◆-Das Licht Den Brandenburg-LINA(9/12-16:03)No.4482
 ┣Das Licht Den BrandenburgU-LINA(9/12-21:10)No.4489
 ┃┗Das Licht Den BrandenburgV-LINA(9/12-23:54)No.4495
 ┃ ┗Das Licht Den BrandenburgW-LINA(9/13-17:08)No.4511
 ┃  ┗Das Licht Den BrandenburgX-LINA(9/13-19:31)No.4515
 ┃   ┗Das Licht Den BrandenburgY-LINA(9/13-22:24)No.4519
 ┃    ┗Das Licht Den Brandenburg(おまけ)-LINA(9/13-23:28)No.4522
 ┃     ┗Re:Das Licht Den Brandenburg(おまけ)-秋永太志」(9/15-22:41)No.4595
 ┃      ┗お礼-LINA(9/16-18:24)No.4605
 ┣Re:Das Licht Den Brandenburg-阿葵乃(9/14-01:20)No.4527
 ┃┗お礼-LINA(9/14-17:43)No.4553
 ┣Re:Das Licht Den Brandenburg-TRYNEXT(9/14-21:32)No.4563
 ┃┗お礼2-LINA(9/14-21:53)No.4565
 ┗Re:Das Licht Den Brandenburg-マミリンQ(9/20-15:34)No.4726
  ┗お礼-LINA(9/20-16:02)No.4727


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4482Das Licht Den BrandenburgLINA 9/12-16:03

歴史ものシリーズ第2弾です。
今度の舞台は17世紀前半のドイツです。
だいたいの事を言ってしまえばブランデンブルク(地名)の女公爵(選定侯)
のリナちゃんと人質王子(酷い)ガウリイ君に妙な信頼関係が生まれそこから波紋が・・・、と言った所です。
ついでに言えばケイン、キャナル、ニーナ、レイルも居ます。
通り名だけですがあの人(前作、アメリア姫シリーズ参照)も居ます。
(通り名だけとは言え凄い事になってます。)
とどめにショッパナのほーからルナゼロも出てきます。
ちなみにタイトルはエセドイツ語です。だれか、訳して・・・・・。
念のため、歴史上の出来事は基本的にはフィクションです。
だから間違っても世界史のテストに役立てよう、だなんて思わないでね。
やはり時々エセドイツ語入ってますがまあ、雰囲気ってやつです。(汗)
ああ、もお支離滅裂・・・・。

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4489Das Licht Den BrandenburgULINA 9/12-21:10
記事番号4482へのコメント
17世紀当時のドイツには300余りのの事実上の独立国家が割拠し戦乱が絶えなかった。
中でも三つ巴の獅子として近隣に恐れられたヴェッティン家のザクセン、
ヴィテルスバッハ家のバイエルン。
そして、ホーエンツォレルン家のブランデンブルクである。
そして、彼女こそブランデンブルク辺境公爵、地位的に言えば、神聖ローマ皇帝選定侯 フリードリヒ・ヴィルヘルム・フォン・リナ・ホーエンツォレルンである。


「やー、フロエライン(ミス)リナ。良いお天気ですね〜。」
聞き覚えのある何とも緊張感の無い声。本来フリードリヒ何ぞという女にしては酔狂な名を貰ったのもコイツの母、先代の占い師ゼラスのせいである。まあ、リナという最後の名で呼んでもらうに越した事はないのだが。
振り向けば予想通りのニコニコ顔に遭遇する。
「今日は何の用?周りをたきつけ無理矢理あたしを公爵の地位につかせた占い師のゼロス君。い〜んやああ、もう『お義兄様』でしたっけえ」
そう。先代の公爵、あたしの大叔父にあたるアルバート・ヴァーン・スターゲイザー・ホーエンツォレルンを武力ではなく策略で退かせあたしを侯爵位につけたのは他でもない。このオカッパ頭のニヤケズラついでにいちゃえばルナ姉ちゃんの夫にして下僕のこの男、ゼロスである。
「何もそこまでいわなくっても・・。そんなに嫌ですか、侯爵位?」
「GUT(良い)訳でもなければ SCHLECHT(悪い)訳でも無いわね。正直言って今まで以上に美味しいモノが食べれんのは良いけど、会った事も無い奴に戦いを挑んだり、相手の弱みに付け入って人質とることすんのはやっぱりバツが悪いわ。」
そう。近いうちにあたしはプロイセン公国の第二王子を戦の駆け引きの都合、人質
にとらなければならない。まあ、人質ていっても扱いを丁重にしなきゃいけないのが現状だから酷い事はしなくて済みそうだけれども。
「まったく。それがわずか16歳で辺り一帯の隣国を併合し、ましてやドイツ統一を目論む方の言いぐさですか?」
「3年のもたちゃ人間だれしも変わるわよ。」
「だとすれば・・・。随分と判官びいきになられましたね。:」
「そりゃ、どーゆー意味よ。で、何のようなのゼロス。」
「はい、しばらくルナさんと旅をする事になりましたが・・・・」
「おのろけか?それとも自慢?」
「いえ・・・。そんな。(アタフタ)ともかく、今日人質の方がここサンスーシー宮殿(無憂宮殿)にいらっしゃる事は知っていますよね。」
「知ってるわよ。一応あたしの担当だし。でもいちいちかかわってらんないのが現状ね。女の公爵だからってみくびって戦争吹っかけてくる奴の対処で手一杯。
今度あたりバイエルンのヴィッテルスバッハ家のフィブリゾとかいう王子があたしを倒そうと狙ってるらしーし。」
「そこを何とか。僕の占星術によれば、今日あなた自ら人質の方を迎えに行けばなにかの吉兆があるようですよ。」
「アンタの占いは結構訳わかんないよーでも良く当たるし・・・。ま、いいわ。リゼル、アメリア、ケイン、キャナルとも相談して決めるから。」
「そうして頂けるとありがたいです。あ、そうそうリナさんフロエライン(ミス)
ニーナの健康診断はちゃーんとうけてくださいね。」
にーな・・・・。あのへっぽこ女医さんのかい・・・。
受けたくないのは山々だがねーちゃんに告げ口されるとかえってヤバイ。いちおううけとこ・・・・・。そう思いつつあたしは医務室へむかった。


