◆-『スレ〜STS』 2−3-猫斗犬(9/27-14:07)No.4918


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4918『スレ〜STS』 2−3猫斗犬 E-mail 9/27-14:07
記事番号4827へのコメント
 ども、今回は一気に3回分+1。
 これで5回目まで掲示する事になるがまだ、先頭シーン入らない…もしか
したら、2話は1話より回数が長くなるかも…それに面白みも足りないし…
なんか今回のはノリが悪いんだよなあ…

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 『スレイヤーズSTS』 
  第2話 ”舞い降りた者 運命の異界の天使”3回目
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**** RINA ****

「ところでさ…達也はこんなところで何やってんの?」
「え?何って…」
「この世界1国の見学!」
 答えに躊躇する達也を横にきっぱりはっきり言い放つアイン。
「…じゃあ…その手に持っているは何?」
 あたしの目に入ってるのは、達也の右手に握られている灰色っぽい紙の束。
それには大きな文字や小さな文字。いろいろな絵が描かれている。
「新聞…」
「新聞?」
「毎日、発行されるされる雑誌みたいな物さ」
「…ふ〜ん…読んでもいい?」
「多分読めないと思うよ」
「どーして…」
「異世界の文字が読めるのかあんたは…」
 …う…確かに…
「そんなの読んで見なきゃ……ってあれアインは?」
 さっきまでいたのに…いつの間に消えた!
「リナあそこ…」
 ガウリィが指さす。
 あっホントだあんなとこに…ソフトクリーム屋で並…
「………って…おい!」
 そこには達也まで…あたしと話をかわしていたその場所には、もちろんす
でにいない。
「なかなか素早いヤツだな…」
 いや…そんなんで片付けられるものなのか…はっきり言ってむちゃくちゃ
速すぎるって…こいつら…ジョセフィーヌさんの親戚じゃあるまいな…


 にこにこにこにこ…
「くううぅぅぅ〜うめぇ〜」
 拳を握りしめ感動する達也。
「うんうん。冷たくて、おいしい(はーと)」
 達也の言葉に頷くアイン。
 2人ともにこにこ顔で先ほど並んで買った、セイルーン印のソフトクリー
ムをぺろぺろなめなめあたしと並んで歩く。
 そりゃまあ、美味しいのはわかるけど…表現力が子供よね…
 2人を見ながら自分のソフトを口に一口含む。
 うん…この甘いけどしつこくなくて…後味がさっぱり…とても柔らかく…
 さて、店を離れ歩いている時に気付いたことが3つ。
 1つ目が達也が甘い物が好きだって言うこと。列に並んでいる時にアイン
から一様、聞いていたのだけど…
 2つ目にやっぱりアインは美人だって事。次から次といろんな男に軟派さ
れて…まあ…あたしも同じぐらい軟派されたけど…そん時のガウリィの顔っ
たら…焼いてくれたのかな?
 んで…3つ目が、黙っていれば美少女にしか見えない美少年・達也。まず
ソフトクリーム屋でのおばちゃんの「はい。お嬢ちゃん」と言うセリフをか
わきりにあたし達と一緒に数名の男にナンパされる達也。こめかみあたりを
引きつらせる彼を横目に、あたしは笑いをこらえるのに必死だったよ…
 まあ…一生懸命、ソフトクリームを食べる姿を見ると、彼の性別を知って
いるあたしでも間違えそうなのだから仕方がないであろう。
 ちなみに達也を軟派してきた男達全員に「オレは男だー!」と吠えながら
彼は蹴り飛ばして…うっぷん晴らししてたりもするのは余談である…
「喧嘩だ、喧嘩だ!」
 何!喧嘩?
 セイルーン印のソフトクリームも食べ終わったころである。
 数人の野次馬がそこで既に輪を広げ集まっていた。
「うっりゃああっー!!」
 その叫びと共に空に舞い上がるがたいのいいオッちゃん1名。
「たまやあー!」
 それにあわせて上がる少女の声。
 って、こいつが花火か!ぜんぜん似合わんぞ。
「喧嘩ですか?もしかしたら負の感情が食べれるかもしれませんねえ」
 ぺろりと舌なめずりしながらゼロスが言う。そういやまだいたのかこいつ。
そして輪の方へと向かう彼。
 ぺろぺろ…ソフトをなめながら、ゼロスが消えていく姿を見つめるアイン。
「…………」
「ってちょっと待て…アイン。あんたソフト食べ終わってなかったっけ?な
んでまだあんの?」
「ふっ…実は2つソフトを買って、もう一個を隠し持っていたのよ…」
 指を1つおったてて暴露する彼女。
「どうやって隠してたの…」
「…………」
 しばらく沈黙──
「じゃ!あたしは野次馬根性丸出ししてきます」
 いきなり、彼女はびっと手をあたしの方に上げ、ダッシュで輪の中に消え
ていく。
 それをぼーっと、見送るあたし達。
 ──?!──あっ──
「こおらあっ!ごまかし逃げ、すんなあー!」
 気付いて大声を上げたときは、彼女にはもう聞こえなかっただろう──
 ──が──
「おや?リナ。あいつ戻ってきたぞ」
 ガウリィの言葉にあたしが振り向くと、彼女はこちらへとダッシュしてい
た。まだ、1分も経っていないのだが…いくらなんでも飽きるには早すぎる。
 そしてあたし達の手前まで来ると、靴底と地面をこすらせ、
 きいきいぃぃ───────────────
 と音をあげ急ブレーキをし、あたし達の目と鼻の先まで……
 ……おっおっおっおっおっおっ?
 来たが前を通り過ぎ、
 おんやあ?
 更にそのまま進んで…その彼女をあたしの目が追う。
「…………」
 進んで…その彼女をガウリィの目も追う。
「…………」
 進んで…その彼女を達也の目も追う。
「…………」

