◆-あ・とらぶる・おぶ・そーどぶれいかー 前編-白いウサギ(11/24-23:51)No.5684
 ┣あ・とらぶる・おぶ・そーどぶれいかー 後編-白いウサギ(11/27-01:41)No.5698
 ┃┣読みました♪-祝もとむ(11/27-13:27)No.5699
 ┃┃┗祝もとむさんありがとうございます♪-白いウサギ(11/30-00:20)No.5715
 ┃┗Re:あ・とらぶる・おぶ・そーどぶれいかー 後編-りゅん(11/30-13:24)No.5718
 ┃ ┗りゅんさんありがとうございますっ!-白いウサギ(11/30-23:41)No.5720
 ┣クリスマスをしようっ! -白いウサギ(12/23-00:52)No.5801
 ┗クリスマスの後には-白いウサギ(12/23-01:03)No.5803
  ┗読んじゃった(^^)-むつみ(12/23-06:53)No.5807
   ┗むつみさんありがとうございます-白いウサギ(12/25-00:40)No.5821


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5684あ・とらぶる・おぶ・そーどぶれいかー 前編白いウサギ E-mail 11/24-23:51

白ウサ、初のロスユニです(^^;)
うーん……読み返せば読み返すほど……(泣)
ロスユニってスレイヤーズほど特色強いのだせないんで、難しいことを痛感させられました。
もしよろしければお願いします(ぺこり)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ああっ!?ミリィっ!
 コントロール・パネルで食事をしないで下さいって何度言ったらわかってくれるんですかっ!?」
「とりあえずお給料くれたら」
「う゛っ!?」
 ここは、ソード・ブレイカー。
 遺失宇宙船(ロストシップ)と呼ばれる、今現在の科学力では作り出すことの出来ないはずの宇宙船である。
「お、うまい♪」
 ケインが皿からアーモンドクッキーをぱくつく。
「当然よぉっ!あたしが作ったんだから♪」
「……厨房壊して、ですよね?」
 自慢げに胸を叩いて言うミリィに、うんざりと言うキャナル。
「うん」
「…………」
 悪びれも無しに言うミリィ。
「……ま、それはどーでもいーとして。
 次の仕事の話だが………」
「ケインっ!あたしの愛しい厨房をどーでもいいと言うんですねっ!?」
 涙混じりに言う姿はとても立体映像とは思えない。
「あ…!い、いや……その……
 と、とにかくっ!
 厨房のこともあるし、ここらで仕事をしないと………」
「まぁ……それはそうですが……
 いい仕事でも見つけたんですか?」
ころっと態度を変え、問うキャナル。
「早々良い仕事なんて見つかるわけねーだろーが。
 探すんだよ。これから」
 ケインはミリィの皿から最後のクッキーを取って口に運び、マントをばさっと翻し、モニターの前の席に乱暴に座った。
「わたしが探しましょうか?」
『面倒なもんばっか受けるからいい』
 キャナルの言葉に、ケインとミリィの声がハモった。
「ケイン……預金まだありましたよね?」
 ひくぅぅぅっ!
 ケインの顔がこわばるのが見て取れる。
「殆ど残ってないの知ってるだろーが……お前は……」
 何とかしぼり出すケインだが、
「殆どって言うことは無いわけじゃないですよね?」
 キャナルの言葉は冷たかった。
「キャナルぅぅぅっ!悪かったっ!悪かったから俺の口座に手をつけないでくれぇぇぇっ!」
 立体映像に向かって涙ながらに叫ぶケインの姿は、事情を知らない人間にはさぞ変な光景であったであろう。

「じゃ、頑張ってきて下さいね(はあと)」
 ソードブレイカーの入り口にキャナルの声が響く。
 船のメイン・コンピュータの立体映像であるキャナルはお留守番である。
 ケインとミリィがうんざりとした顔でソードブレイカーを降りる。
 これからの仕事の内容を考えると気持ちはわからんでもない。
「……やっぱりキャナルにまかすんじゃなかった……」
「……ケインがよけいなことばっか言うからじゃない……」
「なんだとぉぉっ!?
 ミリィっ!お前だって面倒なもんばっか受けるからいいって言ったじゃねーかっ!
 それにっ!厨房壊して出費がかさんでんのは事実だろーがっ!」
「なによそれっ!
 厨房壊してるのは認めるけど、それで出来た料理を
『うまい、また作ってくれ』って言ってるのは何処の誰よっ!?
 それにっ!
 ケインが練習とか言ってサイブレードで船の設備片っ端からたたっ斬っちゃってるのも知ってるのよっ!」
「物を斬るのは俺の青春だっ!
 だいたい一番費用がかさんでるのは―――」
 ――キャナルの衝動買い――
 二人の頭にその言葉が浮かび、お互いの目を見て開いても同じ事を考えていることを確認する。
「ね。ケイン。
 ちょっと相談があるんだけど――」
 ミリィはケインの耳元でそう囁いた。 

 ごろごろごろごろ………
 別に何かが転がっているわけではない。
 ここはソードブレイカー、操舵席。
 キャナルはすっかりくつろいでいた。
 寝そべり、肘をついてカタログを見ている。
 ……ケインもミリィも居ないんだからわざわざ立体映像出す必要はないと思うのだが……
 ともあれ、二人が仕事から帰ってきたら、収入より支出の方が多くなりそうである。
 

