◆-『スレ〜STS』 2−4-猫斗犬(9/27-14:12)No.4919


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4919『スレ〜STS』 2−4猫斗犬 E-mail 9/27-14:12
記事番号4827へのコメント
 あ…しまった…2−3で戦闘シーンを先頭シーンって…
書いてしもうた………しくしく…

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 『スレイヤーズSTS』 
  第2話 ”舞い降りた者 運命の異界の天使”4回目
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**** MEGUMI ****

「どうだ…」
<ダメですね…>
「そうか…本社のコンピュータにも情報はないか…」
 現在、あたしに達也くん、リナさんとガウリィさんがここにいる。ちなみに舞
ちゃんはベットの中で睡眠中。
 アインさんはこの船とリンクするため姿が見えない。
 あたし達がいるところは宇宙船のコクピット。
 達也くんが言うには、正式名・201型感情登録知性体DWSMM(ディダブ
ルストゥーエム)変船『アイン』、と言うらしい。
 縦幅48メートル、横幅15メートル、総重量42トン、矢尻型の形をしたブ
ルーメタリック色…この色はアインの趣味&ラッキーカラー…の中型宇宙船なん
だそうだ。
 あたしはまだこの船全体を見ていないから、あんましぴんとこないんで驚きが
そんなに無い。
<…というかこれ以上はあたしや達也のレベルでは進入できません>
「つまりレベル7用のプロテクトがかかっているのか?」
<はい>
 深刻そうに話す彼。その横顔がすごく格好いい。
「オレ達はレベル6までしか見れないもんなあ…」
<中間管理職の辛いところですねえ…>
「なにをゼロスみたいなことを…」
 とリナさん…ゼロス?誰それ?
「なあ…達也…これなんだ?」
「…へ?…」
 間の抜けた声でガウリィさんの方へ彼は振り…
<あああ〜!ガウリィさんそれは!!>
「え?」
 ぽちっ…
 あっ…押しちゃった…
 ぷしゃああーっ!!!!!
「ひいへえぇー!!」
「うわあっ冷てえっ!!」
 突然、天井から泡入りの冷たい水がシャワーになってあたし達を襲う。
 ぴいやああー、もしかしてこれって消火装置いぃぃーーーー!
「ガウリィのばかああー!なんてことすんのよおーーーー!!!!」
「ええー俺のせいなのかリナ!」
「あったり前だああー!あんたがスイッチ押したんでしょうがあ!」
 リナさんの跳び蹴りがガウリィさんの顔面をとらえる。
<ぴいえぇー、水でショートしてるうう…あたしの可愛いコンソロールパネ
ルぐわああぁぁぁー>
「やかましい、泣いてないで早く消化を止めろお、アイーン!」
 正面にあるなにやらどでかいモニターに、可愛い何かが泣きまくるアニメ
が映っているけど…これって船のデフォルメバージョンとか…結構、お茶目
なんだなあ…彼女って…
 …ごおううぅん…
 あれ…何か今、小さな振動を感じたような…
<ええーウソ!!!主攻撃用プログラムが誤作動。ミサイルの装てん始めちゃっ
てますう〜>
「ぬうぅわあぁにいぃーー!!!!」
 彼の悲鳴が船内にとどろいた──
 あっ!
 すんごく可愛い、サングラスをかけたミサイルみたいな物が、泣きじゃく
る船の隣でピースサインするアニメがモニターに…ミサイルくんに×点の傷
跡見いーっけ(はーと)


