◆−閃光  目覚める   9 −彼方(2/15-15:50)No.6320
 ┣おぉぉ!−ミレーヌ(2/17-15:05)No.6332
 ┃┗おわりました。−彼方(2/19-17:32)No.6336
 ┗閃光  目覚める   〜エピローグ〜 −彼方(2/19-17:27)No.6335


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6320閃光 目覚める 9 彼方 2/15-15:50


があぁぁぁん。
ツリー・・・なくなってました(;;)
早く終わらせなかった自分が悪いんですけどねぇ――(TへT)

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閃光 目覚める



それは、ケインとレイルが戻ってくるほんの少し前だった。

鳴り続ける雨音を背に、一人、ミリィは席についていた。
テーブルにひじを突き、その手の甲に顎がのせ、やや伏せがちな瞳は、何もない空間をただぼんやりと眺めている。
おもむろに、側にあった皿の上から一つ、から揚げをつまみ口へと放り込んだ。
やや冷めているものの、なかなかの味。『宇宙一』を自負する腕前なのだ。美味しくないわけがない!
――が。
なんか、物足りない・・・。
文句付けようのないはずなのに、ミリィは満足いかなった。知らず、ため息が漏れてくる。
「あ――!ミリィさん。何つまみ食いしてるんですかぁ!」
声に、ミリィは顔を上げた。
ニーナが、部屋の入り口を入った所で、両手を腰に当ててにらんでいた。
「レイルさんとケインさんが返ってくるまで駄目だって、自分で言ってたでしょう!」
「えっ1あ――そうだった・・・ごめん。ちょっとぼんやりしてて――」
「ごめんじゃありません!もう――」
「ん――」
ミリィの返事は、思ったよりも弱かった。それなりに腹を立てていたはずのニーナは、意気がそがれるほど。
「どうしたんですか?ミリィさん――どこか、お体の調子でも悪いんですか?」
お薬でも持ってきましょうか?――そう続けるニーナの申し出を、ミリィはやんわりと断った。
「でも――」
「ミリィ。ニーナ。ケインたち、帰ってきたみたいよ」
それでも不安げなニーナを遮るかのように、キャナルの声がわって入った。それとともに、姿がミリィの側に現れる。
「ちょ、ちょっとキャナル・・・」
「ホントですか?キャナルさん!」
「そーよ」
「わたし、お出迎えしてきます♪」
ハートを飛び散らせながら、ニーナは踊っているにしかみえないようなスッテプで、玄関へと去っていった。
「げんきんねぇ。ニーナ。さて、わたしも出迎えに行こうかな」
ケインをからかいに行こうかな?
と、言っているようでもあった。いや、そう言っているのも同じだろう。
「ミリィは?」
「後で行くわ」
「そっ」
そう言うと、キャナルは入場とはうってかわって、歩いての退場。入れ違いに、ヴォルフィードが食器の乗ったトレイを持って入ってきた。
「ケインたち。帰ってきたようですね」
いいながら、トレイをテーブルの上に置いた。ミリィは、視線を窓の外に移して言葉を返す。
「ミレニアム」
ヴォルフィードは、やんわりとした口調でミリィの名を呼んだ。
そう、呼んだ。
「全ては、貴方次第なのです。
今の自分に、捕らえられる事こそが、愚かな行為――」
「それって・・・・・・」
――どういうこと?
そう、つなげるつもりだった。何を言いたいのか分からない。と・・・
けれど、彼女の口調も瞳も、全てを見透かすように自分に向けられている事を、ミリィは分かってしまっていた。
ふうっ。
「そうね。そうかもしれない」
そう言って、ミリィは目を閉じた。