「どう、ゼロス首尾は?」
「ああ、ルナさん。上々です。あとは、伝説の勇者様のご登場とニーナさんの勘違いにかかってますね。」
「ニーナの勘違い誤診はいつものことだけど・・・。これからリナ、いいえフリッツ(フリードリヒの愛称)が会いに行く人物・・・。彼が勇者とは限らないわ。」
「僕の占いが外れている、とでも?」
「そーゆー訳じゃないわ。ただね、白馬に乗った王子さまがお姫様を探し出すんじゃなくって漆黒の馬にのった男装の麗人のお姫様が王子様をさがすなんて今一つぴんっとこないじゃない。もっとも、リナに漆黒の毛並みの馬をあげたのはあたしだけど。」
「ま、このさい面白ければ何だって良いでしょう。」
「その言い方からすると・・・・。アンタもう結末わかってるわね。教えなさいよ。」
「それは秘密です。」
「・・・・・。まあ、いいわ。今回は許してあげる。そのかわりアンタ荷物運びねん。」
(うずたかく 積み上げられたカバン)
「わかりました・・・・。(しくしくしく)」



「きやあああああ!!ごめんなさーい!!包帯からまっちゃいました・・・・」
「ひいいいいいいいい、ごめんなさああああああイ!!熱湯、熱かったですか?」
「どひやああああああああ!!風邪薬と間違えて下剤出しちゃいましたああ!!」
 

「リナさん・・・。ニーナ姉さんもあの調子だし・・・。健康診断、今度にしたらどうです?」
あたしの腹心の女戦士にしてニーナの末の妹アメリアが呟く。
「まったくだ。どうしてあんなのが医者をやっているのかまったくもって理解できん。」
同じく腹心のゼルガディス。
「そ〜ね。姉ちゃんの怒るのもこわいけど・・・・。医者に余計に健康状態悪くされたんじゃたまったもんじゃないわ。」
「まあ、グレイシアねーさん・・2番目の私の姉さんに比べたらましですけどね・・・ニーナ姉さん。なんであの変人極悪将軍ガーヴなんかの側近になっちゃたんでしょう・・・。やっぱり類は友を呼ぶ、から?(スレ・TRY最終回アイキャッチ参照)。」
「所でリナさん、あなたも人質の受け渡し場所に行くって本当?」
勤めて話題を逸らすキャナル。彼女はあたしの従兄弟のケインが昔、今から9年ぐらい前に戦場で泣いていた所を助け以後ケインとともにあたしの幼馴染兼腹心として一緒に住んでいる名目上5つ年下の妹、と言う事になっている。ついでにいえばケインと初めて会ったのも戦場からキャナルの手を引きながらココまで彼が逃げ込んできた時である。
「う〜ん。どうしよっかなあ。」
「止めとけ。リナ、お前が出てったら先方の王子がショック死するぞ。」
「ゼエエエエエエルウウウウウ!!そりゃああああど〜〜〜ゆういみ!!」
「イ、否。深い意味は無いのだが・・・。(恐怖に滴り落ちる汗。)」
「でも、ゼロスさんの占いあたるでしょ?万が一リナさんが暴れそうになったら麻袋にでも閉じ込めてケインさんなら何となーく女顔でリナさんに似てるし代役にして先方に迷惑をお掛けしないようにしましょう。」
「アメリア。あたしにしようと企んだことは10000000000歩譲って晩飯半分よこす事で許す。でも、ケインに女顔って言った事がバレたらどーなるでしょーかねえええええええええええええええええええええええええええ!!」
「ひいいいいいいいい!!ごめんなさいいいい!!まだ死にたくはありませえええええんん(半泣き)」


「なあ、リナ。さっきからアメリアがやけに俺の事を怯えた眼差しでみるのだが・・・・?気のせいか?」
ケインが隣に馬を並べているあたしに聞く。
「さあ。気のせいでしょう。」
まあ、庇う訳でもないけど先程の彼女の言動はないみつにしたうえ、適当にはぐらかす。
この季節のベルリンは気持ち良い。
ウンテル デン リンデン通りの菩提樹の並木道。ティヤーガルテン(森林公園)
もまたひとしお。こーゆーときホント公爵何ぞでもやってて良かったと思う。
「平和だな。リナが公爵になってから先代の頃よりも希望がもてるようになったのは事実だ。」
珍しくゼルがあたしをほめる。
「なるほど。確かにリナさんは征服者かもしれない。でも、単に存続すら危うい今のドイツを活性化させたい、そのためには戦も仕方が無いことよね。」
キャナルが付け足す。
ま、ゼロスには戦うのは嫌、て言っちゃたけどまったくそのとーりなんだよね。
「つまり!!正義のための戦いです!!!」
はいはい、アメリア。馬の鞍の上でポーズなんか取らないでね。落ちるからって、遅かったか。
「まだ、気にしているのか?別におまえのせいじゃないぜ。リナ。」
「ケインこそ心境複雑でしょ?」
「ま〜な。正直言って。でも、お前の決定じゃないだろ。プロイセンの第二王子を人質に要求する、てこと決めたのは。」
「そうよ。議会で大臣達が喧しくって『あああ〜〜〜!!もお、勝手にしなさいよ!!』て叫んじゃったの。」
「おまえ・・・。俺とタメ張れるぐらい気みじかいな。」
「ほっとけ!!まあ、あたしは人質になる人にケインがされたみたいな仕打ち、するつもりないけど・・・。」
「ケイン、リナさんは違うわ。かりにもあなたの・・・・・。」
「ああ。そうだな。」
キャナルの言葉を最後まで聞くことなく、ケインは強く頷いた。
「ど〜でもいいけどリナさん。お話に夢中になってて約束の場所、通り過ぎてますよ。」
ほえほえ〜〜〜としたこえでアメリア。
「ふうん。通りすぎちゃったんだ。とおりすぎた・・・てええ!!通り過ぎた!!?」
「とっくにだ。」ぶっきらぼうにゼル。
「え、何処何処、ね、どこだったの!!?」
「ずううううと後方。ティーヤガルテンの方です。」
「ぎやああああああああ!!ぜんたああああいまわれえええええみぎ!!」
あたしは大急ぎで行列に号令をかけた。
「あれが噂に名高い女帝陛下・・・・か。」
ゼルの呆れ声を背中にあたしは馬で猛ダッシュし今や最後尾となってしまったあたしのポジションから隊列の先頭へ向かっていった。


