◆-金色の巫女〜鳴動編・9-M(9/10-01:15)No.4395
 ┣金色の巫女〜鳴動編・10-M(9/12-00:52)No.4461
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 ┃┃┗金色の巫女〜鳴動編・R.0-M(9/12-15:13)No.4480
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4395金色の巫女〜鳴動編・9E-mail URL9/10-01:15

金色の巫女〜鳴動編


          9


 目の前に立つだけで、押し寄せてくる重圧。
 気分が悪くなるほどの、不穏な空気。
 解放された、実力。
「千年前の真実と、これから起こる出来事」
 でも、あの時でさえ。リナはカンヅェルを追いつめる事が出来た。
 勿論、一人だけの力ではないけれど。
「ですが、そうですね。ゼロスさんではありませんけれど、貴方程度の魔族を一人で倒せるくらいでなければ。これから先も、リナさんに『おんぶに抱っこ』でしか、ないですものね……」
 これまでは、自覚することもなかったけれど。アメリアは、リナ達と出会うことで「子供」を得たわけだが。その為に甘える事を知った。だが、甘えたままでは成長しない。
 成長をしなければ。
 その先には行けない。
「ゼロスだとっ!?
 ……これで、ますます貴様を生かしておくわけには行かなくなったな」
「あなたやガーヴのやろうとしているのは、あなた達には正しいことなのかも知れません。
 でも、やり方が許せません!」
 けれど、それは「今」のアメリアが知っているからこそ言える台詞だ。
 魔竜王ガーヴ生き残る為に、あがいている事。それだけならば、アメリアとて。相手が魔族であっても、同調さえしよう。だが、アメリアの身内を使って人間社会を乗っ取り。捨て駒にしようと言う考えにだけは、同調も容認も出来なかった。
 だから、アメリアは戦った。
「ラ・ティルト!」
 でも、思念で人間を殺せる存在を相手に。アメリアが一人で立ち向かうのは、理解してしまうくらい無様なことであった。
 手を抜いた方法を考えるのなら、この魔族を国に引き入れたアルフレッドを倒す方が早いのは知っているし。判っている。でも、準備も整わないのにすべてを好評すれば。間違いなく、王族は皆殺し。
 アメリアが一人で行動しなくてはならない最大の理由が、実はランディオーネ叔父にあった。
 アメリアの記憶では、カンヅェルが城に来るまでにランディオーネは。反逆罪で正義の鉄槌が下されている筈だった。なのに、ランディオーネは無事に王族のまま。事態は進んでいたのである。
 想像だけならば、色々とする事は出来る。だが、実際に裏付ける証拠がない。
 だから、焦ったのだ。アメリアは。
「これで終わりだ」
 本当の姿にすら戻っていないのに、アメリアはすでに虫の息だった。
 二人がかりで、不確定要素があったからと言って、偶然も手伝ったけれど。
 リナ達は、こんなものを相手にしていたのだ。
 今のアメリアですら、勝てない相手を。
          ◇
 ゼルガディスの予想は、ある意味において外れ。
 ある意味では当たっていた。
 黒々とした、もはや人間とは言えない存在となった身内。
 すべてを照らし、射抜く力をもったウェイトレスの女。
 それが対峙した時、付近の大地は焦土と化していた。
「何と、言うことだ……」
 部下達を一人でも多く守る為、出来る限り遠くへと逃がした。
 でも、何人かは巻き込まれていた。
 いまだ、魔王と化してはいないとは言え。レゾは、赤法師の封印は。かつて千年前にまみえた力の具現体であるルナ=インバースとの出会いによって。ことごとく、ほとんどが失われている。幸いと言うか最悪にもと言うか、あれだけ探し求めていた賢者の石の力で。なんとかゼルガディスは生き残っている。だが、それさえもどれだけ保てると言うのか。
 ゼルガディスは、不条理にも似た怒りを感じていた。
 目前で行われる両者の力は互角。ただし、レゾは完全なる魔王として覚醒はしていないようであるし。ルナは、戦いを楽しむ様に手を抜いている。
 水竜王としての記憶のないルナは、残念な事に勇者ではない。
 では何かと問われれば、こう言うしかないだろう。
 ウェイトレスと。
「貴様……水竜王の片割れごときが!」
「完全ではない魔王ごときに、言われる覚えはないわ。
 そこのボーヤ。見ているのは構わないけど、授業料は高くつくわよ」
 ルナが示したのはゼルガディスの事だったが、返事をする事さえも出来ない。
 自分自身を守ることで、全力を放出し続けているのだ。
 憎しみが募るのを、感じないわけではない。
 自分で倒そうと思っていた相手の、その隠された姿を知って。あの時は諦めた感情は、あった。だけど、完全に消えたわけでもなかった。
 ただ、自分から手を出そうと思ったわけではなかったが。
「ふっ……」
 いつの間にか、ゼルガディスは笑っていた。
 この状況で笑うというのもおかしなものだが、別に精神に異常を来したとか言うわkではない。
「昔の人も言ったでしょ? ウワサをすると、ホントになっちゃうんだって」
 現在、この様になってしまった状況と言うのは。本当に、何気ない日常の一コマに過ぎなかったのだが。
 たまたま、レゾの立ち寄った村にルナがいた。
 実は、それだけでレゾの封印が解けかかっていたりする。
「事実は、小説よりも奇なり……と言うことか」
 現れないリナと、現れたルナと。
 起きてしまった現実と。
「だが……」
 ルナは勇者ではない。誰も守らないから。
 リナも勇者ではなかった。
 でも、リナは守った。
「ここで見捨てれば、俺はリナに会わせる顔がないな……」
 リナは、何かを守ろうとして動いたことはなかった。少なくとも、口では。
 けれど、リナは自分自身の利益以外で動くことができた。
 守ろうとはしなかったが、結局守った者と。
 守ろうとしない為に、広がる被害を放置して置く者との。
 違い。
「永久と無限をたゆたいし」
 結界を解く。
 だが、威力が多少あがっただけで。まだゼルガディスの体は耐えられる。
 生あるものを腐敗させる力と、魔なるものを浄化する力と。
 ある意味、ゼルガディスはどちらの力も受け止められるし。どちらの力からも影響を受ける。
 存在。
「すべての心の力の源よ」
 リナとガウリイとの出会いも、アメリアとの出会いも偶然だった。
 でも、それから先の旅は偶然ではない。
「尽きることなき蒼き炎よ」
 だけど、もし一人だけだったなら。
 リナと出会うことなく、ガウリイとアメリアだけだったなら。
 どうなっていただろう?
 少なくとも、今のゼルガディスではなかっただろうが。
 もう、想像すら出来ない。
「我が魂の内に眠りしその力」
 馬鹿な事だとは、判っている。
 世界を構成する力の、ぶつかり合うことでバランスを保つ力に。外部からの介入を果たす。
 それが、どれだけ愚かな事なのか。
「無限より来たりて裁きを今ここに」
 悪ければ、世界の崩壊。
 良くて、千年前の再来。
 かつて、降魔戦争によってえぐられた大地。
 唯一の救いは、カタート山脈の四方は。当の魔族によって結界で囲まれているはず。
 そのおかげで、外の世界に被害が及ぶことはないだろう。
 もし、今ある世界が魔竜王ガーヴの存在していた世界だと言うのならば。
「ラ・ティルト!」
 あの頃の自分ではないが。
 ゼルガディスは、薄れ行く意識の中で思った。
 さびしくはないが、皆。
 誉めてくれるだろうか?
          ◇
 二人が目覚めた時、それなりに驚いていた。
 状況を把握することさえ、時間がかかっていた。
 現実。
 今までのどこをどうとっても、すべてが本物としか思えなかった。
 真実。
 その証拠に、痛みも熱も、すべての肉体が記憶している。
「ゼルガディス……さん、ガウリイさん?」
 上半身を起き上がらせたアメリアが、不思議そうな顔でこちらを見ている。
「アメリアっ!?」
 では、今までの事は夢だったのか? 偽りだったとでも言うのか?
 なんて優しくてやわらかで。
 非道い夢。
「ガウリイ……?」
 アメリアの視線に誘われるように、ゼルガディスが体を起こして振り替える。
 その時点で、ようやく自分自身もアメリアも倒れていたのだと理解する。
「リナ……さん?」
 足場の感触は硬く、ここが岩場である事はわかる。
 ごつごつと隆起し、おまけに薄暗い。
 上座の中心には、金色の光を放つものがある。ただし、そちらを向いたまま立ち尽くすガウリイが邪魔をして何があるのかは見えない。
「リナ?」
 けれど、姿など見えなくても。アメリアにもゼルガディスにも判った。
 そこにあるのは、金色の光を放っているのは誰あろう。
 リナ=インバース。
 そのリナを挟むようにしてミルガズィアとゼロス。ゼロスの背後には、ゆらゆらとゆれて形の定まらぬ。不安定な状態の女が、闇に顔を包まれたままいる。
 故意か偶然かは別として。
「ある意味、その呼び名は正しいのかも知れませんが。厳密には違います」
「ゼロスっ!?」
 最初に気づくべきだった。
 この空間を取り囲む、異常な空気。
 竜族の長老と、高位魔族の顔色の悪さ。
 そして、ガウリイは黙して語らない。いや、微動だにしない。
 事実。
「この方は、リナさんではないリナさんですから」
 理由など判らないだろう。
 だが、アメリアは口を開いていたのだ。
 望まなくても。
 認めたくなくても、それさえも振り捨てて。
「どういう……事。ですか?」
 空中に、退治の様に丸くなり。ひざを抱えて眠っている様に見える。
 その瞳は閉じられているのに、全身から汗が噴き出る様な重圧。
 潰されそうな。
「まさか、リナが。再び『あの呪文』を唱えたとでも言うのか!?」
 空気の中で、走る緊張。
 禁断の呪文。決して、世界より生まれた者の触れてはならぬもの。
 ギガ・スレイブ……。
 すべての存在の源。混沌の海。
 呪文とは本来、存在より力を借り受けるものでなくてはならないのだが。この呪文だけは、この存在だけは違う。
 混じることなき意志にして、純粋なる力。
 力こそ本体。
 しかも、その力を呼び寄せるのに必要なのは、純粋なる心。願い。
 そして、とんでもない魔法容量。
 不完全版を唱えた時、リナは持てる力のほとんどを使い果たし。
 完全版を唱えた時、一度は死に。
 再生された。
「いや、娘は禁断の呪文を唱えてはいない」
 命をかける覚悟がなければ、呪文は唱えられない。発動もしない。
「では何故だっ!?」
 リナが高位魔族の呪文を用いて魔王の七分の一を倒して以来。
 リナを使って世界を混沌の海へ返そうとしたり、命を狙う輩はあった。
「あれは、あまりにも巨大な力」
 落ち着いた声で、ゼロスが言った。
「あまりにも強大すぎる力。それゆえ、人間に。例え、我々であっても使いこなす事など不可能な力」
 ミルガズィアの声も、落ち着いていた。
 否、諦めているとでも言うのだろうか?
「ですから、人間であるリナさんだけが。あの呪文を唱えることが出来るのです」
 魔族であるゼロスと、黄金竜であるミルガズィアと。
 両者が互いに説明をすると、普通は不思議に思うのだが。
 その中間に金色に輝くリナがあるためなのか。
 違和感はない。
「だが、一度ならず唱えた呪文は。本当に、完全に制御することは出来たのか?」
「答えから言えば、出来ませんでした。
 それどころか、リナさんを通して混沌の力が押し寄せて。この世界に侵食を初めてしまったのです」
 その状況は、レゾが魔王に乗っ取られた時と似ていた。
 魔王は、目の見えないレゾの悲しみから。世界に現れた。
 では、リナは?
 リナの望みは。何なのだろう?
「このまま放置しておけば、世界はいずれ。混沌の海に埋没する。
 避けたいところではあるが、この力場を作って安定させた」
「ゼロスさん……よく、協力する気になりましたね」
 アメリアの疑問は、至極当然だった。
 自分達に知らせなかったのは、まだいい。どうせ、リナがそうしろとでも言ったのだろうから。
 けれど、混沌の海に帰る事は。すべての魔族の、究極の願い。
 それを自ら破るなんて。
「冥王様なら、お喜びになったかも知れませんが。獣王様は違いますから。
 それに、幾ら何でも他の方々の力を借りるなんて。魔族にとっては他人を助ける以上に恥ずかしいことですから。
 それに、サード・オーダーの手も足も出せませんし。
 ね、ガウリイさん」
「結論から言え、ゼロス。
 リナは、どうなる?」
 ガウリイは、静かだった。