「ようこそおいでくださいました。
 助かりましたわぁ……裏のネットで求人募集をしてたのに気付かれた方がいらっしゃって」
 ケインとミリィを出迎えたのは、人の良さそうなおばさんであった。
「はぁ……でも何でわざわざ裏のネットで依頼を?
 ただの護衛のように思うのですが」
 通された席へと座り、言うケイン。
 何故裏ネットで公開されていた情報を知っているのかというと、もちろんキャナルがあっさり発見したからである。
「確かに護衛には変わりないんですがねぇ……
 そうするとこの幼稚園の評判が悪くなるといけませんし、内密にお願いしたいんです。
 もちろん、お礼は弾みますよ」
 幼稚園――
 そう、今回の依頼は幼稚園児が通う道に怪しい人物が出ているらしく、その護衛、並びに、その者を捕らえることであった。
「はぁ……でもスクールバスとか、カーとか色々あると思うんですけど……
 何故わざわざ徒歩で通わせてらっしゃるんです?」
「健康のためです」
 幼稚園児に健康も何もないような気もするのだが、きっぱり言われては仕方がない。
 ケインは周辺の地図を受け取った。「――で、具体的に怪しい奴ってどんな奴なんです?」
「なんでも、怪しげな剣を持っていて、切り裂き魔じゃないかと……」
 園長が言った瞬間――
「ふがぁぁっ!?」
 ケインの口はミリィの手によってふさがれていた。
 後もう少し遅かったら、『心の師匠がっ!?』と、言い出して、怪しまれ、仕事はキャンセルされること請け合いである。
 ただでさえ、疲れそうなこの仕事を受けたくはないが、キャナルの受けてきた仕事である。
 キャンセルされたりしたら……二度とソードブレイカーで生活できないかも知れない。
 そういうわけで、ミリィはケインの口をふさいだのだった。
「とっ、ともかくっ!その怪しい奴をとっ捕まえればいいんですねっ!?」
 ケインの口をふさいだまま、必死に言うミリィに押され、園長はこくこくと首を縦に振るのだった。

「みなさぁぁんっ!道草しないで真っ直ぐ帰りましょうねぇぇぇぇっ!」
「ミリィ。声裏返ってるぞ」
 こちらは園児が家へと帰ってる真っ最中。
 わらわらとちびっこいのが出てくる出てくる。
 その一人一人の元気溢れるパワーに、ミリィはすでに体力がつき欠けていた。 
「そりゃ、ケインはあの後も園長室に居たままでこども達の相手してないから平気でしょうけど、あたしはあの後ずぅぅぅっと保母さんの手伝いさせられてたんだからねっ!」
「仕方ねーだろ?
 誰かが依頼内容詳しく聞かねぇといけねーし。
 どの辺りに出るとか聞いとかねぇと仕事になんねーだろーが」
「そりゃそーだけどぉ……」
 ミリィは口を尖らせた。
「しっかし……確かにこりゃ疲れそーだな……」
 ケインは元気に走り回る園児達を見てそう呟いたのだった。
「今はまだいいほうよ。
 さっきなんかお昼寝の時間だっていうのに、枕投げはしだすは、泣き出すは……
 いー加減むかついたんで、銃ぶっ放したらおとなしくなったけど」
「…………それって気絶したんじゃ……」
「それよりケイン。
 さっき言ってた怪しい奴ってあいつじゃない?」
 笑顔で誘導用の旗を振りながら言うミリィ。
 横目でちらりと合図する。
 赤いジャケットに、茶色の髪にサングラス、手には剣を持っている。
 ケインが先ほど園長から聞いた人相、服装ともにとピッタリと一致した。
 あまりにも展開が早いよーな気がするが楽なので黙っておく。
「間違いねぇな。
 あんな怪しい剣持ってる奴なんてそーそーいねー」
 こくんと頷き、そちらの方へ注意を向けるケイン。
「マントを付けて、サイ・ブレードを持ち歩いてる奴に怪しいなんて言われたくはないと思うけど……」
 ミリィの呟きはケインには聞こえなかった。
 その直後――
 切り裂き魔と思われる男が園児の一人へと斬りかかるっ!
 ぎうんっ!
 一瞬で間合いを詰めたケインがすんでの所でそれを受けとめる。
 すでにサイ・ブレードには光の刃が生み出されている。
「ほう……珍しい武器を持っているな……」
 男は剣を弾き、間合いを取り、そう呟いた。
「お互い様って奴だ」
 ひょいっと肩をすくめるケイン。
 男の獲物は日本刀だった。
「俺も昔はそれにこってた時期があってな。
 切れ味、強度、申し分ねー」
「ほう……では何故そのようなものを使っておるのだ……?」
「光っててかっこいいからだっ!」
 ケインは胸を張ってきっぱりと答えた。
 もちろん、それだけではないのだが。
「おおーすっげー!」
 事情を知らない園児は見せ物でも始まったとでも思ったのだろうか、ケインの珍しい武器を好奇心一杯の目で見ていた。
「ちょっとっ!
 あんた達危ないから帰んなさいっ!」
 ミリィの言葉を聞く物は誰一人としていなかった。
 ともあれ、戦いは続く――