いやはや。
早めに出てきてホントに良かった。
正にジャストタイミング、と言った所か。
そのご、適当な社交事例と盟約が交わされ滞り無く人質とやらの引渡しと相成った。
「う〜〜わ〜〜。綺麗な人。あの人が人質の王子様?みてみて、リナさ〜〜〜ん。
ゼルガディスさんとタメが張れるぐらいの綺麗な人ですよ。」
「・・・・。」
「あ、リナさん、絶句してる。こんな綺麗な人が人質に来るとはおもわなっかたんでしょう?」
そう、アメリアの言うとおり。
あたしはあんなひとが人質に来るとは思いもよらなかった。
確かに綺麗な王子だとは思う。
でも、別の意味であたしは絶句した。あの王子・・・。
立ったまま寝て居やがった。それも様子から言って人質になる心労から、と言う訳ではなさそうだ・・・。
アメリアの位置から彼がどう見えたかは知らないがあたしの居た最前列からは彼が退屈そ〜に欠伸を5〜6回しそのままウトウトと眠りこけって居るのが良く見えたりしたのだった・・・・。べつにい〜けど涎垂らしたのはまずいと思うぞ・・・・。
それにしても・・・。プロイセン公国のレイル皇太子、すなわちこの『居眠り、クラゲ頭王子』の兄貴はなんだってこんな緊張感のないのをよこしたんだう・・・。
まさか厄介払いとか?
とにかく・・・。極力関わるのを避けるに越した事は無い。
まあ、ゼルがアメリアを監視して変な事を言わせないようにするでしょーから問題は無いでしょうけど。


と、思ったのだが・・・。

最前列にあたしとケインそしてキャナルが陣取りつつ帰りの行列は続く。
後ろにはクラゲ頭の居眠りパツキン王子を挟む形でゼルとアメリアが並ぶ。
重苦しい沈黙。しかし・・・・。
「なあ〜そっちのアンタ〜。」
唐突にお間抜け(そうな)声。方角からしてゼルに向かってプリンツ(プリンス)
ガウリイが話し掛けているのだろう。
「何でございましょーか?」
慇懃無礼な口調で面倒くさいといった感じでゼルが答える。
「最前列の真中のあいつ、随分な美少年だがあいつ、一体何者だ?」
なんだかお間抜けな声で誰かについて尋ねている。
て、!!最前列の真中って!!あたしじゃない!!びしょうねんだあああああ!?
ケイン!!アンタが女顔て言われて怒る気持ちよっくわかるわ!!
「その方は・・・・」
「あ、敬語やめてくんね〜か?たしか、ゼディルガスだっけ?」
「ゼルガディスだ!!(怒り)ついでに言えばそちらのお方はあんたの人質先の
ブランデンブルク辺境公爵、フリードリヒ・ヴィルヘルム・フォン・
リナ・ホーエンツォレルン様だ。ついでに言えば一応(物凄く強調して)女だ。一応その辺もハイリョシテ「リナ」の名で呼ぶんだな。」
一応の所を妙に強調したわね・・・ゼル。覚えときなさいよ・・・!!
「そっかああ。女だったのか。まいったなあああ。こりゃ。」
何を言ってるんだこの男は・・・。いちょ、発破かけてみるか。
「あたしが男だったら殺して逃げるつもりでいたの?」
振り向きもせずに言ったあたしの一言にガウリイは動じる事も無く・・・。
「まあ・・・。人質生活がやになりゃ、そーゆーつもりになっちまったかもなあ。でも、いくら俺でも女を殺してまで逃げようって根性はねえし。」
なんか。まったく考えに計画性と言う物が伺えない。
「アンタがあたしを殺せばいっぺんにドイツ中が戦火の嵐よ。」
「え・・・。そーなのか?じゃ、これで女を殺す必要も無くなったてわけだ。やかったよかったうんうん。」
「どーゆー意味よ。」
「お前さんだって好き好んで人質なんかとったんじゃないんだろ?」
「そりゃーそよ。」
「じゃ、お相子って事じゃねーか。」
「そーゆーもんだいじゃない!!」
「なら、どーゆー問題だ?」
「あたし自身の心情のもんだいよ!!」
「じゃ、死活問題じゃあないな。ま、お前さんが男じゃない、と分かって戦うことができない限り、ま仲良くしよーな。」
「さらにちょっとまてええええええええええええええええい!!」
状況を理解していないのか・・・・?それとも単に極端なフェミニストなだけか・・・・?どちらにせよとんだ人質を渡したレイル皇太子を呪おう。
何故か眩暈がするのはこのガウリイのせいだろーか?
吐血しそうな心情である。
「ケイン・・・。」「ケインさん」
「心配すんナ、キャナル、アメリア・・・。これから動乱はあるだろーが、あの男の能天気ぶりは折り紙付だ・・・・。いざ、となったら俺がちゃんと対処する。」
ともあれ・・・。ケインの複雑な心境とは程遠い奴・・・ガウリイって。
まあ、グジグジされるよりかタチはいいけど・・・。
かくして。
ガウリイとあたしに妙な信頼関係が生まれ始めたのはこの時からだった。


次回予告 ひたすらガウリナです。(でも、リナが今回同様まけてます・・・。)
そのまた次の予告  明かされるケインの過去。





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4495Das Licht Den BrandenburgVLINA 9/12-23:54
記事番号4489へのコメント
「ぎやあああああああああああああ、リナ様あああ!!お許し下さいいい!!」
「いいのよ・・・。別に」
「どひやああああああああああ、血液検査の血採りすぎましたああああ!!」
「いいのよ、別に(怒)」
「はぴいいいいいいいいいいいい!!」(転んであたしの顔にまともにカルテがぶつかる)
「やめてくださいいいい!!ニーナ姉さん!!リナさんがしんじゃいます!!」
「おまえなあ。よく今まで首になんなかったなあ。」
アメリアとゼルの叫びも通じず、唯ひたすら医療ミス(と、言ってもケアレスミスだが)をあたしに対してし続けるニーナ。
「へえ・・・・。これがブランデンブルク流の健康診断か。」
「ふんなはけはふはすなひふぇひょ!!(そんなわけあるはず無いでしょ!!)」
ニーナに必要以上に大きく開けさせられた口でガウリイに反論する。
ナンカの病気の検査だろう。しきりにのどの奥の方を覗き込むニーナ。
まあ、これなら害には・・・「う〜ん、よくみえませんね〜〜
(グイ)『ごきゅル!!』・・・・。ごめんなさい。アゴ、外しちゃいました・・・。」
害になったか・・・・。
「おお!!道理で鈍い音がしたと思った!!リナの顎って結構妙な音がするなあ。」
ガウリイ・・・・殺す・・・・。ニーナ、一ヶ月唯働き。
かくして。恐怖の健康診断は終わったがあたしは全治3日のけがをし、市内の貴族病院に普通の貴族になりすまし入院するはめにおちいった。


