◆-お初にお目にかかります-天神樺丸(9/8-20:25)No.4362
 ┗狼の条件 第一話【逃走】-天神樺丸(9/8-20:40)No.4363
  ┗Re:狼の条件 第二話【願い】-天神樺丸(9/8-20:58)No.4364
   ┗Re:狼の条件 第三話【抱擁】-天神樺丸(9/8-21:08)No.4365
    ┣読みました♪-マミリンQ(9/14-13:02)No.4546
    ┃┗ありがとうございます-天神樺丸(9/15-17:21)No.4590
    ┗狼の条件 第四話【狂気】(ガウリナらぶらぶ小説?)-天神樺丸(9/19-17:54)No.4699
     ┗狼の条件 第五話【昇華】(ガウリナらぶらぶ小説?)-天神樺丸(9/19-17:58)No.4700
      ┗Re:狼の条件 第五話【昇華】(ガウリナらぶらぶ小説?)-天神樺丸(9/19-18:12)No.4702
       ┗上のタイトル間違えました。第六話【暁光】(ガウリナらぶらぶ小説?)です-天神樺丸(9/19-18:17)No.4703


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4362お初にお目にかかります天神樺丸 E-mail URL9/8-20:25

はじめまして。
初投稿させていただきます。

これは、くらげ学園のMLに流したモノの一部改訂版です。
原版は一部18禁でしたので・・・・・(^_^;)

では、よろしければ感想等、お聞かせくださいね

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4363狼の条件 第一話【逃走】天神樺丸 E-mail URL9/8-20:40
記事番号4362へのコメント
第一話【逃走】

 「リナ!気をつけろ!うしろだ!!」 ゼルの叫びに後ろを振り返ると、半ば狼と
化した男が、今にもリナに飛びかかろうとしていた。
「リナっ!どけ!!」
その瞬間、黒い影がリナを突き飛ばす。
「ガウリイ!!!!」
飛び散る鮮血がガウリイの胸元を濡らす。
獣人の牙はガウリイの喉に深々と食い込んでいた。
「くっ・・・・・」 ガウリイの剣が獣人を切り裂いた。
牙がはずれ、ガウリイの喉からどくどくと血が噴き出す。
力を失ったガウリイの体はその場に崩れ落ちた。
ゼルが最後の獣人を仕留め、駆け寄ってきた。
「これで、全部のはずだ!だんな、しっかりしろ!!」
ガウリイは答えない・・・答えられるはずがない・・・
呼吸は浅く、顔からは血の気が失せている。
「リカバリィ・・・かけなきゃ・・・」
「リナ!よせ!奴らがなぜ獣人化したかわかっちゃいないんだ!!
 そんなのにリカバリィなんかかけたらどんなことになるか、わからないぞ!!」 ガウリイのそばに駆け寄ろうとするリナを、ゼルが止める。
「離してよゼル!だって・・・だって・・・このままじゃガウリイが 死んじゃ
う・・・あたしが・・あたしが油断したから・・・ あたしのせいで・・・・・」
「リナっ!!やめろ!」
「どんな姿だってかまわないから・・・・魔族だろうが、獣人だろうが、生きてて
 くれさえすればいいから・・・・だから・・・お願い・・ガウリイを助けて・・
 たすけてよぉ・・・・」
ガウリイがいなくなる・・・他には何も考えられなかった。
リナにはそうすることしか思いつかなかった。
たとえ、それがどんな結果をもたらすことになろうと・・・


