◆−スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達めちゃめちゃお詫び+18歳刑事(再掲示、ね)−めなりん(3/2-06:35)No.6389
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6389スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達めちゃめちゃお詫び+18歳刑事(再掲示、ね)めなりん E-mail URL3/2-06:35


みなさまぁぁぁっ!
いつのまにか2ヵ月が過ぎておりましたっ!!
(いつのまにかって…)
すれまぞ、覚えてる!?
(わっすれってるー!!!!!)
やっぱり?
(もっちろーん!!!)
じゃ、1から掲載し直そうかな?
(それは容量の無駄ー!!!一坪様に怒られるぞー!!)
じゃぁどこから掲載しよう??
(それは自分で考えろよー!!)
キリのいいとこなんてないしー
(考えて書けよ馬鹿ー!!)
じゃぁ18まで投稿してたから、18から再掲示して、そこから続けよう!
(そーすれば?)
そーします。

というわけで、2ヵ月も遅れてすいません(^^;
今現在22まで仕上がって、23かいてたりする。てへへ(をい)

☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ

18なのよねぇん(はぁと)

「…く、くりすっ!?」
アストラルサイドで、行き倒れになっているクリスをセレスが見つける。
「せ、せれす…だずげで…」
「言われなくても助けるわ!いったい何があったの?」
そう言いながら、セレスはクリスを抱き起こす。
「どーもこーも!日記にしかと書き留めてやったわ!!聞いてセレス!!」
と、意気込んでからはっとして、クリスは言葉を飲んだ。
べるるんに攻撃されたと言われて信じるセレスだろうか?
「どうかしたの?」
「いやいやいやいや!!!!べ、べっつにぃ!?」
思わず視線をそらす。
それがかえって逆効果だったのか、セレスはむっとしてしつこく聞きまわす。
「くりすっ!日記見せなさい、一体何があったの!?」
お母さんのような口調で言い放つセレス。
「…わかったわよ。はい、日記」
懐から出された日記を読み、セレスの顔は真っ青になる。
「…なんて書いてあるの!?」
「悪かったわね、字がきたなくて!!」
「そうじゃないわ!こんなことべるぜ様がするはずないじゃないっ!!」
言い捨てて、セレスはどっかへ走り去る。
「…助けてくれるんじゃなかったのぉ?」
クリスの悲痛な呟きが、その場に残った。

「ちがうちがうちがうちがうちっがぁーーーーーーーーーーーーーーーう!!!!!!」
ぼふっ!!
意味不明なことを叫びながら、あたしの背中にぶつかる魔族。
「だぁぁッ!うっさいわねぇ!…って。
あんたって、もしかしてセレスとかいう…」
あたしは後ろを振り向いて、その見覚えのある顔に尋ねる。
…その顔といったら、涙がぼろぼろと零れ落ちて、見てるだけでも美味しそうな負の感情。
「ゼラスさんっ!ぜらすさぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」
「うひゃぁぁ!?」
いきなしあたしの名前を呼び、彼女はあたしに抱き着いてくる。
「な、なに!?どうしたの!?」
あぁぁぁ、なんか、また変なトラブルに巻き込まれてるッ!?
「べっ…べるぜ様がぅあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ぴくっ…
べ…べるぜですってぇぇぇ!?
あの忌まわしいっ!あのべるぜっ!!!!(あぁすいません(泣)
せっかくこないだ、馬鹿めなりんで3分間クッキングをしていたところをぷっつぶした!
あの!!あの蠅!!!!!!ツエツエバエ!!!!!!!!!!
「べるぜがどーしたのっ!?」
あたしの剣幕に押されたか、セレスは肩を震わせて事情説明。
約10秒
「クリスを身ぐるみ引っぺがして金貨奪ってアストラルにぽい捨て!?」
「そうなんですぅぅっ!あぁぁぁっ!私もされたかったのに!」
をい、そうだったのか?
それはともかく…
「悪虐非道許すまじ!!あたしが片づけてきてやるわっ!」
あの時の蝿さん攻撃の恨みは、まだ消えてはいない!!
ふはははははは!!!ついに!ついにあいつをコエダメに陥れる時がやってきたか!!!!!!!!
注:コエダメ=とりあえず汚いもの。食事中の人に申し訳ないため、意味は極力控えめ。
そして、あたしは一人、猛ダッシュであいつらのところへ向かった!

「みつあみで、割とスポーティーなカンジの少女なんだけど」
「ここらへんでは見ないなぁ、そういうのは」
K伯爵の問いに、魚屋のにーちゃんはそう答えた。
ティナさんを探して早や三日である。
めなりんは邪将軍にやられた両腕両足がこたえるらしく、少し宿屋で休み中。
「何しろ、俺は封神演●の方の住人だからっ!ちなみに名前は楊文立!!」
なぜかカメラ目線でガッツポーズをとる魚屋のにーちゃん楊文立。
「そんなこと聞いてないんだけど…」
しらけて言うK伯爵。
「とにかく、ここいらの海ではそんな魚はみないぞ」
「魚じゃないぃぃっ!!!魚じゃない魚じゃない魚じゃない!!」
力を入れて否定するべるるん。
「え?みつあみでスポーティーな魚じゃないのか?」
そんなのいるわけないだろ…
K伯爵、心のツッコミ。
「女だってば…」
あきれた口調で言うべるるん。
「そうか、メスの魚か!」
ちがうって、にーちゃん。
「人間だって言ってるでしょ!?に・ん・げ・ん!」
「なにぃ!?魚が人間に…ということは人魚!!?妖怪仙人っ!!?」
K伯爵の必至の叫びも、この男の前では無駄のよーである。
「もういーよ、K伯爵…」
あ、べるるん既にあきらめてるし。
「わかったわ…ありがとね、にーちゃん」
とりあえず、魚屋を離れる二匹。
季節は冬真っ只中。マントが恋しい季節である。
「どこにいるのかしらね、ティナは…」
K伯爵のつぶやきに、べるるんは大きく溜め息一つ。
と、その時。
どんっ!!
べるるんの背中に、柔らかいものがあたった!!
「いったぁっ!」
「あ、すいませんっ!」
謝ってから走り去る、その美少女。
歳はよくわからなかったが、赤い目が印象的な少女だった。
「ちょっとべるるん、何やってるのよ!」
いきなり怒り出すK伯爵。
「何って…」
「今の、スリよっ!」
…。
「あぁぁぁぁぁっ!デモン・ブラッドもろとも全財産がないぃっ!」
「追うわよ!あの女!!」
言うが早いか、K伯爵は既に駆け出している。
べるるんの足は宇宙一の速さである。
K伯爵の推理通りに道を辿って行くと、そこにはあの女!!
「見つけたーーーーーーッ!!!」
がしっ!
腕を引っ掴むべるるん。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!す、すいませんすいませんすいませぇぇん!!!」
女はシドロモドロに謝る。
「そんなのはどーだっていいわ!!デモン・ブラッドと金は!?」
K伯爵の叫びに、少女はびくぅっ!と体を震わせる。
ふるふる。
…そして首を横にふる。
「え?」
「…あの石、古物商に売っちゃいました」
二匹は石化した…――
「す、すいませんっ!お金はかえします!!だから、お役所だけは勘弁…」
「するわけないでしょ!?人の大切なもの奪った挙げ句、古物商に売っただぁなんて!」
許しをこう少女に、目を真っ赤にして怒るK伯爵。
「古物商に取り戻しにいこーよー…」
あきれた顔で言うべるるん。
「その前にこの子をとっちめないと、気がすまない!!」
「この子とはなんですか!これでも、卍里っていう立派な名前が、あたしにはあるんですッ」
「人のものスっといて威張って名を名乗るんじゃないっ!」
べし。
K伯爵の張り手をモロに受ける卍里。
しかし撃たれ強いのか、平気な顔で
「お母様がつけてくれた大切な名前です!」
「だぁぁぁっ!それで古物商はどっち!?」
まだ赤く燃え滾った眼のままで、K伯爵は問い詰める。
そしてほどなく、二匹が案内された古物商の兄ちゃんはこう言った。
「あぁ、それなら2つ程、売れちゃいましたけど」
がびーん!!
K伯爵、本日2度目の石化。
古物商の兄ちゃんは、その顔を蒼くして、K伯爵に残っていたデモン・ブラッドを渡す。
「確か、セイルーンの道具屋さんだったと思いますけど…
私はリュカっていうんですけど、私の名前を言ってお金を渡せば、帰してくれると思いますから」
リュカ店員の言葉に、K伯爵は目の色変えて訴える。
「ちょっと待ちなさいよ!それって買いとる、ってことじゃない!」
「その通りですけど…今更返品しろっていうほうが無理難題ですし」
確かな事をいうリュカ店員。
しかたなく、K伯爵は目の赤をひっこめて、腕を組んで考えはじめる。
「お金を出さないで返してもらう方法はないのかなぁ…?」
呟いたK伯爵に、リュカ店員は困りながらも提案をだす。
「そうですねぇ…向こうで働いて、その分を稼ぐとか」
同じだって、にーちゃん。
「…なるほど」
「え?なにがなるほど?」
納得するK伯爵に、慌てた様子で問うべるるん。
「もしかして、稼ぐっていうんじゃ…」
「ふっ、勿論よ…人の子としてね…」
…人じゃないって…(ばきっ)
苦い口調で…しかし笑みを張り付かせて言うK伯爵。
「めなりんに稼いでもらう!!」
バッグに波立てて叫ぶK伯爵!
あ、リュカ店員こわがってる。
「駄目だよK伯爵、両足と両腕ないんだから…」
つっこむべるるんに汗するK伯爵。
「ならべるるんどーにかしなさいよぉ!あんたが悪いんだからぁぁぁっ!!」
叫びながらK伯爵は、べるるんの襟首ひっつかんで、かっくんかっくんやりはじめる。
「わ、わかった、わかったからっ…揺さ振りはっ…やめっ…ぶくぶくぶく…」
完全に泡をふいて気絶したべるるんを、なおもゆさゆさしながら、K伯爵はキッ!と卍里を睨みつけ、
「あんたもよ!あんたも!!あんたが一っっっっ番悪いのよぉーーーー!!!」
放心したべるるんを捨てて、こんどは卍里に揺さ振りをかけはじめる!
「わ、わかってますっ…わかっ…あぐっ…っぷはぁ…」
その時すでにリュカ店員は逃げ去っていた……

