◆-小さな恋の物語-東智華(9/27-20:50)No.4925
 ┣Re:小さな恋の物語-ルビーアイ様(9/28-19:51)No.4953
 ┃┗ルビーアイ様-東智華(9/29-20:55)No.4968
 ┣Re:小さな恋の物語-千恵風味(9/29-15:15)No.4965
 ┃┗千恵さんへ-東智華(9/29-20:47)No.4967
 ┗感想:小さな恋の物語-Milk(10/1-07:21)No.5002
  ┗Milkさんへ-東智華(10/1-21:19)No.5008


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4925小さな恋の物語東智華 E-mail URL9/27-20:50

『大好き』
『私も好きよ』
『置いていかないでね』
『うん、置いていかない』
幼き日に交わされた約束事。
花の舞い散る中での秘め事。


部下の報告をシェーラは聞く。
「そう、リナ=インヴァースが…」
ぎゅっと拳を握り締める。
彼女には昔の記憶がない。
わかっている。わかっているが…。
安易な名前…そう言われたことに傷つく。
この名前を誉めてくれたのはリナ、あなたなのに…。
覇王様は神官の後に将軍を創られた。
そのせいか将軍よりも神官を昔は頻繁に使われた。
それも当然のこと。
わかっているがそれは感情でわかるわけはなく…。
ある日そんな疎外感に悩まされて外へ飛び出していった。
泣いて泣いて走った。
何処まで来たのかわからないとき、その何処とも知れない花畑に彼女はいた。
「誰?」
「シェーラ」
思わず答えてしまう。
「どうして泣いてるの?」
首をかしげて彼女が問う。
私はその小さな子供に感情をぶつけた。
「私、グラウのこと嫌いじゃないのに。でも、何だかとってもやな感情を抱いてるの」
言っているうちにまた涙があふれてくる。
「あたしもね、お姉ちゃんがいるの」
その女の子は三角座りをしてぽつぽつと話し出す。
「お姉ちゃんは何でもできるのにあたし何でもできない」
その子の瞳からは大粒の涙。
「どうしてかなぁ。あたし一生懸命やっているのに、全然できないの。駄目な子なのかなぁ」
顔を膝につけてぼろぼろと涙があふれる。
何故か心が痛んだ。
「泣かないでよ」
「駄目な子じゃないよ」
「でも、リナ何でもできない。お姉ちゃんはすぐできるのに」
シェーラがその肩を抱く。
「みんなお姉ちゃんのほうが好きに決まってるもん」
「私はリナのお姉ちゃんより、リナのほうが好き」
「本当?絶対?」
リナが顔を上げる。
「うん」
「私も。グラウって言う人よりシェーラのほうが好き」
「うん」
「約束ね」
「うん、約束しましょう」
リナが花を摘みそれで輪を作り指輪にする。
「はい!約束のしるし。ずっとその約束を守るっていう印なんだって」


「リナ」
「あ、シェーラ」
リナが嬉しそうに微笑む。
「待ってたの」
そう言って抱きつく。
「シェーラ好き」
「私もリナが好き」
「ずっと一緒にいれたらいいのに」
「そうね」
リナの髪をシェーラは弄ぶ。
「リナの髪好き」
「ほんとう?」
「手触りがいいもん」
「シェーラもいい匂いがして好きよ。」
「そう?」
「そう。」
「シェーラ、好き。お父さんとお母さんとお姉ちゃん以外だったらシェーラが一等好き」
「あたしも覇王様とグラウを除いたらリナが一番好き。だから置いてかないでね」
「うん、置いてかない」
リナは花冠を作ってシェーラの頭にのせる。
シェーラもリナの上に花冠を作ってのせてあげる。
舞い散る花の中、白い花冠をかぶった二人は誓いの言葉を口にした。
まだ、幼い二人。
幼いゆえに純粋だった。
帰り際、リナがシェーラに囁く。
「シェーラってその覇王様に好かれていると思うよ。だってそんな綺麗な名前つけてくれたんだもの」


「シェーラ」
別れて振りかえってみると、そこには。
「グラウ…」
「覇王様が心配している。帰ろう。」
「覇王様が…」
「覇王様だけじゃない。私も心配した」
「…ごめんなさい」
そう、グラウは悪くない。
同僚で世話を焼いてくれる優しい存在と主に心痛ませたことを知って後悔する。
「もう、あの人間のことは忘れろ」
「リナを?」
「残酷だが、私達は魔族なんだ。それを知ればあの人間は傷つくだろう。それに周囲の人間があの子を殺すかもしれない」
殺される?私のことを好きだといってくれた少女が?
「駄目!!」
そんなこと…!!
「お願い。それぐらいなら…」
記憶を消して。あの子の記憶を…。
「お前の記憶も消してやれるけど…」
シェーラは頭を振った。