「月が昇ったな・・・」
「わかるのか?」
「ああ・・・リナはどうしてる?」
「部屋で・・・眠らせておいた。おまえさんのそばにいるんだと 聞き分けなかっ
 たんでな。 今はアメリアがついてるはずだ。」
「そうか・・・」
真っ暗なの部屋の中、ガウリイはベッドに腰掛けている。
あの事件から1ヶ月、初めての満月の夜だ。
ガウリイが重症を負ったということもあり、リナ達は魔道士協会の宿舎に部屋を割
り当てられ、逗留していた。
ガウリイのけがは、すでに奇跡的に回復していたが、なおリナ達はここに留まって
いた。
あの事件・・・・・音信不通になった町の調査を、地域の魔道士協会から依頼され
たリナたちが訪れたとき、 すでに住人はすべて獣人と化していた。
互いに食い合い、殺し合い、残った十数人の獣人がリナ達に襲いかかってきたの
だった。
「なぁ・・どうしてオレを・・・」
「俺は止めたさ。だがな、あいつが・・・あのリナが泣くんだぜ。おまえさんを見
 殺しにするんなら、 一生恨んでやるってな。なにしろ、喉笛食いちぎられてたん
 だからな。医者に運んでからも・・・・」
「・・・なぁ、ゼル、オレは・・・いつまでオレでいられるか、わからん・・・。
 もしオレがリナに・・・あいつに危害を加えるようなことになった
 ら・・・・・・かまわないからオレを殺してくれ。」
「また・・・リナを泣かせるつもりなのか?」
「おまえにならできるはずだろ?・・・・・この1ヶ月、ずっと考えていたこと
 だ。覚悟はできている・・・」
そう言いながら、立ち上がったガウリイの体に変化が生じていた。
「ガウリイ!?」
「どうやら・・・・はじまっちまったみたいだな・・・・」
ガウリイの耳がとがり、全身に毛が生えだしていた。
「ぐうっ!!」
爪が伸び、口元から牙がのぞく。
「出ていってくれ・・・ゼル・・・・絶対にリナには・・・・近寄らせないでく
 れ・・・・た・・のむ・・・」
「ガウリイ!!」
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
絶叫を上げ、苦しむガウリイを前に、ゼルにはなにもできなかった。
「わかった・・・・・」
唇をかみしめながら部屋を出、鍵をかけ・・・柱を拳で殴りつける。
「ちくしょうがっ・・・・・・!!」
そのとき、リナが階段を駆け下りてきた。
「ゼル!ガウリイは?ガウリイはどうしたのよ!?」
部屋に入ろうとするリナをゼルは押しとどめる。
「やめろ、リナ!あいつは、獣人になっちまっているんだ。あいつはもう、あいつ
 じゃないんだ!」
「どういうことよ?ガウリイはガウリイじゃない。離してよ!ガウリイが苦しんで
 る!ガウリイ!ガウリイ!!」
「リナさん!!」
「アメリア!どうしたんだ!?スリープの呪文をかけたんじゃなかったのか?!」
「かけましたよ!でも、さっき急に起きあがって、ガウリイさんの名前呼びながら
 部屋を 飛び出して行っちゃったんです!」「リナ・・・」
「早く鍵あけてよ!ガウリイ!ガウリイ!!いいわよ、こんな扉くらい、吹っ飛ば
 してやるわ!」
ガウリイの名を呼びながら扉をたたくリナの耳に、かすかにガウリイの声が聞こえ
た。
「リナ・・・来ないでくれ・・・・頼む・・・・」
「ガウリイ!?意識があるのね!」
「頼む・・・こんな姿・・・おまえに見られたくない・・・・」
「ガウリイ・・・何言ってんのよ・・・・どんな姿だってガウリイはガウリイじゃ
 ない・・・・」
震える声で抗議するリナの目には、涙が浮かんでいた。
「違う・・・いつまで・・正気・・・をたも・・ってられるか・・・わからないか
 ら・・・だから・・・ぐわあぁぁぁぁぁっっっ!!!」
「ガウリイ!?・・・・ダム・ブラス!」
「やめろ!リナ!!」
ゼルの制止の声も聞かず、リナが部屋に走り込んだとき、何かが窓を破って飛び出
していった。
「ガウリイ、どこ!?」
部屋の中には、誰も、いや何もいなかった。
あわてて窓に走り寄り外を見渡すリナの目に、通りを駈けていく一頭の狼の姿が
映った。
「狼・・・・・ガウリイ?」
それは、ふと立ち止まると、リナ達の方を見やり・・・そしてまた走り出した。
「ガウリイ・・・・ガウリイなんでしょ?・・・・行かないでよ・・・・
 ねぇ・・・・」
リナの目から、涙があふれ出す。
「リナ、よせ!!」
「リナさん!!」
ゼルとアメリアに腕を押さえられたまま、リナはいつまでも見つめていた。
金色に輝く、大きく美しい獣の姿を。


                             続きます

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4364Re:狼の条件 第二話【願い】天神樺丸 E-mail URL9/8-20:58
記事番号4363へのコメント
第二話【願い】 
真円の月はすでに、かなりその高度を落としていた。
―――時間がない――――
リナは焦っていた。すべては今夜のうちに・・・月が沈むまでに、なさなければならない。
―――ガウリイ・・・ガウリイ・・・・!
リナは心の中で、呼び続けていた。
「見つけたぞ。狼の足跡だ。」
ゼルガディスの声に、リナははっと我に返った。
「この先には、湖があるだけだ・・・どうする?リナ・・・」
リナの顔は月の光のせいなのか、ひどく青ざめて見えた。
「行くわ・・・あたしが行かなきゃ、ガウリイを助けられないんだもの・・・。ゼル達はここで帰ってちょうだい。」
「リナさん・・・・ホントに・・・いいんですか?」
心配そうに言うアメリアに、リナはそっと笑いかけた。
「あたしが決めたことよ。あたしのわがままのせいでガウリイが苦しむことになったんだもの・・・。
けどね、自己犠牲なんかじゃないわ。あたしは、ガウリイを助けたい、苦しむガウリイを見ていたくないから、
ガウリイとずっと一緒にいたいから、そのためにはガウリイを元に、人間に戻さなきゃならない・・・だから行くのよ。」
「でも・・・こんな・・・・あのとき、わたしがいたらこんなことには・・・」
「違うわ・・・アメリアのせいじゃない・・・仕方のないことよ・・」
半分泣きかけているアメリアを、あやすようにリナは続けた。
「大丈夫、後悔なんかしないわ。あたしはガウリイを信じてる。どんな姿だって、ガウリイはガウリイだもの。・・・耐えられるわ。」
「アメリア、だんなを信じてやろうぜ。俺達に出来るのは、それだけだ。 じゃあな、リナ、お邪魔虫は消えることにするぜ。明日の朝、日が昇る頃に迎えに来る。」
「ありがと・・・ゼル・・・・」
ゼルガディスは、軽く手を振ると、振り向きもせずそのまま来た道を戻っていく。
アメリアも今にも泣きそうな表情のまま、何度も振り返りながら遠ざかっていった。
「・・・あたしは、ガウリイを信じてる・・・・たとえ最悪の結果になろうと・・・」
リナはそう自分に言い聞かせるように呟くと、その足跡の向かう方角に向かって歩き出した。