「ケインいいの、リナさんに本当の事言わなくって。」
「言ったところで変わりやしないさ。それに・・・。あいつは今度戦争になりそうな国、バイエルンの事で気が立っている。これいじょうこの時期にアイツを煩わせるようなことは俺はしたくない。わかってくれ、キャナル。ましてやあの事は
リナとガウリイを見てると到底言えた事じゃない。この二つの事柄だけは・・・。」
「ケイン・・・。まだあたしのお兄さんのこと・・・・?」
「それも確かにある。でもよ、俺自身としてはもう逃げるのはごめんだ。唯言える事と言えば俺と同じ思いをリナにさせたくない。それだけだ。言っちまえばあいつ等自身、てことさ。もっとも、リナが苦しむような事になりかねんのなら俺は黙って傍観しているつもりは毛頭ない。」
「流石はあたしのマスター様・・・・。」





「グーテンイーブン、(グットアフタヌーン)ガウリイ。」
「おっす!!リナ。」
何っていうか。とことんリベラルな人質である。
正騎士達相手に剣術の特訓をしているガウリイ。まあ、一方的にガウリイの勝利ばかりで側から見ているとあまり微笑ましいとは言えない殺伐とした光景だが。
まあ、あたし自身女だてらに戦場にいき実際に数多くの敵を屠ってきた。
一騎当千、破壊の帝王とまで称されている。しかし、あくまでそれは知略によるもの。彼ほどの剣術のセンスはあいにく持ち合わせていない状態である。
けれど・・・。あたしが最前線に立ち軍に敵に立ち向かえばそれだけで士気が盛り上がり勝利する。
時分で言うのもなんだがあたしには19歳の女にしてはカリスマ性はあるほうだと思う。しかし、ガウリイが前線の先鋒でこの剣サバキをひろうしたら・・・。
あたし如きのカリスマ性なんて児戯に等しいんじゃあないかな。
頭が良かったら本当の勇者なのに。ま、あたしには関係無い事だけど。


今日は久々に何の予定も無し。
たしかにバイエルンとの戦争を考えればこーのんびりしてウンテルデンリンデン通りを歩いている場合じゃあない。
でも、まあこちらが進行する訳ではない。向こうが勝手にこっちにくるんだし。
守りとあたしのの策略さえあれば奴ら三つ巴の獅子のもう一国、ザクセンとでも同盟しない限り極めて難攻不落である。
ま、こんな綺麗な通りでそんなくだらない事を考えてもしかたない。
そう思うと自然と歌でもうたいたくなってくる。
Der Lindenbaum
AmBrunnen vordem To-re da steht ein Lin-baum ich traumt'insei-nem
Schatten so manchen su-Ben Traumj ich schnitt in sei-ne Rin-de so
manches lie-be Wort es zogin Freud'und Lei-de zuihm michim mer fort
zuihm michim merfort・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
泉にそい茂る菩提樹 慕って行っては綺麗な夢を見る 
幹に彫ったゆかしい言葉 嬉しい、悲しいに問いしその影・・・・・・
前半の方はまったくのソロ。ベンチに一人腰掛けたあたしの声だけが人通りの少ない時間帯のウンテル デン リンデンに響き渡る。
中盤の頃。オズオズとながらあたしの声に誰かのこえが絡まってきた。
いつもの間抜けな声よりもずっと綺麗な声。今一つ歌う事にていこうがあるのか、多少音程がたどたどしい。
後半。完全にぴったりな「Der Lindenbaum」のユニゾンが完成した。
「へ〜。良いところだな。」
いつもの間抜け声でそう言った人物。
そう、人質クラゲノー味噌ブルガリアヨーグルト男ガウリイ君にほかならない。
「あんた、ついてきてたわけ?」
「うん。」
アッサリ「うん」って・・・。ストーカーかい、あんたは。
「べつ、良いだろ。どうせお互い暇なんだし。」
「今でこそベルリン市民其T、と言ったかっこうしてるけどこう見えてもあたしはブランデンブルク辺境女公爵で、あんたはプロイセン公国の第二王子にしてあたしの国の人質なのよ!!今日はまだしも!!これからは勝手な行動しちゃだめよ!!」
「あ、そうだった。」
「おいおいたのむよ、にーちゃん・・・・。」
「ん、どうした?リナ?」
「・・・・・ん。」
「なんだよ、人の顔睨んで。」
「・・・・。ガウリイみたいな人になってたのかな〜っておもって。」
「何がだ?」
「あたしの双子のお兄さん。産まれるとき死んじゃったの・・・。
本来ならその人が選定侯、つまりいまのあたしに地位にいる、てことになるまね。
結婚したお姉さんが居る事には居るんだけどこーゆー目立つ仕事が嫌いで。
ねーちゃんに子供が生まれるとしたら男の子が良いな。あたしもお役御免になるし。」
「お前さんと双子なら俺には似ないと思うぞ。むしろ、従兄弟のケインに似てるんじゃねーか?」
「そうかな・・・・?」
「ついでにいえば、もうしばらくリナに選定侯の地位に居座って欲しいぞ。おれとしては。」
何時の間にか隣の席に陣取っているガウリイ。
「なんでよ。」
「良くはわからんがまあ、その方が俺としても側に居やすいだろ。」
じっとこちらを見るガウリイの目・・・。
熱情てきな想いと困惑が入り混じっている・・・。
たぶん。あたしもおんなじような・・・想いなのか。
信頼関係、それはある。
でも・・・・・。
それですら奇妙な形の物でしかない。どうしたらいいんだろ。
「グーテンターク(ごきげんよ)」
どうせ彼はすぐに追って帰って来る事は分かりきっていた。
しかし、あえてあたしはこの言葉を口にした。

何かが動き始めてる。そう感じながら・・・・。










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4511Das Licht Den BrandenburgWLINA 9/13-17:08
記事番号4495へのコメント
お終いだ・・・。そう思った。 


