◆-閃光(ひかり)  目覚める    〜プロローグ〜-彼方(1/14-14:40)No.6059
 ┣うわぁい♪-ミレーヌ(1/15-04:43)No.6066
 ┃┗いるんですねぇ・・・-彼方(1/18-13:37)No.6099
 ┣閃光  目覚める   1-彼方(1/18-12:58)No.6098
 ┣閃光  目覚める  2-彼方(1/19-15:26)No.6113
 ┃┗かわいいです♪-ミレーヌ(1/19-21:40)No.6115
 ┃ ┗え゛っ?-彼方(1/21-10:21)No.6125
 ┣閃光  目覚める    3-彼方(1/21-09:48)No.6124
 ┃┗早く続き読みたい!-ミレーヌ(1/29-19:39)No.6182
 ┣閃光  目覚める    4-彼方(2/2-13:42)No.6206
 ┣閃光  目覚める      5-彼方(2/3-16:25)No.6210
 ┣閃光  目覚める    6 -彼方(2/5-16:14)No.6215
 ┃┗続きがいっぱい(笑)-ミレーヌ(2/5-23:12)No.6216
 ┃ ┗お待たせ致しました♪-彼方(2/10-18:21)No.6265
 ┣閃光  目覚める     7   -彼方(2/10-18:13)No.6264
 ┃┗待ってました♪♪-ミレーヌ(2/10-19:59)No.6266
 ┗閃光  目覚める      8-彼方(2/12-18:07)No.6282


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6059閃光(ひかり) 目覚める 〜プロローグ〜彼方 1/14-14:40


おはようございます。
こんにちは。
こんばんわ。
と、一通りの挨拶を――目にするのが、昼間だけとは限りませんからねぇ。
(いるのか?こんな奴のを見るのが・・・)
たぶん、知らないでしょう。僕の事なんて・・・(ゼロス口調☆)
でもまあ、何処かの誰かが読んでいてくれるだけで、十分ですし。
前置きは、短めに。では・・・

(注:これは「ロス・ユニ」ケイン×ミリィです。
それ以外の方は、遠慮なさった方が宜しいと思われます。(/ーー\;))

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閃光 目覚める

〜プロローグ〜

――帰ってきた。ケイン!キャナル!
懐かしい宇宙船(ふね)の姿を見とめて、彼女は――ミリィは、それに向かって、駆け出していた。
――ソードブレイカー!
半年以上もの間、待ち続けた宇宙船の姿だった。あの時最後に見た、壊れかけ寸前の無残な姿は、何処にも残っていない。初めて逢った時のように、堂々とした、そして、ちょっぴり(?)時代遅れの型の白い宇宙船。
それが、今、目の前に降りてきていた。
あれからずっと、夢で繰り返されたシーン。幸せな夢であっただけに、目覚めた時は、涙が止まらなかった。
これもそうなのだろうか?
裏切られるのだろうか・・・。
違う――いる。二人は、きっといる!
帰ってきたんだ!
ミリィは、これは現実だと信じたかった。
だから、走った。夢でも、幻でもなく、現実(ほんとう)だと、ケインとキャナル――二人にそう言ってもらいたくって・・・
宇宙船が、降りて来るのと同時に、ミリィは中へと入り込んだ。決して長い間いたとはいえないが、忘れたりはしない。ソードブレイカーの中を記憶を確かめる暇もなく、彼女は向かっていた。
いつも三人、楽しい事も辛い事も共有した場所。
そこは、すぐそこに・・・
不意にミリィは、立ち止まった。
「誰か・・・いるの?」
感じたのは、人の気配ではない。何かの存在。
「ケイン――キャナル・・・」
「待っていてくれたのですね」
その存在は、答えた。
存在は、光の粒子を束ねるようにして、ミリィの前にゆっくりと形を作っていった。ヒトのかたち・・・美しい女性の姿。
長く伸びたエメラルドグリーンの髪に、それに揃えた一対の新緑石。その身に纏った白いドレスは、幼い頃にでも聞かされたような作り話(サーガ)に登場する巫女の服。
会った事はなかった。だが、ミリィには、それは何なのであるかすぐに分かった。
「ヴォルフィード・・・貴方、ヴォルフィード?」
よく似た姿をした少女に、彼女は出会った――いや、その少女を待っていた。
『ヴォルフィード』かと問われた女性は、静かににうなずいて見せた。
「それじゃあケインとキャナルはいるのね!帰って――帰ってきたのね!」
ピン――と張り詰めいた糸が、ゆるんでいくのがわかった。
夢じゃない。
目頭が熱くなってゆく。だが――
ヴォルフィードは、困り果てたように表情を曇らせていた。
「ヴォルフィード・・・」
「・・・心配なさらないで下さい。マスターも『キャナル』もここにいます。
それが二人の願いであったから、ここへ――貴方の元へと帰ってきたのです」
「じゃあ――」
――じゃあなんで、貴方はそんな顔をしているの?
続く言葉は、紡ぐ事はなかった。
紡ぐ必要はなかった。
ひょこ。
ヴォルフィードの後ろから、小さな影がこちらに顔を出した。
「どうしたの?ヴォルフィード」
その姿に声にミリィはしばし、声も出なかった。
似ている・・・
鮮やかな緑のおさげ二つに瞳が二つ。
ヴォルフィードではなく、もっと親しい人物に――そっくり。うりふたつ。
フリルのついたエプロンを着ける姿は、ほぼ・・・
「もしかして、キャナル・・・」
ミリィは、指先を震わせながら少女に向け、何とか必死にかすれながらも声を絞り出した。視線は、幼い彼女とヴォルフィードの間を行き交う。
「そうよ」
ヴォルフィードが答えるよりも先だった。キャナルと呼ばれる少女は、いとも簡単にうなずいて、にっこりと笑った。
「わたしは、キャナル・ヴォルフィード。あなたは?」
キャナルは、知ってか知らずか、指差したまま固まったのミリィに自己紹介をしようとしていた。