あれから年月は過ぎた。
子供は少女になり、生まれたてで何もできなかった魔族は4人の腹心の片腕と称される実力を持った。
リナ、か。
敵としてまみえたくなかった。

『シェーラ、好き』

わかっている。
彼女は人間で私は魔族。
こんな感情は正しくない。
覇王様。どうして、私を作るときに感情なんてものを吹き込んだのですか?
どうしてあなたにただ付き従うだけの存在にしてくれなかったんですか?


向かってくるのは少女。
闇の刃を持つその姿は何もできないと泣いてた面影はない。
自分で幕を引き、そして閉じる。
全部持っていくわ。
想い出も全て。
これで良かったかもしれない。
私はこれで置いてかれることはない。
別の人を愛する少女を見なくていい。
我知らず微笑みがこぼれた。



何処かで見た風景。
何処でだろう。
「リナ、どうしたんだ?」
「ううん、なんでもない」
シェーラのあの微笑が気になる。
一体あれは…。
見ると子供が花畑で遊んでいる。
思わず笑みがこぼれる。…・そうこぼれるはずだった。
「リナ?」
だが、こぼれたのは笑みではなく涙だった。
「あれ?」
ガウリイがリナを抱きしめる。
胸が締め付けられる。
逞しい腕、胸。
昔、こういうことがあった。
だが、逞しい腕や広い胸ではなくいい香りの華奢な…。
リナはガウリイにすがりつく。
涙がガウリイの胸を濡らした。


くすくす。
『ずっと一緒だよ』
『うん、絶対ね』
『大好き!シェーラ』
『大好きよ、リナ』
くすくすくす。


問題はいくつあるでしょうか?

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4953Re:小さな恋の物語ルビーアイ様 E-mail URL9/28-19:51
記事番号4925へのコメント
うう〜、感動しましたぁ〜!
シェーラの描き方、とってもいいですぅ〜!

最初はレズものかと思ったのですが・・・・(殴ってやって下さい)
リナは昔はあんなにいい子だったんですねぇ・・・・
姉ちゃんって一体(ふふふ・・・)

グラウ君、優しいおにーちゃんしてますね。
やっぱり可愛い妹なんでしょうね。

シェーラの微笑みの意味か・・・考えちゃいますね、うんうん。
想い出をもっていっちゃうなんて、ズルい女だよ、シェーラは。(^_^)

ちょっと変な感想になっちゃいましたけど、
とても面白かったです。
特にシェーラが登場する話は大好きなんで、入り込んじゃいました。

それでは失礼します。

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4968ルビーアイ様東智華 E-mail URL9/29-20:55
記事番号4953へのコメント
>最初はレズものかと思ったのですが・・・・(殴ってやって下さい)
なんとなくリナとシェーラって同じ立場だったらすっごい仲がいいだろうなと思って。今度魔族とか言う設定無視して異種族という観念だけでシェーラとリナの話を書こうかと思ってます。
>リナは昔はあんなにいい子だったんですねぇ・・・・
>姉ちゃんって一体(ふふふ・・・)
>
>グラウ君、優しいおにーちゃんしてますね。
男にしようか女にしようか迷って結局は明記してません。
女だったら絶世の美女!だと思いますけど。
>やっぱり可愛い妹なんでしょうね。
そうですね。
>シェーラの微笑みの意味か・・・考えちゃいますね、うんうん。
>想い出をもっていっちゃうなんて、ズルい女だよ、シェーラは。(^_^)
ううん、ある意味ずるいと思います。ささやかな復讐ってとこですか。
>ちょっと変な感想になっちゃいましたけど、
>とても面白かったです。
>特にシェーラが登場する話は大好きなんで、入り込んじゃいました。
はい。シェーラなお話を卓さん書かれていることで有名でらっしゃいますから初めはお怒りな感想かとどきどきしちゃいました。
本当にありがとうございました。
あなたの方も頑張ってください。