「はぁぁぁぁっ!」
 ケインの刃が気合いと共に輝きを増す。
 だっ!
 大地を強く蹴りだし、一気に間合いを詰める。
 ぎうんっ!
 それを男が受けとめる。
 二人は刃を結んだまましばしにらみ合い――
「ひゅっ!」
 やがて男が刃を滑らせ、ケインの腹部を狙う!
 それを読んだケインは左へとそれをかわす。
 しかしその切っ先が左へと方向を変えた。
 突きから横薙ぎへ――
 しかしその方向を変える僅かなタイム・ラグをケインは逃さず、男の肩口へ一撃を浴びせる!
 どっ!
「ぐっ!?」
 致命傷になる前に避けたものの、男の服は焼き切られ、傷の跡は隠せない。
 男はケインの腹部まで届かなかった刃を構え――いや、ぶら下げて、片膝をついた。
「仕事じゃなきゃあんたとは仲良くなれたかも知れねーが――悪いな。これも仕事なんでね」
「ケイン……それってかなり問題が……」
 ミリィは子供達に囲まれながらもツッコミを入れた。
 ちなみに、子供達は『いいぞー』だの、『いっけー!マントレンジャー』などと訳の分からない言葉でケインを煽っていた。
「まだだ……」
 ふと、しゃがみ込んだ男から何かが転がる。
 電動犬(エレキ・ドッグ)。普通は番犬かなんかに使われる人工の犬である。
 その牙には睡眠薬が仕込まれており、侵入者を捕らえる。
 その犬がミニサイズとは言え、5匹飛び出した!
「なっ!?」
 完璧に不意を打たれたケイン。
 避けられるタイミングではない。
 やられる―――!
 そうケインが覚悟した瞬間。
 どうんっ!
 銃声が響いた。
 ミリィがその犬を打ち抜いたのである。
「ナイスフォロー!ミリィ!」
 ケインが再び剣を構えて男へと走る!
「うわぁぁっ!銃だぁぁっ!怖いよぉぉっ!」
 銃声に園児は一気に逃げ出した。
「あのねぇっ!守ってもらっといてなによっ!
 それにっ!ケインのへんてこな剣が格好良くてあたしの愛銃が怖いですってぇぇぇっ!」
 ……普通は両方怖がると思う。
 ま、それはそれとして――
 電動犬をミリィに打ち抜かれ、孤立した男をケインが倒すのに、さして時間はかからなかった。

「一つ聞くが――なんであんなちっちぇー子供なんかに斬りかかった?」
「ふっ。何かと思えば……自分より弱いからに決まっておろう?」
 ばきぃぃっ!
 ケインは縄で縛り倒した男の顔面に拳をめり込ませた。
「前に言った言葉を取り消すぜ。
 お前とは仲良くなれそーにねー」
 そのまま男を蹴り飛ばす。
 男はすでに気を失っていた。

「予想より多く貰えたわねー♪」
「ま、あまりにも早く終わったからじゃねーか?
 何にしても、だ」
 二人は顔を見合わせて――お互いニっと笑う。
「行くぞっ!ミリィっ!」
「らぢゃーっ!」
 二人は町の雑踏へと姿を消した。
 標的――キャナルへと向かって。


                          つづくっ!