夕方、宿にて。
「せーるーんのどーぐや?」
おれんぢじゅーすなどを飲みながら、左腕が復活しためなりんが聞き返す。
その前には、目を真紅に染まらせているK伯爵と、まだ放心状態のまま幽霊の様に座ってるべるるん。
そして、見慣れない顔が一つ。
卍里である。
逃げ出しては大変、と、K伯爵が宿までひっぱってきたのだ。
「そう。そこで3日くらいべるるんと卍里が働くのよ。その間、あたし達はショッピングっ!」
何か目的が違っている気がする…
「んー、あちし、やな予感がするからやめるぅー★」
「やめるやめないの問題じゃないの。あんたはついてくるだけでいーんだから…」
あ、幽霊が口きいた。
…って、色がぬけかけてますよー、べるぜさーん…
「どうしてわたしがセイルーンの道具屋なんかで働かなきゃならないんだ…」
…なんか呟いてますが唇が青ざめてますよー…
「天命」
K伯爵の冷たい言葉に、べるるんはがっくぅ…と首を垂れる。
まだなにかぶつぶつ言ってるが、聞き取りにくい為カット★
「とにかく、セイルーンはここから近いことだし、明日行ってみるからね」
「ふーん、それでそこの目が赤い人誰?」
めなりんの不本意な言葉に、一同はめなりん抹殺計画を企てたのだった。

「ここが、セイルーンの道具屋ですよ」
卍里の案内で来たのは、裏路地にある、割と小さい道具屋だった。
「セイルーンの道具屋って、他にもなかったっけ?」
「でもここの道具屋さんだけなんですよ、あの港町に来るのは」
なるほど。
どーやら店長、かなりのアイテムマニアらしい。
あの小さな港町、ああ見えても道具に関しては文化が発達しまくっている。
…が、それは表向きに発表されていない。
盗賊が出たり、研究が盗作される心配があるからだ。
まぁ、かなり名の売れている魔道士ならばそんくらいのことは知っているはずだが。
一地方ではレイ=マグナスも一度来たことがある…というマユツバものの伝説まである港町なのだが…
K伯爵の目が一瞬光る。
…さては、何かお目当てのアイテムを探そうとしているな…?
べるるんはそう読んだ。
「さて、いきましょうかっ!」
K伯爵、声がうかれてる…
そんな些細なことはともかく、いざ中に入ってみると、超レアアイテムの数々が棚にぎっしり!
はっきりいって、表からじゃ想像もつかないようなものばかりだ。
――…あ、K伯爵目がうるんでる…
「いらっしゃいませ〜」
しかし予想に反して、出てきたのは男の子。
歳は11歳くらいだろうか。姿形はいたってフツーの村人Aである。
「…あ、えーと、店長さんは…」
にっこり笑って聞くべるるん。
その裏に悲しみがこもってる…
「僕です」
……
「嘘でしょ?」
にこにこ顔のままで脅しにかかるべるるん。
その左手には既に魔力が込められている。
しかし少年は微動だにせず、きょとんっと
「ホントです」
……
「そ、そうなの?あ…あはははははっ!」
から笑いしながらも、内心K伯爵はほくそえむ。
――子供相手なら舌先三寸でなんとかなるわっ!
「無駄ですよ」
K伯爵の心を読み取ったかのように、いきなり卍里が言った。
「え?無駄って?」
呆気に取られて聞き返すべるるん。
さては、同じ事を考えていたな…?
「セティ君はそう見えても頭はいいですから。こないだもだまそうと思って逆にだまされましたよ」
ひゅるるるるるるるる…
セイルーンの道具屋に、寒い風が巻き起こった…

約20秒。
一番はやく我にかえったK伯爵が、少年セティに尋ねる。
「えーと、こないだここの近くの港町で買った赤い石…おねーちゃん達にくれないかなぁ?」
優しい御姉様をよそおうK伯爵。
しかしセティはきょとんとしたまま言った。
「盗賊さんですか?」
べしっ!
K伯爵、怒りの鉄拳!
「痛いですっ!図星なんですかぁっ!?」
殴られた頭を抱えながら、半泣きで訴えるセティ。
あーぁ、可哀相に(自爆)
「違うに決まってるでしょーに!あたし達はただの一般市民よ!!」
「どーどー、K伯爵おちついて…」
ガッ!
止めに入っためなりんが、有無を言わさず肘鉄で倒れた。
しかし、そこに意外な一言が響いた。
「あ、めなりん?久しぶりー」
「ほぇ?」
……
「知り合い…なの?」
K伯爵の言葉に、めなりんはこっくりうなずく。
『ぴぃ〜んぽぉ〜んぱぁ〜んぽぉ〜ん♪』
…と、いきなり聞こえる効果音とともに、スポットライトに照らされて、人影が浮かぶ!
皆様の予想に反したか反していないか、現れたのはスポットさん!
さては作者、スポットライト=スポットさんと浮かんだのか!?(違いますッ!失礼な!by作者)
「ずーーーっと前、まだ魔族三匹が出会っていない頃にさかのぼりますッ!
めなりんは『なんとなく』この道具屋で、まだ小さいセティさんと、そのお母様と出会いました!
それから4年!!なんとなく足を運んでみれば、あの日7歳だったセティさんが店長!!
とゆーことはお母様はどうなった!?どうなったんだ!?とゆーわけで解説はスポットでしたー!!」
「スポットさーん、ばいばーい」
いつのまにか我に返ったべるるんがご挨拶。
ぴぃ〜んぽぉ〜んぱぁ〜んぽぉ〜ん♪
「…ってわけで、マミーはどしたの?」
いきなし本題に入るめなりん。
「マミー=ミイラ…」
すぱこぉん!
K伯爵の明るいボケに、べるるんがつっこむ。
そして。
「母はこの間、あの山で暴走した馬にひかれて…」
…ぴきぃぃん…
…その場が一瞬凍りつく。
暴走した馬…って、もしやこのシリーズの1&2での『あの』出来事の時なのでは…?
「…あぁ、父が弁当を忘れなければ…」
一人瞑想に入るセティ。
「ま、これで身柄は保証できたとして…リュカさんに売ってもらった石なら手元にあります」
会場:おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!!!
「…なに?今の会場って…」
真顔でツッコミをいれる卍里。
「その場の雰囲気の盛り上げという奴よ」
真顔で返すK伯爵。
「でも、こっちだって高いお金を出して買い取ったんですから…
ここで働くと言うと思いますが、そうなると丸一週間働いてもらいますよ?」
…にやり。
K伯爵がほくそえむ。
べるるんはそれを見逃さず、K伯爵を睨み付ける。
「あたしとめなりん以外のがアルバイトするわ。それじゃ、あとよろしくー」
めなりんの左腕を引っ張ってずりずり引き摺り、K伯爵は道具屋をあとにする。
…どうやら、K伯爵御目当ての品はなかったらしい…
「ま、そういうわけで。わたしがべるぜで、こっちが卍里だから」
死ぬほど嫌そうな顔をして自己紹介するべるるん。
「はぁ、それじゃ、てきとーにやってください。そんなに人もきませんし…」
…意味ないじゃん…
内心呟く卍里。
「じゃ、奥の部屋にいるんで、なんかあったら呼んで下さい」
「わ、わかった…」
まだかなしげな顔をして、それでも了解するべるるん。
セティはさっさと奥の部屋へいってしまう。
「そろそろ開店時刻なんじゃないですか?べるぜさん」
卍里が近くの時計を見て言った。
今はまだ朝なのである。
「そーだねー…!?」
複数の気配!?
「危ない、卍里!敵は扉の向こうだ!!」
咄嗟に叫ぶべるるん。
卍里は何が起こったのかわからず、とにかく逃げ惑う。
そして、荒々しく扉が開いた!
ばたぁぁぁんっ!
そこに現れたのは…!!?
「…お、おばさん軍団…」
目を点にして言う卍里。
「これをもらうザマス!!」
「あたいはこれね!!」
「わたくしはこちらをいただきますわ!!」
ぎゃーぴーぎゃーぴー!!!
「だぁぁぁぁぁっ!なぁにが『そんなに人もきません』だ、あのあんぽんたぁぁんッ!!」
カウンターに並ぶ行列に、さまざまなアイテムを押し付けられて、べるるんはそう叫んでいた。

一方K伯爵は、セイルーンの表通りで御買い物。
めなりんは近くの路地にダンボールに入れて捨てたので、思う存分買い物ができる。
ちゃんと『誰か拾ってやって下さい。シベリアンハスキー、♀、2歳』と書かれている。
「あ、おにーさぁーん、これと、これと…あ、そっちもちょーだい♪」
「はい、毎度ー」
「ごめぇん、それもくんないかなー?」
「勿論。可愛い子にはサービスしちゃうよ〜」
「きゃっ、サンキュー★」
…あぁ、K伯爵楽しそう…

「…べるさん…遠くでカラスがないてます…それは金貨3枚ですお客様…」
「わたしはべるさんじゃないっ!口動かしてないで手を動かせっ!」
涙する卍里に、もうヤケクソになっているべるるん。
「こっちちょうだい、これもちょーだい、あれもちょーだい(はーと)」
「はいはい代金置いてとっとと帰ってくださいね…」
卍里、客使いが荒いぞ…(げしっ)
「べるるん、卍里ぃ、たっだいまー♪どぉ?調子はっ!」
黒山の人だかりの中、人ゴミをかき分けて入ってくるK伯爵。
めなりんもその後ろから、大量の荷物を持たされてやってくる。
「K伯爵も手伝って!そっちのカウンターよろしく!!」
「え?えぇっ!?」
いつのまにか店員にされるK伯爵。
べるるんの言葉に反応したか、客の視線が一気にK伯爵に向いた!(それも男!!)
「これ下さい、これ!」
「おい、俺の方が先だぞ、おめー!」
「なにいってんだぃ、そんなこといったらおいらのほーが!」
ぷちっ…
「いい加減にきれてきたわっ!」
まだ何もやってないだろーに、K伯爵…
がちゃ。
…と、事件の首謀者セティ店長が、奥の部屋からでてくる。
「お昼御飯の御時間でーーーーーっす♪」
セティがそう言ったとたん!!
客は品物を置いてどたばたと帰って行く!
いったい過去になにがあったのか…というと、長くなるのでやめておこう。
「さすが店長の力…」
感心するべるるん。
そんなことに感心してる場合じゃないよーな気もする…
「あぁ、お腹すいた…」
ぐったりとした卍里が言ったのはその言葉。
ただいま正午。日が暖かい。
「そーね。あたし、御野菜とか買ってきたから、なんか食べましょっか」
にっこり笑ってめなりんもばきばきになって一緒に入っている大荷物を担ぐK伯爵。
「…そんなにいっぱい、何を買ってきた?おまいは…」
「米と味噌」
…ふらっ…
K伯爵のあっさりと言った言葉に、べるるんは顔面蒼白で崩れていく。
「やだ、ちょっとべるるん、本気にしないでよ!?醤油も買ってきてあるわよ!?」
――あまり変わらない…
心の中でつぶやく卍里。
一方セティは、そんな一同を見渡して、
「どーでした?これまでの労働は?」
『最悪』
声をハモらせて言う卍里とべるるん。
「ろーどーってなぁに?」
「あのねぇ…そのくらいわかるでしょーが」
めなりんの問いに呆れるK伯爵。
「わかんないよ?この世の中にはわかんないことがたくさんあるんだからっ!」
「まぁた変な屁理屈…じゃぁ、例えば何があるのよ?」
K伯爵、反撃中。
「生きることとか命の存在意義だとか」
「いきなり変なふーに話を持ってくんじゃないっ!」
ばきっ!
どこにそんな活力があったのかはしらないが、べるるんがめなりんを張り倒す。
「生きることとかそーゆーのは、自分で『生きて』見つけてゆくものです」
一番大人びているセティが、それをしめくくる。
…かと思いきや。
「ゼロスの言動とか…」
「成敗ッ!!」
なんとか身を起こして言っためなりんを、卍里のチョップが襲った!