つづく




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6066うわぁい♪ミレーヌ E-mail 1/15-04:43
記事番号6059へのコメント

すっごいうれしいですぅ!
わたし、ケイン×ミリィなんですよぉ!

あぁ、キャナルが小さくなってしまって。
ケインはどうなったのぉぉ!?
続きまってますね、それでは短いですが(^^)

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6099いるんですねぇ・・・彼方 1/18-13:37
記事番号6066へのコメント

いらっしゃるんですねぇ――「ケイン×ミリィ」の方って・・・
嬉しくって、涙でそうです。(/へ\。)
これからの展開は、そう・・・おそらく、ご想像どうりかと。
副題に――っと、これをつけると結末見えちゃうんで、やめよう。

これは、TVシリーズ終了後・・・
もう、自分の妄想のみです。
これ意外にも考えたんですけど、これが一番しあわせかな?

では、お楽しみいただけると幸いでっす。


またもツリーを作らせて頂きました。

彼方

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6098閃光 目覚める 1彼方 1/18-12:58
記事番号6059へのコメント

閃光 目覚める



カタ、カタカタカタ――。
コンピューターの画面に、キーが打たれていくと同時に文字が表しされていく。
ミリィは、画面と手元を見ながら、無言でそれを行っていた。時折、その手を止め、傍に置かれた書類の束をめくって見つめたり、肘をついた手の平にあごを乗せて、考え込んだりもしていた。
――うーん。ここがこうだから、これが――ああなって・・・。
綴られていく文字を無意味に見つめて、指でなぞる――
「だあ――!頭がこんがらがるぅぅ!!」
たまらなくなって、とうとうミリィは放棄した。背伸びして、椅子の背ともたれこんだ。ギイギイと文句を言ってくるが、無視。
「ったくぅ、最後のまとめくらいやってくれたっていいじゃない!こっちは、体はってるんだから、ちまちました事くらい引き受けたってバチは当たんないわよ!」
ついこないだ終了した、探偵依頼の提出用レポートことであった。
半年以上もの間、ただ待っているだけでも先立つものはいるのである。時間と暇は、いくらでもある事はあるが、なるべくここから離れたくなかったし、ちまちましたのは性に合わない――とやらで、昔とったきねづかから、知り合いに頼んで仕事を回してもらっていたのだ。
多少危険な仕事もあったが、一回の収入が大きいし、なにより、ケインとキャナルが帰ってきたら、トラ・コンの仕事に戻るつもりだったのだ。腕を鈍らさないためにも、ちょうど良かった――のだが、その後に来るこのレポートが最悪だった。
地味などころか、ただ面倒なだけである。
規定枚数はないが、それなりの枚数は、やはりいる。そんなんだがら、書いても書いても終わらない――なんて状態が、続く事になる。
「見張りとか、尾行やってる時の方が楽――」
バタン。
ミリィの語尾にかさなるように、室内に突然大きな音をたてて、背後のドアが開いた。
「ミリィ!晩めしまだかよ!」
聞き覚えのある声が聞こえて、ミリィは、いすを回転させてそちらの方向へと振り向いてた。
もちろん知った顔だ。
何度見ても、違和感ありまくる人物ではあるが・・・
「キャナルとヴォルフィードに頼んどいたはずだけど?」
「いやだ。ミリィの作ったハンバーグが食べたい」
わがままにもその少年は言い切った。
幼いその顔は、少女のように可愛らしい容姿。金髪青眼。年の頃なら、十の誕生日は、まだ迎えてない。
「あのねぇ・・・」
「約束してたじゃないか、今日作ってくれるって!」
「だから、仕事が忙しいから――」
「いやだ!」
こちらに詰め寄って、目を吊り上げ、口を経の字にして彼は、ガンとして言い放った。
「ったく、ケインのわがまま・・・」
ミリィは、脱力するより他なかった。


つづく

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6113閃光 目覚める 2彼方 1/19-15:26
記事番号6059へのコメント