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5698あ・とらぶる・おぶ・そーどぶれいかー 後編白いウサギ E-mail 11/27-01:41
記事番号5684へのコメント
続きです。
ちょっと予定より遅れちゃいましたねすいません(^^;)
ではやっとキャナルまともに登場(笑)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「ただいまー……って、おいっ!キャナルっ!くつろいでんじゃねーっ!」
 こちらはソードブレイカー操縦室(コック・ピット)。
 キャナルはケイン達が帰ってきたことに気付かずに、まだごろごろしていた。
「ひどいっ!年頃の女性の部屋にノックもせずに入ってくるなんてっ!」
 ……ぶりっこモード発動中。
「年頃って………ま、まぁいい。
 キャナル。仕事は終わったぜ」
「本当ですかっ!?
 ……ずいぶん早く終わりましたねー」
「まーな。
 で、報酬だが――」
 意味ありげに笑うケイン。
「ゴキブリもどきですね。
 排除しましたから安心して下さい」
さらっと言ってキャナルはケインの笑顔を笑顔で受けとめる。
「え゛………?」
 ケインの笑顔が凍りつく。
「全く、無駄なことばっかにお金を使うんですから……
 わたしを困らせようとしたらしいですね。ケイン」
 にっこり笑うキャナル。
 すでにケインの顔は青い。
 つまり、報酬でゴキブリもどきを買い、キャナルを驚かせるつもりだったのだ。
「ミリィが給料アップする変わりに情報をくれたんですよ♪」
「………裏切りやがったなぁぁぁっ!あいつぅぅぅぅっ!」
 すぐさっきまで隣にいたはずの相棒の姿はケインには見えない。
 実はイスに身を隠しているだけなのだが。
 しばしの必死の捜索により――ミリィはめでたくお縄頂戴となった。
「………で、自分で言い出しといてどーいうつもりだ……?」
「へるぷぅぅぅっ!へるぷみぃぃぃっ!」
 涙ながらに言うミリィだがケインは取り合わない。
「やかましいっ!
 いいかっ!お前は悪魔に俺を売ったんだぞっ!泣いても駄目だっ!」
「ケイン。一週間あなたの部屋の酸素量30%減(はあと)」
 キャナルはにっこり笑って言った。
「それだけはやめてくれぇぇぇっ!」
 必死に言うケインにキャナルはこくんと首を傾け、
「仕方ないですねー……じゃ、50%減にまけときます」
「よけー悪いわっ!死んじまうだろーがっ!ンなことしたらっ!」
「ああああああっ!へるぷみぃぃぃぃっ!」
 そのミリィの発狂を最後に、ケイン、ミリィは静かになる。
 そしてミリィは腕時計に目をやり――ケインに向かってウィンクする。
「な……なんです?」
 訳も解らず二人を交互に見るキャナル。
「演技終了って事だ。
 ミリィの裏切りも仕組んだ罠だとは気付かなかったみてーだな」
「入り口近くののポッドから繁殖プログラム付のゴキブリもどきがいまごろがさがさと……」
「な、な、な、な……っ!
 何て事すんですかぁぁぁっ!乙女の体の中になんて物をっ!」
 乙女かどーかはおいといて、顔が青くなるキャナル。
 こういう部分を見ると、とても立体映像とは思えない。
「いやーこんなにうまくいくとは思わなかったなー。
 あの白いウサギの着ぐるみ着た変な奴に感謝だなー」
「裏切り作戦も考えてくれたし、あんな面白いおもちゃもくれたしね♪」
 言って、ケイン、ミリィの二人はがしぃっと腕を組む。
 そしてそのままキャナルに向かうと、
「これに懲りたら勝手に武器買うんじゃねーぞっ!」
 ケインが自慢げに言い放つ。
「なるほど。確かに面白いおもちゃですね。
 次はわたしがもっと面白い物をお二人にプレゼントしますね♪」
『は……?』
 笑顔で言うキャナルに間抜けな声をハモらす二人。
「気付いていないとでも思っていたんですか?
 この船はわたし自身ですよ。
 繁殖プログラムが付いていて、おまけにがさがさ言うよーな代物、放っておく訳ないじゃないですか。
 ゴキブリ殺虫剤(もどき用)をしっかりかけときました。
 入り口付近だったんで外に吐き出すの楽でしたよ」
 言ってだんだんとキャナルの笑顔が冷たくなっていく。
 今度こそ――ケインとミリィの顔が青くなる。
「面白いんで適当に合わせましたけど。
 ――ところでケイン、ミリィ」
 ひききききっ!
 二人の顔はすでに凍りついている。 
「なかなか勇気ありますよねー」
「あ!いや……その!これは………」
「これは?」
「……………………」
 冷たく問い返すキャナルに言葉をなくすケインとミリィ。
「……全く。仕方ないですねー。
 少しはお仕置きしないといけませんか?」
「ちょっ、ちょっと待てっ!しないでいいっ!しないでっ!」
「ケインの面白い映像をU・N(ユニバーサル・ネット)に流します(はあと)」
「なにぃぃぃぃっ!?」
「アリシアに怒られてる映像、
 船の中で迷子になった映像、
 そうそう。わたしに対して泣いて謝ってる映像もありますね。
 よ・り・ど・り・み・ど・り(はあと)」
「そんなのあるのっ!?あたしも見たいっ!」
 自分の身も危険というのも忘れて、好奇心旺盛な目を輝かせるミリィ。
「みりぃぃぃぃぃぃぃっ!」
 ケインはミリィに対して睨むがミリィはそれに臆さない。
「ミリィの映像は……そーですねー。
 着替えをしてる最中の映像っていうのはどーです?」
「え゛……?」
 ミリィの顔が凍りつく。
 ソードブレイカーで着替えたことなど何度もある。
 しかし。
 映像を取られていたとは思っていなかった。
「プライバシーの侵害よっ!」
「いや……あの……
 この船の中での出来事は嫌でもわたしまで届くんですけど……」
 キャナルに知られたくないことをするにはまずソードブレイカーの外であることが最低条件である。
 プライバシーなんぞ、この船の中ではないに等しい。
「ケインには頼まれて何度か映像を送りましたが……まさかU・Nに流すことになるとは思いませんでしたよ」
 言って、額に手を当て溜息をつく。
 キャナルの言葉に顔が赤くなるミリィ。
 原因は恥ずかしさからか怒りからかまたはその両方か。
「ケインっ!
 あんたンなことしてたのっ!?」
「なっ!?
 するわけねーだろーがっ!着替えの映像なんて一度も見てねえっ!」
 ぶんぶか首を振る姿は実に情けない。
「あ。そう言えばシャワー・シーンでしたっけ?」
 ぽんっと手を叩きケインに聞くキャナル。
「けーいーんー?」
 すでに目が笑っていないミリィ。
「うっ、嘘だっ!
 俺はンなことやってねーっ!
 キャナルっ!ふざけるのもいい加減に………っ!」
「ううっ……そんな……
 わたしは嫌だって言ったのにコーヒー片手に無理矢理させたんじゃないですかぁ………」
 言って、泣き出すキャナル。
「くぉぉの女の敵っ!くらえっ!」
 ミリィは懐から麻痺銃(パラライズ・ガン)を取り出し、ケインめがけて打ち込む。
「うわわわっ!
 落ち着けっ!ミリィっ!」
 何とか避けるケイン。
 いつもなら簡単に当てることの出来るほど銃の名手なのだが、感情が高ぶっているため、照準が甘い。 
「問答無用っ!」
 銃を打ち続けるミリィ。
「俺は無実だぁぁぁぁぁっ!」
 ケインの鳴き声が今日も船に響く。
 そんな二人の追いかけっこを見ていたキャナルは、
「ま。こんなもんですかね。
 お仕置きは。
 今回はおおめに見といてあげますけど、次回は容赦しませんので」
 ぽつりと言ったキャナルの声は二人には届かない。
 充分容赦ないお仕置きをしているのだがまるっきし自覚のないセリフを吐くキャナル。
 結論として――キャナルに逆らえば、不幸な結果が待っている。
 それは変えようのない事実らしい。
 かくて。
 ソードブレイカーでのどたばたは続く――

             おしまいっ!  

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5699読みました♪祝もとむ E-mail 11/27-13:27
記事番号5698へのコメント
こんにちは!!それから初めましてですよね!!
祝もとむです!!
あ・とらぶる・おぶ・そーどぶれいかー読みました!!
やはりミリィやケインよりキャナルが一枚上手ですねー。
ロスユニのゴキブリネタ・・好きです。
うんうん。
白いウサギさん・・なんだかこの話しの続きを書いて
欲しいです!!
だってとっても面白かったんですもん!!

パソコンにクモが一匹いて、怯えながら
感想を書いた(?)祝もとむでした!!
びくびくびく

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5715祝もとむさんありがとうございます♪白いウサギ E-mail 11/30-00:20
記事番号5699へのコメント
祝もとむさんは No.5699「読みました♪」で書きました。

>こんにちは!!それから初めましてですよね!!
>祝もとむです!!

 どうもです(^^)
 某くらぶで見かけています。

>あ・とらぶる・おぶ・そーどぶれいかー読みました!!

 ありがとうございます。

>やはりミリィやケインよりキャナルが一枚上手ですねー。

 勝てっこないよーな気がします(爆)

>ロスユニのゴキブリネタ・・好きです。

 わたしもです♪

>うんうん。
>白いウサギさん・・なんだかこの話しの続きを書いて
>欲しいです!!
>だってとっても面白かったんですもん!!