「ぐぅ・・・・っ・・・は・・・ぐぁぁ・・・」
暗い洞窟の中で、ガウリイは体の奥底から沸き上がってくる衝動に、必死に耐えていた。
―――引き裂き、咬み裂き・・・・殺したい―――
「リ・・・ナ・・・・」
いつも輝いていた、鮮やかな少女を思い出す。
「あ・・・いた・・・・い・・・オレ・・・は・・・・オ・・・レ・・・・リ・・・ナ・・・」
会えない、もう二度と。
会ってはいけない、苦しめることになるから。
『明日、人の姿に戻ったら、姿を消そう・・・あいつを苦しめる前に。』
その想いが、ここまでガウリイをもたせてきたのだ。
今、ガウリイは半人半獣の姿をしていた。
もっとも忌み嫌われる、ライカントロープ・・・。
この状態でさえ、いつまで衝動に逆らい続けられるのか、わからない。
ましてや、完全に狼の姿になれば、人間としての意識は完全に失われる。
この先、どうなるのか、ガウリイには本能的にわかっていた。
―――月夜ごと獣人化を繰り返し、そのたびに何人もの人を喰い殺し、あるいは、女を犯す・・・。
そんな自分が、人間として許せる筈などなかった。
『そんなことになるくらいなら・・・』
ガウリイは「死」を望んでいた。
「リ・・・ナ・・・リィ・・ナァァ・・・・」
呪文のように呟き続けるその名前だけが、ガウリイを「人間」につなぎ止めていた。
「・・・ガウリイ・・・・」 空耳だ、と思った。「ガウリイ・・・・」
おそるおそる振り向くガウリイの目が、洞窟の入り口に立つリナをとらえた。
「リナ・・・!」
ガウリイは、再びリナに背を向けると、絞り出すように声を発した。
「見るな・・・頼む・・見ないで・・くれ・・・」
「ガウリイ・・・」
「早く・・・行ってくれ・・・オレの・・側にいるのは・・危険・・だ・・・」
「いやよ・・・あたしはガウリイを助けに来たんだから!」
「た・・すけ・・・る・・・?そんなこ・・・と・・でき・・・る・・・はず・・・ない・・・ぐぅっ!!」
「ガウリイ!?」
慌てて駆け寄ろうとするリナにガウリイは怒鳴った。
「来るな!!」
一瞬、その叫びに身を堅くするリナに、ガウリイは続ける。
「こんな・・・醜い姿・・・おまえに見られたく・・・なかった・・・・。頼むから・・・出ていってくれ ・・・いつまで・・人・・・の・・ここ・・・ろ・・もって・・・わ・・から・・・・ぐっ・・!」
「違うの!ガウリイ・・助けられるの・・・方法があるの!!」
「方・・・法・・・?」
荒い息をつきながら、ガウリイは耐え続けている。
「魔道士協会の・・・古い資料をみせてもらったの。評議会議長・・・彼女は・・・ 知ってたわ。あの獣人化した町のことも、みんな、話してくれた・・・」
「どう・・いう・・・こと・・だ」

                               続きます

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4365Re:狼の条件 第三話【抱擁】天神樺丸 E-mail URL9/8-21:08
記事番号4364へのコメント
第三話【抱擁】 