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4965Re:小さな恋の物語千恵風味 9/29-15:15
記事番号4925へのコメント
東智華さんは No.4925「小さな恋の物語」で書きました。
>『大好き』
>『私も好きよ』
>『置いていかないでね』
>『うん、置いていかない』
>幼き日に交わされた約束事。
>花の舞い散る中での秘め事。
>
>
>部下の報告をシェーラは聞く。
>「そう、リナ=インヴァースが…」
>ぎゅっと拳を握り締める。
>彼女には昔の記憶がない。
>わかっている。わかっているが…。
>安易な名前…そう言われたことに傷つく。
>この名前を誉めてくれたのはリナ、あなたなのに…。
>覇王様は神官の後に将軍を創られた。
>そのせいか将軍よりも神官を昔は頻繁に使われた。
>それも当然のこと。
>わかっているがそれは感情でわかるわけはなく…。
>ある日そんな疎外感に悩まされて外へ飛び出していった。
>泣いて泣いて走った。
>何処まで来たのかわからないとき、その何処とも知れない花畑に彼女はいた。
>「誰?」
>「シェーラ」
>思わず答えてしまう。
>「どうして泣いてるの?」
>首をかしげて彼女が問う。
>私はその小さな子供に感情をぶつけた。
>「私、グラウのこと嫌いじゃないのに。でも、何だかとってもやな感情を抱いてるの」
>言っているうちにまた涙があふれてくる。
>「あたしもね、お姉ちゃんがいるの」
>その女の子は三角座りをしてぽつぽつと話し出す。
>「お姉ちゃんは何でもできるのにあたし何でもできない」
>その子の瞳からは大粒の涙。
>「どうしてかなぁ。あたし一生懸命やっているのに、全然できないの。駄目な子なのかなぁ」
>顔を膝につけてぼろぼろと涙があふれる。
>何故か心が痛んだ。
>「泣かないでよ」
>「駄目な子じゃないよ」
>「でも、リナ何でもできない。お姉ちゃんはすぐできるのに」
>シェーラがその肩を抱く。
>「みんなお姉ちゃんのほうが好きに決まってるもん」
>「私はリナのお姉ちゃんより、リナのほうが好き」
>「本当?絶対?」
>リナが顔を上げる。
>「うん」
>「私も。グラウって言う人よりシェーラのほうが好き」
>「うん」
>「約束ね」
>「うん、約束しましょう」
>リナが花を摘みそれで輪を作り指輪にする。
>「はい!約束のしるし。ずっとその約束を守るっていう印なんだって」
>
>
>「リナ」
>「あ、シェーラ」
>リナが嬉しそうに微笑む。
>「待ってたの」
>そう言って抱きつく。
>「シェーラ好き」
>「私もリナが好き」
>「ずっと一緒にいれたらいいのに」
>「そうね」
>リナの髪をシェーラは弄ぶ。
>「リナの髪好き」
>「ほんとう?」
>「手触りがいいもん」
>「シェーラもいい匂いがして好きよ。」
>「そう?」
>「そう。」
>「シェーラ、好き。お父さんとお母さんとお姉ちゃん以外だったらシェーラが一等好き」
>「あたしも覇王様とグラウを除いたらリナが一番好き。だから置いてかないでね」
>「うん、置いてかない」
>リナは花冠を作ってシェーラの頭にのせる。
>シェーラもリナの上に花冠を作ってのせてあげる。
>舞い散る花の中、白い花冠をかぶった二人は誓いの言葉を口にした。
>まだ、幼い二人。
>幼いゆえに純粋だった。
>帰り際、リナがシェーラに囁く。
>「シェーラってその覇王様に好かれていると思うよ。だってそんな綺麗な名前つけてくれたんだもの」
>
>
>「シェーラ」
>別れて振りかえってみると、そこには。
>「グラウ…」
>「覇王様が心配している。帰ろう。」
>「覇王様が…」
>「覇王様だけじゃない。私も心配した」
>「…ごめんなさい」
>そう、グラウは悪くない。
>同僚で世話を焼いてくれる優しい存在と主に心痛ませたことを知って後悔する。
>「もう、あの人間のことは忘れろ」
>「リナを?」
>「残酷だが、私達は魔族なんだ。それを知ればあの人間は傷つくだろう。それに周囲の人間があの子を殺すかもしれない」
>殺される?私のことを好きだといってくれた少女が?
>「駄目!!」
>そんなこと…!!
>「お願い。それぐらいなら…」
>記憶を消して。あの子の記憶を…。
>「お前の記憶も消してやれるけど…」
>シェーラは頭を振った。
>
>
>
>あれから年月は過ぎた。
>子供は少女になり、生まれたてで何もできなかった魔族は4人の腹心の片腕と称される実力を持った。
>リナ、か。
>敵としてまみえたくなかった。
>
>『シェーラ、好き』
>
>わかっている。
>彼女は人間で私は魔族。
>こんな感情は正しくない。
>覇王様。どうして、私を作るときに感情なんてものを吹き込んだのですか?
>どうしてあなたにただ付き従うだけの存在にしてくれなかったんですか?
>
>
>向かってくるのは少女。
>闇の刃を持つその姿は何もできないと泣いてた面影はない。
>自分で幕を引き、そして閉じる。
>全部持っていくわ。
>想い出も全て。
>これで良かったかもしれない。
>私はこれで置いてかれることはない。
>別の人を愛する少女を見なくていい。
>我知らず微笑みがこぼれた。
>
>
>
>何処かで見た風景。
>何処でだろう。
>「リナ、どうしたんだ?」
>「ううん、なんでもない」
>シェーラのあの微笑が気になる。
>一体あれは…。
>見ると子供が花畑で遊んでいる。
>思わず笑みがこぼれる。…・そうこぼれるはずだった。
>「リナ?」
>だが、こぼれたのは笑みではなく涙だった。
>「あれ?」
>ガウリイがリナを抱きしめる。
>胸が締め付けられる。
>逞しい腕、胸。
>昔、こういうことがあった。
>だが、逞しい腕や広い胸ではなくいい香りの華奢な…。
>リナはガウリイにすがりつく。
>涙がガウリイの胸を濡らした。
>
>
>くすくす。
>『ずっと一緒だよ』
>『うん、絶対ね』
>『大好き!シェーラ』
>『大好きよ、リナ』
>くすくすくす。
>
>
>問題はいくつあるでしょうか?