 ありがとうございますっ!
 本当に嬉しいです。
 しかし――続き書くとしても当分先になります。
 すみません。
 もうすぐ期末ですし、別の話も書いているので、もし良ければその後書かせていただきます(^^;)

>パソコンにクモが一匹いて、怯えながら
>感想を書いた(?)祝もとむでした!!

 あ、ありがとうございます。
 そんな状況下で……(笑)

>びくびくびく

 私も深夜にパソコンの側に親指と人差し指でわっかを作ったぐらいのでっけぇさいずのゴキブリに出くわしてパニックに陥ったことがあります(^^;)

 なにはともあれ、本当にありがとうございました。
 またの機会に会いましょう。

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5718Re:あ・とらぶる・おぶ・そーどぶれいかー 後編りゅん 11/30-13:24
記事番号5698へのコメント
はじめましてっ!おもしろかったです!
ロスユニ小説ってあまりないから、とってもうれしかったです!
やっぱりキャナル強いっすねえ。
何とかして泣かしてみたいと思うのは、ケインやミリィ(あとレイルも?)だけではないでしょう。

プライバシーのない船・・・そーいえばそーですねえ・・・大変だぁ・・・
ところでケインくん? ほんとーにみたことないのかな?

乱筆乱文で失礼いたしました。
次(あれば)を楽しみにしております。
ではでは。

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5720りゅんさんありがとうございますっ!白いウサギ E-mail 11/30-23:41
記事番号5718へのコメント
りゅんさんは No.5718「Re:あ・とらぶる・おぶ・そーどぶれいかー 後編」で書きました。
>はじめましてっ!おもしろかったです!

 はじめましてっ!
 ありがとうございます!

>ロスユニ小説ってあまりないから、とってもうれしかったです!

 私も初めて書きました(^^;)
 久しぶりにロスユニのCDS聞いてたら書きたくなってきたという事で(笑)
 最初はゴキブリなんて考えてもいなかったんです。
 ただ、「ロスユニ」の話を書こう、それだけです。

>やっぱりキャナル強いっすねえ。
>何とかして泣かしてみたいと思うのは、ケインやミリィ(あとレイルも?)だけではないでしょう。
>

 泣かされたキャラはいくらでもいるでしょうね(^^;)
 
>プライバシーのない船・・・そーいえばそーですねえ・・・大変だぁ・・・

 ずっとキャナルに見られてるよーなもん……
 なんですよね?やっぱり。

>ところでケインくん? ほんとーにみたことないのかな?

 お・ま・け

「きゃなるぅぅぅぅっ!
 ミリィになんて事言うんだよお前わっ!
 完っ璧誤解してるぞっ!あいつっ!」
 ぜーっぜーっと息を乱しながら、キャナルに怒鳴っていたのは言うまでもなく、ケインだった。
「え?誤解でしたっけ?」
 ちらりとケインのほう見て、何事もなかったようにカタログに目を落とすキャナル。
「をい………」
「冗談ですよ。
 だいたい、くだらないことしようとしたからいけないんでしょう?
 自業自得ですよ」
「だからってもうちょっとマシなことを……」
「……新しいキャノン砲買ってくれたら誤解解いてあげますけど」
「いくらすると思ってんだっ!」
「ケインの通帳の残金丁度ですね。
 いやー良かったですね♪」
「良くないっ!」
   
>乱筆乱文で失礼いたしました。

 いえいえ、とんでもない。
 ありがとうございました。

>次(あれば)を楽しみにしております。

 ひききっ!
 た……多分あるんじゃないかと思いますが……(^^;)

 ではこれで。
 本当にありがとうございました。
 またの機会に会いましょう。


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5801クリスマスをしようっ! 白いウサギ E-mail 12/23-00:52
記事番号5684へのコメント
ここに気付いてくれた人がいることを祈って……

うーん……タイトルを見ると最近の若いもんは日本語がしゃべれないとで言われそーだなぁ……

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「クリスマスをしようっ!」


「お金がありません」
 キャナルはにっこりとケインにそう答えたのだった。
 ここはソードブレイカーの操舵室。
「いや……いくらなんでも簡単なパーティするぐらいの金はあるだろ……?
 どーせ食べ物食べるのは俺とミリィぐらいだろーし……」
 戸惑いながらも何とか言うマント男――ケイン。
「そりゃ私は物を食べるなんて能率の悪いエネルギー補給は必要ないですからね。
 食べ物は二人だけですむと思いますよ」
「ならそれくらいの金は……」
「この頃ろくな仕事もしてない人達にクリスマスを祝う資格、並びに、その資金はありません」
 あっさりきっぱりと酷いことを言うキャナル。
「をい……仕事がないんだからしょーが無いだろうーがっ!」
「なぁに言ってるんですかぁっ!
 私がしっかり取って来た仕事とかあったじゃないですかっ!」
 お前の取って来た仕事はろくなもんがないっ!
 その言葉を何とか飲み込むケイン。
 言ったが最後、どーなるかは目に見えている。
 今日は12月22日。
 世はクリスマス一色である。
 と、言っても宇宙空間に光るツリーが漂うとかそう言った奇妙な光景はないのだが……
 無人の宇宙船にしっかりとコマーシャルが書かれたセンスの疑う船はいくつも目撃していた。
 その商売法も効果があったのかケインも段々とその気になってきたのである。
「だいたいなぁっ!
 お前はクリスマスと聞いて何かやろうとか思わないのかっ!?」
「それは私だって年頃の女の子(はあと)ですし……」
「誰が『年頃の女の子(はあと)』だ……?」
 ケインはしっかりとツッコミを入れるが聞こえているのかいないのか、キャナルは無視して続ける。
「少しは気になりますけどね。
 だからって、本来はキリスト教のお祭りなんですよ?
 それをどっかの商売にうまくのせられて景気回復のお手伝いをする気はないですよ」
「景気って今悪かったか……?」
「まぁ、どっかにはそーゆー世界もあるでしょうと言う意味で、です」
「まぁ……何でも良いが……
 別にいつもの食べ物よりそう値が張るわけでもないんじゃねーか?」
「ケイン……クリスマスの料理を食べるって言ったらミリィがきっと手料理をプレゼントしてくれると思いますよ……」
「うまいからいーじゃねーか……って、ああ、なるほど……」
「わかってもらえましたか……?
 厨房また一式買い換えなくちゃいけなくなります」
「確かに……とことん値が張るな……」
「ただでさえ私の愛しの厨房セットさんを壊されるだけで胸が痛いのに……」
「胸なんてねーだろーが」
 涙をほろほろと流し袖で拭うキャナルに間髪入れずに突っ込むケイン。
「……何か今日はやけに絡みますね……」
「クリスマスは男の青春だからな」
「初めて聞きます……そんな言葉……」
 冷や汗をかきながらもジト目で見るキャナル。
「ともかく、だ。
 ミリィの手作りクリスマス料理は無しでいいから。
 自動調理器でもいーからたまには祭り事にも参加してみねーか?」
「まぁ……それなら……」
 キャナルは渋々承諾したのだった。