閃光 目覚める



「はい。出来たわよケイン」
じゅうぅ。
ミリィは、フライパンから焼けたばかり熱々のハンバーグを、ケインの前においてあった空っぽの皿に移し替えた。これ以上にない焼き加減に匂い・・・空腹だったケインにとって、何よりの誘惑だった。
「すげぇ!いただき――」
「ちゃんと手は洗ったの?」
「洗った。いっただきまーす」
ケインはよだれたらたらで、半分上の空。
待ち構えていたかのように、両手それぞれに握ったフォークとナイフは、ためらいもなくミリィの会心の作を切り分け、ケインの口の中へと消えていった。途中からナイフを放り出し、フォークでつき刺してかぶりつくという行為へと変わっていったが・・・・・・。
「知らなかった――ケインが、こんなにわがままだったなんて・・・」
ミリィは、一心不乱にハンバーグに取り込んでいるケインにあきれながら、彼のテーブルを挟んだ真正面の席へと腰を下ろした。こんなに美味しそうに食べてくれるのであれば、それはそれで作り手として嬉しい事ではあるが、作るまでの過程といったらとんでもなかった。
泣き叫ぶ――なんてことはなかったが、側にへばりついて作ろうとするまで、離れてくれなかったのだ。
以前の彼を知っている者なら、違和感ありまくりどころか、めまいを起こす事間違いなしである。ミリィは、一番最初にされたとき、あまりのギャップに頭の中が真っ白になった事を覚えている。
以前の――いや、こんな姿になる前のケインは、幼稚っぽいところがあったといえばあったかもしれないが、わがままというようなものではなかった。それを言うのであれば、ミリィやキャナル――女性陣二人の方が、段違いだった。あれが欲しいと毎回のようにねだり――ともかく、今のケインは、ケインであってケインでない。
「・・・・・・ケインにも、こんな可愛い頃があったのねぇ」
ほおづえをつきながら、ぽつりとミリィは、呟きたくなった。


「――――ケイン・・・」
ケインは、ガラスケースの中で目をつぶり、まるで、人形のように横たわっている。小さな、子どもくらいの背丈・・・
「どういうこと?この子、ケイン――何でしょ」
震える声を押さえて、ミリィは隣にいる巫女姿の美女――ヴォルフィードへと視線を投げかけた。その視界の端には、彼女によく似た少女が、ケインの眠るガラスケースを覗き込んでいた。
ヴォルフィードは静かにうなずく。
「確かに。この子は、この「ソードブレイカー」のマスター――
ケイン・ブルーリバーその人です。間違いなく・・・」
「どうして、こんな――」
「詳しい事は説明できません。
――いえ、説明したとしても理解する事はできないでしょう」
言って、ヴォルフィードは双眸を閉じた。一瞬だろう。呼吸を整えようにすると、うっすらと瞳を開き、再び言葉を紡ぎだした。
「ただひとつ。
「サイコードファイナル」の影響であるとだけ、言っておきます」
「元に――戻るの・・・・・・?」
「理論上は可能です」
「そう」
ミリィは、唇をかみ締めた。ともすれば、涙が流れ出そうになる。
「心配なさらないでください。ミレニアム。
マスターの願いは、貴方の元へ帰る事・・・できない事ではないのです」
「絶対に?」
「ええ、絶対に」
ミリィの不安を打ち消すように、ヴォルフィードは言い切った。彼女の眼差しは、惜しげの無い慈しみをミリィへと注いでいた。


つづく

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ご面倒おかけしました。(TへT)

それにしても、長いなぁ・・・。
こんなに長くなる予定じゃなかったのに(^^;)
・・・・・・なんだか、ヴォルフィードが出っ張ってるかも;

彼方


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6115かわいいです♪ミレーヌ 1/19-21:40
記事番号6113へのコメント


続きだ♪
どうも、またわたしです(笑)

えぇっと、ケイン君は金髪なんですか??
茶髪かと思ったのだけど、それもストーリーのなにかですね。
ケイン君は、前の記憶ってあるんですよね?
なんていうか、口調がそのまんまだから。

続き楽しみにしてまぁす!

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6125え゛っ?彼方 1/21-10:21
記事番号6115へのコメント

どーもありがとうございます。

えーとぉ・・・・・・
ケインって、金髪じゃなかったんですか・・・
――すっげえ自分の思い込み。( ̄▽ ̄;)
ごめんなしゃい。
お詫びじゃないけど・・・次回予告。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『――ミリィさん。すっごい進歩です。』

それは、誰かのいたずら。

『ったく、どっかの破壊工作員じゃあるまいし・・・』

休息は、贈り物――

『あのさ、ちょっと頼みごときいてくれる?』

――――それとも、動かない「彼等」への戒めか・・・

『お前に、何が出来る?』

運命は、手に入れるもの?

『全ては、貴方次第なのです。
今の自分に、捕らえられる事こそが、愚かな行為――――』

――創り出すこと?