 どぐうがしゃああーんっ!

『…………』
 あたしを含む3人は無言状態──
「──てめえ、売りもんに何しやがる!──」
「──ああっー!すみません!すみません!あやまりますう!ちゃんと全部、
弁償しますううぅぅー!!!──」
 止まれずに果物屋につっこんでやんの………


 しばらくして、
「あ、あはははは…ねぇ…達也…これって…会社から必要手当で、落とせる
かな?」
「…無理に決まってるだろが…」
「…だよね…うるうるうるうる…」
 自分がめちゃくちゃにしてしまった果物を両手に抱え、言いながら涙する
アイン。
「うりゃあああああー!」
 その声とともに、人だかりの中から、天に打ち上げられる、最初の人とは
違う1人のむさいおっちゃん。
 向こうではまだ喧嘩が続いているようである。
「ところでどうしたのよアイン。ずいぶん慌ててたみたいだけど…」
「そうよ、そうなのよ、そう言うことに決めたのよ…」
「なんだ、その最後の決めたっつーのは?」
「そんな疑問符マークなんかほっといて…とにかく、達也。ちょっと来て」
「おいおいおいおい…」
 彼女が達也の手を引いて再び野次馬の人だかりの方へ向かう。
 あたしとガウリィもついていってみる。
「…どうしたんだよ…」
「知っている顔があるの…」
「知ってるって誰だよ、それ?」
「それは内緒…その方がおもしろいし…」
「……おまえ…うちの師匠に似てきたな……」
「そりゃそうよ…あたしを作ってくれた博士は彼女の母親だもん(はーと)」
 なんのこっちゃ?