 12月24日、クリスマスイブ。
「じんぐるべーるじんぐるべーる鈴がー鳴るー♪」
 ずるべしぐしゃぁぁぁっ!
 ケインは操舵室に入ったとたん突っ伏した。
「きゃ……キャナル……いやにはりきってるな……嫌がってた割には……」
「当然です!
 やるからには何事も徹底的に!
 戦争と一緒ですよ♪」
「クリスマスに戦争なんて単語を持ち出すなぁぁぁっ!」
「まぁまぁケイン。
 今日はクリスマスなんだから、細かいことは抜きにしましょう♪」
 マントを後ろから掴み何とかなだめようとするミリィ。
「細かいことか……?
 ん?そういや二人とも今日はサンタの格好か?」
「あったりー!」
 二人は同時にくるりと一回転をして見せた。
 白い淵の赤いだぼだぼの服、ヒゲこそつけていないが紛れもなくサンタの格好である。
「何やってるのよ?
 ケインも早く着替えて、着替えて」
「俺もぉっ!?」
「当然じゃない♪
 じゃ、これ」
 言ってどさっと衣装を手渡すミリィ。
 仕方なくケインは部屋の奥へ消えていくのだった。
「じゃ、ミリィ。
 飾り付けしちゃいましょーか」
「おっけー(はあと)」
 なんだかんだ言っても女の子(一人は違うかも知れないけど)。
 しっかり楽しんでる二人であった。

「また……ずいぶん気合い入ってんなー……」
 ケインも衣装の着替えをすませ、操舵室に戻ってきた。
 操舵室はきらきらと光を放ち、辺りを照らすツリー。
 きちんと飾り付けがしてある。
「当然です!
 やるからには徹底的に……」
「それさっき聞いた」
 ぱたぱたと手を振るケイン。
「ちょっとケイン!
 何て格好してんのよっ!?」
「お前らが着替えろって言ったんだろーがっ!」
「違うわよっ!
 そーじゃなくてっ!
 何でサンタの格好の上にマントなんて付けてんのよっ!?」
 そうなのである。
 何処から見てもサンタの赤いだぶだぶの服に、大きな白い袋、三角の帽子。
 他のサンタとは違いすぎる点が一つ――すなわち、真っ黒いマント。
 はっきり言わなくても怪しすぎる。
「こんなのが家入ってきたら通報しちゃうわね……」
「私なら一気に酸素の排出を止めます」
「だぁぁぁぁっ!
 別にいーだろーがっ!
 このマントは俺の魂だっ!
 クリスマスだと言ってはずすなんざ男がすたる!」
「それぐらいで仮にも私のマスターがすたらないでください!」
「ま、まぁ……それはともかく、せっかくのローストチキンとかが冷めちゃうわよ。
 食べましょ♪」
 言って、ほかほかと湯気の立ったローストチキンを持ち上げるミリィ。
「ああっ!
 食べ物は操舵室の隣の部屋でって言ったじゃないですかっ!
 汚したりしたらどーするんですかっ!」
「だいじょーぶよ、汚したりしないってば♪」
「前科がある人が言っても説得力有りませんっ!」
「いーじゃねーか、クリスマスだし」
「関係ないぃぃぃぃぃっ!」
 頭を抱えるキャナル。
 一人で騒ぎ立ててる最中にケイン、ミリィの二人はシャンパンなんぞ開けていたりする。
 すぽんっ!
 ばきぃっ!
 シャンパンの蓋が元気よく飛び出し、コントロールパネルに当たる。
「あああああっ!
 私の愛しのコントロール・パネルがぁぁぁぁっ!」
『メリークリスマスっ!』
 かちぃぃんっ!
 ケインとミリィの声がハモり、グラスの触れる音が操舵室に響いた。
「だから操舵室で食べたり飲んだりしないでくださいよぉぉぉっ!」
 キャナルが叫んだ瞬間、ミリィの肘に当たり、シャンパンがまだ入っている瓶はゆっくりと落下する。
「あ゛……」
 ばりばしゃぁぁぁんっ!
 さっき、元気良く蓋を飛ばした後のシャンパンの瓶は自らも元気の良い音をこの操舵室に響かせることになった。
「やっぱり……クリスマスなんて許すんじゃなかった……」
 涙混じりに呟くキャナルのいる操舵室は、 ケイン、ミリィはとっとと逃げ出し、すでにキャナル一人になっていた。


