◆-楔(・・・多分^^;)-T−HOPE(10/10-21:53)No.5298
 ┣楔(2)-T−HOPE(10/15-22:07)No.5368
 ┃┗楔(3)-T−HOPE(10/15-22:47)No.5369
 ┃ ┣Re:楔(1)〜(3)-ひなた(10/16-12:24)No.5370
 ┃ ┃┗Re:楔(1)〜(3)-T-HOPE(10/16-16:16)No.5373
 ┃ ┃ ┗むう。-ひなた(10/16-22:44)No.5379
 ┃ ┃  ┗う〜〜〜ん・・・-T−HOPE(10/17-09:05)No.5389
 ┃ ┣Re:楔(3)-水城守(10/17-00:47)No.5382
 ┃ ┃┗ありがとうございます〜。-T−HOPE(10/17-09:10)No.5390
 ┃ ┗楔(終)-T−HOPE(10/17-08:55)No.5388
 ┃  ┣Re:楔(終)-ひなた(10/18-11:27)No.5398
 ┃  ┃┗ありがとうです〜-T−HOPE(10/18-21:57)No.5408
 ┃  ┣よかったぁーー-理奈(10/19-13:53)No.5415
 ┃  ┃┗Re:よかったぁーー-T−HOPE(10/19-21:01)No.5419
 ┃  ┗Re:楔(終)-水城守(10/20-00:37)No.5427
 ┃   ┗ありがとうございました☆-T-HOPE(10/20-10:07)No.5432
 ┣風を抱くように(1)-T-HOPE(10/19-13:00)No.5413
 ┃┗風を抱くように(2)-T-HOPE(10/20-10:16)No.5433
 ┃ ┗風を抱くように(3)-T−HOPE(10/20-22:11)No.5434
 ┃  ┣はにゅ〜(悲)-ひなた(10/21-03:03)No.5437
 ┃  ┃┗魔族の青春って・・・?(笑)-T−HOPE(10/21-08:41)No.5438
 ┃  ┗風を抱くように(4)-T−HOPE(10/21-08:52)No.5439
 ┃   ┣Re:風を抱くように(4)-水城守(10/22-01:01)No.5445
 ┃   ┃┗あ、ありがとうございます〜-T−HOPE(10/22-08:25)No.5448
 ┃   ┗風を抱くように(5)-T−HOPE(10/22-08:45)No.5449
 ┃    ┗風を抱くように(6)-T−HOPE(10/22-21:49)No.5452
 ┃     ┗風を抱くように(7)-T−HOPE(10/23-08:25)No.5453
 ┃      ┗風を抱くように(終)-T−HOPE(10/24-08:34)No.5462
 ┃       ┣Re:風を抱くように(終)-倉瀬かのえ(10/24-16:27)No.5466
 ┃       ┃┗倉瀬かのえ様、有り難うございました☆-T−HOPE(10/24-22:40)No.5468
 ┃       ┣ゼロス君暴走♪-三里桜架(10/24-23:30)No.5469
 ┃       ┃┗あはは・・・た、確かに(笑)-T−HOPE(10/25-22:39)No.5473
 ┃       ┗Re:風を抱くように(終)-庵 瑠嬌(11/1-21:24)No.5507
 ┃        ┗感想、ありがとうございます〜-T−HOPE(11/1-22:55)No.5509
 ┗千の血 万の嘆きの果て(1)-T−HOPE(10/28-22:01)No.5485
  ┗千の血 万の嘆きの果て(2)-T−HOPE(10/29-16:26)No.5490
   ┗千の血 万の嘆きの果て(3)-T−HOPE(10/30-20:18)No.5494
    ┗千の血 万の嘆きの果て(終)-T−HOPE(10/31-08:01)No.5498
     ┣よいぃぃいいい!!!-理奈(10/31-10:29)No.5499
     ┃┗有り難うございます〜-T−HOPE(10/31-21:34)No.5501
     ┣Re:千の血 万の嘆きの果て(終)-水城守(11/2-00:54)No.5511
     ┃┗有り難うございました〜-T−HOPE(11/2-21:37)No.5516
     ┣Re:千の血 万の嘆きの果て(終)-ひなた(11/2-22:12)No.5517
     ┃┗いつも有り難うございます〜-T−HOPE(11/3-21:54)No.5523
     ┣Re:千の血 万の嘆きの果て-めたとろん★(11/3-19:20)No.5519
     ┃┗はじめまして、有り難うございます〜-T−HOPE(11/3-22:00)No.5524
     ┃ ┗ミスりました。すみませんっ(こっちがコメントです)-T−HOPE(11/3-22:05)No.5525
     ┗感想、遅くなっちゃいましたけど-倉瀬かのえ(11/4-00:25)No.5528
      ┗感想、有り難うございます-T−HOPE(11/4-08:08)No.5529


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5298楔(・・・多分^^;)T−HOPE E-mail URL10/10-21:53

 ツリー落ちる前に書ききれるか謎なんですけど・・・とりあえず。
 ゼロリナですね・・・とゆーより、私それ以外書いてないぞ(笑)
 最近、甘い系の話ばかり書いたので、今度はちょっと魔族っぽいゼロス君書きたいなぁ・・・と思って書き始めたら・・・
ゼロス君、まだ出てこない(^^;
 しかも、また悪夢で話始めるあたり・・・芸がないですねぇ(死)
 ちなみに、半分以上書き終わらないとタイトルつけられないという習性を無視してタイトルつけてしまったんで・・・途中
変更あり得ます・・・(爆)

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

   楔(1)


  こっちへおいで。
  ――行ッテハイケナイ
  大丈夫。こっちへおいで。
  ――ヤメナサイッ
  さぁ、こっちへ……。
  ――ダメ、“ソレ”ハ……!


「また……?」
 最低の気分で目を開けると、外はまだ闇に包まれていた。
 あたしは溜息をついて、身体に残る悪夢の残滓を追い出そうとした。
 ――が。
(肩が……)
 右肩がほてるような熱を抱いている。
 あたしは思わず全身を強張らせた。
(いる。――来てる。“あいつ”が)
 肩の刻印が疼くのはその証。
「……出てこいって?」
 唇をかんで、呻くような声で呟いた。
 ――腹が立つ。
 こんな風に、自分の意思を一方的に通されるのが、あたしは一番嫌い。
 でも……従うしかない。
 ――そのことに、一番、腹が立つ。
 ……さもなくば、奴はあたしのいるこの宿どころか、この村全部滅ぼしかねない。
 あたしは壁ごしに、隣の部屋の様子をうかがった。
 そこに眠る“自称”保護者殿が起きていないかどうか。
 あたしが宿抜け出そうとしてるのバレたら、厄介だからね。
「眠り!」
 とどめに呪文を一発かけて、あたしは宿の窓から外へと出た。
 白々とした十六夜の月が、より深い影と闇を生み出す。
 夜気をぬって歩くのは、別に嫌いじゃない。
 ――こんな状況でなければ。
 あたしは、切り離し様もなく付いてくる自分の影を引きずって、村外れの少し広くなっている場所まで来た。
 そして、くるりと振り向き、
「いーかげん、人の影にへばりつくの、やめてくんない!?」
 ――とたん、低い笑い声が地を這うように響いた……。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 あぁぁ、妙なところでぶちきってますねぇ・・・悪気はないんです!
 ・・・できるだけ早く続きを・・・書きたい・・・んですけど・・・えぇ。
 すみません、お気が向かれましたら、続きも読んでやって下さい。

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5368楔(2)T−HOPE E-mail URL10/15-22:07
記事番号5298へのコメント
 某論文が十枚いったので(やっと^^;)、一応気分転換で書いてみました。
 ・・・終わらないよう・・・どっちも・・・。

●●●●●●●●●●

   楔(2)

 あたしの影が起き上がり、ゆっくりと厚みを増し、一つの姿を形作った。
 柔らかな物腰の、あとちょっと深みがあれば素敵なおじ様(はぁと)といった、男の格好。
「……またちょっと老けたんじゃない? ――魔族のくせに」
「君にもそう見えるかい、リナ?」
 馴々しく呼びかけてきた男の姿をした魔族は、何が楽しいのかくすくす笑っていた。
「君の好みが、そこそこ年配の渋い男性だからね。私としては、できる限り君の好みに近づきたいと努力しているのだ
よ」
 あたしは片方の眉をはねあげた。
 何を勘違いしているかは知りたくもないけど、あたしが好きなのは、渋い“人間の”おじ様(はぁと)だ。まかり間違っ
ても魔族になんぞ用はない。
 だいたい、精神生命体である魔族が、望む姿になるために努力する必要なんて、何処にあるんだ?
 ――けど、言わなかった。
 何を言おうが、馬耳東風。
 こいつに聞く耳がないのは、一番最初に会った時――六歳の時から、身にしみて判っていた。
 そう。
 あの時、こいつは――十五歳くらいの少年の姿を取っていた……。


「君が、リナ=インバースだね?」
 あたしは目を見開いて、いきなり目の前に出現した妙な少年を見た。
「……そーだけど。おにーちゃん、誰?」
 そいつは、楽しそうにくすくす笑っていた。
「君を連れに来た者だよ」
(うさん臭い)
 小さかったあたしは、目を半眼にしてそいつを睨むと、ふいと顔をそらした。
「あたし、おにーちゃんみたいな人、タイプじゃないもん。もっとシブいおじちゃまが好きなんだから。だから、おにーちゃ
んなんかについてかないもんっ」
「ふぅーん?」
 ふと、顔を真面目なものにして、そいつはあたしをさらにまじまじとのぞきこんできた。
「……成程」
「あによあによっ。見せ物じゃないんだかんねっ。これ以上うっとーしくするなら、火炎球、ぶつけちゃうわよっっっ」
「君は、魔法が使えるんだ?」
「そーよっ。あたし、とっっっても強いんだからっ!」
 無闇に暴れるとお仕置するよっ、という姉ちゃんの台詞は都合よく忘れて、あたしは胸をはった。
「……だろうね。人間にしては、大した魔力容量だ。ふぅーん……これは……使えるかな……」
「だからっ。何なのよっ!」
 そいつの目は、まるで魚屋で魚の鮮度を見ているかのようなもので、あたしはひどく苛立った。
 そいつは、丁度よく目当てのお魚を手にしたような、そんな満足げな笑みを浮かべた。
「……君なら、我が配下に迎え入れるに不足はない……」
 さらにわけのわからないことを言い出したのと、ほぼ同時に。
 そして、そいつの長い爪が、いきなり、あたしの右肩に突き刺さった!
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!」
 あたしは、あらん限りの力で絶叫した。
 ――痛かった。
 傷の痛みじゃない。
 何か――あたしの中のものとは、全く異質なものが、強引に割り込み、あたしを染め替えようとしていた。
 もし、先がとがってるわけでもない鉄の棒を、無理矢理突っ込まれ、かきまわされたら、これくらいに痛むかもしれな
い……。
「やだぁぁぁぁぁっっっっっ!」
 さらに痛みが強まるか、と、思った瞬間。
 そいつはあたしを地面に放り出した。
「……完全に君が変わったなら、迎えに来よう?」
 柔らかな――優しげですらある声で、そいつは囁いた。
「そうしたら、君は、私のために……そして、私の主のためだけに、動けばいいんだよ……」
 遠くで声が響く――。
「だから……こっちへおいで?」
 そして……あたしは、意識を失った……。


 気がつくと、姉ちゃんが、初めて見るような真剣な表情で、あたしをのぞきこんでいた。
「……あで? 姉ちゃん?」
「リナ。あんた、もう平気?」
「平気って……」
 起き上がろうとした途端、ずきんと肩が痛んだ。
 驚いて、右肩を見ると……。
「ね、姉ちゃん。これ……何?」
 そこには、青黒い、奇妙な紋様が刻まれていた−。
「……覚えてないの?」
(覚えて?)
 あたしは、必死に記憶をひっくり返した。
「そう……あたし……確か、妙な奴に会って……それで……っ」
 あの、何かが流し込まれた瞬間の、痛みと恐怖を思い出し、あたしは真っ青になった。歯の根があわず、かちかちと
音が鳴る。
「それ……で…………っ!」
 小さな手で頭を抱え込んで、突っ伏した。
 そんなあたしを、姉ちゃんが、抱きしめてくれた。
「……ごめん。リナ。……ごめん」
「何で……姉ちゃんが……謝るの?」
「あんたがわたしの妹だから……だから、きっと……」
 姉ちゃんが、一瞬だけ、目を伏せた。
「そいつは、あんたを魔族に変えようとしたんだと思う」
 あたしは、大きく息を吸いこんだ。
「あれ……あれが……魔族? あれ……が……?」
 小さく頷く、姉ちゃん。
「あたし……魔族に、なっちゃうの……?」
「それは大丈夫。わたしが、そいつの力を押さえこんだから。
 ……消すことは、できなかったけど……」
 ほっ、と、あたしの肩から力が抜ける。
「じゃ、もう大丈夫なんだ!」
 けど、姉ちゃんは、首を振った。
「多分……そいつは、簡単には諦めないわ。
 ……あんたの中には、まだ、そいつの力が残ってる。あんたは……ずっと、これから……」
「…………っ!」
 あたしは、目を見開いたまま、身体を硬直させた。
 純然たる恐怖を――あの瞬間、奴に植えつけられていたから。
 ――コッチヘ、オイデ?
 消したい。けど、幻影はあたしの中に根を生やしたように動かなかった。
 姉ちゃんは、そんなあたしを見て、溜息をついた。
「どうする? あんたにできるのは、この後一生かけて、そいつを何とかするだけの力を手に入れること。
 ……それが嫌なら。もし恐怖に居竦んでそいつの下へ行こうっていうんなら――この場でわたしが、あんたの人生
終わらせてあげる」
「ね、姉ちゃんっっっ!?」
「……そいつとわたし、どっちが怖い?」
 にっこり。
 いつものように優しく笑われたけど……あたしは、顔を、先程に負けず劣らず真っ青にして、震えるハメになった。
 姉ちゃんは、やりもしないこと、出来もしないことは言わない……。
「…………。……ね、姉ちゃん……」
 あたしは、震える声で答えた。
 ――この瞬間、奴の恐怖の呪縛から解き放たれたことにも気づかずに。
 姉ちゃんは、満足そうに笑った。
 そして、あたしは、それ以来、力を求めて魔法にのめりこんだ……。


●●●●●●●●●●

 あぁぁぁ・・・ゼロスがっ。ゼロスがまだ出ない〜っ。
 しかもまた、わけわからないオリキャラ出してますし。
 設定、オリジナルもいーとこですしっっっ。
 すみません・・・次こそは、ちゃんとゼロス君出ますっ。

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5369楔(3)T−HOPE E-mail URL10/15-22:47
記事番号5368へのコメント

  楔(3)


