◆-いつかの伝言-彼方(12/15-16:14)No.5772
 ┗いつかの伝言  〜続き〜-彼方(12/16-17:53)No.5775
  ┗いつかの伝言  〜続きの続き〜-彼方(12/17-14:06)No.5777


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5772いつかの伝言彼方 12/15-16:14

はじまして。彼方と申しませう;
ちょっと、お邪魔させていただいてます。
思いつき小説(駄文ともいふ・・・)なんですが、読んで頂けたら幸いっす。

作中は、小説8巻直後になります。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

いつかの伝言


そこにいたのは、シルフィールだった。

体は疲れているのに、何だか眠れずにあたしはいた。
はじめのうちは、おとなしーく横になって目蓿つぶっていれば練れると思っていたのだが、いっこうに眠%黷ク、逆に頭は冴えてくる。ベットの中でごろごろしはじめて――あきた。
お腹か減ったんだ。
そう決めて、宿屋にはよくあるように、一回の食堂へとあたしは降りていった。
そして、彼女がいた。
だーれもいない食堂のカウンターの前にひとり腰掛けて、淡い黄色の液体の入ったグラスをもてあましぎみにしている。ひじを突いた左の手のひらに、頭を乗せて、それをぼーとながめているようである。
なに、してんだろ?
「なにやってんの?シルフィール」
「リナさん・・・」
彼女は、ひじを突くのを止めて、ゆっくりとこちらに振り返っていた。
突然声をかけたにもかかわらず、驚いた様子がないところを見ると、ただたんにぼーとしていたわけではなかったようである。
「こんなところでぼーとして・・・ガウリイみたいななっても知らないわよ」
自称あたしの保護者のことをいうと、くすっ、と彼女は微笑んだ。
「リナさんこそ、こんな夜更けにどうなされたんですか?」
「なーんかお腹でも減ったみたいで、眠れないのよ」
言いながら、あたしは彼女の一つおいた右隣の席へとつく。
「お腹がすいたって・・・夕ご飯、かなり食べてらっしゃいませんでしたか?」
「なにいってんのよ、あれくらい。むしろ、ちょっと遠慮したかなぁー、ってくらいよ」
「デザートも食べてらっしゃったと思うのですが・・・」
「それは、専用胃袋のぶん(はあと)」
「夜食・・・」
「乙女のひみつ(はあと)」
「・・・・・・」
返事がないところを見ると、どうやら納得してくれたようである。


                  つづく

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5775いつかの伝言 〜続き〜彼方 12/16-17:53
記事番号5772へのコメント
別に続きにする必要なんてなかったんだけど、遅筆の為、書ききれませんでしたぁ・・・(TへT)
「つづく」って、入れてくださって、ありがとうございます。