「……キャナルには悪いことしたな……」
 ケイン=ブルーリバーは自室のベッドの上で、そう呟いた。
「ミリィは……まぁ、部屋の中入るのはまずいから入り口に置いとけばいいとして……
 キャナルは……何処置いときゃいいんだ……?」
 むくりと上半身を起こし、ベッドの側に置いてある白い大きな袋を見る。
 衣装として渡したのはサンタの格好の赤い服のみで、白い袋はなかったのだが、ミリィもキャナルもあまりにも自然な姿なので気付かなかったらしい。
「……やっぱ操舵室か……」
 ケインはベッドから飛び降り、白い袋を背中に担いだ。
 黒いマントを付けたサンタ姿のケインはその部屋を後にした。


25日。
クリスマスパーティ翌日。
キャナルの機嫌は何故かなおっていたらしい。


                              おしまい♪

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5803クリスマスの後には白いウサギ E-mail 12/23-01:03
記事番号5684へのコメント
「しまったぁぁぁぁっ!」
 ソードブレイカーの操舵室で、ケイン=ブルーリバーは頭を抱え、力の限り叫んだのだった。
「なぁぁりいってるんれすかぁぁ〜ひっく」
「それはこっちのセリフだっ!
 何言ってんのかわからんぞっ!」
「ケイン、けいん、1たす1は2なんれすよ〜〜♪」
 何がおかしいのか笑いながらケインの背中を叩きながら言うキャナル。
 まづい……重傷だ……
 ケインは心の中で呟いた。
「ちょっとケイン!キャナル一体どーしちゃったのよっ!?」
 先に操舵室に来ていたのか、呆然としていたミリィが我を取り戻し、ケインに問いかける。
「その……だな……
 実に言いにくいんだが………」
「いーからいいなさいよ」
「………プログラムのウィルスのせいでおかしくなって――つまり、人間で言うと、酔っぱらってる状態になる」
「……なんでよ……?」
「本気で言いにくいんだが……」
「いーから言ってみなさいってば」
「俺のクリスマスプレゼントのせいだ」
「………………はい…………?」
 正確に言うと、ケインのクリスマスプレゼントの一つのせいなのだが。
「よく解らないんだけど……」
「まぁ……簡単にいうとだな。
 キャナルにも酒を飲むぐらい経験させてやろーと思って、
 『あなたのコンピューターにもお酒を飲ませて上げましょう♪』と言うソフトをインストールしてみたんだが……」
「ちょっとっ!それってただのコンピューターウィルスじゃないっ!」
「……俺もさっき気付いた」
「もっと早く気付きなさいよぉぉっ!」
 ケインの襟首を掴んでがくがくと振るミリィ。
「ふっ。男のふいに見せる優しさが裏目に出るとは……」
「ケイン……?
 あんたも自分の世界に酔ってるわね……」
 自分の世界に酔うと言うよりは、現実逃避してみただけなのだが。
「冗談だろーがっ!突っ込んでくれっ!
 頼むからっ!」
「ンな状況じゃないぃぃぃっ!」
 がばぁっと操舵室を仰ぐミリィ。
 コンピューターの立体映像気に影響があったのか、それとも凝り性のキャナルの癖が酔っていても現れているのか、キャナルの顔は赤かった。
「……どーする……?」
「逃げた方がいいとは思うけど……」
 ちらり、と操舵室から見える船外の様子を見る。
 暗く闇の広がる宇宙空間――つまり、逃げ道など、存在しない。
「けいん〜いつのまにかこぉんなにおっきく鳴っちゃって〜きゃなルうれしいですよぉ〜」
 べたぁ〜とケインにもたれかかっておばさんくさいことを言うキャナル。
(注:キャナルのセリフの変換が間違ってるのはわざとです)
「そ、そうか……あんまりひっつくなって……」
「ひどぉぃっ!
 ケインはキャナルのこと嫌いなんですかぁ〜〜?」
 うるうると今にも泣き出さんばかりの顔で言うキャナル。
「いやっ!あのそーゆー意味じゃなくてだな……」
 慌ててぷるぷると首を横に振るケイン。
「じゃあどぉいういみなんですかぁ〜―?」
「その……だから……ミリィっ!助けてくれっ!」
「助けろって言われたって……どーやって……」
 イスに隠れた状態で顔だけだし、困った顔で言うミリィ。
「それを考えてくれって言ってるんだっ!」
 冷や汗をだらだらと流しながら言うケイン。
「ひどぉいー……けいんはー……けいんハー……」
 びくんっ!
 くっついた状態で泣き出したキャナルに反応を示すケイン。
「今までちっちゃな頃からいた私よりもあんな年増が良いんですねっ!?」
「ンなっ!?としまぁぁぁっ!?」
「ミリィっ!落ち着けっ!
 酔っぱらってる奴のゆー事だぞっ!」
「ひどいっ!私は酔ってないレスよぉぉ……ひっく」
 酔っぱらってる奴がよく言うセリフナンバー1、2を争う台詞を言うキャナル。
「ちょっとっ!だれが年増よっ!?」
 立ち上がり、ケインに抱きついた状態で睨み合うキャナルとミリィ。
「なんでこーなるんだぁぁぁぁっ!」
 ケインの苦悩は今日も続く。 

 ミリィ、酔っぱらったキャナルの喧嘩は標準時間で日没まで続いた。
「どぉぉしても私が悪いって言うんなら重力緩和システム解除して暴走してやるぅぅぅっ!」
「うどわわわっ!やめろぉぉっ!死んじまうっ!」
「ケイン、死ぬときは一緒ですっ!」
 言っちゃってる目をして船を動かすキャナル。
「お前は影響ないだろーがぁぁぁぁっ!」
 重力、とゆーより、加速、急旋回の圧力(プレッシャー)により、ケインミリィの身体は宙に浮くは、壁にぶつかるは、酷いことになっていた。
「了解っ!
 サイ・ブラスター発射準備っ!」
 キャナルの言葉により、暴走した状態のまま、コントロールパネルが光り出す。
「何に了解したんだっ!
 俺はそんな命令だしてねーぞっ!」
 どぐぅぅぅんっ!
 さらに船は加速する。
 ケインの言葉でサイ・ブラスターを発射するということはなくなったようだが、船は未だに暴走中である。
 サイ・ブラスターについては、発射はケインがおかしくなってるわけではないので、できっこないのだが。
「うわきゃぁぁぁっ!キャナルっ!あたしが悪かったっ!
 悪かったら暴走止めてぇぇぇぇっ!」
 涙ながらに言ったミリィの言葉によって、キャナルはぴたりと船を止める。
 そう――急に。
 びたぁぁっ!
 ケイン、ミリィは壁に張り付いて気絶し、いきなり笑い上戸モードに突入したキャナルが一人で笑っていた。