それは呪いだった。
何百年もの昔、あの町に一匹の狼を連れた魔道士やってきた。
その直後から町では疫病が猛威を振るい、町の者たちは、よそ者の魔道士が災いを連れてきたのだとして、 その魔道士をなぶり殺しにしたのだった。
しかし、死ぬ直前その魔道士は魔族と契約をした。
50年に一度、少女を一人生贄にしなければ、巨大な狼が現れ、町の住民を襲うように、と。
やがて狼に咬まれながらも生き延びた住人は、すべて獣人と化し、最後の一人になるまで食い合い、殺し合った。
そして、最後に生き残った者は、自ら命を絶つこともできず、苦しみ続けなければならなかった。
いつの日にか、自分を倒せる者が現れるまで。
「それが・・・今の・・・オレ・・ってわけだ・・・」
「でも、その呪いを解く方法があるの。評議会議長が教えてくれたのよ。」
「なぜ・・・そい・・つが・・・し・・ってる・・んだ・・・」
「生き残りなの・・・50年前の。」
「どう・・・すれば・・・いい・・んだ・・・?」
リナは一瞬、顔をゆがめると、消え入るような声で囁いた。
「その魔道士は逃げたわ・・・・・・けど、その居場所を教えたのは、彼の恋人だった。」
「どういう・・・・ことだ?」
「人の心など・・・愛など信じられなくなった彼は、唯一、その呪いを解く方法を残したの。獣人化した初めての夜、月が沈むまでに、その者が、その者を救おうと願う者と・・・・情を交わせたら・・・・呪いは解けるの。」
そのリナの声を遮るように、ガウリイは叫んだ。
「ダメだ!・・・そんなこと・・・できるもんか・・・・」
リナも必死に叫ぶ。
「どうしてよ、ガウリイ!?」
「おまえ・・に・・・そんなこと・・・できるわけ・・・ないだろう・・・? それに・・・いつおまえを喰い殺しちまうかわからない・・・・」
ガウリイの声は、ますます苦しげにその口から漏れる。
「もし・・・あたしが逃げたら・・・ガウリイがあたしを拒絶したら・・・・・ガウリイは・・・わかってる筈よ!!満月の夜ごとにどんなことになるのか・・・あたしは、そんなのいやなのよ!ガウリイが苦しむのなんか、嫌なの!! だから・・・お願い・・・あたしを・・・・」
リナは泣いていた。知らず知らずのうちに、頬を涙が流れ落ちる。
「じゃあ、もし・・・・オレがおま・・えを・・・喰いころ・・・・しちまっ・・・・たら・・・どう・・なる・・・?」
ガウリイの問いに、リナの体がびくんと震えた。
「・・・リナ・・・どう・・なるんだ・・・・?」
しばらく躊躇した後、リナはゆっくりと答えた。
「ガウリイは・・・人間の体には二度と戻れず、人間より遙かに長い年月を不死身の体のまま、生きなければならない・・・・人の心をなくしたままで・・・」
「おまえは・・・・どうなる?」 リナは目をつむり、やがて口を開いた。
「魂は・・・・永遠に暗闇を彷徨い続けることになるわ。生まれ変わることもなく、この世が終わるまで永遠に・・・・」
「ぐっ!・・・・・はぁ・・・・・うう・・・」
「ガウリイ?!」「近寄るな・・・もう・・・オレ・・・は・・・」
「あたしは・・・ガウリイを信じるわ。」
リナはそう言うと、マントの留め金に手をかけた。
パサリ、と音を立ててリナの足下にマントが落ちる。
唇を噛みしめながら、一枚、一枚着衣を脱ぎ捨てていく。
やがて、普段ほとんど日に当てぬためか、抜けるように白いリナの身体が闇の中に浮かび上がった。
「ガウリイ・・・・・」
低くうめき声をあげ続けるガウリイに、リナはゆっくりと近づいていく。
「く・・るな・・・リ・・・ナ・・・・」
ガウリイの制止の声も聞かず、静かに歩を進める。
「あたしはガウリイを信じるわ。だから逃げないで。お願い、戦ってよ、こんな呪いなんか吹きとばしちゃってよ!」
リナは、ガウリイのかたい体毛に覆われた背中に手を這わすと、そっと頬を寄せた。
その頬を、幾筋も涙が伝う。
ガウリイの身体が堅くこわばる。
「やめろ・・・リナ・・・」
「やめないわ・・ガウリイと一緒にいたいの。だから・・・お願い・・・・あたしを・・・抱いて・・・。」
「リナ・・・はぐっ!!・・・・ぐああああああああ!!!」
突然、ガウリイは身体を激しく震わすと、リナをはじき飛ばした。
「ガウリイ!!」
ガウリイの身体は、骨の軋むような不気味な音をあげながら、見る間に完全な狼の身体に変わっていく。
「ダメ!ガウリイ!!」
リナを正面から見据える『狼』の目には、もはや、狂気の色しか宿っていなかった。
リナは、今、何も身につけていない。タリスマンもショートソードも、身体を保護する衣服さえ。
「ガウリイ・・・・」
―――もう、だめなのか・・・
ふと、リナの頭をそんな考えが掠める。
―――ガウリイを・・・永遠に苦しめるくらいなら、あたしがこの手で・・・・「きゃあ!!」
しかし、『狼』の動きに、リナは反応することさえ出来ない。
『狼』が跳躍するたび、リナの身体に紅い筋が走る。
「やめて!ガウリイ!!」
リナの叫びなど、今のガウリイには届くはずもなかった。
再びはじき飛ばされ、地面に倒れたリナの上に、ガウリイが、いや、血に飢えた獣がのしかかる。
獣の息がリナの顔にかかる。
前足が胸を押さえつけているため、息をすることもままならない。
リナは目を閉じ、かすれる声で呪文を唱え始めた。
――――ガウリイ・・ガウリイ・・・!
リナの目から涙が流れ落ちる。
リナは目を開けると、『狼』の目を見つめた。
―――青い・・・瞳・・・ガウリイの青い瞳・・・・
リナの脳裏に懐かしい笑顔が浮かぶ。
―――ガウリイ・・・・
そっと手をかざし、その鼻面に触れる。
『狼』は、一瞬身を震わせ、牙を剥き出し、低くうなり声をあげる。
リナの呪文詠唱はいつしか途切れていた。
そして、『狼』に語りかける。微笑みながら。
「ガウリイ・・・・約束したよね。一生、あたしの保護者でいるって。ずっと、ずっと一緒にいるって・・・。だからお願い。還って来てよ、あたしの所に。ねぇ、ガウリイ・・・ガウリイ!!」
『狼』の目に、かすかに光が閃いたように見えた。
うなり声が途絶え、代わりに、苦しげなうめき声がその口から漏れる。「ぐ・・・・・う・・・あう・・・・あああ・・・」
「ガウリイ!!」
『狼』の姿が、再び『獣人』の姿に変わっていく。
「リ・・・・ナ・・・・・・」
「ガウリイ・・・ガウリイ・・・ガウリイ・・!!」
リナは、ガウリイに駆け寄るとその身体にしがみついた。
「リナ・・・・はな・・・れろ・・・」
ガウリイはリナの身体を引き剥がす。
「嫌よ!嫌よ!嫌よぉぉぉぉ!!あたしはガウリイを助けるんだから!絶対離れない、殺されたって離れないから!!」
「リ・・・・ナ・・・・」
やがて、ガウリイも心を決めたように、リナの身体を抱きしめた。
「こんな姿でも・・・いいのか?おまえ・・・怖くないの・・か?」
リナは、ガウリイの胸に顔を埋めたまま囁いた。
「言ったでしょ・・・どんな姿だってガウリイはガウリイだって。でもガウリイが見られたくないなら、ずっと目をつむってるわ。」
「リナ・・・・・」
ガウリイの毛むくじゃらの手がリナの髪をなでる。
「あたし・・・・ガウリイを信じてるから・・・・怖くなんかないわよ。」
ガウリイの長くのびた舌が、ぺろりとリナの涙をなめとる。
「でも・・・この口じゃあ、キスはできないな・・・・」
「ばか・・・・あ・・・・・・」
いつしか、リナの口からは細い吐息がもれ始めていた。