続く

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4461金色の巫女〜鳴動編・10E-mail URL9/12-00:52
記事番号4395へのコメント

金色の巫女〜鳴動編


          10


 ガウリイは動かなかった。
 まるで、彫像の様に。
「それを聴いて、どうなさるおつもりですか?
 リナさんを殺すとでも? まあ、無理ですけどね」
 ミルガズィアは動かない。動けないのかも知れない。
 ゼロスとか、そういった問題は別として。
 なぜなら、アメリアやゼルガディスですら。言葉には出来なく、何と言えばいいのか判らないのだ。
 何か、理由の見えない壁の様なものにでもはばまれている様な。
「ここまで来てしまうと、サード・オーダーの助力を持ってしても。リナさんを止められるかどうか……。怪しいものです」
 ゼロスの言うサード・オーダーの役割は、世界の「安定」であって。それ以上でもそれ以下でもない。だから、ガウリイの様にサード・オーダーによって選ばれた存在「創造者に逆らう者」を作り出すのみで。実際には、沢山の世界を支える柱の補強に過ぎない。
 だから、『力』はない。リナ達の世界ではない存在だから、戦いに出ることはないのだ。
「リナさんを、どうして殺せないんですか?」
 意外だったのは、この台詞がアメリアから発せられたところにある。
 アメリアは、結局は個人的な問題を避けたがる傾向がある。
 恐らく、それは「女」だからなのだろう。
「先ほども言いました通り。現在のリナさんは、すでに半分ほどリナさんではありません。
 『あの方』と同化していると言うか、『あの方』御自身となっておられるというか。
 まあ、人間でなくなっているのは確かですねえ。はっはっは」
 リナがいれば、すかさず得意の「ツッコミスリッパ」でぶっ飛ばしてくれたのに……。
 アメリアとゼルガディスが、そう考えたかは別として。
 ゼロスの中では、すでに目前にある少女はリナ=インバースではないと判断している様だった。無理もないが。
「やめておくがいい、人間」
 ノリの悪いゼロスとの、掛け合い漫才に夢中になっていたのなら。心底気づきたくなかったと言うことなのだろう。
 彫像の様に、微動だにしなかったガウリイが。ミルガズィアに行く手を阻まれていると言う事実に。
「どうして?」
 ガウリイの言葉は、きっと誰にもむけられてはいなかった。
 同じくらい、ガウリイの視線は、後ろ姿でも判るくらい誰も見ていなかった。
「あの時みたいです」
「あの時……か」
 疑問ではなかった。
 それは、単なる確認にすぎなかった。
 リナが死にそうになった時、ガウリイは常に焦っていた。
 無論ガウリイだけではなかったけれど。
「だが、俺達とて黙っているつもりはないぜ」
「勿論です!
 この世に闇と魔族と悪人がある限り、あたしの使命は終わらないわっ!」
 よく判らない台詞だが、聞き方を変えれば。まるでリナが諸悪の根元か何かの様である。
「ちなみに、あたしの使命は『リナさん達と正義を行う』事で。
 ポイントは、リナさんとガウリイさんと。ゼルガディスさんと、あたしと。誰が欠けていても駄目なんです!」
 両手に魔力を宿らせて、アメリアが真剣な面持ちをしている。
「ですが、実際問題としてはどうなさるおつもりなんですか?
 今のリナさんは、『あの方』の力を帯びていらっしゃいます。リナさん御自身の意志は別として、近くに寄ることも出来ませんよ?
 僕達だって、こうやって力場を作って安定させて。初めて、こうしてお側に控える事が出来るわけですしね」
「そんなの、胸に燃える正義の炎さえあれば。お茶の子さいさいです!」
「あ、アメリアさん……」
 かなり乱暴な台詞であるが。
 本人が本気で信じているのならば、それも有り得るのかも知れない。
「いや、ですから具体的にですね……」
「ゼロスさんだって、今すぐ魔族なんて職業を辞めて。まっとうな人間になって正義の炎を燃やせば、かんったんに出来ちゃいます!」
 ものすごく乱暴な台詞である。
「そー言われましても……。
 ほら、実際。僕が魔族だったから、利点だってあったじゃないですか」
「うっ……」
 確かに、ゼロスが高位魔族だったから得をしたと言うのは本当である。
「だが、損した事の方が確実に多いと思うのは俺だけか?」
 多少はげんなりとした様子で、ゼルガディスが口を挟む。
「そこは……ほら、僕は魔族ですし」
「理由になるかっ!」
「あ、やっぱり……」
 ゼロスにしては、珍しく口数が少な目ではあるが。
 問題が問題なだけに、仕方がない。
「娘に触れることは勿論、近づく事すら出来まい。
 ……幾ら、人間よ。お前達が努力しようとも、特別な力があるわけではない。
 苦痛でもあるのか、ミルガズィアは顔を歪ませている。
 だが、ガウリイが何かをしているとか言うわけではない。
 リナに近づこうとするガウリイを、庇うように止めていると言うだけであり。別に、何も変わったと言える所は見られない。
 否。
 リナを取り巻く光が、強くなった様な気がするのは。
 気のせいだろうか?
「サードなんとかだとか、あんた達の企み何だのは知らないさ。
 でも、こんな所にいたら。リナは、リナは本当に帰れなくなっちまう!」
「アメリアではないが……。
 俺も、案外気に入ってるんでな。こうして、普通ではない奴等と。極普通な顔をしながら、旅を続けるのも」
「ゼルガディスさん、まさかその『普通でない奴等』って。あたしも入ってるんですか?」
 ゼロスが、ため息を漏らした。
 あの、いつもしているニコニコの目のままで。
「仕方ないですね。
 まあ、止めても無駄だろうとは思っていましたけど。
 止めておいた方がいいですよ、ミルガズィアさん。疲れるだけですから」
「そういうわけにも行くまい。
 人間達になにかがあれば、娘も悲しむ。
 娘の本意がどうあれ」
 アメリアとゼルガディスは、理由が判った。
 生命を生み出せし、すべての母を繋ぎ止める忌むべき力。
 全てを滅ぼせし、すべての母を解放するための崇高なる力。
 その両方の力が合わさった時、神を打ち砕き。魔を滅ぼす力となる。
 そんな、とんでもない力を放出しているのも大問題だと言うのに。ましてや、外側から触れようと言うのだ。
 そんなの、自殺行為以外のなにものでもない。
「お前達ではないが、私も娘の事は結構気に入ってる。
 ……何のつもりだ?」
 ガウリイが一歩下がり戦闘態勢の構えに入っている。
 その姿には一部の隙もなく、同じ様にアメリアとゼルガディスも構え。いつでも呪文を発動出来る様に呟いている。
 恐らく、下手に動けば周りの状況とか。一切気にする事なく、戦いが始まることだろう。
 もっとも、竜の長老と高位魔族を相手に。手を抜いて戦える筈もないのだが。
「だったら、あんた達はリナをどうするつもりだ?
 このまま放っておいて、本当にリナは帰ってくるのか?
 それに、俺達をここへ呼んだのはリナだ。リナが俺達に助けを求めているから。俺達は、ここまで来れたんじゃないのか?」
 神の側にも、魔の側にも、
 実際の所、ガウリイの言う様に。具体的な案など何もなかった。ただ、神にとっては世界を守るために。魔族にとっては自分達の手で世界を滅するために利害が一致し。とりあえず、要求があるのならば聴いて。なるべく刺激を与えないようにするしかなかった。
 それ以外、打つ手はなかたのだ。
「プラム・ブレイザ−!」
「ブラスト・アッシュ!」
 アメリアとゼルガディスの放った術が、二人の高位生命体の思念によって拡散される。
「心外ですね。そんな術で、僕を倒せると思っているんですか?」
「思っていません」
 それが出来るのならば、千年前の悲劇は起きなかった。
「はぁっ!!」
「何を……っ!」
 アメリアの術は、周囲への目くらましを兼ねていた。発動する前にかき消されたが。
 そしてゼルガディスの術は、リナへと放たれた!?
 アレンジを加えられた力は、ゼルガディスの意志に従ってカーブを描き。そして、周囲へと拡散し。その一つがミルガズィアへと当たる。
 だが、意外な方向から来たと言う以外。威力の落ちた術などダメージにはならない。
「ガウリイっ!」
「今です!!」
「おうっ!」
 止める間もあればこそ。
 制止を振り切ったガウリイは、ミルガズィアを飛び越した。
          ◇
 ガウリイが動いた事で、アメリアとゼルガディスの視界には。
 リナの姿が網膜に映る。
 けれど、それは一瞬。すぐに、光の強さに瞳は焼かれて。
 色を失う。
 同じ筈なのに、ガウリイは。
「リナぁっ!」
だけど、差し伸ばす手の先には。リナがいると信じて。
 信じられるから伸ばされる。
 手。
「目を覚ませ、リナっ!」
 アメリアが思った事。
 リナとガウリイは、何も不思議も。疑問すらない相棒。
 でも、ゼルガディスもリナを好きなのではないか?
 そう感じたから、リナとガウリイをくっつけようと企んだこともある。
 浅ましい事だけど。
「お前のいるところは、そこじゃない!!」
 ゼルガディスが思った事。
 人生のパートナー。
 性別も年も、国も身分も何も問題にはならない。永遠なる相手。
 それと気づかず、だけど。背中を預けられる存在。
 すぐ側にあっても、望むことが出来ないのを体のせいにして。
 ずるい事だけど。
「目を」
 いつからだろう。
 忘れることが出来たのは。
「覚ませぇっ!」
 憎しみではなく、友愛を。
 悲しみではなく、信頼を。
 与えるだけでなく、与えられるだけでなく。
 与え合う事を知ったのは。
 子供のように。


続く

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4464金色の巫女〜鳴動編・11E-mail URL9/12-02:09
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金色の巫女〜鳴動編