あの後すぐあたしは自分の城、サン・スーシー(無憂)宮へかえろうとした。
しかし人通りの少ない路地裏にさしかっかた時何者かに捕まりクロロフィルを嗅がされた。遠ざかる意識・・・。
気がつくと両手を押さえられ胸の辺りまであたしは水に浸かっていた。
ぼんやりとした意識のなか怒鳴るような声がきこえる。
「傷をつけるな!!あくまでも自殺か溺死に見せかけて殺せ!!」
「判っております。しっかしまあ、こんな小娘一人に手を焼かされるとわ。」
「仕方ないだろ。俺達が殺したなんてばれたらそれこそ俺達の王子もブランデンブルクの高官ドモに処刑されちまうぞ。」
喋り方にガウリイと同じようなアクセントがある・・・。恐らく彼を人質にとったあたしを殺そうというプロイセン公国の刺客だろう・・・・。
そう思った瞬間、あたしは髪を捕まれ、水面に顔押しつけられた。
逃げようにも体の自由がまったくきかない。
くるしい・・・・。
何でこんなに憎悪されなきゃいけないんだろう。
あたしが侵略者だから?
アンタたちの王子を人質にした張本人だから?
でも・・・。そうでもしなきゃこの国は存続さえ危ういのに!!
あたしだってこんなことやめれば一生辺境公爵として何一つ不自由無しにくらしていける・・・。ついでにいえばガウリイだってこんな不自由はしなくて済んだ。
水を飲めば飲むほど呼吸の苦しさと心情の苦しみにさいなまれる。
ケインの苦しみが今初めて解った気がする。
彼も辛いのよね。あたしと昔の自分のハザマ・・・うんう、あたしとガウリイのハザマで。ぶっきらぼうな従兄弟の優しさが今頃になって解った。
体が冷えてくる。五月とはいえ水はまだ冷たい。苦しい・・・。
ごめんね、ケイン。それにガウリイ。
渦巻く水流にあたしは意識を完全に奪われた。




「そこで何をしてるんだ!!」
「・・・・・!!王子!!良くぞご無事で!!」
「社交儀礼なんぞどうでも良い!!何をしているのか、と俺は聞いているんだ。」
「何をそうお怒りになられているのですか?」
「真昼間から家臣が人殺しを、それも他国に来てやっているのを見れば誰だっていい気はするはずないだろう!!その娘を放してやれ。」
「出来ません。それにこいつはただの街娘なんぞではありません。おい、おまえ、そいつの死相を陛下にお見せしろ!!」





意識がもどる・・・。まだ、生きてる・・・。
冷たい水から開放されたためか・・・・。
それとも自分で思ったほど水をのんでいなかったためか。
まだ肩の辺りまで水に浸かっている事、瞼を来きつく閉じていることに気がつく。
一瞬の静寂があたしの世界を支配する・・・。
それもつかの間・・・・・。
「リ、リ、リナ?リナアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
耳を突くような・・・叫び声・・。
誰の物なのか一瞬検討もつかなかったし瞼を開く気力もない。
まあ。おりからの仕事上の疲労とこの有様じゃ仕方ない事だけれども。
「隊長!!コイツまだ息があります!!」
「しつこい女だ。王子しばしお待ちを。こやつめを仕留めましたらただちに・・・」
言い終わるか言い終わらないかのうちにであった。その隊長とやらが何者かの手によって河原に倒れ伏した音がした・・・・。
そして暫く。何の感覚も掴めないでいたあたしを誰かが抱き上げたのが解った。
「誰にたのまれた?レイル兄貴か?それとも他の重臣か?要らぬ世話をするな。
これは俺とリナの問題だ。」
話の内容から誰があたしを助けたのかは理解できた。でも、こんな声で喋るのをきいたのははじめて。多分声だけならわかんなかっただろう。
ガウリイだってこと。
「も、申し訳ございません!!あくまで我々単独の行動です!!」
「おって沙汰する。ともあれレイルに伝えてくれ。俺は元気だ、てな。」

やっとの事であたしは瞼を開いた。
「お、リナ、平気か。」
何時ものお間抜け声のガウリイがそこに居た。
「ダンケ(有難う)あたしはだいじょ・・・・・・!!!!」
大丈夫。そう言おうとした矢先喉に熱い、焼け付くような感覚がこみ上げてきた。
「リナ!!」
ガウリイの驚愕の声。一瞬にして消えた先程の感覚とまた同じ感覚、そして胸を刺すような痛みと苦しみが走る・・・。これが初めてじゃない。
咄嗟に手を口元に持っていく。次の瞬間。
紅にそまったあたしの両手が目に入る・・・。
そう。あたしは吐血・・・いや、喀血していた・・・・。





「リナさん元々あんまり体が強いわけじゃなかったんです。病弱って言うわけでもないですけど少々呼吸器を産まれつき患ってて。」
ドア越しに聞こえるアメリアの泣きそうな声。
「だが、厄介な事になったな。ニーナ、本当なのか?」
「はい。残念ながら絶対安静、今度の対バイエルン戦争なんかに出陣したらリナ様しんじゃいますううううううううう!!」
「そうか・・・・。」
ゼル、ニーナ、ガウリイの声が立て続けに聞こえる。
「でも、ガウリイさんがリナさんの後に着いて行ってほんと〜に良かったね。ケイン。」
何となく技とらしいキャナル声。冷やかしのつもりだろうか?






「ガウリイ、ちょと話がある。そこまで付き合ってくれ。」
「ああ。別に構わないぜ。」

「もう、リナには関わらないくれ。」
「どういうことだ?ケイン。」
「別にお前が憎くてこんなこといっているんじゃない。いまが平時なら俺だってお前らの事どうこう言いやしないさ。ただ、俺はリナやお前に俺と同じような目にあって欲しくないんだ!!」
「お前さんと同じような事?」
「ああ。昔、俺は産まれてすぐにここ、ブランデンブルクから今でこそこそこの国の領土となったポツダムの公国に人質として差し出された・・。」
「・・・。ケインと今の俺は同じって事か。」
「まあな。しかしこれからだ。俺がお前達に辿って欲しくない俺の過去は。
ポツダムにブランデンブルクが攻め入ってきたんだ。当然俺の命も無いはずだった。しかし・・。親友のジェスと言う男がおれを解放してくれたんだ。そして・・・・。あいつは処刑されたんだ。俺なんぞに関わらなければ死ぬ理由もなかったんだろうによ。そして・・・。忘れ形見の妹、キャナルを俺に託して。」
「そう・・・、だったのか。」
「なあ、ガウリイよお、リナをどう思う?あいつはアンタの祖国がここに攻め入ってきてもあんたを処刑出来るような奴じゃない。俺とジェスはまだ良かった。
けど。アンタとリナは人質に公爵、ましては男に女だ・・・。」
「リナは強いが・・・。弱いと思う・・・。アイツ自身り理想と現実のハザマにあると思う。あいつの葛藤に決着がついたら・・・。」
「守ってくれるか・・?ガウリイ。
・・・・俺の双子の妹を・・・・・・・。」