『子供扱いすんな!おれは――!』

二つの存在が、重なる瞬間。
「彼等」は、終わりを告げる。

「まどろみ」から――

『・・・・・・ばーか。』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ばか」は、おのれじゃ。
半分嘘っこなので、本気にしないでください。
では、失礼致します。

彼方





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6124閃光 目覚める 3彼方 1/21-09:48
記事番号6059へのコメント

閃光 目覚める



――そして、目覚めた。

ケインはここにいる。
変わってしまったけれど、事実には変わりない。それに、側にいるという事だけで、不安は何よりも代え難い安堵へと代えてくれる。
独り。
それと比べたら――違う・・・・・・比べる事はできない。
待つ事しかできなかったときとは分けが違う。「何か」をする現実を得らる。
私の事は忘れてしまっていた。
けれど、取り戻す事は、決してできなくはない。そう――

“絶対に”


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

う〜ん;めっちゃ短いです。
それに、前回とつなげるとなると、ちょっち無理がある。( ̄へ ̄;)
あははははは。(ヤケ)
――と、ゆうわけで、読まなくてもよし。(最後に言うな)

続きは、すぐ書きますんで。
では。

彼方


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6182早く続き読みたい!ミレーヌ 1/29-19:39
記事番号6124へのコメント


あぁ〜〜〜もちょっと長く書いてほしかったですぅ(笑)
でも、なんかいい感じ♪

続きを、早く読みたい!

(コメントも短くしてみた(笑))

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6206閃光 目覚める 4彼方 2/2-13:42
記事番号6059へのコメント
すみません;
早く書くつもりだったのに、めちゃくちゃ遅くなってしまいました。
よくぞ消えずに残っていたと思ってます。
ではでは、つづきを・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

閃光 目覚める



ケインの夕食が終わった後、思い付いたかのようにミリィは空腹感を思い出していた。
――あれだけ目の前で美味しそうに食べられたら、お腹だって減るわよ。
「ミリィ。ゲームでもして遊ぼうぜ」
お腹もいっぱいになって、上機嫌にでもなったのか、食器の後片づけまできっちりこなした――あたりまえよ!(ミリィ談)――ケインが、当然のように誘ってきたが、ミリィは断った。食事もしたかったし、なによりレポートはまだ残っている。ケインにかまっている暇は本来ならないのだ。おかげで、頬をふくらませ、口がへの字、大暴れの危機に直面したが、ヴォルフィードたちの機転で、事無きを得て、おとなしく(?)自室でキャナルと遊んでくれることになった。

「ケインってば、昔っからああだったの?」
ミリィがそうぼやいたのは、自分用に作った食事をぱくついている時だった。それは、側にいたヴォルフィードに尋ねたかたちになった。
「頼りにできる方がいらっしゃるからです。マスターは、前のマズターであったご自分の祖母が亡くなられたあと、キャナルと二人きりでしたから・・・」
「えーと・・・両親とかは――」
ヴォルフィードは、静かに首を振って無言で答えた。
それがどんな意味であったかはミリィは計りとる事は出来なかったが、何処か、自分と重なるような気がした。いや――だからこそ、知り合えたのかもしれない。
ミリィは、ごまかすようにポテトをフォークに突き刺すと、口の中に放り込んだ。
「でも、ああまでわがままになる事ないと思うんだけど・・・」
振り切るように、思い付いた事を口にする。
「甘えてらっしゃるんです。ミレニアム――貴方に・・・。
お食事が終わられたら、一緒に遊んであげて下さい」
口元をほころばせて、優しくヴォルフィードは言った。
「甘えてねぇ・・・・・・。でも、今日はムリ。特に期限はないんだけど、遅くなるとうるさいから――」
固ゆでのパスタをフォークでからめとる手を止めて、はあっ、とため息が知らずに出る。具体的にではないが、残りの分を思い出して食欲がいっきに減速する。
――学生の頃の宿題といい勝負だわ。
「お仕事のですか?」
「そっ」
「調査内容とかは、ファイルしてありますか?」
「いちおーあるわよ。そりゃあ・・・」
「・・・・・・よければ、私がいたしましょうか?」
・・・・・・・・・・・・。
「――えっ?」
間のぬけた言葉が唇から零して、ミリィはヴォルフィードを見上げた。
「できる・・・の?」
「データさえあれば」
「な・・・っ!なんで早く言ってくれなかったの――――!そしたら、こんなにしんどい目に会わなくてすんだのにぃっ!」
ミリィは椅子を蹴って叫んだかと思ったら、座り直して、目を疑うような速さで皿を空にしていく。ヴォルフィードが、口の挟む隙がなかったほど――そして。
「じゃ。わたし、ケインのところに行って来るから、あとはよろしくっ(はあと)
データは、ディスクに入ってるから(再びはあと)」
「あっ、はい――」
食事は終わり、ヴォルフィードがボーゼンとしている間に後片付けを済ませてしまっていた。気が付くと、扉の向こうに消えようとしている。
「そうでした。ミレニアム」
「ん?」
何とかすんでのところで、ミリィを呼び止める。
「部屋にこもっている間、連絡があり、伝言を受けた待っています。
『明後日、ちゃんと出席します』だそうです」
わざわざ伝言とところを声を変えている。ヴォルフィードよりも、キャナルが好きそうな手口である。
――キャナルが、ヴォルフィードに教えたのだと後に知る事になる。
誰からのだとは言ってないが、すぐに分かる。
「よぉし、明後日は、腕によりをかけてごちそう作るわよ」
ミリィは言って、ウインクで返した。