          11


 そこが何と呼ばれ、どんな形をしているのか。
 それは体験しなくては判らない。
 そして、言葉へする事は。何者にも許されない。
 故に、今だけは仮の形を与え。そこにある者たちを示す事にしよう。
「リナ?」
 視界を占めるのは何なのか。
 流れる水に、墨を垂らせば。こんな感じなのかも知れない。
 ただ、それは光りの奔流となっているが。
「この場にありし者よ、何を望む?」
 ガウリイとは、少しの距離がある。
 そこに、少女は立っていた。
「リナ……じゃ、ないのか? お前さん」
 ガウリイの記憶している限り、リナ=インバースの肉体が発光することはない。
 リナの持つ「光」は、肉体に及ぼすものではないから。
「私は、かつて『リナ』と呼ばれていたもの」
 背筋に、冷やりとしたものを感じる。
「リナはどこだ?」
 努めて落ち着いた口調で、ガウリイが目前にいる「リナの姿をしたもの」に問い掛ける。
 近づく事は出来ない。
 足元にも、光の河が横たわっているから。飛び越す事も、踏み出すことも出来ない。
 いつものガウリイならば、こんな河を渡るのなんて訳ない事なのに。
 どういうわけなのか、渡る気がしない。
「ここに」
 リナが、自らの胸元に手をあてた。
 あの時。かつて訪れた「金色の魔王」は、同じしぐさで言った。
 だが、今とは少し。台詞が違う。
「お前さん、リナをどうするつもりなんだ?」
 ガウリイには、彼女が誰なのかと言う問題は。大した事ではなかった。
 それよりも、もっと重大な問題があったから。
「私は、私……は?」
 妙と言えば妙。おかしいと言えばおかしい状況で、これ以上おかしな事といえば。
 リナの瞳が虚ろだったと言う事だろうか?
 何かを捜し求めるようでもあるし、何も求めていない様でもある
「お前さんは、何を望んでいるんだ?」
 一瞬。
 リナの瞳に光が宿るのを、ガウリイは見逃さなかった。
「私は……!」
 熱く。激しく打ちのめす様な何か。
 恐らく、本人でさえ理解していないのだろうなにかが。リナの中で渦を巻き。
 そして。
「帰りたい」
 驚くほど。
 静かに。
 なぜか、とても静かにリナは言った。
 否。
「帰ろうぜ。皆、待ってる」
 それは、まだリナなのだろうか?
 それとも。
「待つ。何が?」
「えっと、アメリアにゼルだろ? それと……」
 しばし、ガウリイの動きが止まった。
 どれくらいかと問われれば、たっぷり三分くらいは止まっただろうか?
「あと、誰かいたっけ?」
 リナは無反応だった。
 腕を組んでまでガウリイは一心に考えたが、それ以上の人物名を思い出す事も出来なかったのだろう。
「とにかく、皆待ってるんだ。お前の事を」
「帰る。どこへ?」
 言って、リナが見上げた。
 そこは、周囲とおなじ。否、遥かに眩しく輝く奔流だけがあった。
 他には見えない。何一つ。
「元の世界に、決まってるだろうっ!?」
 ガウリイの声に、反応したのかも知れないが。それを示すものは何もなかった。
 でも、リナはゆっくりと。
 極ゆっくりと、見上げていた首を正面に。ガウリイへと視線を戻し、代わりに。右手の人差し指を頭上高く。天へとあげた。
「私はかつて、あそこから」
 言いながら、手を下ろす。
「ここへと墜とされた」
 目は、代わらずにガウリイを見据えている。
「そして多くの世界が『私』より生まれ、『私』を繋ぎ止める『楔』となった。
 だから、『私』は帰りたい」
「どこへっ!?」
 それは直感だった。反射的ですらあった。
 ゼロスでさえ、その顔を直視できぬリナの瞳を覗き込み。決して視線を逸らす事なく、聴き返すガウリイから。
 リナが視線を逸らす。
「どこへ……?」
 何か、深い考えがあったわけではない。
 ただ、どこからか聞こえる声に従っているだけで。
 サード・オーダーかも知れない。ミルガズィアかも知れないし、ゼロスからかも知れない。アメリアかも知れないし、ゼルガディスかも知れない。
 判っているから。
「どこへ、帰るんだ。どこへ帰りたいんだっ!?
 どうして……帰りたいんだ?」
 過去。
 それはリナを知らなかった時代。
 忘れることは、許されぬ現実。
「私の……?」
「あたし……?」
 重なり合い、一つの唇から。一つの声から。
 二つの言葉が紡がれる。
 現在。
 それはリナと出会えた幸運。そして不運。
 立ち止まらぬ事を、強制させられる真実。
「私が望むのは、永劫回帰。
 すべての終焉にして終局。『始まりへと帰る事』」
「あたしの望みは、元の自分。
 恐れも苦しみも、悲しみさえも知らない『誰よりもあたし自身である事』」
 重なり合う思いが同調して、リナ。有が、金色の魔王。無を呼び寄せ。
 金色の魔王。無が、リナ。有を引き寄せた。
 だから、どちらがどちらなのではない。
 リナは金色の魔王でもあるし、金色の魔王はリナでもあるのだ。
 それは、リナが「禁断の呪文」を使ったためなのかも知れない。だが、すでにどちらが先に呼んだのかとか。そんな事は関係ないのだ。
 全てはリナの姉。ルナ=インバースがディルス王国に伝わる文献と、リナを引き合わせたことから。
 全ては始まっていたのかも知れない。
 もしくは。
 リナが生まれた時から。
「私は」
 金色の魔王が、吠えた。
「あたしは」
 リナが、叫んだ。
 未来。
 それは、誰も知らないもの。
 知らないから作り出せるもの。
 神すらも手の届かない。
 アカシック・レコードのみ知り得る。
 事実。
「「帰りたい」」
 声が奇麗に、重なった。
 そして、消えるかと思われた。
 全ては。リナが消えるかと思われた瞬間。
「違う。本当のあたしっ!」
          ◇
 燃える様に輝く炎に。
 優しい流れを示す水。
 空を過ぎ行き語る風。
 生命を育む優しい大地。
「やれやれ、無茶をしますね。皆さん」
 何事もなかったような顔をしながら、風になぶられる髪を気にするでもなく。
 草の生えた地面に横たわる、四人の人間を眺めつつ。
 それでは機嫌はいいらしい。
「浮かない顔ですね、ミルガズィアさん」
 ミルガズィアは、どこか。渋面な表情を、隠そうとすらしない。
 それは仕方ないことだろう。
 この四人は、意図はどうあれ世界を滅ぼすところだったのだから。
「人間とは、もろく弱い存在であるが故に。この様な事をしてしまう。
 その先に何があるのかも、考え様ともせず……。
 だが、ゼロスよ。笑うか?」
 顔は浮かないままだったが、四人を見詰める瞳は。
 優しかった。
「何をです?」
 場を支える柱であり、その中心となるべき存在が消えた今。
 暗闇の空間が消え失せたわけだが、それは最初から判っている事だったので。あまり、残念そうな顔はしていない。
「私は時々、この人間達をうらやましく思うことすらある。
 力と言う点では、決して竜族すべての力を持ってしてもかなわぬ魔族。ゼロスよ。
 貴様相手に、対等に渡り合える人間の力を!」
 一瞬だけ、ゼロスはきょとんとした顔となり。
 次の瞬間には、すでにいつもの表情に戻っていた。
「なるほど。そう言えばそうですね。
 人間は、リナ=インバースは。決して立ち止まらない、立ち止まれないからこそリナさんでいられる。言い換えれば、そうでなくては。リナさんではなり得ない……。
 確かに、そういう点で言えば同感です。
 僕だって、リナさん達は気に入っていますからね」
 けれど、それは『命令がない』から。
 今、どれだけの言葉を駆使しても。ゼロスの上司である獣王から命令が下れば、ためらうことなくリナの命を狙うだろう。
 本意はどうあれ。
「それではミルガズィアさん、僕はそろそろ。
 獣王様も久しぶりの外出でお疲れでしょうしね」
 あの獣王ゼラス=メタリオムは幻だったのだろう。
 『すべての母』たる存在の為には、部下だけでは失礼にあたると思ったのかも知れない。
「会いたくは、ないものだがな……」
 ミルガズィアの呟きは、風に乗って消えた。
 判っていたから、声は重くなった。
 別に、ゼロスを相手に憎からず思っているわけではない。
 それでも、胸につのる悲しさに代わりはない。
 この様なことさえなければ、次に会うのは。
 決戦の時だから。


続く

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4480金色の巫女〜鳴動編・R.0E-mail URL9/12-15:13
記事番号4464へのコメント

金色の巫女〜鳴動編


          R.0


 はっきりと言おう。
 リナ=インバースは「怒って」いた。
 怒っている時の彼女に近づけば、ロクな目に合わないのを知っているアメリアとゼルガディスは、極力近づかない様にしている。
 賢明な判断といえるだろう。
 だが、世の中には判っていない存在と言うのも。まぎれもなく存在する。
「なんで怒ってるんだ? リナ」
 そう。天下無敵のくらげ頭くらいは。
 そして、人間は。状況的に気にしている事ほどツッコミを入れられると。
「怒ってないわよ!」
「肉にフォーク突き刺しながら、ものすごい形相で言われてもな……」


 ばきっ!


「あんまり妙なことを口走ると……」
 出たっ! 伝説にさえなりつつある、リナの必殺……。
「殴るわよ」
 ツッコミスリッパっ!!
「なぐってから言うなよ!」
「殴ってないわよぉ。スリッパでツッコミ入れたくらいで」
 顔は、これでもかとにこやかなのだが。はっきり言って、それが妙な相乗効果を生んで。更に怖い。
 が。その事実を告げられる、勇気ある者は。存在しなかった。
「とにかく! 一体全体、この二ヶ月あまりの記憶がないとゆーのは。どーゆうわけなのよぉっ!!
 おまけに、あたしのお財布の中身まで激減してるしっ!」
 彼等の記憶は一ヶ月あまり。リナの記憶に至っては、とことんあやふやだが二ヶ月ばかり混乱し。失われていた。
 つまり、リナのいなくなる前まで戻っていたわけで。
 リナは消えなかったし、ゼロスは現れなかったし。妙な幻は見なかったしと、何も変わらなかったし。何も起きなかった。だが、唯一。
 起こってしまった事は、変える事の出来ない現実。
「何かがあった様な、気はしますけど……」
「だが、なんで思い出せないのかっ!」
 ここは、この物語の始まり。
 街道の外れにある宿場町。
 だけど、彼等にしてみれば一ヶ月以上もたっているのだから。店の中や、宿泊客とかが様変わりしているわけだし、いつもならば。リナ達だとてそれ以上を気にする事はなかったかも知れないが。
 その店の期間限定特別メニュー。
 幻のクイーン・ロマール・エビ(時価)が。あと一週間はあったはずの期間が終わっていた。
 それで、リナが怒らないわけはない。
「こーゆー、わっけの判らない事には。大体ゼロスがからんでいるはずだけど……。
 判ってるわよ、ゼル。わざわざ探したりしないから……」
 ゼルガディスの目があやしかったので、リナは先にフォローしておいた。
 ただでさえ人間不信なゼルガディスは、本当に。
 ゼロスを嫌っていた。
 ただ、それを必要以上に露骨にしないのは。
 勝てないから。
「でも、本当に。ゼロスさんでも誰でもいいですから、確かめた方が良くないですか?」
「うーん……」
 ふとリナが気づくと、ガウリイが朝食セットの最後の一口を口に入れながらうなっていた。
「どしたの、ガウリイ。珍しく考え事してるように見える格好なんてしちゃって」
 ゼルガディスとアメリアが、ついうなずいてしまったのは言うまでもない。
「ガウリイが考え事とは……今日は雪でも降るか?」
「百億年に一度、あるかないかですもんね」
「そんなに生きてないって……」
 正面から反論もせず、力無く言葉をもらすガウリイ。
「ただ、さっきリナになぐ……じゃない。スリッパで叩かれたろ?」
 どうやら、リナの瞳を恐れたようである。
「何か、夢を見たような気がするんだ。
 すごく遠くて近くて、あったかくて冷たくて、優しいんだけどひどくて。
 だけど、絶対にそこまで行かないといけない。そんな気がしたんだ」
 遠くに視線を投げて、まるで。昔を懐かしむような瞳で。
「あ、あたしもみましたっ!
 同じかはわかりませんけど、絶対に負けられないって思いました。
 きっとあれは、正義と愛と真実の星……」
「何にしても、お前なら消えた財布の中身くらい。すぐに倍にできるだろうし、なくなった記憶は……。
 思い出せないなら、その程度だったと思うしかないだろう」
「聞いてくださいよぉ、人の話」
 しかし、いちいちちまちまとアメリアにつきあっていれば際限など。全く意味をなさないことを知っている以上、ゼルガディスがアメリアの台詞につきあってなどくれるわけはなかったりした。
「ゼルは? みなかったの?」
 一瞬の間があってから。
 ゼルガディスはそっぽを向いてしまったわけなのだが、リナは。
 満足そうだった。
「そっか……」
 今の動作だけで、一体どれだけのやりとりがあったのかは判らない。
 恐らく、本人達でさえ言葉には出来ないほどのやりとりだったのだろう。
「そう言うリナさんは、みなかったんですか? 夢」
「あたしなら見たわよ」
 どうやら、機嫌の方はうまく治まったと言うよりも。本当は本気で怒ってなどいなかったのかも知れないが。
「すっごく大変で、すっごく疲れて。
 時々、『なんであたし、こんな事してるのかな』って考える事も。まあ……あった事はあったんだけど。
 だけど、大切だって思えたの。楽しかったしね。
 ずっと、あのまま行けたら。その先に何かがあるんだろうって思って。
 行きたい。とは、思ったんだけど……」
「行かなかったのか?」
 驚きを交えた声が、ガウリイから聞こえた。
「まあ、行こうとはしたんだけど。そうしたら、こうして大変でも。楽しいことが、無くなるかも知れないって思うと。ちょっと……正直、怖くてさ。その先にあるのが、どこぞのパツキン姉ちゃんかも知れないって思ったし。なんでかな?」
 言葉として口を紡ぐことさえ、高位魔族にも許されぬ事を。
 あっさりと口にするのを、許されるのは。
 確かに、リナだけかも知れない。
「ちょっと……笑えないかも」
 行き着く先が、どこぞのパツキン姉ちゃんだとしたら。
 一部の男性諸兄を除けば、確かに笑えない。
「それに、もうちょっと……。あと、少しくらいは今のままで。楽しみたい様な気もしたし」
 誰かは気づいたかも知れないが。リナは、視線をくるくると変えていた。
 こういうときのリナは、照れていたりする。
「あとね、その……なんて言えばいいのかな。
 向こう側から、『まだ早い』って言われた気がしたのよ」
 それが誰なのか、リナにとってはどうでもよかった。
 それはきっと、立ち止まろうとするべきところで待つ者。存在。
 リナ=インバースであろうとするなら、立ち止まってはいけない。
 だけど、いつか立ち止まる時はくる。
 でも、それは今ではない。
「じゃ、ごはんも食べ終わったし。行きましょうか」
 フォークとナイフを置いて、リナが席を立った。
「次はどこに行くつもりなんだ? リナ」
 いつもの様にいつものごとく。いつもと同じ、日溜まりの様な笑顔をしてガウリイが尋ねた。
「せっかくですから、遊びに行きたいですよね。ゼルガディスさん」
 アメリアが笑った。
「あのな……」
 困った様な顔ではあったが、それでも。怒ってはいないようなゼルガディスだった。
「そんなの、わかんないわよ」
 脳天気な面々の顔を見て、リナは呆れながら言った。
「判ってるのは、あたしの行くところには道なんてないし。あたしの通り過ぎたところにだけ、道が出来るって事で。
 まずは、盗賊団のお宝をいただきにいくわよっ!」
          ◇
 はるかな未来。
 それは、誰も知らない時。
 多くの魔族をうち倒し続けた、一人の少女があった。
 彼女は、あらゆる面において規格をはずれ。およそ、世界を救うようには見えず。
 行動も、結果も。とんでもないものではあったが。
 それでも、多くの者が彼女に惹きつけられたと言う。
 人界においては、盗賊キラー。ドラまた。生きとし生きる者の天敵。魔をうち倒す者などと、数々の異名を受け。また、魔界においても。魔族の天敵。金色の魔王がバックについた女など、多くの異名を受けているのだが。
 誰が言い出したのかは判らない。だが、密かに語り継がれて来た名。
 それは。
 金色の巫女。