「まったく、困ってしまうね。ゼフィーリアでは、散々、赤の竜神の騎士が邪魔をするし」
 そいつは、オーバーに肩をすくめた。
「やっと外へ出ていった君を見つけてみれば、私には手を出せない方々の計画のうちにあるし……」
「……だったら、そこで退いてりゃよかったのよ」
 言ってやると、そいつは心外そうな表情を作ってみせた。
「そうはいかないだろう? 君を最初に見つけたのは、この、私だよ?」
 ――まぁ、これで私の目の正しさも、証明されたということだが……。
 満足そうに言うそいつを、あたしはぎりぎりと睨みつけた。
 ……あの時の恐怖は、もう、ない。
 けど……あっさり倒されてくれるような奴じゃないのも、もう、判っていた。
 肩の楔は、いまだ、疼いている。
「……あたしは、死んだって、魔族になんてならないわよっ」
「なってみたら、意外と、楽かもしれないだろう……?」
 ――やっぱり、人の話は全く聞く気がないらしい。
 ふ、と、そいつは宙に浮かび上がった。静かに両手を広げる。
「それに……本当に死の寸前になれば、また、気持ちも変わるだろうし……ね?」
 あたしは、唇をかんでそいつを見据えた。
 気持ちなんて変わらない。
 でも――。
 もし、ぼろぼろになったあたしに、もう一度、こいつが妙なマネ仕掛けてきたら……姉ちゃんのいない今、あたしは
……変わってしまうかもしれない。
(……負けられないっ)
「悪夢の王の一片よ
 天空のいましめ解き放たれし……」
「さぁ……こっちへ、おいで……?」
 そいつの手に宿る光が強まるのが判った。
(間に合わない……っ!)
 けれど……その……瞬間。
「ぐっ……ぐおぉぉぉっっっ」
 呻くそいつの腹から、黒い三角錐が生えていた……。
(……って、まさかっ!?)
「ゼロスっ!?」
 思い当たる名を呼んだ途端、あたしはいきなり腰をさらわれ、後ろから抱き寄せられていた。
 ふわりと、あたしのマントの上に、それとは微妙に色の違う漆黒のマントがかぶさった。
「こんばんは。いい月夜ですね、リナさん」
 耳元で響く、微妙な高低の声。
 ……忘れもしない。かつて、人を散々利用しまくってくれた高位魔族。獣王ゼラス=メタリオムに仕えてる、獣神官
ゼロスだった。
 けど……。
「いい月夜って、あんたねぇぇぇっ。
 こーゆーみょぉっな場面にいきなし現われて、何、呑気なことほざきまくってんのよぉっ!?」
「えー? 酷いですねぇ、リナさん。助けて差し上げたんですよ?」
「あっそ、ありがと。……で? 狙いは何?」
「リナさぁぁぁん……」
「……私からも聞きたい。……なにゆえ邪魔立てされる、獣神官殿!?」
 奴が、なおも串刺しにされたまま、荒い息で聞いてきた。
(……成程。これでやられっちゃわないってことは、実はかなり上の方の奴だった……ってことか)
 ゼロスの表情は、あたしからは見えない。
 こいつの方は、いったい何を企んでいるのか……?
「……いえね。あなたの目的が、少々気にくわなかったものですから。とりあえず、邪魔させてもらいました」
 いつもと全く変わらないのー天気な声で、ゼロスはあっさりそう言った。
「まったく。殺そうとでもいうならともかく……リナさんを魔族にだなんて。
 やっぱり邪魔したくなっちゃうじゃないですか。はっはっは」
「そーゆー物騒な台詞吐いて、呑気に笑うなぁぁぁっっっ!」
 だいったい、殺そうとする分には、かまわんのか、こいつはっ!
 奴もまた、納得いかないようだった。
「何故いけない!? その娘を手にすることによって、戦力が……」
 すい、と、ゼロスの錫杖が、あたしを守る盾のように前に出された。
「……うるさいですよ?
 あなたの上司の顔をたてて、一応見逃して差し上げようというんですから、とっとと消えていただけませんか?」
 ゼロスの声が、ワントーン低くなった。
 ひやりとした、夜気とは異なる空気が……周囲にゆっくりと漂う。
「でないと、こちらで消させていただいちゃいますけど?」
「…………。……くぅっ」
 悔しそうだったけど、ゼロスとの実力差を考えたのだろう。
 そいつは――あたしのかつての恐怖の源は……虚空に溶け、消えていった。
 あたしは、小さく、つめていた息を吐いた。
 ゼロスが、あたしの頭の上で、くすくす笑っていた。
「……おかしな人ですね。僕の前でもそんなに緊張しないというのに……」
 確かに、まっとうに考えればゼロスの方が力があるわけで、怖いのはこいつの方なんだろうけど……。
「ま、刷り込みってやつでしょ。
 ……それに、あたしにはまだあいつの……」
「あぁ、そうそう。それですけどね」
 呑気な声で言うと、ゼロスはいきなりあたしの襟元に手をかけた。
「ち、ちょぉっとぉぉぉっ、何すんのよ、スケベッ! 変態!!」
 あたしは、慌てて襟元を押さえながら、斜め後ろを振り向き、叫んだ。
「あの……先刻の方の魔力の痕跡を確かめようとしただけなんですけど……」
 困ったような声で、ゼロスは言った。
(……だーけど、ねぇ)
「あたしに、この戸外でストリップしろっつーの、あんたはっ!?」
「誰もいないわけですから、かまわないんじゃ……」
「あたしがかまうのっっっ!」
 ゼロスが、少しだけ溜息をついた。
「……我儘な方ですねぇ……」
 言葉と同時に、視界が移った……。
「……困っちゃいますよ」
 ……あたしの取ってるお宿の部屋へと。
 あたしは、同時にゼロスの腕から解放され、慌てて振り向いた。
「……かんったんにできること、出し惜しみすんなっっっ!」
「はいはい」
 ゼロスは、以前会った時と全く変わらない、人のよさそうに笑顔のまま、頷いた。
 ――まぁ、中身を知ってりゃ、人のよさそうも何もないんだけど。
「さて、リナさん。ご要望にお応えしましたけど?」
「う゛……」
 あたしはまだ躊躇うものを感じたものの……仕方なく、マントを外し、肩をさらした。
「……これだけど」
「…………。
 ……おやおや。これは、また……」
 何やら感心しているように、ゼロスは呟いた。
「……あによ?」
「どちらも、随分と惜しげもなく力を注ぎこんだものですね」
「…………?」
「……これ、消したいですか?」
「あったりまえでしょ。何トーゼンのこと聞いてんのよっ!?」
(乙女の柔肌にこぉんな妙なもん残されて、誰が嬉しいかっ!?)
「じゃ、消しましょう」
 あっさりと、まるでマッチの火を吹き消すような調子で、ゼロスは言った。
(けど……)
「そんな簡単なことなのっ?」
「まぁ……一応。ただ、痛いですけど?」
「…………。……はい?」
 首をかしげて問い直すと、ゼロスはなおも刻印をのぞきこみながら、答えた。
「いえ、先刻の方の魔力を消しちゃう分には、たいしてメンドーはないんです。僕の力の方が上ですからね。
 ただ……この魔力、神の力で抑えこまれてますから、それを超えて力を注ぎこまなくちゃいけなくて……痛い、です
よ?」
 何となく、納得いくような、いかないような……話、だった。
「でも、あんたには、神の力消せないでしょ?」
「はぁ、まぁ。相反するものですからね。
 だから、この抑えこんだ方も、消せなかったんでしょうけど……とりあえず、この神の力の意味は、先刻の方の魔力
を抑えるということだけですから、こっちがなくなっちゃえば……」
「成程。勝手に消えるってわけね。
 ……で? 痛いって……どんくらい、痛いのよ?」
 ゼロスは、小さく首をかしげた。
「さぁ? 僕には人間の方の痛みなんて、よく判りませんからねぇ」
「…………。
 ……ガーヴにずたぼろめためたにやられてたくせに……」
「……リナさん。何かおっしゃいました?」
 少し顔を引きつらせて、ゼロスは言った。
「えー? なぁんか聞こえちゃったぁ?」
「…………。……まったく、もう。
 ……僕は魔族ですからね。人間が痛みを感じる感情を知ってはいても、感じたことはないんです。
 僕の痛みとあなたの痛みは、全く別の次元の事象ですから」
 まぁ、確かに、精神生命体のこいつらには、肉体的な痛みを知ることはできても――負の感情として、だろうけど――
理解はできないかもしれない、と、あたしにも思えた。
「まー、いーや。とりあえず、この薄汚い跡、消えるんだ?」
「えぇ。
 ……じゃ、消しますよ」
 頷くあたしを見ながら、ゼロスは、そっとあたしに近づき、刻印に――くちづけた。
「なっ……。…………っっっっっっ!!」
 あたしが何か言うより早く――その刻印を負った時に数倍する痛みが、あたしを、襲った……。
「ぐぅ…………っっっっっ!」
 たとえるなら、そう……灼熱に煮えたぎる溶けた鉄を、ぱっくり開いた傷口に流し込まれるような……そんな、痛み
……!
 ゼロスの冷たい唇が触れた部分から……痛みがどんどん広がっていく。
 あたしは、薄れる意識を必死につなぎとめるように、唇をかみしめた。
 口の中に、錆びた味が散る。
 ゼロスの身体に回された震える指先が、漆黒の僧衣に、幾重にも複雑な皺を刻み込んだ。
 ……消えゆく意識の中。
 ゼロスの夜色の瞳が、楽しそうに微笑むのが見えた、気がした――。


●●●●●●●●●●

 ゼロス君出てきました。
 ・・・何か、勝手に出て、いーとこかっさらってくあたり・・・。
 まぁ・・・いーですけどね(^^;)

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5370Re:楔(1)〜(3)ひなた E-mail 10/16-12:24
記事番号5369へのコメント

ひなたですこんにちわ☆

きゃぁぁぁっっ♪なんかテスト終わってないのに来てみたら(死)
新作ですねーっっ!!うし。早速読ませていただきました☆

妖しいゼロスだぁ♪きゃ(はあと)
やっぱしこーんな感じのゼロスが一番好きですね。あたしは(笑)
ってことで、結構よろめいちゃいました(笑)くらくらっと。

んで、もしかして。と思ってたんですけど。(けっこう前から)
もしかして・・・T-HOPEさんってばゼロス嫌いですか・・・?(笑)
いや、なんかところどころからそういう雰囲気が(笑)
リナは間違いなく好きですよね?
これは間違いないと。(笑)

んで、あの魔族はいったいなんなんでしょうっ!?
すっごく気になります。なんか強いし。(笑)

んじゃっっ!!続き楽しみにしてますよう♪

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5373Re:楔(1)〜(3)T-HOPE 10/16-16:16
記事番号5370へのコメント
>ひなたですこんにちわ☆

こんにちは〜。いつもありがとうございますっ。

>きゃぁぁぁっっ♪なんかテスト終わってないのに来てみたら(死)
>新作ですねーっっ!!うし。早速読ませていただきました☆

テスト・・・ですか。私もやること終わってないのに・・・何してるかな(^^;)

>妖しいゼロスだぁ♪きゃ(はあと)
>やっぱしこーんな感じのゼロスが一番好きですね。あたしは(笑)
>ってことで、結構よろめいちゃいました(笑)くらくらっと。

最近の傾向が、割合甘目だったんで・・・ちょっと、ビターにしてみました。
いかがなものでしょう?(笑)

>んで、もしかして。と思ってたんですけど。(けっこう前から)
>もしかして・・・T-HOPEさんってばゼロス嫌いですか・・・?(笑)

・・・・・・えぇっ!?

>いや、なんかところどころからそういう雰囲気が(笑)

えとぉ・・・どのあたりが・・・どう?(^^;)
一応、私、ゼロス君が(男性陣では)一番好きなんですけど・・・。
あぁぁぁ・・・何処か愛が邪なのがいけないのかしらぁぁぁぁ・・・・っっっ。

>リナは間違いなく好きですよね?
>これは間違いないと。(笑)

リナは、全キャラクターの中で、いっちばん好きですね!

>んで、あの魔族はいったいなんなんでしょうっ!?
>すっごく気になります。なんか強いし。(笑)

ただの・・・場つなぎキャラ・・・(笑)
いえ、リナって、何であんなに魔法にのめりこんだかなぁ・・・とか考えてったら、つい・・・。
で、設定オリジナル。
あと、もう一つ。何で郷里の姉ちゃん、異界写本の知識をリナに与えたのか・・・と。
・・・考えてったら、こーゆーのが・・・一応、海王配下のかなり強いお方ってことにしときました
何故かというと、覇王軍だと、よく知らないから、すぐボロ出そうだったし〜(^^;)

>んじゃっっ!!続き楽しみにしてますよう♪

ありがとうございます。
どーも、ゼロ×リナじゃなく、ゼロvsリナになりそーなんですけど・・・。
・・・って、あぁぁぁ・・・だからゼロス君嫌いだと思われるのかしらぁぁぁ・・・(;;)

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5379むう。ひなた E-mail 10/16-22:44
記事番号5373へのコメント

こんにちわっっ!!ひなたですよ〜ん(爆)
んやう。なんかどうでもいいことでレス書いちゃいます☆(死)

>
> 最近の傾向が、割合甘目だったんで・・・ちょっと、ビターにしてみました。
> いかがなものでしょう?(笑)

いやぁ。・・・とっっ・・・・・っってもいいですっっ!!(笑)

>>いや、なんかところどころからそういう雰囲気が(笑)
>
> えとぉ・・・どのあたりが・・・どう?(^^;)

ゼロス・・・。んと、時々むかつくとか書いてらっしゃるから・・・(笑)
なんかいいとこばっかもってく・・・とか。(笑)
で、あ、なんか嫌いなのかなぁ・・・と思ったわけです。

> 一応、私、ゼロス君が(男性陣では)一番好きなんですけど・・・。
> あぁぁぁ・・・何処か愛が邪なのがいけないのかしらぁぁぁぁ・・・・っっっ。

邪なんですねっっ!?φ(。。)メモメモ

>
> リナは、全キャラクターの中で、いっちばん好きですね!

リナめちゃんこかわええですもんね♪
性格も良し、胸ないのも良し(笑)でも、なにが一番かといったら・・・
・・・やっぱし止めときます。なんか暴走しそうだから。(笑)

> ありがとうございます。
> どーも、ゼロ×リナじゃなく、ゼロvsリナになりそーなんですけど・・・。
> ・・・って、あぁぁぁ・・・だからゼロス君嫌いだと思われるのかしらぁぁぁ・・・(;;)

あぁっ!?そんなに気にしないでくださいっっ。
なんとなく思ったことなんですから〜。

んじゃっ!!続き、楽しみにしてます☆

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5389う〜〜〜ん・・・T−HOPE E-mail URL10/17-09:05
記事番号5379へのコメント
>こんにちわっっ!!ひなたですよ〜ん(爆)
>んやう。なんかどうでもいいことでレス書いちゃいます☆(死)

 いえいえ、どうもです〜。

>> 最近の傾向が、割合甘目だったんで・・・ちょっと、ビターにしてみました。
>> いかがなものでしょう?(笑)
>
>いやぁ。・・・とっっ・・・・・っってもいいですっっ!!(笑)

 ありがとうございますっ。
 ビター系も好きなんですけどね・・・でも・・・とある理由から、イヤなことも・・・(^^;)

>>>いや、なんかところどころからそういう雰囲気が(笑)
>> えとぉ・・・どのあたりが・・・どう?(^^;)
>ゼロス・・・。んと、時々むかつくとか書いてらっしゃるから・・・(笑)
>なんかいいとこばっかもってく・・・とか。(笑)
>で、あ、なんか嫌いなのかなぁ・・・と思ったわけです。

 なるほど(笑)
 いえ、これは、ある一定の条件下での台詞なんです。
 つまるところ、ゼロス君のせいでリナちゃん不幸になりそうな時!
 私の愛情は、リナ>ゼロスという状態ですから(笑)
 あともう一つ、自分で書いてるゼロス君が、いまいち気にくわないというのも・・・あるかも。
 こんなんじゃなくて、もっとかっこよく動いてくれ〜っ、というやつですね(リナちゃんの見せ場になりそうなシーン乗っ
取るのは不可で^^;)

>> 一応、私、ゼロス君が(男性陣では)一番好きなんですけど・・・。
>> あぁぁぁ・・・何処か愛が邪なのがいけないのかしらぁぁぁぁ・・・・っっっ。
>邪なんですねっっ!?φ(。。)メモメモ

 いえ、邪というか・・・リナちゃんに、ダーク系であれ甘々系であれ、べた惚れなゼロス君が好きなんですっ。

>> リナは、全キャラクターの中で、いっちばん好きですね!
>リナめちゃんこかわええですもんね♪
>性格も良し、胸ないのも良し(笑)でも、なにが一番かといったら・・・
>・・・やっぱし止めときます。なんか暴走しそうだから。(笑)

 私も語ろうかと思ったんですけど・・・やっぱし暴走しそうなんで、やめときます(^^;)
 それでは、続きできましたんで(でも・・・何かやっぱり違う〜)、お気が向かれましたら、読んでやって下さいませ。

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5382Re:楔(3)水城守 10/17-00:47
記事番号5369へのコメント

こんばんは〜。水城です。

きゃー、ゼロス君かっこいいな、素敵すぎる。
そうです、水城が目指すのはこんなゼロス君ですよ。
もう、師匠と呼ばせてもらはねば!!(笑)
続きが早く読みたいです。楽しみにしてますね。


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5390ありがとうございます〜。T−HOPE E-mail URL10/17-09:10
記事番号5382へのコメント
>こんばんは〜。水城です。

 こんにちは、T-HOPEです。

>きゃー、ゼロス君かっこいいな、素敵すぎる。
>そうです、水城が目指すのはこんなゼロス君ですよ。
>もう、師匠と呼ばせてもらはねば!!(笑)

 そ、そーなんですか・・・?(^^;)
 いえ、私は、水城さんが書かれてるみたいな切ないお話が書きたいんですけど〜・・・。
 だって、何か、殺伐としてるし・・・性格出るのね、きっと・・・(笑)

>続きが早く読みたいです。楽しみにしてますね。

 ありがとうございます〜っ。
 とりあえず載っけてみましたけど・・・何か違うっ。
 ・・・どーして、ゼロスvsリナになっちゃうかな・・・。
 お気が向かれましたら、読んでやって下さいませ。 


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5388楔(終)T−HOPE E-mail URL10/17-08:55
記事番号5369へのコメント
 やっぱり、あんまりタイトルに意味がなくなってしまいましたね〜。
 他にいいの思いつかないから・・・ま、いっか(^^;)

△△△△△△△△△△

   楔(終)