明後日は、『同窓会』。
久しぶりに懐かしい顔がそろう事になる。
――――若干名、多少変わっているが・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ようやっと、本題に入ります。
ここからが本番なのですが、どうしてこんなに長くなったのだろうか・・・;

――これからの事が少しでも知りたい方は、
No.6125『え゛っ!』◇次回予告◇をご覧ください(半分嘘;)――


彼方


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6210閃光 目覚める 5彼方 2/3-16:25
記事番号6059へのコメント

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チン。
オーブンが、ゲームセットのコールを出した。
「できたわよん(はあと)」
そういって、ミリィはオーブンからできたてほかほかのアップルパイを取り出した。程好いきつね色のいい香りである。
「どう?」
我ながら上出来の自信作を目の前に、にんまりと笑みが浮かんでくるのは、どうにもとめられなかった。思わず誰かに自慢したくもなる。だが、その相手は、キッチンの入り口付近でおどおどとこちらを伺っている。
「――ミリィさん。すっごい進歩です」
ややあって返ってきた応えは、彼女が期待したものとは異なっていた。
「どーゆー意味よ!ニーナ」
釈然としない表情で、ミリィはその彼女――ニーナを睨み付けた。
年の頃ならそんなにかわらないだろう――とおもうのだが、長いだろうの髪を、頭の上で一つまとめにしたポニーテール。わずかに残ったそばかす。元気はつらつとした高い声。発展途上のスタイル――は、幼さがずいぶんと残っている。微笑うと特にそれが強調されてしまうのは、生まれついての性分だろう。
「ど・う・ゆ・う・イ・ミ・よ!」
「はううっ〜。くるしいですぅぅぅ――!首、しめない――はうぅ」
言われて問われて、ニーナの首を絞めていたミリィは、はた、と気がついて、手を放した。
「あれ?ごめん。思わず、首、しめちゃった(はあと)えへ♪」
「『えへ♪』じゃないですよ!」
「けどさ、元はといえば、ニーナが変なこというのが悪いんじゃない」
「確かに、言い方は悪かったかもしれませんけど・・・」
「けど?」
「この前まで、キッチン使うたびに爆発させてました」
ぴきぃっ。
ニーナの台詞に、ミリィは一瞬、動かな――動けなかった。こめかみの上から、一筋汗がつうっ、と頬をつたう。
「そっ・・・・・・そういうことも、あったわね」
――宇宙一の味に、多少の犠牲も必要なのよ!――
そういって、毎回のごとくキッチンを爆発させていた事は、まだ思い出となるには新しい。(古い、新しいという問題でもないだろうが・・・)グラタンを作るのに、中華鍋を爆発炎上させたり、シチューが出来上がるまでにジューサーが真っ二つに割れたり――料理を作るたびに再起不能に陥れていたのだ。どう、常識的に考えても食べられるものが出来るはずも無いのに、出来上がった料理というものは、一流レストランにさえ負けないものが出来上がるのだ。
『宇宙一』は、伊達ではないという事だ。
――が、その度に修理費がばかにならないという事が欠点。最初のうちは、仕方の無い事だと割り切っていたミリィも、4・5回続くとそうも言ってられなくなった。(ソードブレイカーに居た時は、費用はケイン持ち(はあと))
――作らなければいい。
だが、クッキングマシーンで作ったものは、口に合わない。
――シェルター並みに作り替える。
その費用は、何処から出てくる。
あれやこれやと試行錯誤の末――爆発させない。であった。(あたりまえのことなのだが)
「遠い道のりだったわ」
厳しい修行(?)を思い出して、涙が込み上げてくる。
「そうでした」
付き合ったニーナもふと、思い出した。
「こうなるとミリィさんは、もはや向かうところ敵なしってカンジですね」
「そうね――って、敵って何よ?」
「え。それは、まあ・・・言葉のいきおいです」
「なんのことだか・・・」
ふるふると軽く頭を振って、ミリィは現在へと頭を切り替えた。
「それより、レイルはどうしたの?辞めたんでしょう、宇宙警察(ユニバーサル・ガーディアン)」
まだ、顔を出してこない一人を思い出して、ミリィはたずねた。ニーナと一緒に来るのだとばかり思っていたのだ。
「レイルさん、お仕事が残っていらっしゃるんです」
「仕事って、どーせ例のマニアニックなビデオのことでしょ。んなこと、後回しにしたって・・・」
「なに言ってるんですか!」
突然声を荒立てるニーナ。もっとも、根明な声色のせいで、怒っているとはぜんぜん聞こえはしないが。
「ミリィさん!レイルさんの事をどーゆーう目で見てらっしゃるんですか!」
ずいっ。と詰め寄ってこられると、迫力だけは伝わってくる。
「ごめん。そーゆー意味じゃあ・・・」
「それは、副業です。」
「・・・・・・へっ?副業?」
「そうです。」
「じゃあ、本業は・・・」
「私立探偵の方を今はやってらっしゃるんです」
「しりつたんてい・・・・・・」
突然出てきた固有名詞にミリィは、言葉に詰まった。
「なんでまた――」
「別に意外な事じゃないです。多いんですよ、私立探偵への転職者」
「まあ、言われてみれば、似たような職種だけど・・・」
「レイル警部――じゃなかった、レイルさん。情報収集とか得意なんですよ」
昔の口癖が出てきて、ニーナはすぐに言い直した。まだ、昔、自分の上司だった呼び方が時々出てくる事がある。
「へえ〜」
ミリィは素直に感心した。言われてみれば、思い当たる節もあるのだ。
「ときどき、宇宙警察(ユニバーサル・ガーディアン)とか宇宙群(ユニバーサル・フォース)なんかにハッキングしたり、宇宙海賊(スペース・パイレーツ)の宇宙船を爆発した事もあるそうです(はあと)」
「(はあと)はやめて。
ったく、どっかの破壊工作員じゃあるまいし・・・」
まだ来ぬ久しき知り合いは、元気そうであった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回もちょっとは長くできたかな?
オールキャストでお送りできそうです♪
敵さんは、出てこないけど・・・
では、また。