『いっただっきまぁ〜〜〜〜〜〜〜す』
全員の声と共に、いきなり食い始めるべるるんとめなりん。
何しろ美味しそうなお食事の数々!K伯爵の料理の腕はピカ一である。
卍里も少々とまどったが、結局疲労による空腹に耐えられずに一口ずつコンソメスープを飲んでゆく。
セティは悠々とマイペースで食べていく。
一方K伯爵はといえば、皆の顔を見て御満悦。
彼女はお腹は空いていないようだ。ま、魔族なのもあるんだけど…
「おかわりっ!」
元気よくお皿をK伯爵に差し出すめなりん。
「はいはーい、他の人もどんどん食べないと、食いっぱぐれちゃうわよー!」
「えぇぇっ!?やだ、あたしたくさん食べようっ!」
K伯爵の味付けが気に入ったのか、卍里が急にペースを上げ始める。
しかしやっぱりマイペースのセティは他に遅れをとっていたりして…
このパーティーで食い争うにはよほどのスピードが必要であろう。うんうん。
「おかわりっ!」
「はいはい」
「おかーり」
「へいへい」
「おかわりぃ〜♪」
「だぁぁぁっ!あんたたちはぁーーーーーっ!!」
K伯爵怒。
あぁ、目が赤くなりはじめてる…
「…あ…の……ごはん…」
食欲旺盛な三人(一人と二匹)の中、一人もくもくとマイペースで食べていたセティが口を開く。
K伯爵は敏感なのでそれに気付いたが、他の三人は気付いていなかった…
『おかわりっ!』
「あぁーとぉーでっ!今はセティっ!!」
K伯爵の目が赤くなってたり――

「…あれ?そーいえばセティの父さんって…」
午後は客は一切来なかった。
一体どーゆぅ店なんだ、ここわ…
とりあえず暇つぶしに、べるるんが口を開く。
「セティの父さんは?死んだわけじゃないし」
「むこーの山のむこーの峠で、鉱山を掘ってたんです。
僕の母が死んだ日に、父も行方不明になっちゃいました。
兄もいたんですけど、そっちは母親と一緒に馬でオダブツです」
あっさりと言うな、あっさりと…
「それはごしゅーしょーさま」
K伯爵、冷たい…
「かわいそうだね…」
さすがに卍里は人間である。情も深い(盗賊だけど)
「父さんだけが…父さんだけが生きているはずなんです」
遠い目をして呟くセティ。
こやつも苦労してきたんだろーなぁ…
がたぁんっ!
これぞ絶好の機会とばかり、べるるんが椅子から立ちあがる!
あ、目が光ってる…
「よぉっし!それじゃセティ、わたし達がその馬鹿親父を連れ戻してきてあげようっ!」
『でぇぇぇぇぇぇぇ!?』
卍里はおろか、めなりんまでもが驚いたっ!
「ちょっとべるるん…頭狂ったの!?あたしイヤっ!」
「だってK伯爵、わたし店員Aなんてやってるよりそっちのほーが楽でいい」
「卍里も一応賛成ですっ!行方不明のお父様を捜すお手伝いなんてカッコイイ!」
「めなりんイヤー」
2対2にわかれる一同。
「いいの!?そんなことになったら、一週間じゃすまなくなるかもしれないのよ!?」
K伯爵が押している!
「三日ですむかもしれないじゃん!それにここでうだうだやってるより面白いし!」
べるるんも引かない!
「でもセティのおとーさんが死んじゃってたらどーするのよ!?」
「…K伯爵っ……」
ハッ…
卍里の呟きに、K伯爵は思わずセティの顔を見る。
「父は死んでません。そんな気がするんです」
お前は占い師か!?
とりあえず、これで3対2である(そうなのか?)
「わーったわよ…行けばいーんでしょ、いけば…」
納得させられるK伯爵。
「めなりんやだー」
「お前はついて来るだけでいいっ!」
怒り任せに蝿を一匹召喚するべるるん。
大量発生させないのは、卍里とセティが人間だからである。
魔族だとわかったら…あぅ、考えるだけでも恐ろしい…いろんな意味で…
「じゃぁ、今からしゅっぱぁーーーーーーーつ!」
いつのまにかリュック背負って帽子かぶって山登りの格好の卍里の言葉に、一同はうなずいたのだった。

と、ゆーわけで。
やって来ました鉱山に!
人の姿も、まぁ一人だけ見えるものの…
…ホントにここにセティの父さんがいるのかどうか…
「…とにかく、あの人に聞いてみましょ」
卍里、乗り気。
ちなみに、あの人、というのは、廃鉱の近くに座ったっきり動いていないおっさんである。
死んでないと思うけど…
「すいませぇん、セティのお父さんって知りませんかぁ?」
名前言わなきゃわかんないって、K伯爵…
しかしそんなツッコミは通用せず、おっさんはおもむろに立ち上がって言う。
「会いたいか。
…それならば会わせてやろう」
「カッコつけてないでさっさと案内しろっての」
必殺!べるるんカカト落とし!!!
おっさんは無表情のままだが、頭から血が吹き出ている!
「行くぞ」
「そんなにまでしてカッコつけたいの?」
K伯爵のツッコミも無表情で聞き流し、おっさんは廃鉱へ入っていく。
とりあえず、それについていく一行。
しかしこの廃鉱、気味が悪いったらありゃしない。
なんてったって周りには、力尽きた男達の死体ばっかり(はぁと)
ちなみにセティと卍里は気付いていない。
おっちゃんのもっているタイマツ代わりのライティングが、少々暗いのだ。
「父さん……僕に会ったら、どんな顔するかなぁ?」
ちょっとセンチな場面(はぁと)
…と、思ったら。
「ぅどわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「ぴきゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ほえぇぇぇぇぇぇぇぇぇー…」
ガラガラガラガラガラ!!!
「崖だ」
『見りゃぁわかるわ、このボケーーーーー!!』
おっさんに毒付きながら、結局魔族三匹は暗い崖に落ちていく。
「助けないと…」
「大丈夫、彼らは生きている。先を急ごう…」
セティの言葉にも、おっさんは涼しく反対する。
って、おい。
彼らってどーゆぅことだ…?

少し奥に入ってきたところで、おっさんは足をとめる。
「これが、お前の父だ」
助けを求めて死んでいったと思われる、まだ腐っていない死体たちを指して、おっさんは静かに言う。
…死体たち、である。
そこらじゅうごろごろと転がっているのだ、寝ているかのようにきれいな死体が。
「うっ…」
卍里は思わず口を押さえる。
一方、セティ本人は動じないで、じっと死体の方をみつめたまま。
「先頭の奴が、毒ガスのたまった所に間違えて掘り進んだんだ…
俺の父さんも、兄さんも…同じように死んでしまった。
毒ガスの作用で、死体は腐らずに残っている。俺の仕事は、その案内人…」
おっさんの目は、死体よりもっと遠くを眺めているように見える。
セティは先程から反応なし。
卍里はたまらず、一歩後退する。
「まだ毒ガスは残っているはずだから、あんまり奥に…行くな…よ」
おっさんは既に、毒ガスに犯されているようだ。
そしてそのまま、自分の言葉と裏腹に、奥へ奥へと進み行く。
「父さん…」
そのままそこに座り込むセティ。
「父さん…どれ?」
ずがべしょ。
一瞬卍里はでかい音を立ててすべる。
その音の後には、あの案内人のおっさんの、毒ガスに殺られた声と重い音がこだまする。
…そしてもう一つ。
「…でかい声で叫んだ割に…崖って浅かったのね…」
K伯爵の沈痛な声。
いやぁ、改めて見てみれば、崖はべるるんでいう肩くらいまでしか深さがなかったりした。
「K伯爵…見て下さいよぉ…卍里、もぅこわくってぇ…」
「あ?死体?それがどーしたのよ」
魔族K伯爵(とべるるん)は死体なんて山ほど見てるため、まったく動じない。
めなりんは何故にセティが悲しんでいるのかすらわからなかった。
「…みんな、寝てんの?」
状況のわかっていないめなりん。
「生きてる。僕の心の中で…」
「ふーん。実際にも生きかえらせてあげよーか?」
にこにこにこにこ…
「ちょっと、ンなことできるわけ…」
「ばっかだなぁK伯爵〜、あちしが誰の妹か忘れたのぉ?」
しかし実際には、例えL様でも、死者をそのまま復活させるのは無理である。
ある程度の地位をもつ魔族ならば、転生や、コピーを作る事はできるが…
この場合、肉体と精神体が残っているために成せる技なのである。
肉体はご覧の通り、毒ガスの影響で傷一つない。
精神は…つまり魂は、先程本人が言った通り、セティの心の中にある。
この二つを合成すればいい、とゆー原理なのだ。
今回は珍しく頭使ったなぁ、作者…
…でも、どれが本物のセティのお父さんだかわかってないけど…
「…でも、やっぱり…このままでいいや」
しかし、セティは否定する。
「もう…父さんに苦痛を味わってほしくない…」
(死者をよみがえらせる、なんて事自体、人間の御法度でし★)
「でもセティ…もう家族はいないのよ…」
卍里の言葉を聞いて、べるるんはあっさりと言った。
「卍里が嫁さんに…」
「ならんわボケェ!」
ガッ!
近くの岩でべるるんをぷっつぶす卍里。
その場に笑いがこぼれる。

…そして。
ゼラスは結局、魚屋の兄ちゃん楊文立と、葛藤するハメになったのだった★

続くぜッ!

☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ

というわけで、19いってみよー!!

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6390スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達19めなりん E-mail URL3/2-06:38
記事番号6389へのコメント

皆様御無沙汰しておりました!!
ここに!!すれまぞ19をお送りいたしますっ!!