第一部・鳴動編終了

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4466Re:金色の巫女〜鳴動編・10ぱむ E-mail 9/12-06:02
記事番号4461へのコメント
こんにちは。はじめまして。ぱむと申します。
Mさまの小説、読ませていただきました。
本当は、話の途中に(それもクライマックスに近い所で)新参者が書き込んで良い
のか悩んだんですが、どうしても我慢出来なくなったので書かせていただきます。
かなり取り留めの無い文章になると思いますが、ご笑読いただければ幸いです。

0章からの感想も入ります。

まず最初に、三つの質問。
・リナ=インバースを知っていますか?
・リナ=インバースをどう思っていますか?
・リナ=インバースと出会ったことを後悔してますか?

・・・最初に読んだ時、考えさせられました。
ガウリィやゼル、アメリアとしての見方ではなく、スレイヤーズファンとして。
始めは読者に対する問いかけかとも思いました。もっとも文章の後の方で、主人公
達に対する問いかけだと判りましたけど。
でも・・・スレイヤーズを、リナ=インバースを知って人生変わったという方は(私を
含めて)かなりドキッとする質問だったと思います。

(夢の中での)質問に対する、(翌朝の)三人の反応。
・ガウリィ=ガブリエフ:怒り
・ゼルガディス=グレイワーズ:不機嫌
・アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン:元気消失

問題はメンバーが「正直」に答えたかどうか・・・ですね(苦笑)
朝のみんなの反応を見る限り、全員が心の一面で・・・もしくは仮面で答えたような気がします。アメリアの反応が照れ隠し、とは違うように思えたんで。
さらに『夢の中の女』が、その答えに『笑って』『消えていった』という所。
Mさま、お得意の、意味深な表現で・・・どう『笑って』たんでしょうか?(冷汗)

そして、全員がリナを追いかけ、ドラゴンズ・ピークへ。
そこでそれぞれが・・・リナの存在しない過去と向き合うことになって・・・。
アメリアは、カンヅェルとの戦いで。
ゼルは、ルナ=インバースとレゾとの戦いで。
自分の出来ることに全力を尽くして、力尽き・・・そして、リナの前で意識を戻す。

最大の問題はここですっ!ガウリィはどんな過去を体験したのか?(笑)
リナと会えなかったガウリィ。かなり恐い存在だと思います。
見てみたいような、見たくないような・・・(汗)
それと、この体験は、L様かリナの仕掛けたテストみたいなものですか?
すべき事を成した者だけが対面を許されるような。
あ、でも、ゼロスが皆に同行することを固く禁じたことから、ゼラス様の仕掛けかもしれない・・・どうでしょう?

>「目を覚ませ、リナっ!」
>「お前のいるところは、そこじゃない!!」

これですっ!NEXTラストを彷彿とさせる、このセリフっ!これでこそガウリィっ!
続きの一言『俺のそばだ』も欲しいですね(はーと)

> 憎しみではなく、友愛を。
> 悲しみではなく、信頼を。
> 与えるだけでなく、与えられるだけでなく。
> 与え合う事を知ったのは。
> 子供のように。

これを読んだ時、涙出ました。本当に。
仲間って、こうなんだと。
リナ=インバースがいたから判ったこと、知れたことがあるんだと。
今なら、皆さん、最初の質問にどう答えるんでしょうか(笑)
そして、仲良し4人組(−1人)が三つの質問にちゃんと答えたら、今度はリナが
答える番ですね(笑)


思ってた通り、かなり取り留めない文章になってしまいました。
最後になりましたが、Mさまの文章、すごく好きです。
基本的に原作を元に書いてらっしゃるようですね(違ってたらゴメンなさい)
読み進めて、謎が把握出来た時の心の中の欠けた部分にすっと納まるような感覚
や、きめ細かい感情表現で思わず笑ったり涙が出てくる所が好きです。
これからは(ご迷惑でなければ)こまめに感想を入れたいと思ってます。
では、また。

p.s.リナが招待を受けた理由なんですけど、文章ですでに発表されてる
んですか?過去ログとか見ても、見つからないんです。よければ、
教えて下さい。




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4479Re:金色の巫女〜鳴動編・10E-mail URL9/12-15:12
記事番号4466へのコメント
ぱむさんは No.4466「Re:金色の巫女〜鳴動編・10」で書きました。
>こんにちは。はじめまして。ぱむと申します。
はじめまして!ありがとうございます!(しゅた!)

>Mさまの小説、読ませていただきました。
にゃにゃにゃ(=^^=)<照れているらしい

>本当は、話の途中に(それもクライマックスに近い所で)新参者が書き込んで良い
>のか悩んだんですが、どうしても我慢出来なくなったので書かせていただきます。
わあ、とっても嬉しいです。
ありがとうございますう♪

>かなり取り留めの無い文章になると思いますが、ご笑読いただければ幸いです。
はい!頑張って読ませていただきます!(なぜ?・笑)
>
>0章からの感想も入ります。
>
>まず最初に、三つの質問。
>
>・・・最初に読んだ時、考えさせられました。
>ガウリィやゼル、アメリアとしての見方ではなく、スレイヤーズファンとして。
>始めは読者に対する問いかけかとも思いました。もっとも文章の後の方で、主人公
>達に対する問いかけだと判りましたけど。
>でも・・・スレイヤーズを、リナ=インバースを知って人生変わったという方は(私を
>含めて)かなりドキッとする質問だったと思います。
これは、ですね。
実は、これを読む読まないは別としまして。
全ての、スレイヤーズと出会った方々に考えていただきたくなったんです。
自分自身の中から出た後で、急に。皆さんにも考えていただけたら嬉しいなって。
勿論、我らが神坂おとーさんにも(って、そしたら読まれてしまうのかぁ!?<馬鹿)

>
>(夢の中での)質問に対する、(翌朝の)三人の反応。
>・ガウリィ=ガブリエフ:怒り
>・ゼルガディス=グレイワーズ:不機嫌
>・アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン:元気消失
ふむふむ。
そーいやあ、確かに。そんな反応でしたね<おひ(^^;
>
>問題はメンバーが「正直」に答えたかどうか・・・ですね(苦笑)
>朝のみんなの反応を見る限り、全員が心の一面で・・・もしくは仮面で答えたような気がします。アメリアの反応が照れ隠し、とは違うように思えたんで。
>さらに『夢の中の女』が、その答えに『笑って』『消えていった』という所。
>Mさま、お得意の、意味深な表現で・・・どう『笑って』たんでしょうか?(冷汗)
えへ(はあと)<って、なんだよ。
彼らが、一体どんな返事を返したのか。それは、彼らと神様しか知らなくて良いことではないかなー?と思います。
けど、少なくとも「なんでだろう?」と彼らが考えた事は確かでしょうね。
彼女が何者だとしても、それこそ彼らとリナの問題であって。第三者に言われる覚えはないぞーって(苦笑)
>
>そして、全員がリナを追いかけ、ドラゴンズ・ピークへ。
>
>最大の問題はここですっ!ガウリィはどんな過去を体験したのか?(笑)
>リナと会えなかったガウリィ。かなり恐い存在だと思います。
>見てみたいような、見たくないような・・・(汗)
ええ、そりゃあ見てみたいくらい見たくないくらい怖いです。
どれくらい怖いかなんて。。。
どがばきぐしゃげこめぴぃるきゅるるぅ〜・・・・・・・・・。
ぴー!
しすてむニ重大ナえらーガ発生シマシタ。
再ふぉーまっとシマス。
・・・・・・・がたがたがたがた<謎
再ふぉーまっと終了。再起動シマス。

はっ、何があったんだろう?(汗)

>それと、この体験は、L様かリナの仕掛けたテストみたいなものですか?
え?そうなんですか?
(え?あんたが書いたんでしょ!?by.ろいやる2のCM風)

>すべき事を成した者だけが対面を許されるような。
ある意味においては、そうかも知れません。
あるはずのない、もしかしたら出会うことのない過去。
その時、一体。どんな反応をすれば良いのか?
更に、結果が分かっている未来だとしても。彼らがどんな風に動いても、未来は変わらないのか?と。
そう思ったのかも知れません。(苦笑)

>あ、でも、ゼロスが皆に同行することを固く禁じたことから、ゼラス様の仕掛けかもしれない・・・どうでしょう?
はい、これにはちゃんと理由があります。
あの空間と言うのは、時間も場所もスレイヤーズの。つまり、普段リナ達のいる空間(仮に幹とします)とは、構造も違う部分なんです。(仮に枝とします)
で、幹の世界と言うのは。物理力が基本ベースとなっている為に、魔族を除けば。人は意識だけで人や動物と言ったものを壊したりする事は出来ません。
しかし、枝の世界は精神世界により近く基本ベースが作られているので。下級の魔族くらいなら、簡単に「世界」に取り込まれてしまうのです。
ゼロスでも、もしかしたら危ないかも知れません。
だから、枝の世界でのアメリアもゼルガディスも。結構気弱になっていたんですね。
その代わり、立ち直った二人は。かなり強くなりましたけど☆
え?そーは見えない?(汗)<未熟者(笑)
>
>>「目を覚ませ、リナっ!」
>>「お前のいるところは、そこじゃない!!」
>
>これですっ!NEXTラストを彷彿とさせる、このセリフっ!これでこそガウリィっ!
>続きの一言『俺のそばだ』も欲しいですね(はーと)
照れちゃって、書けなかったんです(^^;
>
>> 憎しみではなく、友愛を。
>> 悲しみではなく、信頼を。
>> 与えるだけでなく、与えられるだけでなく。
>> 与え合う事を知ったのは。
>> 子供のように。
>
>これを読んだ時、涙出ました。本当に。
泣かないでぇ〜(汗汗汗)

>仲間って、こうなんだと。
>リナ=インバースがいたから判ったこと、知れたことがあるんだと。
>今なら、皆さん、最初の質問にどう答えるんでしょうか(笑)
さあて?
何しろ、皆さん素直で素直じゃないですから(笑)

>そして、仲良し4人組(−1人)が三つの質問にちゃんと答えたら、今度はリナが
>答える番ですね(笑)
ですね(^^)
>
>
>思ってた通り、かなり取り留めない文章になってしまいました。
そんな事ないです。嬉しいですぅ♪