彼方

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6215閃光 目覚める 6 彼方 2/5-16:14
記事番号6059へのコメント

今日は。
どーやら最近は、あまりお待たせすることなく、続けられてます。
前回は、某美少女魔道士と某熱血お姫様が、いたような気が・・・(^^;
では、続きを――

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

閃光 目覚める



「雨。やっぱり降ってきたみたい」
どんよりと曇った空からとうとう滴が零れてきたのは、ミリィとニーナが、キッチンで奮戦していたころだった。
キャナルは、はあっ、ためいきをついた。
「パーティー、外でやりたかったなぁ」
「仕方ありません。天候まで制御する事は、不可能なのだから」
テーブルをセッティングする手を止めて、ヴォルフィードはキャナルへと振り向いていった。レースのカーテンごしに、降り出し始めた滴の軌跡を恨めしそうに、彼女は眺めていた。
「それに、雨が降ろうと中止になるわけではありませんし、たまには、趣向を変えてみるのもよい事です」
ヴォルフィードの言葉に、ちらりと視線をこちらに向けて、キャナルは釈然としないまでも小さくうなずいた。ヴォルフィードは、そんな彼女の仕種に微笑むを禁じなかった。
「それより、ケインはどうしたのですか?」
「ケイン?えーと、確か・・・」
不意にキャナルは、言葉を切った。雨音の中――雨音を遮るように、大きな音が聞こえてきていた。これは――シャトルのエンジン音。
「やっと、最後のお客様が来たみたい」
キャナルは、玄関へと飛び出していった。

送れてきた客は、差し出されたタオルを受け取った。
「失敗したよ。傘くらいは持ってくるべきだった」
肩に届くか届かないかのところで切り揃えられた黒髪の男は、滴が滴るほどでないにしろ、体が雨に濡れていた。タオルでまず、髪を拭く。
「待っててくれたら、迎えに行ってあげたのに」
「迎えに来てもらうものでもないさ」
お下げの少女に礼を言って、彼は、申し出をやんわりと断る。
「しかし、ほんとにチビ――じゃない、小さくなったな。キャナル」
「そう?あなたにあった記憶、ないの。でも、お久しぶり――って、言うのが正しいのよね。レイル」
「どちらでもいいさ。会えた事には変わりはないんだ」
記憶の中の少女が、幼くなって自分に微笑んでくるのに、苦笑じみたもので彼――レイルこと、「レイル・フレイマー」は応えた。