 がばっ。
「あ、目が覚めましたね」
 あたしが身体を起こした瞬間、すぐ横から、楽しげな声がかかった。
「……って……だぁぁぁぁっっっ、ゼロス!
 痛いじゃないのよぉぉぉぉぉっっっ!」
 のー天気な声に、あたしは思わずつかみかかって、襟首ぶんぶん振り回してしまった。
「ち、ちょっと、リナさん……僕、ちゃんと痛いですよって言いましたよ?」
「いーのよっ、これは八つ当たりなんだからっっっ!」
「あのですねぇ……」
 呆れたような声で言うと、ゼロスはすうっと身体を闇に沈め……あたしの横に、もう一度ふわりと現われた。
「肩の痕、消えたんだから、いーじゃないですか」
(……あ、ほんとだ)
 あたしはそれを確認すると、座りなおしてゼロスを真っ直ぐに見据えた。
「で? 結局あんたの目的は何なのよ。とっとと吐いちゃったら?」
 こいつが、全く裏もなくあたしを助けただなんて、信じられるわけもなかった。
 が、ゼロスは、頭をかいて笑った。
「嫌だなぁ。そんな怖い顔しないで下さいよ。
 僕はただ、リナさんがリナさんじゃなくなっちゃうのはつまらないなぁ……と、思っただけなんですから」
(ふぅん……?)
 あたしは、目を半眼にして、ゼロスを睨んだ。
「……別に、あんたの上司の命令とかじゃないって?」
「今のところ、リナさんに関する新しい命令は出てませんね。だったら、好き勝手しようかなぁ……って」
「あんたの好き勝手って、何よ?」
 こいつがお役所仕事で動いていないと知って、安堵する一面、何処か――不安を覚えた。
 ゼロスは、あたしのキツい目に、困ったような顔をしてみせた。
「……ですから。
 僕は、別に、リナさんに何かしようなんて、思ってないですよ?」
「…………。
 ……あんた、は?」
 問い返した途端、きゅっと、ゼロスの唇がつりあがった。
「……さすが、リナさんですね」
 僅かに低くなった声。
 あたしは身体を強張らせた。
「つまり……他の奴に……」
「リナさん?」
 不意に元に戻った声で、ゼロスは首をかしげてみせた。
「あなた、自分がどれだけトラブル・メイカーか、自覚、してますか?」
「あによ、それっっっ?」
「僕が何か企まなくたって、あなた、自分から危険に首つっこんでハマって行っちゃってますよ? 今回みたいに、ね。
 ……まぁ、僕も楽でいいですけど」
 くすくすと、闇に笑い声が消えた。
 あたしは、僅かに開かれているゼロスの目をのぞきこみ――刹那、声を失った。
(……判った……)
 ゼロスの、目的。
「……あんたは……つまり、あたしで遊んでるわけだ……」
 低く呟くと、ゼロスは、ちょっとだけ驚いた顔をした。
「……あたしを自由に踊らせて……で、人間のあたしが魔族とぶつかって、苦しんで、じたばたするのを、面白がって
る。
 だから、あたしを、魔族にしたくない。……違う?」
 ゼロスの夜色の瞳。
 冷たい……冷たすぎる光。
 けれど、その中に浮かぶ色は、確かに、あたしも見たことがあるものだった。
 ――たとえば、街角でコオロギを競わせる子供達の中で。
 無邪気で無造作な残酷さ……。
 無関心とはまた違うけれど、決して、対等には見ていない……。
(あたしは……こいつにとっては、虫けらか……)
 力の差は、否定、できない。
(だけど……っっっ)
 ゼロスは、また、唇を歪ませるようにして笑った。
 ゆっくりと瞳が開かれる。
 ――闇とともに在る、魔族の、表情。
「本当に……リナさんは、ただの人間じゃ、ありませんよね……」
「あんたの遊び道具になるくらいに?」
「……――そう、ですね」
 鼻先が触れるほど近づけられた、ゼロスの顔。
 あたしは、呑まれそうに深い闇を感じながら、ゼロスの瞳を、見返し続けていた。
「あなたが、そんな風に踊り続けて下さる限り……僕は、あなたを殺さず眺め続けるでしょうね……」
 ゆっくりと、唇が重なった。
 あたしは、瞳を伏せるでもなく、かといって避けるでもなく、それを受けた。
 ――甘さの欠片もない、ただ……儀式めいた、くちづけ。
 ゼロスは、遊具としてのあたしを認める証としての。
 あたしは……何時か超えるべき対象としてゼロスを見る決意としての。
 ――それは、新たなる、楔。
(あたしに、闇への恐怖というものを覚えさせたあいつより……数段、厄介な相手……)
 それでも……決して諦めないと、あたしは決めていた。
 その昔、選んだこと。
 あたしには、あたし自身が決めた人生しか歩む気はない。
(邪魔、する気なら……)
「いつか……僕と、戦って下さいますか?」
 ゼロスの瞳が、楽しげに煌めいていた。
「戦って……勝ってやるのよっ、決まってんでしょっっっ!?」
 きっぱり言うと、ゼロスはまた、くすりと笑った。
「できるとお思いですか?」
「やってみないと判んないわ!」
「本当に…………」
 ゼロスの指が、そっと、あたしの髪に絡んだ。
「……本当にあなたは、面白い。
 ……魔族にするのは、勿体ないですよ……」
「どーゆー意味よ?」
「あなたは無謀で無鉄砲で目茶苦茶なのが一番似合う、と、そういう意味です」
「馬鹿にしてないっっっ!?」
 あたしが叫ぶと、ゼロスは大袈裟に身体をのけ反らせ、一歩、後ろへ下がった。
「……まさか。
 ……ただ、あなたが不可能に挑戦している姿って、とっても面白いんですよ……暇つぶしとしてはね」
 常に変わらぬ、人間めいたにこにこ顔。
「だから――飽きるまでは、何もせず、あなたを眺めていますよ……」
 言いたいことだけ言うと、ゼロスはそのまま、夜の闇の中へと溶けて消えていった……。
 残されたあたしは、僅かに眉を寄せると、右肩に触れ……ついで、唇を思いきり拭った。
「……形のない、楔……」
 そして、形などなくともかまわないだけの力を持つ、相手。
 ――でも、あたしは……。
「……諦めない……」
 それこそが、ゼロスの遊具の条件と知っていても。
「……認めない……」
 いつか、必ず……この楔すらも、消してみせる……。
 明け初めた空をのぞかせる窓を見やり……あたしは、一人、呟いていた……。


    永遠の刻印。
    消えない痕。
    見えない恐怖。
    終わらない……終われない、絆。
    ――楔――


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
 終わった・・・は、いーんですけど、何だこれは・・・?(^^;;;)
 ゼロスvsリナちゃんなお話・・・かな。
 あぁぁぁ・・・対決させてどーするんだ私はっっっ。
 ・・・すみません〜・・・。 
 

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5398Re:楔(終)ひなた E-mail 10/18-11:27
記事番号5388へのコメント
こんにちわっっ!!ひなたです〜☆

楔、みんな読ませていただきました☆
とぉぉぉってもおもしろかったですよう。

いや、自分、らぶらぶ〜ん(死)なゼロリナもすきなんですけど。
ぜんぜんらぶらぶじゃないのもすきなんです♪
・・・それぜろりなっていわんがな(笑)
ま、まぁ、ゼロスとリナが出てたらそれで幸せ・・ってことですかね?

でわでわっっ!!今回のことで、T-HOPEさんがゼロス嫌いじゃないってこともわかってはっぴー(笑)なひなたでした♪
またがんばってきださいね♪

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5408ありがとうです〜T−HOPE E-mail URL10/18-21:57
記事番号5398へのコメント
>こんにちわっっ!!ひなたです〜☆

 いつも有り難うございます〜はい。

>楔、みんな読ませていただきました☆
>とぉぉぉってもおもしろかったですよう。

 あぁぁ・・・そう言っていただけて、安心しました。
 極悪な話だな〜と、思ったものですから。

>いや、自分、らぶらぶ〜ん(死)なゼロリナもすきなんですけど。

 私も好きな・・・筈、なんですけどねぇ(sigh)
 何で、思いついたのこーゆーのなんでしょう・・・謎です。

>ぜんぜんらぶらぶじゃないのもすきなんです♪
>・・・それぜろりなっていわんがな(笑)

 い、言いませんね(しくしくしく)
 でも、私、ゼロリナ好きなんです〜。ホントに〜(;;)

>ま、まぁ、ゼロスとリナが出てたらそれで幸せ・・ってことですかね?

 まぁ、私も似たようなものかも(^^)

>でわでわっっ!!今回のことで、T-HOPEさんがゼロス嫌いじゃないってこともわかってはっぴー(笑)なひなたでした♪

 ホントにホントに好きなんですよ〜。
 ・・・ただし、いぢめるのも(^^;)

>またがんばってきださいね♪

 有り難うございますっ。頑張って・・・今度はもうちょいゼロリナと言えるようなものを書きたいと・・・思うんですけど・・・
どーなるでしょう?(^^;)

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5415よかったぁーー理奈 10/19-13:53
記事番号5388へのコメント
すっごいよかったですぅ〜〜〜!!!ゼロスがリナの肩にキス(?)したところを
読んでニヤついてた私。この次の作品も楽しんで読んでます。感想は、終わったときに書きますね。うわぁ〜、眠いのに書きこんでるから、日本語、いや、文全体が変。ごめんなさい。

理奈

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5419Re:よかったぁーーT−HOPE E-mail URL10/19-21:01
記事番号5415へのコメント
>すっごいよかったですぅ〜〜〜!!!ゼロスがリナの肩にキス(?)したところを
>読んでニヤついてた私。この次の作品も楽しんで読んでます。感想は、終わったときに書きますね。うわぁ〜、眠いのに書きこんでるから、日本語、いや、文全体が変。ごめんなさい。

 読んでいただいて、有り難うございます〜m(_)m
 ゼロリナのよーな・・・全然そうじゃないよーなお話・・・ですけどねぇ(笑)
 ・・・やぱし、ゼロvsリナというしかないかなぁ・・・(^^;
 この次、結局みんな不幸になるような気が、今からしてますが・・・お気が向かれたら、読んでやって下さいませ。

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5427Re:楔(終)水城守 10/20-00:37
記事番号5388へのコメント
水城です。読みました。
 
> 鼻先が触れるほど近づけられた、ゼロスの顔。
> あたしは、呑まれそうに深い闇を感じながら、ゼロスの瞳を、見返し続けていた。

きゃー、もうドキドキですよ。

>「あなたが、そんな風に踊り続けて下さる限り……僕は、あなたを殺さず眺め続けるでしょうね……」
> ゆっくりと、唇が重なった。
> あたしは、瞳を伏せるでもなく、かといって避けるでもなく、それを受けた。
> ――甘さの欠片もない、ただ……儀式めいた、くちづけ。

いいなー、ゾクゾクしてしまいました。目を伏せずに、避けずにいたリナが切ないんですよ。

微妙なゼロスとリナの関係が、とっても面白かったです。
ゼロスはとにかくかっこいいし。素敵ですぅ。
次回作も、頑張って下さいね。


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5432ありがとうございました☆T-HOPE E-mail URL10/20-10:07
記事番号5427へのコメント
>水城です。読みました。

ありがとうございます〜〜〜。

>> 鼻先が触れるほど近づけられた、ゼロスの顔。
>> あたしは、呑まれそうに深い闇を感じながら、ゼロスの瞳を、見返し続けていた。
>
>きゃー、もうドキドキですよ。

うぅ、そう言っていただけると嬉しいです。

>>「あなたが、そんな風に踊り続けて下さる限り……僕は、あなたを殺さず眺め続けるでしょうね……」
>> ゆっくりと、唇が重なった。
>> あたしは、瞳を伏せるでもなく、かといって避けるでもなく、それを受けた。
>> ――甘さの欠片もない、ただ……儀式めいた、くちづけ。
>
>いいなー、ゾクゾクしてしまいました。目を伏せずに、避けずにいたリナが切ないんですよ。

書きながら、こいつらっていったい・・・と思っていました。
完全魔族なゼロス君書こうとすると、考えてることが読みにくくって・・・。
ついでにリナちゃんまで、途中からわけわからなくなりました(;;)
・・・ので、そう言っていただけると有り難いです〜。

>微妙なゼロスとリナの関係が、とっても面白かったです。
>ゼロスはとにかくかっこいいし。素敵ですぅ。
>次回作も、頑張って下さいね。

ほんと、ありがとうございます。
ゼロス・・・えぇ、魔族なの好きなんですけど、いったん書くと嫌いになるようです(笑)
・・・ので、次は、もっとリナちゃんに弱いゼロス君になって欲しいかも。
そのようなものでよろしければ、読んでやって下さいませ(笑)

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5413風を抱くように(1)T-HOPE E-mail URL10/19-13:00
記事番号5298へのコメント
とりあえず、20枚まで論文いったんで、脳みそ君に休暇を与えてます。
さぁ、あと30枚・・・しくしくしく。虚しい。
ただ、これ・・・ちょっと引っかかる所がある話なので、一言。
注意書その1:
いつものことですが、ゼロリナメインの話で、更に今回かーなーりガウリィ君に酷い役回りふってます。
(その分、ガウリナが下にしいてあったりするんですけど・・・)
なので、ガウリィお好きな方は・・・かも(^^;)
まぁ、予定通りに話が進めば・・・ですけどね。
注意書その2:
これも予定通りに進めばなんですけど、途中暴力的描写が入りそうです。
もっとも、私、痛いの大嫌いなんで、たいしたことにはならないと思いますけど・・・(書くと、気分的に痛いじゃないです
か(^^;)
とゆーことで、そーゆーのキライな方も・・・です。
それでもいいとおっしゃって下さる、奇特なお方・・・読んでやって下さいませ。m(_)m

********************

風を抱くように(1)

 それは一瞬の油断がもたらした。
 レッサー・デーモンの、炎の矢。
 目を見開く栗色の髪の少女に、それが炸裂するか……と、思われた瞬間。
「リナっっっ!」
 横から身体が突き飛ばされ、景色が揺らいだ。
 身体をねじるその先で……。
「……ガウリィ……っっっ!?」
 金色の髪の青年が……。
 ……微笑んだ。
 炎に半身を焼かれながら。
 体勢が崩れる。足場が崩れる。
 戦場は、高い崖の上。
「ガウリィ!」
 伸ばされた少女の手は……火花が散るほどの間ながら、届かなかった――。
「ガウリィ……っっっ!」
 青年が落ちていく。
 二度と死体のあがらぬと言われる冷たく深い急流目指し。
「やだやだやだ……ガウリィっっっ!?」
 蒼白と言うのも足りないくらい青褪めた表情になった少女は、かちかちなる歯を抑えるように一瞬唇を引き絞った。
「……翔封界!」
 焦りで切れそうになる集中力を必死で保ちながら、少女は崖から身を躍らせた……。
「……絶対……生きてる……絶対……」
 まじないのように繰り返しながら――。

********************

・・・のっけからこれだし。
これじゃすまないんですけどね・・・えぇ・・・(^^;;;)
続き・・・明日には載せられるでしょうか・・・載せられるといーな・・・。

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5433風を抱くように(2)T-HOPE E-mail URL10/20-10:16
記事番号5413へのコメント

風を抱くように(2)

 川面が朱金に染まる。
 ちらちら踊る飛沫まで、鮮やかに色づいて……。
 けれど、栗色の髪の少女は、そんなものには目もくれなかった。
 ……いや、あえて目をそらしていた。
 赤いその色は、別の不吉な想像を呼ぶ。
 崖から落ちた青年を捜し、何度川を行き来したことだろう。既に太陽は中空から西に落ちかかっていた。
 ――今さら間に合う筈はない。
 ……そんなこと、判らない。
 ――あれ程の怪我を負って。
 ……彼が、死ぬわけがない!
「そうよ……生きてる……生きてるんだから……絶対……っ」
 髪をかきむしるようにして頭を抱えながら、少女は、紅の瞳を川にひたりと据えていた。
 半ば、この世界ならぬものを見始めた、その光。
 なまじ造りが愛らしいだけ、その虚ろな表情には、鬼気迫るものがあった。
「……あいつが……あのくらげが……死ぬわけ……ないじゃない。……馬鹿みたい……」
 ゆらり、と、身体が前に動いた。
 靴先が、春半ばでもなお冷たい雪解け水に触れる。
 けれど、少女は、そんなものは気に留めていなかった。
「……ガウリィは…………」
 びくっと、肩が震えた。
 飛沫の一つが、何の弾みにか、きらっと金色のものを光らせたのだ。
「……ほら……」
 少女は、にっこりと、花のような笑みを浮かべた。
 愛らしく、美しく――けれど、普通の人間が見たならば、思わず背筋を氷片がこぼれ落ちるのを感じたことだろう。
 彼岸に足を踏み入れているからこそ浮かべられる、完全に無垢な笑み。
「……呼んでる……」
 ゆらゆらと揺れながら、少女のか細い身体は真っ直ぐ川に向かった。
 まるでローレライに導かれる哀れな舟人のように。
 まもなく日は完全に落ち、真なる夜がこの世界を包み出すだろう。
 そんな時刻に、これ程冷たく急な川に身体を任せることの愚を……常ならば、少女とて理解していただろう。
 ……だが。
「……ったく……くらげなんだから……」
 少女の瞳は、ただ、金色のものが見えた――ように思える――場所だけを、見つめていた。
 そして、完全に川へ踏み込もうと――。

********************

あはは〜。妙なところで切っちゃったな(^^;)
今回、ずいぶんリナちゃん弱気モードです。
私にしては珍しい・・・かも・・・そーでもないかな。
でも、今のところ開き直る予定もないので、このまま行くでしょう(・・・って何処へ行くのかな〜(^^;)
それにしても、装飾過多になりつつある文体だなぁ・・・。

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5434風を抱くように(3)T−HOPE E-mail URL10/20-22:11
記事番号5433へのコメント

   風を抱くように(3)

 そして、その足が、完全に川へ踏み込もうとした、その瞬間――。

「……何してるんですか、リナさんっ?」
 白い手袋に覆われた手が、少女を抱きとめた。
「……離して……」
 少女は、ただ、虚空に投げ出されたような声で、呟く。
「冗談じゃないですよ。……死ぬ気ですか?」
 なおも前へ進もうとする少女の身体が、ぐいと、漆黒の僧衣のマントへとくるみこまれる。
「……ガウリィが呼んでんだから……離して……」
 何処からともなく現われ、少女を引き止めた青年は、尋常でない少女の様子に、やがて降りる夜の先駆けのような
瞳を、一瞬見張った。

 ……少女の保護者を名乗り、ずっと側にいた金髪の青年の不在。
 ……焼け焦げかけた少女のマント。
 ……川面に向かって呟く少女。

 ――現わす状況は……かなり、判りやすいものだろう。

 それを見て取って、青年は、静かにかぶりを振った。
「……行かせません」
「……離して……」
「……ガウリィさんだって……あなたが逝くことは……絶対、望みませんよ?」
 かけられる言葉は、おそらく少女の心には届いていないと判りながらも、あえて、闇色の青年は言った。
「何より……あなたにこんな死に方をされちゃ、たまりませんから……ね」
 この世ならぬ場所を見る少女の瞳に、刹那、溜息を吐くと――青年は、躊躇いもなく、手刀を少女の細い首筋に、落
とした……。
 空虚な表情をさらに空虚にし、少女が崩れる。
 そんな少女の小柄な身体をそっと抱きとめると、降りる闇に紛れる髪をした青年は、僅かにキツい瞳を川面に向け…
…ふわりと夜に溶けた。
 後にはただ、滔々と流れる川だけが……そこに、在った。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 もー少し、区切り方考えた方がいいですねぇ・・・やれやれ。
 まー、ともあれ、ゼロス君、登場(^^)
 やばいです。何か全然魔族じゃない・・・(−−;)
 ついでに、リナちゃん、全然リナちゃんじゃない・・・(;;)  
 にしてもなー。ゼロス君表すのに「青年」使うと、違和感ありまくりです(ほら、だって、年齢的に(^^;)
 でも、魔族じゃ何か感覚的に違うし・・・いいのありませんか〜?
 ・・・もちょっと考えて書こう・・・(−−;)

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5437はにゅ〜(悲)ひなた E-mail 10/21-03:03
記事番号5434へのコメント

こんにちわーっっ!!ひなたです♪さっそく読ませていただきました☆
・・・ってことで、感想です。

リナーーっっ(泣き)って感じです(分からん分からん)
なんかガウリイも・・・ですし。
でもっっ!!あたしは悲しいお話好きなんで(非道)良いです♪・・って文が変(汗)

とにかく、リナには元気になって欲しいです。
・・・でももしガウリイ居なかったら元気になんかならないんだろーなぁ・・・と思ってみたりして♪(笑)


> にしてもなー。ゼロス君表すのに「青年」使うと、違和感ありまくりです(ほら、だって、年齢的に(^^;)

なんかあたしも思いました(笑)
でもあたしが思ったのは、青年って青春っっ!!って感じがあるじゃありませんか?(ないない)
ゼロスにめちゃめちゃ会わないなぁ・・・と・・・(笑)ってそんだけかいっっ!!