>最後になりましたが、Mさまの文章、すごく好きです。
・・・・・・・・・・・・わぁぁぁぁぁぁぁっ!!!どたばたどたばたどたばた×2
どたばたどたばたどたばた×2・・・・・・・・・・・うわぁぁぁぁぁ!!
ぜいぜい・・・あんまり照れたので、ジョギングしてきました(笑)

>基本的に原作を元に書いてらっしゃるようですね(違ってたらゴメンなさい)
そうですね。ベースは原作だと思います。
あんまり気にしてないんですけど、アメリアがリナを「リナさん」て呼ぶ所とか。ゼルの名前を「ゼルガディス=グレイワーズ」とは書かない所とか。
まあ、細かい所は「ないしょ・な・の(はあと)」って事で(殴)

>読み進めて、謎が把握出来た時の心の中の欠けた部分にすっと納まるような感覚
>や、きめ細かい感情表現で思わず笑ったり涙が出てくる所が好きです。
>これからは(ご迷惑でなければ)こまめに感想を入れたいと思ってます。
>では、また。
ありがとうございます。
精進して行きたいと思います。
ただ、この話はとっても長いので。もしかしたら、第一部と番外編だけで。こちらに掲載するのはやめるかも知れません。
ご希望があれば考えますけど。女性限定で(笑)
>
> p.s.リナが招待を受けた理由なんですけど、文章ですでに発表されてる
> んですか?過去ログとか見ても、見つからないんです。よければ、
> 教えて下さい。
はい、これは、実はちゃーんと文章とはなっているんです。
ただ、こちらにはまだ掲載されてないだけで(^^;
2.3人の方からご希望がありましたので、これも掲載させていただくつもりです。
タイトルは「金色の巫女〜傍観編」です。
と、その前に鳴動編もあと一つ残ってますね。
おつきあいくださいませ♪

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4524金色の巫女〜鳴動編、感想っ!ぱむ E-mail 9/14-00:24
記事番号4479へのコメント
こんにちはっ!Mさまっ!ぱむです。
レス、ありがとうございましたっ!
前回は変な所にレス、つけてしまってすみません。
・・・ISDNさえつけてれば、返信に5時間もかかるなんてことには
為らなかったのに(しくしく)

まずは、『金色の巫女〜鳴動編』完結、おめでとうございますっ!
最初に0章がUPされてから幾星霜(大袈裟)待っていたかいがありました。
今、頭から読み直してじーんと感銘に浸ってます。

細かい感想はまた後程、書かせていただきます。まずはレス返しから。

>これは、ですね。
>全ての、スレイヤーズと出会った方々に考えていただきたくなったんです。
>自分自身の中から出た後で、急に。皆さんにも考えていただけたら嬉しいなって。

はいっ!考えさせていただきましたっ!私の答えは・・・
@とーぜん、知ってますっ!
A(ちょっと恥ずかしいんですけど)太陽のような人だと。・・・真夏の情け容赦無く照り付ける日差しの厳しさや、冬の心暖まる日だまりの優しさを併せ持ち、己が内に黒点を持ちながらもそれを感じさせないだけの輝きを放つ人。下手に見つめ続けると目がやられてしまうのは判ってるんですけどね(苦笑)
B後悔だなんて、とんでもないっ!彼女のおかげで今の(前向きな)自分がいるのに。もう、以前の自分のように後ろ向きな生き方は出来ません。・・・まあ確かに、出会わなければもう少し時間とお金に余裕があったかもしれないですけど・・・(苦笑)

とりあえずこんな所ですね。彼女について語ったら、それこそ一日かけても終わらない気がします(爆)
ところで、こんな個人的なこと私が書いてもいいんでしょうか・・・?

>けど、少なくとも「なんでだろう?」と彼らが考えた事は確かでしょうね。
>彼女が何者だとしても、それこそ彼らとリナの問題であって。第三者に言われる
>覚えはないぞーって(苦笑)

それもそうですね(笑)特にゼル、ガウリィは(爆笑)

>>それと、この体験は、L様かリナの仕掛けたテストみたいなものですか?
>え?そうなんですか?
>(え?あんたが書いたんでしょ!?by.ろいやる2のCM風)

え?違うんですか?

>更に、結果が分かっている未来だとしても。彼らがどんな風に動いても、
>未来は変わらないのか?と。そう思ったのかも知れません。(苦笑)

それは『絶望』へと続く考えですね。
もしも、アカシック・レコードが存在したら・・・。
人は未来を信じることも、出来なくなります。
でも・・・リナがいたならこう言ったと思います。
『未来は変わらないと思うものじゃない。変えていくものよっ!』・・・と。

>で、幹の世界と言うのは。物理力が基本ベースとなっている為に、魔族を除けば。>人は意識だけで人や動物と言ったものを壊したりする事は出来ません。
>しかし、枝の世界は精神世界により近く基本ベースが作られているので。
>下級の魔族くらいなら、簡単に「世界」に取り込まれてしまうのです。

ぽんっ!(手を打つ音)なーるほど。
・・・って、もしかしたら『あの世界』では根性さえあれば、
意識だけでなにか出来たりするんですね。・・・楽しい世界かも・・・。

>もしかしたら、第一部と番外編だけで。
>こちらに掲載するのはやめるかも知れません。
>ご希望があれば考えますけど。女性限定で(笑)

わーーーーっ!!!
希望しますっ!!!お願いですっ!!!止めないでっ!!!(泣)
(私、一応、女性ですっ。条件満たしてますよねっ)
ここで止められたら、蛇の生殺し状態ですっ!

>2.3人の方からご希望がありましたので、これも掲載させていただく
>つもりです。タイトルは「金色の巫女〜傍観編」です。

ありがとうごさいます♪
さっそくレスいれさせていただきます。

ここから『鳴動編。11章、R.0章』の感想。入れさせていただきます。

>「私が望むのは、永劫回帰。
> すべての終焉にして終局。『始まりへと帰る事』」
>「あたしの望みは、元の自分。
> 恐れも苦しみも、悲しみさえも知らない『誰よりもあたし自身である事』」

ここを読んだ時・・・悲しかったですね。
リナが『元の自分』に『逃げようとして』いる。そのことが。
確かに、『世界を左右する力』は、まだ18才のリナにとって限りなく重いです。
いえ、18という年齢に関わらず、誰に取っても重いはず。
『責任』『義務』
力を行使する『権利』に必ず付随してくるもの。『権利』以上に重いもの。
でも、リナには逃げて欲しくはなかったです。
なによりも彼女自身が『生きてきた証』である『力』なのだから。
・・・たとえガウリィに裏切られたと思い込んだとしても。
ところで今回の事件の、ある意味元凶であるガウリィはこの言葉を
悲しいと思っている余裕はあったのでしょうか?

>「違う。本当のあたしっ!」

結果的にリナはリナでした。
自力で『元の自分』ではなく『本当のあたし』を選び取りました。
我に返った、切っ掛けが何であったかは判りませんけど・・・。

>「僕だって、リナさん達は気に入っていますからね」
ゼーロースー(怒)あんた、10章で言った
>「まあ、人間でなくなっているのは確かですねえ。はっはっは」
という笑い混じりの言葉の後でそんなこと言うかっ!(激怒)

>「何か、夢を見たような気がするんだ。
> すごく遠くて近くて、あったかくて冷たくて、優しいんだけどひどくて。
> だけど、絶対にそこまで行かないといけない。そんな気がしたんだ」

ガウリィ。夢の中身、それなりに覚えてるんじゃないですか?(笑)
もうすっかり韜晦するのがうまくなっちゃって・・・。
もう少し、語彙を増やせば立派なポエマーになれますね、このお兄さん(笑)

>「同じかはわかりませんけど、絶対に負けられないって思いました。
> きっとあれは、正義と愛と真実の星……」

アメリア。強くなりましたね。
まあ、最後に『正義と愛と真実』とつけるあたりが『らしい』ですけど(苦笑)

>一瞬の間があってから。
>ゼルガディスはそっぽを向いてしまったわけなのだが。

もう、まったく照れ屋さんの恥ずかしがり屋さんなんだからっ(爆笑)

>「まあ、行こうとはしたんだけど。そうしたら、こうして大変でも。楽しいこと
>が、無くなるかも知れないって思うと。ちょっと……正直、怖くてさ」

リナ。随分、素直になりましたね。
『怖い』という言葉を言える。それは皆に対する信頼の証なんでしょう。
皆がリナのいない時に掴んだ想い。友愛を信頼を与え合うこと。
それをリナも感じたんでしょうか。

>「判ってるのは、あたしの行くところには道なんてないし。
>あたしの通り過ぎたところにだけ、道が出来るって事で」

ラストはやはり、リナの前向き120%のこのセリフでしょう。
これがなければスレイヤーズじゃないですよね(笑)

『リナのいない世界』
shinri様へのレスで、Mさまがこの話をメインをそうおっしゃっていました。
でも、リナがたとえいなくなったとしても、リナのことを一度知ってしまった
人間(含む、魔族、竜族、神族 etc)は間違いなくその影響を受けています。
その場にリナがいてもいなくても、もう知らなかった頃には戻れない。
そう思います。

残像が残るんですよね。鮮やかな輝きを見た後には。
私にとってリナ=インバースとはそんな存在なんだと、再確認しました。
最初の三つの質問。他の方々の答えも聞いてみたいですね(笑)

前回にも増して、取り留めない駄文になってしまいました。読んでいただけたら幸いです。更に言えば・・・長いですね、これ(苦笑)次回から気をつけたいです(泣)
最後になりましたが、Mさま。
こんな良い小説を読ませていただきまして本当にありがとうございました。
番外編、UP、楽しみにしています。では、また。