19です(あんどりばーす…ってをい)

「いやぁ、デモン・ブラッドも無事に手のうちに帰ったし、卍里は役所につきだしたし!」
ほくほく顔で言うK伯爵。
「店員も1日ですんだし…」
めずらしく、さわやかな笑顔で言うべるるん。
『ふふっ』
ドキャバキガコッ!
そしてめなりんは、二匹のストレス発散に近くのごみ箱に蹴りいれられた…
いつもと変わらない朝である。
「どーして卍里つかまえたのに、賞金の銅貨1枚もでないのよ!?人間って馬鹿じゃないの!?」
「たった一日の労働でも足腰がギシギシいうんだよなぁ〜
もーちょっと憂さ晴らしに、めなりんに蹴りいれたいなぁ〜」
ほんと、二匹ともさわやかな顔ですことで(涙)
……
「あら?」
K伯爵の声とともに、べるるんは振り向いて…
ごきゃっ!
ごみ箱を蹴っ飛ばす。
「…反応なし」
あっさりと報告するべるるん。
「おかしいわねぇ…いつもなら
『ひどいよぉ、えぎゅえぎゅえぎゅ』とかって馬鹿面ひっ下げてついてくるはずなのに」
「前に2回蹴っただけで気絶したこともあったけどね?K伯爵?」
「やぁねぇべるるんってば。今回はたった1回しか蹴りいれてないでしょー?」
やぁねぇK伯爵ってば。二人合わせて2回でしょー?
「…ほんとに…反応ないよ?」
……。
「もしかして…消滅した…?」
パカッ!
ためしにごみ箱のふたを開けてみるべるるん。
「…あ、べきべきに骨が折れて気絶してる…」
……。

「殺りすぎというかなんというか…
ゼロスあたりならすでに砂になっているはずだぞ」
熾王神官の診察に、K伯爵は苦笑い。
あの後、とりあえずごみ箱ごとめなりんを、熾王神官のところへ持ってきて、である。
やおらもじもじしながら、K伯爵はキラキラと、
「だって、これくらいしかめなりんとの交流がなくて…」
「…いやまぁ、真実だけど…仕方ない…
塩井神官うるとら回復治療薬ヴォリューム4でも使ってみるか…品種改良中だけど」
今までのは品種改良したあとだったのか!?
「い、いや、あのっ、ちょっ、それ…!」
「だいじょーぶ、今回は人体に害のあるようなものは入ってない。ドラゴンは一匹消滅したが」
ちなみに、雷児の姿が見えないのは別の用事なので御安心を。
そんな事をやりながら、熾王神官は結局、その得体の知れない薬をめなりんの口に注ぎ込む。
「○×△※▲ーーーーー!!!!」
…ぱた。
意味不明なことを叫んで、結局めなりんはまたぶっ倒れる。
「これで1日でもすれば…」
「どうなるのよこの魔族殺しぃーーー!」
涙ながら(目薬)に叫ぶK伯爵。
「消滅するか復活するか、というところね」
「ち、ストレス解消用魔族がいなくなったか」
後ろで恐いことをつぶやくべるるん。
「そういえば、ティナを探しているんだったか?お前達」
いきなり熾王神官が話をすりかえる。
「ええ、何か知りません?」
一応聞いてみるK伯爵。
「いや…ちょっと雷児がな。滅びの砂漠の方の地帯が変化しているだのなんだのと騒いだ挙げ句
それがデモン・ブラッドの魔力波動と一致してるなどと言って、どっかへ飛んでっちゃって」
これは有力な手掛かりであるっ!
「やっぱり塩井神官ミックスジュースなんて飲ませなきゃよかったかな」
有力じゃなくなったぞ…
「それ、ぜぇーーーーーーーーーーーっっったいにそのジュースが悪いんだと思うな、あたし」
「右に同じく」
ジト目でせめるK伯爵とべるるん。
「あ、そういえば、めなりんの薬の治療費払ってね、金貨30枚になるけど」
……。
「どぅえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?あ、めなりんが目を覚ましてから…とか…」
「K伯爵、副作用があって金貨召喚できなくなってるかもよ?」
K伯爵の心のうちを読んだか、べるるんがボソッとそう言った。
「あ、そのとーり」
すっぱり言い捨てる熾王神官。
「…稼げ、と?」
嫌そーな顔をして聞くべるるん。
「そう。雷児を連れ戻してきたら30枚、ってことでいい?」
「それが目的なのね…まぁいいです。連れ戻してくりゃいいんでしょ?死体でも」
よくないって、K伯爵。
「勿論。塩井神官スペシャル復活薬を試せるしなッ!」
なぜか自信満々に言う熾王神官。
かくて。
はるか遠い滅びの砂漠へと、魔族達は足をはこんだのだった…

…が。
「ね、ねぇK伯爵?ほんとにこっちであってんの!?」
「もちろにょわげぶっ!?」
飛び交うコウモリに、一瞬圧されるK伯爵。
滅びの砂漠、その通過点に位置する、フツーの町…のハズ。
だが、どー見たってそこにはもぉ木ばっかりっ!!
変な風に森に迷い込んだよーである。
高位魔族といえども、実質世界では方向音痴らしい。
実際、こんなルートとおらないはずである。
「ねぇ、空間移動しない?…ね、ねぇ、ちょっとK伯爵!?」
「ふっふっふ…意地でもここは抜けてみせるから、安心してついてくるのよ、べるるん…」
K伯爵、目がイッてるってば。
そのうち獣道にかかる二匹。ただしこの獣道、いわくつきのものだったりする。
「とりあえずここを進んでけばおっけーよ!」
「ホントなんか…?」
K伯爵の甘い考えと裏腹に、二匹はこの後、とんだ展開になってしまうのだった。

「黄昏よりも暗きもの!血の流れより赤きもの!!」
『黄昏よりも暗きもの、血の流れより赤きもの』
魔王ルビーアイを称える呪文の大合唱。
…邪教集団のアジト、ってやつである。
あの獣道、実はそこに続いていたのだ。
邪教集団のアジトとは言っても、ちょいと前まではただのでっけぇ神殿だったのだろう。
なにしろまだスィーフィード像が舞台裏においてあるくらいだ。
何かの事情でもあって引越ししてきた…で、ビンゴである。
ちなみに二匹がいるのはガラス造りの天井裏。
神殿の中から魔力波動を感じ、K伯爵が試しに覗いたのだ。
「…は、はためーわくな宗教集団ねぇー」
苦笑いしつつ後ずさりするK伯爵。
「K伯爵、笑ってる場合じゃない…あの、真ん中の」
「……あれってもしかして……ティナ?」
そう。
本来ならスィーフィード像のおいてあるそこに、ティナとおぼしき人物と、謎の黄色い物質。
ティナとおぼしき…とは、彼女が三つ編みをほどているからである。
服装はいつもどーりなんだけど。
「赤神官ティナ様!我等に力をッ!!」
「いぃやぁぁぁぁぁぁっ!!!
 どーーしてティナが、あんた達なんかに何かしてあげなきゃなんないのぉッ!?」
「恐れながら、この組織の幹部、リーンの申し上げるところには、世の中の常でございます!」
「どこにそんな世の中があるってぇのよ!?」
「恐れながら、この組織のなんばー2、フィオの申し上げるところには…」
「ぅだーーーーーーーーーーーーーッ!!!自己紹介なんてしてんじゃないわよぉ!」
「お、おそれながらっ、我等が組織の巫女のてぃえるの信託によれば!!
 ここにまず魔族様が一人やってきて、その方は私たちを救って下さるとか!
 それから来る二匹の魔族様は、こちらはとんだ乱暴者で、魔族ともいえないような方々…」
「だぁーーーーーーーーかぁーーーーーーーーるゎぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!
 まぁぞぉくぅはぁみぃーーーんな、あんた達なんかを救うほどの暇持ち合わせてないのよ!!!」
ティナの絶叫。
ずーーーーーーーーーーーっとこればっかのくり返しのよーである。
「ねぇ、べるるん…その、乱暴者の二匹の魔族…っての、もしかして…」
「まぎれもなくわたしたち」
…涙。
「とぉにぃかぁくっ!こんなところで聖母マリアやってる暇ないのよ!ティナは!!」
「待って頂戴、ティナちゃん」
言われて振り向くティナ。
…見れば、年の頃なら20くらいの…巫女である。
白いフードをかぶって、いささか占師のようではあるが…
「あんたがてぃえるとかゆー奴ねッ!?
人間風情に、『ちゃん』付けされたかないわ!!」
「ほっほほほー、いいのかしらぁ?そぉんな事言っちゃって♪」
てぃえるはピンッ、と女狐の耳なんぞを生やして、ティナをからかう。
ちなみに女狐でもロディじゃないのでご注意を。
ティナはなにかを感づいたか、にやりと笑って言い放った。
「ふんっ、あんたくらいの低級魔族!!」
『まぞくぅ!?』
叫んだのは信者達!
「あのてぃえる様が魔族様だって!」
「えぇぇぇ!?どうりで、なんか変だと思ったらぁ!」
「俺は信じられんぞ!!」
「でもこれで組織の家計簿も赤字が減るんじゃないか?」
「しかし、てぃえる様が魔族様なら、どうして隠しておられたのだろーなぁ」
ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ…
「うるさいわねぇ!私は魔族なんかじゃないわよ!」
「でも、魔族のニオイはするわ!信者の目はごまかせても、このティナの目はごまかせないわよ!」
「あらぁ、ティナちゃんったら。当たり前でしょう?
ルビーアイ様にお仕えする巫女なのよ?ふふ、血のニオイの一つや二つ、こびりついて当然…」
とことん怪しいって。
「またやっかいなのがでてきたもんねー、K伯爵…ってあれ?」
べるるんがふとK伯爵を見てみれば、K伯爵は放心状態。
「…K伯爵?をーーーーーーーーーい!?K伯爵ッ!!?」
「…てぃっ…てぃてぃてぃてぃてぃ…てぃえ…る…」
…知り合いか?
「……その、あそこにいる『てぃえる』ってのが、どーしたわけ?」
「…べるるん、卒倒しないでね…
てぃえるはね…あたしのファンその2なの…」
…べるるんは卒倒を通り越して昏睡状態に陥った…

「まだべるるんにも、めなりんにも会っていない頃の話よ…
その頃てぃえるは命の研究をしてたのよ。人間のあいだでは、絶対にしてはならない…命の研究を。
…ハッキリ言って、その頃から怪しかったわ…
魔法陣やら骸骨やらが置いてある部屋に、あたしは召喚されたのよ…
そしてあたしは、永遠とまではいかないものの…長い年月を与えてやったの。
てぃえるはそれからあたしを慕い始め、どこからともなくやってきては…
あやしい宗教団体に、あたしを勧誘しはじめたのよ…最近見てないから果てたかと思ったら……」
K伯爵は顔色を蒼くして喋り終える。
隣では、べるるんが気分悪そーに頭を抱え、なにかうなっている。
…魔族にとっては絶望的な話だ…
人間にうっとうしくまとわりつかれるのが、どんなに恐ろしいことか…
君も身をもって知るといい。但し作者は一切の責任を問わないぞ。
「長い年月を与えれば、その分、あたしが何をやってもあいつは生き延びる…
あたしが滅びれば、その時点で終わりだけど…つまり、滅びることのできない体なのよ…」
K伯爵、若気のいたりを今になって悔やんでも仕方ないさー(刺)by作者
「…ってこたぁなに?めなりんと同等のやっかい者ってわけ!?」
べるるんの言葉に、こっくしうなずくK伯爵。
「てぃえるを普通の体に戻すのはただ一つ…
あたしほどの闇の力と同等の、光の力を持つ奴に、呪符を貼ってもらうしか…」
「…わたし、元天使…」
「ぜぇーーーーーったい無理」
…結局二人は、そのまま『てぃえる対策』を考え始めるのだった。
本来の目的と違う気もするが、そこはまぁ気のせいである。