> でも、魔族じゃ何か感覚的に違うし・・・いいのありませんか〜?

あったらあたしも教えて欲しいです(笑)なんかないですかね?

でわでわっっ!!続き、期待してます☆がんばってくださいね♪

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5438魔族の青春って・・・?(笑)T−HOPE E-mail URL10/21-08:41
記事番号5437へのコメント
>こんにちわーっっ!!ひなたです♪さっそく読ませていただきました☆
>・・・ってことで、感想です。

 ありがとうございます〜m(_)m

>リナーーっっ(泣き)って感じです(分からん分からん)
>なんかガウリイも・・・ですし。
>でもっっ!!あたしは悲しいお話好きなんで(非道)良いです♪・・って文が変(汗)

 そ、そうですか。それならよかった・・・(汗)
 書きながら、うわ、キャラいぢめっ、と思ったものですから。
 ゼロス君はいーんですよ。いぢめるの好きだし(これも愛情表現(^^;)
 ガウリィもゼロス君絡みでいぢめてるようなもんだし・・・。
 ただ・・・リナ・・・壊してる・・・あぅ〜(;;)

>とにかく、リナには元気になって欲しいです。
>・・・でももしガウリイ居なかったら元気になんかならないんだろーなぁ・・・と思ってみたりして♪(笑)

 ですね。
 ゼロス君じゃそこまで浮上させてあげられないでしょう。
 ・・・だから、ガウリナ下にしいてある状態なんです・・・。
 ただ・・・浮上・・・なさそうです(^^;)
 コンセプトが、みんな不幸な話っ! ですから・・・・・・(−−;)

>> にしてもなー。ゼロス君表すのに「青年」使うと、違和感ありまくりです(ほら、だって、年齢的に(^^;)
>
>なんかあたしも思いました(笑)
>でもあたしが思ったのは、青年って青春っっ!!って感じがあるじゃありませんか?(ないない)
>ゼロスにめちゃめちゃ会わないなぁ・・・と・・・(笑)ってそんだけかいっっ!!

 で、ですよね〜。合いませんよね〜(しくしくしく・・・)
 それにしても・・・魔族の青春って・・・何歳まで?(笑)

>> でも、魔族じゃ何か感覚的に違うし・・・いいのありませんか〜?
>
>あったらあたしも教えて欲しいです(笑)なんかないですかね?

 うーんうーん・・・。
 ブラック系な話の時は、「魔族」にしちゃってますけど・・・これ違うし(まだ(^^;)
 ホント、何かないですかね?

>でわでわっっ!!続き、期待してます☆がんばってくださいね♪

 ありがとうございます。
 続き・・・何か・・・アダルトはいってるんですけど・・・(笑)
 描写ないから見逃して下さいませ☆
 ・・・ついでに、この後来る筈の、妙にメロドラマに走りそうな展開も(このまんま進んだらそーなりますぅぅぅ・・・あぅあぅ)
 あはははは・・・((((^^;

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5439風を抱くように(4)T−HOPE E-mail URL10/21-08:52
記事番号5434へのコメント
 何か・・・アダルトはいりかけてます・・・((((^^;
 いえ、描写はない筈・・・ですが。こ、この程度なら・・・平気ですよね???
 とりあえず、見逃して下さると、とっっっても嬉しいです〜☆

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    風を抱くように(4)

 パチパチと火のはぜる音がした。
 少女は、静かに目を開いた。
「……落ち着かれましたか?」
 周囲に降りている闇が、音を奏でたか……。
 ――そう錯覚する程に、柔らかい声が、問うた。
「…………。……ゼロス……」
 感情の微塵もこもらない一本調子の声が、白っぽく色褪せた少女の唇からもれた。
 その呼び声に応じるように、少女の視界に影が映った。
 夜色の瞳をひたりと少女にあてた、漆黒の神官。
「……あんた……いたんだ……」
「ええ。
 ――夜は、冷えますからね」
 少女の目が焚き火へとそらされたのを察したのか、闇色の青年は、そう、答えた。
「……――そう」
 人ならぬ身の青年に、夜気など障りのあろう筈がない。
 ただ、自分の為だけに起こされた炎。
 けれど――少女は、何も言わなかった。
 理由を問うことも、礼を述べることも。
 ひたすら、億劫だったのだ。
 ――いや、そんなことすら、考えられなかったのかもしれない。
「……ゼロス……」
「はい?」
「…………。
 ……ガウリィが……。……死んだわ……」
「…………」
 青年は、何も言わず、小さく頷いた。
 そして、その白い手をそっと伸べ、ただ凝然と開かれた少女の瞼に、そっと下ろした。
 体温のないひんやりとした存在に、ほてる哀しい熱が、緩やかに移っていく。
「……泣きたいなら、泣けばいいんですよ……?」
「…………。……泣かない」
 そっと、重ねられた青年の手を外し、少女は紅の瞳を見開いたまま、呟いた。
「ううん……。
 ……泣けない……」
「リナさん」
「あたしの油断が……傲慢が……愚かさが……。……ガウリィを、殺したの。
 それなのに――のうのうと、泣けない……」
 瞳を揺らしながらも、少女はきっぱりと言い切った。
 青年は溜息をつくと、そっと、少女の白い頬に触れた。
「全部、忘れてしまえばいいのに……」
「忘れない」
 頑是ない子供のように、栗色の髪を乱し、少女は激しく首を振った。
「……そんな、ズルいこと、しない……」
「……あなたは、確かに強いけれど……そのままでは、いつか、つぶれてしまうのに……」
 僅かに切なげに響く声で、青年は言った。
 少女は、唇を小さくつりあげ、笑みに近い表情を作った。
 けれど――瞳が、全てを裏切る。
 揺れる火影の落とす陰影が、少女の顔を、凍りついた死人のようにとどめて見せていた。
「強くなんて……ない……」
 声音は、ぴんと張りつめ震える、今にも切れそうな銀の糸。
「忘れられるものなら――本当は……忘れ、たい……。
 ……でも……」
「ならば……」
 闇色の影が、すいと、少女の上に降りた。
 夜色の瞳が、光の散る瞳をのぞきこみ、漆黒の髪が、少女の白い頬に落ちた。
 唇の触れ合いそうなほど近く重なって、青年は目をそらせぬほど艶やかに微笑った。
「……一瞬だけ、夜の夢に紛らわして――忘れさせてさしあげましょうか?」
 ――誘う言葉。
 それが何を意味しているのか、少女も、気づかないではいられなかった。
 それでも――。
 少女は、睫を、震えながらおろした。
「…………。……お願い……」
「……はい」
 ――闇が、少女を抱きすくめた。
 重なる二つの影が、ざわめく炎で、ゆらゆらと、夜の森に浮かんでは消える。
 そして――はじける火の呟きに遮られながら、意味のない囁きと甘い悲鳴が……夜に溶けて……消えた……。


 ――それから、十と二の年月が過ぎる……。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 ・・・・・・つけこみ状態(死)
 それ以外に言い様ないですね〜。うーん、ゼロス君、それでいーのか?(笑)
 何でこーなったかな。
 ま、まぁ、アダルトもっといっちゃったらどーしようかと思いましたが、この程度ですんでくれて、よかったよかった(^^;)
 それにしても・・・リナちゃん、めちゃ弱(−−;)

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5445Re:風を抱くように(4)水城守 10/22-01:01
記事番号5439へのコメント

水城です。

きゃあ〜、溶けた。溶けちゃいました(笑)
ゼロス素敵です。もうゼロスにあんな台詞言われたら、
どうにでもして下さいって感じですね(爆)

とにかく、描写が綺麗。はあ〜、切ないです。
リナちゃんが弱ってるところも、また・・・・ふふふ(笑)


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5448あ、ありがとうございます〜T−HOPE E-mail URL10/22-08:25
記事番号5445へのコメント
>水城です。

 いつもありがとうございます〜m(_)m

>きゃあ〜、溶けた。溶けちゃいました(笑)
>ゼロス素敵です。もうゼロスにあんな台詞言われたら、
>どうにでもして下さいって感じですね(爆)

 よ、良かった〜(心底からっ)
 どの程度までが、こーゆーの許容範囲かわからなくって、結構怖かったんですよ〜(笑)
 い、いえ勿論、描写としては・・・ほのめかすくらいにしといたから大丈夫だとは思ったんですけど・・・でも・・・(^^;)

>とにかく、描写が綺麗。はあ〜、切ないです。

 書きながら、私なんでこんな書き方してるかな〜と、首かしげてました。
 はっ。もしかして、自動書記!?
 ・・・とすると、私に責任はないな・・・あ、この手いいかも・・・(笑)

>リナちゃんが弱ってるところも、また・・・・ふふふ(笑)

 おかげでゼロス君、つけこみまくってますね(^^;)
 ・・・もっとも・・・そーゆー立場が本当に嬉しいかどうかは、別問題な気がしますけどね。
 
 では・・・なぁんか書いてて長くなってる気がするんですけど・・・続きも読んでいただけたら嬉しいです。

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5449風を抱くように(5)T−HOPE E-mail URL10/22-08:45
記事番号5439へのコメント
 またもオリキャラ出してるしー・・・。
 いーかげん、この習性はどうにかした方がいいように思いつつ・・・無理だな、私じゃ(^^;;;)

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

   風を抱くように(5)


 ――それから、十と二の年月が過ぎる……。


「あ、ちょいと! レイン!」
 お使いを頼まれて走っていた十歳くらいの少年は、顔馴染みの果物屋のおばちゃんに呼び止められて、慌てて足を
止めた。
「なぁに、おばちゃん?」
 少年が、明るい笑みを浮かべながらひょこひょこ寄っていくと、おばちゃんはちょっと首をかしげ、
「あんたの父さん、今日、家にいるかい?」
「うん。いるよ? なんだい、おばちゃん。父さんに用なのかい?」
 尋ねると、おばちゃんは、いやいやと手を振った。
「アタシじゃなくって、このお二人さんなんだよ。どーもね……あんたの父さん、探してるみたいなんだけど……」
 言われて、レインは、その旅人らしい二人連れに改めて目を移した。
 二十歳前後の男と女。
 ともに、外の……見知らぬ空気をまとっているように、感じられた。
 栗色の髪の、魔道士らしき女は、レインを見て、何故か、怯んだ表情になった。紅の瞳が見開かれている。
「……金の髪と、春の空のような青の瞳……」
 漆黒の髪の、神官らしき男は、レインを見て低く呟くと、そっと、女の顔をのぞきこんだ。
「……大丈夫ですか、リナさん?」
 女は、震えながら男のマントを握りしめていた手を、指一本一本はがすように外し、小さく笑ってみせた。
 愛らしい顔が、震える花のように僅かにほころぶ。
「僕が確かめてくるという手も、ありますけど」
 女はちょっとだけ迷うように首をかしげたが、すぐ、肩をすくめた。
「あんた、なんか、嘘つきそーなんだもの」
「ひどいですねぇ。僕が、リナさんに対して、そんな真似すると思うんですか?」
「すっっっごく、思う!」
 きっぱり言ってのけると、女は、いじけた素振りを見せる男には慣れきったように見向きもせず、僅かに腰を落として、
レインと目線を合わせた。
 気の強さをうかがわせる目元に、人なつっこそうな表情が浮かんでいた。
「はじめまして。え、と……レイン、だっけ?」
「うん。……お姉ちゃん、誰?」
 女は、にっこりと笑った。
 強い光を宿す紅の瞳が和み、柔らかい印象を醸し出す。
 満開の花が咲きこぼれるような、華やかな明るさ。それでいて、馴染みやすさも併せ持っている。
 知らず、レインも微笑み返していた。
「あたしは、リナよ。リナ=インバース。で……こっちが」
 チラッと視線が、自分の背後、影のように付き従って立つ漆黒の神官に動いた。
「……おまけの、ゼロス」
「おまけはないですよぉ、リナさぁん」
「いーのよ、あんたはそんくらいでっ」
 和やかなにこにこ笑いを浮かべたまま文句を言っている神官の瞳が、一瞬だけ、レインの青とぶつかった。
「…………っ?」
 その刹那、レインは、背筋に水を浴びせられたような感覚を覚えた。
 今まで、どんな人間に対しても感じたことのないような……純然たる恐怖と、嫌悪。
 幼い頃、母にすがって眠り、逃れた闇に、改めて向かい合っているような……そんな、思いが心をよぎる。
 それを見て取ったのか、神官は、ふと、笑みを面白そうなものに変えた。
「……成程。似て……ますね」
「……だから、来たのよ」
 ふと、表情を再び石化させ、女は呟くように応じた。
「…………。……レイン。あたしは……あんたの父さんに、会いたいの。案内してくんない?」
 レインは、首をかしげた。
(……父さんの、知り合い、か?)
 けれど、これまでそんな人が尋ねてきたことはなかった。
 それに、父親から、こんな目立ちそうな人の話を聞いたことも……ない。
 ……それとも、この町にやって来る以前の知り合いなのだろうか。
 と、すると――この人は、あのことを、知っているのだろうか?
(もし、知らなかったら……)
 けれど、レインからそれを言い出すことはできなかった。
「……父さんを、知ってるの?」
 代わりに、こう問うてみると、リナと名乗った女は、実に複雑な表情を浮かべた。
 不安そうな、哀しそうな……何処かで、嬉しそうな。
 暗夜に儚く脆い一筋の光を……遠く僅かに見出した人のような、絶望と希望が分かちようもなく絡み合った混沌とし
た想いが、一瞬だけ、表面化していた。
「…………。……多分、ね」
 愛らしい人のその顔に、レインは、それ以上何も聞くことができなくなってしまった……。


「父さん、今日はここで作業してると思うよ」
 家の近くの小さな工房に二人を連れてくると、レインはそう言った。
「……作業?」
「父さん、木彫り細工がすっごく上手いんだ!」
 にっこり笑うレインの顔には、父親に対する強い誇りが浮かんでいた。
「へぇぇぇぇ……」
 リナは、何故だかずいぶんと感心しているようだった。
「……あいつに、んな特技があったとは、知らなかったわ……」
「そーなんだ?」
「うん。……で。中?」
「中にいると思うよ」
 その言葉に、リナは扉に手をかけ……ようとして、一瞬、手を止めた。
「………………」
 レインは、首をかしげた。
 リナの細い手が……小刻みに震えていた。
「お姉ちゃん?」
「…………。……う、うん……」
 ふと、レインの横を、影のようにゼロスが通り抜けた。
 空気のようになめらかな動きで、静かに、リナの手に自分の手を重ねた。
「……ゼロス……」
 さ迷うように虚ろさを宿して振り向いたリナの瞳に、変わらず微笑む夜色の瞳が頷いた。
「……大丈夫です。リナさんは……大丈夫、ですよ」
「うん……。……そーね」
 刹那、目を伏せ、小さく笑うと、リナはきっぱりと顔を上げた。
 真昼の太陽のように晴れやかな笑みが、そこに戻っていた。
「……そーよ。……あたしは、大丈夫。そう、決まってんの!」
 リナから放たれる、変わらぬ強い光。
 それに満足したようにゼロスは笑うと、す、と、身体を退いた。
 リナは、大きく頷くと、一気に扉を引き開けた。
「どーもっ。こんにちはっ!」
 明るい声が、開かれた工房の中に、高く反響し……台に向かって作業していた男の肩を、僅かに動かした。
 ゆっくりと立ち上がり、振り返る男。
 レインと同じ、金の髪。春の空の青の瞳を持つ三十台後半に見える男は、戸惑うように、小さく首をかしげた。
「…………」
 声は、発せられない。
 リナは、その様子を見て、一瞬だけ溜息をもらした。
「……久しぶり。つっても……どーせ、あんた、覚えちゃいないんでしょーけどね」
 ばさりとマントをはねのけると、真っ直ぐ、レインの父に歩み寄った。
「でしょ? ……ガウリィ?」
 ――金の髪の長身の男は、ただ黙ったまま、目の前で立ち止まった小柄な女性を見ていた……。
 ただ、ひたすら、穏やかな瞳で。
 その春の青の静けさに、リナの握りしめた拳が、小さく震えた。
「……覚えて……ないでしょーね」
 奇妙に歪んだ微笑。
「…………。……あんた……記憶喪失……だもん、ね……」

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 ・・・書いてて思ったこと。
 何か・・・ガウリナだよなぁ・・・。
 ゼロス君、気の毒といえば気の毒。
でも、この人がおとなしく気の毒なだけの立場とっててくれるわけはないのでした(書いてるのが私だからね(^^;)
 ・・・もうすぐ逆襲が始まる・・・のかしら・・・(;;)