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4515Das Licht Den BrandenburgXLINA 9/13-19:31
記事番号4511へのコメント
「だから、彼を処分したところでどうにもなりません!!」
「所が詮小国の朝知恵だ!!いちいちそんな事で選定侯を煩わすな!!」
「そうです!!ご病状が悪化するだけです!!」
キャナル、ゼル、アメリアの騒ぎ声がする。
そして、他の重臣たちのざわめき声も。
「どうしたの?」
あたしはダルイ体を引きずりながらそちらの方向に向かう。
「ああ!!リナさん、駄目じゃないですか!!ちゃんと寝てなきゃ!!」
やけにアメリアがあたしを部屋に返したがる。
しかし、それを遮る様に一人の大臣が言った。
「女帝陛下に申し上げます!!我々一同は人質のプロイセン公国第二王子の処刑を求めます!!」
唐突の事にあたしは絶句した。間が悪い、と言った顔をするキャナル、アメリア、ゼルが目についたがいくら腹心とは言え直接にこの場で問いただす事は出来ない。
それに・・・。あたしとガウリイの奇妙な信頼関係を知るのはこの3人とケインだけである。事を暴露して大臣達にややこしい詮索はされたくない。
「どう言う事なのです?」
あたしはありったけの威厳を込めて大臣の顔を直視しながら尋ねた。
「今日、バイエルンがわがブランデンブルクに進軍し5〜6日ぐらいのうちに城内に攻め入ってくるでしょう。」
「そんな事、はなっからわかっていた事でしょう!!いちいち報告するような事柄ではあるまいに!!」
あたしは苛立ちの矛先を下らない報告にぶつけた。
「いえ、問題はこの次です。不可侵の盟約を破棄しプロイセンの皇太子レイルがバイエルンのフィブリゾと結びブランデンブルクに進行してくる、と。その裏切り万死に値する事ゆえ人質の処刑を求めます!!」
な、何ですって・・・・・。
「・・・・・。追って沙汰します。皆の物、今は直ちに戦闘配置に着きなさい!!」
『Sehr gern(畏まりました。)』
あたしの一言に重臣たちは散って行った。
「何処へ行く、リナ!!」
「お願い、行かせて!!」
ゼルにそうとだけ答え走り出すあたし。
「あっつ、リナさああああん待って!!」
アメリアの声。
「行かせてやれ。あいつ自身のタメに・・・。」
微かにケインの声が聞こえた。





「よお、リナどーした?病気もう、良いのか?」
剣術の特訓をしていたガウリイがいつものお間抜け声であたしを迎えてくれた。
でも、ごめん。答えている暇は無いの!!
あたしは愛想よく左手なんぞ上げて『よ、』などと言っているガウリイの右手からロングソードを問答無用で奪い取り自分の左手を斬り付けた。
かなり手加減したとはいえ仮にもこれはロングソードである。
流れだすあたしの血・・・・。
「リナ・・・・何を!!何を馬鹿な事するんだ!!」
彼は大慌てであたしから剣をひったくる。
「何をしようと!!」
凄まじい剣幕・・・。彼の手が振り上げられた時あたしは一瞬打たれる、と思い身を縮めた。
が、そうではなかった。軽くあたしの顔に手を触れ優しく尋ねる・・・。
「どうしたんだ?一体・・・。」
この人を殺さなきゃいけないの!?あたしのやってきた事は正しかったの?
やっぱりあたしは侵略者でしかなかったの?血に塗られた女帝なの?
この人を殺す!!??出来るわけが無い!!答えは断固Nine(ナイン)、つまりNoに決まっている。
なおもあたしの顔と髪を撫ぜ続けるガウリイ。
あたしの中で溜まっていた物がいっぺんにはきでた。
「逃げて!!ガウリイ!!そうしなきゃあたしはあんたを殺さなきゃいけない!!
あんたの兄貴が裏切ったのよ!!バイエルンと一緒に今からココに攻めてくるの!!だから、選定公はあなたを殺さなきゃならない!!フリードリヒは・・・・・!!でも、リナは貴方を殺したくない!!おねがい、逃げて!!
アンタを捕まえに直々にココまで来たあたしを貴方が傷つけ逃走したことにすれば済むわ。」
「なにを・・・。そんな事出来るか。実際にでは無いとはいえお前さんを傷つけたことにするなんて・・・。ましてや戦争が起ころうとしてる中に置き去りに出来るか!!」
「あたしをこれ以上血に塗れた犯罪者にしないで!!戦争はまだやもう得ない・・・でも、この手が貴方の血に染まるのは嫌なの!!お願い!!あたしのワガママ聞いて!!」
「嫌だ。それに、リナの手はなるほど、確かに血に塗れているかもしれない。でもよ、お前サンがそんな辛い思いをしなけりゃもっと沢山の血が流されていたかもしれない。こんな乱世の時代だし仕方ないさ。それにブランデンブルクはプロイセンに比べて光っている。まるで、リナ自身が作り上げた光みたいに。お前だってこんな戦乱の世の中にとっととおさらばしたいから戦うんだろ?だったらもっと胸張って、そう泣くなよ・・・。」
あたしははっとした・・・。泣いてたんだね・・・・。冷血非情とまで歌われたこのあたしが・・・。
「俺も一緒に戦う。」
「うそ・・・でしょ・・・・・。」
あたしはガウリイを凝視した。そこには揺るぎ無い決意のある瞳・・。
「本当さ。レイル兄貴がココを攻めて来たって事は俺もおまえ同様に裏切られた、ってことだろう?なら、敵がわに寝返ったてどこからも文句は出ないさ。それにお前を守るってお前の兄貴・・・・、ケインに約束したんだ・・・。」
「なら、本当ね・・・。」
「あれ、驚かないのか?双子の兄が生きててしかも従兄弟とばかり思っていたケインだったなんて。」
「うすうす気がついていたの。彼があたしの兄貴じゃないかってこと。でも。ガウリイが言ってくれて・・・。確信を持てて良かった。じゃあ、あたしも出陣の支度する・・・・」
「リナアアアアアア!!」
口から、喉から、胸から伝わる熱い不快で苦しい感覚・・・。
知らぬ間にあたしは地に倒れふしていた・・・。目線に映るものは深紅の血。
耳に聞こえる物はガウリイの叫び。草の匂いひとつすら解らないほどの血液の嫌な匂いそして・・・全身を氷つくような悪寒が襲う・・・。
あたしの意識は闇の中に暗転して行った・・・。