えっと、「くりあ」してもよかったのですが、あえてこうさせてもらいます。
よみにくくってすんません。
 幼き日の・・・ってやつですか。
 とっても綺麗な文で よみやすかったです。
 なんかえらそーなこと言っちゃってるけど、ほんとうにそうでした。
 ふたり、おなじ「存在」であったら、モロメチャなことに、でもたのしいコトに
なっていたでしょうね。
 ほんっとエラソーな口きいてどめんなさい。
 でも、おもしろかったです。
でわ。   千恵。

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4967千恵さんへ東智華 E-mail URL9/29-20:47
記事番号4965へのコメント
>えっと、「くりあ」してもよかったのですが、あえてこうさせてもらいます。
>よみにくくってすんません。
いえいえ。
> 幼き日の・・・ってやつですか。
> とっても綺麗な文で よみやすかったです。
ありがとうございます。
> なんかえらそーなこと言っちゃってるけど、ほんとうにそうでした。
> ふたり、おなじ「存在」であったら、モロメチャなことに、でもたのしいコトに
>なっていたでしょうね。
いつかはそう言う話を書くつもりです。リナのパートナーで出てくるか親友として出てきます。
本当にありがとうございました。

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5002感想:小さな恋の物語Milk E-mail URL10/1-07:21
記事番号4925へのコメント
東智華様、少し遅くなりましたが感想です!
(申し訳ない)

ああ、なんだか子供の頃のリナちゃんと、昔のシェーラちゃんが、
とってもプリティ!
すんごく、抱きしめたいくらいに可愛い二人でした。
けっこう、この二人っていいコンビなのかも?

だから、よけいに、シェーラちゃんの最後が可哀相でした。
辛いです・・・・

リナとのことは、シェーラの中では、とっても大きな思い出なのに、
それがリナの中には無くって、しかも、今のリナの隣にはしっかし
相棒がいるし。

それでも、最後に涙を流すリナのシーンはじーんときました。
記憶はなくっても、昔のことはどこかに残っているんだな・・・って。

つたない感想ですが、
すんごく、楽しませていただいたお話、ありがとうございました。

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5008Milkさんへ東智華 E-mail URL10/1-21:19
記事番号5002へのコメント
ありがとうございました。
あなたのホームページ見ましたよ。
ゼロスが情けなくってとってもプリティ。
ガウリイが一番先にドアを壊して助けにくるところはあいがあふれているって言う
感じでした。
すごい更新ですね。
これからも頑張ってください。