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5452風を抱くように(6)T−HOPE E-mail URL10/22-21:49
記事番号5449へのコメント
 何か・・・妙に長くなってる気がします。
 あぁぁぁ・・・呆れずにお付き合いいただけると嬉しいですっっっ。

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

   風を抱くように(6)


 リナは、震える唇を強いて押さえて言葉を紡いだ。
(……これが、罰)
 かつての己の傲慢さの。愚かさの。
「クラゲなあんただから、しょっちゅうのーみそおっことしてるようなもんだったけど……ホントにおっことしたって聞いた
日には、呆れた口がふさがらなかったわよっ」
 強気な言葉を、浮かぶ筈のないキツい台詞を、必死で脳裏から拾い上げ、放つ。
 けれど……ともすれば、胸が押しつぶされ、何も考えられなくなりそうだった。
(罰。……大切な人に……忘れ去られる、痛み……)
 ――かつて、レッサー・デーモンとの戦いで川に落ちたガウリィは、奇跡的に引き上げられたものの、気がついた時
には、自分の名前以外の一切を忘れていたという。
「……そんでも……無事で……良かったけど……」
 リナの頬を、一粒だけ、涙が伝わった。
 唇には、変わらず、震える笑み。
「死んだと……思ってたから。……だから」
 一歩、ガウリィに近づく。
「本当に……良かった……」
 また、一歩。
「あんたが生きてて……良かった……」
 そっと、手を伸ばす。
 ガウリィは、動かない。
 細い指が、ガウリィに触れようとした、その時。
「……あなた?」
 柔らかな女性の声が、扉の方から響いた。
 リナは、はっと振り返る。
 そこに立っていたのは、亜麻色の髪を長く背に垂らした、優しそうな女性だった。何処か、レインと顔立ちが似ている。
「……すみません。お客様でした?」
 不安そうに揺れる女性の瞳。
 リナは、素早く涙を拭って、毅然とした表情をとりつくろった。
「すみません。ちょっと……。もう、帰ります」
 伸ばしかけていた手を引き寄せ、胸元で、何かを抑えるように握りしめる。
 が、一瞬後には、紅の瞳は真っ直ぐにあげられていた。
「それじゃ……」
 揺れる瞳の安定を、理性でとろうとしながら、リナはガウリィに会釈をし、踵を返そうとした。
 ……が。
「…………。
 ……――リナ……」
 ――低い、ガウリィの声。
 リナの名を……呼ぶ、声。
 リナは、凍りついた。
 はっと、我に返り、仰ぎ見る。
「あんた……まさか……っ」
 ガウリィは、ふと、視線をそらした。
「すまん。……ちょっと、外しててくれ」
 おそらくレインの母だろう女性は、夫の視線と言葉に、僅かに躊躇った後小さく頷き、息子の手を引いて家へと戻っ
ていった。
「……記憶、戻ってるんだ……あんた」
 リナは、信じられないとでも言いたげな声で、ガウリィの顔をうかがった。
 けれど、彼女が覚えている優しい笑みは……決して、そこに浮かばなかった。
 ガウリィは、小さく、首を振った。
「…………。
 ……オレのことは、そのまま、死んだと思っていてくれていい……」
「なっ……何、言ってんのよっ!?」
「…………。
 ……あの頃のオレは……一度、死んだんだ」
「馬鹿言わないでよっっっ!」
 リナは、堪えきれなくなったように、絶叫した。
「死んだ、ですって……。
 ……あんた、あたしがあれからどんな気持ちだったか、判ってるの!?
 判って……判ってやしないわっ!」
 必ず傍らにあって守ってくれていた腕。
 当然と思い過ぎて、行方を見失った……。
 ……それから、もう、ずいぶん経ってしまったが……。
「あたしは……っ」
「お前は……変わんないよなぁ」
 ガウリィは、何処か懐かしげに、リナを眺めた。
「全然……変わらん」
 強大な魔力を有するリナの身体は、常人よりゆっくりと年齢を重ねていく。
 十年以上の年月がガウリィの上にふりかかったにもかかわらず、リナは、まだ、少女めいた姿を保っていた。
 リナは、唇を噛んだ。
「……そんなこと、話したいんじゃないわ……」
「でも……オレは、このまま、傭兵やってたこととか全部忘れたまま、ここで、暮らしてくんだよ……」
「…………。……そう」
 くるりと振り向き、リナは、それだけ、言った。
 ふと、天井を仰ぎ……。
「……奥さんと、子供と、一緒に?」
「…………。……あぁ」
「そう……」
 リナは、ガウリィに背を向けたまま、軽く肩をすくめてみせた。
「…………お幸せに」
「…………」
 ガウリィは、答えない。
 リナは、静かに、工房の扉を開いた。
 そこで初めて振り返る。
 差し込む日光が、リナの姿をシルエットに変え、その表情を影に包みこんでいた。
「そういえば……言ってなかったよね。
 ……あたしをずっと守ってくれて……ありがと。それから……。
 ……ごめん……」
「…………。
 リナ……。……お前、は……」
 ふと、何処かつかえたような苦しい声で、ガウリィは、声を放った。
「今……一人なのか……?」
「…………」
 リナは、一瞬、押し黙った。
 けれど……。
 ふと動かされた瞳が、工房の隣の家から投げられる、哀しいほど必死な視線を見出した。
 小さく、紅の瞳を、閉じる。
 そして。
「……うぅん。……大丈夫だよ、『保護者』さん」
 悪戯っぽい、明るい声。
「あたしは……大丈夫」
「…………。……そうか……」
 ガウリィの、かつて聞いた時と同じ、呑気で優しい声が、静かに応じた。
「……じゃ、ね。ガウリィ。
 ……元気で、ね」
「…………。……お前も、な。
 ……無茶、しすぎんなよ?」
「あはは……だーから、大丈夫だってば」
 手を振って……リナは、扉を――閉めた……。


◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 だーから、これじゃガウリナだってば・・・(^^;)
 しかも、暗いし・・・。
 ゼロス君、完全に脇いってますね。もっとも、だからってこの人(じゃないけど)がおとなしくその位置にいてくれるわ
けがないんだな、私が書くと・・・。
 ということで、次回、ゼロス君、完全暴走・・・の、模様。
 半分以上できてるんですけど・・・暴力シーンや痛いの嫌いな方、ガウリィファンな方には・・・ちょっと、お気に召して
いただけないかも・・・。
 ・・・ま、まぁ、私の描写でそんな痛そうになるわけはないんですけどねぇ・・・多分(^^;)

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5453風を抱くように(7)T−HOPE E-mail URL10/23-08:25
記事番号5452へのコメント
 というわけで・・・書けるかどーかな暴力シーン絡みの場面が・・・。
 こ、この後は、甘め(でも、暗い〜(^^;)の場面になる筈っ。
 しっかし・・・どーしてこんな長くなるかな。

●●●●●●●●●●

    風を抱くように(7)

 レインは、ゆっくりゆっくり歩いていくガウリィの後を、いつものように、ひょこひょこついていった。足元で、落葉が、か
さこそ鳴る。
 秋近い、町外れの森。
 ガウリィは、いつもここで、作業に使う木を切り出す。
 それを運ぶ手伝いをするのが、レインの日課だった。
「……父さん」
「んー? 何だ?」
「あの……リナってお姉ちゃん。……父さんの、昔の、知り合いだったんだろ?」
 ガウリィは、僅かに肩を動かした。
「……まぁ……なぁ」
「母さんと知り合う前……記憶、一度、なくしちゃう前の?」
「ま……そうだな」
 レインが足を速めて追いつくと、ガウリィは、小さな笑みを唇に浮かべていた。
「旅の……仲間、だった。
 ……いや。オレは、あいつの『保護者』だった……かな」
「だから、あの人、もう一度父さんと一緒に旅するために、迎えに来た……のか?」
 母親は、あの愛らしい少女が尋ねてきた日から、様子がおかしい。
 レイン自身も、何処かでその不安を共有していたのだと……尋ねてみて、初めて、気がついた。
 が、ガウリィは、あっさり笑って首を振った。
「今更……だろう。オレは、年もくったし、身体も……こんなだし、な」
 レインが生まれる前、昔の傷で動かなくなった左足を、ぽんと叩く。
「だから……今更……なんだよ……」
 そう、言葉が紡がれた……時。
「……つまらなすぎる、理由、ですね……」
「ぐわっっっ」
 いきなり……ガウリィは、吹き飛ばされ、立ち木に叩きつけられていた。
「な……何がっ」
「まったく……その程度で、あの人を……」
 再び、何処からともなく、声が響いた。
「…………。
 ……ゼロス……か……?」
 ガウリィが……苦い声で、呻くように言った。
「……なんだ。僕のことまで思い出していたんですか?」
 何処かとぼけた台詞を吐きながら……不意に、レインの側に闇が凝り、見覚えのある漆黒の神官が現れた。
「ガウリィさんのことですから、絶対、忘れてるに違いないと思ってたんですけどねぇ……」
 ――驚いちゃいましたよ。
 呑気な態度だが、レインは身体を強張らせ……動くことができなくなっていた。
(……こいつは……違う……)
 どう考えても、人間ではありえない。
 いきなり現れた、それだけではない。
 放つ、空気。
 これ程に深い闇を……レインは、これまで、知らなかった。
 ゼロスは、そんなレインを見て、くすっと笑った。
「……最初にお会いした時も思いましたけど、さすがは、ガウリィさんのお子さんですね。
 僕が何なのか……本能的に見抜く、とは」
「……何の用だ……?」
「代償を……いただこうと、思いまして」
 動けなくなっているガウリィに、ゼロスはつかつかと歩み寄ると、いきなり錫杖を振り上げた。
 がっっっ。
「……ぐふぅっっっ」
 ガウリィの顔に、手加減もなく、貴石の埋めこまれた錫杖が振り下ろされた。
 切れた唇から、一筋、血が流れる。
 折れとんだ歯が、地面に転がった。
「……まだですよ」
 今度は右肩に。
 べきっ
「うぐ……っっっ」
 骨の折れる鈍い音が、呻き声とともに響いた。
 ガウリィの身体が、崩れるように、転がる。
 けれど、ゼロスは、まるで変わらぬ人の良さそうな笑みを浮かべたまま、錫杖を掲げていた。
「まだですってば……」
 今度は、錫杖の先が、思いきり、腹に、突き立てられた。
「がはぁっっっ」
 鮮血が、口から吐き出される。
 身体を丸め、むせるように咳こむガウリィから……溢れるように。
「…………。
 ……困りましたね。人間ってば、脆くって……」
「……と、父さん……」
 レインは、動けなかった。
 震える足を必死で踏みしめるのだが……世界は、軟らかいバターに変わってしまったようで、立っているのが辛かった。
「な……んで……」
「リナさんが泣いたから」
 無意識にレインの唇が紡いだ問いに、ゼロスは何故か振り向き、律義に答えた。
「だから、その代償を、いただくんです」
「……リナが……何……」
 地面をはいずるようにして、ガウリィは、側に佇むゼロスの足をつかんだ。
「リナが……っ?」
「……あなたのせいです」
 穏やかともいえる声でゼロスは言い、錫杖の先で、自分の足をとどめるガウリィの手を……突いた。
 ……ごきっ。
「ぐうぅぅっっっ」
「……リナさんは、あなたを失った時……心の一部を、深く傷つけた。
 なのに……あなたはのうのうと生きていて、しかも、また、リナさんを泣かせた……」
「…………。……オレ……は……」
「僕は、ね……」
 呻くガウリィの声には全く注意を払わず、ゼロスは、その顔をのぞきこみ、にっこり笑った。
「……リナさんが、好きですよ」
「…………。……何?」
「魔族の僕にこんな感情を抱かせるほど、リナさんは、特別なんです。
 ……それを、あなたは、つまらない他の人間と天秤にかけるという……」
 くすっ。
 小さく笑うと、ゼロスはまた錫杖を振り上げようとし……不意に興味を失ったように、止めた。
「……僕は別に、リナさんの気持ちが何処にあろうと、構わないんです。
 でも……泣くのは、許せない。
 リナさんがリナさんでなくなってしまうのは……絶対に、許せない」
 夜色の瞳が、ゆっくりと開かれた。
「――あなたは、それを……してしまったんですよ」
 ガウリィは、青い瞳でゼロスを睨んでいたが……その言葉に、視線を落としてしまった。
「年をとった? 身体が不自由だ?
 その程度で……その程度の障害で、諦められてしまう程度の存在に、あの人を、貶めないでいただきたいですね……」
「だがっ……もう、遅い。
 ……遅いんだっ」
 不意に、激昂したように、ガウリィは叫んだ。
 叫んで……また、血を吐いた。
「……内臓やっちゃってる筈ですから、無茶すると、そうなりますよ」
「…………っ」
 転げ回る相手を冷ややかに見下ろすと、ゼロスは肩をすくめた。
「遅い……ですか? 障害全て切り捨てる程度の覚悟があれば――遅くは、ない筈……ですけどね」
 冷たい目が、ふと、レインに移動した。
 ――障害……。
 レインは、何故か、それが自分のことだと……悟った。
「何でしたら、僕が代わって手を下してさしあげましょうか?」
 す、と、錫杖が真っ直ぐレインを指した。
「……や…………め……っ」
「成程……。
 それが、あなたの結論、ですか」
 くるりと錫杖が回り、ガウリィの頭上で、ぴたりと止まった。
「……滅ぼしてさしあげるのは、簡単。
 ……簡単すぎて、つまりませんね」
 埋めこまれた貴石が、柔らかな光を放った。
 途端――。
「……何故、オレを、癒した……?」
 きれいに傷の消えた身体を見ながら、ガウリィは、ゆっくりと身体を起こそうとした。
 がっっっ。
 その身体を、また、蹴り飛ばされる。
「……言ったでしょう? 簡単すぎてつまらない、と」
 ガウリィを手加減なく蹴った相手は、言うなり、錫杖を握る手とは反対側の手に、闇色の剣を呼び出した。
 そして、それを、ガウリィの前に、ぐさりと刺した。
「…………。
 ……オレに、抵抗してみろ、と?」
 剣とゼロスを等分に見比べながら、ガウリィが問うと、ゼロスは肩をすくめた。
「今のあなたと勝負してみても、面白味はないですよ。
 ……ですから、ね」
 ゼロスの影がゆらりと揺れ、気がつくと、レインのすぐ脇に立っていた。
「……こうするんですよ」
 ぴたり。
 錫杖が、レインの顎の下で、不気味に、停止、した。
「……何を……っ!」
「ガウリィさん。死んで下さい」
「…………。……何だと!?」
 ゼロスはにこにこ笑いながら、真っ直ぐ剣を指差した。
「あなたがその剣で己の腹を割いて死んで下さるのでしたら、レインさんの命は保証します。
 ……否とおっしゃるのなら……」
「……レインを……どうする……?」
「ふむ」
 ゼロスは、僅かに値踏みするような視線を、レインにはわせた。
「……全身から少しずつ血を吹き出させて苦しみもがきながら死んでいただくようにするのも、僕には可能ですけど…
…些か悪趣味ですしねぇ。
 ……あぁ、そうだ」
 何かとても楽しいことを思いついた子供の表情で、ゼロスはぽんと手を打った。
「適当な、低級だか中級の魔族の方に、レインさんの身体に同居していただいて、この身体で……あなた達二人にと
ってある程度大事と思われる人間全て殺し尽くさせる、というのは、どうでしょう?」
「な……っっっ」
 ガウリィが、吠えるように叫んだ。
 レインは、ゼロスに怯えきり、口を開くこともできない。父親に縋るような目を向けることしかできなかった。
「あ、大丈夫ですよ。殺してる最中も、レインさんの意識はしっっっかりと残して差し上げますから。
 勿論、身体の方も、レインさんそのままにしておきますよ」
 なおさら残酷な提案を嬉々として行うと、ゼロスは、闇色の髪をさらりと揺らして、首をかしげた。
「……で、どちらを選ばれます? ガウリィさん」
「…………。
 ……何だって、そんな……」
 ガウリィは、何処か呆然とした声で、そう、呟いた。
「リナさんを傷つけた代償と言ったでしょう?
 そう……僕にしてみれば、あなたがどちらを選んで下さっても構いません。
 あなたが自ら死ぬ道を選べば、あなたからは死という形で代償を得、あなたをリナさんから奪った二人からは、あな
たを得る」
「……オレが……万が一、生きることを選べば……?」
「二人からは、死と絶望を得、あなたからは……ところで選ぶんですか、こちら?
 リナさんを手放してまで選んだ場所を捨てることを?
 それはそれで、リナさんのないあなたの生には全く意味がないと証明することになるので、僕は満足しますよ」
「全て、リナのため……か……」
 ゼロスは、僅かに唇の端を引き上げ、笑みの形を装った。
 全てはリナのため。リナの価値を認めさせるため。
 ――狂信者。
 ふと、ガウリィは、頭の何処かをそんな単語がかするのを感じていた。
 ……だが、リナは、ゼロスのそんな側面に気づいているのだろうか。
 そして……。
「……一つ、聞いておきたいことがある……」
「何です?」
「もし、リナが……魔族にとって危険だと、殺されちまおうとしたら……お前、どうする?」
 魔族を裏切ってまで守るかどうか。ガウリィは、それを、聞いておきたかった。
 ゼロスは、ほんの少しだけ目を見張った後、小さく笑った。
「あなたもまた……。
 ……いえ、そう、ですね。
 守れる範囲のことなら、守るでしょう。ですが……真に腹心の方々が動かれるのなら……僕は……僕が、リナさん
を、殺します」
「何故だ!?」
「簡単ですよ」
 ゼロスは、ぴっと指を立て、微笑った。
「腹心の方々が本気になれば、守りきれないから。
 そのくらいなら……僕が、この手で……この世の誰よりも、優しく、殺してさしあげるんです」
「……優しく……?」
「そう。負の感情など感じる必要もない程に……優しく、ね」
「…………。……そう、か……」
 ガウリィも、微笑った。
 微笑って、剣を、手にとった。
 そして――思いきり、己の腹に、突き立てた…………。
「…………っっっ」
 見ていたレインが、唇を開いた。けれど、乾いたそこからは、悲鳴すら、漏れなかった。
「あ、突くだけじゃ困ります。
 ……ちゃんと、割いて下さいね?」
「……かって……な……」
 言いながら、ガウリィは弱りゆく手に力をこめ、一気に……割いた。
 ゼロスの“配慮”か、多少鈍いその剣の先に、内臓がひっかかり、力をこめると一部ずるりと千切れて露出した。
 鮮明なまでに赤い血が、脈動と共にどんどん流れていく。
「……人間、結構脆いようで丈夫ですからね。
 ……暫く苦しんでて下さい」
 あっさり言い捨てると、ゼロスは今度はレインに向き直った。
 レインは、父親の行動に自失していたが……その瞬間、はじかれたように青の瞳が上がった。
 憎しみと怒りに、凍りつくような色と変じた、それ。
「よくも……父さんを……父さんをっ!」
「ガウリィさんは、自分で、死を選んだ。……自殺です」
「お前がそうさせたくせにっっっ!」
「……それでも……」
 にこっと人のよさそうな笑みを浮かべたまま、ゼロスはすいと錫杖を伸べた。
「あなたにそう証言していただいては困りますね。
 ガウリィさんは、自殺。……その結末こそが、リナさんからガウリィさんを奪い傷つけた女の慢心には……相応しい」
「……なっっっ」
 ぴた、と、レインの額に錫杖があてられた。
「……覚えておいて下さい。
 ……真実を口にしようとした瞬間、あなたの心臓は破れる……そのことだけは、ね」
「そん……」
「あ、そうそう。それから……」
 ゼロスはくすくす笑いながら、言葉をつないだ。
「あなたからガウリィさんの色を、いただいていきます。
 あなたがその色を持っていることも……リナさんを、傷つけたから」
 闇色の存在が、そう言い切った瞬間。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ………っっっっっ!」
 レインの全身を……名状しがたい力が走り抜けた。
 ……一度身体を引き裂きバラバラにし、さらに捏ね回されるような……そんな、痛み。
 …………レインは、気を失った……。
 
