◆-想いは果て無く限りない5-海野もくず(8/18-01:13)No.4102
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4102想いは果て無く限りない5海野もくず 8/18-01:13

いやあ久しぶりに夏らしい日々が続いておりますが、みなさんいかがお過ごしですか?どうもっまたまた海野です。
私は高校生という職業柄、宿題がたっぷりあって、ほとんどやってない状態です。
あああっもうすぐ夏休みはおしまい・・・・・どーしよう。
というわけで、想いは果て無く限りない5です。どうぞっ

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あたりは静まり返っていた。
本当に静かな夜。
リナとゼロスは無言で立ちすくんでいた。
お互いを見つめあって。
口を開いたのはリナが先だった。
「・・・・・あたしを殺すんでしょ。どうして攻撃しないの?」
「・・・・・あなたは、自分が殺されるというのにどうしてそんなに落ち着いているんです?」
「あたしにおびえまくって欲しいの?確かにそれならあなたにとってはうれしいでしょうけどね。負の感情を取り込めるんだもの」
リナは挑戦的だった。
少しも怖がっていない。ヤケになっているわけでもない。
「・・・・・あなたは殺されても平気なんですか?」
「平気なわけないじゃない。
殺されるとなったら徹底的に抵抗するわよ。ただ・・・・・」
「・・・・・ただ?」
口をつぐんだリナに、ゼロスは無情にも聞き返した。
リナの瞳に涙が浮かんでいるのに気づかないふりをして。
「・・・・・あんたと戦ったって勝ち目はないもの・・・・・」
「・・・・・およそ、リナさんらしくない答えですね」
ゼロスはそっとリナに歩み寄った。
うつむいたリナの顔に手を伸ばす。
びくっ、とリナは体を震わせた。
ゼロスの指が、リナの涙を拭い去る。
「・・・・・どうして僕が、あなたにすぐ攻撃をしなかったと思います?」
「・・・・・」
リナは、無言でゼロスの顔を見上げた。
ゼロスの紫の瞳からも涙が零れ落ちていた。
「獣王様からあなたを殺せ、と命令が下った時、僕は今と同じように涙を流しました。およそ魔族らしくもない。あなたはそう思ったでしょう。
僕もそう思いますよ。実際、僕が泣いたのはその時が生まれて始めて。今が二度目ですからね」
リナが手を伸ばし、ゼロスの涙を拭った。
その涙は、黒い霞と化して虚空に溶ける。
「魔族でも、感情はあるんですよ。
時には・・・・・誰かを愛することも」
そう言ったゼロスの声は、喘ぐように切なかった。
リナが口を開く。涙を止めることをできぬままに。
「あたしは・・・・・あんたがあたしを殺しにくることは予想してたのよ・・・・・けど、あたし、あんたに殺されるんだったら・・・・・
別に・・・・・かまわないって、そう思ったの・・・・・
だって・・・・・あたしは・・・・・」
次の言葉が出てこなかった。
その言葉を補うかのように、リナはゼロスの胸に顔をうずめた。
そのままゼロスはリナを強く抱きしめる。
冷たい涙を流しながら。
「・・・・・あなたは暖かい。体も・・・・・涙も。僕には決して得ることの出来ない暖かさなんですよね・・・・・
僕の体は冷たいでしょう。こんなとき、少しだけガウリィさんがうらやましく思えますよ」
ゼロスの胸の中で、首を振るリナ。
そっと、ゼロスはリナの顔に触れて、上を向かせる。
「・・・・・人間に生まれたかったです。こんなに苦しい矛盾を感じるのなら」
「・・・・・ゼロス・・・・・」
ゆっくりと唇が重なる。
軽く、そしてだんだん深く・・・・・
二人にはわかっていた。
こんな時は、あと少ししか続かないことを。

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あれれれれれっ
こんなふうにするつもりはなかったんですけど・・・・・
なんか、二人とも性格まるで変わっちゃってますねえ。
ま、なにはともあれ、たぶん次回でこのシリーズはおしまいです。
さてさてこの二人の結末はどうなるんでしょうね。
それではまた。

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4123想いは果て無く限りない6海野もくず 8/20-01:41
記事番号4102へのコメント
さて。想い〜6です。
予定通り、今回で終わってくれるでしょうか。
何はともあれ、頑張ってみました。それではどうぞっ

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薄暗い部屋の中で、二人はぴったりと寄り添っていた。
お互いの唇を貪るように深く激しく口付ける。
ゼロスは左手でリナの体をしっかりと自分に引き寄せ、右手で栗色の長い髪をかき乱す。
リナもまた、ゼロスの肩に手を回し、黒いマントをしっかりと握り締めていた。
刻一刻と近づく運命の最期の時を、少しでも遠ざけるかのように。
しかし。非情にもその時、部屋のドアがノックされた。
「・・・・・リナ?」
その声に、二人とも聞き覚えがあった。
静かに、ゆっくりと唇が離れる。
「・・・・・ガウリイ・・・・・」
「リナ、誰か来てるのか?」
リナは答えられなかった。
「そろそろ・・・・・タイムリミットのようですね」
ゼロスがつぶやいた。そのつぶやきはリナにももちろん聞こえていた。
「・・・・・ガウリイ。ごめんね・・・・・」
「リナ?」
少しあせったようなガウリイの声。
それを無視して、リナは呪文を唱え始めた。
ゼロスに抵抗するための呪文。そして・・・・・