「ほっほほほー、ティナちゅわぁん?
安心してわたしに身を委ねなさぁ〜い♪」
「そう言われて誰が委ねるもんですかッ!
…こんな結界にいたら、空間移動もできないし…どーにかしなさいよ!」
暗い地下室の、六紡星の真ん中に、ティナは置かれていた。
ちなみに六紡星ってゆーのはいわゆるヘキサグラムの事。三角が逆になって組み合わさってる奴ね★
ティナの腕には、黄色い生物が踊っている。
…カーバンクルじゃないぞ。
「い・や・よ。
あたしが邪教集団に入った一つの理由を、遂に達成できるんだもの」
「ほぉう…何なのよそれは?」
にやり、と笑って、てぃえるはやっぱり言い放った。
「火眼黒翔貎様にお会いすることよ!」
ぶっ!
ティナが思わず吹き出したッ!
「ちょ、それってK伯爵の事!?」
「まぁっ!ティナちゃん、心当たりでもあるの!?」
がしぃっ!と両手を引っ掴み、てぃえるはキラキラの眼差しでティナに問う。
「そりゃぁもちろん!今まで幾度となく散々な目に合わせられたことか、あの性悪女!!」
どげしぃッ!!!!!!!!!
ティナに飛び蹴りがクリティカルヒーーーーーーーーーーーット!
放ったのはてぃえるではないっ!
ティナは既に叫んでいた。
「K伯爵!?」
そう、見れば地下室の闇にまぎれて空間を渡ってきたK伯爵とべるるんの姿!
K伯爵の眼は既に赤く染まっている。
「なぁぁぁぁぁにが性悪女よ、へっぽこぴーの癖して生意気なッ!!!
デモン・ブラッドよこしなさいよぉーーーーーーーーーッ!!!!!!」
「すとぉーーーーーーーーーーーーっぷ!K伯爵、どくたーすとーっぷ!!!!」
暴走するK伯爵と、それを止めるべるるん。
てぃえるはといえば、K伯爵の飛び蹴りの際に、突風に巻き込まれて気絶している。
「なによべるるん、邪魔しないでっ!」
「でもっ!てぃえるが目を覚ましたら、K伯爵はどうなる!?」
ぴたっ。
一瞬、全員の行動が途絶えて――
「ふっ、この火眼黒翔貎様に、そぉんなこと関係ないわよッ!!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?K伯爵恐いーーーーーーーー!!!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!あんたらはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
内輪揉めしてる場合じゃねーぞ、をい…
「ほっほほほーーーーーー!!!!!見つけ出したわよK伯爵様!」
びっくぅっ!
背筋の凍るその声に、恐る恐る振り向くK伯爵。
…勿論そこには、てぃえるの顔。
「なんですかぁ?その、なんとかいう人って?あたしの名前はラシャっていうんですけど…」
「とぼけても無駄よ、火眼黒翔貎様!!さぁ、私の体を元に戻して!」
とぼけるK伯爵に噛み付くてぃえる。
「…ちっ。仕方ないわねー…とにかくあたしゃ無理なのよ!!」
K伯爵はとりあえず、事実を明らかにしようとする。
「てぃえる、あんたはあたしを倒さなきゃ死ねないのよ?
他の方法として、あたしと同等かもしくはそれ以上の神族に、呪符を…」
「はぁ!?なにおっしゃるのK伯爵様!!
私が望んでいるものはただ一つ!!!…あの時の後遺症を直せと言っているのよ!」
てぃえるが叫ぶ。
K伯爵の目は…点になっていた。
べるるんとティナは胡散くさそーに眺めている。
「後遺症って…なにかあったの?あんた」
「そうよ!K伯爵様、御存知ないの!?
私は…私はあれ以来、男になってしまったのよ!!!!!!」

…ちゅどぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん…

一同の小爆発が、辺りに巻き起こった…――

「…ちょ…どういうことよ!?」
信じられない、といった眼差しで、K伯爵はてぃえるにたずねる。
「そんなこと知るわけないじゃない。だから頼んでるんだし」
もっともだ。
「あのK伯爵も、ミスることはあるのね…」
まだちょっとぷすぷすしてるべるるん。
「ティナ…なんか今の一言で激しく疲れた…」
髪の毛こげかかってるティナが、そのままぱたっ、と倒れる。
その腕から、奇妙な黄色い生物がすり抜け、なにか呟いてから結局倒れてしまう。
…黄色い生物…黄色い物体にちっちゃな手足が生えてる、かわいらしいオカオの持ち主だ。
額には、ヘキサグラムが刻み込まれている。
「とにかく!あたしは性転換の呪術は使えないのよ。
一つの伝承によれば、そこにいるべるぜさんが使えるそうよ!それじゃ!!」
しゅたぁっ!と謎の決めポーズをとり、K伯爵はティナを抱えて退散する。
「はぁ?ちょ、ちょっとK伯爵!?」
一人困るべるるんに、てぃえるはふぅっ、と溜め息一つ吐いて言った。
「よかった……あいつ、元気そーね」
……。
「は?」
べるるん、目が点。
「もうお芝居はここまでだわ。
だって、あたしも魔族なんだしね」
……。
「どういう事?」
状況把握のできていないべるるん。
「あたしはれっきとした魔族なの」
にっこり笑っていうてぃえる。
……。
「…でも、あんた…K伯爵に、長い年月をどーたらこーたらって…」
「それはあたしの婆ちゃんなのよねー。
婆ちゃんは母さんを生んでから、そのままどこかへ姿を消したんだけど。
…母さん、生まれながらに魔族だったの。
あたしの母さんは、それ以前に生きていた魔族のあたしを義理で子供にしたのよ。
なんの義理があったんだかしんないけどさぁ、魔族たるもの、そういうのは遊んでやらないと」
コイツ、なかなかの性格の持ち主のようである。
「じゃあ、どうしてこんな事してたワケ?」
「そりゃぁ勿論!面白そうだからよっ!」
ウインク混じりに答えるてぃえるに、べるるんは心から溜め息を吐いたのだった。

「ティナっ!デモン・ブラッドよこしなさい!!」
「いぃやぁよぉうっ!それに今持ってないもん!」
ずべ。
ティナを抱えて逃げていたK伯爵は、そのまま地面とキスをする。
「あの黄色い変なのがいたでしょ?あいつが飲み込んじゃったの!」
「でぇぇぇぇぇぇっ!?
…って、そういえばあの黄色いのって…」
ちゃかちゃかちゃかちゃか…ぴこーん(謎)
「雷児の原形!?」
大ぴんぽん♪

…その頃。

「あぁぁぁぁぁっ!あの魚屋の馬鹿兄ちゃんめ!!」
あたし、獣王ゼラス=メタリオムとセレスは、鬱蒼とした森の中を進みつつ叫ぶ。
あの後ずーっと世間話につき合わされて、挙げ句ナンパされそうになっちゃったじゃないの!
「許せんッ!あの蝿のせいで、あたしがあぁんな目にまであうなんて!!」
ゼロスに情報収集させといてほんっとよかった…。
「まぁっ!ひどいですわ、ゼラスさんっ!あの方、あぁ見えても結構良いところがあるんですから♪」
「ないないないない」
セレスの言葉に、あたしは首を横に振る。
それにしても、ゼロスの言ってた邪教集団のアジト…そろそろだと思うんだけど…。
…と。
そんなことを思いながら進んでいたあたしの目の前に、怪しい神殿が、その姿を現した!

「べるるんっ!」
K伯爵はティナを盾代わりにドアを突き破り、その先のべるるんに目をやって…
べち。
…っと滑った。
「なぁぁぁぁぁぁに呑気に茶なんかすすってんのよ!しかもてぃえると一緒に!?」
「どーせK伯爵は戻ってくるだろうと…」
「でもこういう場合、てぃえると死闘してるとこにカッコよくあたしが出てくるのが相場でしょ!?」
「てぃえるなんぞと戦ったらこのべるぜ様がすぐに死なせちゃうさ〜♪」
どーでもいーがティナが泡吹いて気絶してるぞ。
「なに言ってんのよ、さっき教えたでしょ!?こいつを倒すには、あたしの消滅が…」
「だから…てぃえるはてぃえるでも、別のてぃえるなんだってば」
〜只今説明中〜
「ぅどえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
K伯爵の叫びが、神殿内に響き渡る。
「じゃぁなに!?あんたあいつの孫だったの!?」
「ほっほほほー、あたしは一言も「これは真実です」なんて言った覚えないわよ」
威張って言えることじゃない気もするが、そこはてぃえるである。
変な屁理屈は通用しない(謎爆)
「こう見えても、あたし、結構やる方なんだから」
にっこり笑ってK伯爵をからかうてぃえるの言葉の後、そこに効果音が響き渡った。
『…ぷちん』
K伯爵の堪忍袋の緒が切れた…――
「むっかつくぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!K伯爵、すとぉーーーーーーーーーーーーーーーーっぷ!!!!!!」
目を赤くして怒るK伯爵と、それを押さえるべるるん。
「だーっ、さっきからべるるんってば何よ、いつもおかしいけど今日はさらにおかしいわよ!?」
「ぬっ!?どーゆー意味!?」
ついに内輪揉め。
「いーから離してよっ、トレンディドラマの結局最後にふられる役なんてやってないで!!」
「でも今ここで暴走したら、てぃえるの抱いている雷児も、一緒にあの世行きだろぉっ!?」
そう。
てぃえるの腕の中に、今、雷児がいるのである。
「熾王神官さんは死んでもいいっていってたもん!」
「…なぁるほど…変に納得させられたけど、とりあえずストップはやめるっ!」
…いいのかよ、をい。
などとつっこみたくなる作者♪
「えぇっ!?ちょ、ちょっとぉ!この子の命は惜しくないの!?」
てぃえるは予想外の展開に、目を丸くして叫んだ。
しかぁしっ!
『惜しくないッ!!』
二匹はシンクロした!

ぐゎがぼぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!!!