 ……そして、次に気がついたとき、少年は知ることになる。
 父親の死と……。
 ――自分の髪が白く、瞳が赤く、変じていることを…………。

●●●●●●●●●●

 というわけで、ゼロス君大暴走・・・。
 あぁぁぁ・・・投げる石は丸いのにして下さい。硝子は嫌〜。5p以内でしたら、甘んじて打たれます・・・しくしくしく(;;)
 えと・・・次は、ちゃんと、普通の感じになると・・・多分・・・(^^;)
 す、すみません。呆れられなければ、読んでやって下さいませ。

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5462風を抱くように(終)T−HOPE E-mail URL10/24-08:34
記事番号5453へのコメント
 ということで、これで全部終わり・・・です。
 うーん・・・やっぱし暗い話だなぁ・・・。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

     風を抱くように(終)


 秋が近い森の夕暮れは、差し込む赤い炎が色を塗り替えつつある葉に煌めき、独特の光景を作る。
 そんな森の外れにある泉の側に、一人の女が座っていた。
 二十歳前後――少女と大人の境目のような……否。どちらかといえば、少女めいた姿。
 けれど、その燃え盛る夕日に溶けるような瞳に映じる光には、もっと深い、哀しい程の想いが宿っており、女の年齢
を覆い隠していた。
 女は、先程から動きもせず、ただじっと……青く静まり返った泉を見つめていた。
「……リナさん?」
 そんな女の傍らに、落葉をかさともいわせず現れた神官の服を纏う男は、静寂と同義に思えるような声で、そっと、
名を呼んだ。
「まだ……ここに、いたんですか」
「…………。……うん」
 女は動かず、ただ唇を機械的に動かして、相手の問いに答えた。
 男は、ゆっくりと、そんな女の側に腰を下ろした。
 徐々に夕闇が濃さを増し……紫色の夜が訪れる。
 それでも、女は、じっと泉を見つめていた。
 ――完全に影が降り、泉の青が……見えなくなるまで……。
「……判らないや……」
 ふと、女は、迷い子の声で、ぽつりと呟いた。
「……喜んでいい筈なのに……生きてたんだから、喜ばなきゃいけないのに……どうしてあたし……こんな、苦しいか
な……」
「……リナさん……」
 男は、ただ女の名を呼び、そっと抱き寄せた。
「…………。
 ……ホントに……判らないの……」
「あなたは……もっと、正直になっていい……」
「でも…………っ」
 男のマントに包まれたまま、女は、息詰まるような声を上げた。
「……でも……っ」
 男の胸元に縋るように細い指を這わせながら、繰言のように呟く。
「…………でも」
「僕は……あなたが本当に望むものを、知っています」
 男の柔らかな声がさらに闇を呼び、そっと、女を覆ってくれている。ふと、そんな錯覚すら起こしそうな、優しい声。
「……だから、あなたは……正直になっていい。……泣いて、いいんですよ?」
「……ゼロス……?」
「…………。……癒すのは、僕の、領分じゃありませんからね……」
 ――お泣きなさい。
 小さくそっと、女の耳元で、男は囁いた。
「……明日には、忘れさせてあげます。……いつものように」
 ――そちらの方が、僕は得意ですからね。
 悪戯っぽい響きを宿した声は……確かにいつもの独特の温かさで。
 女は……男の胸に、顔をうずめた。
「……ごめん……ゼロス。ごめん……ごめんね……」
 嗚咽の合間に、繰り返される、謝罪。
「……謝らないで下さい」
 ――仕方ないことなんですから……。
 サラサラと女のしなやかな栗色の髪を梳きながら、男は、困ったような声で言った。
 そう、確かに仕方のないこと。
 人ならぬ身の自分が、それでも彼女の心を望んでしまうのも。
 彼女の心が今もなお、あの男を望んでしまうのも。
(……でも、それ以外は……認めませんけどね)
 ……あの男が、彼女を裏切ることなど……許せよう筈もなかった。
 影になった男の口元に、気づかれないほど薄く、非情な笑みが浮かんだ。
(もっとも……)
 裏切りながらなお、あの男も彼女を求めていた……。
 彼女と離れた場所で幸せをつかもうとしつつ……結局、幸福とは彼女とともにあると、気づいていた。
 そして……彼女故にこそ、死を、選んだ……。
 断ち切れない円環。
 誰の心もその場に止まりただ泣き続ける。
「……ゼロス……ごめん……」
 男には持ち得ない熱い涙をこぼしながら呟く女の顔を、静かに指をかけ、持ち上げた。
 今は地表の裏側で眠る朝日のような瞳が、柔らかく潤んでいる。
「……だから……謝らないで下さい……」
 誘うように開かれた唇に、そっと、くちづけを落とす。
「今、あなたは……僕の腕の中で泣いているんですから……それで、十分ですよ」
 夜色の瞳をひたりと据えて、それだけは真実である言葉を……告げた。
 そして、さらに深く……奪うようにつなぎ止めるように、なお、唇を重ねた。
 触れ合い絡み合う場所から、女の熱が蕩けていく。……それが、哀しかった。
(僕とあなたは……違い過ぎる)

 ――山が通り過ぎる雲を想うように。
 ――森が吹き過ぎる風を恋うるように。

 確かにこの腕の中に抱きとどめてはいても、一瞬後には既に消え去ってしまう運命。
 山にできるのは、ただ、雲を僅かに引きちぎり、雨を降らせる程度……。
 森にできるのは、ただ、己が葉を精一杯飾り、はらはらと散らせ贈る程度……。
(……それでも、僕は、最期まであなたを放しはしませんけどね……)
 
   ――……風を、抱くように……。
   ――決して、実らない想いであっても……。
 
     ……闇は哀しみを宿した少女を抱きすくめ……静かに、その場を閉ざした……。
 
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 元々、全員不幸なお話・・・のつもりで書いてたんですけど、実際書くとブルー入りますね(^^;)
 今度は、も少し明るめ〜にしてみたいけど、どーなるかな。
 ・・・こんなんにもかかわらず・・・読んで下さった奇特な方、有り難うございます。
 って、誰もいないかな?(笑)

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5466Re:風を抱くように(終)倉瀬かのえ E-mail 10/24-16:27
記事番号5462へのコメント
初めまして、倉瀬かのえと申すものです。
「風を抱くように」読ませていただきました。と言うより、T−HOPEさんの作品は全て一通り目を通させていただきましたが…。
お上手ですね。言葉の選び方とか、描写とか。僕も趣味の範囲ではありますけど、文章を書く身ですから、こういう作品を読ませていただくと勉強になります。
特にパロディーものってすでにキャラクターが出来上がってる分書きにくいように思うのですけど、僕だけでしょうか?多分「人それぞれ」っていう答えが返ってきそうな気がしますけど。
それでは、短いですけれども今回は(って次も書く気かい)この辺で感想(になったないかも)を終わらせていただきます。これからも、T−HOPEさんの作品を楽しみにしてますので(←あつかましい)頑張ってください。

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5468倉瀬かのえ様、有り難うございました☆T−HOPE E-mail URL10/24-22:40
記事番号5466へのコメント
>初めまして、倉瀬かのえと申すものです。

 はじめまして、T-HOPEです(^^)

>「風を抱くように」読ませていただきました。と言うより、T−HOPEさんの作品は全て一通り目を通させていただきましたが…。

 ありがとうございます〜m(_)m

>お上手ですね。言葉の選び方とか、描写とか。僕も趣味の範囲ではありますけど、文章を書く身ですから、こういう作品を読ませていただくと勉強になります。

 そう言っていただけると、とても嬉しいです。
 好きな文章が、タニス=リーだのモンゴメリィだの、描写が独特で綺麗なものが多いので、何とか追いつきたいと願
いつつ・・・いつも挫折しているものですから(^^;)
 七転八倒の末にできてるのが、あの文章・・・まだまだ道は遠いんですよね・・・。

>特にパロディーものってすでにキャラクターが出来上がってる分書きにくいように思うのですけど、僕だけでしょうか?多分「人それぞれ」っていう答えが返ってきそうな気がしますけど。

 うーん・・・どうなんでしょう。
 少なくとも、私は書きにくいと思いますけど・・・。
 だから、最近まで、パロディにはほとんど手をつけていませんでした。これは堕落なのか・・・???(^^;)
 パロディは、そのキャラクターだの世界観だのが好きならば好きなだけ、追いつかなくて哀しい思いをしてしまいます
ねぇ。
 ・・・最近は開き直って、オリキャラに近い扱い方してますけど・・・(^^;;;

>それでは、短いですけれども今回は(って次も書く気かい)この辺で感想(になったないかも)を終わらせていただきます。これからも、T−HOPEさんの作品を楽しみにしてますので(←あつかましい)頑張ってください。

 うぅ、感想、どうも有り難うございました。
 楽しみにしていただけるようなものを書きたいなぁと・・・思いつつ・・・どーなるかな(笑)
 また感想いただけると、とっても嬉しいです(めちゃくちゃあつかましい<自分(^^;;;)

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5469ゼロス君暴走♪三里桜架 E-mail URL10/24-23:30
記事番号5462へのコメント
どうも三里です。
新作読みました♪
ゼロス君暴走してるし♪
・・・・・・いや、本性発揮かな?
だけど、あの事をリナが知ったらどうするんだろう?
個人的希望でその後なんかを知りたいです(^_^)
・・・・・・プレッシャーでしたら忘れて下さい(ーー;)

感想短いですが。
いつも楽しく読ませていただいてます。
T−HOPE様。これからも楽しい新作を楽しみにして待っています!
頑張って下さい、応援しています!

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5473あはは・・・た、確かに(笑)T−HOPE E-mail URL10/25-22:39
記事番号5469へのコメント
>どうも三里です。
>新作読みました♪

 こんにちは〜、T-HOPEです。
 読んで下さって、有り難うございます〜m(_)m

>ゼロス君暴走してるし♪
>・・・・・・いや、本性発揮かな?

 どっちでしょうね?(笑)
 ・・・やっぱり、本性の方だったりして・・・・・(^^;)

>だけど、あの事をリナが知ったらどうするんだろう?
>個人的希望でその後なんかを知りたいです(^_^)
>・・・・・・プレッシャーでしたら忘れて下さい(ーー;)

 うーん・・・実は、自分でも続き考えようとしつつ・・・つぶれてます(−−;)
 とりあえず、暗いの考えて平気な精神状態になったら、ゆっくり考えてみたいんですけどね〜。
 ・・・でも、ホント、どーするんでしょう・・・???
 お子様な私には、あーゆー妙にアダルトな関係は、判りづらかったりします(・・・自分で書いておいて、なんですが・・
・(^^;;;)

>感想短いですが。
>いつも楽しく読ませていただいてます。
>T−HOPE様。これからも楽しい新作を楽しみにして待っています!
>頑張って下さい、応援しています!

 あぁぁ・・・嬉しいです、有り難うございますっ。
 ちょっとでも努力して、少しはマシなものが書けるようになりたいなぁ・・・と・・・思わないでもないんですけどね(−−;)
 い、いえ、努力しますっ(笑)

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5507Re:風を抱くように(終)庵 瑠嬌 11/1-21:24
記事番号5462へのコメント
 

 ああ、いまさら感想かいて、遅すぎるとは思っているのですが……。
 中間やら、文化祭やら重なって、ぜんっぜんこれなかったんですの。
 久しぶりに来たら、沢山あって、とっても嬉しかったですわ。
 特に、T・HOPEさんの作品は、ゼロリナ狂いのわたくしにとっては、宝物。
 この話も、十分に堪能させていただきましたわ。
 
 わたくし、善良なゼロスも、極悪なゼロスも、とっても、非常に、真っ剣に好きなんですの。
 条件はただ一つ。リナさん至上主義であることのみ。
 T・HOPEさんのは、もう、最高ですわ。
 読んでいるときのわたくしは、もう上機嫌ですの。
 今回のお話でも、そういう面で、ゼロスは素晴らしかったですわね……。
 ガウリイさんがひどい目にあっていましたけれど、まあ、ゼロスの、リナさんゆえにしたことと思えば。
 笑って読んでいられますわ。
 それより、リナさんが、やたらと可愛かったですわね。
 ガウリイと会ったときのうろたえようとか態度が、とても、切なげで、可愛かったです。
 わたくしはスレイヤーズキャラの中で、ゼロスも好きなのですけれど、一番はリナなんですの。
 なにせ本当に可愛い。しかも綺麗。
 あれだけ強くてしかも女の子らしい。しかも可愛くて綺麗な主人公なんて、そうそういやしませんわ。
 そこの辺りは、作者さんに脱帽致しますわね。
 T・HOPEさんの作品にも、そのリナの素敵なところがよく現れていて……、好きです。
 初投稿と聞く、『ただ一人のあなた』からずーっと、目をつけていた(妙な言い方ですが)のですけれど、
今まで、一度もつまらないと思ったことがありませんわ。
 これからもがんばってくださいませ。ずっと読ませていただきますから。 

 いやに誉めてますけど、ずっとゼロリナ読めなくて、久しぶりに読めたものですから、狂喜乱舞している
んですの、わたくし。
 どこか変な感想でしたが、それでは失礼させていただきます――……。

                                                        庵 瑠嬌  
 
 

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5509感想、ありがとうございます〜T−HOPE E-mail URL11/1-22:55
記事番号5507へのコメント
> ああ、いまさら感想かいて、遅すぎるとは思っているのですが……。
> 中間やら、文化祭やら重なって、ぜんっぜんこれなかったんですの。
> 久しぶりに来たら、沢山あって、とっても嬉しかったですわ。

 遅くなんかないですよ〜。感想、本当にありがとうございますっ。
 中間、文化祭ですか。うわ〜、何か懐かしい・・・かも(笑)

> 特に、T・HOPEさんの作品は、ゼロリナ狂いのわたくしにとっては、宝物。
> この話も、十分に堪能させていただきましたわ。

 そう言っていただけると、嬉しいです。
 ・・・私も狂ってるよーですから(死)
 
> わたくし、善良なゼロスも、極悪なゼロスも、とっても、非常に、真っ剣に好きなんですの。
> 条件はただ一つ。リナさん至上主義であることのみ。
> T・HOPEさんのは、もう、最高ですわ。

 あはは・・・私も、同じですね。リナちゃんラブ〜なゼロス君が、いっちばん好きです。
 最高・・・うーん、そう言っていただけるだけのものが書けてると・・・いいんですけど・・・(−−;)

> 今回のお話でも、そういう面で、ゼロスは素晴らしかったですわね……。
> ガウリイさんがひどい目にあっていましたけれど、まあ、ゼロスの、リナさんゆえにしたことと思えば。
> 笑って読んでいられますわ。

 えぇ、リナちゃん故なんです・・・でも・・・(^^;)
 ・・・まぁ、それがゼロス君なのかもしれませんね〜。

> それより、リナさんが、やたらと可愛かったですわね。
> ガウリイと会ったときのうろたえようとか態度が、とても、切なげで、可愛かったです。
> わたくしはスレイヤーズキャラの中で、ゼロスも好きなのですけれど、一番はリナなんですの。
> なにせ本当に可愛い。しかも綺麗。
> あれだけ強くてしかも女の子らしい。しかも可愛くて綺麗な主人公なんて、そうそういやしませんわ。
> そこの辺りは、作者さんに脱帽致しますわね。

 やっぱりリナちゃん、ですよねっ。
 可愛くて、凛としていて、そのくせ親しみやすくって・・・リナちゃんがやっぱり一番です。
 いざって時にめちゃくちゃ強い(心が、です)ですし・・・。
 本当に、リナちゃんあっての「スレイヤーズ」ですよねっ(いえ、その他の皆さんも、勿論大好きなんですけど・・・)

> T・HOPEさんの作品にも、そのリナの素敵なところがよく現れていて……、好きです。

 うぅっ。嬉しいお言葉、ありがとうございます。
 やっぱり、リナちゃんが書けなきゃ・・・ですから・・・。

> 初投稿と聞く、『ただ一人のあなた』からずーっと、目をつけていた(妙な言い方ですが)のですけれど、
>今まで、一度もつまらないと思ったことがありませんわ。
> これからもがんばってくださいませ。ずっと読ませていただきますから。 

 光栄ですっっっ(;;)
 本当に本当に、どうもありがとうございますっっっ。
 ・・・そー言っていただけるに足るものを・・・書きたいんですけど・・・しくしくしく。
 いえ、頑張りますっっっ!