「ったくぅ、何考えてんの!ケイン!!」
ずぶぬれになったケインにバスタオルをかぶせて、ミリィは叫んだ。
「今日が、何の日か分かってないの!」
「知ってる」
与えられたタオルを頭からかぶったまま、ケインはうなずいた。その声には、出かける前ほどの元気がない。
「ケイン?」
おとなしすぎる。
いつもとのギャップに、いささか不安を感じたミリィは、ケインを覗き込むようにかがんだ。
「どうしたの?熱でもあるの?」
ミリィは言いながら、うつむいてタオルの陰に隠れている顔を伺うように顔を傾げて、右の手のひらを額に当てようとした。
いきなりだった。
ばしっ。
ケインは、ミリィの手を払いのけていた。
「子供扱いすんな!おれは――!」
手を払った時にタオルが落ち、ケインの顔がはっきり見て取れた。
真剣な表情だった。
真摯な双眸は、まっすぐにミリィにすえられた。
「おれは、ずっと強くなりたかった。
強くなれば、ミリィを幸せに出来ると思った」
「ケイン・・・・・・」
「誰よりも強くなって、ミリィを守ろうと思った。
おれは――
おれは、ミリィが好きだから」
聞きたかったのは、その一言。
ミリィは、静かに頭を振った。
「わたし。守ってもらえなくていい。
守られてばかりいるのは嫌。
せっかく二人一緒にいるんだもの、どちらか一方でなく、二人で分かち合っていきたい」
瞳が潤んでくるのが分かった。一瞬でも気をぬけば、零れてくる。けれど、まだだ。まだ、すべてを言えてない。
「それに・・・わたしは――」
ミリィとケインの視線が絡み合う。それぞれの視界が、愛しいものに埋め尽くされていた。
「もう、待っているのは嫌」
たった数ヶ月。
それなのに、一人でいるのが苦痛だった。一緒に居た時が楽しければ、楽しいほど、独りが浮き彫りになってきていた。
待っているのは、苦手。
待っているのは、嫌。
――独りは、嫌。
「独りにしないで。側にいて――隣にいて」
今度は、零れるのを禁じなかった。
今までためていたものを、言葉と涙と一緒に全てさらけ出す。
自分が、こんなに弱いとは思わなかった。
ミリィは、知ってしまっていた。どうしようもない、『想い』に――
「・・・・・・・・・・・・」
無言で、ケインはミリィの頬に手を当てた。
「ミリィ」
自分の気持ちも、ミリィの気持ちも、ようは一緒なのだ。
どうすればいいか?
言葉で足りない気持ちの現し方は――
たくさんある中で、ケインはひとつ、自分が今思いつく中で、一番だと思いつくものをしていた。
ミリィには、それが一瞬、なんなのかはわからなかった。
分かったのは、再びあの『言葉』をケインが紡いだ後だった。
「おれは、ミリィが好きだ」
真っ赤だった。ケインの顔は。
――ミリィの唇にケインのそれが重なった。触れた程度であったにせよ、それは、『キス』だった。
「側に、いて欲しい」
嬉しかった。嬉しくて、嬉しくて言葉が出なかった。
ミリィは、それを閉じ込めたくて、瞳を閉じた。
この瞬間を永遠に変えてしまいたかった。
ケイン。

「ミリィ」
――えっ!
『愛しい』声が、彼女を呼んだ。
嘘。
「ミリィ」
再び呼んだ。そして、頬が覚えのあるぬくもりに包まれた。
「ミリィ」
この現実が、幻にならないように祈りながら、おそるおそる瞳を開ける。
いた。
『彼』が。
自分が一番知っている、顔。
帰ってくると約束してくれた、声。
「ただいま。今、帰ったぜ」
「おかえりなさい。ケイン」

二つの思いが重なった瞬間、約束は果たされていた。


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エピローグへ ――→

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くうぅぅぅぅっ。やっとここまできました。
それにしても、はずい(^^;
嬉しいんですけど、やっぱりはずい!!
顔から火が・・・。

今回、ちょこちょこっと(・・・か?)おかしな所がありましたが、話は通じ出ると思うんで「Ok」ですよね?

では最後、「エピローグ」で完結っす。


彼方





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6332おぉぉ!ミレーヌ E-mail 2/17-15:05
記事番号6320へのコメント


いやぁぁぁぁ!ついに、ついにやりましたね(笑)
ケイン君、復活!ミリィよかったねぇ〜(しみじみ)
ちびっこケイン君、普通の子に比べるとませてるな(爆笑)

ん〜〜やっぱ、ケイン×ミリィにかぎるなぁ♪
最近、わたしのネット仲間の子達がケイミリサイトのHPを開いてるんですよ。
そのうちの2人は小説も載せてます!もちケイン×ミリィで(^^)

で、わたしが入り浸ってるケイン×ミリィサイトは、
ほしみゆーきさんのHPです。そこにはなりきりチャットっていうのが
あって、わたしはミリィやってるんですよ。ケインとミリィがラブラブな
チャットです♪(爆)

とうとう、最終回なんですねぇ・・・うれしいけど、寂しいなぁ・・・
なんかまた感想じゃないけど、このへんで(^^)

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6336おわりました。彼方 2/19-17:32
記事番号6332へのコメント

ケイン×ミリィな世界。
ああ、いいかもしんない。
やっぱり、このふたりですよねぇ♪
ふふふふふふふふふ。(怪しさ大爆発?)