「…だあああ…な…なんとか…間にあった…」
 椅子に座りながら、14インチ位のモニターに達也くんは突っ伏した。
 消火装置も既に停止しており、あたし達全員はぬれねずみ。
「ああ…びっくりしたよなあ…」
「びっくりしたよなあ…じゃないでしょうが…全部あんたのせいでしょ…全
部(努)」
「はははは…いや…わりいわりい…」
「…笑ってすますなよな、ガウリィ…次から次へとトラブルなんか起こしや
がって…終いにはその辺で転がりながら盆踊りを踊るぞ…オレは…」
 突っ伏したままで言う達也くん。
 …今のセリフで盆踊りする姿、想像しちゃった…結構可愛いかも(はーと)
 あれから、消火装置を切り、ミサイルの誤差起動をなんとか止めると、今
度はあのガウリィくん、やれやれと腰掛けた場所がちょうどコントロールパ
ネルの中の重力発生装置の停止スイッチ。
 艦内は無重力状態。その状態にあわてふためいて、更にその辺のスイッチ
を押しまくり、主エンジンの出力を全開にし、オーバーヒート寸前にまでに
追い込んだ。
「もしこれでオーバーヒートが止められなかったらどうなったと思うんだ…」
「…さあ…」
「船は爆発して全員おだぶつ…」
「…げっ…そんなにやばかったのか…」
 青くなるガウリィさん。
「ったく…」
<あのお…達也…>
「なんだアイン?…また、トラブルかなにかじゃないだろうな…」
<いえ…そのお…>
「なんだよ…さっさと言ってくれ。今は服を着替えて、一休みしたい気分な
んだからよオレは…」
<…正しいパスワードが…そのう…>
「はあ?何?」
<いや…あのね…ガウリィさんがコントロールパネルをむちゃくちゃに押し
まくった時さあ…偶然というかなんつーか…レベル10まで進入できるパス
ワードが入力されちゃったのよねえ…これが…>
 一気にしゃべりまくる。
「…え?…レ…レベル10?…」
<…うん…>
「…マジで?…」
<…うん…>
「………………」
<………………>
 しばらくは2人とも沈黙する。
 それはかなり長い沈黙だった──そして──
 ぎぎぎぃっと、達也くんはガウリィさんの方を向き、
「…ガウリィ…」
<…ガウリィさん…>
 アインさんも彼を呼ぶ。
「…な…なんだ…」
 あっ…ガウリィさんったら、また何か怒られると思って、腰が引けてる…
「<でかしたっ!!!>」
「…え?…」
 2人の声は見事にハモリ、正面のモニタには数多く多種多様の楽器を演奏
しまくる船達の姿がアニメーションした。
 いやいや…なかなか…にぎやかで…


 そして各個人でめーいいぱい力を抑えた火炎球で服を乾かし終えた時だっ
た。
<緊急警告!!>
 突然アインさんの声が部屋中に響きわたる。
「なんだ!なんだ!今度はミサイルでも自然発火したか?宇宙ゴキブリかね
ずみが進入したか?それともその辺の隕石がかすって1ミリ程度の傷でも付
いたか?」
「達也さん…最後の1ミリの傷って…」
「アインなら絶対騒ぐ!!」
 拳を握りしめ言い張る彼。
<あのねぇ…達也。いくらなんでもその程度の傷で…>
「この間、その程度の傷で…モニターに泣いている絵を表示しながら…うる
うるうるうる、うるるのる〜、たあ〜つう〜やあ〜…とか何とか言ってきた
のは、どこのどいつだ?」
<………………>
「…おい…」
<…そう言えば、そんな昔のこともありましたねえ…>
「…昔って…この間、おまえさんのボディを修理するために戻ったときだぞ
…まだ4日ぐらいしかたってないだろうが…」
<…もしかしてウィルスでも進入して記憶メモリがおかしくなったかな?…
すぐに確認してみます…>
 モニターに『うぃるちゅ はんまー』などというタイトルが現れそれが消
えると、検索中とパーセントのゲージが現れる。
「…まだしらをきるきか…こいつは…」
<…検索中…>
「…あーわかった、わかった…もう止めよう…それより緊急ってなんだ?」
<…検…あ…はい…実は…巨大なゲートが…>
「え?」
<ここから200光年先にゲートが開かれた後を感知しました…その大きさ
直径50キロ、中型艦が通れる程の大きさです>