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4519Das Licht Den BrandenburgYLINA 9/13-22:24
記事番号4515へのコメント
「リナさん・・・しんじゃうんですか・・?ゼルガディスさん」
「馬鹿な事を言うな、と言いたい所だが・・・。ニーナはそうとうな重病だと言っている。」
寂しげに呟くゼルガディスとアメリア。
「ちっきしょ!!死ぬんじゃねぞ!!リナ!!」
怒り壁を殴りつけるケイン・・・。
何にも言っていない。謝ってもいない。たった一人の妹なのにこんなに辛い思いをさせている事を。本来ならばこの苦行を背負うのは男の自分だった。
「俺には何もしてやる事はないのか・・・。これから戦争が始まるって言うのに。俺達はたかが一人の女無しじゃ何にもできないのか・・・。」
「マスタ・・・・・。」
ケインとキャナルも沈んできた・・・・。
「せめて、リナさんの変わりが出来る人が居れば・・・・。今まで私達って本当にリナさんにおんぶにだっこだったんですね・・・。彼女の姿が見えないだけで全軍総崩れだなんて・・・。」
そう。実際に今日の予行演習の時のブランデンブルク軍ときたら凄惨を極めるものだった。あの精鋭部隊と呼ばれたブランデンブルクの兵団が、リナがいない。
それだけの理由で寄せ集めの傭兵段以下の行動しかとれなかった。
「リナのかわり、か。そうだ!!ケインお前やれ。姿だけで構わん!!」
以前のアメリアとリナとのやり取りを思い出してゼルガディスが提案した。
「バレないかしら・・・?」
心配げにキャナル。
「ケインの周りは俺達でガードして見えないようにする。俺とアメリア、そして女戦士として初陣のキャナル、お前で適当に士気を高めるように工作する。
そして、あの男の出番だ。」
「・・・。ガウリイさんですね。」



「と、言う訳だ。頼んだぞ、ガウリイ。」
ゼルガディスの呼びかけに腑に落ちない顔をするガウリイ。
「真坂ガウリイさん!!まだ理解してないんですか!!ゼルガディスさんもう122・19999999回説明してるんですよ!!」
苛立ち声のアメリア。
「いや、そりゃーま今一つ良くわかんないけどもう、いいんだ。それよりもケイン、お前サンに頼みがある。」
「まさか、唐突に『リナを下さい』なんて言うんじゃねーだろうな?」
「いや、実はそーなんだけど・・・・。」
『ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ+100.』
「いや、俺なんかへんな事言ったか?」
「言いました言いました言いまくりましたああああアアアアアアアアアアア!!」
興奮気味のアメリア。
「いや、も、だあいたあああん(はーと)キャナルみーんなに言いふらしちゃおおおおっと!!(はーと+50)」
「おまえの趣味にとやかく言うつもりは無いが・・・。この非情時に良くもまあそんな恐ろしい事決意するきになったな。敬意に値するぜ。」
〜御伽噺さと、覚めた眼差しで〜(諦めていたら一生掴めない)状態のゼル。
「おまえなあああああ!!確かにリナを守ってくれとは頼んだが!!も〜少し頭良くするまで妹はやれええええええええええん!!」(実はシスコン)
ケインの絶叫!!!
「そんなに駄目か。俺にリナの代わりの役くれるの?」
「は?」
「だから、ケインに頼んでるんだ。俺にリナの代わりとして最前線に出て戦う役をくれって。」
「なんだ。そーゆーことか。いいぜ。ただし、本人じゃなくって役柄だけな。」
「どう言う事だ?そりゃ。ともあれ、リナとも約束したんだ。一緒に戦ってやるって。」
「そうだったんですか。びっくりして損しちゃいましたね、キャナルさん。」
「キャナル悲しいいいイ。みーんなに言いふらせなくなっちゃたああ。ああ、宇宙ゴキブリが目に浮かぶうううううううう。」
いずれ・・・。妹をコイツにやらなきゃいけない日は近いな・・・。
周りの騒ぎを尻目にケインは一人そう思った。




次の日。リナの意識は今だ戻らぬ中フィブリゾ率いるバイエルン軍が進行してきた。
開け放たれた城壁。その軍団の先頭にたった者がリナで無いことは一目瞭然だった。
その長い金髪の男はリナ同様に漆黒の馬に乗っていた。
更には今だリナの腕の血が付いたままのロング・ソードを腰に携えている。
鬼神のごときカリスマ性が自然と備わる風貌。リナ同様の純白の司令官の服。
リナのそれとはまったく種類の違う威圧感が自然と軍団の士気を向上させた。
さらに真後ろにはリナの腹心、ゼルガディス、アメリアが控え初陣のキャナルもいる。そしてあえて白馬にまたがりリナが普段愛着している軍服と同じデザインでありながら色の正反対な黒い軍服を着込んだケインもいる。
もちろん。それが何を意味する事かは周知の事。
リナの双子の兄は生きていた・・・。更に言えばこんなにも近くに居た、と言う事だ。
「皮肉なもんだな。変な占い師の予言のせいで俺は人質、リナは女公爵になるとは。それも産まれてすぐにそんな運命が仕組まれていた。名乗りをあげることも許されずに・・・。だが、ガウリイが来てから何かが変わった。アイツは本当にもう一つの予言、『ブランデンブルクの光』伝説の勇者かもしれないな。」
ケインは一人そっと呟いた。  