――では、続きを・・・

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「と、まあ・・・それはそれでよしとして――」
「分かってはいたんですけど・・・」
ため息とともに、シルフィールがつぶやいた。聞こえない程度の独り言だったんだろうけど、さすがにあたしのエルフ並の耳の前(横かな?)では意味はない。一瞬、つっこんでみようかなぁーとも思ったけど、それはとりあえずおいておこう。
――ここのお勘定、シルフィールに決・定。
「何だか目が覚めちゃったから、起きてきたの」
「リナさんもですか」
シルフィールはそう言って、コトリ、とグラスをカウンターの上に置いた。
「シルフィールも?疲れてたんじゃないの」
「ええ。けど、リナさんもでしょ」
「・・・・・・まあね」
微笑みでくる彼女に、あたしも微笑って返した。
あたしも彼女もかなりの疲労が、たまっているはずだ。今日だけじゃない。ここ数日間は、そうとう無理をしてきたはず・・・事実、一緒だった他のみんなは、それぞれの部屋で休んでいる。
眠れないのは、そう――あまりにもショックが大きかったのだろう。
あたしも彼女も・・・・・・肉体的のものじゃなく、精神的に――
特にシルフィールは、ダメージは大きいだろう。
――二度目。
彼女の目の前で、故郷が消えたのが・・・
頭で分かっていても、認めきるには――大きすぎる。
あたしは・・・・・・
「・・・リナさんも飲まれますか?」
不意に沈んだ会話を、シルフィールが戻した。
再びグラスを持ち上げ、中身の液体を波立てる。
「んー・・・あたしあんまりお酒飲まないからなぁ」
「私もあんまり――でも、飲んだ方が眠れそうですから」
「ぜんぜん飲んでないように見えるけど」
何故か、つぅー、っと彼女の横顔に汗が流れた。
「もしかして、飲まないんじゃなくて――飲めないんじゃあ・・・」
・・・・・・・・・・・・
図星か。
どうりで目の前にグラスしかおいてないわけだ。
「寝たいんなら、『眠り(スリーピング)』かけたげようか?」
「遠慮・・・しときます」
彼女は、遊んでいたグラスをぴたりと止めて、あたしの目の前においた。
ったく、飲めないんなら注ぐんじゃない。もったいなぁ・・・でも、あたしもあんまり好きじゃないし・・・
人差し指で、目の前におかれたグラスの口を押さえて、傾けてみる。
ふうむ。かっこつけには、ちょうどいいかも。
彼女、もしかしてそれを狙ってたりしてたとか・・・
思って、シルフィールの方へと視線を向けると、ばったり、彼女の瞳とぶつかった。
「なに?」
何か聞きだげな様子で、たずねると、彼女の顔に影が降りた。そして、しばらく迷っている表情であたしを凝視してると、おもむろに双眸を閉じた。
「あの時の質問――もう一度、してもよろしいですか?」
彼女の口から言葉が紡がれたのは、どれくらい経ってからだろうか?
瞳を開き、何かを決意したような真とした表情が、その時には生まれていた。

つづく――――――――


思った以上に、長いようだ・・・(うーん;)

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5777いつかの伝言 〜続きの続き〜彼方 12/17-14:06
記事番号5775へのコメント

――『あの時の質問――もう一度、してもよろしいですか?』――

「ガウリイ様の事、どう思っていらっしゃいますか?」
再び、繰り返された言葉・・・
一度目は、サイラーグへ向かう途中、シルフィールと再会した晩の事だった。答えは――
「あの時と同じ答えは駄目ですよ」
う"っ・・・
――脳ミジンコ剣術バカ・・・
そっくりそのまま返そうとしたのに、読みは彼女の方が早かった。
ずい、と顔をこちらに寄せてくる。
「リナさんにとって、ガウリイ様は何なのですか?」
有無を言わさない、真剣そのもの・・・誤魔化しは、効きそうもない。
「リナさんは、前回こうおっしゃいました。『光の剣が目当て』だから、ガウリイ様と一緒にいらっしゃるのだと。
という事は、光の剣をもったガウリイ様を――その・・・」
「便利な魔法アイテムその一」
「・・・と、とにかく、光の剣を持ったガウリイ様が必要だった。という事ですね」
あたしは素直にうなずいた。
本当の事だし、否定してもはじまらない。
確かに、あたしは光の剣を持ったガウリイを必要としていた。
「それなのに何故、ガウリイ様の新しい剣を一緒に探しにいかれるのですか?」
「それは、ちょっぴし悪いかなぁーって・・・」
「リナさんは、光の剣が欲しかった。無くなってしまったのは、仕方のない状況だったのでしょう」
「新しい魔法剣が手に入ったら、研究とかしたいし――」
身をこちらに寄せつつ、彼女はあたしに迫ってくる。あたしは、視線を明後日の方向に向けて、答えを探す。けれど、何故だが言い訳っぽく聞こえるのしか出てこない。
嘘はついてない。
それなに・・・言い訳?
「第一、それが手に入ったら、一攫千金!ちゃちゃちゃ、らっきー♪だし、あのクラゲをあのまんま一人でほっぽりだしったら、どーなるかわかないし・・・それに――」
「理由を探してらっしゃるんですね」
シルフィールの言葉が、あたしの声を遮った。
理由。
「いいじゃないですか。そんな理由――」
「シルフィール・・・」
乗り出してきていたからだを、彼女は戻した。
言った言葉に、あきらめにも悟ったようにも似た響きがあった。
ガウリイが、あたしに聞いた時に見せたように・・・
「リナさんにとって、ガウリイ様は何なのですか?」
あたしにとって、ガウリイは・・・
「あたしにとってガウリイは・・・ガウリイよ」
答えにならない答え。
本当は、もっと似合った正しい言葉が――ふさわしい言葉が、あるのかもしれない。
あたしは、それを持っている・・・知っているのかもしれない。
――気づいているのかもしれない。
でも、それは彼女に言うことじゃない。
誰よりもまず、一番最初に言わなきゃいけない人がいる。
「それじゃあ、ダメ?」
言って、おどけたように肩を竦めて見せた。
シルフィールは、はじめきょとんとしていたものの、破顔して言った。
「十分です」
――それは、あたしの口から、ガウリイに言わなきゃいけない事。
二人して微笑い、正面から向き合った後、彼女はあまりもののシチューを温め直してくれた。
宿屋のおばちゃんとかには、すでに許可をもらっているのとか。
さっきのお酒は、残り物のおすそ分けだそうである。(飲めなかったのに・・・)
しばらく、あたしと彼女は、女同士の話しに花を咲かせた。