**** RINA ****

「じゃあ…また…あの空を飛ぶ船がセイルーンを襲ってくるかもしれないん
ですね」
 達也の説明に頷くアメリア、けど…その顔は多少、青くなってたりする。
「ああ…多分な…やっかいなことに…」
「あんまり、来て欲しくないです…」
「そんなこと言ってらんないわよ…いくらあたし達が、その船だけは止めて
下さい、お願いします、プリーズ!…なあーんって言ったところで、はいそ
うですねえ、だったら止めましょうか…って答えてくれるわけないし…」
「そうですよね…」
 あたしの言葉にため息混じりで返事する彼女。
 まあ、ゼロスみたいな相手だったら、「そうですね、だったら止めておき
ましょう」っとにこにこ顔で言ってくれるかもしれないが…ただし、「その
かわり…」とかいう条件が付くとは思うけど…
 王宮の一部屋にある一つの大きなテーブルに各個人個人が席に着き、ジュ
ースやお酒を飲みながら、あたし達はこれまでに仕入れた情報を交わしあっ
ている…それと達也の妹の舞はいない。まだどこかの部屋で熟睡中らしい…
 っといっても、アメリアとゼルの方は情報があるわけでなし、かというあ
たしのほうと言えばせいぜい、あたしの名をかたって自英伝を書いているヤ
ツは見つからなかった…ゼロスだったという事実をあかしてしまったら、お
金をもらってそのまま許してしまったことまで話さなくてはならないので、
黙っている…ぐらい。
 そして、達也達が見つけてきたそのゲートと船が通ってきたんではないか
と言う話を今なされていたのだ。
「で…達也、あの2人が通ってきた穴だけど…」
 恵美と舞の2人がこちらにやってくることになった『穴』の話はまだ聞い
ていない。
「ああ…そうだったな…リナには言っておいたよな、2人が通ってきた物は
特徴を聞く限りオレの知っている物はないって」
 こく…あたしは無言で首を縦に振る。
「それにはまず、『インフェイルホール』と『ディリック・ゲート』の特徴
を上げて話さなきゃな…まず先に、恵美ちゃんから話を聞く前から『インフェ
イルホール』だけは違うだろうと思って除外したんだが…」
「除外?なんで?」
「2人が記憶をもっていたから…『インフェイルホール』の通り道にはとん
でもねぇ、エネルギーが充満しているんだが…普通の人間がそれに触れたら
…死ぬとまではいかないが…そのショックで記憶を失うとか…体の一部が動
かなくなっちまうとか…といっても、記憶をなくすつー方が断然確率が多い
んだが…そう言うことが起こるんだ」
「つまり、2人があんなに元気に喧嘩してるし、舞ちゃんはあんたのことを
ちゃんと憶えていたから…そういう事ね…」
「ああ…んで、核心をもったのは、8人の生徒が次々と行方不明になってい
る、って聞いたときだ」
「おおー、そういやそんなこと言ってたっけ…憶えてる、憶えてる…」
『………………』
 と、手をぽんとたたきながら言い出したのは、おおぼけ大王ガウリィくん。
『…おい…』
『…なっ…』
 それぞれ、2組の声がハモる。
「ちょっとガウリィさん!!何でそんなことを憶えていられたんですかあ。
そんなのガウリィさんじゃないですよ!!!!」
「…こりゃあ…明日にでも、槍の雨が降るな…明日は外に出ない方がよさそ
うだ…」
「…お、おまえらなあ…」
 アメリアとゼルの言葉にガウリィは苦笑い。
 …まあ…2人の気持ち、わからないでもないけど…
「あー、大丈夫大丈夫。ゼル、明日は槍の雨なんか降らないから心配しない
で…」
「だろうリナ。オレだって聞くときはちゃんと聞いているよなあ…」