悪夢の王の一片よ
世界のいましめ解き放たれし
凍れる黒き虚無の刃よ・・・・・

「リナっ何やってるんだっ・・・・・ここを開けろっ」
ガウリイの大声が聞こえた。
そして、ドアを激しく叩く音。

我が力我が身となりて
共に滅びの道を歩まん・・・・・

ゼロスはそんなリナを微笑みながら見ていた。
左手をかざす。その手の平に黒い錐が生まれた。
激しく叩かれていたドアが、少しずつ動き始める。
もうすぐ、蹴破られるだろう。

神々の魂すらも打ち砕き・・・・・

「神滅斬」

リナの右手に、虚無の刃が具現した。
二人は・・・・・ゼロスとリナは顔を見合わせる。
微笑んで・・・・・走る。
お互いのほうへ。
「リナっ」
ドアが破られたのは、この時だった。

ガウリイは、自分の目が、目の前に広がる光景が信じられなかった。
リナの漆黒の刃と、ゼロスの漆黒の錐が交錯し・・・・・次の瞬間。
お互いを何のためらいもなく、そしてそれぞれ何の防御もしないままに貫いていた。
リナの刃がゼロスの胸を。
ゼロスの錐がリナの胸を。
そのまま二人は床に崩れ落ちる。微笑みを浮かべたままで。
満足げな表情で。

「リナっ・・・・・ゼロス」
ガウリイは二人のもとに駆け寄った。
「何で・・・・・何でこんな・・・・・」
「・・・・・ごめんね、ガウリイ・・・・・
こうするより他に・・・・・どうすることも・・・・・」
リナが弱々しく答える。
「・・・・・けど・・・・・これだけはわかって・・・・・
あたし・・・・・今すごく・・・・・幸せなの・・・・・
だって・・・・・ようやくゼロスと、好きな人と同じに・・・・・なれた・・・・・」
「・・・・・リナ・・・・・」
ガウリイは混乱していた。
目の前で誰よりも愛しい少女が、命を失おうとしている。
それなのに、彼女は幸せだと言った。
魔族を愛していると言った。
「・・・・・ガウリイさん・・・・・あなたには本当に・・・・・
申し訳ないと・・・・・思って・・・います・・・・・
命令とはいえ・・・・・リナさんを殺すなんて・・・・・
でも・・・・・僕も・・・・・愛してました・・・・・彼女を。
だから・・・・・」
ゼロスの体は、どんどん黒い霞と化していた。
それでも、消耗はリナのほうが早い。
「・・・・・ゼロス・・・・・最期にお願い。
ガウリイを・・・・・」
かすれたリナの声。
「・・・・・わかりました」
「リナっ・・・・・俺はおまえを愛してた・・・・・ずっと」
「ごめんね・・・・・ガウリイ。今まで・・・・・ありがとう」
リナの瞳がゆっくりと閉じる。
その体が金色に光り出した。
「なんだっ?」
「先に・・・・・あの方の元にお返しします。・・・・・
僕もすぐに行くと・・・・・思いますが・・・・・
リナさんに・・・・・頼まれましたからね」
ゼロスがそう言ったとたん、ガウリイは頭に激痛を感じた。
そのまま床に倒れ込む。
「リナさん・・・・・約束は果たしましたよ・・・・・」
そして。ゼロスの体は完全に、霞と化して、虚空に溶けた。

「・・・・・やっぱりそういう結論をだしたのね。
私のかわいい獣神官・・・・・」
ゼラスは一部始終を見ていた。
「・・・・・馬鹿な子・・・・・」
その目からは、とめどなく涙が流れ落ちていた。

「・・・・・おいあんた。しっかりしなされ」
そんな声にガウリイは目を覚ました。
「・・・・・あれ、俺・・・・。」
「大丈夫かい?ドアが開いてたから覗いてみれば、いきなり倒れてるんだからね。
何かあったのかい?」
ガウリイはしばし考え・・・・・
「さあ・・・・・よく覚えてないんだ・・・・・
でも、長い夢を見ていた気がする」

・・・・・そこは全ての物が入り交じった混沌。
一組の男女が、眠っていた。
存在の違いから解き放たれて、幸せそうに眠る、二人が。

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はいっ完結しました。
ゼロリナの皆さんすみません。
二人を殺しちゃいました・・・・・
でも、叶わない想いを抱いて、他に取る道を見出せなかった、ということをどうしても書きたかったんですよ。
それほど、二人の想いが限りなく続いていく物だった、というわけで。
次は、ガウリナで行こうと思ってます。
もしもコメントをいただければ幸いです。
それでは、海野もくずでしたっ。