「はいはい、ごめんなさい。ちょっとごめん…はい、どうも…」
 そう言いながらアインが人をかき分けどんどん前へ進む。
 そして視界が開けた。
「ていっ」
 そんな声を出して一人のオッちゃんの顔面をけりつける一人の少女。
 ショートカットより短めでめちゃくちゃ元気な女の子ってイメージがぴっ
たんこ。
「わあー、きゃあー、こわいよおー、恵美ちゃんたすけてえぇー」
 などと相手をバカにした声を上げながら、あっちこっち走り回るもう一人
の少女………オッさんが彼女を捕まえようとすると、時にはしゃがんで、時
には方向転換をしてその腕をかわしたりする。
 素人目ではわからないだろうが、これはなかなか見事な体術さばきだった
りするのだ。
 しかも──
「なあ…あの子…どっかで見たこと…」
 どげしいぃっ
 最後までしゃべりきれぬうちに、あたしの拳で吹き飛ぶガウリィ…あっ!
ショートカットの子にそのまま蹴りくらってる…
 しばし──
「リナあ〜いきなり何すんだよお〜」
 ぼこぼこになって…うぷぷぷ…おもしろい顔…戻って来たガウリィが開口
一番に言い放つ。
「何って…少しは殴られれば、ヨーグルトの脳味噌も少しは固まるかな〜っ
て思ったから…」
「でも…何で急に…」
「いいから…どうせまだ気付いてないんでしょ、ガウリィ…よ〜く…彼女の
顔を見て…」
「ああ…」
 ガウリィに今も悲鳴を上げ逃げ回る女の子の顔を見させる。
「見たわね…じゃあ…今度はこっち…」
 そして達也を指さす。
 じー…
 あたしの言葉に従って達也の顔を見つめるガウリィ。状況を知らない人か
ら見たら危ないヤツと勘違いされるのは明白。
「で…質問は?」
「え?質問って…いや…あの…」
「本気で言ってます…ガウリィさん…」
 ジト目で言うアイン。
「いや〜そう言われても…」
 頬のあたりをこりこりかきながらのガウリィ。
 達也が1つため息をつく。
「あのなあ…ガウリィ。もう一度、あいつとオレの顔を交互に見比べてみな」
「…交互に…」
 言葉に従って首をぐるぐるぐるぐる回す彼。そして、
「おおっ!」
 ぽんと手を打ち、
「男と女!」
「わかってそれだけか!炸弾陣っ!」
 地面の爆発と共に吹き飛ぶガウリィと、ショートカットの女の子が喧嘩相
手、最後の1人を片付けるのはほぼ同時だった。


「って…ようするにこの子は達也の妹なわけか…だったらそう言ってくれれ
ば…」
「何言ってんのよ、この間アインが言ってたじゃない。達也には顔がそっく
りな妹がいるって…それでわかるでしょうが」
「え?んなこと言ったっけ?」
 ああ〜やっぱ憶えてねぇし…このクラゲは…
「だいたい…あんなそっくしな顔見て、少しはおかしいとかそんくらいは考
えつくでしょ、普通…」
「オレは考えなかったぞ」
「胸はって言うな!!」
 あたしと達也の間に入りソフトをなめながら歩く少女、名前を田中舞。先
ほどの会話どおり、達也とは双子で妹。改めて2人仲良く歩いてもらうと、
顔や背丈、その表情…髪の毛とその男女の違いによる特徴を抜かせば…本当
にそっくりで、もしかすれば親でも間違えるんでは無いだろうか?と言うぐ
らい。
 なんでも、彼女たちの世界では『シンガー』と言う仕事…歌を歌う人…で
お金を稼いでいるらしい(吟遊詩人みたいな者だろうか?)
「で…ちょっといいかな…えっと…今居さんだっけ?」
「はい」
 達也とアインの間を歩くショートカットより短い髪の少女が達也の言葉に
返事する。
 彼女は今居恵美。とてもボーイッシュな感じで、けどその仕草はやはり女
の子らしい表情をする。髪の毛を伸ばせば、ある意味、シルフィールに似て
なくもないが、性格は多少、あたしに似てなくもない。
 そのことについてはガウリィも納得してたりする…こいつの言い分ではあ
の喧嘩の立ち回りがよく似てるとか…やっかいごとに首を突っ込みたがると
か…あの喧嘩もそういった理由だったらしいし…
 達也が話を進める。
「あんたら2人が、ここにやってくるまでの経緯を話してほしいんだが…」
「ねえ…何であたしには聞かないの?」
「おまえさんだと関係ないとこから話しそうだから…」
「ぶう…」
 そして頬を膨らます。
「あーはいはい。舞ちゃんほらあそこ、なんかワッフルみたいな香りが…」
「えー!ホント!!」
「なに?ワッフル!」
 アインの言葉に声が重なる舞と達也。
『…………』
 …おいおい…
「…達也…あんたまでこの話しにのってどうすんの…」
「…あ…すまん…甘い物を聞くと…つい…」
 全員のジト目が突き刺さり小さくなる達也であった。