――――月は何事もなかったかのように輝き続けていていた。


                                まだまだ続きます

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4546読みました♪マミリンQ E-mail 9/14-13:02
記事番号4365へのコメント
はじめまして♪

うおぉ。シビアですねぇシリアスですねぇ。
発想が(もとに戻る方法に関して)妖しいですね。(邪笑)
純粋な愛の追及って感じでかっこいいです♪
ただ・・・ガウリイやっぱり獣のままで・・・?
(自分の発言と矛盾しとるぞっ)

では♪続き待ってます♪


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4590ありがとうございます天神樺丸 E-mail URL9/15-17:21
記事番号4546へのコメント
ありがとうございました(^_^)
このあとの2話は、もろ18禁なので、一般公開はされていないんですよね・・・・・・
18禁の表現を極力削って、何とかしたいと思っていますが・・・

また感想をお聞かせくださいね

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4699狼の条件 第四話【狂気】(ガウリナらぶらぶ小説?)天神樺丸 E-mail URL9/19-17:54
記事番号4365へのコメント
今回はちょっと18禁ぽいので、だめな方はお酒ください・・・じゃなくて
お避けくださいな(^_^;)
極力18禁表現は避けたつもりなんですが・・・・・・ね・・・・

*************************************

第4話【狂気】

ガウリイはリナの身体をそっと抱き上げると、脱ぎ捨てられたリナのマントの上に横たえた。
「リナ・・・」
ガウリイの手が優しくリナの頬をなでる。
やがて指が、リナの首筋から鎖骨をたどり、やがてその胸元を緩やかになぞっていく。
リナは息を詰め、目を閉じて身体を堅くしている。
「リナ・・・リナ・・・・」
囁きながら、ガウリイはリナの胸に顔を埋めると、小さなふくらみをゆっくりと手のひらで押し包んだ。
「あ・・・・」
リナの口から吐息ともつかぬ声が漏れる。
―――ガウリイと一緒にいたい・・・・ガウリイを感じていたい・・・・
今、リナの思いはそれだけだった。
 ガウリイは、リナの顔をのぞき込むと、目尻に溜まった涙をそっと舐めとった。
そのままガウリイの舌は、リナの耳をくすぐる。
耳にかかる息と耳朶をくすぐる舌の感触に、リナはびくんと身体を震わせ、細く、吐息を漏らした。

闇の中で、リナの身体は上気し、桜色に染まっていく。
リナの身体には、ガウリイが付けた傷が、無数に走っていた。
ガウリイは、その傷をひとつひとつ、丹念に舌でなぞっていく。
ガウリイが傷に触れるたび、リナの身体はビクンとふるえ、細く息を吐く。  
「や・・・ガウ・・・リ・・イ・・・・・・」
リナは掠れるような声で愛する者の名を呼んだ。