 翌日、キャナルはいつも通りになっていた。
 さすが高度のコンピューター。
 自動修復システムのようなものでワクチンを自然に作り出したようだ。
 記憶はすっぱりと抜けているらしい。
 これも自己修復しステム――人間にとっては処世術のようなものなのかも知れない。
 かくて。
 これ以後、ケインはキャナルへのプレゼントには最前の注意を払うことになる。
 ソードブレイカーに平穏の二文字は存在しないらしい。
 合掌。

                        えんど♪

あとがき

           名前              性質
    登場人物 白いウサギ (以下 白) この話を書いた、一応作者。
           K       (以下 K) 作者の妹であり、何故か後書きに登場する。

           
白:どぉもっ!懲りずにロスユニ書いてしまった白いウサギですっ!
K:その前に年賀状書け。姉ちゃん。
白:……めんどくさい……
 どこばきぃっ!
K:ま、不届き者はこれにて処分しましたし。
  皆さん楽しいクリスマスを送れると良いですね。
  途中、ケイン君の現実逃避のあのセリフ(ふっ。不意に見せる男の優しさが裏目に出てしまうとは……)
  は、絶対に言うはずはないと思うんですが、作者の趣味で勝手に言わせました。
  どーゆー趣味してる……?
  白ウサ……
白:ほっとけぇぇぇっ!
K:ををっ!?
  復活早くなってきたわね……
白:作者なのに二行で出番が終わってたまるかっ!
K:経済的で良いと思うけど……
白:どんな経済だ。そりは。
K:では恒例の作者言い訳コーナーっ!
白:恒例にしちゃいけないコーナーだと思うんだが……
K:そう思うんだったらもっとましなもん書きなさいよっ!
白:ごもっとも。
K:認めるなって。
  で、言い訳(説明)その一。
白:ケインがキャナル、ミリィに贈ったプレゼントは書いていない理由について。
  私にはわからないような物でしょう。
  ちゃんと喜んで貰えたはずです。
K:……つまり、どんなのが喜んでくれるかわからないから省いちゃった(はあと)ってことね。
白:ちぃっ!気付かれたかっ!
K:気付くわよっ!普通はっ!
白:ちなみにあのキャナルを酔わせるプログラムは別のプレゼントです。
K:キャナルにはプレゼント二つって事……?
白:そういうこと。
  もう一つの方のプレゼントは何か書いてないのは、
  読者それぞれのプレゼントを想像して貰いたいのと、余韻みたいな物を残すためでもあるわけで。
K:あ、言い訳だ。
白:違うもん……言い訳じゃないもん……しくしくしく……
K:いじけるなっ!うっとーしーからっ!
白:さて……他の話を書きに行くか……
 すたすたすた……(退場)
K:うーん……目が虚ろになってたわねー……
  挨拶忘れて言っちゃったわ。
  ともあれっ!
  お付き合い下さりありがとうございましたっ!
  良いクリスマスを心よりお祈りしております!


          あとがきらしきもの、おしまい

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5807読んじゃった(^^)むつみ E-mail 12/23-06:53
記事番号5803へのコメント
白いウサギさん、こんにちわ。むつみです。
読ませていただきましたよ。
あ・とらぶる・・・のほうは、九尾さんのところで紹介させていただきました。キャナルの「おねーさま」ぶりっこがすてきです(はあと)



プレゼント、何かな?
オルゴールかな?釣り竿かな?などと、しばらく考えてしまいました。
プレゼントを考えるのって、好きなんです。

酔ったキャナルって、とことん怖かった・・・です。
飲酒運転、禁止ぃ〜〜〜〜〜〜!



そりでは。
また、続き、書いてくださいね。

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5821むつみさんありがとうございます白いウサギ E-mail 12/25-00:40
記事番号5807へのコメント
むつみさんは No.5807「読んじゃった(^^)」で書きました。

>白いウサギさん、こんにちわ。むつみです。

 こんにちは。
 ありがとうございます(^^)

>読ませていただきましたよ。
>あ・とらぶる・・・のほうは、九尾さんのところで紹介させていただきました。キャナルの「おねーさま」ぶりっこがすてきです(はあと)
>

 い゛い゛っ!?<紹介
 ……あんな物をありがとうございます。

 おねーさま……(笑)
 出来るだけ原作よりに書きました。
 TVのほうは、別のいい味を出していましたが、
 ああいった部分が少なかったと思ったので。
 

>プレゼント、何かな?
>オルゴールかな?釣り竿かな?などと、しばらく考えてしまいました。
>プレゼントを考えるのって、好きなんです。


 私も好きです♪
 24日はたまには親孝行しようと、
 両親のプレゼントを探しに行ってきました。
 悩みに悩んで何とか決めましたが。

>酔ったキャナルって、とことん怖かった・・・です。
>飲酒運転、禁止ぃ〜〜〜〜〜〜!

 その通りです(笑)
 おまけに宇宙空間だと逃げ道がないですし(汗)


>そりでは。
>また、続き、書いてくださいね。

 気が向くままに(笑)
 何か思いついたらまただらだら書きたいと思います(をい)

 では。ありがとうございました(ぺこり)