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4631Re:金色の巫女〜鳴動編、感想っ!E-mail URL9/17-01:50
記事番号4524へのコメント
ぱむさんは No.4524「金色の巫女〜鳴動編、感想っ!」で書きました。
>こんにちはっ!Mさまっ!ぱむです。
>レス、ありがとうございましたっ!
>前回は変な所にレス、つけてしまってすみません。
>・・・ISDNさえつけてれば、返信に5時間もかかるなんてことには
>為らなかったのに(しくしく)
>
>まずは、『金色の巫女〜鳴動編』完結、おめでとうございますっ!
>最初に0章がUPされてから幾星霜(大袈裟)待っていたかいがありました。
>今、頭から読み直してじーんと感銘に浸ってます。
>
>細かい感想はまた後程、書かせていただきます。まずはレス返しから。
>
>>これは、ですね。
>>全ての、スレイヤーズと出会った方々に考えていただきたくなったんです。
>>自分自身の中から出た後で、急に。皆さんにも考えていただけたら嬉しいなって。
>
>はいっ!考えさせていただきましたっ!私の答えは・・・
>@とーぜん、知ってますっ!
>A(ちょっと恥ずかしいんですけど)太陽のような人だと。・・・真夏の情け容赦無く照り付ける日差しの厳しさや、冬の心暖まる日だまりの優しさを併せ持ち、己が内に黒点を持ちながらもそれを感じさせないだけの輝きを放つ人。下手に見つめ続けると目がやられてしまうのは判ってるんですけどね(苦笑)
>B後悔だなんて、とんでもないっ!彼女のおかげで今の(前向きな)自分がいるのに。もう、以前の自分のように後ろ向きな生き方は出来ません。・・・まあ確かに、出会わなければもう少し時間とお金に余裕があったかもしれないですけど・・・(苦笑)
>
>とりあえずこんな所ですね。彼女について語ったら、それこそ一日かけても終わらない気がします(爆)
>ところで、こんな個人的なこと私が書いてもいいんでしょうか・・・?
>
>>けど、少なくとも「なんでだろう?」と彼らが考えた事は確かでしょうね。
>>彼女が何者だとしても、それこそ彼らとリナの問題であって。第三者に言われる
>>覚えはないぞーって(苦笑)
>
>それもそうですね(笑)特にゼル、ガウリィは(爆笑)
>
>>>それと、この体験は、L様かリナの仕掛けたテストみたいなものですか?
>>え?そうなんですか?
>>(え?あんたが書いたんでしょ!?by.ろいやる2のCM風)
>
>え?違うんですか?
>
>>更に、結果が分かっている未来だとしても。彼らがどんな風に動いても、
>>未来は変わらないのか?と。そう思ったのかも知れません。(苦笑)
>
>それは『絶望』へと続く考えですね。
>もしも、アカシック・レコードが存在したら・・・。
>人は未来を信じることも、出来なくなります。
>でも・・・リナがいたならこう言ったと思います。
>『未来は変わらないと思うものじゃない。変えていくものよっ!』・・・と。
>
>>で、幹の世界と言うのは。物理力が基本ベースとなっている為に、魔族を除けば。>人は意識だけで人や動物と言ったものを壊したりする事は出来ません。
>>しかし、枝の世界は精神世界により近く基本ベースが作られているので。
>>下級の魔族くらいなら、簡単に「世界」に取り込まれてしまうのです。
>
>ぽんっ!(手を打つ音)なーるほど。
>・・・って、もしかしたら『あの世界』では根性さえあれば、
>意識だけでなにか出来たりするんですね。・・・楽しい世界かも・・・。
>
>>もしかしたら、第一部と番外編だけで。
>>こちらに掲載するのはやめるかも知れません。
>>ご希望があれば考えますけど。女性限定で(笑)
>
>わーーーーっ!!!
>希望しますっ!!!お願いですっ!!!止めないでっ!!!(泣)
>(私、一応、女性ですっ。条件満たしてますよねっ)
>ここで止められたら、蛇の生殺し状態ですっ!
>
>>2.3人の方からご希望がありましたので、これも掲載させていただく
>>つもりです。タイトルは「金色の巫女〜傍観編」です。
>
>ありがとうごさいます♪
>さっそくレスいれさせていただきます。
>
>ここから『鳴動編。11章、R.0章』の感想。入れさせていただきます。
>
>>「私が望むのは、永劫回帰。
>> すべての終焉にして終局。『始まりへと帰る事』」
>>「あたしの望みは、元の自分。
>> 恐れも苦しみも、悲しみさえも知らない『誰よりもあたし自身である事』」
>
>ここを読んだ時・・・悲しかったですね。
>リナが『元の自分』に『逃げようとして』いる。そのことが。
>確かに、『世界を左右する力』は、まだ18才のリナにとって限りなく重いです。
>いえ、18という年齢に関わらず、誰に取っても重いはず。
>『責任』『義務』
>力を行使する『権利』に必ず付随してくるもの。『権利』以上に重いもの。
>でも、リナには逃げて欲しくはなかったです。
>なによりも彼女自身が『生きてきた証』である『力』なのだから。
>・・・たとえガウリィに裏切られたと思い込んだとしても。
>ところで今回の事件の、ある意味元凶であるガウリィはこの言葉を
>悲しいと思っている余裕はあったのでしょうか?
>
>>「違う。本当のあたしっ!」
>
>結果的にリナはリナでした。
>自力で『元の自分』ではなく『本当のあたし』を選び取りました。
>我に返った、切っ掛けが何であったかは判りませんけど・・・。
それはですねえ・・・。
内緒(はあと)って言いたい所ですが。
リナを作り上げたのは、リナだけでも故郷の人達だけではないと言う事。
リナ=インバースは、誰よりもリナ=インバースでなくてはならない。
それが、彼女の生きてきた。何よりの証だと思いますねえ。
ええと・・・だからつまり・・・・・・。
リナは、一人じゃないんです。
>
>>「僕だって、リナさん達は気に入っていますからね」
>ゼーロースー(怒)あんた、10章で言った
>>「まあ、人間でなくなっているのは確かですねえ。はっはっは」
>という笑い混じりの言葉の後でそんなこと言うかっ!(激怒)
ほらぁ〜、お役所仕事ですしぃ〜♪
命令がない限りは、結構リナを気に入ってるんですよ。ゼロスだって・・・多分。
>
>>ガウリイ
>
>ガウリィ。夢の中身、それなりに覚えてるんじゃないですか?(笑)
>もうすっかり韜晦するのがうまくなっちゃって・・・。
とーかい・・・包みくらますこと・・・。
っつーか、本能かもしんない・・・(笑)
>もう少し、語彙を増やせば立派なポエマーになれますね、このお兄さん(笑)
はうっ!(><)<前にも言われた
ぽ・・・ぽえまーっすか・・・(かっとう)
>
>>「同じかはわかりませんけど、絶対に負けられないって思いました。
>> きっとあれは、正義と愛と真実の星……」
>
>アメリア。強くなりましたね。
>まあ、最後に『正義と愛と真実』とつけるあたりが『らしい』ですけど(苦笑)
人は、子供と大人の合間。つねに、振り子の様に生きるもの・・なんですって。
だから、アメリアは成長出来た・・・・・・・かなあ?(^^;
>
>>一瞬の間があってから。
>>ゼルガディスはそっぽを向いてしまったわけなのだが。
>
>もう、まったく照れ屋さんの恥ずかしがり屋さんなんだからっ(爆笑)
ゼルだしぃ〜(笑)
>
>>「判ってるのは、あたしの行くところには道なんてないし。
>>あたしの通り過ぎたところにだけ、道が出来るって事で」
>
>ラストはやはり、リナの前向き120%のこのセリフでしょう。
>これがなければスレイヤーズじゃないですよね(笑)
ですね(^^)
>
>『リナのいない世界』
>shinri様へのレスで、Mさまがこの話をメインをそうおっしゃっていました。
>でも、リナがたとえいなくなったとしても、リナのことを一度知ってしまった
>人間(含む、魔族、竜族、神族 etc)は間違いなくその影響を受けています。
>その場にリナがいてもいなくても、もう知らなかった頃には戻れない。
>そう思います。
はい。同じくそう思います。
けれど、彼女と出会うことの無かった人生だったのであれば。
彼らは・・・どの様になっていたのでしょう?
そんな事を考えながら、僕は書いていました。
リナは、突然変異の様な立場で生まれた・・・らしいです。これは、我らが神坂おとーさんが言っていました。<胸の事とか(自爆)
世界が望んだのか、それとも・・・?
>
>残像が残るんですよね。鮮やかな輝きを見た後には。
>私にとってリナ=インバースとはそんな存在なんだと、再確認しました。
なるほど。そう来ましたか(苦笑)
鮮やかな軌跡を残し・・・流星の様に。ですか?
そう言えば、以前別の話で。リナかも知れない存在を似たような形容した事あったなあ。

>最初の三つの質問。他の方々の答えも聞いてみたいですね(笑)
と言うわけで、インタビューに行きましたら・・・・・。
逃げられました(笑)
>
>前回にも増して、取り留めない駄文になってしまいました。読んでいただけたら幸いです。更に言えば・・・長いですね、これ(苦笑)次回から気をつけたいです(泣)

人様の事は言えません(^^;

>最後になりましたが、Mさま。
>こんな良い小説を読ませていただきまして本当にありがとうございました。
>番外編、UP、楽しみにしています。では、また。
ありがとうございます。
皆さんに、L様のご加護と。
魔族の安らぎ、神族の勇気。
そして。人間としての希望がある事を祈って・・・。
未来が、いつでも未知数である事を願って・・・。

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4499金色の巫女〜傍観編E-mail URL9/13-02:51
記事番号4395へのコメント