洞窟の中と言っても、完全な真っ暗闇というわけではない。
かすかにヒカリゴケの淡い光が、リナとガウリイを照らしている。
リナは羞恥心に耳まで朱に染め、身を捩って足を閉じようとするが、ガウリイの腕力に押さえ込まれてしまった。
リナは震えていた。
「リナ・・・・」
ガウリイの声も震えていた。
「リナ・・・・・・・リナ・・・・」
気が狂いそうだった。熱い息を切れ切れに吐きながら、リナはその熱いうねりに耐えていた。
洞窟の中に、リナの細いあえぎと、ちいさな湿った音だけが響く。
リナは頭の芯が、じりじりと焦げ付いていくような気がした。
甘い快感だけがリナを支配していた。
「・・・行かないで・・・・・あたし・・・置いて・・・ガウリイ・・・・」
リナが呟く。
「ガウリイ・・・ガウリイ・・・・ガウリイ!あ・・・あああああっっ!!!」
呟きはやがて叫びへと代わり、暗闇にリナの啼き声が響いた。

「リナ・・・・」
リナはガウリイの声に、うっすらと目を開けた。
ガウリイが見つめていた。
いつも通りの・・・悲しげな青い瞳で・・・・。
「どこにも・・・行かないで・・・ずっと・・・・ずっと・・・・」
リナの目尻から涙がこぼれる。
「ああ・・・ここにいる・・・ずっとだ・・・・」
そう言うと、ガウリイはリナの身体を抱きしめた。

 ―――入って・・・来る・・・・
侵入してきたガウリイに、リナは苦痛の表情を浮かべる。
身体が引き裂かれるような痛みに、リナは悲鳴を上げた。
「リナ・・・・大丈夫か・・・リナ・・・・」
心配そうに問いかけるガウリイに、リナはかすかに微笑みを浮かべ、大きく息をしながら答える。
「だい・・じょうぶよ・・・しばらく・・このままで・・・お願い・・・・」
「リナ・・・すまない・・・」
「あたしは・・・大丈夫だから・・・やめるなんて言わないでよ・・・ガウリイ・・・」
「リナ・・・・」
ガウリイはリナの背中に腕をまわし、地面にこすれないように抱きしめた。
リナもガウリイの獣毛の密生した背中に両腕をまわす。
―――ガウリイがあたしの中にいる・・・・ガウリイはここにいる・・・・
リナは、自分の中に存在する熱い脈動を感じ、自らもそれに同調していった。
「ガウリイ・・・き・・て・・・・」
ガウリイの耳元で、リナがそっと囁く。
その声に答えるように、ガウリイが動きだす。
波が襲ってくる。
痛かった、しかし、それよりも体の中から沸き上がってくる快感にリナは溺れた。
何も考えられなかった。今、ガウリイに抱かれている。
その事実だけがリナの心を支配していた。
「あああ・・ああああああーーーーーーーー!!!!」
リナの身体が硬直し、内股がひきつる。
「くぅっ!!」
ガウリイの低い、押し殺した声とともに、リナは熱いものが身体の中に迸るのを感じた。


そして・・・ガウリイの目に狂気の光が宿った。

*************************************     
                     まだ続きます

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4700狼の条件 第五話【昇華】(ガウリナらぶらぶ小説?)天神樺丸 E-mail URL9/19-17:58
記事番号4699へのコメント
今回も18禁くさいです(^_^;)
リナちゃんとがうりんは幸せになれるでしょうか・・・・?
・・・・・・・するにきまってんじゃん!!!(馬鹿)
リナちゃんを幸せにできるのは、ガウリイだけなんだから!!!!!

*************************************

第5話【昇華】

「ああああ・・・・あああーーーーーーーー!!!!」
リナの絶叫が暗闇に響く。
ガウリイに貫かれたまま、もう何度絶頂を迎えたのだろう。

リナを責め苛みながら、ガウリイが低く呟く。  
今、ガウリイは戦っていた。 自分の中の魔性と、リナを想う人としての心が相争っていた。
―――魔性の心に負ければ、リナを喰い殺す―――
それだけは、できなかった。
たとえ、今、リナを苦しめることになろうと・・・・
だから、ガウリイはリナを抱き続けた。
必要以上に激しくリナの身体を求めることで、リナへの想いを、人間としての心をつなぎ止めようとしていた。
リナにもそれがわかっていた。
だからこそ耐え続けられた。
「ガウリイ・・・ガ・・・ウ・・・」
切れ切れにリナが声を漏らす。
―――いつまで続くのだろう・・・・この試練は・・・・
リナの脳裏に、ガウリイの笑顔が浮かぶ。
 ―――どうして、こんなことになってしまったのだろう・・・
リナの口から低く嗚咽が漏れる。  
 
 ガウリイが精を放ったのは、最初の一度きりだった。
獣人化したためか、呪いのためなのか、それはわからない。
しかし、完全に呪いを解くためには、狂気に打ち勝ち、リナを愛さなければならない。
リナとの最初の交わりは、呪いを解くためのきっかけに過ぎなかったのだ。
もう一度リナの胎内に精を放たなければ、すべては無駄になる。

