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4920『スレ〜STS』 2−5猫斗犬 E-mail 9/27-14:19
記事番号4827へのコメント
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 『スレイヤーズSTS』 
  第2話 ”舞い降りた者 運命の異界の天使”5回目
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**** RINA ****

「さて…ほんじゃそろそろ始めるか…」
「はい」
 達也の言葉にアインが返事をすると、彼女の目の前になにやらおかしな光
が現れる。2つの長方形がLの字…う〜んと…本を開いてLの字にした感じ
…の光であった。
「ノートパソコンみたいな形していますね…」
「実際そのような物かな?電子結合によって投影固体化されている、ジェク
トパソコンって言うんですけど…」
「…へぇ…って…ありゃ…」
 感心しながらその光に触れようとする恵美の手が素通りする。
 どしゃ…
 そのまま、バランス崩して転んでやんの…
「おい…大丈夫かよ…」
「あーいたたたたたた…大丈夫、大丈夫…」
 そう言いながら出す達也の手を借り、言葉に答えながら顔を赤らめて立ち
上がる彼女。
 その赤い顔はただ恥ずかしかったからかな…それとも…
「さて…それじゃ始めるぞ」
 恵美が椅子に座り直すのを確認してから達也がアインに言う。
 その言葉と一緒にアインは光に手を置く。
「始めるって何を始めるんですか達也さん?」
「明日のまたは明後日の戦いに備えての、全員の武器類などの強化」
「…えっと…つまり…」
 アメリアの言葉に達也は一つため息をつくと、
「船のこともそうだけどよ。今度の敵が前の時より同レベルで…ましてや弱
い敵になるとはとても思えないんだ…もし、もっと強い敵が現れたりすると
どうする…こんども、今の実力のオレ達だけで勝てると思うか?」
「……う…思わないです……」
 小さな声でぼそりとつぶやく。
 確かに彼の言うとおりだった。あたし達のもつ呪文では、この間の敵であっ
た魔道士の結界をうち破るにかなり苦労したのだ。
 何せ竜破斬に2重の崩霊裂を携えた、光の刃でなんとかうち破ったぐらい
である。
 もし、それ以上の敵が現れたら…はっきり言ってあたしの神滅斬でしか破
る方法が無くなってしまうかもしれない。
 ましてや数人でかかられたら…手のうちようが無いだろう。
 それを達也は言いたのだ。
「けど…武器類の強化ってどうするのよ」
「例えば、この間ガウリィに貸した剣をずっと持っておいてもらうとか…」
「え?もしかしてくれるの」
「貸すだけだ、貸すだけ…」
「…なんだ…けちっ…」
 どうせ自分たちが使うんだから、そんくらいプレゼントしてくれてもいい
でしょうが…
「しょうがないだろ…後で会社の方から叱られるのはオレ達なんだから…」
「だったらさ、この間みたいに無くしたって言えば…あのカプセルみたいに
さ…」
「むちゃいうな…あのカプセルは値段的にはそんなにかかんないし…使い捨
てだったんだぞ。それに何度も何度も、落としたとか何とかの理由で誤魔化
せるわきゃないだろ…」
「…ちぇっ…ゆうずうがきかないわねえ…」
「…あのな…」
「…じゃあこうしよう…達也…あんたがあたし達を雇うってーのはどお」
「雇う?」
「そう、んでもってガウリィに対しての依頼料があの光の剣ってことで…も
ちろん個人個人依頼料はもらいますけど…」
「…おいおいおい…んなむちゃな…」
「あっあたしその提案賛成です」
「おい、アイン」
「いいじゃない達也。会社でも、そう言った提案はのんでもいいように言わ
れているし」
「けど…あの剣じゃ…ちょっと破格すぎねえか?」
「そうでもないですよ…今回の事件はかなりのやまですからね…このくらい
の依頼料でも充分だと思いますし…」
「…う…言われてみれば…」
「それに、そう言った依頼として雇った方がいいと思いますよ。リナさんっ
て自分に得をしないときは、全然本気出してくれないみたいですし…」
「…確かに…」
「…いえてます…」
 アインのセリフにゼルとアメリアが口々に納得の言葉を吐く。
 …おい、こら…それはどういう意味だ…
 しばらくの沈黙。
「…わかったよ…みんなを雇うことにしよう…」
 そして、達也がおれる。
 よっしゃ!商談成立!!
 これで魔力剣探しの旅もしなくてすむ………あ…でも、そうなるとあたし
がガウリィと一緒に旅をし続ける理由がなくなる……う…う〜ん…
 腕組みして考え込む。
「どうかしたんですか?リナさん」
「え?あ!ううん…なんでもないよ…なんでもない…」
「そうですか?」
 いぶかしげな表情のアメリア。
 …うう〜ん…理由かあ…どうしよう…