「――で、ケインは何処だ?確か、あいつも小さくなってるって聞いたぞ」
室内に入り、服がだいぶ乾いてきた頃、レイルは見当たらない一人を聞いた。
「あっ、そうだ。ケイン!」
レイルが着いた事を知ったミリィ、ニーナ、ヴォルフィードは、一度顔を見せに来たが、準備がまだなのだと、すぐに奥へと引っ込んだ。ここ、リビングで彼の相手をしているのは、キャナルであった。
「どうした」
出されたコーヒーを口に運ぶのを止めて、言う。
「テーブルに飾る花を取って来るって出ていったまんまだった」
「ずぶぬれだな」
「どっかで、雨宿りしてくれてるといいんだけど――」
キャナルの台詞を聞きながら、レイルはコーヒーを口に含んだ。
――入れたのはニーナか・・・。
覚えのある味と香りにレイルは、破顔する。
「でも、花――ちゃんと摘めたかな?ミリィに誉めてもらうんだって、張り切ってたけど・・・」
「どういう意味だ」
キャナルの言葉にひっかかりをレイルは覚えた。カップをテーブルの上へと置き直す。
「意味って――そのまんまだけど?」
「そのまんま――なんだ、小さくなってもミリィさんにラヴラヴか」
「そっ。でも、前からああだったの?」
「ああだった?」
「べたべたしたり、駄々こねたり、いじわるしたり――」
「いや?そこまでは――しかし、ガキだな」
――見ているだけで、何もしなかった頃よりかはましか・・・
まだ、ソードブレイカーの面々とだましだましあいしていた頃を思い出した。まあ、もっともあの頃は、そんな感情だとは気付く以前の問題だったが――
「そう、ガキなのよ。ミリィ、ぜんぜん気付いてないんだもの。」
キャナルは、呆れ果てた表情でかぶりを振った。不祥の弟に嘆いているといった面持ちだ。
「そういう以前の問題だと思うが?」
「・・・・・・子供――ってこと?」
「違うか?」
「う〜ん。確かにあれじゃあ辛いものあるわね。『男』としては、見てくれないか・・・」
言われて、キャナルはまるで自分の事のように考え込む。
ソードブレイカーのコンピュータープログラムであるキャナルにとって、ケインは、『マスター』である。だが、それ以上に、かけがえのない『仲間』でもあり、『家族』でもあり、大切な『ひと』なのである。そして、ミリィに関しても同じ事がいえる。大切な二人が、幸せであって欲しいと願うのは、何者にも束縛されていない自分の『願い』だ。
一つかけても、自分の幸せは完成しない。
――どうするべきか?
ケインの想いを届けるには、ケインが元に戻ればいい。だが、いまだに戻る方法は見付かっていない。それまでまで、待てば――
ううん。そんなの待ってられない。だとすれば・・・
ポンっ。
「ケインの気持ちが本物だって、ミリィが気付けばいいんだ!」
細かに手を打つ音を合成して、キャナルは、満面の笑みを浮かべて言い放った。
レイルは、ちょうど最後の一口をのみ終えるところだった。ソファーからいきなり立ち上がった彼女を、見物でもするように見ている。
「ってことは、レイル!」
急にレイルの方へと振り向いて、話をふった。
「あのさ、ちょっと頼みごときいてくれる?」
ひらめきに満ちた瞳の輝きに、レイルはなんとなくキャナルの考えている事が分かった。そして――
「見返りは?」
一瞬言葉に詰まったキャナルの返答は、それなりのものだった。まがり間違っても『遺失宇宙船(ロスト・シップ)』のコンピューター。
「OK。話を聞こうか。
まっ、それなりに面白そうだからな」
友情半分、面白半分。
成立した交渉は、密談へと移っていった。

ケインにとって吉と出るか、凶と出るか――――
運命の神様は、意外に身近なところに居るのかもしれない。


つづく

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ああっ!なんだかやっと終わりが見えてきた。(とおもふ;)
気付くと、予告に近い展開ができているかもしんない。( ̄― ̄)
では、またお会いしましょう――

(P.S:んっふっふっふ。ケイン×ミリィになってきた♪)


彼方

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6216続きがいっぱい(笑)ミレーヌ E-mail 2/5-23:12
記事番号6215へのコメント


彼方さん、あなたはいい人だぁ♪
うれしいうれしい、ホントうれしい!(^^)

ケイン×ミリィになりつつありますね!(やっぱこの2人だ(はぁと))
あぁ〜〜〜わたしが続きを急かしてるみたいだ・・・(ーー;
でも、続きが楽しみでして・・・(笑)

なんか毎回感想になってませんね(^^;

次はどうなるのかな?って自分で予想したりして、
待ってるんですよ。毎日チェックしてますし♪(笑)

また続き待ってますぅ♪♪(やっぱ急かしてる(汗))

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6265お待たせ致しました♪彼方 2/10-18:21
記事番号6216へのコメント

お待たせ致しましたぁ――♪続きです。
そんなに長くないけど、ご容赦。
さーて、らぶらぶ度が増してゆく予定でっす。

ケインの決断。
ミリィの想い。
見せ場を持っていくのは、いったい誰だ!(笑)
まだ、ビジネスはビジネスははじまらない!(注:予告風)

では、また来襲〜♪
(って、遅いわぁ――!)


彼方

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6264閃光 目覚める 7 彼方 2/10-18:13
記事番号6059へのコメント
閃光 目覚める



降り止むどころか、だんだんとどしゃ降り模様が強くなってくる空を見上げて、失敗したかなとケインは思いはじめた。
――降り始めた頃に走って帰ればよかったかなぁ・・・
くしゅん。
濡れたからだを抱きしめて、背筋の悪寒から少しでも逃れようと試みる。季節柄、そんなに寒い時期ではないが、やはり体は冷えてきている。
「ったく、キャナルのやろう・・・」
――お花の一つも欲しいなぁ・・・こう、テーブルに飾ったらいいと思わない?
きっと、『ミリィ』も喜ぶとおもうなぁ――
たった一言。
魔法の呪文のようにその『言葉』に引っかかったのである。
それについては、ぐーの音もでないが、雨が降るなら降るの一言くらいあってもいいじゃないかとケインは思わずにはいられなかった。言ってくれれば、雨具の一つくらい用意してきたのだ。
「迎えにも来ないつもりかよ」
大樹の下から家のある方へと向かって、睨み付けた。ここからはかげも形も見る事はできないが、先程、シャトルが一機降りてくるのが見えた。最後の一人がやってきたのだろう。
ケインはため息を吐いて、視線を変えた。少し離れた先に、石碑が見える。
祖母、アリスの墓石だった。
その前には、幾輪かの花が添えられている。
「ばあちゃん。あの花、好きだったよな」
供えた花と手元にある同じ花を見比べた。数え切れないほどの滴を携えている。
「ミリィも好きだよな。この花・・・・・・」
数日前。そう、あの時目覚めたあとにもここに来た。ミリィとキャナルとヴォルフィードと一緒に――
その時も同じようにあの花を供えた。
白い――小さな花を・・・・・・。
ミリィは言ったっけ。
『わたしもこの花、好きよ』
おかしな感覚だった。
大好きだった祖母が死んだのは、そんなに昔ではないと記憶している。それなのに――墓石は、幾年も雨風にさらされていた。ずっと、だいぶ前なのだと、ヴォルフィードが言った。
答えはしなかった。
認めるのが嫌だったわけではない。
すぐ隣にミリィがいた。
似ていたのだ――彼女は。
何処がどう似ているのかは上手く言葉にする事はできなかったが、似ていると思った。だから、悲しくともさびしくはなかった。
『まあ・・・いちよう、親戚になるからかな?』
そう言ったとき、複雑な表情で答えたくれた。
『ミレニアムは、貴方のはとこにあたるのです』
ヴォルフィードが、そう注釈してくれた。
似ていると思った人が、祖母と同じ花を、好きだといった。
思いを寄せた。
似ているようで、決して違う思い。
――目覚めた瞬間、生まれた『想い』。