> いやに誉めてますけど、ずっとゼロリナ読めなくて、久しぶりに読めたものですから、狂喜乱舞している
>んですの、わたくし。
> どこか変な感想でしたが、それでは失礼させていただきます――……。

 いえ〜、感想いただけて、とっても嬉しかったです〜。
 また、お気が向かれましたら、読んで下さいませ・・・では。

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5485千の血 万の嘆きの果て(1)T−HOPE E-mail URL10/28-22:01
記事番号5298へのコメント
 私確か、も少し明るい話書こうとしたんじゃ・・・。
 ・・・何か、輪をかけて暗くなってるのは・・・何故???

●●●●●●●●●●

  千の血 万の嘆きの果て(1)


   あなたに滅びを捧げましょう
   千の血と死を花束に
   万の嘆きにリボンをかけ
   そしてただ、あなたをつなぎ止める鎖を編む……
 
 
 少女の紅の瞳は、乾ききった荒野を吹きすぎる風に似ていた。……虚ろに、けれど熱さを孕んで、その場を見回す。
 ……殺戮の宴の後。
 流れ出た真紅は、かつて豊かに穂が実っていただろう畑に濃く染みこみ、麗らかに晴れ渡っていただろう空までも、
重苦しい灰色をした家々の燃える煙で閉ざされていた。
 瓦礫の崩れる音がまだ響く。
 何処かで……子供の、あるいは大人の……嘆く声が、低く地をはっていた。
 転がる死骸。
 手足を失った者の叫び。
 決してもう取り戻せない平和だった時間は、果たして何処へ行ってしまったのか?
 町の残骸で足の踏み場もない、かつては市場だった場所をゆっくりと歩いていた少女の足が、ふと、止まった。
 小さなうさぎのぬいぐるみ。
 白い筈の半面を焼け焦がせ……もう半面を赤黒く染めたそれを、少女は何気なく拾いあげようとし……、凍りついて、
動きを止めた。
 ぬいぐるみを必死で求めたか……あるいは別の理由でか、五つにも満たない幼子が、片手を差し伸べた格好のまま、
そこに、あった。
 ……いや、あったのは、幼子の上半分。残りの半分は、瓦礫の下か、消し飛んだのか。さ迷うように動いた少女の視
界には、見あたらなかった。
 血塗られた半面のぽっかり空虚な瞳が、少女を見据えていた。
 もう半面は、既に人の輪郭を保っていない。
 少女は、震える手を強いて励まし、ぬいぐるみをそっと、眠る幼子の手の上に乗せた。
 唇が、抑えることもできず、わなないている。
 耐えきれぬと言いたげに……紅の瞳が、伏せられた。
「…………。
 ……ごめん……ね……」
 愛らしい顔を苦悶の色のみに染め上げ、少女は、ぽつりと風に声を流した。
 白い手が、何かを遮るように、顔を覆う。
「……ごめん……ね……っ」
(魂よ……どうかどうかどうか安らかに……)
 願う行為の愚かさを、彼女はよく知っていた。
 真の罪人が誰なのか……知っていればこそ、かなわない想い。
 誤った選択のその先に、この流血が、この悲哀が……この怨恨がある。
(だけど……っ)
 ――許して下さい。
 その言葉を口にすることもできず……少女は身を丸め、瞳を見開いてそこに佇んでいた。
 泣くこともできず。
 祈ることもできないまま……。

●●●●●●●●●●

 もうこの際開き直って、このツリーはダーク一色にしようかしら・・・?(笑)
 えと、この話が流血沙汰なのは・・・現在私が流血してるからです(^^;)
 あぁぁ・・・包帯が真っ赤、押さえてるタオルも真っ赤・・・。しくしくしく(;;)
 痛くはないけど、鬱陶しいです。・・・貧血でちょっとハイ?
 明日には、まともに戻ってると・・・いーなぁと・・・思います(^^;)
 ついでにこの話のわけのわからない状況が改善されてると、もっといいですねぇ・・・。

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5490千の血 万の嘆きの果て(2)T−HOPE E-mail URL10/29-16:26
記事番号5485へのコメント

  千の血 万の嘆きの果て(2)


 その日、リナはいつものようにふらっと現れた魔族相手に、談笑していた。
「……っとに、暇そうねぇ。ゼロス」
 言われた闇色の髪の魔族は、少しばかり不満そうな色を漂わせつつ……常と変わらぬ笑顔を顔に張りつけていた。
「そんなに暇じゃありませんってば。冥王様関係の事後処理が色々あって、大変なんですよ?」
「の、割に、ふらふら出てきてんじゃない」
 笑いながら言ってやると、ゼロスは少し顔をしかめた。
「そりゃぁ、リナさんに会いたいからに決まっているでしょう?」
「…………。……あ、そぉ」
 何処まで本気なのか判らない、韜晦しすぎている魔族の台詞は、話半分と割り切って、リナは肩をすくめた。
 そんなリナをひょいとのぞきこんで、ゼロスはにっこり笑ってみせた。
「……ということで、リナさんが魔族になって下さると、僕もこんな風に通いつめずに済みますし、仕事も減りますし……
有り難いんですけど?」
 リナは、呆れた顔で、そんな相手を見返した。
「……あんた、本気で言ってる?」
 返ってきたのは、ゼロスの、いつもと全く変わらない笑顔だった。
「いやですねぇ、リナさん。僕はいつでも本気ですってば」
(……本気に見えるかっての……)
 口の中で呟くと、リナはゼロスに背を向けた。
「……ばっかばかしいわ。
 このあたしが魔族ですって? 冗談も大概にしてよね」
「どうしてですか? 魔族になれば、人間のようにあっさり死ぬこともない。強い力が手に入る。
 ……悪い話じゃ、ないでしょう?」
 するりと、ゼロスの腕が、後ろからリナの首に回された。
「……何より、僕としては、リナさんとずっと一緒にいたいですし……ね」
 リナは、その言葉に、一拍間をおいてから答えた。
「……ゴールのない人生なんて、興味ないの。長すぎる時間なんて、退屈でしかないわ」
 きっぱり言い放たれた言葉に……眠る猫のように細められていたゼロスの瞳が、不意に、開かれた。真っ直ぐ前を見
据えて揺るぎないリナには見えない、その、影の表情。
「……どうしても?」
 僅かに低くなった声に、リナの身体が一瞬だけ震えた。けれど、振られる首の方向は同じ。
「あったりまえでしょ。
 短い人生充実して過ごそうってのに、邪魔しないでよ。
 ……ガウリィの剣探したり、魔法の研究したり、色々忙しいんだから、んな申し出、検討してる暇なんてないって!」
 ゼロスは、くっと唇をつりあげて、微笑った。
「…………。……仕方、ないですね……」
「判ったんなら、とっとと腕放してよっ」
 木々に絡む蔦のように優しく、それでもしっかりリナをとどめている腕に細い指をかけて、リナはぼやいた。
 ……が、腕は、離れるどころか、ますますしっかりと彼女を抱きすくめた。
「ちょぉっとぉ……?」
「……僕の話の持っていき方が、まずかったようですね」
「…………。……ゼロス?」
 いつもは感情に似たものを装う声が、完全に機械的に響き、リナは首をかしげた。けれど、ゼロスはそれには答えず、
淡々と言葉を紡ぎ続けた。
「……プロポーズに先だって、人間には、贈物をする風習がありましたっけ」
「ゼロス!? だから、何、言ってんのってばっ!」
 暴れるリナをものともせず、ゼロスは、耳元で冷たい声音を奏でている。
「……ならば、僕も、あなたに贈りましょう……」
 人には表せないほど低温の響きに、リナは、刹那、身体を硬直させた。それを、形だけの笑みで見やり……ゼロスは、
ゆっくりと瞳を閉じた。
「……千の血と死を花束に。
 ……万の嘆きにリボンをかけ。
 ……あなたに、捧げましょう……」
「……ゼロ……ス……?」
「まずはこの先、テールズ・シティです。
 覚えておいて下さいね?」
 優しく聞こえる程に甘い声がそれだけ告げると……ふわりと、リナの首にかけられていた腕が消えた……。
 慌てて振り向くリナの前には、ただ、消えた闇の残滓だけが一瞬揺らめき……それもまた、すぐ、風に溶けてしまっ
た――。
 
 
    ――その次の日。テールズ・シティは、壊滅した……。

■■■■■■■■■■

 被害甚大なお話・・・ですね。
 人が死ぬ死ぬ・・・って、私が殺してるわけですが〜(^^;)
 えと・・・くらぁぁいお話ですけど、もしお気が向かれましたら、続きも読んでいただけると嬉しいです☆

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5494千の血 万の嘆きの果て(3)T−HOPE E-mail URL10/30-20:18
記事番号5490へのコメント
 暗いのは、いったい誰のせい・・・って、私のせい以外の何物でもありませんね(−−;)

□□□□□□□□□□

   千の血 万の嘆きの果て(3)

 リナは、瓦礫の中、立ち上がる気力すら既になく……座りこんでいた。
(これで……5つめ)
 次々とこの世から失われていく街。
 ……天災のように思われている一連の事件を、リナだけは、事前に知らされていた。
(知りたくもないのに!)
 とどめようと追うたびに、為す術もなく見せつけられる、悲惨な風景――。
「あたしに……どうしろって……」
 街の破壊を予告するたびにゼロスは言う。
 魔族となり、滅びまでの永劫であり刹那である時をともに、と……。
 リナは、前を見据えるべき暁の光宿す瞳を暗く陰らせ……伏せた。
 目の前にあるのは、二つの道。たった、二つだけの、道。
 ――このままゼロスが幾多の街を滅ぼしていくのを看過するか……。
 ――魔族と化し、ゼロスとともに世界を滅ぼそうとしていくか……。
(破壊の申し子……か……)
 リナは、幾つも世に伝わる誇大気味な自分の二つ名のうちの一つを思い、うっすらと苦い微笑みを浮かべた。
 もはや否定できない、その名。
「……いっそ、あたしが死を選びでもすれば、満足する?
 ……ねぇ、ゼロス?」
 虚空に向かって放たれた言葉は……僅かな間を置いて、静かな答えを跳ね返してきた。
「するわけないでしょう?」
 穏やかに笑みすら含んだ声が、怨嗟の叫び満ちる地に降った。
 同時に、リナは、冷たい腕が自分を抱きすくめるのを感じた。
「……それで僕から逃れるおつもりですか?」
「…………。
 ……これ以上、見ていたくないだけよ」
「おやおや。あなたらしくもない台詞ですね」
 腕の中、自分を見もしない少女の硬い表情を楽しむような瞳で見つめ、ゼロスはくすくす笑いだした。
「……教えておいてあげましょうか? もしあなたが、そんな愚かしい幕の引き方をしたら、僕がどうするか……」
「……どうするわけ?」
 感情を極力押し殺したリナに、ゼロスは周囲の暗鬱な空気と相入れないほど明るい笑みを与えた。
「…………。……ゼルガディスさん、アメリアさん……ガウリィさん」
 リナの肩が、びくっと震えた。
「判りますよね?」
「……殺すのね」
「えぇ、勿論。
 ……周囲の人間全て巻きこんで、ね」
 ゼロスは、冷ややかな指を伸べ、リナの顎を持ち上げた。
「……たとえば、アメリアさんなら、セイルーン全て」
 明らかになっている瞳が、魔族の表情が、リナをのぞきこむ。
「ゼルガディスさん、ガウリィさんが今何処にいるかは知りませんが……ま、いずれも、国一つとともに、消えていただ
きましょう」
 ひんやりした手が、リナの頬を、鼻筋を、唇を……ゆっくりと、なぞっていく。
「……つまり、あなたの死には、計三つの国が殉じるわけですね……」
 冷たいキスが一つ、リナの唇に降った。
 凝然と見開いた瞳で、されるがままになっていたリナは……その一瞬だけ、眉を寄せた。
 そんな表情に気づいているだろうに、ゼロスはさらに唇を重ねた。舌がリナの唇の輪郭を辿っていく。
 かと思うと、ふと離れ、
「僕にキスされるのは、お嫌ですか?」
「別に。
 ……嫌がらせの一種かと思うと、ばかばかしいだけ」
 笑顔のゼロスに、リナはふいとそっぽを向いて答えた。
「嫌がらせだなんて……ひどいなぁ、リナさん」
 そんなリナの耳元で、ゼロスは低い笑い声を響かせた。耳に心地よい……けれど、魂の凍えるほど冷ややかな声。
「愛情表現の一種ですってば」
「……あたしはてっきり、負の感情を食らうためかと思った」
「あぁ、それもありますけどね」
 動じる気配の欠片すらなく、あっさりと返された答え。
「あなたの負の感情は、とびきり極上ですから……。
 ……酔ってしまいそうなほどに、ね」
 耳朶にくちづけるようにして囁かれる声。
 ゼロスのペースに飲み込まれそうになるのを、寸前で堪えながら、リナは、キツい瞳で目の前の魔族を睨みつけて
いた。
 ゼロスは、うっすらと微笑いながら……リナの頬を両手で挟み、見つめた。
 顔は笑っていたものの……何処までも深い瞳の奥には、つかみどころのない、けれどやるせない光が揺れ動いてい
た。
「あなたに判ってもらおうとは思ってませんよ。でも……僕はあなたとは違いますからね。
 愛されるより愛するより……憎まれたい滅ぼしたい。
 ――ただ、それだけです」
 互いに瞳をのぞきこみながら、再びかわされる、くちづけ。
「それが……魔族というものなのかも、しれません……」
 リナは、きりっと唇をかみしめた。
 魔族――滅びを望むもの。
 混沌へ還り安息を得るその日まで、闇に身を浸し、負の感情を糧とし……存在し続けるもの。
 唇と歯の間で、ぷつと小さく何かはじける感触がし、口の中に、錆びた鉄の味が広がった。
「あぁ、ほら……血が出てますよ。リナさん」
 ゆるやかにまた唇が重ねられた。リナの熱が、苦い筈の血が……何故か甘く広がり、伝わっていく。
 リナは、暁を消すように、瞳を閉じた。
 まなじりから……小さな水滴が、まだ燻る炎の色を反射しながら、こぼれ落ちた。
「……何故、泣くんです?」
 純粋に不思議そうな表情で、ゼロスはリナを見た。
「判るわけないでしょっ」
 リナは、かみつくように叫んだ。
「……同情も、憐憫も、意味ないことですよ。
 僕は……“こういうもの”なんですから」
「んなことは、判ってるの!」
 そう。――同情も憐憫も、感じなどしない。既に失われた幾千幾万の血と死が、そんなもの、許しはしない。
 けれど……一つ、気づいたことがある。
「ゼロス……。
 あんたが自分を魔族というなら……愛し愛されることより、憎まれ滅ぼすことを望むというなら……何で、あたしを、
滅ぼさないの?」
 ゼロスは……答えなかった。
「あたしは、あんたの望み通り、あんたを……憎んでる。呪うように……」
「でも……」
 ゼロスの唇が、静かにつりあがった。
「あなたは僕を、憎みきっていない……」
「無駄よ」
 リナは、瞳の中の光を再び強く蘇らせながら、小さく首を振った。
「たとえ、あたしの身体を魔族に変じたとしたって……あたしは。……あたしは、あんたを憎みきれないわ」
「…………。……何故?」
「判ってる筈よ。外見を変えたって、結局中身は……あたしは、人間のまま」
 リナがそう言った瞬間、ゼロスの腕から、力が抜けた。
「そう……です、か……」
 かすれた声が……廃墟と化した街を通り過ぎる風に吹き消されそうになりながら、リナに落ちた。
「そう……でした、ね……」
 一瞬、迷い子のような瞳になったゼロスを見、リナは目を見張ったが……すぐ、その腕を振り払い、一歩後ろに下が
った。
「でも……もう片方の望みは、叶えてあげる……」
「望み?」
「あんたを、滅ぼしてあげる」

□□□□□□□□□□

 ・・・まーた妙なところで切った気がします。とりあえず、この後ラストへ一直線ということで・・・お見逃し下さいませ。
 に、しても・・・基本的な部分で、以前に書いたものとダブってる気がするのは・・・単なる実力不足でしょうね。
 こちらはお見逃しいただけないかも(;;)
 えと・・・次で終わりますんで、もしお気が向かれましたら、読んでやって下さいませ。

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5498千の血 万の嘆きの果て(終)T−HOPE E-mail URL10/31-08:01
記事番号5494へのコメント
 終わり〜・・・は、いいんですけど・・・何か終わり方がワンパな気がします。
 も少し頭使った方がいいなぁ・・・(;;)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

   千の血 万の嘆きの果て(終)