「…じゃあ…次…」
 あたしの内心の同様など意にかえさず達也がため息をつき言うと顔をゼル
の方へと向ける。
 突然、立ち上がるゼル。
「…ん?…どったのゼル?…」
「リナ達は知っているだろう。俺は今、元の体に戻る方法を探している。こ
んな仕事をする気はない…」
 ゼルが言い放ち、
「…それとも、2人が元に戻してくれるのか?まあ、無理だろうがな…」
 そしてドアへ歩み出ていこうとする。
 …そうだ…ゼルは今でも、元の体にに戻るための方法を探しに旅を続けて
いる…何せ、こんな時でもこのセイルーンにある国立図書館に行って何かし
らの情報を探しているくらいだから。
「…元の体って?…」
「ええ実はある魔道士にキメラにされて…」
 恵美の疑問にアメリアが小さな声で答え、
「あれがゼルガディスさんの姿じゃないんですか?」
「…キメラ化された体を元にか…それなら何とかなるけど…」
 達也と恵美の全く違った言葉が重なる。
 ……え?
 ゼルの歩みが止まる。ゆっくり達也の方に振り向き、
「…おい…今…おまえ…何って…言った…」
 ゼルが切れ切れな言葉をつむぎだす。
「え?何って?」
 きょとんとした顔の達也。
「そうです…今…何とかなるって達也さん言いましたよ…」
 言いながら意味もなくテーブルに片足を置き、天に向かって拳をふるアメ
リア。
「もし嘘をついているのなら、それは悪です。あたしが天に変わって成敗し
て上げます」
 その握った拳の手を達也に向け指さす。
 しばらくは誰も口を出さず、わけのわからぬ緊張が空気を張りつめる。
「はいはい…もう気が済んだでしょ…これ以上あんたが入り込むと、話がこ
じれるから、とっととそっから足どけて、椅子に座って黙ってなさい」
「…は、はい…」
 手をたたきながら言うあたしの一喝に返事を1つ、アメリアは静かに椅子
で縮こまる。
 あたしはもう一度口を開く。今度は達也へ。
「ねぇ…本当に?…本当にゼルの体、元に戻せるの?」
「ああ…準備には時間がかかるけど…」
「かかるって、どのくらいなんですか?」
「えーっと…まず…手続き用の資料作りに1日だろ…」
 アメリアの質問に、達也が手を自分の目の前にかざし指を折りながら日数
を数える。
「…で…チーフに許可をもらって上層部に連絡がいくのに2日…それから…
手術の準備に18日かかるって…言ってたかな?…となると…合計…うん…
ちょうど3週間だな…」
「…3…週間…」
 つぶやくゼル。
「…は…はははは…」
 そして感情のない笑いをしながらこちらにゆっくりと戻ってくる。
「…あの…ゼルガディスさん…」
 心配するアメリアの横を通り過ぎ、
「…ははは…3週間後に…手術を…受けられる…そして…元に…ははは…」
 …ぶつぶつぶつぶつ…
 ぴたっ!
 達也の前で歩みを止める。
「…あ…あの…なにか…」
 ただならぬ雰囲気に達也は怖じけづき。
 ぐわあしいぃっ!
 とゼルが一瞬にして両手で達也の両肩をつかんだかと思うと、
「頼む!達也!!手術を!!!」
 ごおおおぉぉぉー!!!
 うおっ!ゼ、ゼルの体が燃えてる!!
 …す、すんごい気迫…
「そ、その手術を俺に!俺に受けさせてくれええええぇぇぇぇぇぇぇっ!!
!!!!!!」
 言いながら彼の体をぶんぶかぶんぶか前後に揺さぶる彼。
「た〜つ〜や〜!」
 揺さぶりが激しくなる。
「…ちょ…ちょ…ゼ、ゼルガ…げほ…」
「たのむううぅぅぅーー!」
 …更に激しく…あっ白目むきかけてる…
「…わ…わか…わか…わか………………………」
 そして──彼は沈黙した──