…今の爆発、べるるんでも、K伯爵のものでもない。

「っ…けほっ…べるるん、大丈夫?」
「何とか…しっかし、やってくれたねぇ…ゼラス…」
まだ爆炎の、もうもうとした煙が立ち込める中、二匹はとりあえず立ち上がる。
そう…あぁんの忌まわしい…べるぜと火眼黒翔貎がぁっ!!!!!!!!!!!
ちなみにゼラスちゃん一人称になってるので要注意よッ!
「随分と丁寧なご挨拶ね!ゼラス!!」
叫ぶK伯爵に、あたしはふっ、と鼻で笑い、
「ふっふっふっふ…あっははははははは!今のはあたしの攻撃じゃぁないわよ!」
…そう。
胸張って言えることじゃないけれど、今のはあたしの放ったものじゃない。
現に…あたしの両手にはまだ、魔力が存分残っている。
あの攻撃をぶちかましてくれたのは…
「セレスっ!」
あたしの後ろを指差して、K伯爵は叫んだ!
その隣で、べるぜはこけている。
そっか。あたしの後ろについてきてたセレスがぶっ放したモノだったんだ!
なかなか良い奴である。
「べるぜ様っ!?何をこんなところでいちゃいちゃとッ!!?」
「っ!?ちょっ、いちゃついてなんかいないって!」
「なぁぁぁにをヌケヌケとぼけってるんですかぁっ!?
ゼラスさんっ!もー一発ぶちかましましょうっ!!!!!」
「ぅだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!蝿の話を聞かんかっ!!」
状況進行、よし。
タイミングもOK…でも。
「あたしの愛しいめなりんは?」
直訳=デモン・ブラッドは?
「今、死と対面してるトコ」
……。
いないのぉ!?
あたしの可愛いデモン・ブラッドちゃんはっ!?
…っでもまぁ、第一目的はべるぜ抹殺なんだし、うんっ!
「いくわよっ!セレス!」
「あいあいさーですわ!」
宣言してから、あたしは魔力をたっぷり手に集中させて…
…放った。

ちゅどごぉぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…ん

「なっ!?」
驚愕の声を上げたのは、あたしのほーだった。
轟音の後に、ざわつく羽の音。
…そう。
そこには、無数の蝿が召喚されていたのだっ!
しまったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!仮にもあいつは蠅魔王だったんだっ!!
「ふっ♪ちょろい攻撃だったなっ♪」
『自分の分身、全部半殺しにさせといてゆーなッ!』
あたしとセレス、K伯爵の声までもがハモる。
ちなみにてぃえるとかいうのは逃げ失せて、黄色い謎の生物は、蝿と一緒にオダブツだ。
「べぇるぅぜぇさぁまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
あたしの背後から、怒りのオーラが顔を覗かせる。
「どーゆー神経してるんですかっ!蝿さん達が可哀相じゃありませんかっ!!
…いざとなったら、私が盾になってお守りしていたところを、蝿などにっ…」
…をい。違うだろ、セレス…
内心つっこむあたしをよそに、セレスは瞳をうるうるさせながら、
「どるふぃんくらぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっしゅ!!!!!!」
魔力付きの飛び蹴りをべるぜに向かって放つ!
どげっ!
…をー。さすがはイルカ。べるるん、倒れ伏してるぞ。
「っ痛…!セレス!!おまいは番外編であんな事やこんな事をした恩忘れたのかッ!?」
「忘れてはおりませんわ!!けれどっ!…これは…本編ですのよっ!!!」
ざざぁぁぁぁぁぁぁんっ!!
謎の荒波が、セレスのバックに吹き荒れる!!
…って、あたし出番ないぢゃん。
「あーっもーっ!セレス!べるるんはねぇっ!
悪逆非道情無魔族、単純明解馬鹿率直なんだからッ!!ンな事言っても無駄なのよ!」
K伯爵、それはミもフタもない気がするわよ、あたしでも…
「たんじゅんめーかいばかそっちょく…?べるぜ様、なんですの?それ??」
「そんなん聞かれても、わたしもわかんない」
意味知らないし、あの幸せ夫婦…
あたしの出る幕…なくなっちゃった?
…ゼラス、寂しい…しくしく…。
とにかくあたしは身を翻し、闇へと消えたのだった。

「…ほぅ。それで、雷児はこうなったのか」
熾王神官が、ちょっと顔をひきつらせつつ、黄色い物体を抱きかかえる。
『そうですッ!』
今回、派手に大暴れできなかった二匹が答える。
「まぁ、この程度ならなんとかなると思うが…
塩井神官スペシャル復活薬も試せることだし…♪
…でもって、それでティナにはまんまと逃げられたわけか?」
…ハッ!!×3
このとき、二匹と、そして何より作者は、ある事を思い出した。
…目的は…ティナのデモン・ブラッドだったという事を!!
「あ、でも、デモン・ブラッドは雷児が食った、って言ってたわ!」
電球マークちらつかせつつ、K伯爵の言った言葉に、熾王神官はあっさりと
「ンなもん見つからないよ?」
雷児……生物の口をがばぁっ!と開けて、中身を見回す。
「……もしかして、K伯爵だまされた…?」
「えへっ♪そ・う・み・た・い(はぁと)」
べるるんのジト目攻撃に、汗垂らしつつお茶目なK伯爵。
「でも、てぃえるはどこいったんだろ?」
「てぃえる?」
K伯爵の独り言に、熾王神官が反応する。
「そうです、あの一件の。本物はいなかったけど、偽者には会ったわ」
「あぁ、偽者の孫のほーなら、確か邪教集団から逃げたって言ってたなぁ」
誰が言ってたんだ誰が。
「本物は確か、既に消滅したんじゃなかった?」
熾王神官の御言葉。
「は?」
目が点になるK伯爵。
「死ねないのは恐ろしいことだと解かったのだろうなぁ。
なんとかいう熾天使に、封印を解いてもらったそうだが…」
…そこで、べるるんの脳裏にある記憶が蘇る。
「あぁ、あの変な奴、てぃえるだったんだ…」
そう。
♂ばーじょんのべるるんは、もともと天使だった。
…つまりその時にてぃえるの封印をといたわけだろう。
ちなみにてぃえるが巡り合ったのがこれだけかといえばそうでもない。
まだめなりんが混沌で番人の見習いをしてる時、てぃえるに会ったこともある。
会って……つまりオトコになっちゃったのを女になおしたわけだ。
この三匹に、このような深いつながりがあったとはっ!!
「…そうそう。めなりん、一命は取りとめたぞ。二、三日もすれば回復するだろう」
ぎすぎすした空気をなおすかのように、熾王神官はグッドタイミングで言う。
『ふーーーーーーーーーーーーーーーん。ふふふふふふふふ…』
――ストレス解消アイテム……入手…――

三日後、血だらけになっためなりんの遺体が、熾王神官の元へと運ばれてきたのであった。


というわけで、逃げ〜〜〜!!!

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6391スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達20めなりん E-mail URL3/2-06:41
記事番号6390へのコメント

というわけで20です。
この回はあやしいネタがあるのであぶないのかも★

20也。

「…はぁ?」
セイルーンのレストランで。
K伯爵は間抜けな声をあげていた。
「旅費がそこをついた、っつってんの」
麻袋の中に手をつっこんで言うべるるん。
そこから出てきたのは、銅貨がたったの一枚っきり。
「だって、めなりんが金貨生み出せるでしょーに?」
「塩井神官うるとら回復治療薬ヴォリューム4の副作用で、魔力がなくなっちゃった★」
しゅたぁっ!と手を上げて呑気に言うめなりん。
「じゃ…じゃぁ、どーしろっていうのよ?」
いやな予感を抱きつつたずねるK伯爵。
「だから、仕事でも探そうって言ってんの」
べるるんはさして変わらない様子で言い放つ。
「あのねぇ!?あたし達の種族が人間なんかの仕事をするってのは自殺行為なのよ!?」
「こないだわたし、やらされたけど」
ちょっと目が赤くなってるK伯爵に、べるるんはさらりと答える。
「それに別に、仕事するってったって、盗みに入れば万事OKだし」
「ををぅっ、べるるんそれはナイスアイディーアっ!!」
いや、ナイスじゃないと思うんですけど、作者は。
「じゃぁ早速、この辺で金持ちの奴を探すわよ!!」
「おうっ!」
一致団結する魔族達。
「まずはこの町の役所にでも…」
そんなK伯爵に、魔の手がのびる!
「お嬢さん、御茶しませんか?うへへへへ」
…ナンパ野郎。
一人の男を取り囲むように、ごろつき達が3人ほど。
「そうねー。でもあたし、金持ちしか興味ないからぁ」
「金持ちか…セイルーン一の億万長者にゃ、かなわないからなぁ…お嬢さん、すみませんねぇ」
なかなかあきらめのよい奴である。
「あ、ちょっと待った。セイルーン一の億万長者って誰?」
ナンパ野郎を呼び止めてたずねるべるるん。
「あぁ?俺は男にゃ興味ねーんだよ。ヤローはとっとと失せな」
「そーだそーだ!おやびんをなめんじゃねーやいっ!」
ナンパ野郎に続いて吠えるごろつき。
ぷちむ。
「あんだァっ!?こーみえてもわたしゃおん…ぶっ」
後ろで怒るべるるんの口を押さえて、K伯爵はにっこりと
「…彼の問い、あたしも聞きたかったんだぁ♪お・し・え・て(はぁと)
ちなみに教えてくんなかったらぁ、後ろの男の手、離しちゃうわよ(はぁと)」
お色気+脅し攻撃!
さすがにこれはひとたまりもなかったか、ナンパ野郎はべらべらと喋ってくれる。
「あ、あのでっけぇ家ですよ、あれ!!あそこにすんでる、ゼウルってのがすごいんです!
たんまりため込んでるくせに、何かの行事があったりすっと、その金を使っていろいろと配る…
…町でも評判の男で、子供たちも大喜び…皆も、ありゃぁ神様だって褒め称えているんですよ」
どうやらそのゼウルとかゆーの、なかなかの男のよーである。
「…って、でっけぇいえ…って…あの、おっきい魔道士協会みたいなののこと!?」
「あぁ…俺もこの町に来たときゃぁ、なんかの神殿かと思ったんだがな」
問うべるるんに答えるナンパ男。
「ほにゃぁー…人間の家にしてはおっきーねー?」
めなりんまでもが言うくらいだから、すごく大きな家だということがわかるだろう。
豪邸というか、もぉまんま王宮みたいな造りなのである。
「さんきゅ、兄ちゃん。あんた、そのゼウルとかゆーのよりはマシだとみたわよ♪」
K伯爵が礼を述べる。
「いや、そんなことはないんですよ、お嬢さん…あいつは人付き合いもいいし…」
人付き合い、ってなところにピンと来たか、K伯爵はもう一つたずねてみる。
「ふーん?たとえば業績をあげると?」
「そうですねぇ…
ちょっとそこまで使いに出したものに、金貨をやっただの…
貧しい家の子供にプレゼントを配ってまわっただの…
セイルーン中央病院に、資金をたっぷりやっただの、いろいろと、ね」
一つうなずいて、K伯爵はにっこり言う。
「やっぱ、あんたのほーがマシだわ♪」
ナンパ野郎は、それ以上なにも言わずに去っていった。
「…K伯爵?なんであんなのよりも、そのゼウルとかってののが悪人になんの?」
どーやらべるるん、さっき男呼ばわりされたことをまだ根に持っているよーである。
そんなの、例をあげればキリがないというのにごふっ!?(突如の魔力攻撃により気絶)
「話に聞けば、ゼウルってのは金を使って人の心を捉えていた。
さっきのナンパ男は、ごろつきではあるけど、それでも自分の心で他人の心を動かしてたでしょ」
「お金で人を動かせても、心じゃ人を動かせない奴なんて、人間としては空しいだけ…ってことか…」
やれやれ、といった風に言うべるるんに、K伯爵はガッツ・ポーズをとり、
「そーゆーわけで、その男の屋敷、今夜忍び込むわよっ!」
つまりゼウルを悪人にさせる理屈をこねくり回していたわけか…