金色の巫女・傍観編


 意識が、体が浮上する感じ。
 覚醒。
 呼ばれた気がして、あたしは静かに目を開いた。
「最悪……」
 一瞬、夢だったかと思い。そして、夢ならよかったと思った。
「ひどい事をおっしゃいますねえ、いきなり」
「あんた相手に、嫌味なんて言っても仕方ないじゃない」
 起きあがるわけにも行かず、あたしは額に手を当てる。
 実際、こんな状況で眠っていられるわけもなく。また、そんな事をして何が起こるかも判ったものではない。
「まあ、ちょっと悪趣味かとは思いましたけどね」
 言って、ゼロスは。
 あたしと平行するように、宙に浮かんでいた高位魔族は。静かに降り立った。
 安い旅の宿。ありふれた街道筋の。
 降り立つ木の床に鳴る、靴の音。
 だけど、そのどれをとっても「普通」ではなりえない。
 忘れてしまいそうになるけれど。
「判っててやるのが、あんたらしいわよね。
 さて、ゼロス」
 いまだパジャマ姿ではあったが、あたしは上体をベッドに座らせながら。
 ゼロスをにらみつけた。
「はい?」
「顔なじみのよしみで聴いてあげる。
 エルメキア・ランスとアッシャー・デイスト。どっちか好きな方を選びなさい。
 間違いなくぶち当ててあげるから」
「え?」
 竜族でさえ恐れる高位魔族が、冷や汗を流している様に見えるのは。
 気のせいでもなんでもない。
 あたしが「やる」と言った時は、大抵実行する時だと言うのを知っているから。ゼロスとしては表情でさえ変わってしまうのだ。
「り、リナさん……僕にはその程度の呪文なんて効かないの。判ってるじゃないですか」
 そんなのは判ってる。
 その気になれば、人間なんて意志だけで消滅させる事の出来る。だけど、どんな酔狂からなのか、そんな事はおくびにも出さない。
「いいのよ。単なる八つ当たりだから(はあと)」
「八つ当たりで呪文を使うのはやめましょう。ね? 宿の人にもご迷惑がかかりますし……」
 甘い。ゼロスは忘れてるかも知れないが、エルメキア・ランスは精神にのみ作用する術だし。アッシャー・デイストは有機物。生きてる存在にしか効き目はない。だから、仮に壁やら床やらにぶち当たったとしても。宿の物には被害は出ないのだ。
 よっぽど恐ろしいのか、あたしを馬鹿にしているのか。
 どちらにしても、いい根性である。
「じゃ、じゃあこうしましょう。いい物を見せてさしあげますから、それで帳消しと言う事で……」
「いいもの?」
 思わず、別に考えてもいないのに耳が反応してしまう。
 こいつは魔族だから、はっきり言って人間の常識なんて通用しない。だから、仮にゼロスにとって「いい物」だとしても、人間であるあたしにとっては何でもない事もありえれば。逆に、「とんでもない物」だと言う可能性だって否定出来ないのだ。
「ゼロス」
 魔力を宿した拳を持ち上げて、あたしは努めて冷静に尋ねた。
「それが目的なんでしょ?」
「ええ」
 にこやかな顔に戻って、ゼロスが答えた。
 そうだ。何の目的もなく、無意味に現れる様な奴ではない。
 そして、例えここで断ったとしても。無理矢理連れていかれる事は、多分。
「行きたくないって言ったら?」
「ガウリイさんに関わる事でも、ですか?」
 あたしは、不機嫌になった。
 実際、この手は有効すぎるのだ。
 仮にゼロスの言う事が嘘であったとしても、そう言われたら。あたしに選択権なんてなくなってしまう。
 常々知りたいと想っても、気がついたら忘れているガウリイの過去。
 忘れさせられていると言う見方もあるけれど、本人が。ガウリイが言いたくないのなら、無理に聞き出す事なんてしたくない。
 あたしだって、ガウリイには言えない事の一つや二つはあるのだから。
 そうすると、ガウリイ以外から飛び込んでくる情報に対して。どうしたって耳が大きくなってしまうのは。
 残念だけど、どうする事も出来ない。
「わざわざ、その為にアメリアを眠らせたってわけ?」
「おや、判りました?」
 隣のベッドで、アメリアはすやすやと寝息を立てている。別に、無理矢理眠らされている特有の。不自然な息は聞こえない。
 けれど、ゼロスならばそれくらい簡単に出来てしまうのだ。
 部屋に侵入する気配があって。言うのも何だが、結構。声は大きめだ。
 残念な事に、ガウリイもゼルガディスも部屋は遠いので。ここまで声は聞こえないのだろう。普通の人間ならば、これだけの事が同じ部屋の中でおきていて。なにがしかのリアクションを起こさない方がおかしい。
 しかも、アメリアは巫女なのだから更におかしい。
「判らない方がすごいと想うけど?」
「ははは。さすがはリナさん」
 はいはい。
 戯れ言は、どうでもいいわ。
「では、どなたかに一言。お断りをしておいた方がよろしいかも知れませんね」
「どういう事? まるで、何日も帰ってこないみたいな言い方じゃない」
 すぐに終わる事ならば、すぐに帰れる事ならば。誰かに断ったりしないで、こっそりと出入りをすれば済む話だかし……。
「忘れたんですか? リナさん」
 何を?
「魔族なんですよ、僕は」
 そんな事は判っている。忘れた事なんて、ただの一度もない。
 竜族より強いくせに、生の賛歌を聴くだけでダメージを受けるなんて。とことんおもしろい特徴を持つ奴を相手に、簡単に忘れるなんてもったいない事。あたしがするわけないじゃない。
「僕が何かをしなくても、僕がお連れするところで罠が待っていないと。言い切る事が出来るんですか?」
「待ってるわけ? 罠」
「それは秘密です」
 出たな、十八番……。
「それにしても、信用していただけるとは光栄ですね」
 にこやかな笑顔で、ゼロスが言い出す。
 んなわけないでしょうが。魔族を信用だなんて、そこまで人生捨てたつもりはないぞ。
「でしたら、どなたかに一言くらい言って置いた方がよくないですか?
 何かあった時の為に……」
 善意かどうかは別として。いや、魔族に善意などあっても怖いが。
 他意があるのかも判らないけど、ゼロスの言う事は一理あった。
 確かに、あたしが帰らなかったら皆は心配の一つもするだろう。そして、何かの手がかりの一つも残しておけば、まったく手がかりがないと言うわけでもないし。もっとも、ゼルガディスあたりは「馬鹿にしてる」と言って怒るかも知れないけれど。
「そうね。じゃあ、そうしますか……」
 言って、あたしは支度をする。
 支度と言っても、まだパジャマの上にマントを羽織ったくらいだけど。
「アメリアは寝てるし、ゼルの部屋は最上階だし……」
 この場合、一番近いのはガウリイの部屋って事になるけど……。
 事情を聴かれたら……ヤだな。黙っていられる自信ないけど。
「ガウリイさんに言えばいいじゃないですか。何しろ、『保護者』なんですから」
 ……ヤな事を言うけど、もしかしてわざと不機嫌にさせて食事でも取ってるんだろーか?
「判ったわよ。でも、あんたは着いてこないでよね。相手がガウリイでも、話がややこしくなっちゃうもの」
「判りました」
 幾らガウリイでも、きっと。こんな時間にゼロスと出かけるなんて。
 聴いたら……なんて言うだろう?
           ◇
 ガウリイの部屋と、あたしとアメリアの部屋は。同じ階の端っこにある。
 けれど、なぜか気持ちが沈んでいる様な気がして。足取りさえ重く感じる。
 なんでだろう?
 まあ。普通に考えれば当然と言えば当然だけど。
 とにかく、ガウリイをたたき起こして。寝ぼけているところをガシッと言って、それから……。
「ガウリイ?」
 ノックをしてみる。二回。
 だけど、中から反応はない。
 おかしいな? いつもなら、何があっても返事が返ってくるのに。野宿してる時とかなら話は別だが、なぜか。宿屋で用事があるとき、ガウリイがノックをして反応しない事ってなかった。
 試しに、ドアノブに手をかけてみる。
 簡単に開いて、あたしは中へ足を進める。
「ガウリイ?」
 鍵もかけないで不用心だなって思うと。中には、誰もいなかった。
 トイレだろうか?
 ベッドの上は、寝起きなのだろう。起きたままになっているし、ナイトテーブルの上にもごちゃごちゃとガウリイの私物が置いてある。
 不思議な事に、大して荷物らしい荷物を持たないはずのガウリイは。どういう服なのか細かい荷物ならやたらと持っていた。
「ガウリイさんなら、外にいらしゃるようですよ」
 ゼロスの声がしたほうを見て、あたしは小声だが。きっぱりと言う。
「着いてこないでって、言ったわよね?」
「側にはいません。声を届けただけですから」
 相手がゼロスだと思うと、怒るだけ無駄って気がする。
 けど、それとこれとは話が別だ。
「何してるの?」
 少し、沈黙があった。質問の意味が判らなかったのだろうか?
 あたしはガウリイの事を聴いたつもりなのだが……。
「外で。どなたかと、お話をしている様ですよ」
「外で? 誰と?」
 こんなところに、あたし達の知り合いがいるなんて事。聴いた事ないけどな。
「ご自分の。目で確かめれば良いかと……」
「まさかとは思うけど、それがゼロスの言う『いいもの』なの?」
 ゼロスから返事はない。でも、だからって否定とも肯定とも着かない。
 どうしたものだろう?
 けど、考えたところで仕方がない。
 あたしは、ゼロスの企みに乗ると決めたのだ。それなら、行動に移すべし。
 ガウリイの部屋の脇には、外へ出る階段へ通じる扉がある。
 それを開けて、あたしは。
 夜の闇へと踏み出した。
          ◇
 月と星明かりの下。
 宿屋から遠くなく離れたところに、ガウリイはいた。
 いつもの、金の髪は月明かりの下でもよく映える。
 当然の事ながら、いつものブレスト・プレートはつけていない。
 悔しいが、本当にガウリイはかっこいいのだ。見た目は。
 口さえ開かなければって注釈がつくけどね……。
「手放したのですね、かの子よ」
 それは、声と言うには奇妙だと思えた。
 ガウリイより、頭一つ分くらい背丈は低いだろうか?
「構わないだろう? 元々、あちらさんのものだ」
 それは、ガウリイの声だった。そうだと思った。
 けれどそれは。あたしの知っているガウリイの声ではない様に思えた。
「あの……娘の為ですか」
 なぜなのか、女性……らしい声は。距離感を感じなかった。
 いや、それは女性なのか。人間なのかも判らない。
 どうしてかと言えば、人間らしい。暖かさを感じなかったから。
「だからどうした?」
 あの娘……。
 多分、それはガウリイの光の剣。
 別世界で言うところの烈光の剣。ゴルンノヴァの事だ。
 それが、ガウリイから失われた事を知っていると言う事は。ガウリイの知り合いと言う事なのだろうか?
 それにしては、ガウリイの人格が違う気がするけど……。
「これで、世界は一つ。失われるのです。
 それを承知でと言うのならば……」
 ここで、あたしが「何それ?」って聞きに行くのはたやすい事なんだけど……。
 なぜか。あたしは、それをためらった。
「それで?」
 怖い?
 全然知らない、見たこともない様なガウリイを見て?
「何とも思わないのですか? かの子よ。剣を受け取った一族でありながら」
 髪が長い様に見えるから、便宜上は彼女は。
 どうやら、怒っているらしかった。
 まあ、確かに「ぽん」と簡単に光の剣なんてたいそうなものを。あっさり「元の持ち主だから」と言う理由で奪われちゃったら。
 あたしなら「何を考えてる!?」と言ってぶちのめすわな……。
「知るかよ。あんなものの為に、色々な人が命を落とした。
 ない方がいいんだ、あんなもの……!!」
 ガウリイの家の家宝だったと言う、伝説に名高い光の剣。
 確かに、長い歴史上にあって争いの一つや二つ。起こらない方がおかしいけど……。
 今の。ガウリイの言い方には、何かあったのかも知れない。
「ただ」
 少しだけ、ガウリイが押さえた様な。自嘲気味に答えた。
「これから先、リナと一緒にいつまでいられるか。判らなくなったけどな……」
 ガウリイの言う事はもっともだ。
 歴史に名高い光の剣を持っていないガウリイなんて、言ってはなんだけど。所詮は超一流の剣士でしかない。
 あたしの様に、魔族を相手にする事の多い立場にあると。例え出所不明でも、魔法用具がないと戦闘はきついどころか。ガウリイ何て役立たずになってしまう。
 いや、本当の話。
「あの娘……危険な」
 キン。
 何をしたのか、甲高い金属的な音がした。
 女が、ガウリイから一歩下がった。
 どうやら何かしたらしいけど……何をしたんだ?
「リナに手を出すな」
 不安と。なんだか怖い。
 知らない人間みたいな、見たことのない人みたいな。
 それ以上に、あたしの話をしているのに。あたしの知らないところで会話がされていると言う事実が。
 あたしは、なんなのだろう。
 ガウリイにとって。
「消しなさい」
 ぞっとした。
 あり得ないと思っていても、それでも。
「消す?」
 ガウリイの顔は、ここから見る事は出来ない。
 距離も離れているのに、判る。
 怖い。
「誰に言ってるつもりだ?」


 ざわぁっ……。


 風が吹いた。
「この世界を守る為です。あの娘の存在は、この世界をも滅ぼすでしょう。
 それを回避する為に、あの娘の存在は危険過ぎます」
 判っている。
 混沌の力を使えるあたしは、魔の側にとって利用価値はあっても。神の側には、危険な事この上ない存在。
 一度でも、あたしが術の制御を間違えれば。
 世界は滅びるだろう。
 それを回避するには、あたしの存在そのものがなければいい。
「そんな事はさせない」
 声は怖いけれど。知らない誰かに聞こえるけれど。
 不思議と、ガウリイの言葉が届いた。
 今にも耳を塞いで、逃げ出したくなったけれど。
「世界と、あの娘とどちらが大切だと思っているのです」
 抑揚のない声ではあったけれど、あたしにだって判る。
 世界と、たかが人間の魔道士一人と。どちらが大事かと問われれば、普通は世界だと答えるだろう。
 あたしだって、そう思う。
「決まってるのさ。最初から」
          ◇
 あたしは、ゼロスに微笑んでいた。
「不思議?」
 背後にいたのだろう。知っていたわけではないけど、何となく予測はついた。
 ガウリイは、まだ話をしている。
「ええ。リナさんなら、つかみかかるかと思いましたから。
 まあ、そうなったらそうなったで。おもしろかったかも知れませんけれど」
「よく言うわよね」
 他人事だと思ってさ。
 でも、ゼロスは魔族だから。
 仕方ないって、思うしかないのだろうか?
「間違いなく、リナさんなら『絶望』すると思ったんですが……いやあ、うまく行かないものです」
 にこやかに言うなよ……。
 でも、これで吹っ切れた気がした。
 困ったことに、何に対して考え込んでいたのかは判らないんだけど……。
「あら、知らなかった?」
 ガウリイは、こちらに気づかない。
 恐らく、ゼロスが何かしてるんだろう。
 ただ、どうして相手の女性が気づかないのかも不思議だけど。これは、まだ知る必要はないのかも知れない。
「あたしは、何度もしたわよ。『絶望』なんて。
 でも、いつだって一人じゃなかった。平和な、魔族なんかと関わり合いになるご時世ならいざ知らず。今は、いつだって一人じゃない」
 そう、今ですら。
 判っているから。何も判っているから、判りすぎているから。
 それでも、誰よりも何よりも側にいてくれたから。
 アメリアが、ゼルガディスが、他にもたくさんの人たちが。
 ガウリイがいてくれたから。
「人間はね」
 ゼロスが、手を差し出していた。
 どこに連れて行かれるのかは判らない。
 まあ、どうせろくなところじゃないんだろうけど。
「絶望なんて幾らでもするわ。でもね」
 ゼロスの手に、あたしの手を重ねる。
「その先には、いつだって希望があるのよ」
 ゼロスに手を引かれて、世界を越えると思われた時
 ふと気づいた事が二つばかり。
 一つ。ゼロスの仕業なんだろうけど、いつの間にか着替えていた事。
 一つ。結局、あたしは誰にも何も言わずに出てしまった事。


 …………まあ、いいか。

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4528Re:金色の巫女〜傍観編ぱむ E-mail 9/14-02:14
記事番号4499へのコメント
こんばんはっ!Mさま。
番外編、嬉しいです。さっそく感想、書かせていただきますっ!