 そのガウリィの言葉に無言のままジト目を返すあたしと達也。頬のあたり
をぽりぽりかきながら、キョトンとしている恵美はどうやら気付いていない
ようである。
「あのねぇ…ガウリィ…あんたがそんなことを憶えているわけないでしょう
が…」
「そんなことないぞ。俺はちゃんと憶えてるぞ。うん、確かに言っていた」
 腕を組みうんうん頭を動かす彼……だからなあ……
「…ガウリィ…」
「ん?なんだ達也」
「…言っておくが、それは気のせいだからな…」
「達也までそんなこと言うのかよお…」
「…だってよ…あの話、聞いてたのオレとリナだけだぜ…」
「…あっ…」
 …やっと恵美も気付いたか…
 あたしと達也の顔を交互に見るガウリィ。
「…え…そう…だっけ…」
『うん!』
 彼の言葉に2人は力強く頷いた。
「ふっ…やはりな…」
「やっぱり…ガウリィさんはガウリィさんだったんですねぇ…」
 完全に納得してる2人。
「ま…ほっといて、話し続けましょ…行方不明ってとこだけど…」
「…ん…ああ…えっと…次々と消えていったてーのが実は問題でな…」
「どういうことだ?」
 ゼルが身を乗り出す。
「『インフェイルホール』ってーのは、1日や2日でぽこぽこぽこぽこ開い
たりしたりはしないんだ。もしそんなことになったら、神隠しなんかは日常
茶飯事になっちまうよ」
「…ふむ…なるほど…一理あるな…」
「じゃあ…ゲートの方は?」
「それは至極簡単です」
 あたしの言葉に達也ではなくアインが言う。
「人一人がすっぽり入れるゲートを一瞬で開けることは出来ないからです」
「そっ恵美ちゃん、言ってたよね突然の出来事だったって…」
「…う…うん…」
 彼女は自分にウィンクをしながら言う達也に赤くなって返事を返す。
 …おや……もしかして…彼女…
「どうしてなんです…一瞬で開かないのは…」
「ゲートを開く方法は空間を歪めるんではなく、ねじって開けるんだ」
「ねじる?」
「そう、たとえばここの空間ともう一つの亜空間…そうだな…精神世界面…
とねじりながら一つにつなげる…そうするとどうなる?」
「ええっと…」
 その後、腕を組みながら達也がゆっくりと口を開く。
「なにも変わらないなあ…」
『………………』
 …おいこら…何じゃそれは…しかも遠い目でどこ見てる!おまいは!!!
「さて冗談はこのへんにしてっと…」
「…達也…あんたなあ…」
「まあまあ、子供がしたことだから…」
 …なに…シルフィールみたいなことを…
「話の続きだけどよ…ゲートを開くのにはねじるって言ったろ…けど、ただ
1回だけじゃなくて、何度も何度もねじるんだ。言ったろ。開くのに時間が
かかるって…そのためなんだよ」
「ふ〜ん、でも何のために?」
「さて、ここで問題です。2枚の紙を重ねて何度もねじると、いったいどう
なるのでしょうか?」
「ちょっとまてい…いきなりクイズかい…」
「正解者には6泊7日の温泉旅行をペアでご招待(はーと)」
 指を1本おったててにこにこ顔で言う達也。
「ええー!本当ですか!ゼルガディスさん、是非とも正解しましょ」
 喜びをあらわし、ゼルの手を握るアメリア。
「こらこら…冗談を真にうけんじゃないの…」
「あはははははは…」
 部屋に達也の笑い声が響いた。

 追伸..達也の言う正解には、紙を何度もねじったところがぶちきれると
のこと…まあ、当然のことなんだけど…ただ空間を一枚の紙に見立て、同じ
ことをしてみる…ちぎれた時の後は…穴が開く……そう穴なのだ…そして、
切れて手に残った方が言うなれば扉になる…つまりそれがゲート…彼らの言
う『ディリック・ゲート』──