…深夜である。
それでも家には明りが灯され、クラシックをかけまくり、中では謎のティーパーティー。
「…なんか変だよな」
「変ね。どう見ても」
「ほぇ?なんで??」
屋根裏部屋からティーパーティーを覗き見ながら、不思議がる魔族達。
「人間という種族は、共食いをしないはずだわ。
この知的美少女K伯爵様が言うんだからまちがいないっ!」
「ともぐい?」
「あの皿に盛っているやつ、人間の腕やなんかだからね。
たぶん、一緒に出たはずのスープやサラダなんかも…血とか骨とか…」
「…それで、それがどうして変なの?」
まだわかってないめなりんを蹴っ飛ばし、二人はさっさと考え込む。
「まず、あそこにゼウルがいないのは確かね、べるるん?」
「仕入れた情報によれば、髪は白髪、目は蒼く、受ける印象は二枚目のぼんぼん…らしいからね」
どう見ても、ティーパーティーにいるのは女だけである。
「じゃぁ、どういうこと?K伯爵?」
「…こういうシナリオはどうかな?
まず、ボンボンのゼウル君を殺害、もしくは閉じ込める。
そうしてから、たっぷりとある金貨で、自分達は贅沢三昧…
外に気付かれない様に使いをだして『セイルーン中央病院に資金をたっぷり』。
それが、彼のおつきの女のメイドさんとかなら、話のつじつまはだいたいあうわね」
K伯爵の仮説は、だいたい合っていた。
まず間違いなく、『ゼウル』がいなくなったのは事実なのである。
前々から、派手にお金をばらまいて、難民を助けていた彼が、ここのところ活動をやめたのだ。
それからはわりと地味に寄付金を送るようになったらしい。
「けど、メイドさんがそこまでやる理由は?」
「ンなことあたしが知るわけないじゃない。セクハラにでもあったんじゃないのー?」
K伯爵、わりと無責任。
「まぁいいけどね。わたしたちがやることはただ一つだし?」
屋根裏部屋のドアを、音を立てないように開けて、合図するべるるん。
「金貨は二階どまんなか、ゼウルの部屋から繋がった実験室よ。
…いつまでのびてんのよ、いくわよめなりん?」
サッカーボールのように蹴りながら、めなりんを連れて二階まで下がる二匹。
「…空間移動しないの?べるるん?」
「出てきたところが壁の中だったりしたらいやじゃん」
実はこのお屋敷、内部がどうなっているのか二匹はまったく知らないのである。
「それより…気付いたんだけど…」
唐突にK伯爵が言う。
「なにに?」
走りながら答えるべるるん。
「…落とし穴、みたぁい♪」
ごがらぁんっ!
「だぁーーーーーーーーーーーーーっ!?そゆことは、ハマる前に言えーーーーーーーーーっ!!」
「だぁってぇ、足元がなんかゆるいなー、と思ったらこーだったんだもぉ〜ん、てへっ(はぁと)」
「ほにゃっ!?ほにゃぁぁー!?」
ごがららずどばごぉぅんっ!
「まぁっ!?何事ですの!?この者たちの処罰は如何様に…」
「どうしましたの、奥様!!…サラダが美味しそうですわね」
「いやだわ、老朽化?ポピュラーに油であげてみたらどう?」
「奥様、お怪我はございませんか?オードブルにしましょう」
「えぇ、大丈夫ですわ。…しかしこの者たちはどう始末をつけましょう?」
なにやらですわますわ口調でこわいことを言う貴婦人達。
「やはり、ソテーがよろしいかと」
「それが駄目なのよ。うちの最上級フライパンを、今どこかにやってしまって…」
なにやらとてもアブナイ発言。
「ちょっと待ったぁ!」
その言葉を言ったのは、魔族達じゃなかった。
勿論オクサマでもない。
「あそこですわ!あのバルコニーの上!!春巻きの具にいたしませんこと?」
「まぁぁ!はしたない、五人揃いも揃って!チャーシューに仕立てましょう」
とりあえずそんな日常会話はともかくとして。
大理石のバルコニーの手すり(?)に、すっくと立った五人の戦士!
「愛が、正義がある限り!我等の行く手に光は見える!!」
いきなりの口上!
どうやら、真ん中にいる奴が言っているらしい。
わりと響く美声である。ちなみに長身、金髪…
顔は謎の仮面で見えないが、おそらくは…
「闇に沈んだその心!たとえ天が許しても、我等光の戦士、ライトマンが許さない!とぅっ!!」
恥ずかしいだけ恥ずかしい名乗りをあげて、五人一斉に飛び降りる!
すたっ。
…わりと奇麗に着地が決まる。
「ををををを」
思わず拍手する一同。
「ライトマンピンク、リア!」
「ライトマンイエロー、マーダァ!」
「ライトマンブルー、マーサ!」
「ライトマングリーン、ヤナリ!」
次々に名乗りをあげる正義の戦士達。
「ね、ねぇ?最初のリアってのはオリキャラだとして…
あとの三人って、なんとなぁくきいたことあるんだけどな、あたし…」
「K伯爵、気にしたら終わりだ。この小説では」
ちょっとツッコミ入れてみる二匹。
「そして!ライトマンレッド、ルシファー!!」
まんなかにいた奴が、ついに名乗った。
「るしふぁーって、雷児の偽名の?」
「ちがうっ!なんだそのらいじとかいうのは!!
わたしは光に生まれた身!闇を司る馬鹿な妹とはちがうのさ!」
闇を司る馬鹿な妹…?
「あ、おにーちゃぁぁん(はぁと)」
「なっ!?…わ、わたしの妹!?…第一わたしは今何を口走っていた!?
闇を司るだと!?そんな輩は、このライトマンレッドが正義の鉄槌を下そうぞ!」
どうやら記憶がないらしい。
…って。おい。
「あ、あんたのお兄ちゃんて、正義かぶれの馬鹿ヒーローだったの!?」
「だから言ったでしょー?ルックスはいいし頭のキレもいい、性格はまぁいいかも、って」
「おもいっきしよくないじゃないの!頭のキレともども!!
それに、あんたのにーちゃんは確か封印されているはずじゃ…?
しかも光の側ってわけじゃなくて、光と闇と、どっちもが互いに複雑に組み合わさってるって…」
「にーちゃんのことなんて覚えてるほーがおかしーよー★」
「ちょっと待て、悪の権化の魔族達よ!わたしのどこが悪いという!?」
思いっきり混乱しているパーティー会場。
「…ど、どうでもいいんだけど、それであんたはいったい何をしに…?」
「はっ!そうだった!!」
べるるんの言葉に我にかえったか、ルシファーは、決めポーズをとりながら
「ゼウルを殺害し、なおかつその金貨を奪うとは、ゆるせんぞ!そこの女!!
このわたし、ルシファーことライトマンレッドがみずから喝をいれてやろう!!」
「はぁ?何をおっしゃいますの?あなた??」
今まで奥様と呼ばれていた、中央にいる一番派手な若い女の人が、ずずいっと前にでる。
「ゼウルはわたくしですわよ?」
しばし沈黙。
「はぁ?」
とぼけた声をだすレッド。
他のヒーロー達も、仮面を脱いで、その奥様の顔をじっくり眺める。
「わたくし、性転換いたしましたの。今の名前はローザ。
でも外の方々に嫌がられたので、隠していたんですわ。ほほほほほほ」
『せいてんかぁんっ!?』
よくそんなネタを出せたもんである。(うっ…by作者)
「し、しかし!食べているものは人間であろう!!」
「人間ですって!?これが!?
よくご覧なさい、これはただのゴブリンとホビットよ!?」
確かにそのとーりだったりする。
しかしそれを食べるというのもなかなか気色悪いものである…。
「でも、なんでホビットがこんなでかいの?」
「ふ…わたくしの研究しているのは、生物の合成よ。キメラというやつね。
それは実験中にできたできそこないのコンコンチキですの、ほーーーーっほっほっほ!」
誰かを思わせる高笑いをあげる、ゼウル…ぢゃなくてローゼリア。
「…K伯爵…かえろーよ」
「そ、そぉね…いくわよ、めなりん」
「うんっ★」
そうして、一夜は明けた。
ちなみに金貨はがっぽり貰っている。抜け出す時に見つけた50000枚である。

そして――

…突然だけど。
…ホントになんの前触れもなかったけど。
わたしは空間に佇んでいた。
此処が何処なのかはわからない。…とゆーより、なんで此処に居るのかさえわからない。
記憶がないわけじゃない。思い出せるのに、思い出そうとできない。
…ここは何処だ?これは何だ?
「混沌の海だ。…夢を見ている」
答えたのは、女の声。
まるでわたしを包み込むように聞こえてくる。
「…そうか…これが夢…」
「起きればそう思う。実際、あの二匹はそう思っているまま。
だがべるぜ、汝は違う。汝は夢を記憶し、それを二匹に伝えるのだ」
…そうか。わたし、K伯爵とめなりんと、旅をしてたんだっけ。
しかし、なんで思い出せなかったんだろう…
「蝿は夢を見ない。夢を知らない汝が、夢の中でもがいても無駄…
…ってなわけで、もうかっこつけてたってつまんないから話し言葉に戻すけど」
いきなしフレンドリーに語り掛ける女。
…もしかして…あいつの…
「そのとーり!あたしこそが、馬鹿めなりんの姉、ロード・オブ・ナイトメア!!」
「ぅどえぇぇぇぇっ!?め、めなりんへの事は何卒お許しをっ!!!」
「だいじょーぶ、あの子はストレス解消のために創ったんだからっ!」
…そうだったのか…?
まぁともかくとして。
「じゃ、なんだっていうんです?」
「めなりんの兄、ルシファーについて…教えとこうかと思ってね」
L様はにやりと笑い、話しはじめた。