長い間有り難うございました。
では、また。
ごきげんよ〜〜♪

彼方

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6335閃光 目覚める 〜エピローグ〜 彼方 2/19-17:27
記事番号6320へのコメント

エピローグ

「・・・・・・ばーか。」
痛烈なセリフに返す言葉はない。
事実無根なら、何がなんでも言い返す。だが、今回だけは、何を言っても意味を成さない。下手すれば、ますます煽ってしまうだけだ。
「一体、なにやってたのかしらねぇ〜。ま、馬鹿じゃないって事は証明された――というか、ますます馬鹿だって、認めたようなものよねぇ」
その科白を言ったのは、年の頃なら十代後半。不思議な色合いの髪をお下げにして、宝石のような一対の瞳を持った少女。フリルのすいたエプロンを彼女は着けていた。
「馬鹿馬鹿って、枕元でいうんじゃねぇよ。余所で言ってくれ」
「そーお?じゃ、影でこっそりネットに流しちゃおっかなぁ♪」
「やめてくれ。それだけは・・・・・・」
枕に顔を埋めたまま、ケインは起き上がる気にもなれなかった。ついでに言うと、少女――キャナルに話し掛けられるのでさえ嫌だった。
「俺は、病人だ。静かにしてくれ、キャナル」
39.7℃。風邪だった。
「そーよねぇ。濡れたからだほっぽいといたら風邪だってひくわよねぇ」
「うぐぅ」
「一体なにをやってたのかしらねぇ〜」
別途の縁に腰をかけて、何やら意味深な視線をキャナルはケインへ投げかける。
「・・・・・・・・・・・・」
「なーにやってたのかなぁ(はあと)」
突っ伏したまま、顔を上げないケインに、キャナルは傍までよっていって囁いた。うめくような声だけが返ってくる。
「別に――いっとくが、おまえの思っているような事は、やってないからな」
疲れた声を絞り出すように、ケインはやっとの思いで返した。キャナルは無論の事――「へぇ〜」とか「そ〜なの」と、にやにやと笑っていた。
「楽しいか?こんな俺をからかって――」
「もちろんよ♪」
ケインは、涙するしかなかった。

「あっ。レイルとニーナ、仕事があるからって、ケインが寝ている間に帰りました。そのうち、また来るって」
「・・・・・・・・・・・・」
ふてねでもしたかな?
うつ伏せで寝たままで、いっこうに動く気配が無かったので、からかうのは又の機会にして別の話に振ったのだが、ケインからはいっこうに返事はなかった。
「ケイン〜。寝ちゃったの?」
「・・・・・・・・・・・・」
「――ミリィがねぇ、特性のおかゆ作ってくれるって♪」
ぴくっ。
『ミリィ』の言葉にケインが反応を見せた。
「ずいぶんと張り切って――」
どおぉぉぉぉぉん。
突然の爆発に家全体が揺らいだようだった。壁にかけていた鏡とキャビネットの上のかびんが今ので床へと引き寄せられた。
「――張り切りすぎちゃったみたいね」
「――ミリィ〜」
風邪からくる頭痛と体のだるさに加えて、胃の痛みを覚えるのは、決して勘違いではないとケインは思った。

「ケイン〜(はあと)ミリィ特性おかゆよ♪」
「何で、キッチンが爆発するんだ。直ったんじゃなかったのか?」
キャナルと入れ違いで入ってきたミリィの言葉に、ケインは無視してうめくようにいった――実際、あまりの頭痛にうめいていたが・・・。
「直った――って、人を病人扱いしないでよ」
ミリィはいいながら、おかゆの入った鍋をトレイに乗せて、ケインの傍へと寄った。見事といおうか、しっかりと装甲スーツを身につけて、エプロンを着けていた。
「だけどなぁ〜」
「別にいいじゃない。これが、わたしなんだから」
「――――あんまりいいとは思わんが」
ベット突っ伏しているしか脳のないケインは、視線だけで彼女を見上げた。最上級ともいえる微笑みを彼女は浮かべている。
「給料から差っ引くからな」
「ケイン(はあと)はい、あーん(はあと)」
ケインのセリフに汗を一筋流して、ミリィは逃避する。
「やかましい。」
「あーん、ひどいぃ。せっかくの私の気持ちをふみにじるなんてぇ〜」
「それとこれとは話は別だ!」
二つのこぶしを口元に当てて、いやいやするミリィををケインは一蹴する。その勢いで起き上がろうとしたが、目眩で再びベットの住人に返り咲き。
「くー。風邪が治ったら、根性いれなおすぞ!絶対」
「根性で何とかなるんなら、最初っからその姿で帰ってきてよ」
ケインのぼやいた決意に、ミリィの呟きは溜め息の中に消えていった。


END

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おわったぁー!
長かったっすよ〜〜(^^;
最後までお付き合い下さった方、ありがとうございました。
では。

P.S
ちなみにこの話の副題(サブタイトル)は、「かえるのおうぢさま」♪
もしくは、「いばらひめ」♪でした。

彼方