「ばあちゃん――おれ、強くなりたいよ」

遠くから近づいてくる車のエンジン音を、ケインは捕らえていた。


つづく

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ちょっと遅くなってしまいましたが、つづきです。
今回は、そんなに長くできませんでした。(^^;
残りは、できれば『10』までには終わらせたいです。
では・・・

彼方

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6266待ってました♪♪ミレーヌ 2/10-19:59
記事番号6264へのコメント


どもどもぉ〜!
わたしは気長にまってますよ、気長にねぇ・・・(笑)

ん〜〜〜続きが気になるとこできりましたね(^^;
早く読みたぁ〜〜い!(上の言葉と違うぞ)

さて、どうなるんでしょう(^^)

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6282閃光 目覚める 8彼方 2/12-18:07
記事番号6059へのコメント

閃光 目覚める



「感謝しろよ。ケイン」
そういって、運転席に座った男は言った。ケインは、答えを返さず、ただいぶかしげな視線だけを向けた。
「タオルは後部座席だ。ちゃんと拭いておかないと、風邪をひくぞ」
促されて振り返った所にそれを見つけた。だが、それには手を伸ばさず、ケインは口を開いた。
「おまえ、誰だ?」
好意などどこかにおいてきたような口調で、睨み付ける。
「あっ・・・。そういえば、知らなかったんだよな」
じぃっ。
「レイルだ。レイル・フレイマー。
聞いているだろう。ミリィさんから――」
「――一応」
口調は変わらない。相手の男を斜め下から、仏頂面で視線だけで捕らえている。
「それにしては、警戒しているな」
「別に」
言い放つと、ケインはふいっと視線を窓の外に向けた。雨が窓をたたく。ガラスの上を流れる水滴で、おかしく歪んだ風景が動いていっている。
「・・・・・・ふーん。もしかして、嫉妬か?」
ぴくぅ。と、あからさまなほどの面白い反応だった。
ケインは、初めてその男――レイルの方へと、顔ごと視線を向けた。その瞳には、これ以上にない敵意に満ち満ちていた。
「図星か。まっ、お前と俺じゃ、話にならないだろうがな」
「どういう意味だ!」
噛み付かんばかりにケインは吠えた。
つかんだ花束をこれ以上にないほど、握り締める。
レイルは、冷笑を浮かべて、正面を見据えていた視線を、ケインへと促した。侮蔑としか思えないほど、人をくった仕種。ケインは、運転さえしていなければ、すぐにでも殴り掛かりたかった。
しばらくは無言で、視線を交わし合っていた。先にそらしたのは、レイル。
一言、囁くように言い放った後に――
「お前に、何が出来る?」

貫かれるような一言だった。
何も、言い返せない。
言い返す事は、できない。
それは、現実(ほんとう)のことだ。

「おれは、何も出来ない」

「何も――か?」
言葉だけが、レイルからは向けられている。
ケインは、顔を隠すようにうつむいて、唇をかみ締めていた。
「何が――何をしたいんだ?お前は。
ミリィさんを守りたいのか?」
ケインは、うなずいた。
守りたい。
「それは、余計なお節介だ」
「どうしてだ?」
「ミリィさんは、お前の隣にいたいからさ。
守られていたら、後ろ姿しか見る事ができない――違うか?」
おもむろにケインは、レイルを見上げていた。
正面を見据える横顔は、真剣な顔だった。
「これ以上、待たせる気か?ケイン――」

それから、無言のうちに家へと辿り着いた。
だが、ケインは花を握り締めたまま、雨の中を立ち尽くしていた。


つづく

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来週じゃなかったです(^^
短くて、よく分かんないな話になっているような気がするけど・・・
「10」までには、終わらせるつもりなんだけど、終わるかなぁ?
それじゃあ今度こそ、また来週♪

――来週には、終わりますように――(切実)

彼方