ルシファー…
彼はLの弟であり、めなりんの兄である。
ちなみに一応、三人称に戻っていることを理解してもらいたい。
「ルシファーが光ならば、めなりんは闇。
ルシファーが正義ならば、めなりんは悪…これでだいたいわかるわね?」
「…つまり、彼は神族である、と…?」
Lはこくりとうなずく。
「あの馬鹿は「神族であり、魔族でもある」って言ったけど、これもあながち嘘ではないの。
生まれる時に、二人に聞いたのよ。
光に生まれるか、闇に生きるか。二人は別の道を選んだわ…
けれど、完全に二つをわかれされることはできなかったのよね」
フツー光に生まれる方を選ぶような気がするが、まぁそこはそれである。
「ルシファーは、神の側に立った。
彼は、本来の光の力を封印し、普通の人間、もしくは天使として振舞っている…」
――もしくは…って、かなりかけ離れた気がするぞ。
「あたしはそれで万事オッケーだと思ってたんだけど、それが…
ルシファーの記憶がうすれ、自分は正義のヒーローと信じ込んで、魔族に喧嘩を売るだのと…」
――それ、あんまし神族の側に立ってないぞ。
ことごとく、Lの言葉に心の中でツッコミを入れるべるるん。
「ヒーローっぽいの4人集めて、友情だの何だのと、数々の難儀…いや、容易な試練を乗り越えて…」
「…けど、ルシファーって封印されてるんじゃないんですか?」
「だからぁ、デモン・ブラッドが全部集まると、その正義人間からルシファーが復活するのよ」
――…もしかしてわたしら、敵役…?
そのとぉりかもしれない。
普通、ヒロイックサーガ的にこの話が進めば、ラスボス…つまり最後の敵が、魔族三匹になるだろう。
「で。単刀直入に言うと、彼を闇に還して欲しいのよ」
「…でも光がなくなったら、わたしらはいいけど人間どもやエルフどもが…」
Lはふぅっ、と溜め息を吐いて言う。
「…もうルシファーに、この世界を光で満ち溢れる世界にすることなんかできないわ…
第一、もしも今、彼が魔族に喧嘩を売れば、降魔戦争の再現は目に見えてるし。
前にK伯爵によろしく言っといたのは、実はこの事なんだけど……
…ま、デモン・ブラッドがあれば、そこら辺はなんとかなるから、心配はいらないわよ♪」
いや、心配するって、ふつー。
実際にべるるんは、疑いの目で睨んでいる。とりあえず前と思われる方向に。
「話はここまでよ。じゃ、夢も終わりね。
あなたに夢を見せるのには、苦労したわよ」
言ってLは、腕を広げ…(見えないけど)

パンッ!

瞬間。
べるるんは、ベッドの中にいた。
しかも上にはめなりんが乗っていて、K伯爵の足も侵入していたりする。
どうやらこれで夢を見せられたよーだ。
「重いぃっ!おもいおもいおもいっ!おかげで悪夢にうなされちゃったじゃないかっ!」
「ぅきゃぁっ!?あらべるるん、おはよう…ぐー」
「ほにゃぁぁぁぁ?…すぴー」
ぷち。
「寝るなぁ、おんどりゃぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁあああっ!!!!!!!!!!!!」
布団をがばぁっ!とひっくり返して叫ぶべるるん。
「うるさいわね、夜中に叫ぶんじゃないわよっ!夜更かしは美容の大敵なのよ!?…ぐー」
「ほにゅー?…すぴー」
叫んでまた寝る二匹。
「…って、あら?」
K伯爵は目を覚まし、足を引っ込めて、眠い目をこすりつつ、
「…悪夢にうなされたの…?」
こくりとうなずくべるるん。
「初夢ねっ!それはすごいわ素晴らしいわッ!今朝はお赤飯よっ!!」
ざざぁんっ!!
「いやあのそーでなくって…」
「じゃぁ何なのよ!?」
ざざぁぁんっ!?
バックに荒波立てて聞くK伯爵に、べるるんはふうっ、と溜め息一つ。
「K伯爵も見たでしょ?L様の夢」
「あぁ…そういえば、かなり前に見たような記憶もあるわね。
…内容は忘れちゃったけどさ…」
ぼそっとつけたすK伯爵。
しかし心配はいらないぞ、作者も内容忘れてるから(ばきっ)
「過去ログをみてみるねっ!」
いつのまにか起きていためなりんが、謎の本を生み出して調べはじめる。
「あんた、文字読めたの?」
とりあえずつっこんでみるK伯爵。
「発見っ!」
めなりんは、K伯爵の声色をかりて読みはじめた。

「どこよココは。
あたしは青くてだだっぴろい、異様な空間にいた。
べるるんもめなりんもいない、変なトコに。
あ、なるほど。めなりんはこれを見ていたワケね、あの時。
「そうだ」
「ぅどわぁぁっ!?な、何っ?何なのっ?」
女の人の声が頭に響く。
いつか聞いたような…ずっと前、生まれるよりも前に…
「お前はデモン・ブラッドを集め、何をしようとしている?」
「え?」
な、なにって…ねぇ…ははははは…
「何となく…集めてるかも知れませんけど…」
もともと何となく力が増幅するんじゃないかってなかんじで集めてたし…
こんな事聞かれても、特に何もないのよね…
そー考えると、邪将軍隊に渡した方が良かったのかも…?
「…よろしくたのんだわよ。」
「え?あ、ハイ…」
同時に、軽い目眩におそわれる。
なにを…たのまれたのよ?あたしは?」
…自分自身恥ずかしいぜべらぼうめぇ!(by作者)
「おお、そーだったそーだった…そっか、あの声…L様だったのね」
やっと思い出すK伯爵。
「しかし…あたしは何を頼まれたんだろ…?」
「それを、わたしが記憶した。わたしの役目は、K伯爵にそれを伝えることらしい」
夢の内容を話すべるるん。
K伯爵はそれを聞いてうなりはじめる。
「…あたし、死神なんだけど…どーやって光溢れさせろってぇのかな…」
「逆に意味をあげれば、この世界を滅ぼしてほしいってことなんじゃないの?」
「あ、でも、降魔戦争の再現とか言ってたわね。そっちのほうを処理しろってことかな」
「まぁ、それはその時になればわかるんじゃないの?それより…めなりんの『夢』はどうなの?」
…そういえば。
めなりんの夢も、作者は頭に記憶してなかった(どごっ)
「えーっとねぇ…
――――――――――――
何ココ。
青い空間。変な感じが体をつつむ。
みんながいない。
声だけが、あたしの頭に響き渡る。
「デモン・ブラッドを発動させるとどうなるか…?」
どこかで聞いたような女の人の声。
人じゃないかもしんないけど。
「知らない」
きっぱりはっきり言う。
「そうか。ならば自らでその力を解放するがいい。
…だが。後悔する結果にならないように気をつけなさい」
…ほにょ?
瞬間、あたりが揺らいだ。
青い空間が渦巻きになって、『声』にひきはなされる。
「一つだけ!あなたは一体誰!?」
「私は…お前だ」
――――――――――――
…だそーですっ!報告おわりっ!!」
本を懐に仕まい込んで言うめなりん。
そこに、効果音が響いた。
ばきぃぃっ!!!
…ぽて。
「べ、べるるん?何を急にどーしたの?」
いきなりめなりんぶっ飛ばしたべるるんに、K伯爵はさして大事じゃなさそうに問う。
「…ならば自らでその力を解放するがいい…って、わたし出番ないんじゃないの!?」
ずっ。
滑るK伯爵。
「K伯爵はその後一大ビッグイベント残っててスポットライト浴びるし!」
「…けど、べるるんの出番がないわけじゃないと思うわよ?あたしは」
責められたK伯爵が、のほほーんと言い放つ。
「根拠はなに?」
「だって、彼を闇に還して欲しいって言われたのはべるるんじゃないの?」
ふっ、残念ながら実はそれはめなりんの役目である(大汗)
「…いぢけてやる…」
「まだ早いわよ、あたしは知ってるんだから♪
さっきめなりんの丸秘メモ盗んだもの(はぁと)」
にっこりと。
K伯爵は、べるるんに微笑みかける。
「これによるとねぇ。
…っくっくっくっくっく…」
「!?なに、その笑い!?」
とりあえず左手に魔力を送り込み、暴れる準備をするべるるん。
「ん?いやぁ、べつに…っほほほほほほ」

ちゅどばぉんっ!!!!!!!!!!!

「ちゃんといわないと…怒るよ?」
「怒ってからそういうこと言わないでよっ!
第一今の攻撃で、丸秘メモどっかいっちゃったわよー?」
……。
「えぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!?????」
一番早く、一番でっけぇ声をあげたのは、他でもないめなりんである。
「あれなかったら続きかけないよぅっ!」
「いったいあれに何が書かれてあったのよ?」
涙ぐむめなりんに、(目がないのになんでわかるんだ)汗しつつ聞くK伯爵。
…あ。べるるん睨んでる。
「…ラストの設定がめちゃめちゃ細かく…」
……。
「…あ、あのさぁ?
そんなもん持ってたの?あんた??」
K伯爵のツッコミに、めなりんは言った。
「あれがなくなったら…設定が自由に変更できることになる」

『残虐シーン、作者の割愛によりカット…』

「…いいねっ!?」
「はい、べるるん、ラストにちゃんといい役まわしますぅっ…」
というわけで全国のべるるんファンの皆様ご安心を♪
「…なんか後半、裏設定の訂正事項になってない?あたしの気のせい??」
K伯爵の気のせいではない。

さてっ!
ロディやティナはどうなったのか!?
ゼラス・ゼロスはどうしたのか!?
セレスの想いは実るのか!?
身包みひっぺがされたクリスは大丈夫なのか!?
アイラはあれから何をしているのか!?
なんでスピカは登場シーンが少ないのか!?
邪将軍はもう襲ってこないのか!?
残されたデモン・ブラッドは、本当にティナの手にあるのか!?
めなりんはオハライバコになってしまうのか!?
ルシファーとはどんな奴なのか!?
そしてラストにべるるんはいいトコもっていけるのか!?
それより何より!去年はじめたはずの人気投票は、闇に沈んだままなのかっ!?(大汗)

全てはこれからの、スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達であきらかになるッ!

ってわけでまたねっ!(逃)

――続くのですわん★――

明らかにされたルシファーの意外な素顔!!(笑)
ってわけで、またまたねっ!(逃)

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6404やぁ姉御。お元気?(笑)ろでぃ 3/6-23:04
記事番号6391へのコメント

あ・ね・ご(はぁと)

……あたしの愛しい愛しいまーだぁに一体何を…?(笑)
いいけどよぅ(をひ)

はぁ。何か今回ツボでしたわ。
べるるんが男に間違えられる辺りとか(殺されそう)
出番創れるのね。よかったね。殺されずに済むね。
…でもも一回ラスト考え直し?(笑)

ロディが2回連続で出てこないなんてこれまた珍しい。
…でももう終わっちゃうのかなー。淋しいにゃー。
カレカノも終わっちまうしよぅ…。

はえさんはやっぱ夢見ないですか。
何かLにょんも随分酷い事を言ってたような気もするけど(笑)

はにゅ…ふるぱそでは言いたい事上手く言えないですなぁ。
そいではまた☆
めーるはやっぱ再インストールするしかないと思うよ(笑)
うちもおんなじ体験したし…

でわ☆早く治ってね〜〜☆★