「あー、それでこっちに来た経緯なんだけど…」
 舞とアインは一緒に1つの店に行っている。ガウリィを一緒に付けて。あ
の二人じゃ危なっかしそうだし…まあ、ガウリィを付けてもかわんない気も
するが、付けないよりかはましだ。
「えーと…どのあたりから話せばいいです?あたしが10才のころあたり?」
「…頼む…舞みたいなボケは止めてくれ…」
「あーはいはい…って言っても突然だったからなあ…あまり話すことは…」
「突然?ホントに?」
「はい…なんかこう…空気が粘りを帯びて体にまとわりついたような間隔に
襲われて…それから足下が青白く輝いて…そして闇の穴に飲み込まれて…」
 …穴ね…それがゼオの言ってた…そして達也が話してくれた『インフェイ
ルホール』と言うヤツか…
 彼からは簡単にしか聞かされていないのだが、『インフェイルホール』と
は何かしらの影響により歪みによって開かれる、異界と異界とをつなぐトン
ネルをそう呼んでいるそうだ。
 ちなみにダークスターが召還された時のあのゲートは人為的に作られた物
なので、違った物と見られ、『ディリック・ゲート』と呼ぶらしい。
 達也とアインがこちらへとやってくるにも『ディリック・ゲート』を使用
したことはもちろん言うまでもないだろう。
「…で場所と時間だが…」
「場所は流東学園のN校舎屋上、時間は昨日の…でいいのかな…午後の授業
が始まってちょっとってところ…」
「…ふむ……」
 何かを考えながら、彼女を睨む彼。その顔は何かを疑っているようだ。
「…あ…あの…何か…」
「おまえさん…まだなんかかくしてるだろ…」
「…え゛…」
 まともに顔色を変える。
「だいたいうちの学校ってあの時期に転入は認めないはずなんだが。絶対、
新学期にならない限り転入は許さない…これはどういうことだ?」
 物静かに言い放ち、鋭い眼光の達也。彼の体からは殺気までがあふれ出し
ている。
「…えっと…それは…その…」
「なんなら、おまえさんだけ残してそのまま帰っちゃってもいいんだけど…」
「…え゛…」
 達也のいたずら混じりの笑みに、ますます顔色を変える恵美。
 はっきり言って、彼女に選択の余地はない。
「わ…わかりました…話しますよ…」
「よろしい」
「あたし…実は学園から依頼された探偵なんです」
 眉をひそめる達也。
「探偵?またなんで…」
「その…ここ2週間ほど学園内で行方不明者が続出して…」
「続出って何人?」
 今度はあたしが質問する。
「…8人…あたしと舞ちゃんを含めると10人になりますけど…」
「…8人…続出ってことは一編に消えた訳じゃないんだよな…」
「はい。そうです」
 達也の言葉に恵美がはっきりと返事する。
「う〜ん…ますます訳がわかんなくなってきた…」
 ぽりぽりと頭をかきながらなやみだす達也。よっぽど困った顔をして。
「どうしたの達也。わかるように説明しなさいよ」
「あ…ああ…それが…今言えることはたった一つ…彼女が通ってきた穴はオ
レの知らない物だって事ぐらいだな…」
「ちょっと…それ…どういうこと?」
「まあ…リナがそう思うのは無理ないが…オレもそんな疑問で頭がいっぱい
なんだ。一回、王宮に戻らないか。そこでアインと一緒に話しとあてはまる
物があるか探してみるよ…きっと、なんかあるぜ。ゼオに関する何かが…」