リナは意識をそっと取り戻した。
別に苦しくはない。まあ、元々あたしの呼吸器が弱いのは否めない事実なのだが、
これはもしかして・・・・・・・。
「あ、お目覚めですか!?リナ様!!」
見覚えのある顔。あたしの宇宙一のメイド、ミリィことミレニアム・ファリア・ノクターン嬢である。
「あ、ミリィ、みんなは何処!?」
「ただいま城外にてバイエルンの軍団と交戦中です。後、プロイセンの軍勢がバイエルン軍を裏切り戦いもせず本国に帰還したとか。」
「そう・・・。」
バイエルン軍は何とかしなきゃなんないけれども・・・・。とりあえずガウリイの立場は安全圏にもどったというところか。でも、しかしなぜ?
「あそうそう。忘れてました。ゼロスさまくらいの髪の長さの黒髪の26〜27歳ぐらいの美形の男性がこれをリナ様へ、と。かなりの身分の方とお見受けしましたが。」
からかうような口調でミリィがあたしに封筒を渡す。
『前略;偉大なる選定公にしてブランデンブルクの国母、女帝陛下たるリナ殿に
プロイセン公国皇太子レイルからお願いの儀とお詫びを申しあげます。
今回の我等のバイエルンとの同盟はすべてはすべて私の計略です。
今の彼女がご存知のようにわが国はブランデンブルクを攻め入るつもりは毛頭ございません。これもすべて・・・。もはや貴国に併合されるしかないわが国の運命を彼方に託すためなのです。かの昔弟ガウリイが生まれたとき、ゼラスという女占い師の予言で決められていたこと。どうか今回の事を罪とし、わが国へ攻め入ってください。私は無血開城する所存にあります。そして、国土と共に弟ガウリイを貴女に託します。』

そうだったの・・・・。
そうと知ったらガウリイ、喜んでくれるかな・・・。
あたしの思いを察したのだろう。
「ガウリイ様なら、リナ様さまの代わりに最前列に立ち戦っておられます。」
「ありがとう、ミリィ。特別貴方にだけ教えてあげる。あたしは重病なんかじゃない。そりゃあまあ、呼吸器は産まれつき弱いけどそれと疲労、更に言えば殺されそうになったショックが合併症起こして血ィ吐いちゃっただけみたい。良く休んですっかり元気になっちゃたわ。まあたニーナの誤診だったみたい。」
「じゃ、終わったらキャナルやアメリア達と一緒にボカしにいきましょうね!!」
「そうね。」
ミリィに着替えをてつだってもらいつつあたしはミーナの泣き喚く姿を想像した。
「あ、そうそうミリィ。後でいいんだけど・・・。」
「はい?」
「Ich habe groβen Hunger!!(イッヒ ハーベ  グローセン フンガア)
とってもお腹すいちゃった。」
「わかりました。宇宙一の料理作ってまってます。」  





Ich muβt auch heute wandern vorbei in tiefer
Nacht,da hab'ich im Punkel die
Augen zugemachtj und seine Zweige Kommher zumir, Geselle,
hier findstde deine Ruh・
今日も過ぎぬ暗き小夜中 
ま闇に立ちて眼閉じれば
枝はそよぎ手語るが如し
来よいとし友ここに幸あり

「この歌は・・・・?」
「まさかそんなはず・・・。」
「いや、間違い無い!!おお〜〜いりナアアアアああ!!」
最前列にデザインこそ違えどもあたしと同じ純白の軍服を着たガウリイが見える。
「今行くわ!!」
あたし達は最前列で駒を並べてたたかった。
みんな、理想の未来のために戦った。
ゼルも、アメリアも、キャナルも・・・。
そして・・・。あたしのたった一人の兄ケインも。
そして・・。ガウリイはあたしに託された勇者だったにちがいない。
この先どんな事が会ってもだいじょうぶ。みんなさえいれば・・・。


「Ich liebe do・・・・。」
勇者は隣の女帝にそっと呟いた。
ブランデンブルクの小柄な女帝がそれに気付いたかどうかは定かではなかった。





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4522Das Licht Den Brandenburg(おまけ)LINA 9/13-23:28
記事番号4519へのコメント
ふ、ふ、ふ。ゼロス、ど〜お?奥方様の荷物を持つ感想はアアアア?
と、と、ととっても幸せです。(しくしくしく)



腐ってますね・・・。
あのリナが病気になるし、あのガウリイがマトモなこと言ってるし。
それのしてもなんで二ーナお医者サンになれたんだろ・・・?
永遠の謎ですね。じゃ、また。

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4595Re:Das Licht Den Brandenburg(おまけ)秋永太志」 E-mail 9/15-22:41
記事番号4522へのコメント
読ませていただきました。なかなか面白いですね。これからもがんばって下さい。

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4605お礼LINA 9/16-18:24
記事番号4595へのコメント
ありがとうございます。
本気で趣味に走ったシロモノでした。
では、また。

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4527Re:Das Licht Den Brandenburg阿葵乃 9/14-01:20
記事番号4482へのコメント
読みました!
いいお話でした。
ドイツ語はわたしの大好きな言語なんです。
ちょっと遠くに感じるけど、身近に感じるところもありました。
私も呼吸器管にちょっと障害っていうか、患いがあるんです。
血を吐いたりってとこまではいかないけど、
水はきついんですよね。
ちょっと呼吸がさまたげられるとつらいんです。

っとゆうわけで、受験生として自覚のない阿葵乃でした。

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4553お礼LINA 9/14-17:43
記事番号4527へのコメント
コメント有難うございます!!
はっきり言って私の趣味にはっしたお話でした。
一応ギャグになりますが続編をこれから書きます。
興味があったら是非見て下さい。
お互い受験生・・・・。頑張りましょう。

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4563Re:Das Licht Den BrandenburgTRYNEXT E-mail 9/14-21:32
記事番号4482へのコメント
どうも、こんちわ!

前回に続き、読みました。
前もそうですが、設定が面白いですね。
ドイツが舞台ってのも良かったです。
やっぱり、ガウリナだしね♪
ケインとリナが兄弟で、ガウリイとレイルも兄弟・・・。
なんか兄弟ネタで、文書きたくなったな。(いつになるかわからないけど。)

とりあえず、また次回楽しみにしてま〜す。

TRYNEXTでした。

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4565お礼2LINA 9/14-21:53
記事番号4563へのコメント
ありがとうございます。
ぜひ、兄弟ネタを書いたら読ませてください!!
なお、続編もありますが完全ギャグです。あしからず。

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4726Re:Das Licht Den BrandenburgマミリンQ E-mail 9/20-15:34
記事番号4482へのコメント
初めまして♪

おもしろかったです♪

舞台も異色(?)でオリジナリティーに富んでて
よかったですぅ♪

でもやはり極め付けはガウリナ♪
信頼ってほんと、大切ですね。

では。

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4727お礼LINA 9/20-16:02
記事番号4726へのコメント
有難うございます。
これからも趣味をかねた「異色」路線でいきたいです。
では、また。