>あたしと平行するように、宙に浮かんでいた高位魔族。

・・・ゼロス。悪趣味すぎるぞっ!
あ、でも、リナが起き上がっていたら、キスシーンになっていたかも(ドキドキ)

>「エルメキア・ランスとアッシャー・デイスト。どっちか好きな方を選びなさい。
>間違いなくぶち当ててあげるから」

当然ですね。乙女の寝顔を見たからには。

>常々知りたいと想っても、気がついたら忘れているガウリイの過去。
>忘れさせられていると言う見方もあるけれど、本人が。ガウリイが
>言いたくないのなら、無理に聞き出す事なんてしたくない。

乙女のジレンマですね。相手のことを知りたい。けど無理に聞きたくない。
・・・嫌われるかもしれないから。

>確かに、あたしが帰らなかったら皆は心配の一つもするだろう。

『心配の一つも』じゃないですよっ!
手がかりが全く無しでリナが行方をくらませたら・・・ガウリィは怒る。
間違いなく怒る(冷汗)
そしてゼルは考え込むだろうし、アメリアは心配するだろうし・・・。
第一『事件にまた巻き込まれました。あたしと世界が心配なら探し出して下さい』といわんばかりのセッティングになると思います。
リナは自分がどう思われてるかの自覚が足りませんね。

>不思議な事に、大して荷物らしい荷物を持たないはずのガウリイは。
>どういう服なのか細かい荷物ならやたらと持っていた。

確かにガウリィは大きな荷物、持ってないですよね。
野宿に最低限必要な毛布とか(マントも着けてないのに)持ってないし。
それだけ身体が丈夫ってことなんでしょうかね。

>「構わないだろう? 元々、あちらさんのものだ」
>「あの……娘の為ですか」
>「だからどうした?」
>「これで、世界は一つ。失われるのです。それを承知でと言うのならば……」

・・・このサード・オーダーの方。後ろ向きですね(怒)
あたかも、これからリナが世界を滅ぼすような言い方をして。
まあ、冷静に考えればそうなる可能性はかなり高いとも思いますけど。
たとえL様のことだけでなくても、この世界における
神と魔のバランス自体がかなり傾きつつあるっていうのも判るんですけど。
でも、その責任全てをリナ一人に負わせるような言い方、キライですね。

>「知るかよ。あんなものの為に、色々な人が命を落とした。
>ない方がいいんだ、あんなもの……!!」
>今の。ガウリイの言い方には、何かあったのかも知れない。

個人的になにかありそうですね(苦笑)
噂にある、ガウリィのお兄さんがらみのことですかね?

>「ただ」
> 少しだけ、ガウリイが押さえた様な。自嘲気味に答えた。
>「これから先、リナと一緒にいつまでいられるか。判らなくなったけどな……」

ガウリィもジレンマ、抱えてますね(笑)

>「消しなさい」
>「消す?」「誰に言ってるつもりだ?」
>「この世界を守る為です。あの娘の存在は、この世界をも滅ぼすでしょう。
> それを回避する為に、あの娘の存在は危険過ぎます」
>「そんな事はさせない」
>「世界と、あの娘とどちらが大切だと思っているのです」
>「決まってるのさ。最初から」

ガウリィ。言い切りましたね。一種の告白。リナに対する。
本人が聞いてると気付いてたらまたいつもの韜晦モードに入ったと思うんですが。

> でも、これで吹っ切れた気がした。

・・・リナ。ひょっとして誤解してますか?

> そう、今ですら。
> 判っているから。何も判っているから、判りすぎているから。
> それでも、誰よりも何よりも側にいてくれたから。
> アメリアが、ゼルガディスが、他にもたくさんの人たちが。
> ガウリイがいてくれたから。

うわっーーーーー!!
『いてくれた』っ!過去形っ!

> 一つ。結局、あたしは誰にも何も言わずに出てしまった事。
> …………まあ、いいか。

よくないっ!今すぐ引き返せっ!しっかり聞いておけっ!(怒・怒・怒)
・・・・・ぜーはー、ぜーはー(荒息)
しかし・・・リナ、見事に誤解をしてくれましたね。
恋する乙女の思考回路は怖いです。
冷静に考えれば判ることも、考えられなくなるんですから。
いくらなんでも『あの』リナ=インバースの『保護者役』を
義務とか任務とか使命とかでなんか出来ないってこと。
出会いの理由がどうであれ、シャブラニグドゥを倒してから
フィブリゾを倒すまで、命懸けで守ってくれたのはどうしてか。
そこらへん、全く判ってませんね。ガウリィが気の毒だぞ。うん。

鳴動編から、結末は判っているはずなのに妙に燃えてしまいました。
ガウリナは、このじれったさが癖になるのかも・・・。
今回、それでも絶望はしていないリナ。
これから先、どうなることやら(不安)

やはりまとまりのない文章になってしまいました。
文才、どなたか分けていただけないでしょうかね(苦笑)

Mさま、次回のUp、楽しみにしてます。では、また。

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4579Re:金色の巫女〜傍観編E-mail URL9/15-15:25
記事番号4528へのコメント
>こんばんはっ!Mさま。
>番外編、嬉しいです。さっそく感想、書かせていただきますっ!
こんにちは!ありがとうございます!!(喜)
>
>>あたしと平行するように、宙に浮かんでいた高位魔族。
>
>・・・ゼロス。悪趣味すぎるぞっ!
>あ、でも、リナが起き上がっていたら、キスシーンになっていたかも(ドキドキ)
ふふふ・・・。
よかった。ツッコミ入れてもらえて(ほっ)
>
>>「エルメキア・ランスとアッシャー・デイスト。どっちか好きな方を選びなさい。
>>間違いなくぶち当ててあげるから」
>
>当然ですね。乙女の寝顔を見たからには。
それでも甘いくらいです(きっぱり)
>
>>ガウリイの過去。
>
>乙女のジレンマですね。相手のことを知りたい。けど無理に聞きたくない。
>・・・嫌われるかもしれないから。
けど、もしかしたら。信用されていないからなのかも知れないから、知っておきたい・・・。
複雑ですね。
>
>>確かに、あたしが帰らなかったら皆は心配の一つもするだろう。
>
>『心配の一つも』じゃないですよっ!
>手がかりが全く無しでリナが行方をくらませたら・・・ガウリィは怒る。
>間違いなく怒る(冷汗)
リナを?原因を?(汗汗)

>そしてゼルは考え込むだろうし、アメリアは心配するだろうし・・・。
>第一『事件にまた巻き込まれました。あたしと世界が心配なら探し出して下さい』といわんばかりのセッティングになると思います。
>リナは自分がどう思われてるかの自覚が足りませんね。
はう(><)
す、すみません。いつもだったら「盗賊いぢめに行ってる」くらいしか思われていないものですので・・・。
ごめんなさい×2。
だって、ここでゼロスが来た事なんて・・・・・・・ガウリイなら判るか?
>
>>不思議な事に、大して荷物らしい荷物を持たないはずのガウリイは。
>>どういう服なのか細かい荷物ならやたらと持っていた。
>
>確かにガウリィは大きな荷物、持ってないですよね。
>野宿に最低限必要な毛布とか(マントも着けてないのに)持ってないし。
>それだけ身体が丈夫ってことなんでしょうかね。
どうやって運んでるんでしょうね?野宿用の毛布とか。
>
>>「これで、世界は一つ。失われるのです。それを承知でと言うのならば……」
>
>・・・このサード・オーダーの方。後ろ向きですね(怒)
>あたかも、これからリナが世界を滅ぼすような言い方をして。
ええと、まあオリキャラなのでフォローを一つ。
彼女(?)が言っているのは、スレ世界でもロスト世界でもありません。
世界は複雑に絡み合ってる様なもので。こことは全く別の世界が、ゴルンノヴァがスレ世界にある事によって安全を保たれてると言う事があった訳です。まあ、それだけゴルンノヴァの影響が強いわけですが(なんたって、闇を撒く者の武器だし)
ちなみに、スレ世界が受けてる影響もあります。他の世界で起きた出来事の為に、スレ世界には「世界の道」の様なものがありまして。様々な世界からの「お客さん」が来やすいと言う・・・(だから、僕の書く話では「お客さん」が多いんです。

>まあ、冷静に考えればそうなる可能性はかなり高いとも思いますけど。
>たとえL様のことだけでなくても、この世界における
>神と魔のバランス自体がかなり傾きつつあるっていうのも判るんですけど。
>でも、その責任全てをリナ一人に負わせるような言い方、キライですね。
ですね。
こっちはフォローするつもりはないのですが、それでも。人であってもなくても、何かに頼らなくてはならないと言うのはあるでしょう。(推測)
まあ、それが人間の少女でなくてはならないと言うのが。周囲の者にとって唯一の後ろめたさになるのでしょうけど。
ただ、きっと。「リナに出会った」事が出来た存在は、あながちそうとも言い切れないかも知れませんね。
>
>>今の。ガウリイの言い方には、何かあったのかも知れない。
>
>個人的になにかありそうですね(苦笑)
>噂にある、ガウリィのお兄さんがらみのことですかね?
お兄さんと言うか、噂ではガブリエフ家全部を指すらしい・・・です。
>
>>「ただ」
>> 少しだけ、ガウリイが押さえた様な。自嘲気味に答えた。
>>「これから先、リナと一緒にいつまでいられるか。判らなくなったけどな……」
>
>ガウリィもジレンマ、抱えてますね(笑)
男心も複雑です(苦笑)
>
>>「世界と、あの娘とどちらが大切だと思っているのです」
>>「決まってるのさ。最初から」
>
>ガウリィ。言い切りましたね。一種の告白。リナに対する。
>本人が聞いてると気付いてたらまたいつもの韜晦モードに入ったと思うんですが。
どうでしょう?
正面切って「俺は保護者だ」と言い切る人物ですからねえ(笑)
知ってます?保護者って、夫も含まれるんですって。
>
>> でも、これで吹っ切れた気がした。
>
>・・・リナ。ひょっとして誤解してますか?
いいえ(ぶんぶん)
>
>> そう、今ですら。
>> 判っているから。何も判っているから、判りすぎているから。
>> それでも、誰よりも何よりも側にいてくれたから。
>> アメリアが、ゼルガディスが、他にもたくさんの人たちが。
>> ガウリイがいてくれたから。
>
>うわっーーーーー!!
>『いてくれた』っ!過去形っ!
だから、いてくれたから。自分は前を向いていけると言う事なんですが・・・。
どんなに無茶な事やっても、判ってくれる人があるから。かっとんでも帰れる所があるから、行く事が出来る・・・と言う意味だったのですが(^^;
>
>> 一つ。結局、あたしは誰にも何も言わずに出てしまった事。
>> …………まあ、いいか。
>
>よくないっ!今すぐ引き返せっ!しっかり聞いておけっ!(怒・怒・怒)
>・・・・・ぜーはー、ぜーはー(荒息)
ああ、大丈夫ですかあぁ!(汗汗)

>しかし・・・リナ、見事に誤解をしてくれましたね。
>恋する乙女の思考回路は怖いです。
>冷静に考えれば判ることも、考えられなくなるんですから。
いや・・・ちゃんと冷静に分析したんですけど。
だって、ほら。「希望はある」って言ってますし<未熟者!

>いくらなんでも『あの』リナ=インバースの『保護者役』を
>義務とか任務とか使命とかでなんか出来ないってこと。
>出会いの理由がどうであれ、シャブラニグドゥを倒してから
>フィブリゾを倒すまで、命懸けで守ってくれたのはどうしてか。
>そこらへん、全く判ってませんね。ガウリィが気の毒だぞ。うん。
はうー!(><)
けど、僕の場合のリナって。
「一度懐に入れてしまえば。絶対に手放す事は出来ない」人種なんですよね。
落とし物じゃなくて(^^;
一度、親しくなってしまった相手には。例え操られて敵に回っても、ある程度以上の攻撃をしかける事は出来ない。操られているなら、解放の手段を講じると言う。
まあ、ある程度までの攻撃って・・・あの世界の常識でも結構きつい様ですが(苦笑)
>
>鳴動編から、結末は判っているはずなのに妙に燃えてしまいました。
あらん♪(ぽっ)<馬鹿

>ガウリナは、このじれったさが癖になるのかも・・・。
フーコーの振り子の様に、決して一息には行かないじれったいの・・・ですか。
うーん、確かにくせになるのかも(笑)

>今回、それでも絶望はしていないリナ。
>これから先、どうなることやら(不安)
本文にもありますが、リナは絶望しないわけではありません。
ただ、絶望しても。必ず希望があるって信じてるんです。
だって、彼女はまだ未来を知らない。その先に待つ未来を知らないから、リナは頑張れるんだと、僕は思いますよ☆
>
>やはりまとまりのない文章になってしまいました。
>文才、どなたか分けていただけないでしょうかね(苦笑)
僕も欲しいでーす(切実)
>
>Mさま、次回のUp、楽しみにしてます。では、また。
ありがとうございます。
次回は短編でも載せたいと思います(^^)<単純