほど、甘い相手ではないだろうけど。
「エルメキア・ランス」
牽制のつもりの呪文は、あっさり躱される。
「さっそく、ご馳走してくださるとは、ありがたいですねえ。」
えさを前にした猫のように舌なめずりをする。
あたしは言い返す間を惜しんで呪文を唱える。
「でも、戸惑いと不安じゃ、質があまり良くありませんねえ。
 やはり、怒り、憎しみ、悔しさそこらへんが欲しいです。
 特に愛情がらみの感情は美味ですからねえ。」
「あ、愛情ですってえ。」
しまった。呪文が。
舌打ちするまもなく、ベッドに押え込まれる。
「そう、もっと怒ってください。
 変わりに極上の快楽を差し上げますから。」
「誰がそんなもん欲しいか。」
「わがままですねえ、相変わらず。でもそこが、リナさんの魅力ですけど。」
やめんか、こら〜。
叫びたいのをこらえて呪文に集中する。
この至近距離なら、はずしっこない。
「ゼラスブリッド。」
ひるんだところを起き上がり、枕元のタリスマンをすばやく身につける。
早口の増幅呪文。そして
「ラグナブレード!」
ち、かすっただけか。
「おやおや、本気で怒ってらっしゃる。
 こわいですねえ。ちょっとした冗談じゃないですか。」
宙に浮かびながらにやにや笑い。
「怪我をしてはせっかくの食事がぱあですからね。
 リナさんのところは、これくらいにしておきましょう。
 ご馳走さまでした。」
律義にぺこりと頭を下げると、消えていく。
はあ、あたしは大きな息をつくとベッドに寝転んだ。

あの、へっぽこ魔族。人をおやつ替りにして..
呼吸を整え気を落ち着かせようとするが、なかなか気分が落ち着かない。
そのうちふと、気がついた。
ゼロスは、「リナさんのところは」って言ってた。
「まさか、あいつ..」
あたしは急いで起き上がると、部屋を飛び出した。
(つづく)

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4288彼女の災難、彼の不幸?(その2)沙夜 E-mail 9/2-13:25
記事番号4287へのコメント
その2
「何の用だ。ゼロス。」
ベットサイドの剣に手を伸ばし、何もない空間にガウリイが叫ぶ。
「よくおわかりですねえガウリイさん。」
「魔族の匂いが、するんだよ。しかも今日ははただの覗きじゃなさそうだしな。」
「ほう、そこまでお判りになるとはさすがガウリイさんですねえ。」
「殺気がないからって、こっちも大人しくしている義理はないんだぜ。
 ささっと帰ったらどうだ。」
「それは困りましたねえ。僕の用は未だ済んでいないんですから。」
「用?オレにはない。」
「つれないですねえ。リナさんといいガウリイさんといい。
 僕泣いちゃいますよ。」
「リナ?リナのところで何をした。さっさと姿を現せ!」
「いやですねえ、リナさんのところで物足りないから、
 こっちへお邪魔したんじゃないですか。。
 まったく、美味しいですねえ。ガウリイさんの嫉妬は。」
「ゼロス!!」
「はいはい、今降りていきますよ。」
空気の吸い込まれる音と共に、魔族が姿を現す。
しかしその姿は..。
「お前何考えてんだ。その格好。」
「何って似合うでしょう?チャイナドレス。リナさんより魅力的だと思いませんか?」
羽根扇を片手に優雅に微笑むゼロス。ついと右足を前に出しスリットから白い太股を覗かせる。
一瞬、ガウリイの心に油断が生まれる。
「ね、美人でしょう、僕。魅了(チャーム)。」
「わ、ななんだ。身体が。」
「これで、ガウリイさんの身体は僕の思いのまま。」
 さあ、剣なんて捨てて、僕をベッドに連れっててくださいな。」
にーっこり。ガウリイの首筋に腕を絡めゼロスは微笑む。
苦悶の表情を浮かべながら、ガウリイの腕がゼロスを抱き上げる。
どすん。そのまま、ベッドに放り出す。
「乱暴ですねえ。ガウリイさん。もっと優しくしてくれなくちゃ。イ・ヤ。」
「うう、」
うめきながらベッドの脇に立ち尽くすガウリイ。
「う、ん。これだけ意志が強いと心と身体両方縛るのはやっぱり苦しいですね。
 じゃあ、心の方は開放してあげましょう。
 さあいらっしゃいガウリイさん。」
手招きに応じ、ぎくしゃくとガウリイが動く。
胸の飾り紐を外しながら
ゼロスにのしかかるように首筋に顔を埋める。
食いしばった歯の間から、うめきともつかない声がもれる。
「じ、じんせいって・すばら・・」
「うわあ、ガウリイさん!」
その時、ドアがけたたましい音を立てて壊れた。
(つづく)