「…げほ…けほ…ああ…死ぬかと思った…」
「す…すまん…つい取り乱した…」
 少し赤くなりながら謝るゼル。
「…まあ…いいけど…」
 少しジト目の達也。
「…そ…それで…手術の事だが…」
「…いいよ…」
「へ?」
「だからいいってば…OKだよ」
「ほんとか達也!そんな簡単に…」
 言いながら立ち上がるゼル。
「うん…ただし…」
 達也の次の言葉をゼルは片手で止め、
「…わかってる…依頼のことだろ。任せておけ…あんな奴ら、この俺が全て
片付けてやる…」
 静かな口調でにやりとしながらゼルが言う…そん時の目がおもいっきしす
わってたりするが…でもね…ゼル…そう簡単にはいかないと思うよ…相手は
結構強いし…
「そうじゃなくってさ…」
「そうじゃない?」
 アメリアが言う。
「この仕事が全て片づいてから手続きをとるつもりだから…ようするに事件、
解決後、3週間たってから手術ってかたちで…」
「あ…なんだ…そんなことか…別にかまわない、戻れるのならな」
「んじゃ…商談成立っと…アイン…本社にメールおくっといてくれ…」
「ほいほい…」
 そう返事をするとアインの指が激しく動き出す。まるでピアノを弾くよう
に『ぱそこん』とか言う物をたたいている。
「…ふ、ふふふふふ…そうか…ついに…ついに戻れるんだな…俺は…」
 両手を見ながら一人含み笑いする彼。
「おめでとうございます。ゼルガディスさん」
「おめでとう。ゼル」
 アメリアとあたしの順に笑顔と一緒におめでとうの言葉を送り出す。
「…あ…ああ…」
 今まであたし達が見たこともないような、多少の照れを隠した笑みを見せ
るゼル。
 ぽんっ
「…よかったなあ〜ゼル…」
 会話には黙ったままいっこうに加わらず、忘れられた存在だったガウリィ
が彼の肩をたたきながら突然会話に紛れ込んだ。
 そこにはいつもどおりの屈託のない笑顔。
「ああ…ありがとう…ガウリィ…アメリア…リナ…」
 素直にお礼の言葉を返すゼル。
 ホント…ゼルってあの体には苦労してたからなあ…自分の事のように心の
底からすごく嬉しと思えてしまう…仲間として…
 くうぅ〜…なんか、目頭が熱くなってきたよ、あたしゃあ…
「なんかこう…こっちのあたし達も嬉しくなってきちゃいますねぇ…」
「…ああ…」
 ゼルの苦労をなに1つ知らないはずの達也達もとても嬉しそうな顔をして
くれている。
 ガウリィが口を開く。
「…で…何がよかったんだ?」
 ちゅどーんっ!
 全員、自爆。
「…こ、こここ…こら…ガウリィ…こんな感激のシーンで…なんちゅう、大
ボケを……あっ!…あんたまさか…こんな時まで寝てた…なんて言うんじゃ
あないでしょうね!!」
「…ね…寝てたって…ふつう寝るか?あー言う状況で…」
 テーブルの下から言いながら顔を上げる達也。
「…え?…あ…いや…ちゃんと起きてたけど…」
 嘘をつけっ!
「ただ単に忘れてただけで…」
『よけい悪いわあー!』
 ほぼ、全員の声がハモった。
 あんな、ほんの少し前のことを忘れんじゃないいぃぃっ!!!

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4921『スレ〜STS』 2−5ー番外 ゼルやんの悩み猫斗犬 E-mail 9/27-14:25
記事番号4920へのコメント
 ちは(はーと)猫斗犬どすえ!
 今回は第2話を書いているところで思いついた、
 ショートショートコメディです。
 ゼルガディスくんが自分の体に戻れることになって、おもいっきしぶっ壊
れるシーンがありますが、もしゼルガディスくんが、元の体に戻ることより
自分の名前にかなりこだわっていたらどういう反応をするか、なんて考えて
たら、出来ちゃった話です。

 最初は本編に載せようかとも思っていたのですが、あのガウリィくんの大
ボケもめちゃくちゃ勿体ないし、載せるとその後の物語の修正が旨く行かな
いので…次の日まで続いてしまうからその後の戦闘に支障をきたしてしまう
し…カットしちゃいました。

 シーンは達也がリナ達に払う依頼料を決めるときのシーンです。


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 『スレイヤーズSTS』 
  第2話 ”舞い降りた者 運命の異界の天使” 第5回目のしょーとしょーと

  番外編 外話 ”ゼルやんの悩み”
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**** RINA ****