「あ・・・・ひあ・・あ・・・・」
もはやリナの口からは、かすかなすすり泣きしか漏れてこない。
「グウ・・・・・ウウウウウ・・・」
ガウリイは牙を剥き出し、低くうなり声をあげた。
リナの虚ろな目は宙をさまよい、半分開かれた口元からは唾液が細く糸を引く。
上体を仰け反らせたリナの華奢な首筋が、ガウリイの目に映った。
―――咬み裂いてしまえ。そうすれば、楽になるぞ・・・・
頭の何処かで、誰かが囁く。
ガウリイの牙が、リナのうなじに触れる。
リナはガウリイの首に腕をまわし、すがりついた。
「ガウリイ・・・・いいよ・・・もう・・・本当に・・ガウリイが・・・苦しいなら・・・ あたしを殺して・・・たとえ・・魂だけ・・・になっ・・ても
 ・・・あたし・・・・・ガウリ・・・イと・・・一緒に・・・いる ・・・から・・・・この世界・・・が・ ・滅んでも・・・ずっと・・・・」
―――もう・・・・時間がない・・・ガウリイが人間に戻れないなら・・・・別れなければならないなら・・・・・
「ずっと・・一緒にいるよ・・・・・ガウリイと・・・一緒・・に・・・・」
「リナ・・だめだ・・・・・リナ・・・・・」
ガウリイはリナをきつく抱き寄せた。
きつく、きつく・・・・息もできないほど抱きしめられ、リナは泣いた。
―――時間が止まってしまえばいいのに・・・・
自分の中に存在するガウリイが、愛おしかった。
リナは、ガウリイの、その耳まで裂けた口に口付けすると、自ら腰を動かし始めた。
「ガウリイ・・・・ガウリイ・・・・お願い・・・お願い・・だから・・・・」
「リ・・・・ナ・・・・・」
ぎこちなく腰を動かし続けるリナに、ガウリイも答える。
「そう・・だ・・・リナ・・・もっと・・・強く・・・・くっ・・・はあっ!」
リナの腰を強く引き寄せ、激しく突き上げる。
リナの虚ろな瞳がガウリイを見つめる。かすかに微笑みながら・・・・。
激しい交わりに、リナの花びらは傷つき、白い内股に幾筋もの赤い流れを作っていた。
しかしもう、痛みはなにも感じなかった。
「離さないで・・・・抱きしめていて・・・・ガウリイを感じさせて・・・もっと・・感じてい・・たいの・・・もっと・・・」
徐々にリナの動きが激しくなっていく。
「リナ・・リナ・・リナァ・・!!・・」
ガウリイの動きも激しさを増し、速くなっていった。
二人は、互いの目を見つめ合う。
リナは、ガウリイのたてがみに指を絡ませ、ガウリイは、リナの頬を優しく撫でる。
そして再び、二人の舌は絡み合う。
深く、熱く、激しく・・・  
今、月はその姿を隠そうとしていた。
「愛してる!愛してる!!ガウリイ・・・ガウリイ・・ああああああ!!」
リナの身体が、硬直し、きつくガウリイを締め付けた。
「くっ!リナっ!!くはぁぁっ!!」
ガウリイのくぐもった声が低く響き、その瞬間リナは胎内に熱いものが迸るのを感じた。
そして、リナは意識を手放した。

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さて、あと二回かな???というわけで、続きます

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4702Re:狼の条件 第五話【昇華】(ガウリナらぶらぶ小説?)天神樺丸 E-mail URL9/19-18:12
記事番号4700へのコメント
果たしてガウリイは人間に戻れるのか?
リナの運命は?そして、・・・・・・
それでは、まいります!

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狼の条件 第六話【暁光】

 ガウリイは、そっとリナを抱きしめた。
丸一晩に及ぶ激しい情交に、リナの身体は疲弊しきっていた。
全身に走る傷と愛撫の痕、その内股に流れ落ちる紅と白の液体。
涙と唾液に濡れた顔・・・・・
ガウリイの剛毛に覆われた頬を、涙が流れて落ちた。

 リナは、2度、ガウリイの精を胎内に受けなければならなかった。
最初は、きっかけとして。
リナの中に精を放つことにより、ガウリイは己の中の魔性を呼び起こした。
魔性の心は、リナを喰い殺し、人間の心を捨て去ることを欲した。
そして2度目は、呪いを打ち破るため。
リナがガウリイから逃げることなく、また、ガウリイのリナを想う心が
魔の心に打ち勝つことが必要だった。
そして、ガウリイは、「リナを殺したい」という欲求に耐え抜き、リナを愛し抜いた。
リナは、絶頂の中、ガウリイの2度目の精を受け入れていた。