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4289彼女の災難、彼の不幸?(その3)沙夜 E-mail URL9/2-13:29
記事番号4288へのコメント
その3

結界ごとラグナブレードでドアを切り裂いた瞬間、あたしは凍り付いた。
ガウリイがベッドでチャイナドレスの女を押し倒している。
「な、」
きびすを返して立ち去ろうとしたあたしの耳に微かなガウリイのささやきが聞こえた。
「じ、じんせいっって・すばら・・」
「へっ、」
よく見ると、チャイナドレスの女にみえたのは..
「ガウリイ!!あんたそんな趣味があったの。」
よし、精神攻撃成功。
ガウリイがゼロスの呪縛を解いた、はずだけど。
相変わらず、ガウリイはゼロスにのしかかったまま、
とぎれとぎれに「人生って素晴らしい。」攻撃を続けている。
「甘いですね。リナさん。そんな攻撃が僕に通じると思ったんですか。
 ガウリイさんの身体は僕の思いのままですよ。」
「そうかしら、少なくとも口は自由になったみたいよ。
 至近距離からのその攻撃いつまで耐えられるかしら?」
「リナ、早く助けてくれ。」
苦しげなガウリイのうめき。
でもその手はチャイナ服の胸をはだけるのに忙しい。
むか。なんでゼロスの胸あんなに大きいのよ。
口早に増幅呪文を唱える。
「ラグナブレード!」
一刀両断、ベッドごと切り裂こうとした攻撃はあっさり躱される。
「ふーっ。乱暴ですねえ。リナさん。ガウリイさんと心中はごめんですよ。」
床に転がったまま、しかもガウリイの腕の中でゼロスが笑う。
あたしは無言のまま、二人に近づく。
手の中には未だ黒い刃。
「これは、本気で怒ってますねえ。
 しょうがない。今日はこれくらいにしましょう。
 ごちそうさまでした。これはちょっとしたお礼です。
 ガウリイさん、僕の代りにリナさんを抱いてあげてください。」
「へ、」
切りつけようとする間もなく、ガウリイの腕からゼロスが消える。
しかも、起き上がったガウリイの腕が・・!!
「ちょっと離しなさいよ。
 どこさわってんのよ。はなせってばあ。
 この馬鹿クラゲ〜。」
「人生って素晴らしい・・。」

(おわる)

速攻書き逃げで去ります。
石投げないでね。
わは、わは、あはは・・・

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4306読みましたあ。てへっ明美 E-mail 9/3-23:59
記事番号4289へのコメント
沙夜さんどーもですう。私、昨日ここに来なかったんですよ(眠くて)
また、お話が増えててうれしいなあ。

>「じ、じんせいっって・すばら・・」
精神攻撃って、きっと心から思わなくちゃ効果ないでしょうねえ。

>よく見ると、チャイナドレスの女にみえたのは..
>「ガウリイ!!あんたそんな趣味があったの。」
おいおい、どんな趣味じゃ(笑)

>でもその手はチャイナ服の胸をはだけるのに忙しい。
>むか。なんでゼロスの胸あんなに大きいのよ。
こりは、腹立つ。でも、リナちゃんの胸だって結構あると私は思う(私が無いだけ、しくしく)

>切りつけようとする間もなく、ガウリイの腕からゼロスが消える。
>しかも、起き上がったガウリイの腕が・・!!
>「ちょっと離しなさいよ。
> どこさわってんのよ。はなせってばあ。
> この馬鹿クラゲ〜。」
ガウリイ君がんばれー。

>「人生って素晴らしい・・。」
これは、心からの叫び?(笑)

>速攻書き逃げで去ります。
>石投げないでね。
石なんて投げませんよー(はあと)私より感謝の投げキッスを(をいをい)

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4311ありがとうございます沙夜 E-mail URL9/4-12:18
記事番号4306へのコメント
明美さん、いつもありがとうございます。
>>「じ、じんせいっって・すばら・・」
>精神攻撃って、きっと心から思わなくちゃ効果ないでしょうねえ。
しないよりはましってとこでしょうか(笑)

>>「ガウリイ!!あんたそんな趣味があったの。」
>おいおい、どんな趣味じゃ(笑)
あんな趣味です(爆)

>>むか。なんでゼロスの胸あんなに大きいのよ。
>こりは、腹立つ。でも、リナちゃんの胸だって結構あると私は思う(私が無いだけ、しくしく)
私もないです(しくしく)

>>「人生って素晴らしい・・。」
>これは、心からの叫び?(笑)
これなら、精神攻撃きくでしょうね。
ゼロスの呪縛とけてたりして..けけけ..

>>石投げないでね。
>石なんて投げませんよー(はあと)私より感謝の投げキッスを(をいをい)
わ〜い(きゃっち)ありがとう