――――これこそ、乙女の秘密(はあと)である。



◆エピローグ◆

「行っちゃったね」
三人の姿が見えなくなって、あたしはぽつりと呟いた。
「そーだな」
隣にたっている、いつもと変わらずにいる旅の連れも呟く。
「だいじょーぶかなぁ」
「心配ないだろ。ゼルガディスだっているんだし」
アメリアとシルフィール。二人は、セイルーンへ帰るそうである。
あたしとガウリイとで送ろうかとも思ったのだが、断られてしまったのである。
実は今朝方、泊まっていた宿で、『剣』に関する情報をゲットしたのだ。
と、言っても、そういうものに関しては十中八九・・・いや、十に近い確立でデマである。それでも二人は、万が一があるから行った方がいいといったのだ。
――裏で、あたしと一緒だと何が起こるかわらない。とか、命がいくつあっても足りないとか言ってたようでもあったが・・・ふっふっふ。今度会った時、どーなるか覚えてなさいよ。
でも、さすがに二人きりじゃあどうなるかわらないので(熱血!正義一筋お姫様。と、竜破斬(ドラグ・スレイブ)の巫女。の、二人じゃあ・・・ちょっと)ゼルガディスにお願いしたのである。
あちらは、宛てのない旅立ち。(あたしたちも似たよーなもんだけど・・・)それくらいはかまわないと、快く引き受けてくれた。
それでもまあ・・・やはりセイルーンまでは無理なので、途中まで――だが、心配はないだろう。
「それよりか、おまえさんの方が心配だ」
「・・・どーゆういみよ」
「保護者がいないと、何するかわからんということだ」
自称保護者が、ぽんぽんと頭をたたく。
「それは、こっちのセリフよ。ったく」
頭をたたくガウリイの手を振り払い、あたしはジト目で視線を送ってやった。相変わらず、外見はいいのに何考えているかわからない表情。
――こっんのくらげ。
ふいっ、顔を背けて、あたしは歩き出した。
「あたしたちも行くわよ。ガウリイ。お宝は、待っちゃくれないんだから」
すぐに追いついて隣を歩くガウリイに、くるくると立てた人差し指をまわしながら突きつけてあたしは言う。あたしに歩調を合わせて歩く彼は、あたしを見下ろしていた。で――
「お宝って・・・おまえまた、盗賊いじめに行くのか!」
あうぅ。この男は。
「あなたの剣を探しにくって、決めたでしょうが!」
「えー。そんなこと言ったけ?」
「こっんの――くらげぇぇぇぇぇぇっ!!!」
懐から取り出したスリッパは、いつもながらあきれるくらいいい音を出して、ガウリイの頭にヒットした。
これから先、何回繰り返すんだろうと思ってみたりしたのは、いつものことであった。


おわり


一応、終わりましたぁ。
ガウリナ(はあと)・・・古いネタ、でした。(TへT)
でも、書きたいこと書けたので、満足♪

彼方でした。