「…じゃあ…次…」
 あたしの内心の同様など意にかえさず達也がため息をつき言うと顔をゼル
の方へと向ける。
 突然、立ち上がるゼル。
「…ん?…どったのゼル?…」
「リナ達は知っているだろう。俺は今、元の体に戻る方法を探している。こ
んな仕事をする気はない…」
 ゼルが言い放ち、
「…それとも、2人が元に戻してくれるのか?まあ、無理だろうがな…」
 そしてドアへ歩み出ていこうとする。
 …そうだ…ゼルは今でも、元の体にに戻るための方法を探しに旅を続けて
いる…何せ、こんな時でもこのセイルーンにある国立図書館に行って何かし
らの情報を探しているくらいだから。
「…元の体って?…」
「ええ実はある魔道士にキメラにされて…」
 恵美の疑問にアメリアが小さな声で答え、
「あれがゼルガディスさんの姿じゃないんですか?」
「…キメラ化された体を元にか…それなら何とかなるけど…」
 達也と恵美の全く違った言葉が重なる。
 ……え?
 ゼルの歩みが止まる。ゆっくり達也の方に振り向き、
「…おい…今…おまえ…何って…言った…」
 ゼルが切れ切れな言葉をつむぎだす。
「え?何って?」
 きょとんとした顔の達也。
「そうです…今…何とかなるって達也さん言いましたよ…」
 言いながら意味もなくテーブルに片足を置き、天に向かって拳をふるアメ
リア。
「もし嘘をついているのなら、それは悪です。あたしが天に変わって成敗…」
 その握った拳の手を達也に向け指さそうと…
「そうじゃない!」
「…して…え?そうじゃないって…」
 …して、ゼルの言葉で指はあらぬ方向へ向いた。
「おまえ今、俺をなんて呼んだ?」
 ゼルが恵美を指さして聞く。
「なんてって…ゼルガディスさんって呼びましたけど…それがなにか?」
「…くうっ…」
 突然、腕を目にあて泣き出すゼル。一体何が…
「ちょ、ちょっとゼル。どうしちゃったのよ?」
「…嬉しいんだ…」
 …嬉しい?やっぱりもとに戻れることが?でも恵美から名前を聞いてたし…
「俺の名前を間違わずに言ってくれたんだからな…」
『…は?……………………』
 一時、沈黙が起こる。
「…ま…またあ…ゼルガディスさんったら、そんな名前のことで嬉しいんだ
なんて…」
「だったら、アメリア。おまえさんが俺と初めて会ったときに、最初正しく
名前を呼んでくれたか?」
「え?あっ!いや…それは…その…」
「だな…じゃあ…リナとガウリィ…」
「…た、確かに…間違って呼んだ…わね…」
 確か、ガウリィが間違った名前で呼んで…それをあたしが訂正して…更に
そのあたしが呼んだ名前をゼルが訂正した。
「あれ?そうだっけか?…」
「そうさ…それにディルギアならまだしも…あのゾルフやロディマスでさえ
間違ったんだからな…」
 …えっと…
「しかもあのレゾのやつは!」
 どん!
 テーブルを拳で殴るゼル。彼の目が細くなり、体から殺気が漂う。
「俺が嫌がるのを解っていながら、わざと間違ってからかって…」
「…あの…ゼル…」
 もしかして、レゾを嫌っていた1番の理由がこれだと言うまいな…
「…それだけじゃなく…」
 こうしてゼルガディスの愚痴は、アルコールも入っていたせいか夜中まで
永遠と続いた…おいおい…いいかげんにしてくれぇ…
 そして、次の日──
 永遠と愚痴を聞かされ、テーブルに全員が突っ伏して涙もかれひからびる
中、ゼルだけまだ元気に愚痴をこぼしていたりする。
 それとどこで聞いていたのか、ゼロスがわざとゼルの名前を間違えてしば
しの間、からかうという出来事があったのは余談である──
                         END--ちゃんちゃん

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 う〜む…本気であり得たかもしれたいもう一つの世界。
 結構おもろいかも…
 ちなみにゼロスはゼルガディスの名前をどんな風に間違って呼ぶんでしょ
うねぇ。ついでに、女装した時(NEXT)に使った名前も使って呼んでた
りして…それもまたゼルガディスは嫌がると思うし…
 さて、次回は6回目──いつ、戦闘シーンに入れるんだろ……

 ではでは、猫斗犬でした──