「リナ・・・・・きれいにしてやるからな・・・・・・」
ガウリイはリナを抱き上げると、湖に向かって、洞窟の中を歩き始めた。
まもなく夜が明けるのだろう。
東の空が白み、すでに月は沈んでいた。
ガウリイは湖の水にリナの身体を浸すと、そっと血と、その胎内からあふれ出た
己の体液を洗い流してやった。
やがて、水の冷たさのためか、リナの意識が戻る。
「ガウ・・・・リイ・・・?」
「気がついたか・・・? すまない、リナ・・・・・」
リナの顔をのぞき込むガウリイの瞳はひどく悲しげだった。
「・・・・ガウリイ・・・・・どうして?! 呪いは解けたはずよ!」
リナの悲鳴にも聞こえる問いに、ガウリイの表情がゆがむ。
「わからん・・・・・間に合わなかったのか、伝説が間違っていたのか・・・・・
 オレは、おまえとは一緒にいられない・・・・・ここで、お別れだ・・・・・」
「ガウリイ!いやよ・・・いやよぉ!!」
リナは、ガウリイの胸にしがみついた。
ガウリイの毛むくじゃらの手が、リナの髪をなでる。
「すまない・・・・オレは・・・おまえを汚しちまった・・・・・それなのに・・・・・
すまない・・・リナ・・・・・」
ガウリイの腕の中で、リナは嗚咽する。
「違う・・・あたしは汚されてなんかないわ。ガウリイになら、どんなことされたって
耐えられるもの・・・・・・だから・・・・行かないで・・・・行かないで・・・・・」
「リナ・・・・・」
ガウリイはきつくリナを抱きしめると、リナの髪に顔を埋める。
リナの肩が細かく震えるのを感じながら、ガウリイはリナの髪のにおいを嗅いだ。
まるでリナの匂いを覚え込むかのように、何度も何度も・・・・・。
やがてリナの身体を引き離すと、ガウリイは立ち上がった。
「ガウリイ・・・・・!」
追いすがろうとするリナにガウリイが怒鳴る。
「来るな!!」
反射的に身を堅くするリナに、優しく語りかける。
「来ないでくれ・・・・頼むよ。オレが一緒にいたら、おまえが困るだろ?オレはおまえを
苦しめたくない。だから、わかってくれ。リナ・・・」
「ガウリイ・・・・・」
―――ガウリイが微笑ってる・・・。
姿形は獣人だが、リナにはいつものガウリイの笑顔が見えていた。
「ガウリイ・・・愛してる・・・・愛してる・・・・忘れないで・・・・あたしのこと・・・・
ずっと、ずっと、愛してるよ・・・・ガウリイ・・・・」
リナは、途切れ途切れに言葉を紡ぎながら、微笑もうとした。
しかし、わずかに顔をゆがめることしかできず、新たな涙が、頬を流れ落ちていった。
「リナ・・・・」
ガウリイがリナの涙をそっと指で拭う。
「ガウリイ、お願い・・・キスして・・・これが最後のお願いよ」
「わかった」
眼を閉じたリナの唇にガウリイの鼻先が触れる。
犬のような舌が口の中に潜り込み、歯に太い牙が当たるのを感じながら、リナはガウリイの
獣毛に覆われた背中を抱きしめた。
その瞬間、一条の光がふたりを照らした。
湖の水面に朝日がきらめき、暁光の中で、ふたりの身体が輝く。
そして・・・・・
「ぐあああっ・・・!!!」
突然、ガウリイは苦悶の声を上げ、苦しみ始めた。
「ガウリイ!!」
どうすることもできず、リナには愛する者の名を呼ぶことしかできない。
ガウリイの身体から、金色の輝きが抜け落ち、軋むような音を立て、骨格が変化していく。
やがて、ガウリイの苦悶の声がおさまり、苦しげな呼吸が落ち着く頃、リナはやっと我に返った。
「ガウリイ・・・・」
ガウリイが立ち上がる。
長い金髪が、陽に輝き、白い肌がまぶしく光る。
「リナ・・・・オレ・・・?」
ガウリイが自らの身体を見つめ、呆然と呟く。
「呪いが解けたんだわ。朝日を浴びて、はじめて解ける呪いだったんだ・・・・」
「オレ、人間に戻れたのか?リナ」
「そうよ・・・わかんないの?ガウリイ」
「そっか、じゃあ、もうおまえと別れなくても良いんだな!」
ガウリイがリナの細い肩に手を置き、顔をのぞき込む。
「そうよ・・・そうよ、ガウリイ!!」
「そっか・・そっか・・・リナ・・・よかった、よかったぁ・・・」
ふたりは、微笑みあい、そして抱きあった。
「ん・・・・・」
やがて唇が重なり、舌を絡み合わせながら、ふたりはお互いの素肌のぬくもりを感じていた。

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とにかく、ハッピーエンドです(^^)

あとエピローグとおまけのギャグ編があります
近日公開!!

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4703上のタイトル間違えました。第六話【暁光】(ガウリナらぶらぶ小説?)です天神樺丸 E-mail URL9/19-18:17
記事番号4702へのコメント
すいません!!上のタイトル間違えました!!
狼の条件 第六話【暁光】です