 ゼロスは小さく首をかしげ……ついで、にっこりといつもと同じ笑みを浮かべた。
「……できますか?」
「できるできないじゃないわ。……ただ、やるの、よ」
「……成程。
 そうですね……さもないと僕は、決してあなたに滅びを捧げるのをやめはしないでしょうし……」
「だろうと思った」
 リナも、いつもと同じ生きる力に溢れた明るい笑みを浮かべると、すぐ、呪符(タリスマン)を発動させた。
 そして――。
「悪夢の王の一片よ
 天空のいましめ解き放たれし
 凍れる黒き虚無の刃よ……」
 ゼロスは……リナを、止めることができた。
 けれど、止めなかった。
 ただ、呪文を唱えるリナを見つめていた。
「……神滅斬(ラグナ・ブレード)!」
 リナの手の中に、虚無の刃が生まれ、二人は……微笑みながら、歩み寄った。
 それから――。
 ……ざんっ。
 ……ずしゅっ。
 リナの生み出した暗黒の刃が、ゼロスを袈裟掛けに切り裂き……。
 ……ゼロスの錫杖が、リナの胸を突き通して……いた。
「……満足……? ……ゼロス……」
 リナは、膝をつき……胸を押さえながら、必死に顔をあげ、目の前に転がる闇色の存在に向かって、声をかけた。
 身体半分以上を失ったゼロスは……ゆらりと顔をあげ……赤子よりも純粋な、至福の笑みを浮かべた。
「えぇ……とても……」
 細く今にもとぎれそうな声は、それでも、息をひそめるように止まった風の助けを得て、リナの耳に届いた。
「……滅び滅ぼすことが……魔族にとって……。
 だから……あなたに滅ぼされ、あなたを滅ぼすことができ……満足、ですよ……」
 リナの胸からとどめることもできず流れ出る真紅を見て、ゼロスは目を細めた。
「だって、僕は……。
 ……最後だけ、人間の言葉ですけど……あなたを、愛して……い…………」
 ざぁっ。
 無情な風が、ゼロスの最期の言葉をさらい……塵と化したゼロス自身をもさらって、何処かへ吹きすぎていった。
 それだけ見て取ると、リナは……ゆっくりと、身体を地面に落とした。
「……っとに、メーワクな……奴……」
 意識をとどめることも容易でなくなりながら、小さく呟いた。
(しかも……残酷)
 人間ではないくせに、最後だけ『愛』なんて言葉を使う。
 ……こちらの望む愛はくれないくせに。
(なんであたしがあんたを憎みきれなかったか……判ってんのかな……っとに……)
 抑えきれぬ憎しみと愛情の間を揺れ動き続けた心。
 決して同じものにはなれなかった二人。
 けれど――これで、全て終わる。
 愛し愛され、滅び滅ぼされて……全部。
 リナは、あふれ出る真紅で口元を汚しながら……それでも微笑い続け……瞳を、閉じた。
 
 あとにはただ、悲嘆の声を乗せた風だけが……荒廃した街角を、吹きすぎて、いた……。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ほんとに、ほんっっっとに、傍迷惑な恋愛してるなこの二人は〜っっっ。
 ・・・滅ぼされちゃった五つの街の方々に、合掌(^^;)
 それにしても、もー少しリナちゃんに執着しすぎないゼロス君を書いてみたいものですが・・・どうしてこうなるのかなぁ。
 それ以前に・・・話、暗すぎますけどね(−−;)
 読んで下さったお優しい方々に、感謝! です・・・はい。

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5499よいぃぃいいい!!!理奈 E-mail 10/31-10:29
記事番号5498へのコメント
めちゃくちゃいいいぃいいいいいい!!!!!!!!!!マジでぇ〜〜〜!!!
あ、ごめんなさい。ひさしぶりです。理奈です。よみましたよぉ〜〜〜!!!すっごいすてきぃ(なのか?)!!!とくに (1)の シーンなんかいいですぅ〜!
壊滅された街に一人たたずむ、リナ。ぬいぐるみに手をのばしたまま死んだ子。
うぅーん、ダーク。やはり私は、こぉーゆーストーリーが好きだなぁ。ダークゼロスかっこぃいぃ!あなたのためなら魔族でもなんでもなってあげるわぁ〜〜!!ってこわれそうな私。完全に壊れる前に去るわ。であ、また投稿したら読みますねぇ。

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5501有り難うございます〜T−HOPE E-mail URL10/31-21:34
記事番号5499へのコメント
>めちゃくちゃいいいぃいいいいいい!!!!!!!!!!マジでぇ〜〜〜!!!

 ありがとうございます〜m(_)m
 何か、暗くなりすぎたぞ、おい・・・という感じでしたが(^^;)

>あ、ごめんなさい。ひさしぶりです。理奈です。よみましたよぉ〜〜〜!!!すっごいすてきぃ(なのか?)!!!とくに (1)の シーンなんかいいですぅ〜!

 いつも感想有り難うございます。
 (1)・・・あの、流血メタメタ残酷なシーン・・・ですね(自分で言ってどーする(^^;;;)
 素敵・・・ですか?(懐疑的っ(^^;)
 でも、あーゆー描写、たまにやるの好きなんです(毎回は・・・ですけどね〜)
 ですので、素敵と言っていただけて、ほっとしました。

>壊滅された街に一人たたずむ、リナ。ぬいぐるみに手をのばしたまま死んだ子。
>うぅーん、ダーク。やはり私は、こぉーゆーストーリーが好きだなぁ。ダークゼロスかっこぃいぃ!あなたのためなら魔族でもなんでもなってあげるわぁ〜〜!!ってこわれそうな私。完全に壊れる前に去るわ。であ、また投稿したら読みますねぇ。

 ダークゼロスお好きですか? なるほど〜。
 いえ、私も勿論好きですけどね。
 ゼロス君に魔族に誘われたら、私、ほいほいついてっちゃうかも〜(笑)
 んで、あっさり捨て駒にされるのでしょーね(;;)
 にしても、暗い話・・・読んでいただいてどうも有り難うございました。
 また・・・お気が向かれましたら、読んでいただけると嬉しいです☆

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5511Re:千の血 万の嘆きの果て(終)水城守 11/2-00:54
記事番号5498へのコメント
読ませていただきました。水城です。
ステキです。ブラックなのにラブラブ。
そこがまたつぼを刺激するんですよ(笑)

T−HOPEさんは本当にじゃんじゃん新作だしてて
嬉しい限りです。HPのほうにも一杯作品があって
感激しちゃいました。
学園ものもよかったな〜。
次も楽しみにしてます♪

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5516有り難うございました〜T−HOPE E-mail URL11/2-21:37
記事番号5511へのコメント
>読ませていただきました。水城です。

 感想、有り難うございます〜。

>ステキです。ブラックなのにラブラブ。
>そこがまたつぼを刺激するんですよ(笑)

 あはは・・・でも、バランス取るの難しいんですけどね〜。
 下手すると、ブラックに行きすぎてしまうっ(;;)
 今回は・・・一応、ラブラブでした? だったらいいんですけど・・・はい。

>T−HOPEさんは本当にじゃんじゃん新作だしてて
>嬉しい限りです。HPのほうにも一杯作品があって
>感激しちゃいました。

 現実逃避のたまものです(死)
 そろそろやばい・・・かな?(^^;)

>学園ものもよかったな〜。

 ・・・アレ、かなり受けたんですよね。
 続きを書こうかどうか、検討中です。
 ・・・あぁぁぁ。受け狙いな私っっっ(笑)

>次も楽しみにしてます♪

 ありがとうございます。水城さんの新しいのも、楽しみにしてますね〜。

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5517Re:千の血 万の嘆きの果て(終)ひなた E-mail 11/2-22:12
記事番号5498へのコメント

こんにちわーっっひなたです♪読みましたーっっ!!

> ほんとに、ほんっっっとに、傍迷惑な恋愛してるなこの二人は〜っっっ。
> ・・・滅ぼされちゃった五つの街の方々に、合掌(^^;)

なんかものすごいことですね・・・よく考えたら(笑)
でもいいんです♪それも愛(笑)

> それにしても、もー少しリナちゃんに執着しすぎないゼロス君を書いてみたいものですが・・・どうしてこうなるのかなぁ。

やぁぁぁぁっっそんなのぜろすじゃないもんっっ!!・・・えぐえぐ・・・
・・・とささやか(?)に抗議(笑)
ゼロスはこのままでいいですよう。・・って、わがまま(笑)

> それ以前に・・・話、暗すぎますけどね(−−;)
あたし好みのはなしです〜♪
やーん☆楽しく読ませていただきました〜。
やはし、魔族なぜろすはいいですね〜ほや〜(はあと)
融けかかりましたよ。まじで。(笑)

T-HOPEさんのお話ってみんなおもしろいのね・・・・。
すごいです。今度コツ教えてください。
・・・ってことで♪(笑)
おもしろかったです〜っっ!!

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5523いつも有り難うございます〜T−HOPE E-mail URL11/3-21:54
記事番号5517へのコメント
>こんにちわーっっひなたです♪読みましたーっっ!!

 いつもありがとうございますーっ。

>> ほんとに、ほんっっっとに、傍迷惑な恋愛してるなこの二人は〜っっっ。
>> ・・・滅ぼされちゃった五つの街の方々に、合掌(^^;)
>
>なんかものすごいことですね・・・よく考えたら(笑)
>でもいいんです♪それも愛(笑)

 それも愛、これも愛・・・でしょうか(笑)
 まぁ、この二人の恋愛だし・・・(って・・・(^^;)

>> それにしても、もー少しリナちゃんに執着しすぎないゼロス君を書いてみたいものですが・・・どうしてこうなるのかなぁ。
>
>やぁぁぁぁっっそんなのぜろすじゃないもんっっ!!・・・えぐえぐ・・・
>・・・とささやか(?)に抗議(笑)
>ゼロスはこのままでいいですよう。・・って、わがまま(笑)

 あはは・・・抗議をいただいたということは、これでよしっ、ってことですよね〜♪
 このまま突っ走る・・・かな?
 いえ、ずっと同じ傾向だと、ネタが尽きそう・・・(^^;)

>> それ以前に・・・話、暗すぎますけどね(−−;)
>あたし好みのはなしです〜♪
>やーん☆楽しく読ませていただきました〜。

 ありがとうございます〜。
 ふっと滅茶苦茶酷い話を書きたくなることがあるんですよ。
 楽しいと言っていただけて、ほっとしました(^^)

>やはし、魔族なぜろすはいいですね〜ほや〜(はあと)
>融けかかりましたよ。まじで。(笑)

 魔族というか・・・何というか・・・(笑)
 融けました? うーん・・・ってことは、次はも少し激悪にしても大丈夫・・・とか・・・(あ゛っ(^^;)

>T-HOPEさんのお話ってみんなおもしろいのね・・・・。
>すごいです。今度コツ教えてください。
>・・・ってことで♪(笑)
>おもしろかったです〜っっ!!

 面白い、ですか? あぁぁ・・・嬉しいです、有り難うございますっっっ!
 でも・・・どっちかっていうと、こちらがもっと純情系のお話のコツうかがいたいんですけど・・・(^^)
 えと、ということで、「薬指姫」の続き、とっても楽しみにしてますね〜。

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5519Re:千の血 万の嘆きの果てめたとろん★ E-mail 11/3-19:20
記事番号5498へのコメント
どーも、はじめましてです〜♪

はぅ……すっっっっっっっっっごい良かったですっ!!
『千の血 万の嘆きの果て』もですけど、『楔』も良かったですよぉ♪
あぁ、目茶苦茶ダークなゼロス……いーですねぇ♪私、何故かダークなゼロス君が作れないんですよ…
でも、こんなにダークな内容なのに、顔がニヤける私って……(汗)
………根っからのゼロリナなんでしょーね、きっと。(爆)

なんか失礼な文ですよね。ごめんなさい。
それでは、また顔出すかも知れませんが、これで失礼します。
これからも頑張ってゼロリナ書いて下さいね♪

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5524はじめまして、有り難うございます〜T−HOPE E-mail URL11/3-22:00
記事番号5519へのコメント
めたとろん★さんは No.5519「Re:千の血 万の嘆きの果て」で書きました。
>どーも、はじめましてです〜♪
>
>はぅ……すっっっっっっっっっごい良かったですっ!!
>『千の血 万の嘆きの果て』もですけど、『楔』も良かったですよぉ♪
>あぁ、目茶苦茶ダークなゼロス……いーですねぇ♪私、何故かダークなゼロス君が作れないんですよ…
>でも、こんなにダークな内容なのに、顔がニヤける私って……(汗)
>………根っからのゼロリナなんでしょーね、きっと。(爆)
>
>なんか失礼な文ですよね。ごめんなさい。
>それでは、また顔出すかも知れませんが、これで失礼します。
>これからも頑張ってゼロリナ書いて下さいね♪

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5525ミスりました。すみませんっ(こっちがコメントです)T−HOPE E-mail URL11/3-22:05
記事番号5524へのコメント
 えーん、ミスりました。いきなりエラー発生。何がいけなかったかなぁ・・・?(;;)
 とゆーことで、初めっからやり直し・・・すみませんっっっ。

>どーも、はじめましてです〜♪

 とゆーことで・・・えと、はじめまして、T-HOPEですぅ。
 のっけからこれでは・・・(;;)

>はぅ……すっっっっっっっっっごい良かったですっ!!
>『千の血 万の嘆きの果て』もですけど、『楔』も良かったですよぉ♪
>あぁ、目茶苦茶ダークなゼロス……いーですねぇ♪私、何故かダークなゼロス君が作れないんですよ…
>でも、こんなにダークな内容なのに、顔がニヤける私って……(汗)
>………根っからのゼロリナなんでしょーね、きっと。(爆)

 ありがとうございます。
 でも、ほんとダークなツリー&ゼロスですよねぇ(笑)
 少しでも気に入っていただければ、幸いです。
 ・・・根っからゼロリナ・・・ふふふ・・・お仲間っ(はぁと)
 いえ、私、読む分にはともかく、書く分には・・・ほぼ、ゼロリナ中心となりつつありますから(^^;)

>なんか失礼な文ですよね。ごめんなさい。
>それでは、また顔出すかも知れませんが、これで失礼します。
>これからも頑張ってゼロリナ書いて下さいね♪

 いえ、失礼はこちら・・・あぁぁ、最初からミスってるしーっ(;;)
 懲りずにまた書く気がしますので(・・・少しは懲りろという声が、何処からともなく聞こえる・・・アレは天の声?(^^;)
その際には、また、よろしくお願いしますね〜(^^)
 では。

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5528感想、遅くなっちゃいましたけど倉瀬かのえ E-mail 11/4-00:25
記事番号5498へのコメント
 今日は(今晩はかもしんない)、またしてもコメントさせて頂きます。

 内容、良かったですよ。暗い、暗いと仰ってますが僕個人としてはそれほど暗く感じなかったんですけど(死人はいっぱい出たけど)。うん、でも、彼ら二人の本質を突き詰めるとどうしても平行線を描いてしまいますから、どうしてもこう言う結果になるとは思います。雰囲気もうまく出ていたのではと思いますし。
 ただ、我侭を言わせて頂けるのなら、擬音語は全く使わずにいてくだされば良かったな、と感じました。全体的に静寂を纏った雰囲気があって、それは気に入っていたもので。ほら、擬音語が入ると妙に静けさを打ち壊してしまいますから。ですから、最後の決着を着けるシーンでの擬音表現はバランスを崩してるように感じてしまって。でも、戦闘シーンは擬音が合ったほうが説明しやすいんですよね。
 ああっ、すいません。なんか難しい事要求してますね、僕。
 何だか本当に勝手なこと書いてしまってすいません。僕自身上記を実行しろと言われると上手く出来るかどうか怪しいくせに。
 それでは、気分を害されてしまうような内容になってしまいましたが、今回はこれにて失礼します(言う事だけ言って逃げるってのは本当に失礼だよなあ、特にこんなコメントだと)。

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5529感想、有り難うございますT−HOPE E-mail URL11/4-08:08
記事番号5528へのコメント
> 今日は(今晩はかもしんない)、またしてもコメントさせて頂きます。

 こんにちは〜。感想、有り難うございますっ(^^) 

> 内容、良かったですよ。暗い、暗いと仰ってますが僕個人としてはそれほど暗く感じなかったんですけど(死人はいっぱい出たけど)。うん、でも、彼ら二人の本質を突き詰めるとどうしても平行線を描いてしまいますから、どうしてもこう言う結果になるとは思います。雰囲気もうまく出ていたのではと思いますし。

 暗くなかった・・・ですか。それは良かった〜。
 いえ、二人対決させるためだけに、あそこまで人を殺したのは初めてでしたから(笑)
 ・・・リナのために、なら、殺戮やっても何とも思わないあたり・・・(^^;)

> ただ、我侭を言わせて頂けるのなら、擬音語は全く使わずにいてくだされば良かったな、と感じました。全体的に静寂を纏った雰囲気があって、それは気に入っていたもので。ほら、擬音語が入ると妙に静けさを打ち壊してしまいますから。ですから、最後の決着を着けるシーンでの擬音表現はバランスを崩してるように感じてしまって。でも、戦闘シーンは擬音が合ったほうが説明しやすいんですよね。
> ああっ、すいません。なんか難しい事要求してますね、僕。

 うみゅ〜・・・擬音語、ですか。なるほど。
 ご助言、有り難うございます。
 頭に浮かんだ映像を、そのまま文章化しようとすると、何故か増えちゃうんですよねー。実力不足だ(^^;;;
 使い方下手なの自覚してるんで・・・善処いたします、はい(^^)

> 何だか本当に勝手なこと書いてしまってすいません。僕自身上記を実行しろと言われると上手く出来るかどうか怪しいくせに。
> それでは、気分を害されてしまうような内容になってしまいましたが、今回はこれにて失礼します(言う事だけ言って逃げるってのは本当に失礼だよなあ、特にこんなコメントだと)。

 いえいえ。
 こーゆーところに投稿させていただいている理由の一は、ちょっとでも人様の感想いただいてマシな文章書きたい、
というものですから。
 どうも、有り難うございます(^^)